09/02/24 23:11:51 RPmtVMPd0
31年目のオーラ! 久保帯人(漫画家)
僕は正直漫画を沢山読むほうではありませんが、それでも影響を受けた作家さんは大勢います。
しかし、正直なところ「こち亀」には、作品的には全く影響を受けていません。
それどころか、バトルコミックが大好きだった小・中学生の頃は、まともに読んでもいませんでした。
それでも「全ての漫画家の中で最も尊敬する作家を一人挙げろ」と言われたら、僕は間違いなく秋本先生の名前を挙げます。
およそ週刊連載を経験したことのある作家の中で、「こち亀」の凄さ、秋本先生の凄さが分からない、という作家は一人もいないでしょう。
「こち亀」の凄さは何か、と問われて、誰もが一番最初に思い浮かべるのは、その連載期間の長さだろうと思います。
それはまあ、当然の事です。僕にしても、自分が生まれる前から続いている連載なんて、考えるだけで気が遠くなりそうです。
だって恐ろしい話ですよ。僕がこの先どんなに頑張っても、永遠に両さんは僕より先輩な訳だから。
それはともかく、僕個人は「こち亀」の凄さ、秋本先生の凄さは、もっと別の所にあると思っています。
「こち亀」が他の作品に比して別格である点、それは、常に「何か新しい事をやってやる!」というオーラが作品からほとばしっている事です。
そしてそのオーラは、連載30年を超えて尚、更にブーストがかかったかのように強くなり続けています。
同じ主人公の物語を、30年間、一話完結で、週一で、一度も休む事なく描き続け、更に新しいことをやろうとし続ける。
恐ろしいです。モンスターです。完全にどうかしてます。
もし、マンガの神様みたいなモンがいるとして、そいつが才能のカタマリをちょっとずつちぎっては、マンガ家になるべき人にポーン、ポーンと投げつけているとしたら、完全に秋本先生の時は、ひいきしてます。
僕は(そして恐らく他にも多くの作家さん方が)常々そんな風に感じながらマンガを描いているのです。
そんな秋本先生から、今年初めて年賀状を頂きました。
それにはこう、手書きのメッセージが添えられていました。
「毎回の斬新なコマ割りに、漫画の可能性を感じます。」
まさか、秋本先生から、そんなとんでもない言葉を頂けるとは思っていなかったので、このハガキを初めて見た時の衝撃は相当なものでした。
僕は秋本先生の前では、緊張しちゃって上手く喋れないので、まだまともにお礼も言えていませんが、今でもこの年賀状は机の上に置いて、時々コッソリ眺めては、仕事の励みにしています。