とある男子の7年間の恋愛キロクat YUME
とある男子の7年間の恋愛キロク - 暇つぶし2ch650:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:03:21 0
その旨を説明した上で宮崎には俺の担当する場所の手伝いをしてもらうことにした。
同じところで二人で働くだなんて
まるで夫婦みたいでステキなわけで
周囲の俺の友人達に少し冷やかされつつも、宮崎はすいすいと仕事をこなしていく。

と、いっても担当場所はお化け屋敷なのだが。

午後一番の演奏の準備に取り掛かるまで、あと2時間ある。
その間、俺は宮崎と一緒にお化け屋敷の受付をするわけだが


「いらっしゃいませ」

そう言う宮崎に

「結婚式場はここですか?」

とアホなことを抜かしては、俺に引っぱたかれるケインと愉快な仲間達。
悪い気はしないが、これには少々宮崎も苦笑い。

「あたし達ほんとに結婚しちゃったらどうする?」

651:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:05:48 0
その旨を説明した上で宮崎には俺の担当する場所の手伝いをしてもらうことにした。
同じところで二人で働くだなんて
まるで夫婦みたいでステキなわけで
周囲の俺の友人達に少し冷やかされつつも、宮崎はすいすいと仕事をこなしていく。

と、いっても担当場所はお化け屋敷なのだが。

午後一番の演奏の準備に取り掛かるまで、あと2時間ある。
その間、俺は宮崎と一緒にお化け屋敷の受付をするわけだが


「いらっしゃいませ」

そう言う宮崎に

「結婚式場はここですか?」

とアホなことを抜かしては、俺に引っぱたかれるケインと愉快な仲間達。
悪い気はしないが、これには少々宮崎も苦笑い。

「あたし達ほんとに結婚しちゃったらどうする?」

652:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:08:38 0
>>651誤爆です。

何を思って宮崎はこんなことを言ったのかわからないが
俺は結婚したいと思ってた。シアワセな家庭を築いてのんびり過ごしたかった。
だけど言えなかった。

「どうしよっかね。ほら、お客さん来てるから。仕事仕事」

そんなことを言って宮崎の気を逸らそうとする俺。
当の宮崎はほっぺたをふくらませて少し怒ってしまった。

相変わらず俺はヘタレなのだ。

二人並んで受付けをしているのだが
3秒に1度ほどの割合で
隣にいる宮崎が俺の足を思いっきり踏んづけてくる。

やめてください、と言うと
「あたしは本気だったのに」と宮崎。
ここで改めて宮崎からの愛を感じることができた寂しがり屋な俺は
あとで宮崎と二人きりで話す時間を作るから、今は我慢をしなさい、と言うと
宮崎は大人しくなった。
なんとか餌付けに成功した。

653:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:11:24 0
そんなこんなでのんびり仕事をしていると
俺達の次の担当の人達が到着。
交代して、俺達はやっと開放された。
案外2時間は早いものだ。

するとまたあの厄介者がやってきた。ケインだ。

「七男、そろそろ準備始めるぞ」

「今行こうとしたところだよ・・・」

「と、言おうと思ったが せっかくなら一回二人でお化け屋敷で遊んでから来い」

「え?」

「じゃあな。先に行ってるぜ。チビるなよ!」

そんなことをデカい声で叫びながらケインは颯爽と去って行った。
ふむ・・・たまにはアイツも使えるじゃないか。

宮崎を見ると首を横に物凄い勢いで振っている。
あぁ、怖いのダメなんだっけ。
しかしそんなことはお構いなしで宮崎をお化け屋敷に連れ込む。

654:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:14:30 0
受付けを済ませ、いざ潜入。
一歩入ったところで宮崎が俺を強く引っ張る。

