08/08/25 20:40:41 uV9T1lCRP
「女のリミットは35歳!?」（第1話）
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ついに。ついに34歳になってしまった。
「あと１年で子供を生むか、仕事をやめるか決着をつけなくちゃ」
サチコは結婚して4年目。短大卒業後に入社した地方銀行で、13年もの間コツコツと
真面目に働いてきた。おもにローン業務を引き受け、窓口では顧客の相談にものる。住宅
購入者による契約会が殺到する1月～2月は、土日出勤もいとわずに引き受けた。
サチコが入社した頃は寿退社が一般的だったから、すでに同期はほとんど辞めてしまっ
ている。それでもサチコが会社を辞めずに働いてきたのは、単純に仕事が好きだからである。
（略）
あちこちで耳にする「35歳以上は高齢出産」というフレーズが、じわじわとサチコを
追い詰める。
「派遣社員がいいんじゃないの？」
突然、話に入ってきたのは瑞江の夫、芳郎だった。
「芳郎さん、お久しぶり。もちろん派遣も考えたけれど、35歳定年説の噂を聞いたから
及び腰なのよ」
「何よ、その35歳定年説って？」初めて聞いたと、瑞江は身を乗り出す。
「派遣社員は35歳になると仕事の需要がなくなるって説があるんだよ。だから登録して
も実質は無職の状態になってしまうってこと」と芳郎。
「出産も仕事も35歳がリミットなんてひどい話でしょう？」
サチコは今日、いや、年齢を意識し始めてからなんどため息をついたことだろう。