09/02/25 14:12:49 2ndkhB6r
最近大江健三郎の初期の短編集(『飼育』とか入ってるやつ)を読んだんだけど、
それに収録されてる短編の一つに、文学部の学生が死体運びのバイト中、医学部の教授に
「何でこんなバイトをやっているんだ。君達の世代には誇りがないのか」
みたいな感じにどやされるシーンがあって、まあ主人公は何も言い返せないで黙り込んでいるんだけど、
それを読んだとき、うまいこと説明出来ないんだが「結局何も変わってねえなあ・・・」と妙な無力感にとらわれてしまった。
今までずっと日本人って『閉ざされた環境』で生きてきていて、それは今でも全然変化してないんじゃないかって気がする。
あんま詳しくないけどそれを打ち破ろうとした安保闘争やら学生運動やらも頓挫して、
『しらけの世代』とかが社会に出てきて、バブルが始まって弾けて不況で1999年人類は滅亡しなくて、
俺は別にノストラダムスの予言なんか大して信じてなかったけど、それでもなんか「2000年になる前に地球終わるのかなー」
とか漠然と思ってたりしたんだが・・・そういう人って結構多いんじゃないか?
00年代に入ってから社会全体がずっと惰性で続いてるような印象を受ける。そりゃテクノロジーは進歩したんだろうがその実感も湧かない。
あとインターネットの普及とかで今まで目に留まらなかった情報や視点が一気に個人レベルで浸透した。
「マスコミの言ってることは嘘だ」「ネットには真実が書かれている」「いやそんなわけねえだろ」「ネットとか信用すんな」、
で、もたらされる情報があまりに多すぎて混乱が始まる。取り込めるだけ取り込んで、結局何が本当なのか判らない。
かといって極端で暴力的な価値観に走るわけにもいかない。もちろん「皆」が言ってることやってることを今更鵜呑みにも出来ないという。
そんなわけで他者に対して心を閉ざすしか選択肢がなくなってくる。
世代とか個人の間でどんどん隔絶が深まってる(ように俺は感じる)のはそれが原因なんじゃないかなーとかふと思った。
国家転覆の危機レベルの大事件でも起きれば状況もまた変わるかもしれんが、まあ有り得ないだろうな。
誰か打開策のアイディアとか思いつかない?