09/12/15 00:35:23
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こうしてシンジは復帰した。学校はなくなり、子供たちは家庭教師をつけられて勉強することになったり―アスカとレイは拒否したため、シンジだけだったが―、
シンジの心には傷跡が残り、悪夢を見て夜中に跳ね起きたりすることはあるもの、おおむねいつもの日常に戻ったように思われた。
起こったことを考えれば、誰にとってもまずまず文句のない展開と言えた。
特に、赤木リツコにとっては理想的とさえ表現してもいいくらいだった。
リツコはタバコを口に銜えたままモニターをチェックしていた。タバコの煙越しのため、目を細めて見ている。
レイのシンクロ率を見る。案の定、以前よりかなり低く、何回テストしても低いままだった。
部屋に誰もいないときを見計らって、もっと上げるように指示すると、レイは戸惑った様子で、自分でも分からないがもう自由にシンクロ率を操作できなくなった、と告げた。
嘘をついてるようには見えなかったし、その理由もない。
つまり―。
「さて、と。いよいよね」タバコを灰皿に押し付けた。手に力が入っていることに気がついて、苦笑した。やっとこの日が来たのだ。力が入って当然かも知れなかった。
「お姫様は王子様と末永く仲良く暮らしました―。そんなことが通ると思ってるの、レイ? そうはいかないわよ。あなたにはハッピーエンドは似合わないし、私が許さないわ」
リツコは受話器を取り上げた。
さあ、いよいよ―
復讐の時間が、はじまるのだ。
(続く)