10/05/02 13:32:13
212 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2010/05/02(日) 12:43:55
205 ：可愛い奥様：2010/05/02(日) 00:24:08 ID:szzdvjFf0
「辰彦が高校1年のとき、父親がガンで亡くなりました。それは大変な時期でございまし
た。『子供学習の家』という小さな塾を開いて生計を立てていました。子供たちをどう育て
ていくかを考え、勉強が好きだったし、仕事をする以上はみなさまが喜ぶ仕事をしたかっ
たのです。そんな苦労をずっと見ていたから、あの子に私の名をつけたのでしょうか……」
高齢にもかかわらず、背筋をピンと伸ばして、上品に話すおばあちゃま。孫娘の幸せを
願う反面、一抹の寂しさが漂うのか、目を細めながら紀子さまとの思い出のページを振り
返る。
「小さいころはよく字を教えたり、お話を聞かせたりいたしました。でも、お風呂に入れたり
とかはいたしません。勉強や話し相手はいたしますが、それ以上のことは私が不得手で
しので……。あの子が、アメリカに渡ったころ、あちらから私の誕生日やクリスマスに、手
紙や絵を描いたカードを送ってくれたり、それは優しい子でした。私がペンシルベニアを訪
ねたときには、紀子が幼稚園のときでしたか。『桃太郎』や『正直爺さん』といった昔話を
聞かせました。いつもニコニコとじっと聞いていましたね」
すばらしい方でいらしたのね。
涙が出ました。