09/12/04 14:29:52
「アスカ・・・どうしたの?」
ガクンとうなだりぇるアタシを心配したシンジが、ソッと近くに来てくれりゅ。
「苦しいの?・・・ねぇ、なんで無理やりお酒なんか飲もうとしたの?もしかして嫌なことでも…」
「さわりゃないれよ!!」
優しい言葉と共にソッと背中を撫でてくりぇたシンりの手を、アタシは思いっきり弾く。
あぁ結局またやってりゅ…バカアしゅカ…。
「アンタらんかに心配してもりゃわなくれも大丈びゅよ!」
「で、でも本当に苦しそうだったから!」
「大きにゃお世話しゃまにょ!!」
グスッ…にゃにがお酒は本当の自分が出りゅものよ…
頭は痛いし、気持ちわりゅい…オマケにいつみょよりカリカリすりゅなんて…。
「ごめん・・・でも僕は本当に心配だったから…」
「うりゅしゃあああああい!そみょそも誕生日パーティーなんて、誰も望んでにゃいのよ!」
「・・・アスカ」
「アンタの用意ちたプりぇゼントなんか、いりゃないし必要にゃいもん!さっしゃとゴミ箱にでも捨ててきなしゃいにょ!」
あぁもう死にたいよ・・・
世界の終わりみたいに色んな物が崩れりゅ・・・
いっそ…地球ごと爆発してくれないかな
・
・
『ドガアアアアアアアアアン!!!』
518:パッチン
09/12/04 14:31:27
一瞬の沈黙を破った突じぇんの爆発音に、シンりとアタシはビクリと肩をふりゅわせた。
「使徒!?」「ち徒!?」
見事にユニゾンちた言葉と同時に立ち上がり、ベランダに走・・・りょうしたけど、アタちの方は足がもちゅれてベチャリと無様に転倒。
一方無事ベりゃンダに辿り着いたシンりは、グッと体を曲げて遠くを眺みぇりゅ。
「戦自が出動してる…間違いない!」
ピリリリリリ!
そにょシンジの言葉とほぼ同時に鳴り響きゅ携帯電話。
いまだに床でジタバタちてるアタシはテーブルに置かりぇた携帯を取れにゃい。
とことんカッコわりゅい…
「アスカやっぱり使徒らしいよ!今からミサトさんが迎えに来るらしいから、外で待とう!」
「わかってりゅわよぉ~」
アタちは返事だけは出たもにょにょ立ち上がることすら出来ず、
生まりぇたての子牛(それもかなり鈍くさいやつ)ばりにノソノソ動きゅだけしか出来にゃい…。
「ダメだ時間が無い!早く立ってよ!」
「命令すりゅな!」
「でも!」
「くみゅみゅみゅ…!」
「・・・ごめんアスカ!」
「みゅみゅ!?」
突然、プルプルと起き上がろうとちていたアタシの体と床の間に差し込まれるシンりの腕。
519:パッチン
09/12/04 14:33:03
そにょままアタちの体を抱え上げ、俗にゆう『お姫しゃま抱っこ』の形に移行すりゅシンり。
「ちょちょちょ、ちょろっと…!」
「ご、ごめんアスカ、急ぐね!」
そしてシンりは駆け出す。
アタちも最初は戸惑っていたけろ、グラグラと揺れりゅ上半身を固定すりゅため、おじゅおずとシンりの首に腕を回した。
あああ…恥ずかちい…。
などと照れていりゅアタちをよそにシンりは、玄関を飛び出しマンションの廊下を通過しエレベーちゃーに乗り込んだ。
こんにゃ状態の2人が密室に…。
などというピンきゅ色のモヤモヤがアタちの心を包みゅ。
でもチラッと上を眺めりぇば、汗を流しながら息を整えりゅシンりの顔がありゅ。
・・・なんだか純しゅいに綺麗だと思った。
「お待たせ2人共!・・・おぉお姫様抱っこ!?誕生日だからって一線超えたのアンタ達!?
お姫様も顔が異常に真っ赤だし…って、酒くさっ!!」
うりゅさいミしゃト・・・今いい所だったにょに。
何も言わないで真っ赤になりながりゃシンりは先にアタちを後部座席の奥に座りゃせてくりぇる。
そしてシンりがその隣に。
520:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/04 14:40:01
支援金
521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/04 16:34:19
パッチンさんキター!!
酔っぱらったアスカのしゃべりが可愛いw続き待ってます!
522:パッチン
09/12/04 18:38:30
>>519続き
「と、とりあえず出発して下さいミサトさん!理由は移動しながらで!」
「そ、そうね!今は保護者としての心配より、作戦部長よ!」
そう言ったミしゃトはバタバタ忙しきゅ車に乗り込みエンジンをかけりゅ。
う・・・やっぱり揺れりゅ。
下からドドドとくりゅ揺れに多少の不安を持ちゅアタち…。
「と、とばすわよぉー2人とも!!」
とばさないれ…ミサろ…。
もちろん声にならにゃいアタちの言葉にゃど届かず、爆音を響かせにゃがらミしゃトが時速計を振り切っちぇ走りだちた。
ミしゃトのうるさい声とエンジン音に囲まれながりゃの最悪のドライブ。
隣のシンりが心配そうにアタちを見りゅけろ、ヤバいかも…。
グワングワングワングワングワングワングワン…
揺れりゅ揺れりゅ車にシェイクさりぇた脳が意識を飛ばしていく…。
「み、ミサトさん!スピード緩めて下さい!」
「無理よ!アスカにはネルフに着いたらリツコ特製の酔い覚まし薬があるから、飲ませるわ!
・・・いや、あれはこの前あたしが飲んだっけ?」
ミしゃトの訳の分かりゃない1人言は子みょり歌・・・。
揺りぇる揺れりゅ脳がゆっきゅりとアタちの意識を吹き飛ばしていっちゃ・・・う。
523:パッチン
09/12/04 18:42:22
すいません中途半端なとこで連投規制かかりました…orz
一応今回ここまでです。
仕事の休み時間中にまとめて投下したかったんですけど、規制解除の前に休み時間が終わりまして…続きがだいぶ遅くなりました。
支援してくれた方と感想くれた方ありがとうございます!
続きは明日にでも…
そして惣流さんも式波さんも宮村さんも誕生日おめでと~
524:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/04 19:17:27
待っていました。
だいすきでちゅ。
525:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/04 19:47:08
GJ!続き待ってます!
526:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/04 21:06:32
GJ、続きが楽しみ
527:パッチン
09/12/05 22:43:24
ごぼごぼっと鼓膜を直接叩く水音…
緊張と安らぎが心を浸食する独特の感覚…
いつもと同じ…
いつもと同じ感覚…
違うのは…いつもと違うのは…
匂いが違うのかな?
背もたれが妙に柔らかいのかな?
肺の中の液体が踊る…
「アスカ…」という声が聞こえる…
誰もいないはず…だよ?
この感覚が支配する瞬間は、誰にも邪魔されないアタシだけの時間…
アタシだけの…瞬間
でも、嫌いじゃないな…
誰かの心が入ってくるみたい…
気持ち悪くない…むしろいつもより気持ちいいよ…
気持ちいい気持ちいい気持ちいいよ…
気持ちいいよ…
「アスカ…」
優しい声がする…気持ちいいよ
ドキドキする…たまらなく嬉しくなる
頭が痛くて気分は最悪…でも満たされるこの感覚
心から…幸せ
嬉しくて嬉しくて、アタシは目を覚ます
ほら、ゆっくり目を開ければ…その先には
どす黒い触手を振り回す天使がいた
528:パッチン
09/12/05 22:45:09
「うわあああああああああああ!!!!」
呼びかけていた優しい声は叫びにも似た声に変わり、同時に爆音がアタシの耳をつんざく。
えっ!
ここは・・・多分弐号機のプラグ内で・・・前方には使徒。後方は…シンジ!?
「くっ!うぁ…」
「しん…じっ」
状況が今ひとつ掴めないアタシだが、彼の苦しげな声にハッとする。
とにかく後ろから覆い被さるようにレバーを握るシンジの手に、自らの手を重ねる。
「ぐぁっ…あ、アスカ!?」
「あ、くっ!!」
よし、シンクロしてるわね…。
対峙する敵はかなり前に戦った蜘蛛使徒のような形状。
違うのは足に関節が無く、それぞれがミミズのようにジタバタと動いて「うぷっ…!」
「アスカ…?」
ヤバっ…気持ち悪い…
グッと胃の奥から上がってくる熱、機体が揺れるたびに押し寄せる頭痛。
完全にまだお酒が残ってる…
使徒戦の最中なのに、全く別の物と戦い始めるアタシ。
「くそっ!この蛸お化けえええ!!」
あ、あんまり大きい声出さないで…
『ピギイイイイイ!!』
あ、頭に響く…
ガガガガガガッ!
揺れ…ダメ…
「やった!アスカ使徒せんめ…つ?」
…ダメ…
「うっ、うわあああ!?アスカあああ!!」
529:パッチン
09/12/05 22:46:44
・
・
「どおリツコ~少しは反省してる?」
「あら早かったのね。事後処理は済んだの?」
「ん~まだちょっち残ってるんだけどねぇ。可愛い妹の様子が心配で、少し抜けてきたのよんっ」
うつ伏せの状態で医務室の硬いベッドに横たわるアタシ。
上司2人の会話内容はもちろんアタシに関することであり、けして良い話ではない。
しかし耳を塞ぎたくても出来ないのは、自分の中にある大きな罪悪感と更に大きな後悔のせいであった。
本当に何なんだろうアタシは・・・そして今日という日は・・・。
「動かないわねぇバカアスカ。特性酔い覚め薬って、もう出来上がってるの?」
「とっくにね…でもこの子、飲みたがらないわ」
「はぁ…まあそんなことだろうとは思ったけどね…。こらアスカ!いつまでも寝てないで早く薬飲んで、家帰りなさい!」
「・・・飲みたくなぃ」
「アスカっ!!」
「このまま頭痛と吐き気で死にたい・・・」
喉の奥から振り絞るように出した声は、グルルと唸るような音も同時に発生しており、無駄に凄みがあった。
「まあ落ち込んでも無理ないかもねぇ。割と完璧主義者だから、他人に駄目な部分晒すの慣れてないだろうし」
530:パッチン
09/12/05 22:48:13
そう言ったミサトは溜め息一つ吐き、更に言葉を繋げる。
「まあ自業自得とはいえあそこまでのミス犯したら、流石にアスカじゃなくてもこうなるかしらね…」
言わないで・・・
「なにせ、へべれけになった状態で車乗り込んだらすぐに目回して、隣のシンジ君の股関あたりに顔埋めるように倒れて気失うし…」
言わないで・・・
「ネルフ着いたら、司令に『使えない酔いどれのポンコツ』とか言われるし…」
言わないで・・・
「挙げ句は戦闘終了とともにゲロ吐いて、それがLCLに溶け込んでプラグ内汚すわ、シンジ君に被害及ぶわで…」
「も、もう言わないでよ!!!!」
それ以上はやめてという意志が膨れ上がり、アタシは体を跳ねるように起き上がらせる。
「起きた起きた。ほら薬飲みなさい」
「あっ…」
今日初めて目を合わせたミサトは半ば呆れた様子で、ツンとした匂いを放出する謎のビンを差し出す。
色んな意味で飲むことを躊躇…。
「ドラム缶一杯のビール飲んでも、ケロッと治るリッちゃん特製の不思議な薬よ」
逆にヤバくない…?
