10/07/02 20:25:07 poejBem8P
ネタバレ
(前回のつづき)
・病室。腰の入った平手で柚希の頬を力一杯に引っ叩く清美 バ ン 「・・・・!?」「なっ・・・・」
「アンタがそんなこと言ってるから恭輔くんが死ぬのよ!! この 人 殺 し !!」「・・・・!?」
清美を制止しようとする風間、が、それに被せて青大が力強く言い放つ
「おま・・」「ええ加減にせえ・・!! どんな理由じゃろうが枝葉に手を上げるヤツは、オレが許さんぜ」
「・・・・・・青大くん・・」うるっとくる柚希、怒り顔の青大、ゆっくりと清美に
「だいたい大事やからこそ言えんことだってあるじゃろうが。みんながみんな お前と一緒と思うな!」
清美、風間を見て、心中複雑そうな(と言うか、情けなげな)風間に見つめ返されて、感極まり、病室を
ドン と青大の肩にぶつかりながら走り出て行く、青大、慌てて
「うわっ ちょっ 待てや! 待てって!!」 ダッ 清美を追って出て
・病院、中庭(ビーフ・ストロガノフを食べた場所っぽい)。走って来る清美、
「おい 待て 言うとるじゃろ!!」
その腕をつかみ止めようとする青大、清美、腕を振り払って解いて
「しつこいわね 離して!! 人殺しに人殺しって言って何が悪いのよ! 私 絶対謝らないから!!」
「・・・・お前、風間のこと好きなんじゃろ」
「・・・・!?」顔中が真っ赤になる清美、思いっきり動転して
「な・・・・何 言っ・・・・そんなこと・・」
「でも、それで枝葉に当たるんはやめてくれよ。アイツだってきっと辛いんやから」
「だ・・だから、私は、別に・・・・」怒りもようやく小康状態、興奮、少しずつ冷めてきて・・・・
「つっても、まァ オレもお前と同じやから、エラそうなこと言えんけどな」苦笑いの青大
「・・・・え!?」清美、青大の顔を見返し・・・・
・時間経過。中庭に優しく風が吹いて、木立の葉が揺れて・・。青大側の事情を一部始終聞いた清美
「ふー―ん・・なるほどね・・・・それでわざわざ転校して来たの。結局ホントに彼氏がいただなんて
バカみたいだわ。しかも、その彼氏が・・死ぬかもしれない自分の友達だってわかってて奪い返そう
だなんて、よくそんなヒドいことできたもんね」
「オレだって風間のことは大事だと思ォとるよ。その友達が死ぬなんてホンマに嫌じゃ。だからこそ、
アイツにウソつきとォない。たとえ死ぬかも知れん友達の彼女だろうが、好きなもんは、好きなんじゃ。
それを我慢したら、それこそアイツと友達ではおられんようになる」
「本当に自分勝手な理屈だわ、全部アンタの都合じゃない」
「・・・・て、ゆうか、私もよね、命にかかわる手術をどうするかなんて他人が口出しするような事じゃない
そんな事分かってるの、アンタ達の方が正しいって・・・・。でも、私の前から恭輔くんがいなくなるだなんて
そんなの耐えられない。だから、手術を受けてほしいのは全部 私の都合・・。さっき あの子を殴ったのも
ただの八つ当たりよ」
「みじめだよな、オレらって。恋人がおるヤツに」勝手に片思いして ムチャクチャ言うとるだけなんや
もんな。ホンマ、バカみたいじゃ」「・・・・そうね。バカみたい」
・・・・一本の細い木立に体を隠して・・全く隠し切れて無いが・・怯えた小動物のように、こちらの様子を
ちら ちらっと窺っている柚希、清美はそんな柚希に気づいて・・
「・・・・あの子」「え・・?」清美、ツカツカと柚希の方に近寄り「あっ・・・・」柚希を見下ろす清美
「何してるの? そんな所でコソコソして」「あ・・あの」「ま、いいわ、丁度 アナタに話があったし」
青大、清美がまた柚希に何かするんじゃないかと思い慌てて。
清美は、腰に手を当て、踏ん反り気味に見下しながら柚希に こう告げる
「さっきはごめんなさいね。すごく反省してるわ!」
「・・・・ハイ?」何を言われるかとビビっていた柚希、目を大きく開いて驚き。
「何じゃ それ! それが人に謝る態度か!」
「ただ 言っとくけど私・・・・アナタの事やっぱり大嫌いよ。中学の時は恭輔くんのこと振ったクセに
よく今更つき合おうとか言えたもんね。私 そんなこと認めないから!」
「ご、ごめんなさい(汗;」
「私だって恭輔くんのこと好きなんだから アナタなんかに絶対負けないって言ってるの!!」
「・・・・清美さん」「わかったの!?」怒鳴る清美とビクつく柚希「あ・・ハイ!ゴメンなさい」頭を下げ
「は? なに そのゴメンなさいって。私には無理だって言ってるの!?上から目線?」「ごめんなさい!」
・・・・猫の喧嘩のような(一方的な)言い合いが続いていって・・・・・・。
・202号室の窓から、そんな3人の遣り取りを風間が見つめていた・・・・。
次回につづく・・・・