「七男ー・・・」

「何?」

「ここの担当なんだよね・・・?」

あぁ、だいたい言いたいことわかったぞ、宮崎。

「あぁ。それがどうしたの?」

「なら、いつお化けが出てくるかとか全部わかるよね・・・?」

まぁお察しの通り全部把握してますが

「知らないな。俺はただ飾り付けただけだし。」

「うそー・・・」

そう言って半べそかいてる宮崎。どこかで女生徒の悲鳴が聞こえる。
それに驚いて俺の腕にしがみついてきた。

「ずっとそうしてれば怖くないよ。後ろつっかえちゃうし、進もう。」

655:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:16:35 0
宮崎の体が震えてる。マジで怖がってるんだな。
少し進むと最初のビックリポイントに差し掛かった。
ここでは後輩がお化け役を担当している。
しっかり宮崎を驚かせてくれよ。

「わぁ!!」

男の声だ。男が白い何かを身にまとって襲い掛かってきた。
といっても襲い掛かるフリだけで、直前で足を止めるのだが

「きゃぁぁぁぁぁぁああああああああ!」

宮崎があまりにもデカい悲鳴をあげてお化け屋敷のさらに奥に逃げていくもんだから
逆にこちらまで驚いてしまった。
暗いお化け屋敷を手探りで、ものすごい勢いで奥に進んで行く宮崎。
途中で空き缶が落ちてくるトラップやマネキンの生首が置いてあるポイントがあっても
宮崎は驚いたり止まったりすることもなく
ただ「いやぁ・・・いやだ・・・」と言いながらどんどん走っていく。
中腰になっているが、腰が抜けかけているのだろうか。

のんびり歩けば5分は楽しめるお化け屋敷を
俺達は1分ほどで出口まで来てしまったわけで。

出口の扉らしきものを見つけたとき
宮崎はその場にへたり込んでしまった。

656:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:32:07 0
近づいてみると宮崎は泣いていた。

立たせようとしてもなかなか立たない。
まるで鉛のように重い。

「ほら行くよ」

そう言っても宮崎はただ首を横に振るばかりだった。

仕方がないので俺は宮崎の横にしゃがみ
宮崎にキスをした。

いくらお手製のお化け屋敷をはいえ
こんなところでキスをするのは今回が最初で最後だろう。

キスを終えると、宮崎は俺の体につかまりながらのろのろと立ちあがった。

宮崎は俺を見上げながらニッコリ笑った。
これはキスをせがんでいる合図なのだが俺は宮崎の腕を引っ張ってお化け屋敷を出た。

「どうしてもう一回キスしてくれなかったの?」

宮崎、お前は気付いてなかったのか。
俺達のすぐ後ろに、後輩達が口をポカンと開けて立っていたのを。

657:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:34:22 0
俺は宮崎に一旦別れを告げ、体育館脇の倉庫に向かった。
そこには最終調整をしているバンドメンバーがいた。

「やっときたかー」

ケインがそう言いながらこちらに向かってくる。

「七男、楽しもうな。」

わかった。それはそうとケイン、顔が近い。
しかしケインが本番前に良いことを言いやがるので少し泣きそうになってしまった。

中学とは違い、高校の文化祭では時間がかなりもらえた。
俺達に与えられた時間は15分間。
はじめの3分はMCによる自己紹介なわけだが
そのMCがなんと俺。まぁ立候補したのだけれど。

演奏する曲は俺達の好きな曲のメドレー。
当時流行った曲を適当に繋ぎ合わせただけの高校生らしいメドレーだった。


658:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:36:27 0
生徒会の人たちに誘導され、幕の閉まったステージのこちらがわで俺達が準備をする。
ざわついている開場。
隙間から少し覗いてみると、数え切れないほどのお客さんがいた。

震えが止まらない。
ドラムのセッティングを早急に終え、俺はステージ横から宮崎を探した。

薄ピンクのパーカーを着ている女子を探す。
しかし客席は暗く、なかなか見つからない。
虱潰しに探していこうと思っていた矢先
客席の前から2番目の列の席に宮崎を発見した。

