03/04/06 21:10
俺は林から道路に飛び出ると地面に膝を着き、走り去る車列の
最後尾にいる装甲車に、対戦車ミサイルランチャーの狙いを付け
た。スコープの交点を装甲車の後部ドアに合わせ、ゆっくりと引き
金を絞る。射撃には余り自信はなかったが、ランチャーの性能が
良かったのか、ミサイルは白煙を噴き出しながら、吸い込まれる
ように装甲車の後部装甲を貫いた。装甲車は煙を上げて蛇行し、
ガードレールを突っ切って海に転落してゆく。これで、輸送車にく
っ付いているのは一番前を走る装甲車だけだ。車列はほどなく街
道のカーブに差し掛かり、見えなくなった。
そのとき、左手ではキリコのスコープドッグが3機目のトータス
にマシンガンの連射を浴びせかけていた。タートルは後ろに吹っ
飛んで停車してあった兵員輸送トラックの荷台にめり込み、トラッ
クの背後に撤退していた兵隊どもを巻き込んで爆発炎上する。
これで大分手間が省けたな。俺は腰の無線機を手に取り、キリコ
に呼びかけた。
「こっちでの仕事はぼつぼつ終わりだ。とっととあと1機片付けて
くれ」
「分かった」
964:860
03/04/06 21:10
俺は小型のリモコンを取り出し、スイッチを入れた。俺たちが乗
ってきたトラックが爆音を上げて炎上する。これで証拠はだいた
い消せたはずだ。燃え盛るATの残骸にランチャーを放り込んで
顔を上げると、目の前では最後のトータスが、キリコのスコープ
ドッグに肩から突っ込んで行く所だった。分厚い肩部ガードで弾
を弾き、接近戦を挑むつもりなんだろう。キリコはターンピックを
地面に打ち込み、左に急旋回して体当たりを交わすと、カウンタ
ー気味にアームパンチをトータスに打ち込んだ。トータスの胸部
装甲が歪む。2発、3発、4発。完全に胸部がひしゃげたトータス
は機能を停止し、その場に立ち止まった。これじゃ、中のパイロッ
トは生きちゃいまい。
キリコのスコープドッグはそのまま、燃え盛るトラックとトレーラ
ーの間を抜けて街道に出た。俺は走ってキリコに追いつき、スコ
ープドッグの左腕にしがみ付いて足を下脚部の出っぱりに引っ掛
ける。ちょうどそのとき、街道の先から爆発音と、AT用マシンガン
の発射音が聞こえてきた。フィアナだ。
「大詰めだ、急げ!」
俺がキリコに向かって叫ぶと、キリコは何も言わずに、フィアナの
待つ第2の襲撃地点に向かって急加速を始めた。
965:860
03/04/06 21:11
俺とキリコが奴らを襲撃した交差点は、車列を横撃出来る良い
場所ではあるが、相手にとっても襲撃されることを容易に予測で
きる所だ。奴らは当然警戒しているだろうし、ここで輸送車を狙っ
ても、ATや兵隊どもに邪魔をされて逃げられてしまうのがオチだ
ろう。なら、逆手を取って奴らの戦力をこっちに集中させてしまえ
ば良い、というのがキリコのアイデアだった。俺たちは火力を交
差点に集中して敵戦力を引き付け、輸送車を孤立させてしまえば
十分。後は、フィアナがじっくり料理するって手はずだ。今頃は、
海中にATとともに隠れていたフィアナが残った装甲車を襲い、
輸送車を足止めしている頃だ。
海沿いの曲がりくねった道を1キロほど走ると、穴だらけになっ
た装甲車が横転していて、その後ろでは現金輸送車が立ち往生
していた。フィアナのスコープドッグが、海水をしたたらせたまま、
輸送車の後部ドアにアームパンチを連打している。運転手の姿
は見えなかった。道沿いの林の中にでも逃げ込んじまったんだ
ろう。キリコがスコープドッグを輸送車の近くに寄せたとき、激しい
金属音とともに輸送車の後部ドアが破壊された。俺は、輸送車に
駆け寄ると壊れたドアを引き開け、拳銃を抜くと車内に飛び込んだ
。
薄暗い車内の奥には、3つのトランクが並べて置いてあった。横
には、ファミリーの一員らしい痩せた男が地面に膝を付いて手を
上げている。俺は男を銃把で殴り付けて気絶させると、トランクを
一つずつ運び出し始めた。だが、トランクは大きさの割にはやたら
に重く、一人じゃ引きずるのが精一杯だ。
966:860
03/04/06 21:12
「おーい、手伝ってくれよ」
俺が声を掛けると、フィアナがATから降りて来て、トランクの向こ
う側を持った。
「何、これ?とても一人じゃ持てないわ」
「へへ、たんまりお宝が入ってるんだろ。こりゃきっと、金貨だな」
何とか2人がかりでトランクを引きずり出し、フィアナのATのバ
ックパックに取り付けてあったコンテナに積み込む。こいつはとっ
つぁんの特製で、ちょっとした仕掛けの付いたシロモノだ。キリコ
は、ATのカメラターレットをゆっくりと左右に振って周囲を警戒し
ている。2つ目のトランクを積み終えた時、無線からとっつぁんの
怒鳴り声が響いた。
「おい、急げ!駐屯地から攻撃ヘリ部隊が出たぞ!」
打ち合わせでは、とっつぁんはもうここの沖から離れつつ、軍の
無線を盗聴している手はずだ。俺は無線機を手に取って怒鳴り
返した。
「こっちはあと3分もあれば終わりだ。そっちの準備は出来てるん