「今日はそれ飲んで帰りなさい。送りの車は手配しとくから」
チビチビと薬品を喉に通すアタシに、リツコはそう言い残して部屋を出ていった。
531:パッチン
09/12/05 22:49:48
「さ~てと、あたしも仕事済ませちゃおっかな?多分明日は帰りお昼頃だと思うからシンちゃんに伝え…」
「ミサト」
伸びをしながら喋っていたミサトは、その中途半端な体制のままアタシの方に目を向ける。
「なんで…なんでアイツ弐号機に乗ってたの?」
ずっと気になっていた疑問。
初号機は別に凍結中でもなんでもなく、最近の使徒戦も鬼神のように暴れまわっているエース。
なのになんでアタシみたいなのと一緒に弐号機に…。
「・・・ふふっ、その事件が一番酔いつぶれを後悔するポイントかもね」
「え…?」
「かっこいいシンちゃんを見逃したってことよ♪」
初めて笑顔を見せたミサトは、おそらくポカンと口を開けてるであろうアタシにそう言った。
「シンちゃんね司令に怒ったのよ。あんたのことポンコツ呼ばわりした時、『アスカを悪く言うな!』って。
もちろん悪いのはアスカなんだけど、何故かシンちゃん相当頭にキタみたいでね。
酔って寝てるあんたを弐号機に担ぎ込んで、勝手に出撃したんだから」
「シンジがアタシを…?」
「みんなビックリして、周りの誰も止められなかったわ
アスカと一緒に使徒を倒します…だって。男の子だったわよ、あの時のシンちゃん」
532:パッチン
09/12/05 22:51:26
・
・
裏技のような薬で完璧に酔い覚めした少女は、廊下で談笑する上司2人にペコリと頭をさげ、エレベーターに乗り込んでいった。
「言っといた?シンジ君にお礼しなさいよってこと」
「言ってないわよぉ~♪多分あの雰囲気なら言われなくてもするでしょ」
「まったくシラフのこっちが頭痛くなるわね。
今回は一応形はどうあれ出撃できたから良かったけど、次にこんなことがあったら厳しい処罰をお願いしますよ作戦部長さん」
「はいはぁ~い。」
こめかみのあたりをグリグリと指でおしながら、溜め息を吐くリツコ。
「ま、若い時は雪玉みたいに転がりながら大きくなればいいのよ。次に良い結果が出ればよし!」
「少しは悲観的な考えも持ち合わせてないと、現実は暗いままよ」
「ふふっしかし、眉間にシワをよせつつも、面白いデータが取れて口元にもシワが寄る科学者さんなのでした♪」
セリフのように言ったミサトは、リツコが眺める書類を隣から覗き見る。
「ほぉ…思った以上の数字ね」
「それもアスカが目を覚ました瞬間に、爆発的に伸びてるわ。
本当に面白い2人ね。もっとかき混ぜれば更に面白い化学反応が出るかしら?」
「・・・それは保護者として引き止めるわ」
533:パッチン
09/12/05 22:52:20
今回はここまで。次回がラストです。
534:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/05 23:24:16
パッチンさん。
最高です。
乙です。
535:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/05 23:51:57
GJ!
しかしプラグ内リバースとはw…想像しただけで(( ;゚Д゚))
536:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/06 06:38:48
ゲロまみれwwwww
537:パッチン
09/12/08 19:47:39
ふぅっと見慣れた葛城という表札の前で深呼吸…。
どんな顔して→なるべく平静を装いながら
最初のセリフは→ただいま
そしてまずは→素早くプラグ内での失態を謝り、素早く一緒に弐号機に乗ってくれたことに礼を言う
そして→相手の返事を待たず素早く自室に引きこもり、今後一週間ほどは目を合わせずに過ごす
時間が癒やしてくれるのを待つ
これが帰りの車内で考えていたアタシのプラン。
我ながら逃げ腰な内容だと思うが、これしか方法が無い。
もう誕生日がどうこうなんて言ってられない…優しいアイツにこれ以上嫌われたくない…。
潤みだした視界を誤魔化すように、再び深呼吸。
いくわよアスカ…
がちゃっ
「ただいま!」
「あ!おかえりアスカ!」
台所からやってくるシンジの声と足音。そしてクリームシチューの香り…。
残念だけど今日は食べれないのよ…。
「おかえり、体調はもう大丈夫なの?」
「う、うんっ。あのシンジ…!」
言え!まずは謝るのよ!
「そっか、今日はごめんねアスカ…」
「え・・・えっ?!」
とアタシの頭が下がる前に、彼の黒い頭がスッと下がってしまった。
538:パッチン
09/12/08 19:49:09
「な、なんでアンタが謝るのよ!」
「僕のせいで誕生日が滅茶苦茶になっちゃったから…ごめん」
「あ、アンタのせいで?」
意味が分からず聞き返してしまう。プラン内容とは間違いなくズレた行動。
「車の中でアスカが倒れた時、約束したじゃないか。今日は苦しそうだしアスカの誕生日だし、僕と綾波だけで使徒と戦うって…なのに約束破って僕は…」
ナニソレ?
グッと両手を握りしめて申し訳なさそうに呟くシンジ…。
いやそんな約束、意識とんでて覚えてないんだけど…
「ち、ちなみにその約束言った時、アタシなんて言い返したのよ!」
「みゅー」
「そ、そんな寝言を了解と捉えたのアンタは…?」
唖然とするアタシを尻目に、更にシンジは続ける。
「それにその…アスカの…吐くとこ見ちゃったし…」
あ…!
「あ、あれはアタシが悪いのよ!」
「でも女の子がそんなことするなんて、他人に見られたらやっぱり嫌だろうし…
もとはといえば、僕がアスカを無理やりエヴァに乗せたからで…」
こ、ここまで内罰的だとは思わなかったわ…。
当初のプランなどどこへやら。
アタシは、どう話せば自分がシンジに謝れるかどうかについてから悩まなくてはいけないようだ。
539:パッチン
09/12/08 19:50:58
・
・
「はぁ、謝るまでの説明でこんなに時間がかかるとは思わなかったわよ…」
「ご、ごめん、一旦コーヒーでも飲む?」
「い、ら、な、い!!」
「ごめん…」
『いかに自分が悪かったか』を説明し疲れたアタシは玄関の壁にもたれ、少し息を整えた。
ったく!謝罪の気持ちだけを込めて謝りたかったのに、そんな空気じゃなくなっちゃったじゃない!
・・・でも、正直助かったかな…とも思ってる。
シンジの勘違いのお陰で、アタシも逃げずに、正面からぶつかっていけたし。
そのことは、心の中でアリガトウねシンジ…
「というわけで、これからアタシはアンタに『ごめんなさいとありがとう』を言わないといけないわ」
「も、もういいよ!十分伝わったから!」
「なに言われる側がテレてんのよ!」
「テレてるとかじゃなくて!…その、アスカが僕に謝ったりお礼言うなんて…ちょっと気持ち悪いし…」
「んな゛っ!!」
思わぬパンチに驚愕。
あ、アタシをなんだと思ってんのよコイツは!?
「どういう意味よそれは!!」
「ほ、ほらそうやってすぐ怒るから!」
「うっ…」
「そういう風にしてる方がアスカらしくていいよ。謝罪の言葉なんていらないからさ」
540:パッチン
09/12/08 19:52:24
混じりっ気無しの笑顔がアタシの心を射抜く。
あぁ…もうダメだ。そんな顔されたらダメ…。
「でもね、1つお願いごときいてくれる?」
「え…?」
謝るタイミングとパワーを完全に奪われたアタシに、シンジは1つ提案を出してきた。
「今アスカが帰ってくるまでに色々準備してたんだけど、間に合いそうになくってね」
左頬をポリポリかきながら、はにかむシンジ。
「明日なら…完璧に出来ると思うんだ。飾り付けも、料理も、ケーキも頑張って手作りしてみる。
明日ならアスカも喜ぶ顔出来ると思う…」
シン…ジ…?
