10/03/24 01:46:38 O
>>219と>>525の矛盾点
そして、>>531-532のやり取り・・・嘘つきめ
600:夢見る名無しさん
10/03/24 04:10:16 0
更新待ってましたー
慌てずゆっくりと最後まで頑張ってください。
601:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 13:42:48 0
お待たせしました。
>>599
一見、確かに矛盾しているかのように思えます。
このスレでは過去を振り返りながら書き留めています。
昔から今にかけて古い順に思い出しています。
創作だと思ってこの話を見ている方も、実話だと思って見ている方もいると思います。
しかしこれらが事実かどうか証明しろと言われても方法が見つかりません。
ですので、どうとらえるかは見ていただいてる方の自由です。
>>219と>>525についてですが
>>219は柴咲さんのほうから舌を絡ませてきました。ただそれだけです。
>>525では初めて自分から舌を絡ませようとしています。その点で「過去に経験がない」と言っています。
言い訳にしか見えないかもしれませんが、これで納得いただけたでしょうか。
では投下再開します
602:夢見る名無しさん
10/03/24 13:59:49 O
自分も闇雲に柴咲の口の中を弄繰り回す。
自分も闇雲に柴咲の口の中を弄繰り回す。
自分も闇雲に柴咲の口の中を弄繰り回す。
自分も闇雲に柴咲の口の中を弄繰り回す。
自分も闇雲に柴咲の口の中を弄繰り回す。
603:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 17:41:47 0
>>602「闇雲に」「自分から」
改めて投下再開します。
604:夢見る名無しさん
10/03/24 17:47:17 O
つまんね
605:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 17:48:53 0
宮崎・・・?
遠目で見た女性は、確かに高校のブレザーを着た、あの頃と変わらない宮崎だった。
少し慎重が伸びただろうか?
実に1年ぶりの再会だった。
俺は放心状態で宮崎に近づいた。
ケインは俺の隣で無言で宮崎に一礼した。
俺もつられて宮崎に礼をする。
宮崎は本当に変わってなかった。
そこまで近くない距離にいるはずの俺にも
あの宮崎の良い匂いが漂ってきた。
きっと隣にいるケインも感じ取っていただろう。
「お忙しい中、足を運んでいただいてありがとうございます。」
宮崎はそう言った。
いやに丁寧で、少し距離を感じた。
606:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 17:52:12 0
「いえいえ。 ほら、いくぞ七男」
そう言ってケインは歩き出してしまった。
俺は動けなかった。
伝えなきゃいけないことがある、そう思っていた。
でもいまさら何を伝える?「俺達、付き合ってるんだよな?」とでも聞くのか?
いつもの可愛い笑顔は見れなかった。
今日の宮崎は涙を必死にこらえていた。
俺がその場でもじもじしていると
宮崎が口を開けた。
「これが終わったら東口の横のトイレの前に来て。」
「えっ?」
聞こえていた。宮崎の声は聞こえていたが
もっと長く話したいが為に、俺はあえて聞き返した。
607:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 17:56:28 0
「いいから早く行って。」
宮崎は俺に小声でそう言った。
あとでゆっくり話せるんだし、と自分を慰め
俺は葬儀場に入り、ケインの横に腰掛けた。
「遅かったな。何してたんだ」
答えはわかってるくせに。こいつは俺に聞いてくる。
「黙らないと木魚で撲殺するぞ。」
俺はこう答えてやった。
先ほど、宮崎と交わしたわずかな言葉。少しの会話。
その間に渡せばよかった。どうなろうと、もうしらん。とにかく渡せばよかった。
俺は渡せなかった「ソレ」をポケットの中でぎゅっと握り締めた。
608:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:01:58 0
親戚の葬儀だと眠くなる。
母親の父親の弟の葬式では半分寝ていた。
しかし今日は眠気が全くこなかった。
一番前の列の右端に、宮崎と宮崎の父親らしき人物が座っている。
宮崎は後姿も美しかった。
一通り終わると、場所を変えて出席者達で食事をすることになっていた。
もちろん俺もケインも出席した。まわりは知らない人ばかりで俺達は少し緊張した。
いただきます、の前に
喪主を務めた宮崎の父から、出席者に対してお礼の言葉があった。
しかし、涙でほとんどまともに喋れていなかった。
隣に立っていた宮崎もただ下を向いていた。
突然、宮崎の父親が
「本日は、あおいの親友でもあります、七尾君とケイン君にも来ていただいて・・・」
と言い、大勢の人達から注目を浴びるはめになってしまった。
609:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:06:09 0
「良いお友達に恵まれたあおいは幸せです。そしてその母はもっと幸せだろうと思います。」
宮崎の父親はここまで言って黙り込んでしまった。
ハンカチを目元に当て、うつむいていた。
場内はしばらく静かになった。
父親が、宮崎を軽く小突いた。
宮崎はハッとしたように顔を上げた。
「本日は様々な料理を用意しました。どれも美味しいものばかりです。
えーっと・・・お寿司もあります・・・。あの、どうぞごゆっくりお召し上がり下さい。」
宮崎は一生懸命覚えたセリフを思い出しながら喋っているような、たどたどしい喋り方で
出席者達に料理を食べることを促した。
父親はまだハンカチで目元を押さえながら宮崎の肩と叩いて何かを伝えたようだった。
俺は泣いていた。ケインも泣きそうになっていた。
みんなはゆっくりとご飯を食べ始めた。
まわりのおじさんやおばさんが執拗に料理を勧めてくる。
俺達にとっては少し鬱陶しかった。
610:夢見る名無しさん
10/03/24 18:09:42 O
レイプしといてこれはないわwww
611:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:10:19 0
しばらく食事を続けていると、宮崎の父親がこちらに向かってきた。
何事かと思ったら、用があったのは俺ではなく俺の右隣に座っているおばさんにだった。
おばさんは宮崎の父親と少しの間話して
「じゃあ、ボクちゃん、失礼しますね。」
と言って席を移動してしまった。
左にはケイン。
右には誰もいない。
少し開放された気分になり
お腹も減っていたのでさらに食べ物を胃袋に放り込んでいると
「しっつれーい」と言いながら誰かが俺の右に座ってきた。
声からして明らかに女性だ。
こんな雰囲気の中、よくそんなハイテンションでいられるな。
こいつはチャラチャラしたギャルみたいなやつだ、絶対そうだ、と思いつつその声の主を見てみると
なんと隣に座ってきたのは宮崎だった。
612:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:14:19 0
「お久しぶり」
宮崎はそう言った。
「なんでそんな明るいんだよ。」
少し強めに俺は言い返した。
音信不通になったことに対して少し怒りもあった。
宮崎はうつむいてしまった。
動いたかと思えば、コップに注いだ俺のオレンジジュースをごくごくと一気飲みし
ふぅーと大きく息をして、魂の抜けたような顔をしながらどこかを見つめ続けていた。
「実感、無いんだよ。」
「え?」
「お母さんじゃ死んじゃったって。あんなに元気だったのに。
毎日笑顔でご飯作ってたのに。朝になるといつも起こしてくれてたのに・・・。」
「・・・。」
613:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:18:59 0
だんだん声がかすれてきている。宮崎の話は、とても聞いていられなかった。
聞いてあげたかったが、こっちまで涙が出てしまう。止まらないんだ。
「お母さん・・・」
「・・・。」
「お母さん、まだあの手袋・・・作りかけだったのに・・・」
「手袋・・・?」
「冬になっても寒くないように、って・・・うちのために毎晩少しずつ編んでたのに・・・」
「・・・。」
「まだ作りかけなのに!」
少し宮崎の声が大きくなった。
「『これが編み終わったら、あおいにも編み物教えてあげるね』って・・・言ってくれたのに・・・」
そこまで言って宮崎は黙って泣き出してしまった。
背中が震えている。
614:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:22:22 0
向かいにいるおばさんが宮崎のことを心配して話しかけてる。
やめてくれ、なにもできないでいる俺がかっこ悪く見えるじゃないか。
いや、実際本当にかっこ悪い。俺は頼りない。
高校生になってもヘタレ度合いは変わってなかった。
ケインが俺に耳打ちをした。
「出口の横の休憩所にでも連れてけよ、ノロマ野郎。」
俺はケインの鼻にグリンピースを3つほど突っ込んだ後、
宮崎を店の出口の脇の休憩所まで誘導した。
店を出るとき、なぜか宮崎の父親が俺の方を向きながら敬礼してきた。
べつにどこかに特攻してくるわけじゃないんですよ、お父さん。
休憩所には誰もいなかった。
俺は宮崎と二人きりになった。
「ありがとう。ごめんね。」
「どうして謝るの?」
「卒業式の日、すっごい酷いことしちゃった。」
615:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:26:14 0
俺がどのタイミングで切り出そうかと迷っていた話を宮崎のほうから振ってくれたので
俺はひとまず安心した。
「卒業式の後、七男くんが他の子にボタンあげちゃったの知って・・・
もう何も信じられなくなって・・・泣いちゃって・・・恥ずかしくって・・・逃げちゃって・・・
少し時間をあけてから七男君と連絡とろうと思ったけど・・・気まずくなっちゃって・・・」
「俺はまだ・・・」
「うちはまだ、七男君のこと好きだよ」
また宮崎に先を越されてしまった。
俺だって同じことを言おうとしてたんだよ、宮崎。
俺はポケットからある物を取り出した。
今、俺達二人がこうしてココにいられるのも
コイツのおかげかもしれない。
「はい、これ。あげる。受け取りたくない、とは言わせないよ。」
そう言って俺は宮崎に
中学校の制服の第2ボタンを渡した。
616:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:30:34 0
宮崎は黙って受け取った。
するとまた泣き出してしまった。
「ずるいよ・・・七男くん・・・」
宮崎がブレザーの胸ポケットから生徒手帳らしきものを取り出した。
表紙をめくり、俺のほうに差し出した。
生徒手帳の内側の透明のカバーのところに
俺と宮崎の2ショット写真がはさまっていた。
まわりの背景を全て切り取って
俺達二人だけを抜粋した
まさに「二人だけの写真」だった。
「宝物・・・」
「ん?」
「宝物、うちがそう言ったの覚えてる?」
俺はハッキリと覚えていた。宮崎が俺と写真を撮った後
「はい!これ宝物ーっ!」と言ったことも
そのときの宮崎の最高の笑顔も
写真が上手に撮れたかどうか確認する時の不安そうな宮崎の顔も
全部覚えてた。
617:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:32:54 0
「覚えてるよ。」
「ふふっ・・・嬉しい。」
「なぁ、あおい」
「何?」
「俺達、付き合ってるんだよな?」
「別れるつもりなんて、これっぽっちもございません。」
この後のニコッという宮崎の笑顔に負けて
俺は宮崎を力強く抱き寄せた。
しばらく抱き合ったあと、俺達は新しい連絡先を交換して休憩所を出た。
そこでまた良い事があった。俺らは1つ約束をした。
これからは更に幸せな人生が送れそうだ。
それにしても宮崎、だいぶ身長伸びたね。
618:七男 ◆RaOe7CTARw
10/03/24 18:41:17 0
今日の更新分はここまでです。
いつも見ていただいてる方、本当にありがとうございます。
ヘタレ男の拙い過去話ですので受け流す感じで見ていただいて結構です。
読みづらい文章、中身の無い内容ですので読んでいて不快に感じる方も多いと思います。
文章中の欠陥を指摘していただくことはありがたいことです。
しかし、ヘタレはメンタル面が弱いので
罵詈雑言を浴びせる前にこれを読むのをやめていただいたり
何か別の方法をとっていただけるとありがたいです。
それではまた次回。
619:夢見る名無しさん
10/03/24 21:33:01 O
更新乙!
次も楽しみだ!
620:夢見る名無しさん
10/03/24 22:35:45 0
更新乙
七男くんの文章すきです
621:夢見る名無しさん
10/03/26 20:22:57 O
更新ありがとう!
また待ってるネ☆
622:夢見る名無しさん
10/03/28 01:35:12 0
更新乙
楽しみにしてるぜよ
このあいさつ、まんねりってきたなwww
623:夢見る名無しさん
10/03/31 19:13:08 0
更新乙
俺もこんな風な「充実した毎日を・・・!」
なんて夢見てたら、あっという間に終わった学生生活
も う し に た い
624:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/09 00:42:18 0
ta
625:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/09 00:43:09 0
お久しぶりです。
またかなり間が空いてしまいました。
次は来週末までには投下したいと思います。
次回で最終回となります。
ここまでお付き合いいただいてありがとうございます。
もうすぐで終わりますので、あともう少しだけお付き合いください。
626:夢見る名無しさん
10/04/11 19:30:43 0
age
がんがれ!