だろうな?」
「おう、例の場所まであと20分もありゃ着くだろうよ」
「よし、分かった。頼むぜとっつぁん」
俺は無線を切って、最後のトランクを引きずり出すために輸送車
の車内に駆け込んだ。
967:860
03/04/11 01:30
俺とフィアナは、慌てて最後のトランクを引っ張り出し、コンテナ
に放り込んだ。ヘリ部隊がここまで来るのに、25分はかかるまい
。攻撃ヘリはATの泣き所だ。高速で飛び回ってガトリングガンを
連射されたら、こんな遮蔽物のない所では、いくら運動性に富む
スコープドッグでも避け切れまい。奴らが来る前に、お宝を持って
逃げ切らなきゃならない。
フィアナがコンテナの扉を閉めると、キリコはスコープドッグの
頭部カバーを開け、俺に向かって圧縮酸素ボンベとマスクを放り
投げた。俺がマスクを装着している間に、フィアナがスコープドッ
グに乗り込み、エンジンを起動する。2機のスコープドッグは、ガ
ードレールを突き破って海に飛び込んだ。俺もその後を追った。
海底までは7-8メートル。俺は海面から辺りを見回した後、海
底近くまで潜り、フィアナのスコープドッグのバックパックに掴ま
った。マスクの無線マイクをオンにして、キリコたちに声をかける。
「おい、水漏れはしてないか?」
「多少な。だが、まだ動ける」
「私の方は大丈夫よ。歩くのが精々だけどね」
何せ、ただのノーマルのスコープドッグに防水加工をしただけ
のシロモノだ。歩ければ上等だろう。ここは数キロ先までそれほど
深くはならない。水圧でおかしくなることもあるまい。小魚の群れが
、俺の真横を通り過ぎていった。
968:860
03/04/11 01:31
岸から水中を西へ1キロほど歩いたところで、目の前の水の色
がふいに変わった。周囲に比べ、暗く濃い色の海水だ。耳に入れ
た無線のイヤホンの向こうから、キリコの声が聞こえてきた。
「これだな、海流は」
フィアナが続ける。
「そうね。奴らが来るまで、あと15分はあるわ」
「バニラ、後は頼む」
「へへ、任せとけ」
俺はそう言うと、フィアナのスコープドッグのバックパックとコン
テナを繋いでいる金具を外して、コンテナ上部の金属カバーを
取り去り、その中に付いている取っ手を引いた。ゴポン、という音
を立てて強化ゴム製のバルーンが膨らむ。バルブでガスの出を
調整すると、バルーンはゆっくりと海面に向かって浮かび始めた。
ATのコックピットが開いて、マスク付きのAT操縦用ヘルメットで
顔を覆ったままのキリコとフィアナが泳ぎ出てくる。奴らはこっち
に泳ぎ寄り、コンテナに付けた取っ手に掴まった。バルブを最大
まで開くと、バルーンに引っ張られたコンテナは、俺たちを引っ掛
けたままスコープドッグのバックパックから離れ、ゆっくりと浮上し
始める。その横を、無人となった2機のATが、自動運転で再び西
の沖に向かって歩き始めた。一方、俺たちが掴まっているバルー
ンとコンテナは、海流に乗って北に流れ始めた。
969:860
03/04/11 01:33
俺はバルーンのガス圧をいじって、海面から3-4メートル下を
漂うように調節した。海流の流れは思ったよりも速く、俺たちを北
に押し流していく。程なく、自動運転のAT2機は俺たちの視界から消えた。とっつぁんの声がイヤホンから響く。
「どうだ、上手く行ったか?」
「ああ、今海流に乗ったところだ。急拵えにしちゃ、上等じゃねぇか」
俺が答えると、とっつぁんは自慢げに声を張り上げた。
「ふん、中古のアドバルーンを改造したようには見えねぇだろう。
色も海中迷彩になってる。海面に浮上さえしなきゃ、ヘリからじゃ
見えねぇよ」
「しかしよ、このままどこまでも流されちまうのは御免だぜ。ちゃん
とキャッチしてくれよ」
「おう、任せとけ」
とっつぁんの「任せとけ」は、もう一つ当てにならねぇからなぁ。
そんなことを考えながら、俺たちは海流に身を任せていた。ここま
で来れば、あとはヘリに見つからないことを祈るのみ。コンテナは
強化プラスチック製、レーダーには引っかからないはずだ。俺は
目をつぶり、コンテナの手すりを強く握り締めた。
しばらくすると、ヘリの爆音が遠くに聞こえてきた。軍の奴らだ。
俺たちが海に逃げたことは、ファミリーの生き残り共からの連絡
でバレているだろう。囮のATに引っ掛かる前に、こっちに気が付
けばアウトだ。頼むからこっちに来るなよ。
ヘリの爆音は、いったんこっちに近づいてきたと思ったら、徐々
に遠ざかって行った。俺が思わずため息を付いたとき、爆発音と
ともに衝撃波が俺たちを襲った。奴ら、引っ掛かった!俺は海中
で揉みくちゃにされながらほくそえんだ。この時俺は、思わぬ落と
し穴にはまっていることなど、気付きもしなかった。
970:
03/04/12 11:56 MFL3Rxnx
ダグラムのドナン・カシムやボトムズ「赫奕たる異端」のモンテ・ウェルズ役の山内雅人氏が先日7日にお亡くなりになられたそうです。享年74歳でした。
合掌(-人-)
