09/11/21 06:48:17
>>349
■川嶋紀子雲の絵美術館(抜粋)
作者、川嶋紀子(いとこ)さんは、秋篠宮紀子(きこ)妃殿下の父方の祖母にあたる方だ。
雲の絵を描き始めてもう四十年以上になる。むかし、ご主人がとつぜん病気で倒れられた
ことがあった。まだ小さかった子どもたちを抱えた紀子さんは、毎朝夜明け前に起きて
昇ってくる太陽に手を合わせ祈った。ご主人の快癒と、たとえどんなことがあろうとも
決然として生きてゆくことを。幸いご主人の病いは快方に向かわれたが、その時に見た
夜明けの太陽に染まる雲の美しさが忘れられず、以来半世紀近くもの間、
雲の絵を描き続けているのだという。
朝暗いうちに起きだし、はやる気持ちを抑えてしっかり身支度をして庭に出る。
それは八十九歳になるいまも変わらない紀子さんの日課だ。雲は待っていてくれない。
刻々と表情を変える様は瞬時にとらえなければ消えてしまう。まばたきする時間も
惜しむように、パステルを使って一気に仕上げる。おおかたが住まいの近くの
鎌倉の海に広がる雲だ。そんなふうに描きためた八千点を「アート館」に寄贈して
「川嶋紀子雲の絵美術館」が開かれたは1991年のことだった。
URLリンク(www.hb-arts.co.jp)