09/11/03 15:40:48
【公園】
「ふふ、」
思わず白い息が漏れた。
恥ずかしさと愛しさが溢れんばかりに込み上げる。
この閑散とした公園には、ベンチに並んで座って居るあたしとシンジ以外、誰一人として居ない。強いて言えば、たまに自転車がきしきしを悲鳴を上げながら通り掛かるくらいだ。
「なに笑ってるの、」
「だって、さ。」
また得意気に頬を弛緩させ、隣に振り向くと、紅葉した木の陰に沈みかけたシンジの顔が近くて頬が熱くなった。
「アスカは可愛いなあ、」
と言ってあたしの紅潮した頬をおおきな手のひらが撫でる。いつもなら、なにかぶちぶちと文句を垂れるところだが、今日はその手のひらに、躊躇いがちにあたしの手のひらを重ねてみた。