08/05/20 22:28:18 VAbImvWJ
俺の嫁さんは料理が好きで、野菜のピクルスや魚や貝のオイル漬けなんかも自分で作っている。いい感じに食べごろになったそれを肴に酒を飲むのが俺の楽しみだ。
ある夜、残業で夜中に帰った俺は寝る前に一杯やろうと、冷蔵庫と台所の戸棚でつまみになるもの探した。嫁さんと子供を起こさないように電気は付けずにごそごそやって、手探りで一本の瓶詰めを取り出した。
―これはなんの瓶詰めだ?―
薄明かりの中でじっと目を凝らして見ると、瓶の中には茶色い液体に漬かった人の目玉がみっしりと詰めてあった。
「げえーーっ!」
思わず叫んで瓶を放り出したら、留め金に当たったのか瓶のふたが開いて中身が床に散らばった。ツンとする異臭が立ち込め、足元には目玉が散乱する。
俺がパニくっていると突然台所の電気が付き、「何してるの」と声がする。振り向くと嫁さんが呆れたような顔をして立っていた。
「お前、なんだよコレはっ」
「あ~、玉ねぎのピクルスこぼしちゃったの?」
そう言って嫁さんは床に散らばった物を片付け始めた。
「た、玉ねぎ?」
明るくなった台所でよく見ると、目玉だと思った物はミニトマトぐらいの大きさの小さな玉ねぎだった。白い玉ねぎの頭と尻の切り口がスパイスを混ぜた液が染みて黒ずみ、それがちょうど黒目に見えたらしい。
分かれば笑い話だが、本当にビビった。
俺は今まで何を食わされていたんだろうと。