「だからね、今年の誕生日は・・・12月5日にしてほしいんだ」
「っ!・・・・・」
瞬間、涙が溢れて壁に張り付いていた背中がズルズルと音をたてて下っていった。
ミサトのヒールにお尻を乗せて泣いていた。
アタシの情けない姿を見て、また謝るバカシンジ。
気付けば今日は最悪の1日だった。
大失敗の1日だった。
なのに今日初めて流した涙は暖かい涙。
シンジの優しさに包まれる今なら…確信できる。
明日は多分、笑えるよね。
おわり
541:パッチン
09/12/08 19:53:11
以上で終わりです。
一回やってみたかった2スレ同時攻撃でした。
今年はしかし良いLASがたくさん読めて良かったです。
個人的には新劇で着火され、迎え火で炎上して、猫シンジで爆発したような年でしたw
まだ読んでない作品もあるので、年末はゆっくり読みたいと思います。
最後にミサトさん誕生日おめでと~。
542:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/08 21:07:58
パッチンさんGJ!
>>537のアスカの考えたプランがすごくアスカらしい(特に最後の部分)
全体的にほのぼのしてて楽しませてもらいました!
543:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/08 21:29:22
GJです
うん、なかなかだいすきでゅ。
最高ですよ。
544:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/08 22:21:35
GJ!いいLASだ。そしてシンジ本当にいい男だ。
545:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/09 00:58:42
童貞妄想乙
546:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/09 09:38:27
2スレってもう一個どこ?
547:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/09 10:52:55
同棲スレ
548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/14 13:13:38
冬将軍到来
549:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/19 15:42:44 oUiK/WMV
保守age
550:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/24 11:34:33
ほし
551:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/01/01 23:25:22
保守
552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/01/10 16:16:43
クリスマス記念も正月記念もなかったなぁ
553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/01/11 23:05:16
皆、個人のHPで書いて、こっちには落さないみたいだね
554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/01/13 14:45:18
そもそも残ってた人まで追い出したわけだしな
555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/01/13 18:07:38
潰し合いですね。
556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/01/22 19:16:35
そのうち誰か書いてくれるでしょう
557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/01/30 21:11:32
もう無理じゃね?
558:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/02/02 19:03:57 9Enp0vAn
投下あれば活気付くんだろうけど
559:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/02/03 17:07:57
ifは死んだ。それは何故か!?
560:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/02/03 23:56:39
生きてたからだ。
561:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/02/04 06:48:17
ifなんて最初から居なかったんだよ
562:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/02/08 09:29:20
嘘だ!!!
563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/02/16 03:25:50
>>561
mktn、こんなところで何やってんのw
564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/02/25 19:26:37
if大好き♪
565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/04 23:39:15
過疎ってんねぇw
21もスレ重ねりゃ普通か
またりするにゃ良いけども
566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/06 13:32:49
>>565
Qまでは、こんな感じだろ。
BD発売で少しは盛り上がるかな?
567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/07 19:58:08
今までの投下の中で好みだったSSってある?
568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/07 22:28:33
>>566
Qがリリースされたら、また駄作の山に埋もれるのか
569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/10 02:49:10
駄作だと思っても黙っとけばいいんだよな。大人なんだから
FFに限らず文章って、書くのにも投下するのにも精神的な労力使うし、職人は仕事や学業の合間縫って少しずつ書いてるのを投下するんだから
ちょっと力不足だとか気に入らないからと言って「駄作投下スンナ」はちょっと違うよな
と僕は思いまーす(・∀・)
570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/10 12:51:40
そう
その通りだ
571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/10 23:45:15
にしてもにわか止まりじゃなく継続してくれたら応援するのにな。。
572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/10 23:55:30
>>569
投稿は書き手の自由、評価は読み手の自由。
そんだけ。
あと、俺の場合は「駄作投下スンナ」じゃなくて「ツマンネ」だな。
573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/11 12:00:21
学生とかニートならいいかもしんないけど、仕事しながら物書きってのもきついものがあるしなぁ(兼業作家とか居る事は居るけど)
しかも、本業の作家じゃなくて“二次創作"の作家な訳だし、たまには駄作でもしょうがないっていうか
だから「ツマンネ」だとか「うまくなってからこい」とかキツイ一言で片付けないで、“やんわり"とアドバイスしながら、GJもしていかないと酷かも
つまんないとか言われる書き手だって、つまんないFF書きたくて書いてる訳じゃないし
574:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/11 20:56:43
褒められたいわけではないけど素人が少なからず労力を割きスレで楽しんでもらえればと投下したのに
プロとか有名どころのFF作者と比べてキツイ一言で切り捨ててるんだもんな。
やる気がなくなるのも当然かと(それでもめげない!見たいな気合入ってる人は自分のHPでやるし)
やはり感想や批評を「付けるなら」ちゃんと良い点、悪い点を指摘するべきだろう。
ただ「ツマンネ」というよりどこがどう駄目か指摘するだけでも違うし。
「GJ」とか「乙」ですまされるよりどこの部分が好みとかコメント欲しいだろうし。
言葉の足りないコミニケーションでグダグダに沈んでくのはエヴァの特徴だけどさw
575:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/12 01:09:37
(創作)作品に対して受ける印象・感動ってのはある意味新鮮さが大事。
どっかで見たような話なら、細部が上手くても評価は落ちるな。
投稿者には初めてでも、読者は散々似たような物読んで来てるから評価は辛くなりがち。
職人さんのコンテストじゃないから仕方ない。
LASは散々やり尽くされてるんだから、余程の出来じゃないと高評価はされない。
ニワカ作者がボロクソに言われるのは、むしろ必然w
576:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/12 21:09:15
でも素人の料理教室に乗り込んでケチつけてるだけの自称グルメに見えるんだよなw
577:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/12 22:28:12
タダで、読んで置いて読んでやっただもんな。そんな風なら、書きたい人は
ここに投下しないで自分のHP作って書く罠
578:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/12 22:57:00
というか、こんなところに投下してないで、自分のHP作って書くようになって欲しい。
どうしてもここに書きたいのなら止めはしないが。
579:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/12 23:44:28
盛り上がってまいりました。
580:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/12 23:46:44
投下スレなのに
>というか、こんなところに投下してないで、自分のHP作って書くようになって欲しい。
とかバカじゃねーの?
