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井田良『刑法総論の理論構造』引用文献リスト(コメント付)44
いま1つの考え方として、「修正された客観的危険説」と呼ばれる立場、即ち結果を発生させるために必要
であった事実(仮定的事実)の存在可能性の程度を、科学的一般人を基準として事後的に問うことにより危険
の有無を判定しようとする見解がある。
ー山口厚『危険犯の研究』(1982年)164頁以下。及び同・総論2版276頁(筆者注)
《中止犯》
なぜ、科刑において、先行する傷害についての量刑基準を下回り得るのか、さらに、傷害罪の
下限を下回る刑を科し得るのかについての説明が必要となる。この点につき、
ーHirsch,Strafrechtliche Probleme,1999,S.915
傷害の事実を不問に付す理由は、中止による恩恵を生じさせることにより、
重い法益侵害を回避する行動に導くためという、政策的考慮に求めるほかない。
ー平野龍一『犯罪論の諸問題(上)総論』(1981年)157頁以下、165頁。及び同・総論Ⅱ333頁(筆者注)。
政策説についての詳しい研究として、
ー金沢真理「中止未遂の体系的位置づけに関する覚書」東北法学16号(1998年)83頁以下。
同「中止未遂における刑事政策説の意義について」法学63巻5号(1999年)39頁以下、64巻1号(2000年)33頁以下。
城下裕二「中止未遂における必要的減免について」北大法学論集36巻4号(1986年)173頁以下。
同「中止未遂の減根拠をめぐる近時の理論動向」渡部古希(2000年)569頁以下。
すでに行われた違法・有責な未遂行為についての評価が、事後の中止行為の
有無により、さかのぼって変化することをどのように説明するかがキーポイント
になる。この点につき、
ー城下・前掲「中止未遂における必要的減免について」225頁以下。
中谷瑤子「中止未遂の法的性格」ジュリスト300号『学説展望』(1964年)296頁以下。
野村稔『未遂犯の研究(1984年)441頁。