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苦しい時も、悲しい時も、影のように傍に付き従い、全てを黙って受けとめてくれるアンドレという
男性も、自立して生きようとする女性にとっては、まさに夢に描いたような理想像でした。
そうした理由から、多くの女性がこの作品に魅せられ、今や第一次世代にとどまらず、後輩世代、
娘世代からも支持されているわけですが、一つ、非常に面白いなと思うのが、原作者である
理代子さんの考え方の変遷です。
この作品が彼女の一つの真実であることは変わりないけれど、今、振り返ると、「そうではない」
という感じがする……というような事を、二年ほど前、雑誌の対談で語っておられました。
理代子さんが、特に取り上げておられたのが、「理想の男性像」。
あの頃は、理代子さんはじめ、彼女の親友たちも、アンドレに理想の男性を見ていたのですが、世間を知り、
年をとってくると、品も教養も兼ね備えた貴公子フェルゼンの方が男らしく見えてくる、というものです。
彼女らいわく、女もいろいろ経験を重ねると、「愛と誠実だけでは、女を幸せにすることはできない」
ということが分かってくる。そうすると、俄然、地位も財産もある大貴族で、生涯他の女性を娶らず、
愛を貫いたフェルゼンの方が、スマートで逞しく見えてくるのだそうです。