東京電機大学 工・未来科学部 Part.80at STUDENT
東京電機大学 工・未来科学部 Part.80 - 暇つぶし2ch122:学籍番号:774 氏名:_____
10/04/24 19:35:15
青少年健全育成条例改正後、4年が過ぎようとしていた。
テレビやPCの画面からは美少女達が消え、代わりに政府広報のCMが清々しいBGMと共に流されていた。

公園で遊ぶ子供たちに「影」が忍び寄り、その「影」が手を伸ばして子供たちに触れようとする直前
「RDER」のバッジを胸に付けた夫人が、「影」の主である青年の肩に触れて優しく微笑みかけた。
青年は悲しそうに頭をたれ、夫人に手を引かれて去っていく。
「本当に苦しんでいるのは、彼ら自身です。そして彼らを救うのは、貴方からの一本の電話です」
「RDER」のロゴと共に表示される電話番号は、現代版魔女狩りの密告状であった。

「RDER」……Relief Department for Early stage to Ryonanists.
「暴力的性衝動障害者早期対応救済科」
「青少年健全育成条例」が改正され、創作作品における「非実在青少年」に対する性的暴力的表現の規制が執行されてから
それまではネットの深遠でひっそりと生息していただけのマイノリティーが、致命的性犯罪者予備軍として脚光を浴びる事となった。
「リョナラー」である。
彼らは創作作品内におけるシチュエーションとして、キャラクターが暴力的に苦しめられるシーンに性的興奮を覚える「二次元オタクにおける少数派」であった。
本来「創作作品」における暴力表現と「青少年の凶悪犯罪」を結びつけ、規制の対象とするために改正された「青少年健全育成条例」にとって彼らの存在は
条例の存在意義を証明する為の格好の生贄であった。
メディアはこぞってネットに書き込まれた「ゲームやアニメの非実在少女達に対する暴力行為」を脚色満載でとりあげ
未成年者による犯罪の陰に少しでもネットの存在があれば、彼らはもれなく「リョナラー」の刻印を押された。
「リョナラー」=「暴力的性犯罪者」という図式が民衆の脳内に刻み込まれるまで、そう時間はかからなかった。
「非リョナラー」である一般の二次元オタク達は、自らの潔白の証明として「リョナラー」を弾圧し、少しでもその気配を感じた同族を見つけては晒し物にしていった。
「リョナラー」の中に実際に性犯罪を犯す可能性のある人物が混じっていたとしても、嗜好の方向性上「性犯罪者」を引き寄せる可能性が高いというだけであり
多くの「リョナラー」達が、二次元のキャラクターにのみ性的興奮を覚え、現実世界で血を見るのも苦手であるという事実は、何らかの手段によってすべからく闇に葬られた。
「リョナラー」に対するパッシングはネット内にとどまらず現実社会にまで及び、青少年健全育成条例に違反する製品を所持していた者は即「リョナラー」と呼ばれて告発された。
元々自身の性癖における「アナーキズム」を自覚していた「リョナラー」の多くが、その性質を秘匿する術にたけており
本物の「リョナラー」が告発されるケースが極少数であるという事実にも関わらずだ。

そして4年後……予算案が議会を通過し、文部科学省直属の実動組織として「RDER」……通称「リョナラー狩り」が正式に設立された。
その目的は「極めて迅速かつ徹底された手段を用いて早期にリョナラーを発見補足し、健全な社会に復帰させるため、適切な処置を施すもの」であった。
「RDER」の構成員の多くは、警察や公安調査庁からの引き抜きにあった「第一線経験者」であり、彼らは「リョナラー」を「障害者」としてではなく「犯罪者予備軍」として見ていた。
また「RDER」の「兵隊」と言うべき「救済隊」においては、外人部隊からなる「民間軍事会社」や「警察特殊部隊」の退役隊員までもが参加していた。
この裏には警察や軍の「天下り先」として「RDER」のトップが糸を引いているのではないかという憶測もされたが、例のごとくそれを言及する者は皆無だった。
ともかく、結果として「リョナラーの早期発見と救済」を建前として設立されたこの組織は、手段を選ばぬ「第4の暴力装置」として「リョナラー狩り」を執行していった。


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