09/03/11 08:06:40 8EsKe3Yx0
記者「・・・では次の話題に。えー、里の者達が誰もナルトを助けにいかないんですが、これは何故ですか？」
岸本「『足手まといにならないことがチームワーク』を守ってるからですね。
そりゃ、みんな助けに行きたいですよ。
ナルトがやばいのもわかってる。
でも一旦そういう指示が出てる以上、従う。
忍びですからね。ときには非情な命令も出る。
そして組織に所属している以上、プロならどんな命令でも従う必要があるんですよ。
ただヒナタだけは非情になりきれなかった。感情にしたがってしまったということなんです。
あの場面では、そういう忍びの非情さ、組織の不自由さと、それをも超える愛というのを描いたつもり」
記者「なるほど、みんな助けに行きたかったんですか。それにしては誰一人そんなそぶりすら見せてませんね」
岸本「プロだからね。表情には出しませんよ。
逆にぼくは読者には、『そういう葛藤をあえて見せない』ということを描いているってところまで読み取ってほしかったね。
もっとも、ぼくの作品のファンには、こういう深いところまで読める方が多いみたいで、
ぼくみたいな行間を描くタイプの作家にとっては、これはうれしい限りだね」
記者「そうですか。ところで、ヒナタがやられてナルトがキレるのはおかしいという声もありますが。
ジライヤやカエル、カカシなど、ヒナタより遥かにナルトと密接な関係にある者達も死んでるのに、
関係性の薄いヒナタがやられたくらいでどうしてあんな風になってしまったんでしょうね？」
岸本「ああ、描写こそ省いたけど、ヒナタとナルトとの絆は、この作品の中でも最も強いものの一つと考えてます。
いろんなエピソードがあるんですが、そのへんは、アニメで補足するでしょう」
記者「なるほど。ところでそのヒナタですが、なぜあんなふうに無策で突っ込んでゴミみたいに死んだんでしょうか？
自分の部下にも援護するように命じて大勢で挑むとか、
どうせ勝てないと分かってるなら、ペインを殴りにいくのではなく、ナルトに刺さってる黒いものを抜くとか、
すべきことはもっとあったと思うんですが」
岸本「全ては、愛ゆえ、だね（笑）
忍者なら、もちろんそういう冷静な判断はすべきなんだよ。
例えば今の状況なら、仙人化したナルトと互角に戦う敵っていう時点で
木の葉の忍びが束になったところで勝てるわけがないというのは、
火を見るより明らかなわけだからね。
だからそんな奴を殴るより、もっと有効なことをしたほうがいい。
でもそういうことすら考えられなくなるほどの激情がヒナタをつき動かした。
よく言う、キャラが勝手に動いて、勝手に死んでしまったってやつかな。
連載を続けていくと、キャラは意志を持つんだよ。
そうなれば、いくら作者とはいえ、自分の思うとおりに動かすわけにはいかない。
ナルトのキャラはみんな勝手に動くから、俺も苦労してるよ（笑）
あ、でも今回のヒナタは、もうちょっと生きてて欲しいので、
やっぱ生きてることにしますけどね」
記者「そうですか」