どこまで上から目線だよ
581:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/12 23:53:53
>>577
>タダで、読んで置いて読んでやっただもんな。
金を払ってまで、オナニー作品を読みたくねぇよw
582:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 00:02:23
賞賛派と批評派と言う構図に簡略化して考えると、ケチを付けてるレスって絶対数的には減ってる。
以前の半分くらい。
GJ付けて褒めてるレスが以前の1/3~1/5に減ってるから、相対的に目立つだけ。
スレの衰退をとやかく言うなら、褒める奴が減ったか褒めるレベルの作品が減ったことに、より問題がある。
批評・批判レスが嫌ならそういうスレを立てるとか、テンプレに入れておくべき。
583:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 00:04:02
>>581
2chの投下作に金払う価値がないなんて当たり前のこと言ってどうするよ?
普通はタダだからって道端の糞の匂いをわざわざ嗅ぎに行ってクセーと騒いで喜んでる消房みたいなことしねぇよw
584:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 00:09:04
>>582
褒める貶す以前の問題だと思うよ
楽しむためにスレ見てる奴がいなくなってケチつけるために粗探しする奴だけ残った感じ
>>578
読む方も2chなんて見てないで自分の気に入った作品のあるHPだけ読んでりゃいいのに
585:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 00:15:04
どうでもいいがこんな過疎スレを見てる奴が結構いたことに一番驚いているw
586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 00:28:26
>>582
>>196みたいな批評は別にいいんじゃね? 投稿者にも参考になるだろうし
ただツマンネとかなんの参考にもならないような批判はそれこそチラシの裏だな
587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 00:31:07
>>586
単なるGJもチラ裏
588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 00:36:04
>>586
一言ツマンネと一言GJなら、後者の方が遥かに多い。
批判的な奴の方があれこれ述べてるよな。
589:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 07:16:12
>>584
>楽しむためにスレ見てる奴がいなくなってケチつけるために粗探しする奴だけ残った感じ
というよりも、つまらないものをスルーしないで素直な感想を言う人が残ったんでは。
面白い作品が集まってれば、それを楽しむ人が自然と集まってくる。
そうでもない作品が集まってるなら、それでも楽しめる人でないと残れないよね。
590:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 10:58:38
>>587-588
GJは作品の出来云々だけでなく、作品を書き上げてそれを投下したという行為そのものに
対してという意味合いも込められてるからチラ裏じゃないだろ.。所謂お疲れ様みたいなもんだ
それと職人にとってはGJだけでも無反応よりは遥かにマシだろうが、ただの煽りレスだと
無反応のほうがマシって思う人の方が多かろう。よって同列に扱うのはおかしい
591:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 18:55:57
作品を読んで無反応なのは寂しいですね。
感想を書いてくれればいいのですが。
たとえボロクソでもね。
自分の作品を投下して感想を待つ間は、心臓がバクバクするんです。
それが無反応だったら「あれ、どうして?」みたいになるから感想は必要ですねん
どないだ、兄やん達。
592:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 19:39:03
いいぞもっとやれやれ
593:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/13 20:25:35
まだ毎夜のように投下があった頃に混じって何本か投下したけど
褒められても貶されてもワイワイやってて楽しかった
でも今は楽しくない
それだけ
594:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/23 02:05:26
でも 作品を待ってるヤツも居るんだけど
淋しいね
595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/24 00:36:27
でも、面白かったら褒めるけど、ツマラなかったら叩いちゃうな、やっぱり。
596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/24 21:50:17
それで良いんですよ
盛り上がるのなら
597:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 00:40:51
「ばっかじゃないの?…下らない」
鳩が不恰好に舞う公園で犇めくカップルに触発されたのか、好きだ、なんて柄にもなく甘い吐息を吐くシンジを横目で睨め付け、ふんと鼻で嘲笑うだけで一蹴したあたしは腰に手を当てて堂々と言い放ってやった。
「あたしなんか、あんたのこと愛してんだから!」
これでどうよ、みるみるうちにシンジの頬が朱に染まっていくのを見て、満足気に口端を吊り上げたあたしの顔さえ熱をもったのも、夕陽に照らし出されただけじゃないってことくらい識ってる。
鳩よりも不恰好に愛の言葉を紡いだのはあたしの方だった。
598:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 01:37:44
だれか褒めてやれよw
599:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 02:07:00
GJ
600:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 02:17:39
GJ
又 降りて来たら頼む
601:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 02:26:12
あまりに既視感バリバリのLASだなぁ
602:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 02:32:45
ベタだけど和む。また書いてくれ。
603:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 02:33:13
>>601
じゃ 新しいヤツ頼むよ 期待してる♡
604:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/25 20:57:56
でも、良いんじゃ無いの?ただ、アスカのセリフに一捻り欲しいね
605:597
10/03/26 08:53:07
なけなしの狭いベランダに植木鉢を置いた。上の階に住んでる小学生に友情の証、などと種を渡されてちょっとだけ嬉しくなった。
口許を緩めながら土に埋める種がどんな花を咲かせるかなんてシンジは判っていたけれど一から育てるのは小学生以来かもしれない、そんなことを思っていたらアスカが部屋の明かりを点す。
「何よ、これ。」
「あ、お帰り。」
お楽しみ、くすくすと笑うシンジを小突きながらアスカは首を傾げた。結局、日本人なら知ってるというヒントだけ頂戴し、どうしても答え合わせをしたいアスカはリビングの椅子に跨がって足をぶらぶらとさせてミサトの帰りを待った。
生憎、解答とする答えは持ち合わせていないけれども窓の外でシンジが愛でている花がどんな女かくらい知っても良いじゃない、
頬を剥くれたように膨らませてもまるで気づかないシンジの背に馬鹿、とだけ投げ付け、日が落ちてカーテンが橙に染まり次第に涼しくなってゆく柔らかい風が玉のような汗を攫った。
「たっだいまぁ」
疲弊したように気の抜けたような声が玄関から響く。弾かれたようにアスカが迎え入れると珍しいわね、なんてミサトは屈託のない笑みを浮かべた。ベランダを指して問うてみれば、
「さあ…アサガオじゃない?」
部屋に篭って植物図鑑からアサガオの名を探す。
ごはんだよ、と呼ぶシンジの声を尻目に花言葉が目に入り込み、思わず頬が火を噴くような心地になった。あの花が咲いたら気持ちを伝えてみようか、とりあえず今は夕飯へと駆けて行くだけ。
頬が赤いよ、なんて覗き込んでくるシンジの眼をアスカは見ることが出来なかった。季節はまた終わらない夏へと向かう。
606:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/26 23:45:10
誰か褒めてやれってww
607:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/27 01:41:23
>>606
じゃあ、まずお前がほめてやれよ。
>>605
今見たよ。
GJ!
