09/10/20 14:03:47
>>297
それってこのスレもだったのか
別スレ職人の依頼は俺も見たことあったんだが
他にもおすLAS荒らしの相談を週末に見て
確認すると本当に実行されててただいまドン引き中
最近ちょっとよくないコミュがちょっかいかけてきてるよね
301:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 14:07:20
>>300
レス付くたびにAA使ってる荒らし?
出来ればkwskお願いしたい
302:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 15:47:09
おすLASって荒らされるような事してないよな?
303:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 17:17:00
>>290
やっぱり文章力だと思われ
304:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 21:02:35
>>301
それのこと
他にもちょっと問題のある小説を投下、それに皆でGJを付けておいて
「あそこの連中こんなのにGJ連発してるよw」と他所に転載したり
2ちゃん以外にも、個人サイトを名指しで
「ここに全員で毎日一人一通筒(ずつ の間違い?)嫌がらせメールを送ろう」
とか呼びかけたりしてる
>>302
実はおすLASどころか、LAS限定ですらない
LAKやLRSにも嫌がらせしてる
上の小説とレスの転載は最初はLAK対象だった
305:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 21:10:46
>>304
イタタな奴だな…
306:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 21:16:04
>>304
そいつエロパロにも来てないか?
307:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 21:37:36
>>304
酷いなそれ…
308:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/20 22:36:06
>>304
>一人一通筒
この誤字に見覚えがある
作者個人への嫌がらせは数ヶ月前の話でおk?
それなら俺も昔いたコミュニティだ
嫌になってmixi自体からFOしたけど
そうか
あの連中はまだそんなことをしてるのか・・・・
309:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 14:11:19
かそっ過疎
310:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 14:45:05
不自然な絶賛の秘密がわかったw
311:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 16:10:30
>>304
> 実はおすLASどころか、LAS限定ですらない
> LAKやLRSにも嫌がらせしてる
ひょっとして自カプ以外の全方向にかみついてるのか
そいつら随分疲れることしてるんだな
312:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 18:49:00
>>310 失礼だよ
313:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 19:12:42
なんてことだ!
投下したら全てボロ糞ですな・・・・・・・。恐ろしや
314:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 21:39:39
軒亜「もう二度と投下しませんw」
315:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 22:11:02
if「自分はいつでも投下できますよ」
316:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/21 23:20:59
↑
これも嫌がらせと思ってもいいのでしょうか?
317:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 00:21:55
ifさんは住人に先入観さえなければ
全然良いと思うんだけどなぁ…。
シイさんは元からノンジャンルに居たから
>>304みたいなのはないだろ
叩かれてた時期もあったし
318:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 01:06:18
あげ
319:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 12:37:48
先入観てなに?
320:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 16:42:12
>>319
いくら何でも恥ずかしすぎるよ
321:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 19:35:43
319です。
云い方を変えます。
みんなは違う人が投下しても先入観でその作品を見てるんですか?
なぁ、兄やん達よ。
駄作や良作や、とか言っていたら御新規さんが来なくなりますよ。
それやったら、兄やん達が書いたどうでしょうか?
322:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 20:41:42
>>321
それどころか投下してくれる
職人すら来なくなるよな
323:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 21:02:34
冷静に投下町
324:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 21:38:57
まぁこんな空気じゃこないわな
325:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 22:03:31
てかマリン氏やシイ氏とかは文章力があるんだから
サイト作れば良いと思う
そしたら何にも言われないし
326:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/22 23:28:50
サイトなんか作りたくないから
こういう所に投下するんだろ
サイトは管理とかめんどくさいんだよ
327:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 00:20:02
そんな事言われたら投下して保管サイト作った自分の立場が無いな
サイトだって時間のある時に弄るんだから手間は投下とそんなに変わらんよ
328:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 00:38:12
例えるなら
スレ投下→祭り屋台や市場の露店
サイト →店舗構えて営業
の違いじゃないの?
