09/04/19 01:19:50 neS5dVhp0
■雪枝さんの駆け魂狩りは!?
一見、見るべき点の何ひとつないゴクルトおばさん。それが駆け魂狩りを、しかも15体同時攻略とは。
その手腕を観察すべく、桂馬は一日雪枝に同行することに。
ハクア「雪枝は参考にならないわよ。」「期待してるとガッカリするからね!!」
雪枝「いつも1人ですけど。」「見られてると照れますわ。」
オカンの力は神をも超える? FLAG49 彼女×彼女×彼
民家の呼び鈴を押し、普通の訪問販売を始め、断られれば即次の家へ。
地道な作業。それも駆け魂とはまったく関係なし。
元々がただの訪問販売員とはいえ、やっていることはこの1ヶ月間ずっとこれだけ。ひとまず休憩。
ハクア「同時攻略って言うけど、」「要するに何も出せてないだけよ。」
桂馬(なんだ……)(そういうことだったのか……)
何か思うところのある桂馬と違い、ハクアは相変わらずイラついている。
ハクア「一体誰がこんなバディー決めたのよ!!」「私はまだ一番目指す気マンマンなのに!!」
「でもバディーが駆け魂と飲み物の区別もつかないんじゃ…」「もうあきらめたあきらめた。」
桂馬「本当にダメな人なのかな…」
「協力者は担当悪魔が選べないのに…駆け魂を捕まえたい「上」がわざわざ無能な人間選ぶか?」
ハクア「有能な訳ないわ!!」「こんな飲み物配り、誰でもできるじゃない。」
桂馬「そんな簡単かな?」「じゃあ、お前のそのゴクルト、ボクに受け取らせてみろよ。」
ハクア「え、そ、そんなの簡単よ。」「えーと、えーと…男が相手だから…」
「桂木くん!!ゴクルト受け取って♥」「あなたに飲んでもらいたいの♥」
突然のフリにうろたえつつも、星を飛ばし作り笑顔。それを。
桂馬「気持ちわり――いらなーい。」
一蹴。
ハクア「気持ち悪いって何よ!!」「お前なんか泥水飲んでりゃいーのよ!!」
つるはしで岩を砕くかのように、ハクアが鎌を桂馬の頭蓋に打ち続ける。休憩終わり。
「じゃ―お前のゴクルト私に渡してみなさい!!」「私、絶対に受け取らないから!!」
桂馬「もういいもういい。」
次の家には、女の子が1人。玄関ではなく、2階のベランダにいる。
あさりちゃんと呼ばれたその子は、すでに全身を駆け魂に包まれている。
雪枝「今日、いい天気やわ。」「外出ると気持ちええんちゃう?」
あさり「いつもうるさいなぁ…」「外になんか出たくない……」
「誰かに会ったら…」「また…いじめられる……」
雪枝「あさりちゃんそう言う思て、」「おばちゃんえーもん持ってきた。」
まさか…と桂馬たちが予想したとおり、あのゴクルト帽。あさりも部屋に引っ込んでしまう。
雪枝はあきまへんわ、と次の家に向かおうとする。
ハクア「ちょっと待って、待って!!」「駆け魂が育ってきてる!!」「早くあの娘を助けないと!!」
雪枝「でもねぇ、あの娘もあんまり話したくないやろ思て…」「それに私、まだ配達残ってますし。」
せっつくハクア。じゃあ何かいい方法でも?と雪枝に返され、待ってましたとばかりにご高説。
しかし理屈っぽくてしかも長い。目を回してる雪枝に代わり、実際にどうしろと桂馬に言われ言葉に詰まる。
ハクア「どんなやり方だって…」「ただ毎日呼び鈴鳴らすよりはいいわよ!!」
「私…もっと働きたいのよ!!」「もっと駆け魂を捕まえたいの……!!」「エルシィみたいに…!!」
だからって雪枝に他の方法もなく。雪枝が悪いわけじゃないのに、険悪になった空気で謝らせてしまう。
「いいのよ…もう。」「駆け魂は協力者に任せるのが決まりだもん…」「雪枝の好きにすればいいわ!!」
低空を飛び去るハクアを追う雪枝だが、老体で荷車を押しながらでは追いつけるわけがない。
荷車をひっくり返しこけてしまう。ごめん…と起こしに戻ろうとするハクア。桂馬はそれを無言で制する。
??「気をつけて…おばちゃん。」
3人のやり取りを見ていたあさりが、家から出て来ていた。散らばったゴクルト拾いを手伝ってくれる。
桂馬「ほら、ハクア。」「ここにも落ちてたぞ。」
自然な状況でゴクルトを手渡す。
ただでさえ見知らぬ相手、それもイベントに乏しい街中では、相手が心を開くのを待つ必要がある。
「雪枝さんは小さな「会う」を積み重ねて心に入っていくんだ。」「伊達に沢山くばってないよ。」
「今度は逃がすなよ。」「あさりちゃんは、もう出るぞ。」 「ボクから受け取ったなゴクルト!!」
ハクア「あ!!」「忘れてた!!」
LCのぽこぽこは気にせず、昔のギャルゲーはイベントそのものより「会う」ことに意味があるゲームが多かったことを思いながら。
桂馬は今まで通りの方法でいいか、と思い直していた。そして1週間後、雪枝は4匹捕獲させた。
■桂馬は桂馬のやり方で次号新シリーズ。