朝顔とかなつかしいな。
608:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/28 23:23:28
>>605
連作なら連作らしいタイトルを、
単発(シチュ・経験を引き継がない)なら単発らしいタイトルを付けた方が良いぞ。
609:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/29 00:56:41 to0pfoyp
>>608
確かにそうですね。ありがとうございます。
610:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/03/29 00:58:52
sage忘れましたorz
611:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/04/01 19:56:16
,、‐ ''"  ̄ ``'' ‐- 、
/イハ/レ:::/V\∧ド\
/::^'´::::::::::::i、::::::::::::::::::::::::::::\
‐'7::::::::::::::::::::::::ハ:ハ::|ヽ:::;、::::::::::::丶
/::::::::::::::/!i::/|/ ! ヾ リハ:|;!、:::::::l
/´7::::::::::〃|!/_,,、 ''"゛ ^`''`‐ly:::ト
/|;ィ:::::N,、‐'゛ .{ ゚ } !;K
! |ハト〈 .{ ゚ } リイ)|
`y't /¨`ヽ //
! ぃ、 トェェェイ 〃 綾波が死ねばよかったんだ
`'' へ、 `ー'′ .イ
`i;、 / l
612:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/04/10 02:18:17
保守
613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/04/23 18:11:20
保守
614:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/05/07 00:05:33
職人降臨町興し
615:保守のための習作
10/05/09 03:30:30
「そんなのわっかるわけないじゃん」
巨大なクモを打ち倒し、町に明かりが灯った後も
開放感と安堵を分かち合うチルドレン3人の会話は続いていた。
ところが・・
「なにそれシンジ」
さっきまで体を楽に崩していたシンジが、ひざを内股にこすり、肩をいからせている。
「えっ!・・あのっその~」
いつものように強張った八の字眉毛と、その下にある不安定な上目使いに、
いつものようにアスカの胸の奥は痒くなる。
「なにモジモジしてんのよ!バカシn」「排尿したいのね」
アスカのいら立ちを帯びつつ明るい声の下から、抑揚のない美しい声が滑り込んだ。
八の字眉毛の角度がさらにきつくなり、顔を真っ赤にしながら、シンジは情けなく腰を引きながら立ち上がる
「ゴメン!ちょっちょっと行ってくるね」
「アンタってほんっっと~にデリカシーってもんがないわねえ」
シンジつられるように少し頬を染めた自分に気づかず、アスカはそそくさと離れるシンジを見送ると
「アンタもさ~ちょっとはやわらかい表現ができないの?ファースト」
今日まで嫌悪を感じていた機械的な印象を呆れるように指摘しながらレイに体を向ける。
ふと、レイのいまだシンジを見送る微笑に見入ってしまった。
星の光に映える、それと同じ色の髪と白磁のようになめらかな肌はやわらかく形を変えていて、
”人形のように冷たい”はずのその顔からは、優しいあたたかさを覚えた。
その美しさに、母性に慣れ親しみのないアスカは心の底までをとらえられてしまった。
「コイツってこんなにキレイだったんだ・・」
振り向いたレイの赤い瞳に、アスカは動揺を隠し、とぼけるように視線を外した。
呼びかけに対して答えられないまま、レイも優しく開けられた口元を閉じた。
ふいに沈黙がお互いの間に置かれ、二人はプラグスーツで完璧にコントロールされているはずの体温が、
なぜか下がり始めてきたように錯覚する。
薄れていく和やかさへの、焦りとも、恐怖とも似た何かに背中を押され、
「あの~さ、」
アスカはつい言ってしまう。
「バッバカシンジのどういうとこが好きなの?!」
616:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/05/09 04:10:02
をを!?
何やらいい感じの保守が・・・
続きアゲキボン!
617:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/05/09 09:14:08
ヒー破ー
お待ちしておりました。
618:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/05/27 03:43:15
保守
619:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/06 02:02:51
誕生日おめでとう
620:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/06 04:58:25
ほしゅ
621:パッチン
10/06/06 20:40:34
非常用手動レバーで扉を開き、使徒戦を終えたアスカとシンジは軽くバテた様子で溜め息を吐いた。
「ふぅ、ったく!どっかのバカがムチャクチャに暴れるから、家まで真っ暗じゃない」
「しょうがないだろ。まさか地下の電線が切れるなんて思わなかったし…」
「はぁ~あ。家に帰ったらテレビゲームしようと思ってた計画がパァじゃない」
エレベーターではなく階段で帰宅した2人は、軽いダルさを訴える足を慎重に動かしながらリビングにそろそろと移動する。
ミサト達職員は事後処理に忙しく、冷房のきいたネルフでお仕事。
レイはこの日の戦闘ではシンクロ率が思いのほか伸びず、冷房のきいたネルフで居残り訓練。
第三新東京市の住人達も、街から使徒の残骸が回収されるまでは当分冷房のきいたシェルターで待機。
そして今現在、世界の平和を守った少年少女2人しかいない要塞都市は、光を完全に失っている。
戦闘中の不運な事故による停電である。
「あーもう!クーラー使えないから暑いわね!」
「締め切ってたからだよ。すぐ窓開けるね」
暗闇の中、足に神経を集中させながらベランダの方に移動し、カラカラと窓を開けるシンジ。
「うわぁ、外の方が明るいよアスカ」
「ん?・・・あぁ今日は満月なのね」
622:パッチン
10/06/06 20:42:54
『満月の下で』
懐中電灯を探そうかと思っていたけど、なんだかせっかく照らしてくれてるお月様に悪いかな…と、シンジは思う。
ベランダの柵に2人手をついて、しばらくぼんやり月を眺めてみる。
「ねぇ、アンタなんかアタシに言うことない?」
「え?」
「アンタなんかアタシに隠してることあるでしょ?」
満月を見上げながら、アスカはシンジを見ずに少し不機嫌そうにそう言った。
