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楠城華子blog
2008年06月14日
自由と平等のバランス~flexicurity~
そんな沈鬱とした気分で、いろいろな文献を読みあさっていたら
国際関係の雑誌『Foreigne Affairs』 の3・4月号で取り上げられていた
デンマークの労働政策に目がとまりました。
Flexicurity = Flexible(柔軟性)とSecurity(安全保障)を併せ持った労働政策
「自由」と「平等」という通常相容れない概念を共存させることに成功した
政策なんです。
競争率が世界第三位のデンマークでは、従業員の首を切る行為に規制が
ほとんどかかっていなく、生産過剰になり、社員が多くなりすぎたら、
会社は比較的簡単に社員を解雇する風習があるそうです。これだけを聞く
と、え?!なんて、怖い社会なの?って思っちゃいますが、
そうじゃないんです。どんどん解雇されちゃうんですが、その後の手当てが
厚くて、失業したら、給料の90%が最大4年間保証されて、再就職訓練を
受けることができるんです。(というか、再訓練を受けないと給付金が
ストップされます。このあたりは厳しいです)
会社側は労働力の流動性を保つことができるので、人手不足の時は気軽に人
を雇い、いらなくなったら解雇するという柔軟性で、経営効率を最大化し、
会社の成長力をつけることができます。
労働者側は、手厚い保護があるので、失業が怖くないし、転職するたびに
スキルアップできるし、みんなしょっちゅう解雇されるので、転職という
ものにネガティブイメージが全くなく、(国民の70%が転職はいいこと
だと思っている)
そんな気軽なものだから、なんと、デンマーク人の平均転職回数は6回、
毎年3人に1人が転職しているんです。(にも関わらず、就業率は世界でも
トップクラス)
そして、もう一つの大きな特徴は、サービス業の地位が他の地位と変わらない
ということ。清掃業など、日本だとあまりよいイメージがない職業が、メーカー
勤務の人と変わらない給料とブランド力をもっているそうです。
(もちろん、政府による補助金やプロ育成機関など援護射撃があるからです