627:夢見る名無しさん
10/04/11 23:58:44 0
頑張って下さいな
628:夢見る名無しさん
10/04/12 01:02:25 O
≫1から2日かけて
ROMってた(・∀・)
七男頑張れ!!
629:夢見る名無しさん
10/04/18 14:49:22 O
wktk
630:夢見る名無しさん
10/04/21 00:54:40 0
age
631:夢見る名無しさん
10/04/23 14:18:16 O
この週末に賭ける
632:夢見る名無しさん
10/04/24 11:39:36 P
構ってチャソだからねぇ
もっと沢山催促レスがつかないとでてこないかも
633:夢見る名無しさん
10/04/24 20:51:48 O
もう2週間になる(´Д`)
634:夢見る名無しさん
10/04/25 01:49:11 O
また規制じゃないか?
635:夢見る名無しさん
10/04/26 03:36:42 O
えwwwまだなのwww
規制だよね?
636:夢見る名無しさん
10/04/26 08:44:57 i
じゃ、、、、、無駄にあげておこうか
637:夢見る名無しさん
10/04/26 22:56:33 0
関係ないけど末尾iってなんだっけ
638:夢見る名無しさん
10/04/26 23:02:39 i
i-modeだよっ
639:夢見る名無しさん
10/04/26 23:05:20 0
thx!
640:夢見る名無しさん
10/04/26 23:08:30 i
www
641:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 02:21:35 0
毎度ご迷惑ばかりおかけしています。
投下再開します。
642:夢見る名無しさん
10/04/28 02:24:15 0
キタ━━(゚∀゚)━━!!!!!
643:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 02:37:43 0
俺は悩んでいた。
進路のこともあるが
1週間後に迫る文化祭に
俺なんかが有志としてステージにあがっていいものなのか、と。
教師達からは許しをいただいたが
試験を目の前にして自分の趣味に没頭している男子高校生は
そう多くは無いだろう。
高校3年生の秋。
進路担当の教師に
「お前が教師になるなんて無理だ」
と言われ続けたがなんとか自分の意思を押し通して国公立大学に進学することを決めた。
中学生の時から夢だった。
中学校の数学教師になることが。
もっとも大学にはいれるかどうかも分からず
その後の採用試験にも合格できるかどうかわからないというのに
まぁ、望みは高く、だ。
644:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 02:41:27 0
文化祭前日。
学校の飾り付けを後輩達に任せて
俺達有志メンバーは駅のすぐ近くのマックで夕飯を済ませていた。
ステージで何をするかというと
それはもちろんバンドメンバーで演奏をするわけだ。
メンバーの中にはケインもいる。
俺ら二人を含め合計5人の文句なしの自慢のメンバーだ。
俺以外の4人も同じ気持ちのようだ。
それぞれの将来があるのにも関わらず、こんなのんびりしていていいのかと。
みんなそう思っていた。
モチベーションだけは最悪と言えるだろう。
メンバーの一人が口を開く。
「今しかできないことに全力を尽くそうぜ」
645:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 02:45:48 0
お決まりの慰め文句なのだが
当時の俺達には効果絶大だった。
俺達はただ誰かに勇気付けてもらいたかっただけなんだなーと思う。
誰かがあの言葉を言い出すのを待ってたんだろう。
それからみんなでなぜか握手をし
それぞれの帰路についた。
文化祭当日。
例のごとく、夜は眠れなかった。
朝は早めに学校に集まる。
音楽室を占領し、音を出して最終確認する。
個人的には、舞台にあがる直前のこのソワソワが好きなのだが
他のメンバーはそれどころではないらしい。
手が震え、まともに指が動かないと嘆いている。
646:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 02:51:49 0
しかし練習の時間も限られており
メンバーはそれぞれクラスの出し物の準備に行った。
俺も別の階に移動し、お化け屋敷の準備に取り掛かった。
黒いビニールシートを指定された場所に貼り付けるという
「このぐらい前日にやっておけ」と言いたくなるような
なんとも面倒くさい作業を続けていると、俺の携帯が鳴った。
ほぼ完成状態の、広い教室を利用したお化け屋敷のど真ん中で
いきなり着信音が鳴られると非常にビビる。
俺の携帯の着信音を聞いた誰かが
遠くのほうで「キャッ」と声をあげ、驚いてたことを笑いながら
俺は電話に出た。
647:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 02:55:02 0
「もしもし。七男です」
「もしもしー。久しぶり。」
画面に名前が表示されていたので
電話の相手が誰なのかわかっていたが
俺はあえて聞いた。ちょっとしたいじわるをしてやりたかった。
「どちら様ですか?」
そんな俺の問いに宮崎は
「ご存知、ないのですかっ!?」と答えた。
このノリの良さが好きなんだよなぁ。
電話越しに少し笑いながら、用件を聞いてみると
なんでも今日の文化祭に来てくれるとのことらしい。
「でも、今日って何か用事があったんじゃなかったっけ?」
「なくなったの。だから今日は一日中そっちにいるつもりなんだけど・・・。
文化祭って何時から?」
「10時だよ。」
「わかった。じゃあそのくらいには着くようにするね!校門で待っててねー」
648:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 02:58:48 0
そう言って宮崎は電話を切った。
時計を見るとちょうど8時になったところだ。
もうすぐ作業も終わりそうだし、残った時間は機材運びに費やして
ちょうどいいくらいの時間になるだろうと
一人計画を練っていた。
やるべきことを済ませ、喫茶コーナーで休憩していると
ケインがあわててこちらにやってきた。
「宮崎が」
ケインがそこまで言った段階で、ケインの言いたいことがわかった。
宮崎が来たんだな。
「校門にいるの?」
俺がそう聞くとケインは首を縦に振った。
本当に来てくれたんだな、宮崎。
ふと時計を見てみると時刻は9時30分だった。
・・・少し早すぎやしないか?
