08/08/09 00:23:33 q6eANmlI0
>>266
生き馬の目を抜く出版業界、その中で嵐を巻き起こすカリスマ・エ
ージェント。なにせすごく格好いいカタカタ職業です。お会いする前
に思い描いていた鬼塚さんはズバリ「切れ者」といったものでした。
スタッフの皆さんもすごい早口で、聖徳太子みたいに何本もの電話に
出ながら口角泡飛ばしている姿を想像しておりました。
緊張の面持ちで事務所へお邪魔したのですが、予想に反し、オフィ
スは「なごみ」を感じさせるアットホームな雰囲気に包まれていまし
た。
鬼塚氏の実物はというと、とつとつと言葉を選ぶようお話になる方
で、これぞまさに薩摩隼人といった風格がありました。いかにも業界
風の人が苦手だったので、非常に好感を持ったものです。スタッフの
清水さん、栂井さんも穏やかで実直な方でした。
お3方はそれぞれ原稿に関する丁寧なコメントを述べて下さいまし
た。自分の書いたものを真剣に読んでくれる人が目の前にいるという
こと自体信じがたく、夢のような至福の時間でありました。また、3
人とも頭に思い描いている本のイメージが微妙に違うという点も新た
な発見でした。
その時、清水さんから、出版の是非を検討してもらうための追加原
稿として、プロローグを書き足すように、と再度言われました。僕は
ゴールデンウィーク明けまで身動きがとれないので、5月半ばまで待
って欲しいとお願いし、幸い了承してもらえたのでした。
ようやく追加原稿が出来上がったのは6月6日、最初の講評をいた
だいてから4ヵ月が過ぎようとしておりました。
翌週の15日、僕の携帯にアップルシード・エージェンシーから着
信がありました。鬼塚さんからでした。
「出版社が決まりました」