10/04/03 22:01:34 7urxKfPf0
小学校の頃、校庭の隅の小屋で買っていたウサギが死んだ。ひと晩で全羽死んだ。
その日、「可愛かったウサギたちに感謝し、その死を忘れないために」という理由で、給食にウサギの肉入りのシチューが出された。
みんな神妙な顔で食べた。泣きながら食べてる子もいたし、中には嘔吐してしまう子もいた。
けれど、先生は「決して残してはいけません」と怖い顔で言った。
味は覚えていない。けれど、あの時の教室の異様な雰囲気は今でも忘れられない。
けれど、ふと疑問に思う。こんなことが本当に起きたのだろうか?
考えるほどに、とても事実とは思えない。いくらなんでも常軌を逸している。
小学校の同級生に聞いて確かめてみればいいのだろうが、途中で転校して以来当時のクラスメイトとは完全に音信不通になっている。
誰一人連絡を取れる人間がいない。
それに、本当は知りたくない気もする。知ってはいけない気がする。
なのに……どうして同窓会の知らせが届いたんだろう。
〈懐かしい仲間たちと久しぶりに再会し、心ゆくまで思い出を語り合いませんか? ご参加お待ちしています。
あなたがあの日残したシチュー、まだとってあるから。 ××〉
手紙の最後に書かれた女の子の名前を目にしたとたん、口の中にシチューの味が蘇ってきて、こらえきれずに吐いた。
そして思い出した。あの日食べた肉は、本当はウサギなんかじゃなかったのだと。