まぁいいか。
649:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:00:46 0
校門に着くと、そこには私服姿の宮崎が立っていた。
俺の好みに合わせてくれたのかどうかは定かではないが、ドストライクの服装だ。
周囲の生徒が宮崎のほうをチラチラ見てなにやら話している。
察するに、可愛いだのなんだのと話しているのだろう。
宮崎は可愛い。これもただの恋人バカかもしれないが。
「一人で来たの?」
「うん。友達と来ようと思ったけど」
「俺わりと忙しいし、ずっと一緒にいてあげられるわけじゃないよ?」
「覚悟してますよー」
本当によく出来た子だ。
俺がいない間、何をしているのかと問うと
宮崎は出店回ったりして時間を潰すという。
そうかそうか、と相槌を打ったがよく考えてみると一つ引っかかるものがある。
他校の生徒などに宮崎が絡まれてしまわないか心配だ。
こうなったら宮崎を一人にできるわけがない。
650:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:03:21 0
その旨を説明した上で宮崎には俺の担当する場所の手伝いをしてもらうことにした。
同じところで二人で働くだなんて
まるで夫婦みたいでステキなわけで
周囲の俺の友人達に少し冷やかされつつも、宮崎はすいすいと仕事をこなしていく。
と、いっても担当場所はお化け屋敷なのだが。
午後一番の演奏の準備に取り掛かるまで、あと2時間ある。
その間、俺は宮崎と一緒にお化け屋敷の受付をするわけだが
「いらっしゃいませ」
そう言う宮崎に
「結婚式場はここですか?」
とアホなことを抜かしては、俺に引っぱたかれるケインと愉快な仲間達。
悪い気はしないが、これには少々宮崎も苦笑い。
「あたし達ほんとに結婚しちゃったらどうする?」
651:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:05:48 0
その旨を説明した上で宮崎には俺の担当する場所の手伝いをしてもらうことにした。
同じところで二人で働くだなんて
まるで夫婦みたいでステキなわけで
周囲の俺の友人達に少し冷やかされつつも、宮崎はすいすいと仕事をこなしていく。
と、いっても担当場所はお化け屋敷なのだが。
午後一番の演奏の準備に取り掛かるまで、あと2時間ある。
その間、俺は宮崎と一緒にお化け屋敷の受付をするわけだが
「いらっしゃいませ」
そう言う宮崎に
「結婚式場はここですか?」
とアホなことを抜かしては、俺に引っぱたかれるケインと愉快な仲間達。
悪い気はしないが、これには少々宮崎も苦笑い。
「あたし達ほんとに結婚しちゃったらどうする?」
652:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:08:38 0
>>651誤爆です。
何を思って宮崎はこんなことを言ったのかわからないが
俺は結婚したいと思ってた。シアワセな家庭を築いてのんびり過ごしたかった。
だけど言えなかった。
「どうしよっかね。ほら、お客さん来てるから。仕事仕事」
そんなことを言って宮崎の気を逸らそうとする俺。
当の宮崎はほっぺたをふくらませて少し怒ってしまった。
相変わらず俺はヘタレなのだ。
二人並んで受付けをしているのだが
3秒に1度ほどの割合で
隣にいる宮崎が俺の足を思いっきり踏んづけてくる。
やめてください、と言うと
「あたしは本気だったのに」と宮崎。
ここで改めて宮崎からの愛を感じることができた寂しがり屋な俺は
あとで宮崎と二人きりで話す時間を作るから、今は我慢をしなさい、と言うと
宮崎は大人しくなった。
なんとか餌付けに成功した。
653:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:11:24 0
そんなこんなでのんびり仕事をしていると
俺達の次の担当の人達が到着。
交代して、俺達はやっと開放された。
案外2時間は早いものだ。
するとまたあの厄介者がやってきた。ケインだ。
「七男、そろそろ準備始めるぞ」
「今行こうとしたところだよ・・・」
「と、言おうと思ったが せっかくなら一回二人でお化け屋敷で遊んでから来い」
「え?」
「じゃあな。先に行ってるぜ。チビるなよ!」
そんなことをデカい声で叫びながらケインは颯爽と去って行った。
ふむ・・・たまにはアイツも使えるじゃないか。
宮崎を見ると首を横に物凄い勢いで振っている。
あぁ、怖いのダメなんだっけ。
しかしそんなことはお構いなしで宮崎をお化け屋敷に連れ込む。
654:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:14:30 0
受付けを済ませ、いざ潜入。
一歩入ったところで宮崎が俺を強く引っ張る。
「七男ー・・・」
「何?」
「ここの担当なんだよね・・・?」
あぁ、だいたい言いたいことわかったぞ、宮崎。
「あぁ。それがどうしたの?」
「なら、いつお化けが出てくるかとか全部わかるよね・・・?」
まぁお察しの通り全部把握してますが
「知らないな。俺はただ飾り付けただけだし。」
「うそー・・・」
そう言って半べそかいてる宮崎。どこかで女生徒の悲鳴が聞こえる。
それに驚いて俺の腕にしがみついてきた。
「ずっとそうしてれば怖くないよ。後ろつっかえちゃうし、進もう。」
655:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:16:35 0
宮崎の体が震えてる。マジで怖がってるんだな。
少し進むと最初のビックリポイントに差し掛かった。
ここでは後輩がお化け役を担当している。
しっかり宮崎を驚かせてくれよ。
「わぁ!!」
男の声だ。男が白い何かを身にまとって襲い掛かってきた。
といっても襲い掛かるフリだけで、直前で足を止めるのだが
「きゃぁぁぁぁぁぁああああああああ!」
宮崎があまりにもデカい悲鳴をあげてお化け屋敷のさらに奥に逃げていくもんだから
逆にこちらまで驚いてしまった。
暗いお化け屋敷を手探りで、ものすごい勢いで奥に進んで行く宮崎。
途中で空き缶が落ちてくるトラップやマネキンの生首が置いてあるポイントがあっても
宮崎は驚いたり止まったりすることもなく
ただ「いやぁ・・・いやだ・・・」と言いながらどんどん走っていく。
中腰になっているが、腰が抜けかけているのだろうか。
のんびり歩けば5分は楽しめるお化け屋敷を
俺達は1分ほどで出口まで来てしまったわけで。
出口の扉らしきものを見つけたとき
宮崎はその場にへたり込んでしまった。
656:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:32:07 0
近づいてみると宮崎は泣いていた。
立たせようとしてもなかなか立たない。
まるで鉛のように重い。
「ほら行くよ」
そう言っても宮崎はただ首を横に振るばかりだった。
仕方がないので俺は宮崎の横にしゃがみ
宮崎にキスをした。
いくらお手製のお化け屋敷をはいえ
こんなところでキスをするのは今回が最初で最後だろう。
キスを終えると、宮崎は俺の体につかまりながらのろのろと立ちあがった。
宮崎は俺を見上げながらニッコリ笑った。
これはキスをせがんでいる合図なのだが俺は宮崎の腕を引っ張ってお化け屋敷を出た。
「どうしてもう一回キスしてくれなかったの?」
宮崎、お前は気付いてなかったのか。
俺達のすぐ後ろに、後輩達が口をポカンと開けて立っていたのを。
657:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:34:22 0
俺は宮崎に一旦別れを告げ、体育館脇の倉庫に向かった。
