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●秋篠宮殿下の視点 ※湯浅浩史(週刊朝日・増刊号 秋篠宮悠仁さまご誕生 9月30日号より抜粋①)
秋篠宮殿下は、愛用の布製のかばんをお持ちである。中にはたくさんのものが入っており
いつもずっしりと重い。お出かけの折には必ず携え、日程調整の際にはそこからビッシリと
スケジュールが書き込まれた大判の予定表を取り出される。また、新幹線で移動中でも
必要に応じて、パソコンや資料、それに書籍を出され、目を通される。
殿下がナマズを研究されていることはよく知られているが、それは研究分野の一端にすぎない。
家畜全般、鳥類、さらには植物と多様な生き物に関心を抱かれている。
特にニワトリの研究ではすぐれた業績がある。1996年には、野鶏と家鶏のDNAを比較して
その期限を推測し、総合研究大学院大学から理学博士の学位を取得している。
ふつうは、そこで一段落のはずだが、殿下はDNAの解析からでは生物学的な類縁関係は
わかっても、なぜ、どのようにして、野鴨が家禽化されたのか、その答えが見いだせないと
考えられた。そして、人とニワトリ、さらに野鶏とのかかわりを研究するチームを組織し
中国、インドネシア、タイ、ラオスなどで調査に取り組まれている。
その要点は、殿下の編者として出版された『鶏と人 民族生物学の視点から』(小学館 2000年)
に明らかにされているが、ニワトリの品種の形態差は人間とそれを取り巻く文化、例えば色の
好みなどが強く働くとみて、生物学的なアプローチに加えて文化的アプローチを重視することを
広く提唱されている。
以上のとおり、殿下は研究における素質、鋭い観察力、核心をつかむ慧眼、独創的なアイディア
総合的な把握力を備えているようにお見受けする。
※湯浅浩史・・植物学者、東京農業大学教授。1940年生まれ。秋篠宮さまとは学問やヒョウタン文化を
通じて長い交際がある。