09/02/17 14:02:05
最初は、ほんの悪戯心だったのに。
ベッドのうえにしどけなく横たわる小さな身体を見下ろすうちに、佐藤は仄暗い欲望が燻り始めた。
雨に濡れた眼差しは、とろんとして頼りなく、半開きの唇、
悲しそうに歪められた眉、そして、いかにも触れたら柔らかそうなモチ肌が、おどろくほど色っぽい。
無抵抗な若林をベッドに運び、その上から覆い被さった佐藤は、
予想をはるかに凌駕する扇情的な光景に、ごくりと唾を飲み込んだ。
携帯のコール音が喧しい。今イイところなんだから、邪魔しないでくれ。
「もしもし」
『夜遅くに悪い、佐藤。うちの相方、来てないか？』
「きてないよ」
『そうか、わかった。ありがとう』
はい、おしまい。ご苦労様でした、春日さん。
切羽詰まった男からの着信を切ると、佐藤は、そのまま携帯電話の電源を落とした。
うちの相方、か。まるで自分の女房でも呼ぶみたいな言い草じゃないの。
だけど、お生憎様。君の可愛い奥さんは、他の男の家で、食べられるのを待つマグロ状態です。