09/03/15 07:57:01 elFftwAr0
在留特別許可 基準がないから不信が生じる(3月15日付・読売社説)
日本で暮らす資格のない外国人に対し、どのような場合に在留を認めるのか。
その明確な基準の必要性が浮き彫りになったといえる。
不法滞在で強制退去処分が確定し、法相に在留特別許可を求めていた埼玉県在住のフィリピン人夫妻が、
強制送還されることになった。法相は、13歳になる夫妻の長女だけに在留特別許可を出す。
長女は日本で生まれ、日本語しか話せない。現在は公立中の1年生だ。「親元で勉強を続けさせたい」
として、3人そろっての日本在留を願ってきた夫妻と長女にとっては、厳しい結論である。
だが、一家が起こした訴訟で、最高裁が強制退去処分の取り消しを認めなかった事実は重い。
一家には都内などに親類がいる。学校や地域社会にも溶け込んでいる。法相が長女だけに
在留特別許可を与えるのは、周囲の助けを受けながら日本での生活を続けられるとの判断からだろう。
法相は、夫妻の送還後も長女に会えるよう上陸特別許可を出す意向も示している。
夫妻には15年以上、不法滞在を続けたという事実がある。
それを考えれば、厳格であるべき出入国管理の中で、現実的な対応をしたといえよう。
夫妻は他人名義のパスポートで不法入国した。正規に入国した後に不法滞在となった場合と比べ、
より悪質だと判断したことが、夫妻に在留特別許可を与えなかった要因の一つといえる。
在留特別許可を与えるかどうかについて、明確な基準は存在しないのが現状である。
法相の裁量に委ねられ、ケースごとに、在留を求める理由、家族状況、生活状況などを考慮して判断する。
不法滞在という違法行為を重くみるか、あるいは、日本での生活実態の評価に重きを置くかで
判断は異なるだろう。