09/06/06 01:52:16 90Wkft7g
ぼくはあやのに昨日の事を謝るために電話をかけた。3回目のコールであやのは受話器を取った。
「もしもし。きのうはごめん」とぼくはいった。
「悪いけど」と彼女は言った。
「今カレーを煮込んでるところなんれすよ」
「うん?」
「今手がはなせないんれすよ。じゃがいもが煮崩れしちゃうから」
僕は黙ってしまった。
「とても微妙な料理なんれすよ」
受話器を握る僕の手は微かに震え始めていた。
「だから、あとでもう一度電話してくれないれすか?っていってんぬ!」
「カレーを煮込んでる最中だから?」と、僕は言った。
「そうれすよ」
どう答えていいか僕にはわからなかった。ある種の物事は好むと好まざるとに関わらずこうして終わりをつげるのかもしれない。