そこには最終調整をしているバンドメンバーがいた。
「やっときたかー」
ケインがそう言いながらこちらに向かってくる。
「七男、楽しもうな。」
わかった。それはそうとケイン、顔が近い。
しかしケインが本番前に良いことを言いやがるので少し泣きそうになってしまった。
中学とは違い、高校の文化祭では時間がかなりもらえた。
俺達に与えられた時間は15分間。
はじめの3分はMCによる自己紹介なわけだが
そのMCがなんと俺。まぁ立候補したのだけれど。
演奏する曲は俺達の好きな曲のメドレー。
当時流行った曲を適当に繋ぎ合わせただけの高校生らしいメドレーだった。
658:七男 ◆RaOe7CTARw
10/04/28 03:36:27 0
生徒会の人たちに誘導され、幕の閉まったステージのこちらがわで俺達が準備をする。
ざわついている開場。
隙間から少し覗いてみると、数え切れないほどのお客さんがいた。
震えが止まらない。
ドラムのセッティングを早急に終え、俺はステージ横から宮崎を探した。
薄ピンクのパーカーを着ている女子を探す。
しかし客席は暗く、なかなか見つからない。
虱潰しに探していこうと思っていた矢先
客席の前から2番目の列の席に宮崎を発見した。
かなり遅く体育館に入ってきたのに
よくそんな前列が空いていたな、と驚いた。
宮崎がなにやらかばんをごそごそ漁っている。
こんなときにケータイとりだしてメールでもする気か?と思ったら
宮崎はバッグからビデオカメラを取り出した。
なんて用意の良い子なんだ。
659:夢見る名無しさん
10/04/28 05:26:32 0
あ、あれっ?
盛り上がってまた寸止めか・・・orz
660:夢見る名無しさん
10/04/29 00:40:41 0
乙だが豚切りで残念
661:夢見る名無しさん
10/04/29 19:41:16 O
乙
続き気になる
662:夢見る名無しさん
10/05/04 23:47:26 0
規制食らってました
再開します
663:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/04 23:48:28 0
「では準備をしてくださーい」
生徒会長の声が聞こえる。
俺達は立ち位置につき、呼吸を整えた。
ケインが奇妙な踊りをしている。目障りだ。
幕が開いた。
壮大な拍手。
宮崎の握るビデオカメラが、「録画中」を表す小さい赤い光を放つ。
俺は思わずピースをした。
そしたら何か勘違いした誰かが
「七男ーーー!」と叫んだ。
野郎にモテても嬉しくないが、こういってもらえるのは何よりも嬉しいことだ。
自然と笑みがこぼれた。
ドラムの横にあるマイクスタンドを傾け、マイクを口元に持ってくる。
俺の話に聞き入るお客さんたち。
話の内容は、バンドメンバーとの思い出話や結成秘話など。
あまりの清聴っぷりに俺は感動した。
俺の言葉をみんなが聞いてくれている。
先生も、生徒も 親も地域の方も。
664:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/04 23:59:56 0
俺が始めに話す事の内容は一切バンドメンバーには話してなかった。
バンドメンバーにも俺の話をじっくり聞いて欲しかったからだ。
長い話のシメとして
俺はバンドメンバー全員への感謝の気持ちを述べた。
「俺はお前達とバンドを組んで、こうして舞台に上がれていることがなにより幸せです。」
もっと言葉は続くのだが俺はそこで詰まってしまった。
一旦マイクから遠ざかる。
話す側の俺が泣いてどうするんだ。そう思うとさらに涙がこみ上げてきた。
客席から「頑張れー!」と声がかかる。
見かねたケインがマイクを奪い、話し始める。
「大変お見苦しいものを見せてしまいました。」
ここで場内が笑いに満ちる。
「ただし俺達バンドメンバーも全員、七男くんと同じ気持ちです。
この舞台に立てていること、これから演奏ができることが
この高校生活の中で一番幸せです。」
ケインに、いいところをもってかれちまったよ・・・。
665:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:06:28 0
始まった演奏は、これから10分ほど続くのに
俺にとってはものすごく早く流れていくように感じて
きっとそれは腕や足にも伝わり、曲自体がかなり走っていたと思う。
自分のソロが少しあったりしたが
そこはしっかり一音一音をかみ締め、笑顔でドラムを叩いた。
その笑顔は作ったものではなく、自然とこぼれてしまった笑顔だった。
幕が閉まって、ようやく実感した。
俺達の演奏は、たった今、終わったのだと。
メンバーは全員泣いていた。俺ももらい泣きした。
「素晴らしかったよ」
生徒会長にそう言われた。
ぶさいくな泣き顔を晒しながら、俺は会長に何度も頭を下げた。
余韻に浸っているヒマは無い。
後ろには次のダンス部の発表が待っている。
俺達は急いで楽器を体育館脇の倉庫に移動させた。
片付けも一段落し、体育館の後ろのほうからダンス部の発表を見ていると
宮崎が駆け寄ってきた。
666:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:14:13 0
「すごかった」
宮崎はそれだけ言って抱きついてきた。
体育館が暗くて、本当によかったよ。
こうして高校生活最後のお楽しみ会である
「文化祭」は終わった。
正確には文化祭は7時までやっていたし
その後も色々あったけど
あまり宮崎が関わってこなかったので割愛とする。
片づけをしている間、みやざきは近くのマックで時間を潰し
俺が学校から出てくるのを待っていてくれた。
宮崎の尽くしっぷりにはいつも驚かされるばかりであった。
あまりにも従順なものだから、裏があるのでは?と疑ったことも一時期あった。
学校を出る少し前に宮崎にメールをいれた。
俺が学校を出る頃には
宮崎は校門に立っていた。
667:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:19:58 0
「待った?」
「ううん。」
「じゃあ行こうか。」
自転車の後ろに宮崎を乗っける。
この高校から俺の家までは20分以上かかるのだが
宮崎の家までは近い。
高2の春に宮崎と再会してから
俺はほぼ毎日、部活で疲れた体を宮崎の家で癒していた。
宮崎の父は夜遅くまで帰ってこないので
宮崎家に9時や10時頃まで居座っていた、なんてことはよくあることだった。
こうして今日も宮崎の家にお邪魔する。
「今日は晩御飯ご馳走するね」
宮崎は機嫌が良いと晩御飯をおごってくれるのだ。
668:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:24:27 0
「いつもありがとね。」
「どういたしまして。カレーでいい?」
今日の晩飯は宮崎の十八番料理であるカレーだ。
エプロンをつけて腕まくりをし、鼻歌を歌いながら上機嫌で料理をする。
その後ろからこっそり近寄って「わっ!」と宮崎を驚かすのに最近ハマっている。
さすがに包丁を扱っているときは危ないのでそれ以外のときに実行をする。
今日もちょっと脅かせてみた。
宮崎は「きゃっ」と小さい悲鳴をあげて「もう!今日はさんざん驚かされたんだから、少し休ませてよ!」と頬を膨らませた。
しばらくするとカレーができあがった。
宮崎のカレーと俺のカレー。2人分をつくったようだが、俺のカレーは宮崎のカレーの量の倍近くある。
「たくさん食べてね。いただきまーす」
宮崎は美味しそうにカレーを食べている。
その姿を見ているだけでなんだか和んだ。
やはり美味しかった。宮崎の作ったカレーだからだろうか。そう感じるだけなのか?
669:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:30:33 0
腹が膨れると眠くなる。
たまに宮崎の家で一眠りすることもあったが今日はやることがあった。
今日の文化祭での演奏のビデオ鑑賞だ。
やり方がわからない、と言うので俺がビデオをテレビにつなぎ、セットをする。
再生を押すと同時に、ステージの幕が映し出された。
まだ幕は閉まっている。演奏が始まる前だ。
しかしこの映像、想像以上にブレている。
俺が
「ブレてるね。ものすごくブレてるね」と言うと
宮崎は「うるさい!」と言って俺の方におでこを押し付けてきた。
耳が赤くなっている。
幕が開き、拍手と歓声が沸く。
俺の語りが始まる。
恥ずかしいから飛ばしたかったが、宮崎はそれを許さなかった。
ビデオの中の俺が言葉につまっている。
「ばっかじゃないの。」
宮崎の声がした。その子は俺の隣にいる宮崎のものではない。
ビデオを構えている宮崎が、ステージで泣いている俺に向かって放ったのだ。
「おいおい。ばかじゃねぇの、とはちょっと酷くないか?」
「そう?」
宮崎はとぼける。
670:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:36:39 0
演奏が始まる。
あぁ、やっぱり少しリズムが早くなっている。
ベースの子が俺のほうをちらちら見ているが俺は気付いていない。
他のみんなはリズムが走っていることに気付いているようだ。
「ちょっとテンポ速くない?」
宮崎が気付くくらいだ。よっぽどだろう。
俺のソロもカッコよく決まっていた。満足である。
他のメンバーの見せ場もしっかりできていた。悔いはない。
ステージの幕が閉まると同時にビデオの再生も終了した。
「あーー。酔ったー・・・」
宮崎は自分の撮った映像で酔ってしまったようだ。
俺もあと少し長く見てれば危なかったかもしれない。それほどブレていたのだ。
俺は「ちょっと眠くなってきた。」と言った。
「寄りかかっていいよ。」
一緒にソファーに座る宮崎に
俺は遠慮なく寄りかかった。
671:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:41:50 0
俺は本当に眠かった。
宮崎が色々話してくるが
俺は適当に相槌を打っているだけだった。
宮崎の言っていることもほとんど耳に入ってなかった。
「昨日・・・が・・・ったよね?」
「うん」
「七男は・・・って・・・思う?」
「うん」
「やっぱ・・・の・・・か。」
「そうだね・・・」
「聞いてる?」
「ちゃんと起きてるから・・・大丈夫だよ・・・」
「寝てるじゃん」
そんな感じの会話だったと思う。
そして俺が最後に聞いた言葉。
「七男。あたし・・・」
よく聞こえなかった。聞こえなかったので
「わかった。」
俺はそう答えた。
そして深い眠りについた。
672:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:48:12 0
「朝だぞー。起きろ!」
聞きなれない男声に目を覚まし、起き上がるとそこは宮崎の部屋だった。
いい匂いのする枕にふわふわの布団。ピンク色だ。
ドアのところに宮崎の父親が立っている。
「よく寝たなー。あおいは下で朝飯作ってるから、食べにいくといい。俺はちょっと出かけてくる。」
そう言って父親は1階に降りていった。
制服のまま俺は寝てた。
しかしどうやって1階から2階のこの部屋まで来たのだろう。
1階に行くと宮崎が朝飯をテーブルに並べていた。
「おはよう、七男」
朝っぱらから眩しい笑顔だ。
どうやら父親は先に朝ごはんを済ませたようだ。
俺達に別れを告げ、玄関から出て行く父親。
こうしてまた俺達はこの家に2人きりになった。
文化祭の翌日、日曜日の朝のことだった。
673:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 00:52:00 0
朝ご飯を済ませたあと、俺は風呂に入りたいといった。
「湯船沸かしてないよ・・・?」
「大丈夫。シャワーだけ浴びさせて。」
俺は脱衣所で素早く制服を脱ぎ、シャワーを浴びた。
気持ちよかった。
風呂からあがり、リビングに戻ると
デーブルの上にキレイに包装された箱が置いてあった。
宮崎はソファーに座ってテレビを見ている。
「この箱、どうしたの?」
「開けてみれば?」
俺の問いに宮崎は素っ気無く答えた。
紐を解き、慎重に包装紙をめくっていく。
現れた真っ白な箱を開けると、中には同じく真っ白の手袋が入っていた。
「あおい、この手袋・・・」
「そうだよ。残りはうちが編んだの。去年の冬に、って思ったんだけど間に合わなくて・・・」
674:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:02:48 0
宮崎の母親の葬儀の時
宮崎から聞いた「母親の作りかけの手袋」の話。
俺はハッキリと覚えてる。
「今年の冬はこれをつけれるじゃん。よかったね、あおい」
「うちじゃない。」
「え?」
「それは七男へのプレゼント」
とんでもないサプライズだ
「でもこれはあおいの母さんがあおいのために・・・」
「だからこそ七男につけてほしいの。」
「・・・。」
「だって、昨日うちのプロポーズ、受けてくれたでしょ?」
「・・・プロポーズ?」
675:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:11:27 0
俺はいつ宮崎にプロポーズをされた?
