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●特殊な不整脈疾患:心室細動で基礎疾患の不明なもの(突然死をきたす心室性頻脈性不整脈)
※不整脈による死亡の中で心室頻脈による死亡が8割を占める。
○診断のポイント
①心室拍数120~240/分の規則的なQRS波
②QRS幅は通常広い(≧120msec)
③QRS波とP波との飛燕がみられる
※蘇生成功率は毎分10%低下
○具体的な疾患
1.先天性QT延長症候群…心室頻拍を惹起することがある。QTcなどを用いたSchwartzの診断基準によって
診断する。LQT遺伝子異常が原因であることが多い。カリウムチャネルの責任遺伝子である
LQT1、LQT2とナトリウムチャネルの責任遺伝子であるLQT3だけで全体の95%を占める。
心電図では幅広い大きなT波、小さなノッチのあるT波、後半部にピークの有するT波、
U波の増高と多種類の心室性期外収縮、T波とU波の融合などが特徴的。
※QT間隔延長…心電図上、QT間隔は心室筋の脱分極開始時相(Q波)からT波の終わりまで
の時間を言う。QT間隔は心拍数の変化で変動する。従って心拍数による補正が必要である。
補正したものをQTc(corrected QT)で表し下の式で計算する。
QTc=QT時間(秒)/√RR時間(秒)
2.後天性QT延長症候群…低カリウム血症、低マグネシウム血症(基準値2.0mg/dl)
※植込み型除細動器(ICD)…体内に埋め込まれたICDが頻脈を自動的に検知し、抗頻脈ペーシングや
ショックを出すことによって抗頻脈治療や除細動治療を行う。また、徐脈治療用としての
ペースメーカー機能も持つ。Brugada症候群やQT延長症候群などの心室頻脈/心室細動を
起こしやすい疾患を有する症例など、不整脈がある、もしくは不整脈を起こす可能性が高い
症例に適用となる。
3.Brugada症候群…ST上昇がみられ、Coved(弓を折り曲げたような)Type とsaddle-back(馬の背)Type
のST上昇がある。心電図によりⅠ~Ⅲの型に分ける。Coved Type はⅠ型、saddle-back Type は
Ⅱ、Ⅲ型であり、その他の所見でⅡかⅢに分類する。
4.不整脈源性右室心筋症…ε波が特徴的。
※イプシロン波(ε波):QRS波の終了直後に出現する小さい結節状の波である。心筋の過敏性と関連している。