新63期司法修習生 起案10枚目at SHIHOU
新63期司法修習生 起案10枚目 - 暇つぶし2ch313:氏名黙秘
10/03/08 23:51:02
否認事件における被告人の意思に反する有罪弁論
和智 薫
専門分野:刑事
2007/07/13 02:02
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僕の扱った事件のなかで,唯一最高裁判所判例集に載っている事件です。

事件は,ある地方での略取(いわゆる拉致),殺人,死体遺棄の事案で,共犯者が数名いました。
僕が担当した被告人は,第一審の途中から供述を全面的に翻し,殺人,死体遺棄の事実を全面否認するに転じたのに,
第一審弁護人は,「本件では情状弁護が肝要で,これを放棄するのは弁護人の任務違反」として有罪を前提とする弁論を行なったという事例です。

この問題は,控訴審でも取り上げられることがありませんでした。

上告審の国選弁護人となった僕は,被告人が無罪を言っているのに,さらに弁論を尽くさせるなどしないで,
有罪弁論を放置して結審した一審の裁判手続が違法である,弁護人選任権の侵害だといって争いました。

最高裁判所は,「本件第一審弁論は実質的に被告人の有利を図っており,弁論自体も,裁判所の措置も違法ではない」としましたが,
このような場合に違法の問題を生じうることも指摘しており,ではどうであれば違法となるのか,一石を投じたようです。

本来,控訴審で問題にならなかったことがらは最高裁で争うことはできず,直ちに上告棄却でもよかったのですが,
珍しく積極的に実質判断を示してもらったことを率直に感謝しています。

被告人もやるだけやったということで,最後は納得して服役しましたし,僕も諸々の勉強会に呼ばれるなど,
強く印象に残る事件となっています。

最高裁判例紹介ページ
[[URLリンク(www.courts.go.jp)

最高裁の決定全文
[[URLリンク(www.courts.go.jp)



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