それぞれに書き手にも読み手にもメリット・デメリットがあるってだけの話だよ。
329:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 01:36:53
携帯で書いて落とす人もいるんでしょう
俺とか
330:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 05:55:07
ここで書いて、書くのが面白くなってサイト作った奴とか居るからな
俺とか俺とか俺なんかがそうだな
331:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 07:16:59
じゃあサイト作ってみます。
332:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 08:08:51
サイト作らせたらスレから作者いなくなって
過疎っちゃうだろが
333:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 08:26:08
作者としては人に感想をもらいたいんだぜ…
334:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 08:40:48
>>332
過密になるよりいいだろ。
書きかけがいくつもあって筋を忘れちまうぜ。
サイト作れば制作頻度も高まるだろうし。
読ませてもらってる身なんだから、読みに行くくらいのことはしてやれよ。
ある程度以上うまいのがいつまでもスレにいると新人が入って来にくいしな。
まあ、逆にヒドイのがいつまでもスレにいると、そいつが叩かれて新人が入って来にくいんだけど。
>>333
このスレだと、褒めるのはGJが大多数で、せいぜい「ぽかぽかしました」とかそんなもん。
批判はある程度具体的だがな。
しかし、サイト作ってメールフォーム用意すれば、もっと具体的にどこがどう面白かったとか
書いた感想が来るようになる。数は減るかもしれないけど。
どっちがいいかは人によるけどね。
335:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 09:46:59
そのサイト作って、この総合スレはどうするの?止めるの?
336:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 12:38:27
>>335
残る人とか新規職人が来るとか考えないの?
サイト作る云々は職人の裁量ひとつだし、来るものは拒まず、去るものは追わずのスタンスでいいと思う
マターリと職人待とうよ
337:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 16:33:59
>>331
個人かな?出来たらURL貼ってくれると嬉しい
338:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 17:53:58
>>335 別にまとめサイトではないんでしょ?
339:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 22:26:11
>>333
感想書いたら、バカが怒る風潮は問題なんだけどな。
340:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 22:30:26
このスレにはIFが居るじゃないか。
341:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/23 22:41:32
もう奴は来ないだろう
342:いときお
09/10/24 03:02:26
投下いきます。
記憶喪失系でイタモノ要素ありのため自己責任で注意願います。
NGワードは”いときお”で
【三行で分かるここまでのあらすじ】
記憶喪失になってしまいツンデレから素直デレになったアスカさん。
シンクロ率が激減した変わりに家事スキルが上昇したアスカさん。
記憶を戻そうと色々するけど失敗続きのネルフの皆さんとシンジくん
343:いときお
09/10/24 03:05:18
サルベージ計画の失敗から一週間ほどが過ぎた。世は並べて事もなし。
使徒襲来もなく僕らは学校を休んでネルフと家を往復する毎日を送っている。
「どうシンジ。掃除は常に無駄なく美しくよ♪」
「お見事……じゃあ洗濯物を干すのは僕がやるよ」
「だーいじょうぶ、まーかせて♪ アインス、ドゥーェ、トライ、チェティーレ♪」
カレーライスの成功に気を良くしたアスカは料理以外に掃除や洗濯にも手を伸ばした。
どうせ散らかすだけ散らかして最後に片付けるのは僕なんだろうな。
そう思っていたのだけれど、どうやら僕はアスカを甘く見ていたらしい。
危なっかしかったのは最初だけだ。
アドバイスを素直に聞き入れて学び、瞬く間に上達したのは見事としか言いようが無い。
もはやアスカの家事スキルは冷蔵庫の残り物で手早く美味しい夜食を作れる域に達している。
僅か数日でこれほどとは、やはり天才か。
「凄いわねアスカ。これなら良いお嫁さんになれるわよん」
「やだぁ。もうミサトさんたら~」
今まで家事オンチは何だったんだろう。
興味とやる気と人の説明を聞く気が無かっただけなんだろうか。
家庭的ではあるけどアスカらしくない、と思うのは我侭だろうか。
「やっぱり僕にも手伝わせてよ」
「だーめ。シンジは座ってて。ねっ。今コーヒー淹れるから」
また駄目出しされてしまった。
アスカが家事まで出来るんじゃ欠点なしだなと思いながら、ふと気が付いた時はもう遅い。
最初はミサトさんの当番がアスカに書き換えられていただけだった家事当番表。
今では九割が赤ペンでアスカに書き換えられている。
僕に残されているのは力仕事であるゴミ捨て当番だけだ。
料理に洗濯ほか諸々、僕の数少ない貴重な見せ場はアスカに奪われてしまったんだ。