かなり遅く体育館に入ってきたのに
よくそんな前列が空いていたな、と驚いた。

宮崎がなにやらかばんをごそごそ漁っている。
こんなときにケータイとりだしてメールでもする気か?と思ったら

宮崎はバッグからビデオカメラを取り出した。
なんて用意の良い子なんだ。

659:夢見る名無しさん
10/04/28 05:26:32 0
あ、あれっ?
盛り上がってまた寸止めか・・・orz

660:夢見る名無しさん
10/04/29 00:40:41 0
乙だが豚切りで残念

661:夢見る名無しさん
10/04/29 19:41:16 O


続き気になる


662:夢見る名無しさん
10/05/04 23:47:26 0
規制食らってました
再開します

663:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/04 23:48:28 0
「では準備をしてくださーい」

生徒会長の声が聞こえる。
俺達は立ち位置につき、呼吸を整えた。
ケインが奇妙な踊りをしている。目障りだ。

幕が開いた。
壮大な拍手。
宮崎の握るビデオカメラが、「録画中」を表す小さい赤い光を放つ。
俺は思わずピースをした。

そしたら何か勘違いした誰かが
「七男ーーー!」と叫んだ。
野郎にモテても嬉しくないが、こういってもらえるのは何よりも嬉しいことだ。
自然と笑みがこぼれた。

ドラムの横にあるマイクスタンドを傾け、マイクを口元に持ってくる。

俺の話に聞き入るお客さんたち。
話の内容は、バンドメンバーとの思い出話や結成秘話など。
あまりの清聴っぷりに俺は感動した。

俺の言葉をみんなが聞いてくれている。
先生も、生徒も 親も地域の方も。

664:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/04 23:59:56 0
俺が始めに話す事の内容は一切バンドメンバーには話してなかった。
バンドメンバーにも俺の話をじっくり聞いて欲しかったからだ。

長い話のシメとして
俺はバンドメンバー全員への感謝の気持ちを述べた。

「俺はお前達とバンドを組んで、こうして舞台に上がれていることがなにより幸せです。」

もっと言葉は続くのだが俺はそこで詰まってしまった。
一旦マイクから遠ざかる。
話す側の俺が泣いてどうするんだ。そう思うとさらに涙がこみ上げてきた。

客席から「頑張れー!」と声がかかる。

見かねたケインがマイクを奪い、話し始める。

「大変お見苦しいものを見せてしまいました。」

ここで場内が笑いに満ちる。

「ただし俺達バンドメンバーも全員、七男くんと同じ気持ちです。
 この舞台に立てていること、これから演奏ができることが
 この高校生活の中で一番幸せです。」

ケインに、いいところをもってかれちまったよ・・・。

665:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:06:28 0
始まった演奏は、これから10分ほど続くのに
俺にとってはものすごく早く流れていくように感じて
きっとそれは腕や足にも伝わり、曲自体がかなり走っていたと思う。
自分のソロが少しあったりしたが
そこはしっかり一音一音をかみ締め、笑顔でドラムを叩いた。
その笑顔は作ったものではなく、自然とこぼれてしまった笑顔だった。


幕が閉まって、ようやく実感した。
俺達の演奏は、たった今、終わったのだと。
メンバーは全員泣いていた。俺ももらい泣きした。

「素晴らしかったよ」
生徒会長にそう言われた。
ぶさいくな泣き顔を晒しながら、俺は会長に何度も頭を下げた。

余韻に浸っているヒマは無い。
後ろには次のダンス部の発表が待っている。
俺達は急いで楽器を体育館脇の倉庫に移動させた。

片付けも一段落し、体育館の後ろのほうからダンス部の発表を見ていると
宮崎が駆け寄ってきた。

666:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:14:13 0
「すごかった」
宮崎はそれだけ言って抱きついてきた。
体育館が暗くて、本当によかったよ。


こうして高校生活最後のお楽しみ会である
「文化祭」は終わった。
正確には文化祭は7時までやっていたし
その後も色々あったけど
あまり宮崎が関わってこなかったので割愛とする。

片づけをしている間、みやざきは近くのマックで時間を潰し
俺が学校から出てくるのを待っていてくれた。
宮崎の尽くしっぷりにはいつも驚かされるばかりであった。
あまりにも従順なものだから、裏があるのでは?と疑ったことも一時期あった。

