09/05/07 19:31:22
>>813
その時代には紫は西の対に住んでいたとはいえ
愛人を匿っていると世間に思われていた程度で
葵上存命中に妻らしい待遇は一切受けてなかったよ。
そんなことがあったりしたら、左大臣や頭中将が怒るだろうし、
何より左大臣に源氏の後見を託した桐壺帝が源氏の過ちを見過ごさなかっただろう。
紫上が「対の上」と呼ばれて源氏の妻の一人と認識されるのは正室葵上の死後だから。
あれほど嫉妬深い六条御息所も、嫉妬してとりついたのは
源氏の「正式な奥様」である葵上や女三宮に対してであって
愛人1号の紫上に対してではなかったし。
どうも「幼女のうちにさらった以上、紫上を正室にするのが源氏の務めだった」
と力説している人をみかけるんだけど、本来、紫上はそうなれなかったんだって。
何しろ、紫上がさらわれたときには源氏の正室葵上が生きている。
紫上の乳母や女房達、さらに祖母も、紫上が源氏の愛人にしかなれないのを分かっていた上で、
「あんな高貴な方の恋人の一人として面倒を見ていただけるのならば、
正室になれなくても姫は充分幸せだわ」
と思っていたのだから。
兵部卿宮に引き取られれば、兵部卿宮とその正室が正室腹の娘同様紫上をかしずいて、
「紫は正室腹の娘と同様の高貴な男の正室でなければ嫁がせん。
源氏が正室に、と言ってこないのならば、娘はやらん!」
と言うことが分かっているのならば、
源氏に協力せずに兵部卿宮に紫上の居場所をすぐに通報したでしょ。