08/06/08 17:31:54 mWWbcUdI
11月15日(月)「ショー子さんの兄探し」
ショー子さん(仮名)に初めて会った時、彼女は14歳だった。
略
ショー子さんと最後に会ったのは3年前のこと。井の頭自然文化園の中を歩きながら、
ショー子さんは言った。友達に調べてもらって、お兄ちゃんのことがわかった。どこにいたの?
刑務所。何をしたの? 人を殺しちゃった。
ショー子さんの兄は10年ほど前に起きたあまりにも有名な事件の主犯格だった。
不良高校生数人が美人女子高生を自室に監禁し、食事も満足に与えずに集団レイプと暴力を
一か月以上も繰り返した末、死んでしまうとドラム缶にコンクリ詰めにして遺棄したというあまりにも
ショッキングな事件。目の前にいる性格の穏やかなショー子さんと女子高生コンクリ詰め殺人とが
結びつくわけもなく、僕は間の抜けたふうんという返事をすることしかできなかったのだ。
彼女のお節介な友達が当時の新聞を図書館でコピーしてきて、見せてくれたという。
殺された女子高生とその家族の無念、痛ましさは想像するに余りあるが。親はいったい何を
やっていたんだと気楽な世間が加害者の家庭にもその牙を向けた頃、ショー子さんの家族は
都心に近い家を捨てて、この地へ逃れてきた。当初、僕には理想的な家庭に見えたショー子家。
傍目には親密な夫婦だったが、実際のところ、事件以来夫婦仲は疎遠。母親はただ宗教に救いを
見いだしているばかり。僕には何もわかっていなかったのだ。お兄ちゃん、いつか出てくるんだよね。
その時、どうしよう? 少なくとも、ショー子さんは全然悪くない。そして、心乱す様々な感情を
静かな表情の奥に沈めてしまえる彼女は今や大人だった。シックな服装に身を包み、
背筋をまっすぐ伸ばして立つ背の高い彼女を見ていると、感動に近いような感慨を覚えた。
中学校の制服を着た彼女に初めて会った時のことを昨日のように覚えているというのに。
教育者の喜びというものがあるのなら、おそらくこれがそういうことなのではないか。
犯人の妹の家庭教師が開いていたHP
URLリンク(www.myhomepage.vgocities.net)