03/09/01 19:29
やせ細った月と貧弱な光を発する星。そんな夜空が職員室の窓から見える。
「職員室に侵入成功っと…。」
その部屋にいきなり人影が現れた。
アクトン・ベイビーの能力で一時的に透明になっていた静と平良である。
「よっしゃ、今のうちに美術室の鍵を貰っていくぞ!」
「アンタが仕切るなッ!」
軽口を叩きあいながら必死で壁に掛かった鍵の束を捜索していく。
が。
「美術室の鍵が無い…ッ。」
ない。何故か、美術室の鍵が無い。
ご丁寧に美術準備室の鍵もなくなっている。
(恐らくその理由は、美術準備室が美術室と扉一枚を隔ててあるためだろうと推測される。)
「どうするんだ? ま、俺としちゃあこのまま夜の学校でデートってのも悪グハッ!」
平良の顎にアクトン・ベイビーのアッパーが決まった。
そのパンチの切れ筋、ディモールト・ベネ(非常に良しッ!)。
「しっかし参ったわね~…鍵が無きゃ美術室に入れないじゃない。」
「何も照れ隠しに殴らなくてもいいじゃねぇか…素直じゃねぇなァ。」
「ん~、待てよ~? ここに鍵が無いってことはつまりぃ…。
既に誰かがココに来て、美術室へ行ったってことになるのかしら?」
「って、俺の話無視ですか?」
「そうよね! これだけ学校に人がいるんだもの。
あたし以外にも美術室の幽霊を調べようって人の、一人や二人や五人や十人ッ!
いたっておかしくないッ! むしろそれが普通! 世界のあるべき姿ッ!」
「(また無視かよッ!)…フツーかぁ~?」
「普通なのッ! あたしが普通と思えば普通!!
なによぉ~今日のあたしったら冴えてるわッ!
テストの時もコレくらい冴えてたら良いのにってくらいに冴えてる!
よし、遅れを取り戻すわよーッ!」
「へぇ…それは良かった。」