急になんだろ?とキョトンとしながらシンジは思案する。
使徒戦の間、アスカのお株を奪うようなことはしてないはずだ。トドメは彼女のジャンピングニーだった。
ん?ん?と頭を捻る彼に軽く溜め息を吐きながら、アスカは呆れたように言った。
「今日アンタ誕生日だったんでしょ…」
「えっ!?・・・し、知ってたの?」
「天才少女をなめないでよね」
シンジは思いもよらぬことに、顔が少し赤くなる。
そんな彼の隣で、ふんっと鼻を鳴らしてアスカはスッと満月から目を離し、隣の赤い頬を軽く睨む。
623:パッチン
10/06/06 20:45:06
「なんで自分から言わなかったのよ」
「だ、だって言ったところで僕の誕生日なんて…」
「アンタばか?そんのアンタが決めることじゃないでしょ」
「ご、ごめん」
まさか自分の誕生日のことなんて気にしてる人がいるなどと…今まで思ったこともなかったシンジに、くすぐったいような照れが襲う。
また、それが普段彼のことなど気にとめたような様子を見せたことのないアスカという人間だったことも重なる。
どうしていいか分からず、軽い謝罪をすると再び月を見上げようとするシンジ。
そんな彼の予想通りのリアクションに心の中で小さく笑いながら、アスカはベランダからスタスタと室内に移動していく。
「アスカ?」
無言で真っ暗な部屋に入ってしまった彼女の方を見れば、携帯電話の明かりを頼りに何かキッチンにむかってる様子。
しばらくすると暗闇からバタム、カチカチっ、という冷蔵庫を閉める音と、100円ライターを擦る音。
624:パッチン
10/06/06 20:47:32
その音が何を意味するか察し、ドキっと胸が鳴るのがシンジ自身にもわかった。
キッチンにぼんやりと自然な光が灯り…。
クルリと振り向いたアスカの両手には丸いケーキとそこに立つロウソク。
アスカ…と呟きそうになって、喉の奥で言葉が詰まる。
オレンジ色の光に照らされた彼女の白い肌と金色の髪…何より小さく微笑む彼女があまりに綺麗だったから。
「HappyBirthdayToYou♪
HappyBirthdayToYou♪
HappyBirthdayDearばかシンジ♪
HappyBirthdayToYou♪」
歌いながらベランダに歩み寄っていく彼女は、歌い終わりと同時に彼にスッとケーキを差し出した。とびきりの笑顔と一緒に。
「あ、ありがとうアスカっ」
「バカ、先にロウソク消しなさいよ」
「…あ、そうか。ごめん」
えへへと笑いながら、フッと自分と彼女の間を照らす炎を吹き消す。
再び2人と月明かりのだけの世界になった。
625:パッチン
10/06/06 20:49:27
「嬉しかった?」
「うん、もちろん」
「当たり前でしょ!アタシがここまでしたんだから!」
「そうだよね…うん、本当に…ありがと」
「ば、バカ!なに泣いてんのよ!」
「ご、ごめん!だって勝手に出てきたんだもん!」
「ば、バカじゃないの!?誕生日祝われたくらいで泣くなんてさ!・・・も、もうサッサとケーキ食べるわよ!」
「うん、そうだね」
「じゃ、切り分けちゃうわよ!」
「・・・ねぇアスカ?」
「なによ?」
「ちょっと変な匂いしない?」
「え…?」
すんすんすん…
「う゛っ…」
「あ゛っ…」
「・・・あ、あはは。停電だもんね…そりゃ冷蔵庫も、ね?」
「もおおおおお!!何なのよそれええええ!!」
おわり
626:パッチン
10/06/06 20:51:24
お久しぶりに短編を失礼しました。
もう一本誕生日記念書いてますが、エロパロに失礼します。
最後にシンジ誕生日おめでとう!
627:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/06 21:28:44
おお…なんという乙女と乙女…
…いや、漢女と乙女?
そしてナイス誕生日
628:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/06 21:34:19
パッチンさん乙です。
エロパロ見ました!…よかった。
シンジくん(さん)誕生日おめでとう
ヒー破ー
629:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/07 03:49:22
パッチン氏乙カレー!
いやはや最早ベテランの域ですなー
630:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/07 17:43:27
>>625
乙乙
631:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/09 00:24:26
>>10あたりのmaTsuさんの作品が好きなんだが、また投下してくれないかのぅ
632:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/06/20 04:55:26
マダー?
633:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/07/01 03:23:35
(´Д`)
634:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/07/06 00:07:37
駄スレ乱立保守
635:パッチン
10/07/07 22:33:01
「七夕なのでグラウンドに笹をたてました。昼休みにみんなで願い事を吊しにいきましょう」
昼休み。今朝言われた老教師のふがふがしたセリフを思い出しつつ。
グラウンドに3本立てられたら笹を窓からボーっと眺めながら溜め息を吐くアスカ。
(あんなもんで願いが叶えば苦労しないっつーの)
心の中で不機嫌そうに呟いた言葉。
しかしそれとは裏腹に、先ほど願いを書いた赤い短冊は宝物のように優しく彼女の両手に握られている。
外側には裏側を見せ、願いの書かれた部分は彼女の熱い想いを宿した胸に押し付けられるカタチとなっている。
そんな短冊を大事そうに抱きしめる彼女に駆け寄る、おさげ髪の親友ヒカリ。
「あ、ねーねーアスカ。もう願い事書いた?」
「もっちろん!こんなの悩むことじゃないしね」
「ホントに?みんなけっこう考えてるみたいだけど、早いのね。ね、ね、何書いたの?」
「言わなーい♪他人(ひと)に言ったら叶わなくなっちゃうもの」
「んぅ~。アスカって意外と保守的なのね」
「ふふんっ♪ヒカリも早くしなさいよ!」
楽しげに会話するアスカだが、ヒカリは彼女の頬が小さく桃色に染まっているのを見逃さなかった。
おそらく、願いを書く際真っ赤になったのが未だ引かないのだろう。
(碇くん関係ね…分かりやすいんだからホント)
ヒカリ嬢、ご名答。
『シンジの恋人になりたい』
赤い短冊には、勝ち気な彼女からは想像も出来ないほど小さく弱々しい文字が綴られていた。
636:パッチン
10/07/07 22:34:41
要は笹に吊してしまえばこっちのモノ。
こっそり枝に結びつけ、周りに自分が書いたと気付かれないうちにその場を離れてしまえばいいのだ。
あとは…勝手に待ってればお星様が叶えてくれるんでしょ?