おのれ完璧超人め。
344:いときお
09/10/24 03:06:34
仕方なくリビングのテーブルで新聞を広げ、読む振りをしながらチラチラと様子を伺う。
失敗を探してそれを口実に手伝うという小姑作戦だ。
視線を感じるのか時折りアスカが振り向く度に新聞に隠れる僕。
なんだろうこの遣る瀬無さは。
これじゃまるで久々の休日で家での過ごし方が分からないサラリーマンのようだ。
「アスカにミサトさんなんて呼ばれるとくすぐったいわよねぇ」
濃い目のコーヒーを啜りながらミサトさんが苦笑した。
今のアスカは基本さん付け、リツコさんは赤木博士、綾波に至っては綾波先輩と呼んでいる。
戦闘技術について綾波が指導役に回った為か、すっかり懐いてしまったらしい。
シンクロテストが終わると毎日シミュレーションの模擬戦を志願しては特訓を繰り返している。
その内綾波のことをお姉さまとか呼び始めそうな勢いだ。
あれだけ対抗心を燃やしていたのに変われば変わるものだね。
一対一での模擬戦なので残念ながら僕は蚊帳の外で少し寂しい。
「これでシンクロ率が高ければ完璧なんだけどね。やっぱ記憶が戻さないと駄目かしら」
持ち上げた後はいつもこれだ。
ネルフでも毎日のように誰かが『これでシンクロ率が~』と口にする。
アスカ自身はどうでも良いというように聞こえて凄く不愉快だ。
リツコさんも『ネルフに必要なのはアスカではなく弐号機パイロット』と言っていた。
気持ちは分かるけど失礼な言い草だよ。
「相変わらず起動値ギリギリ。どうも弐号機があの子をアスカだと認識し切れていない気がするのよ」
「今は別人みたいなものですから……」
「そりゃ別人よ。記憶ないんだもの。人って育つ環境でいくらでも変わっちゃうのよね~」
今のアスカは優しくて素直で温和な良い子だ。少し恐がりで抜けているところもあるけど。
僕を慕ってくれているのも嬉しい。
だけどそれはアスカの本心ではないと思う。
病気で意識が朦朧としていたり寝ぼけている時と同じく平常心ではない、一種の気の迷いだろう。
345:いときお
09/10/24 03:09:04
「それにしてもあんなに素直で家庭的な良い子に育っちゃって」
「でも最近は何か無理して頑張っているような……」
「無理してる…か。そうね。シンジくん、何故だと思う?」
ミサトさんが呆れたという顔で僕を見つめた。
記憶を失っているから心配を掛けまいとしているのだろうか?
少し考えてみたけど、アスカが無理をする理由は他に思いつかなかった。
「はずれ。答えはねシンジくん。『あなたに』褒められたいからよ」
「僕に……ですか?」
「そ。褒められたい。必要とされたい。そう思った経験、シンジくんもあるでしょ?」
「はい……」
なんとなく今のアスカの気持ちが分かったような気がする。
不安なんだ。本当にここに居ていいのか。邪魔だと思われていないか。
子供の時の僕と同じだ。いや今もか。
「だから良い所はバンバン褒めたげなさい。子供は褒めて伸ばすのがコツよ」
「実感が篭ってますね。僕で実践した結果ですか?」
「いや、まあ、そうね。あははは……」
僕が煽てに乗りやすいのは認めますけど。
「ところでシンジくん、これは内緒なんだけど……」
急に真顔になって小声で耳打ちをする。
アスカに配慮する気があるなら今までの話も気にしてください。
「レイがね。アスカに『自分はシンジに嫌われてるんじゃないか』って相談されてたのよ」
僕が今のアスカを嫌っている? 何の冗談だろう。
裸を見たとか嫌われる心当たりはあっても嫌いになる覚えはない。
好きかと聞かれたら少し戸惑うけど。
大体綾波に相談したことを何故ミサトさんが知ってるんですか。
「話は全て聞かせてもらった……ってやつかしら?」
346:いときお
09/10/24 03:12:03
「盗み聞きですか? しかもそれを当事者に喋りますか? 最低だ。ミサトさんって」
「模擬戦中に人生相談してたのが悪いのよ。記録してたマヤが困って私に連絡してきたんだし」
「それは……すみません。納得しました」
「分ぁかればいいのよ。分ぁかれば」
プラグの中の通信は基本的に司令部、今回だと実験室側に筒抜けなのが普通だ。
大方訓練用プラグを操作していたマヤさんを忘れて二人きりだとでも勘違いしたんだろう。
やっぱり今のアスカはどこか抜けている。
「どうも『凄く酷いことを言った』みたいな感じらしいんだけど心当たりない?」
何だろう。サルベージ失敗の時の会話かな。
でもあれは酷いことの部類には入らないと思うけど。
「心当たりないの? 本当にぃ?」
痛い痛い痛い。耳を引っ張らないで。
やっぱりさっき最低って言ったのを根に持ってるんだねミサトさん。
「きゃっ!!」
アスカの声と共にガシャンッとくぐもった勢いの良い破砕音が聞こえた。
エヴァのぶつかったビルが崩れる時の音に似ている。
ミサトさんの指を振り切って慌てて台所を覗くとアスカの足元で茶碗が粉々に割れていた。
ちなみにアスカの御飯茶碗だ。
ま、お皿や茶碗を壊すのは洗い物の定番だね。
天才にも失敗はあるってことか。なんだか少し安心したよ。
「大丈夫アスカ? 怪我はない?」
「う、うん。ごめんなさい、すぐに片付けるから!」
「いいよ。破片で怪我するといけないから」
僕は強引に割り込んで破片を拾い始めた。
庇う様なことを言いつつも実は内心やっと出番が来たと喜んでいる僕。
情けないなあ。
347:いときお
09/10/24 03:17:55
割れてしまった茶碗を買い直しにとアスカに誘われ駅前のデパートへ。
夏休みでもない平日の昼間だというのに人が多くて少しビックリ。
着いて早々、茶碗を買うだけだった予定はデパート巡りに強制変更された。
上から下まで順繰りにだ。
騙された。
洋服売り場のフロアでアスカの着せ替えショーが始まり既に2時間。
荷物持ちなのは別にいいけど女の子の買物ってどうしてこう長いんだろう。
「このブラウス、さっきの白とこのピンク、どっちが似合ってると思う?」
「えーと、どっちも似合ってるよ……うん。似合ってる」