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)
971:
03/04/12 23:13 MFL3Rxnx
×を与える
972:山崎渉
03/04/20 00:19
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
973:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:22
>>13のスレより。
汗が涙に変わる時 そこに見えるは果てなく迷宮。
憎悪と悲哀が渦巻いた躯が集う砂の城。
悠久の大義は愚かなる儚き希望。
新たなる荒野に何を得るのか。
第1話「リストラ」。砂を噛むのは賢者なり。
974:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:22
私のすべては君たちのものだ
私の理想、私の努力、汗! 涙!!
……そして、たまさかのほほ笑み、それすらも君たちのものだ!
だから、せめて君たちは
私のために、命くらいは捨ててくれっ!!
第3話「闇の中の宴」
975:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:23
昨日の夜 fusianasanに引っかかり泣いていた
今日の昼 自分で立てたスレを自作自演で保守してた
明日の朝 ちゃちな信義とちっぽけな良心が
粘着厨房にマジレスする
2ちゃんねるはインターネットが生んだ
パンドラの箱
板さえ問わなきゃなんでもある
次回「抽出」
明後日そんな先の圧縮は分からない
976:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:25
最も危険な香具師、それは工作員。
冬休みにかこつけて、厨房に成りすます。
それは突然にスレを汚し、偽りの平穏を打ち破る。
2chは巨大な罠の鯖。
そこかしこで、仮面を付けた粘着民族が動き出す。
次回「罠」。
エラ丸見えの工作員が、闇にうごめく。
977:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:26
粘着厨房が、ageる、怒る、吠える。
キーボードが唸り、マウスが弾ける。
右腕が、直リンに脊髄反射する。
モニターの中に増殖する、無数の窓は何だ。
今解き放たれる、2ちゃんねる定番の謀略。
今、その本質を見せる、常連の罠。
次回「逆ギレ」
厨房、ニラ茶飲め。
978:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:31
鬼の首を取ったかのように報告する者がいる。
まるでそれが誇らしいともいわんばかりに、
病んだ魂は書き込みに安息を求める。
999の躰に染みついた香ばしい臭いに惹かれ
て( ゚,_ゝ゚)な奴らが集まってくる。
次回「プ」
トリッガーを引くと( ゚,_ゝ゚)が喜ぶ。
979:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:38
人は「2ちゃんねる」に何をもとめる。
ある者はただストレスを発散する為に、煽る。
ある者は真実を求める為に、ひたすらソースを要求する。
また者は実り多き議論を求めるあまり、自治厨に走る。
釣り師はカビが生えたスレを禊ぎ、粗しとなり香具師と
なって常に祭りを目指す。
次回『素行(不良)』
人は荒らしに付き合い、そして力尽きて倉庫に逝く。
980:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:42
模型板より
第8話
昨日の夜、パーツを失くして涙の雨に濡れていた。
今日の昼, 食事を抜いて夢買う銭を溜めていた。
明日の朝、ちゃちな希望とちっぽけな物欲が、ガレキの店に金を蒔く。
日本は高度成長が作ったパンドラの箱。質の良いのが何でもある。
次回「購入」。
漁って、そんな先のことはわからない。
981:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/23 19:50
埋め立てオワリ
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!.!_.-´.,,!(○)!、`-._!.!
____!.!==..!ロ!.◎.!ロ!.==.!.!. ______
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赫奕たる『装甲騎兵ボトムズ』Part11
スレリンク(ranime板)l50
982:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/24 01:55
>>973-980
グッジョブ!
983:名無しか・・・何もかも皆懐かしい
03/04/24 19:55
ヨカッタヨ!