学校を出る少し前に宮崎にメールをいれた。
俺が学校を出る頃には
宮崎は校門に立っていた。

667:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:19:58 0
「待った?」

「ううん。」

「じゃあ行こうか。」

自転車の後ろに宮崎を乗っける。
この高校から俺の家までは20分以上かかるのだが
宮崎の家までは近い。
高2の春に宮崎と再会してから
俺はほぼ毎日、部活で疲れた体を宮崎の家で癒していた。
宮崎の父は夜遅くまで帰ってこないので
宮崎家に9時や10時頃まで居座っていた、なんてことはよくあることだった。

こうして今日も宮崎の家にお邪魔する。
「今日は晩御飯ご馳走するね」
宮崎は機嫌が良いと晩御飯をおごってくれるのだ。

668:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:24:27 0
「いつもありがとね。」

「どういたしまして。カレーでいい?」

今日の晩飯は宮崎の十八番料理であるカレーだ。
エプロンをつけて腕まくりをし、鼻歌を歌いながら上機嫌で料理をする。
その後ろからこっそり近寄って「わっ!」と宮崎を驚かすのに最近ハマっている。
さすがに包丁を扱っているときは危ないのでそれ以外のときに実行をする。
今日もちょっと脅かせてみた。
宮崎は「きゃっ」と小さい悲鳴をあげて「もう!今日はさんざん驚かされたんだから、少し休ませてよ!」と頬を膨らませた。

しばらくするとカレーができあがった。
宮崎のカレーと俺のカレー。2人分をつくったようだが、俺のカレーは宮崎のカレーの量の倍近くある。

「たくさん食べてね。いただきまーす」

宮崎は美味しそうにカレーを食べている。
その姿を見ているだけでなんだか和んだ。

やはり美味しかった。宮崎の作ったカレーだからだろうか。そう感じるだけなのか?

669:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:30:33 0
腹が膨れると眠くなる。
たまに宮崎の家で一眠りすることもあったが今日はやることがあった。
今日の文化祭での演奏のビデオ鑑賞だ。
やり方がわからない、と言うので俺がビデオをテレビにつなぎ、セットをする。
再生を押すと同時に、ステージの幕が映し出された。
まだ幕は閉まっている。演奏が始まる前だ。

しかしこの映像、想像以上にブレている。
俺が
「ブレてるね。ものすごくブレてるね」と言うと

宮崎は「うるさい!」と言って俺の方におでこを押し付けてきた。
耳が赤くなっている。

幕が開き、拍手と歓声が沸く。
俺の語りが始まる。
恥ずかしいから飛ばしたかったが、宮崎はそれを許さなかった。

ビデオの中の俺が言葉につまっている。
「ばっかじゃないの。」
宮崎の声がした。その子は俺の隣にいる宮崎のものではない。
ビデオを構えている宮崎が、ステージで泣いている俺に向かって放ったのだ。

「おいおい。ばかじゃねぇの、とはちょっと酷くないか?」
「そう?」
宮崎はとぼける。

670:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:36:39 0
演奏が始まる。
あぁ、やっぱり少しリズムが早くなっている。
ベースの子が俺のほうをちらちら見ているが俺は気付いていない。
他のみんなはリズムが走っていることに気付いているようだ。

「ちょっとテンポ速くない?」

宮崎が気付くくらいだ。よっぽどだろう。

俺のソロもカッコよく決まっていた。満足である。
他のメンバーの見せ場もしっかりできていた。悔いはない。

ステージの幕が閉まると同時にビデオの再生も終了した。

「あーー。酔ったー・・・」

宮崎は自分の撮った映像で酔ってしまったようだ。
俺もあと少し長く見てれば危なかったかもしれない。それほどブレていたのだ。

俺は「ちょっと眠くなってきた。」と言った。

「寄りかかっていいよ。」

一緒にソファーに座る宮崎に
俺は遠慮なく寄りかかった。

671:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:41:50 0
俺は本当に眠かった。

宮崎が色々話してくるが
俺は適当に相槌を打っているだけだった。
宮崎の言っていることもほとんど耳に入ってなかった。

「昨日・・・が・・・ったよね?」
「うん」
「七男は・・・って・・・思う?」
「うん」
「やっぱ・・・の・・・か。」
「そうだね・・・」
「聞いてる?」
「ちゃんと起きてるから・・・大丈夫だよ・・・」
「寝てるじゃん」