「もうさっきから『どっちも似合ってる』ばっかり! 真面目に答えてないでしょ」
「ほ、ホントだって。ほ、ほらアスカは可愛いからどの服を着ても似合っちゃうんだよ」
「そ、そう?///」
「だからアスカ自身が気に入った服が一番可愛いんだと思うよ」
ごめんなさい。もう正直どの服でもいいです。
あと下着コーナーにまで僕を連れて行くのは勘弁して。
アスカが気にしなくても僕が恥ずかしいから。
太陽が沈みかける頃、やっと辿り着いた一階は本屋さんだった。
アスカは新しい料理の本が欲しいとかで家庭書籍コーナーへ。
僕も欲しい本はあったけど両手の荷物を考えるとまたの機会にしたいと思う。
家事が減って暇ではあるけど、そこで読書に逃げたら後戻りできないような気がするんだ。
「シンジは買う本決まった?」
「うーん。特に欲しい本は無いからいいや」
アスカが買ったのは家庭料理の本とお菓子作りの本、それから厚めの日記帳だった。
348:いときお
09/10/24 03:19:04
「アスカも日記なんて書くんだ。三日坊主で終わらないようにしないとね」
帰り道。話題に困って口にしたのがこれ。
言ってしまってから料理や服の話にしとけば良かったかなと少し後悔した。
「大丈夫よ。前の私にだって書けてたんだもの。私にだって出来るわ」
僕の言葉が気に障ったのかアスカはプイッと横を向いてしまった。
本当のアスカも日記を書いていたらしい。
読んでみたいと冗談で言ったら凄い恐い目で睨まれた。ごめんなさい。
一体どんなことが書かれていたんだろうか。
凄く興味ある半面、恐くもある。
「ごめん。僕は日記なんて夏休みの宿題でしか書いたことなかったからさ」
「ならシンジも日記をつければいいのよ。毎日私のことだけ書いててくれればいいから」
「あはは。それじゃアスカの観察日記じゃないか。そんな宿題みたいなの嫌だな」
掃除の時にミサトさんの部屋で僕の観察日報を見つけたことがある。
中は見てないし、仕事だとは分かっているけど正直あまり良い気分はしなかった。
そういう事はしたくない。
「じゃあ交換日記にしようか。私とシンジで毎日交互に書くの。この前ドラマでやってたヤツ」
「毎日一緒に居るのに?」
「むぅー。もう普通のでいいわよ」
「やっぱり僕は遠慮しとくよ。続ける自信もないし」
「ちぇ、つまんないの。掃除の時こっそり読もうと思ったのに」
アスカなら絶対すると思ったよ。
ミサトさんにも部屋を家捜しされてるっぽいしプライバシーがないから僕は書かない。
「シンジあのね……この日記帳は良いことばかりで埋めたいの。だから協力してね」
「う、うん……そうだね」
その日記が埋まっていくということは、それだけアスカの記憶が戻らないということなんだ。
それをアスカは理解しているのだろうか。
349:いときお
09/10/24 03:22:23
翌朝。朝のゴミ捨ては僕に残された数少ない仕事だ。
特に今日は紙製品の日だから紐で絡げた新聞など重い物ばかり。
だから前の当番表でも男である僕の当番だった。
都合の良い時ばかり男扱いして、とは思うけど頼られるのは少し嬉しかったりもする。
「いつもミサトさんもアスカも紐の結わえ方が甘いんだよな。これじゃ運ぶ途中で……」
言っている傍から緩い結び紐のせいで雑誌の束が崩れてバラバラと歩道に散らばった。
大体二回に一回はこんな感じ。今日はツイていない方みたいだ。
分かっているなら全部結び直せばいいんだけど、運べればいいやとついつい横着してしまう。
反省。歩行者の邪魔にならないように急いで片付けなきゃ。
「あれ? この本は確か……」
拾い集めたファッション誌や車雑誌に見覚えのある本が混ざっていた。
表題は『初めての家庭料理』、アスカが料理の時に見ていた本だ。
ページをめくると本当のアスカの乱暴なドイツ語で書き込みメモがされている。
これを捨てるだなんてとんでもない。
「掃除の時に混じっちゃったのかな? やっぱり今のアスカって意外と抜けてるなぁ」
後で返そうと小脇に挟んで片付けているともう一冊、目に付く本があった。
表紙にはシンプルに『Tagebuch』とだけ印刷されている。
意味は分からないし中身も英語か何かで読めないけど手書きなのが気になったんだ。
台所で朝食を作っているアスカの目を盗み、僕はコッソリと自室へ二冊の本を持ち帰った。
料理本の書き込みともう一冊の本の文字を照らし合わせると思った通りアスカの字だ。
というか時々『バカシンジ』などとカタカナで殴り書きがしてあったから間違えようがない。
そしてページの端にはSeptember、Oktober、November……
僕の乏しい英語力でも日付くらい理解できる。これは多分アスカの日記帳だ。
でもどうしてこんなものが?
台所ではアスカが調子外れの鼻歌を口ずさみながら出来たばかりの朝食を並べていた。
<<つづく>>
350:いときお
09/10/24 03:24:27
インフルエンザの季節です。
皆さんも気をつけてください。
記憶喪失物とか人格改変物は嫌がる人もいるそうなので
一応イタモノ表記は最後まで入れる予定です。
351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/24 08:37:44
乙!これはダブルアスカ内紛の予感
日記気になるな・・・続き楽しみにまっとるぜ!
352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/24 13:20:50
続き楽しみにしてますよ!
353:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/24 21:26:52
wktk
354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/24 21:30:38
続きが・・・気になる
355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/25 02:56:39
少し怖い展開になってきましたね!続き楽しみです
