10/06/24 20:22:34 Z5W/0Dut
>>303
ちょうど再読してるとこだわ
なんかヘンテコな日本像だし、日本人の容姿についても酷い書かれようなんだけどw
でも豊かな自然とか それを愛でる日本人の穏やかな性質などが
やけに熱心に書かれていて、美しい国 日本への強い憧れみたいなものを感じる。
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かぐわしい飲み物を飲ませる茶店があった。ここではサキという名の、
米を発酵して造る酒も出される。快適な喫煙所もあった。
そこで人々がぷかぷか煙を出していた。アヘンを吸っているのではない。
ニッポンではアヘンはほとんど知られていないのだ。吸っているのは非常に細かく刻んだタバコなのだ。
やがて、パスパルトゥーは自分が田んぼの広がる中にいることに気がついた。
そこには真っ赤なツバキが咲いていて、あたりに最後の色と香りを振りまいていた。
ツバキの花は灌木というには背が高い木に咲いていた。
竹垣の中にはサクラ、ウメ、リンゴなどが植えられていた。
ニッポン人は実を採るためではなく、花を見るために、そういった木を植えるのである。
これらの木々は、奇妙な形をした、歯を見せて笑っているかかしによって、
スズメやハトやカラスやなんかのどん欲な鳥どもから守られていた。
杉の木の枝に大きなワシがとまっていた。しだれ柳の葉の中には、
アオサギが一本足でまじめな顔をして立っていた。
至る所に野生のコガラスやカモやタカなどがいた。それから、たくさんのツルがいた。
ニッポン人はツルを、長寿と幸福の象徴としてあがめているのである。
さらに彼は、肉屋の陳列台に羊もヤギも豚も見あたらないのを目の当たりにしていた。
牛を殺すことはニッポンでは宗教的なタブーであり、牛は耕作用としてのみ飼われていることを
パスパルトゥーは知っていた。従って、ヨコハマには肉があまりないのだと結論づけた。