そんな感じの会話だったと思う。
そして俺が最後に聞いた言葉。

「七男。あたし・・・」

よく聞こえなかった。聞こえなかったので
「わかった。」
俺はそう答えた。
そして深い眠りについた。

672:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:48:12 0
「朝だぞー。起きろ!」

聞きなれない男声に目を覚まし、起き上がるとそこは宮崎の部屋だった。
いい匂いのする枕にふわふわの布団。ピンク色だ。
ドアのところに宮崎の父親が立っている。

「よく寝たなー。あおいは下で朝飯作ってるから、食べにいくといい。俺はちょっと出かけてくる。」

そう言って父親は1階に降りていった。
制服のまま俺は寝てた。
しかしどうやって1階から2階のこの部屋まで来たのだろう。

1階に行くと宮崎が朝飯をテーブルに並べていた。

「おはよう、七男」

朝っぱらから眩しい笑顔だ。

どうやら父親は先に朝ごはんを済ませたようだ。
俺達に別れを告げ、玄関から出て行く父親。
こうしてまた俺達はこの家に2人きりになった。

文化祭の翌日、日曜日の朝のことだった。

673:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:52:00 0
朝ご飯を済ませたあと、俺は風呂に入りたいといった。

「湯船沸かしてないよ・・・?」

「大丈夫。シャワーだけ浴びさせて。」

俺は脱衣所で素早く制服を脱ぎ、シャワーを浴びた。
気持ちよかった。

風呂からあがり、リビングに戻ると
デーブルの上にキレイに包装された箱が置いてあった。
宮崎はソファーに座ってテレビを見ている。

「この箱、どうしたの?」

「開けてみれば?」

俺の問いに宮崎は素っ気無く答えた。
紐を解き、慎重に包装紙をめくっていく。
現れた真っ白な箱を開けると、中には同じく真っ白の手袋が入っていた。

「あおい、この手袋・・・」

「そうだよ。残りはうちが編んだの。去年の冬に、って思ったんだけど間に合わなくて・・・」

674:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:02:48 0
宮崎の母親の葬儀の時
宮崎から聞いた「母親の作りかけの手袋」の話。
俺はハッキリと覚えてる。

「今年の冬はこれをつけれるじゃん。よかったね、あおい」

「うちじゃない。」

「え?」

「それは七男へのプレゼント」

とんでもないサプライズだ

「でもこれはあおいの母さんがあおいのために・・・」

「だからこそ七男につけてほしいの。」

「・・・。」

「だって、昨日うちのプロポーズ、受けてくれたでしょ?」

「・・・プロポーズ?」

675:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:11:27 0
俺はいつ宮崎にプロポーズをされた?
学校で?お化け屋敷か?下校中か?
・・・それとも寝ぼけている時か?

「え・・・?結婚してくれるんだよね・・・?」

宮崎が戸惑っている。
俺は結婚する気はあるが、まだ高校3年生だ。プロポーズって・・・
宮崎は結婚できても俺はまだできない。それに俺は大学にも行きたい。

「ちょっと整理させてくれ。あおいはいつ、俺に逆プロポーズしたんだ?」

「あれは嘘だったの・・・?騙してたの・・・?」

「いや、そういうわけじゃなくて・・・」

宮崎がソファーにうずくまる。泣いているようだ。

「ごめん・・・ほとんど寝てたから記憶に無いんだ・・・」

宮崎の反応はない。

676:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:38:20 0
「もしよければ・・・もう一回、改めて言ってくれないか・・・?」

