04/06/01 15:00
僕たちは目的地に着いた。
「さあいくわよシンジ」
さきの疲労困憊した姿がうそのように気合の入っているアスカ。
ジェットコースターやフライングカーペットなどの絶叫マシーンを一巡りしたあともケロリとしている。
それに引き換え、さっきのアスカみたいに疲れきってしまった僕。
それでも僕自身のテンションは下がらなかった。二人で並んで、本当に恋人みたいに歩けたから。
遊園地での時間はあっという間に過ぎていった。
「ねえ、もう遅いからそろそろ帰らない?」
「それもそうね。じゃあ最後にシメを」
「シメ?」
また絶叫マシーンかと思ったが、幸い大観覧車だった。
「かなり上まで来たね」
「そうだ、シンジ、これこれ♪」
「あっそれさっきの」
「これが大事なのよ」
手提げ袋の中から出てきたのはチョコレートだった。
「へへへ、実はアンタとの初デートでは手製のチョコレートをあげようって前から決めてたのよ」
「前からって?」
「ほら、とにかくありがたくいただきなさいよ」
そう言って、アスカは僕にチョコをひとつ差し出した。やけに大きくて分厚い、へんな形をしていた。
大きく口を開いてそれに噛み付いた。
「うわ?」
「キャハハハひっかかったぁ」
ウイスキーボンボンだった。知らずにかじったので中身が漏れて、僕の顔と服にベトリとついた。
「ほら、怒らない怒らない。ちゃんと拭いてあげるから」
アスカはハンカチをとりだして僕の服を掃除し始めた。
「ひょっとしてこれがやりたかったわけ」
「フフ、まだここが拭けてなかったわね」
アスカの唇が頬を拭いた。
観覧車は一周した。