学校で?お化け屋敷か?下校中か?
・・・それとも寝ぼけている時か?
「え・・・?結婚してくれるんだよね・・・?」
宮崎が戸惑っている。
俺は結婚する気はあるが、まだ高校3年生だ。プロポーズって・・・
宮崎は結婚できても俺はまだできない。それに俺は大学にも行きたい。
「ちょっと整理させてくれ。あおいはいつ、俺に逆プロポーズしたんだ?」
「あれは嘘だったの・・・?騙してたの・・・?」
「いや、そういうわけじゃなくて・・・」
宮崎がソファーにうずくまる。泣いているようだ。
「ごめん・・・ほとんど寝てたから記憶に無いんだ・・・」
宮崎の反応はない。
676:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:38:20 0
「もしよければ・・・もう一回、改めて言ってくれないか・・・?」
相変わらず無反応だ。まったく、仕方のないやつだ。
「なら俺が言う。結婚してくれ。」
宮崎がゆっくり立ち上がる。
のろのろとこっちに寄ってきて俺に抱きついてきた。
というより、すがり付いてきた。
「うちがみじめじゃん・・・頑張って言ったのに・・・彼氏には聞こえてなくて・・・
今度は彼氏に同じことを言われちゃって・・・」
「今はそんなこと考えるな」
「ごめんね・・・ほんっとに頼りない女でさ・・・」
「それ以上言うなって」
「七男・・・返事はもちろん OKだよ。」
「あぁ。ありがとう。」
俺達はしばらく抱き合っていた。
677:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:45:23 0
抱き合っている間、二人とも泣いていた。
宮崎は抑えることなく声をあげて泣いていた。
泣き虫な二人で
お互いに自分が弱くて頼りないと感じている。
でもそんな二人でもこんなに長く付き合っていられてる。
むしろ、こんな二人だからなのだろうか。
こんな出来事があった日の夜、今日のことを宮崎の父親に話した。
お父さんは俺達のことをよく理解してくれていて
厳しいことをよく言ったり協力してくれたりしていた。
俺達の話を聞いたあと、お父さんは俺の将来について聞いてきた。
将来就きたい職の話や、高校卒業後の自分の進もうとしている進路について詳しく話した。
お父さんは一通り聞いたあと顔を上げ
「あおい、良い彼氏を持ったな。
七男くん、あおいをよろしくな。」
そう言った。
678:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:49:26 0
夜遅くなってしまった。時計は10時半を指している。
今日も宮崎に晩御飯をご馳走になってしまった。
「じゃあまた明日ね。」
「あぁ。今日も色々ありがとな。」
「ううん。大丈夫。 ねぇ、それ、あたたかいでしょ?」
宮崎が俺の手を指差して言う。
俺の両手を包む白い手袋は、本当に暖かかった。
「とても暖かいよ。」
「良かった。あ、ちなみに修理は受け付けてませんので、大切に使ってね!」
宮崎に見送られながら俺は自転車をこぐ。
家に帰ると、もう既に宮崎の父親から連絡が来ていたらしく
ちょっとした家族会議が始まった。
無論、会議の内容は
俺が本当に宮崎を幸せにできるのかどうか、というものに集中していた。
しかし説得するまでもなく、俺の家族は全員賛成をしてくれた。
本当に家族には感謝をしなければならない。
679:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 01:56:02 0
高校を卒業して、俺は大学に進学した。
場所を移して宮崎と同居したい気持ちもあったが、宮崎の父親のことも考え
宮崎の家に俺を置いてもらうことにした。
俺は大学に通いつつ、バイトをして
宮崎家の家事手伝いをほんのちょっぴりやっている。
何も辛いことなんてない。疲れはするが、その疲れさえも幸せに感じるのだ。
今は就職難と言われているが
そんなものに負けず、俺達二人は目指す職に向かって必死に勉強している。
しかしたまには息抜きも必要である。
そんな時は、昔の事なんかを思い出しながら二人で笑ったりしている。
「あの時七男酷かったもんねー」
「反省してるよ・・・」
「ふふふ。そうだ、こういう昔の事なんかをどっかに記録しとかない?忘れないようにさ!」
「おぉ!それいいね!」
俺達は思い出したことを箇条書きで記録していった。
680:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:00:22 0
「小5より前のことは思い出せないわー」
「小5のときにあたし達が知り合ったんだよね?」
「そうだったっけ?」
「そうだよ!」
ずいぶんのんびりした大学生である。
こうして昔から順にいろんな思い出話に花を咲かせていると
俺はある一つのことを思い出した。
「ネットに俺達の話を投稿してみないか?」
「え?ネット?」
「うん。といっても携帯小説みたいなものじゃなくて・・・。
2ちゃんねるってところに、よく小説みたいなものを投稿してる人がいるんだよ。」
「でも2ちゃんねるって人がたくさんいるよね?」
「いろんな人に見られるのは恥ずかしいし・・・
そこまで人が多くない板もあるみたいだから。」
「・・・書いちゃう?」
「書いてみようか!」
681:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:03:30 0
カタカタとキーボードを叩く。
どんな文にしようかと試行錯誤を繰り返す。
長文を書くことは苦手だ・・・。
「えぇっ?七男・・・昔にそんなことしてたの・・・?」
後ろから文面を覗き込んできた宮崎が驚きの声をあげる。
「まぁ・・・ほら、ネットなら書ける!みたいなことあるでしょ」
「なにそれー」
「どうした?」
「ちょっと見損なったー」
さすがにこれはマズかったかな。いや、書くなら包み隠さず・・・
進めていくうちに、だんだん楽しくなってきた。
682:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:11:06 0
2009年 冬
俺達は初めて2ちゃんねるという大型掲示板に書き込むことを決意した。
「スレッドを立てるんだけど、タイトルどうする?」
「投稿するのは七男なんだし、七男に任せるよ。」
ふむ・・・どうしようか・・・
俺達の出会った小5から高校卒業まで・・・
7年間・・・ん?8年間か?まぁどちらでもいい。
「あおい、書き込むよー!」
「おぉ!!どれどれ?」
『とある男子の7年間の恋愛キロク』
「ここを押すと完了だ・・・いくぞ・・・」
カチッ
【書きこみが終わりました。
画面を切り替えるまでしばらくお待ち下さい。】
-fin-
683:七男 ◆RaOe7CTARw
10/05/05 02:18:05 0
半年近く続けてきました。
最後まで見ていただいてる方は少ないかもしれませんが
途中からでもここまでお付き合いいただいた方には感謝です。
どうしても不定期になってしまったり、予告を裏切ったりしてしまい
申し訳無かったです。
皆さんのお陰で自分のやりたいことを最後までやり遂げることができました。
改めてお礼を言わせていただきます。
本当にありがとうございました。
ねっとりした奴なのでしばらくこの板このスレにへばりついていると思います。
自分に対する書き込みがあれば反応できると思いますので
何かあればこのスレによろしくお願いします。
それでは、さようなら!