相変わらず無反応だ。まったく、仕方のないやつだ。

「なら俺が言う。結婚してくれ。」

宮崎がゆっくり立ち上がる。
のろのろとこっちに寄ってきて俺に抱きついてきた。
というより、すがり付いてきた。

「うちがみじめじゃん・・・頑張って言ったのに・・・彼氏には聞こえてなくて・・・
 今度は彼氏に同じことを言われちゃって・・・」

「今はそんなこと考えるな」

「ごめんね・・・ほんっとに頼りない女でさ・・・」

「それ以上言うなって」

「七男・・・返事はもちろん OKだよ。」

「あぁ。ありがとう。」

俺達はしばらく抱き合っていた。

677:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:45:23 0
抱き合っている間、二人とも泣いていた。
宮崎は抑えることなく声をあげて泣いていた。


泣き虫な二人で
お互いに自分が弱くて頼りないと感じている。
でもそんな二人でもこんなに長く付き合っていられてる。
むしろ、こんな二人だからなのだろうか。


こんな出来事があった日の夜、今日のことを宮崎の父親に話した。
お父さんは俺達のことをよく理解してくれていて
厳しいことをよく言ったり協力してくれたりしていた。
俺達の話を聞いたあと、お父さんは俺の将来について聞いてきた。
将来就きたい職の話や、高校卒業後の自分の進もうとしている進路について詳しく話した。

お父さんは一通り聞いたあと顔を上げ

「あおい、良い彼氏を持ったな。
 七男くん、あおいをよろしくな。」

そう言った。

678:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:49:26 0
夜遅くなってしまった。時計は10時半を指している。
今日も宮崎に晩御飯をご馳走になってしまった。

「じゃあまた明日ね。」

「あぁ。今日も色々ありがとな。」

「ううん。大丈夫。 ねぇ、それ、あたたかいでしょ?」

宮崎が俺の手を指差して言う。
俺の両手を包む白い手袋は、本当に暖かかった。

「とても暖かいよ。」

「良かった。あ、ちなみに修理は受け付けてませんので、大切に使ってね!」

宮崎に見送られながら俺は自転車をこぐ。
家に帰ると、もう既に宮崎の父親から連絡が来ていたらしく
ちょっとした家族会議が始まった。

無論、会議の内容は
俺が本当に宮崎を幸せにできるのかどうか、というものに集中していた。

しかし説得するまでもなく、俺の家族は全員賛成をしてくれた。
本当に家族には感謝をしなければならない。

679:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:56:02 0
高校を卒業して、俺は大学に進学した。
場所を移して宮崎と同居したい気持ちもあったが、宮崎の父親のことも考え
宮崎の家に俺を置いてもらうことにした。

俺は大学に通いつつ、バイトをして
宮崎家の家事手伝いをほんのちょっぴりやっている。
何も辛いことなんてない。疲れはするが、その疲れさえも幸せに感じるのだ。

今は就職難と言われているが
そんなものに負けず、俺達二人は目指す職に向かって必死に勉強している。

しかしたまには息抜きも必要である。
そんな時は、昔の事なんかを思い出しながら二人で笑ったりしている。

「あの時七男酷かったもんねー」

「反省してるよ・・・」

「ふふふ。そうだ、こういう昔の事なんかをどっかに記録しとかない?忘れないようにさ!」

「おぉ!それいいね!」

俺達は思い出したことを箇条書きで記録していった。

680:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:00:22 0
「小5より前のことは思い出せないわー」
「小5のときにあたし達が知り合ったんだよね?」
「そうだったっけ?」
「そうだよ!」

ずいぶんのんびりした大学生である。
こうして昔から順にいろんな思い出話に花を咲かせていると
俺はある一つのことを思い出した。

「ネットに俺達の話を投稿してみないか?」

「え?ネット?」

「うん。といっても携帯小説みたいなものじゃなくて・・・。
 2ちゃんねるってところに、よく小説みたいなものを投稿してる人がいるんだよ。」

「でも2ちゃんねるって人がたくさんいるよね?」

「いろんな人に見られるのは恥ずかしいし・・・
 そこまで人が多くない板もあるみたいだから。」

「・・・書いちゃう?」

「書いてみようか!」

681:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:03:30 0
カタカタとキーボードを叩く。
どんな文にしようかと試行錯誤を繰り返す。
長文を書くことは苦手だ・・・。

