10/01/17 00:06:45 EPe2VwR5
それを手にするためには、失わなければならなかった。
パートナーマシナリーは、それを手にすることのできないモノだったから。
「パートナーマシナリー」であるままではならなかった。
彼女は失った。そして望んだ。だから、今ここにいる。
「時間が!ない…っ!」
マガシの嘲笑。燃え落ちる建物。その記憶は誰のもの?
「間に合わない!時間が!あと10秒でいい、10秒あれば!うわああああああ!」
懐かしい感じ…これ、誰の声でしたっけ?
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FINAL STAGE -惑星コーラル 女王の宮殿"席のある部屋"-
むにゃ?ぺっぺっ…なんですかこれ、吊された男が描かれたカード?
変なものが口の中に落ちてきて、わたくし戦乙女のGH432は目を覚ましました。カードはさすがに趣味が悪すぎるので食べずに投げ捨てました。
ここはどこですか…黒の巨人が滅ぼされるところまで見て、誰かに引っ張られてきたような。
崩れかけたビルの群れ。煤煙にまみれ、星も見えない空。濁りきって腐臭を放つ河…今まで見てきた中で一番ひどい場所です。
荒れ果てた景色の中で場違いなほどに古く美しい建築物にわたくしは立っていました。先ほどまでどこか心地よい場所で眠っていましたのに。
黒い雨の降りしきる中、階段を駆け上がります。目指すは最上階、そこに主がいらっしゃる、わたくしをお待ちになっている…根拠があるわけではないのですが、なぜかわかります。
早く会いたいという焦燥感の命じるままに、わたくしは最上階の大きく分厚い扉を押し開けました。
重さをまったく感じさせないのに開くのが遅いという奇妙な扉に待ちきれず、できた隙間に身体を滑り込ませました。
漏れ出てきた光の中から見えたその部屋の中は、外から見て明らかに釣り合わない広さで、何百もの席が並んでいました。