神頼みとは、何とも情けない行動だとアスカ自身も思うが…
もし、もし、もし、もし、万が一!!シンジが自分以外の女に奪われたら…と考えると、やっぱり怖い。
あの七夕の日に吊しておけば…。と後々後悔するのは嫌だ。
やれることは全部やりたい。
己の目標のために、最大限のベストを尽くしたいのだ。
・・・ベストを尽くすのなら、サッサと自ら彼に一歩あゆみよるべきなのだが。
それにアスカも女の子同士の会話で、シンジがクラスの女子に人気があるのも知っている。
なので、たとえこの短冊が誰かに見つかっても、彼女の名前が書かれているわけではないし、特別書いた人物が特定される願い事でもないのだ。
「はい、じゃあ二年生のみなさんは準備が出来たら校庭に飾られた真ん中の笹に短冊を吊してね~」
きた!
遅れをとっても早すぎても目立ってしまう。
アスカはなるべくクラスメートが一斉に向かうタイミングを狙って、動き始めた。
637:パッチン
10/07/07 22:36:20
校庭にて
・・・・・・・・・・・・・無い。
笹の前でアスカは空っぽになった両手を、グッパグッパと開いて閉じてさせる。
ガヤガヤと周りを生徒達が囲む中、完全に頭が真っ白になり無音状態に陥る。
どこ?え?どこで無くした?え?無くした?
何を?短冊よね?あの恥ずかしいこと書いた?あの短冊を?
落とした?どこかに落とした?え?え?え?
「アスカ?」
かけられた優しい声にアスカはハッとする。
遠い目をして枝を握っている親友を心配したヒカリだ。
「あれ、アスカ短冊は?もう結んだの?」
「・・・あ、あの…ヒカリ」
「ん?」
「短冊・・・無くしたみたい」
「あらら」
もぉ~短冊無くすなんて、アスカって本当にドジねぇ。と笑うヒカリの声も、アスカには再び遠く聞こえる。
親友の彼女も最初は笑っていたが、やがて気付き、アスカと同じようにハッと顔を引き締めた。
そうだ…アスカの短冊には碇くんのこと…
「なんやてぇ~!!惣流が短冊無くしたやてぇ~!!」
笹の葉と色とりどりの短冊が揺れる緩やかな校庭に響きわたる、ドデカい関西弁。
ヒカリは頭を抱えたくなった。
638:パッチン
10/07/07 22:37:45
「あっほやな~それやったら願い事叶わへんやんけ!」
「ちょっと鈴原!」
ケタケタ笑いながら小躍りするように、ひょこひょこ寄ってくるトウジ。
そんな彼のデリカシー0の行動に、ヒカリもアスカの代わりに前に出る。
「あーあ。これで惣流の願い事はもう叶わへんわけやな!どんな願いか知らんけど、切ないのぉ」
「いい加減にしなさいよ鈴原!まだ短冊は残ってるんだから、その一枚使って書き直せばいいのよ!」
「いーや、それじゃアカンねん。お星様は見てるわけや、大事な短冊無くすような人間には何枚書き直しても願い事は叶わんようになっとんねん」
トウジとしてみれば、そろそろブチ切れたアスカが登場して、委員長も含めたトリオ漫才に移行したいのだが、アスカはただ俯いてフルフル震えるだけ。
(なんや今日はノリ悪いのぉ)
最初は、軽くつつけばすぐ食いついて怒り出すと思っていたアスカが動かない。
流石に最初はギャラリーだった周りも、心配そうにアスカの近くに寄ってくる。
「どうしたの惣流さん?そんなに大事な願いだったの?」
「・・・・・」
「何なら一緒にみんなで短冊探すよ?」
「・・・・・」
「そうだよなぁ。まだ休み時間もあるし、みんなで探してもいいんじゃね?」
「・・・・・」
「ねぇ惣流さん、どんな短冊なの?なんて書いてあるか分かれば、みんなで探すよ」
639:パッチン
10/07/07 22:39:07
「・・・・・なりたい…」
押し黙っていたアスカの口が小さく動き、周りが一斉に彼女に注目する。
「シンジの・・・なりたい」
声が小く、聞こえないので、更に周りは彼女の声に耳をグイッと傾ける。
恥ずかしさがピークを迎えて真っ赤になったアスカだが、トウジの言葉により先ほど頭に描かれた最悪の未来を思い出す。
大好きな人が背を向けて・・・別の人のとこに歩いていく。
「シンジの恋人になりたいって書いた短冊よ!!!!!!
お願いだから、お願いだからみんなで探して!!!!!!」
全身から振り絞って叫んだ言葉は、周りに衝撃波のように響きわたる。
その衝撃波はどこまで飛んでいったのか・・・校庭を遥かに超えたのかもしれない。
大気圏も超えたのかもしれない。
お星様に届いたのかもしれない。
彼女の叫びを受けて、クラスメート全員が視線を移した先には、笹に短冊を結ぶ途中だったシンジの姿。
「・・・・・あ///」
まるで「アスカに周りの注目がいってる今がチャンス!」と言わんばかりのタイミングで結ばれていた短冊。
書かれた文字に全員の視線が固まった。
『アスカの恋人になりたい』
640:パッチン
10/07/07 22:41:41
「アスカ。僕の短冊の裏に、アスカのさっきの願い事書きなよ。それなら…問題ないでしょ?」
ヒューヒューヒュー
「じゃ、じゃあそうさせてもらうわ。ところでシンジ!職員室から脚立借りてきなさい!」
ヒューヒューヒュー
「脚立?なんで?」
ヒューヒューヒュー
「アンタばかぁ?アタシとアンタの願い事、お星様に一番近い特等席に吊すためよ!」
ヒューヒューヒュー
「あ、うん。わかった!じゃあ借りてくるね」
ヒューヒューヒュー
「本当にもぅ…バカなんだから」
ヒューヒューヒュー
「もぉぉ!!さっきからみんなヒューヒューうるさいのよぉぉ!!」
「良かったわねぇ。アスカも碇くんも」
「うーん。なんか納得いかんねんなぁ」
「なんで?」
「だってもう叶ってるお願いされても、お星様も困るやろ」
「ま、まあね…」
おわり
641:パッチン
10/07/07 22:43:15
七夕記念に短いやつを一本失礼しました。
お星様にアスカとシンジのラブラブを願っています…。
642:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/07/07 23:11:28
大好きやー
乙です
643:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/07/07 23:12:15
キタ━(゚∀゚)━!
乙であります!
644:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/07/13 04:36:19
久しぶりに来たらパッチンさんだ~
トウジのキャラが良い味出しててgood!です
645:名無しが氏んでも代わりはいるもの
10/07/22 01:05:08
>>641
乙です
大気圏を超えるアスカの想いに少々吹きましたw