「えぇっ?七男・・・昔にそんなことしてたの・・・?」

後ろから文面を覗き込んできた宮崎が驚きの声をあげる。

「まぁ・・・ほら、ネットなら書ける!みたいなことあるでしょ」

「なにそれー」

「どうした?」

「ちょっと見損なったー」

さすがにこれはマズかったかな。いや、書くなら包み隠さず・・・

進めていくうちに、だんだん楽しくなってきた。

682:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:11:06 0
2009年 冬
俺達は初めて2ちゃんねるという大型掲示板に書き込むことを決意した。

「スレッドを立てるんだけど、タイトルどうする?」

「投稿するのは七男なんだし、七男に任せるよ。」

ふむ・・・どうしようか・・・
俺達の出会った小5から高校卒業まで・・・
7年間・・・ん?8年間か?まぁどちらでもいい。

「あおい、書き込むよー!」

「おぉ!!どれどれ?」

『とある男子の7年間の恋愛キロク』

「ここを押すと完了だ・・・いくぞ・・・」

カチッ

【書きこみが終わりました。

画面を切り替えるまでしばらくお待ち下さい。】

   -fin-

683:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:18:05 0
半年近く続けてきました。
最後まで見ていただいてる方は少ないかもしれませんが
途中からでもここまでお付き合いいただいた方には感謝です。
どうしても不定期になってしまったり、予告を裏切ったりしてしまい
申し訳無かったです。

皆さんのお陰で自分のやりたいことを最後までやり遂げることができました。

改めてお礼を言わせていただきます。

本当にありがとうございました。


ねっとりした奴なのでしばらくこの板このスレにへばりついていると思います。
自分に対する書き込みがあれば反応できると思いますので
何かあればこのスレによろしくお願いします。

それでは、さようなら!

684:夢見る名無しさん
10/05/05 11:51:12 0
おもしろかったよ
お疲れ様
お幸せにね

685:に
10/05/05 15:38:47 i
最初から見てたよ
ありがとうな
ネタにしろ何にしろ、続きが気になってたよ


686:夢見る名無しさん
10/05/05 21:01:11 0
おつかれー
お幸せに
暇だったらちょっとした出来事を書いてくれてもいいのよ

687:夢見る名無しさん
10/05/06 21:53:21 0
おめでとー!!!

なんだかこのまま埋まるのが勿体無い話しなので
レスも出しつらい位だよ

688:夢見る名無しさん
10/05/07 19:47:26 0
宮崎を大事にしてね。

689:夢見る名無しさん
10/05/09 18:37:27 0
ヒーハー!!ハー!はー!はぁ!はぁはぁ´#`
      。☆*+. 。。     ★。*。* 。
    o 。゜. ,゜ ☆。  ☆ * 。゜.  ☆o。
   +★。☆    ☆ +*゜        。*。
   *. 。      * 。,        +★。
   +゜     ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ    。.o
   ☆。゜。  ∧/  /  ヽ  ヽ∧   。゜ +.
    *゜ 。。   ̄|     | ̄   *。☆
     +。,☆+.        , + *。
        ゜ *.     。*☆。
          ,★+ 。 .☆。,
     * 。 。,☆☆ ゜. + *.*。  。*
      *☆ +。゜       *.★。☆
          Congratulation♪
やきもきしながらも楽しませてもらったよ、ありがとう。
もう籍は入れたのかい!?お幸せに!!


690:夢見る名無しさん
10/05/09 23:29:14 0
とりあえず乙!
祝ってやるよ!

691:夢見る名無しさん
10/05/11 01:53:35 0
オメデトウwww
これからも宮崎を大切にしろよ!

692:夢見る名無しさん
10/05/11 01:59:32 0
オメデトウwww
これからも宮崎を大切にしろよ!

