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大奥総取締・衛門の佐の亡くなった一年後、桂昌院も亡くなる。
その後、綱吉はお伝のもとへ度々赴き、松姫の冥福を願って祈るようになる。
このように穏やかな晩年をすごしていた綱吉だったが、麻疹にかかり伏せるようになる。
高齢であったために、将軍後継者家宣と間部詮房は心中穏やかではない。
特に詮房は「綱吉!早う死ね!」と願う始末。
そんなある日、綱吉の寝所に入り込む者がいた。御台所である。
御台所が通風を煩って以来、綱吉は御台と顔をあわせることも無くなっていた。
恨み言と初めてあった日の感激とをないまぜにしながら、綱吉の首を絞める御台。
その時「もうお気はすみましたか」と吉保が声を掛ける。
御台所は狼狽しながら立ち去った。
ぜいぜいと息をする綱吉の顔に吉保は水で濡らした懐紙をのせた。
綱吉に恋をしていたのは、独り占めにしたかったのは、大奥の男達だけではなかったのだ。
抱きしめる吉保の腕の中で綱吉は動かなくなった。
六代将軍の御世になり、生類憐みの令は廃止された。