10/03/28 10:27:43
記録を見ていないので,あくまで報道から知りえた情報に基づくだけですが。
当時に当時の記録だけを読んだとしたら,小生も有罪でクロの確信をもった可能性が高いです。
証拠能力の評価は,起訴後の調べにおける取り調べ拒否権や黙秘権を告げなかったことで自責の念にはかられても,証拠能力は再審確定判決と同様の結論です。
そして,信用性は,重大な裏付け証拠であるDNA鑑定が実は間違っていたから,客観的な虚偽自白を録取したという点で結果責任を自分に課したと思います。
あとは,個人的ポリシーですが,私が謝罪する相手は,再審被告人だけではなく,原判決に関与した法曹三者と再審に関与した法曹三者そして公益です。
その後の原審判決時の一審公判自白が整合性と合理性をもっていたので,後任の公判立会検事が担当だと思いますが,これが私でも同様にクロの確信を抱いてしまったでしょう。
なお,小生の価値観やポリシーには,残念ながらヒロイズムはございません。
謝罪は,あくまで個人の価値観とポリシーで,波及効果まで考慮したものでなく,他人に強制も推奨もしません。
唯一冤罪再審無罪を防げたわずかな可能性がある起訴検事の職責の重みの自覚に基づくものです。
裁判官や検事が謝罪することに疑問を呈する弁護士先生もいらっしゃいますが,その意見に反対するものではありません。
上記の謝罪は,あくまで自分が自分に課した規範で射程距離は一身専属に過ぎません。
謝罪することも地獄,謝罪しないことも地獄,あとは当該個人の価値観だけで,他人がとやかく言えるものではないと感じます。
それだけ起訴検事の職責は重く,ときに余人の介在を許さない大変な苦労があることを熟知しているからです。