04/03/11 01:50
少年と少女の足元には、太平洋上に浮かぶ空母。 青い大平原の上に鎮座ましまして居る
その灰色の威容は、軍用ヘリでその空母に降り立った少年を吃驚させるのに十分な貫禄を
醸していた。
例えそれが青いキャンバスの上、芥子粒の様に散りばめられた灰色の絵の具であったに
しても、だ。
「ハロー、ミサト」
その甲板上、少年は場に似合わぬ少女の声を聞き、ヘリの乗り心地の悪い硬い椅子に
辟易して、凝り固まった首を上げた。
その声の主は、これも場に似合わぬ薄い黄色のワンピース―照りつけるような日差しに
対応するためだろう、その生地も色と相まって、注視すればその下の下着が透けて見える
程薄いのだが―を着た、紅い髪に碧い眼をした少女だった。
背は少年より若干高く、少女よりやや低い位だろう。 西洋系の血が入っているのか、
整った顔立ちは、本当の年齢より2、3歳程上に少女の姿を見せていた。
軽口を交わす紅い少女とミサト。 少年の後ろから付いてきていた少女―少年の汗が
染みた白いシャツを見てほんの少し欲情していた―は、これから起こることを瞬間、
思い出した。 少女は少年の背後から飛び付き、彼の眼を汗ばんだ柔らかい手の平で覆う。
「うわあっ、シヲリ!?」
突然目の前が暗くなった少年は、加害者であろう少女の名前を呼ぶ。
その時、海を渡る一陣の風が吹いた。 その風は薄いワンピースを巻き上げ、紅い少女の
白く細い腹と、青い匂いの籠る双肢の間、それを包んでいる白色の下着を外に曝す事と
なった。
「きゃっ」
慌てて裾を押さえた彼女は、先程ミサトと会話していた時、眼の端に映った少年の頬を
張ろうと歩み寄る。