09/10/10 11:20:11 Dyyx38NqO
先週は球場に台風が迫ったあたりで終わっていましたが、一週間経って今週は、ここ10年で最も強
いという台風18号が日本列島を縦断する中での『チャンピオン』発売となりました。先週の時点で
は何の気なしに読んでいた台風設定ですが、現実でもこのように大型台風が来るとはまさか思いま
せんでした。優れたフィクションは現実を先取りするといいますが、この台風もまたその一例です
ね。(中略)
特に今回興味深かったのは、実況にあった、殿馬のホームランが雨を呼ぶという発想ですね。これ
は、単なる雨男・雨女といった範疇を超えた、むしろ人間の行動と自然が対応する天人相関説に近
い発想といえます。殷の湯王などは、日照りを終わらせるため、自分の体を縛って薪の上に横たわ
り、雨を祈って降らせたわけですが、まあそれはいいとして、近年の異常気象などは、人類の排出
した二酸化炭素増加による地球温暖化の影響が指摘されております。(中略)
作中で殿馬が、風を利用としてボールをスタンドインさせた描写にもあるように、野球というのは
本来、天候、気温、湿度、風など諸々の気象条件に影響されやすいスポーツなのです。こうして雨
や風の影響を的確に描写するあたり、実際に草野球を年に百試合以上消化する水島先生だからこそ
描けるリアリティといえるでしょう。
世間の野球漫画では、グラウンド内でのボールのやり取りにしか目が行かなかったり、下手をする
と投手と打者二人しか視界に入っていないようなものすらありますが、今週のドカベンは、「野球
」というものを構成する要素の幅広さと、そして大自然の前に人間はいかに無力であるかを教えて
くれました。