09/09/17 10:58:58 0
それからの過去の画面は、柚香たちが逃げ続ける姿ばかり映し出される。
危険な日々を送ることに柚香は罪悪感を感じるが、お腹を大きくした馨は
追っ手は半分自分狙いだ、倒れたのは寝不足でお腹の子も医者に大丈夫だと
言われていると励ます。
そんな馨に、治癒のアリスの子からもらったアリスストーンで、
自分は十分守ってもらったからと、石がついたペンダントを柚香は渡す。
その石は、蛍兄が柚香にあげていたものだった。
それを見た蛍は、幼い頃の兄の姿と、自分との別れ際の姿を頭に浮かべる。
本当は医者に出産は厳しいと言われている馨は、追っ手から逃げ惑う日々に
身体がかなり弱っていってしまう。
「先輩…今まで巻き込んでごめんなさい。大事な体の時に随分アリスを使わせて…」
「何言って…」
「ずっと一緒にいて…もっと早く気付くべきだったのに。
私バカだから気付くの遅くて…寿命を縮める能力型(タイプ)なんでしょ先輩…
もう随分長い間…黙って無理してたんでしょ……」
そして、この子と2人で大丈夫、もう無理はしないで…との言葉を最後に柚香は姿を消す。
棗はペンダントのアリスストーンを手に、幼い頃に母からペンダントを
もらった時のことを思い出していた。
自分と同じ体質の棗に、この石が自分の代わりに守ってくれるから、
大きくなったら自分の分も父と妹を守ってやって、ごめんな棗…との母の言葉を。
柚香の馨への最後の言葉で、まさかという表情で棗をみんなが見つめていた。
「あんたもそうなん……?ウチバカやから…ずっと…」
(予感はあんなにしてたのに……)
涙ながらに言う蜜柑を、棗はつないでいた手をグッと引き寄せ蜜柑を胸にする。
「バーカ、死なねえよ。いっただろ。どこにもいかねえって……」
次号につづく