あらすじ入れてくれたのは、個人的にありがたかったw
356:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/26 15:33:05
職人減ったなあ
357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/26 19:06:30
あらかた追い出したからな~
358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/26 19:42:37
大丈夫、IFが居るよ
359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/26 20:10:51
さようなら
360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/26 20:30:17
ここももう終わりか…
361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/26 23:40:14
ちょっと投下が無いからってなに言ってんの
これくらいの過疎は慣れっこよ?
362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/27 01:06:40
淘汰は社会の理だよ。
363:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/28 07:49:04
月に2、3回投下があればいい方
364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/28 08:53:44
俺たちが読んでやってもいいレベルの投下が無いのが悪い
職人が低レベルなせい
365:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/28 09:57:16
兄やんが書いたらいいやん
366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/28 16:00:55
と言われるので文句があるならダマテンで
ってことやね
367:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/28 20:18:52
IFさんが居るから安心して職人を罵倒出来るよ
368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/28 21:59:55
明日投下するわ
369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/28 22:08:05
明日?
370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/29 23:02:37
明後日まで一時間切りました
371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/30 08:15:52
裏切ったな!
僕の気持ちを裏切ったな!!
372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/30 08:39:20
N3爆弾ですが続き書いていいですか?
373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/30 09:29:23
ここ数ヶ月新劇効果で賑わっていただけで
もともとは一週間に一度投下があるかないか
以前の状態に落ち着いただけだ
374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/30 09:57:09
なんだかんだ言っても寝取られイタモノがないと盛り上がらない
あれが一番スレが進む
375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/31 09:26:12
NTR
それはスレが盛り上がる代わりに荒れる可能性を孕む諸刃の剣
376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/31 12:21:55
そして誰もいなくなる
377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/01 23:04:33
>>190です。めげずに書いてみました。携帯から投稿するので不備があるかも知れませんが悪しからず。
そして、もし読んで頂けたら罵詈雑言でも構わないので、感想頂けると嬉しいです。
NGワードは
世界で一番愛しい人
でお願いします。
378:世界で一番愛しい人
09/11/01 23:07:30
使徒との戦いが終わり、サードインパクトが起こってから、もう一年が過ぎた。
ネルフは国連の復興機関に姿を変え、人類史上最も酷い過ちの罪科は、全てゼーレに被せられた。
『死人に口無し』とは良く言ったものだけど、ネルフは本当に上手くやったものだと思う。
でもそれによって、世界の平和と再興への道が開かれたのも、否定出来ない事実だ。
何よりアタシとシンジが二人で、夕紅に染まる土手を、幸せオーラを振り撒いて
手をしっかりと繋なぎながら、関係を同居人兼同僚から同居人兼恋人に変えて歩いていられるのは、ネルフのお陰だと、想う。
私も優しくなったのだろう。前は何に対しても相手の否を見つけるばかりで
あまり良い部分を見つけて感謝するなんて事は、出来なかったけれど、今は、出来るようになった。
379:世界で一番愛しい人
09/11/01 23:09:42
私を変えた原因は何だろう?エヴァに乗れなくなって挫折を味わったからだろうか?サードインパクトで他人の心を覗いたからだろうか?
