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バレ
第１７４話／七色のラブソング
ピクルの股間にめがけて放たれるバキの鉄拳。堪らず悶えるピクル。
さらにバキの猛追。再びバキの拳がピクルの股間を襲う。
２発、３発、４発・・・バキの股間ラッシュは止らない。まるで親を殺されたかのような勢い。
「ウオォォォ～！」バキ、まるで泣き叫ぶかのような、嬌声を上げながら攻撃を続ける。
その凄惨な光景を見て絶句する花山たち。
「一体、なにが彼をここまで・・・」と烈。「まるで、この世から消えてなくなれとばかりに・・・」とみっちゃん。
「そういうことかよ・・・」花山だけは何かわかったような素振りを見せて、若干斜め情報を見つめる。
地下闘技場の天井と地下をつきぬけて、はるか花山の視線が続く先。そこは永田町。
今、永田町周辺はまさに戦場であった。
いたるところで火花が上がり、銃声が飛び交う。道には死屍累々。
なんと路上に倒れているのは、神心会の会員達である。
戦場と化した町の乾いた空気の中に、自衛隊の無線機の音声が響き渡る。
（表のクーデター一派は排除した、あとは官邸に突入した首領どもだけだ！）
そして首相官邸の中、大臣の椅子に座る総理大臣の机の上に仁王立ちする血まみれの克己。
克己は鬼の形相で、まるで瓦割りのように大臣の机を真っ二つにする。
「ヒ・・・ヒィィ・・・」おしっこちびっている総理大臣。
「もうそのへんでやめにしようや」克己の肩を逞しい手が叩く。なんと参議院議員アントニオ猪狩である。
「ここまでされちまったらよォ、もう認めるしかねェよな、総理大臣さんよ、アンタの完敗だ」と総理に告げる猪狩。
「ああ、わかった、要求を呑もう・・・今日から日本では女性同士の結婚を認める」
潔い総理大臣の態度にウィンクで返事をする猪狩。「よかったな克己、おめェらの勝ちだよ」克己を讃える猪狩。
その時、猪狩は克己の様子がおかしいことに気付く（か・・・克己・・・）返事がない、まるで屍のようだ。
血まみれで白目を剥いて、それでも仁王立ちをしている克己の脳裏に様々な風景が浮かび上がる。
そこには日本中の、敵わぬ恋と諦めていた少女達が、同姓結婚を認められて喜ぶ、幸せな光景。
そして、最期に、愚地夫妻。
実は、コツカケと言う技は存在しなかった。愚地独歩には元々必要なかった。何故なら独歩は実は女だったから。
普段は仲睦まじいおしどり夫婦を装っていたが、実は社会的には認められていなかった二人。
だが、もう何も心配する必要はない。彼女達の恋路を阻むものなど何もない。
（おめでとう、おふくろたち）両親の幸せを祈りながら、克己の目がゆっくりと閉じられようとしていた・・・
その時、克己の脳裏に範馬勇次郎の顔。愚地独歩の目を奪った男の顔・・・
独歩が実は女であったことが公表されたら、独歩の顔に傷をつけた勇次郎は独歩を嫁にしなければならない！
「く・・・そッ・・・そうはさせるかよ・・・」倒れかけていた克己が力強く立ち上がる。
「範馬・・・勇次郎・・・キサマは絶対に、俺が倒す！」そう叫び。よろよろとしかし力強い足取りで官邸を去る克己。
巻末コメント ガンダムは大好きだが、お台場行って喜んでいる連中とは仲良くなれると思わない。（板垣）