08/05/08 19:41:24.30 6yI198s1
E鯖 鍛治パンダ
私が属する隊が、こと冥獣に対して、
寡兵にしてはそこそこ高い撃破率を誇っているのは、
前線で奮闘する勇敢なる将兵の活躍もさることながら、
潤沢な物資による後方支援が充実していることが
大きな要因のひとつであると、私は思っている。
物資の充実した陣地は、粘り強くて強靭だ。
この陣地の攻略に、敵の芋兵が手こずれば手こずるほど、
前線部隊は、心置きなく冥獣一体に火力を集中できる。
冥獣と芋兵に挟撃されることが、いかに恐ろしいか。
一度でも前線に立っていれば、きっとご理解頂けるだろう。
こと砲に関して言えば、我らが隊には、
上質な砲を量産し、惜しげもなく前線に投入してくれる
腕利きの技術士官が、何人か存在する。
資材調達力に難があることで、とても量産が叶わぬ私は、
自作で足りない分を、いつも彼らから拝領している。
五月三日、幾度目かの冥獣討伐戦に参加した私は、
いつものように、ある技術士官の方から、五基の大砲を拝領した。
一礼し下がろうとすると、
思いもよらず、その方からお声がけを頂いた。
何気ない一言だったのかもしれない。
しかし言われた私は、身の引き締まる思いがした。
敬礼し、この砲を決して無駄にすまいと心に誓う。
敵襲の合間を縫って、砲の修理に駆け回る私は、
傍から見れば、銃を持ちながら戦わない腰抜けに見えるかもしれない。
しかし私は、他人がどうあろうと、自分にできることをする。
砲を守れば、砲はきっと友軍を守ってくれるから。