それとも単に年齢の?どれもそうだろうと思う。でもやっぱり一番の原因は、シンジだ。こいつとは本当に色々あった。
嬉しかった事、ムカついた事、楽しかった事、憎悪した事、たくさん。嫌な想い出が圧倒的に多いのだけれど、あった。
でも、どれも大切な想い出だ。今こいつをこんなにも好きで好きで愛しくて堪らないのは、それらを経たからこそだと想うから。
でもふと想う。なんでアタシは、こいつがこんなに好きなんだろうか?
世界で一番愛しているなんて、自信を持っているんだろうか?
それは、好きだから。と言えばそれまでだけど、何か理由が欲しい。だからちょっと考えてみようと想う。
まず容姿、まぁ悪くない。悪くないけれど、多分もっとカッコいい奴だっているだろうし、こいつのファッションセンスときたら、笑っちゃうほど壊滅的だ。
それに、容姿で人を好きになるのは、何かイヤだ。
まぁ、加地さんに\(*≧∇≦)/キャー!状態だったアタシが言えた義理ではないのだけれど…
380:世界で一番愛しい人
09/11/01 23:11:08
次に性格、まず性格において一番に言えるのは、シンジは優しい、本当に、優しい。
サードインパクトの後、アタシ達が和解出来たのは、シンジの優しさによるものだと、想う。
確かにシンジに責任があったのだから、当然の帰結なんだけれど
その責任は、あの時のシンジの状況を考えれば、本当に微々たるものだったと、素直に今はそう想う。
父へのトラウマ、鈴原への罪悪感、アタシの精神崩壊、レイの真実、余裕が無くなっていく大人達、酷い状況での絶望的な孤独感
そして、渚カヲルを、初めて好きだと言ってくれた人を、自らの手で、殺してしまった事。
だから、しょうがなかったのだ。あまり好きな言葉ではないけれど、ふさわしい言葉だと想う。
だからこそ、全く言い訳もせずにアタシにきちんと向き合って、心を開かせてくれたシンジを、本当に優しいと想っているし、感謝もしている。
け・れ・ど・も!まぁ、そうは言っても、世界一の保証はない。それに、難を挙げるとすれば
こいつはホントに鈍感だし、意外にスケベだし、前より良くなったけれど依然内罰的には違いないし、まだまだ弱々しい。
381:世界で一番愛しい人
09/11/01 23:12:45
こうして考えてみると、シンジが世界で一番良い男であるなんて、言えないのは明明白白だ。
じゃあ何でこいつは、私にとっては世界で一番大切な人なんだろうか?
「どうしたの、アスカ?」
アタシの雰囲気が伝わったのか、心配そうにシンジは言った。突然のことでアタシは少し驚きながら言葉を返す。
「えっあっ別に何でもないわよ!」
「そう?良かった、何か悩んでるみたいだったから」
と言って、微笑む。
あっそうか、とアタシは想う。シンジだからなんだ、と。確かに容姿や性格が最も優れている訳じゃない。
でも、シンジは世界に一人しかいない。アタシ達の想い出を共有している人間は、こいつしかいないし
それらをアタシと一緒に体験した人だって、当然ながらこいつだけだ。
惣流・アスカ・ラングレーと碇シンジの二人が、出会って、傷付けあって、支えあって、魅かれ逢ったという経験が
あるからこそ、二人は最高の相手になったんだ。
それに、こんなに境遇が似ていて、こんなに憎しみあったのにも関わらず、魅かれ逢っている相手は
本当に世界でアタシ達だけなんじゃないかな、とも、想う。
382:世界で一番愛しい人
09/11/01 23:14:33
だからこそアタシ、惣流アスカラングレーは、巡り逢えた、世界で一番愛しい人、碇シンジと、これからも傷付け合ったりするだろうけど
成長して、分かち合って、支え合って、まだまだ続く、長い長い人生の路を、歩いていこうと想う。ずっと、ふたりで。
「どうしたのアスカ?急に笑顔になっちゃって」
シンジの笑顔を見る。やっぱりアタシは、シンジが大好きだ。世界で一番愛しい人だと想う。
だからこそ、素直じゃないアタシは、意地っ張りなアタシは、シンジに、悪態を吐いてやろう。自分に正直に。
「うっさいわね、バカシンジ!アタシが笑顔になったらいけないとでも言う訳!?」
「そっそんなこと言ってないだろ!?大体何で突然黙りだすんだよ!?
