08/12/20 21:21:13 ZZUOosW20
米国のトウモロコシ畑に現れた“フィールド・オブ・ドリームズ”は結局、幻だった―。
ブッシュ大統領が2006年初の一般教書演説で、再生可能燃料であるバイオエタノールの重要性に言及
して以来、米国ではトウモロコシから作るバイオエタノールブームが巻き起こった。
だが、その一大ブームからわずか2年足らず。今年10月31日に、終焉が誰の目にも明らかになる出来事が
起こった。米エタノール業界最大手の一つ、ベラサンエナジーが日本の民事再生法に相当する連邦破産法
11条を申請したのだ。
「業界では、ベラサンは1年くらい前から危ないと言われていた」(農林水産政策研究所の小泉達治主任
研究官)。同社は積極的なM&Aで事業を拡大したが、生産マージンが悪化する中で資金繰りの不安が
ささやかれていた。そこへ経営の判断ミスが致命傷となる。今年6月の記録的な高値局面でトウモロコシを
買い込んだため、08年7~9月だけで4・7億ドルという巨額な純損失を計上する羽目に陥っていた。
ベラサン社だけでなく08年からのトウモロコシ価格暴騰で、エタノール事業者各社とも厳しい状況に追い
込まれていた。穀物メジャーでエタノール大手でもあるADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)のように
ほかの事業でしのげる企業はともかく、バイオフューエル・エナジーやアヴェンティン・リニュー・エナジーなど、
エタノール専業各社の株価は1ドルを割り込んでおり、浮上の気配も見えない。
◆現実離れした法律が一大ブームを下支え
連邦政府や州政府による手厚い助成と、使用拡大を義務づけた「2005年エネルギー政策法」の施行
(06年5月)で、エタノール価格が4・2ドル超まで上昇(下図参照)したのが06年5月。その頃、バイオ
エタノールの生産マージンは1ガロン(約3・7リットル)当たり約9ドルにも達した。
一躍“儲かる”産業となったバイオエタノール業界には、トウモロコシ農家や投資ファンドの資金が殺到。
工場の新設や拡張計画も相次いだ。05年初に81あった稼働工場は、08年初までに50以上増え、足元の
製造能力は05年の2・5倍、年間100億ガロンにも達している。
▽ソース:東洋経済 (2008/12/19 17:30)
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