08/07/25 21:58:11
東京高裁第7刑事部は団藤説だぞ!
東京高裁平20.3.10判タ1269号324頁
「人の死という結果が発生したことに関して成立する犯罪としては、結合犯を除いても、殺人罪、傷害
致死罪、業務上過失・重過失致死罪、過失致死罪等が想定可能であるが、構成要件要素としての故
意は、当該犯罪行為が、前期各罪のどの罪を構成することになるのかを振り分ける契機となる事由と
して位置付けられるべきものであるから、その契機を果たすのに足りる認識が有れば、構成要件要素
としての故意は肯定してもよいと解される。
原判決が認定した被告人の行為は、殺人の故意が肯定されれば、まさに殺人罪を構成するのに十分
なものであったことは明らかである。
そういった行為に出た者が、原判決のいう「人の外観を有し、人の振る舞いをするもの」との認識を有
していれば、それらを総合して「人」といった認識を持っていたであろうとの推定をすることができるから、
構成要件要素としての殺人の故意はあったとしてよいものと解される。
このように解しても、構成要件による故意推定機能は最低限度満たされているといえ、前記のような行
動に出た者は殺人の構成要件に該当すると振り分けることができることになるからである。
原判決が被告人に殺意があったことを肯定したのは、この限度で支持できる。」