さっきまでうるさいくらい喋ってた癖にさ!」
「なっ何ですってえ!!!!?」
あぁ、どうしよう。今アタシは、世界で一番幸せだ。
~END~
383:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 01:06:52
俺は好きだな
GJ
384:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 05:57:28
良いね
385:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 12:34:13
イヒヒ
大好きだー
386:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 19:20:35
いいんだけどちょっと簡潔すぎるかな
エピローグだけ読んでる感じ
387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 19:33:03
EOEの後なんでエピローグだろ。ガンオタの何とかいう小説家は
エピローグが長すぎるけど、エピローグの長さはこれ位が
適当だ
388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 19:38:47
長編を書くのは金稼いでるプロでも難しいんだから
素人は短い話でコツコツ練習した方が良い
色々詰め込むと大抵話がつまらなくなる
389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 19:45:59
第一、普通に性活をしていたら長編小説なんて書けないだろ。
390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 20:19:18
う~ん。
書けない事もないけど時間が掛かるよ。
でも物語が思い浮かばなくて、途中で挫折するかもね。
短編がいいよ。
391:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 21:55:06
>>378-382
なんつか、物語ですらないw
392:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/02 22:19:07
>>389
>普通に性活
どんなんだ(笑)
393:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 01:32:18
起きて仕事いって飯食ってマスかいて寝る生活
394:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 03:58:32
>>382
GJ!付き合いだしてから好きな部分を悩み始めるのがアスカらしいですね
自分の物になるまでは多分必死にもがいてて、ゆっくり考えるヒマが無かったんでしょうw
好きな理由も良いLASしてますなぁ
395:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 06:13:44
皆さん感想ありがとうございました。
これからも頑張ろうと思います!
396:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 10:04:52
頑張ってください。
397:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 10:32:00
ガンバ
398:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 11:00:34
よしなに
399:シイ
09/11/03 15:40:48
【公園】
「ふふ、」
思わず白い息が漏れた。
恥ずかしさと愛しさが溢れんばかりに込み上げる。
この閑散とした公園には、ベンチに並んで座って居るあたしとシンジ以外、誰一人として居ない。強いて言えば、たまに自転車がきしきしを悲鳴を上げながら通り掛かるくらいだ。
「なに笑ってるの、」
「だって、さ。」
また得意気に頬を弛緩させ、隣に振り向くと、紅葉した木の陰に沈みかけたシンジの顔が近くて頬が熱くなった。
「アスカは可愛いなあ、」
と言ってあたしの紅潮した頬をおおきな手のひらが撫でる。いつもなら、なにかぶちぶちと文句を垂れるところだが、今日はその手のひらに、躊躇いがちにあたしの手のひらを重ねてみた。
400:シイ
09/11/03 15:43:51
「手、おおきいわね。」
「そうかな、」
頬からひっぺがした手のひらをしげしげと見つめて居る男女は周りから見たら奇妙だっただろうか。そのままあたしは、シンジの指に自分の指を絡めてみた。まあ、所謂カップル繋ぎってやつ。
「…うぅ、」
暫時黙っていると、隣から小さく呻き声が聞こえた。横目でちらりと見てみると、シンジはあたしと同じくらいか否か、顔を真っ赤にして口許を押さえている。
「ちょっと大胆だったかしら、」
「アスカ…恥ずかしいよ、」
そんなことを言いながら、はじめて繋いだ手を離さなかったシンジに、あたしはまた鼻から抜けるような緩い笑いをしてしまった。
「…あったかいね。」
--------------------
実はわたしの体験d(ry…お目汚し失礼致しました。
401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 15:49:15
>実はわたしの体験d(ry…
こういう自己アピールいらね
402:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 15:52:08
つーかほんとにシイ氏?
403:シイ(仮)
09/11/03 16:16:53
前投下していたシイですが、>>399-400は書いてません。
名前が被ってしまったようなので名前変えますね。
404:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 16:20:37
被ったって思うのはお人好しだろw
405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 18:05:41
あかんで兄やん人の名前を騙るの最悪やで。本当に最悪や!!!
