04/04/30 23:39 ED31Nyz1
木漏れ日の下、斗貴子さんは降り立つ。地形はなにも変わらない。
ただ、男の子と女の子は、そこにはいなかった。
―銀成高校寄宿舎。
「斗貴子さん……!?」
カズキが眼を丸くする。心なしかその眼は少し腫れていた。
「斗貴子さん!斗貴子さん!!」
カズキは弾けるように飛び上がって、斗貴子さんを抱きしめた。
「こ、こら、ちょっと……ヤメ」
「斗貴子さん!斗貴子さん!斗貴子さん!」
カズキは、斗貴子さんを抱きしめたまま飛び跳ねた。
「おーい!うるせーぞ、カズキィィって、超弩級ストロベリ―ィッッ!!」
ブシャア!!
光線以外のものをブチ撒ける岡倉。みんなやまひろも集まってきた。
みんなに見られて恥ずかしいにも程がある斗貴子さん。
「ちょ、ホントにヤメろ!……カズキ!!お願い……ヤメ」
「よかった~。よがっだ、斗貴子ざん~~」
涙でくしゃくしゃになるカズキ。
「あれ?―斗貴子さん。その手に持ってるの何?」まひろが前に出た。
「ちょっと見せて」
まひろは押し花をしげしげと見つめた。
「斗貴子さん。どうしたのこれ」
「ああ、ちょっとな。もらったんだ。それがどうかしたか?」
「え?ううん。いいの別に。勘違いだったみたい」
「そうか。―ええい、うっとおしい!!いい加減離れろ」
カズキをひっぺがしにかかる斗貴子さん。
今日もとても騒がしい。
その微笑ましい様子を見て、まひろは首を振る。
(まさか―、ね)
おわり