693:集英社
10/05/11 01:59:55 0
きめーーー。ゲイ同士二人だけのスレW
スレリンク(pinkcafe板)

694:夢見る名無しさん
10/05/12 18:43:03 O
>>1
おめでとう!

>>685
もしかしてオカ板にも逝ってる?

695:夢見る名無しさん
10/05/12 19:26:16 i
>>694
行ってないってば
人違い

696:夢見る名無しさん
10/05/13 00:59:02 0
すげえすげえよ七男

697:夢見る名無しさん
10/05/18 22:18:18 Q
うわぁ!おめでとう!!
で、宮崎とはどこまで…

698:夢見る名無しさん
10/05/19 21:54:26 0
おめでとう!先週このスレ見つけてまだ途中までしか読んでないけどすげー感動した。
中2の日帰り旅行の途中まで読んだが、読んでる途中で自分が失恋してしまってせつなくて今続き読めないかもしれない。
でもいつか絶対つづき読むぞ!励ましてくれてありがとう!

七男のうらやましいぞおおおおおお

699:夢見る名無しさん
10/05/20 18:10:57 0
最後に愛は勝つ

700:夢見る名無しさん
10/05/23 11:05:32 0
どうも、一番最初にコメントしたものですけど実に長かったですねー(笑)でもあっというまかも

でもほんとにみながら楽しませていただきました。♪(´ε` )
お疲れさまです



701:夢見る名無しさん
10/05/23 14:31:55 0
楽しかったぜ

702:ぼるじょあ ◆yBEncckFOU
10/06/01 17:54:32 0
(・3・) エェー  おめでとうだYO

703:694
10/06/03 00:14:12 O
>>695
そっか
ごめん><

704:に
10/06/03 00:20:38 i
なぜオカ板なんだろっ

705:694=703
10/06/03 01:25:27 O
>>704
オカ板にも“に”さんがいるんだよ
オカ板の“に”さんも酉はつけてない
だから同じ人かもと思ったんだ
面白くて頭いい人で俺はわりと好き

706:夢見る名無しさん
10/06/04 23:58:31 0
べ、別にうらやましくなんかないんだからね!

707:夢見る名無しさん
10/06/17 10:25:52 O
まだ見てるかな?
近況をしりたいぞ、七男!

708:七男 ◆RaOe7CTARw
10/06/17 22:36:34 0
お久しぶりです。
1ヶ月半ぶりでしょうか。

>>707
近況報告ということで
籍を入れる予定は立ててあります。
お互いの両親も快くOKしてくださり、自分達ももう立派な大人ですので。
そろそろ結婚してもいいんじゃないか、ということで決定しました。

詳しい日程などわかってませんが
式は小規模ながら挙げようかな、と思ってます。

できればみなさんにも是非いらしていただきたいです。なんちゃって。

709:に
10/06/18 08:43:43 i
いや、宮崎見てみたいしw是非祝わせろ!
おめでとう

710:夢見る名無しさん
10/06/21 11:39:00 O
七男じゃなくて、宮崎見たいとかw
だが、俺も見たい!

711:夢見る名無しさん
10/06/28 11:26:48 O
いいなぁ…

712:夢見る名無しさん
10/07/13 22:50:01 O
で、いつ式挙げんの?

713:に
10/07/13 23:40:16 i
九月でしょ

714:夢見る名無しさん
10/07/16 08:59:42 O
詳細希望

715:七男 ◆RaOe7CTARw
10/07/17 15:53:36 0
お久しぶりです。

式は近所の小さな式場で
10月頃に挙げようかなと思ってます。

家から自転車で15分の
本当に近い式場です。2,3年前に出来たばかりの
まだ新しくてキレイなところです。

埼玉県です(・ω・)

716:夢見る名無しさん
10/07/18 19:00:17 P
まだ予約も取ってないの?取れんの?
のんびりやだな

717:七男 ◆RaOe7CTARw
10/07/18 21:23:30 0
まだとってません。

来月の頭くらいでも
十分取れそうなので・・・。


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