684:夢見る名無しさん
10/05/05 11:51:12 0
おもしろかったよ
お疲れ様
お幸せにね
685:に
10/05/05 15:38:47 i
最初から見てたよ
ありがとうな
ネタにしろ何にしろ、続きが気になってたよ
686:夢見る名無しさん
10/05/05 21:01:11 0
おつかれー
お幸せに
暇だったらちょっとした出来事を書いてくれてもいいのよ
687:夢見る名無しさん
10/05/06 21:53:21 0
おめでとー!!!
なんだかこのまま埋まるのが勿体無い話しなので
レスも出しつらい位だよ
688:夢見る名無しさん
10/05/07 19:47:26 0
宮崎を大事にしてね。
689:夢見る名無しさん
10/05/09 18:37:27 0
ヒーハー!!ハー!はー!はぁ!はぁはぁ´#`
。☆*+. 。。 ★。*。* 。
o 。゜. ,゜ ☆。 ☆ * 。゜. ☆o。
+★。☆ ☆ +*゜ 。*。
*. 。 * 。, +★。
+゜ ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ 。.o
☆。゜。 ∧/ / ヽ ヽ∧ 。゜ +.
*゜ 。。  ̄| | ̄ *。☆
+。,☆+. , + *。
゜ *. 。*☆。
,★+ 。 .☆。,
* 。 。,☆☆ ゜. + *.*。 。*
*☆ +。゜ *.★。☆
Congratulation♪
やきもきしながらも楽しませてもらったよ、ありがとう。
もう籍は入れたのかい!?お幸せに!!
690:夢見る名無しさん
10/05/09 23:29:14 0
とりあえず乙!
祝ってやるよ!
691:夢見る名無しさん
10/05/11 01:53:35 0
オメデトウwww
これからも宮崎を大切にしろよ!
692:夢見る名無しさん
10/05/11 01:59:32 0
オメデトウwww
これからも宮崎を大切にしろよ!
693:集英社
10/05/11 01:59:55 0
きめーーー。ゲイ同士二人だけのスレW
スレリンク(pinkcafe板)
694:夢見る名無しさん
10/05/12 18:43:03 O
>>1
おめでとう!
>>685
もしかしてオカ板にも逝ってる?
695:夢見る名無しさん
10/05/12 19:26:16 i
>>694
行ってないってば
人違い
696:夢見る名無しさん
10/05/13 00:59:02 0
すげえすげえよ七男
697:夢見る名無しさん
10/05/18 22:18:18 Q
うわぁ!おめでとう!!
で、宮崎とはどこまで…
698:夢見る名無しさん
10/05/19 21:54:26 0
おめでとう!先週このスレ見つけてまだ途中までしか読んでないけどすげー感動した。
中2の日帰り旅行の途中まで読んだが、読んでる途中で自分が失恋してしまってせつなくて今続き読めないかもしれない。
でもいつか絶対つづき読むぞ!励ましてくれてありがとう!
七男のうらやましいぞおおおおおお
699:夢見る名無しさん
10/05/20 18:10:57 0
最後に愛は勝つ
700:夢見る名無しさん
10/05/23 11:05:32 0
どうも、一番最初にコメントしたものですけど実に長かったですねー(笑)でもあっというまかも
でもほんとにみながら楽しませていただきました。♪(´ε` )
お疲れさまです
701:夢見る名無しさん
10/05/23 14:31:55 0
楽しかったぜ
702:ぼるじょあ ◆yBEncckFOU
10/06/01 17:54:32 0
(・3・) エェー おめでとうだYO
703:694
10/06/03 00:14:12 O
>>695
そっか
ごめん><
704:に
10/06/03 00:20:38 i
なぜオカ板なんだろっ
705:694=703
10/06/03 01:25:27 O
>>704
オカ板にも“に”さんがいるんだよ
オカ板の“に”さんも酉はつけてない
だから同じ人かもと思ったんだ
面白くて頭いい人で俺はわりと好き
706:夢見る名無しさん
10/06/04 23:58:31 0
べ、別にうらやましくなんかないんだからね!
707:夢見る名無しさん
10/06/17 10:25:52 O
まだ見てるかな?
近況をしりたいぞ、七男!
708:七男 ◆RaOe7CTARw
10/06/17 22:36:34 0
お久しぶりです。
1ヶ月半ぶりでしょうか。
>>707
近況報告ということで
籍を入れる予定は立ててあります。
お互いの両親も快くOKしてくださり、自分達ももう立派な大人ですので。
そろそろ結婚してもいいんじゃないか、ということで決定しました。
詳しい日程などわかってませんが
式は小規模ながら挙げようかな、と思ってます。
できればみなさんにも是非いらしていただきたいです。なんちゃって。
709:に
10/06/18 08:43:43 i
いや、宮崎見てみたいしw是非祝わせろ!
おめでとう
710:夢見る名無しさん
10/06/21 11:39:00 O
七男じゃなくて、宮崎見たいとかw
だが、俺も見たい!
711:夢見る名無しさん
10/06/28 11:26:48 O
いいなぁ…
712:夢見る名無しさん
10/07/13 22:50:01 O
で、いつ式挙げんの?
713:に
10/07/13 23:40:16 i
九月でしょ
714:夢見る名無しさん
10/07/16 08:59:42 O
詳細希望
715:七男 ◆RaOe7CTARw
10/07/17 15:53:36 0
お久しぶりです。
式は近所の小さな式場で
10月頃に挙げようかなと思ってます。
家から自転車で15分の
本当に近い式場です。2,3年前に出来たばかりの
まだ新しくてキレイなところです。
埼玉県です(・ω・)
716:夢見る名無しさん
10/07/18 19:00:17 P
まだ予約も取ってないの?取れんの?
のんびりやだな
717:七男 ◆RaOe7CTARw
10/07/18 21:23:30 0
まだとってません。
来月の頭くらいでも
十分取れそうなので・・・。