シイ姉やん負けたらだめだよ。
(仮)?
406:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 18:06:00
>>400
前半男らしいと見せかけて、やっぱり照れ屋なシンジが良かったよ~
ただ最後の後書きでイラッとしたのは、俺だけではないはずだwww
407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 18:46:54
>>403
トリップを付ければ良いですよ。
ここを参考にしてみてください
URLリンク(wstring.pos.to)
408:シイ ◆VxEYsTkAC6
09/11/03 19:33:44
>>407さん ありがとうございます。
409:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 22:58:46
「〇〇○、」て表現よくみるけど流行ってんの?
410:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/03 23:47:40
小説読んだことないんだろう
411:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/04 01:53:48
いや、あるけどさ
べつに普通なんだったらいいよ
412:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/04 02:18:57
>>409=>>411?
>>410は>>399-400についての言葉だと思うよ
はっきり言ってこんな読点の使い方は真っ当な文章ではまずしない
413:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/04 02:52:27
ふつうは使わないけど
どうでもいいっちゃどうでもいいことである
414:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/04 12:27:45
太宰治の小説では使ってたけど・・このスレでは関係ないか。
415:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/04 20:47:58
「〇〇○、」と「〇〇○。」はどんな違いがあるのか解説してくれ
416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/05 01:54:40
>>415
「、」はまだ継続する。
で「。」は、そこで一旦区切る。
「○○○、」だと想像した際に、まだ何か言おうとしてる様な感じになる。
逆に、「○○○。」だと話し手が一旦会話終えたりして相手の行動を待ったり
別な場面に移ったりする。
正直、国語の勉強(試験様)だったり、キャラの心情を細かい描写にして書く
作風の小説でもしてない限り読み手側には、違いないと思う。
417:543
09/11/06 00:52:07
皆様こんばんわ。
久方ぶりに投下いたします。
自分、おそらくイタモノや戦闘書けない人なんだと思いますw
今回は5、6回位分けの投稿になるかと思われ。(30レス内外)
◆成分
・LAS中心だけど要素は薄いです。
・萌えとかたぶんあんましないです。
・全般的に日常の延長で存外平凡です。
てのに許容できるかねる方のNGワードは
経験の唄
で御願いします。
418:経験の唄
09/11/06 00:54:09
「アスカ、シンちゃん、明後日予定明けといてね」
そう宣言されたのは、宇宙から落下してくるという、対応を考える前に匙を
投げてしまいそうな第8使徒との戦いが終わった一週間後の夜だった――
この日、残務処理で忙しい筈のミサトが結構早く帰って来た。
何となくアスカとシンジが不思議に思いつつ晩御飯も食べ終わる。
洗い物の出来ないシンジの代わりにアスカが危なっかしく手伝いをして
いた時、ミサトが唐突に口を開き、そう言った。
思い通りに手伝いが出来ないでいたアスカは、不満の矛先をミサトに向け、
振り向きざま遠慮もなく突っかかる。
「空けるも何も学校よ?そんな事わかってるでしょ?」
「放課後、何かあるって事ですか?」
シンジのほうは急な呼び出しや予定外の事態に慣れてきたせいか、案外落ち
着き払って聞いてきた。
「んにゃ、丸一日…かな?」
アスカとシンジはミサトの言葉を聞いて顔を見合わせた。
意味はともかく理由がまず解らない。
シンクの中にあった最後の皿をシンジに渡し、エプロンを取りながら
アスカがミサトに訊く。
「んで?改まって何をやらせるの?」
「やらせるって言うか、んー、ある意味社会見学……いや、情操教育……
違うわね。なんて表現すべきか……」
「まあでも、訓練とか演習とかなら仕方ないし、学校にも説明できるだろう
から、別にいいんじゃないかな?」
「はんっ!なにイイコぶってんのよバカシンジ。そうやって理由も目的も
確かめずにハイハイ言ってたらいつか痛い目見るわよ!」
シンジがぐうの音も出ずにアスカの責めに目を逸らすのを、ミサトは気重な
思いを一緒くたにしてエビスで飲み干して、次の言葉を吐き出した。
「んで、その予定だけど、二人ともお葬式に出てもらいます。勿論これは
個人的な御願いじゃなく、純粋に命令よ」
「はぁ?」
「へ?」
状況が飲み込めない二人には、困惑を含めたそんな返事しか出来なかった。
419:経験の唄
09/11/06 00:55:14
*
「ちょっとアスカーー、まだなの?」
「もうちょっとだから急かさないでよ!」
襖の向こうから急いでいるらしいどたばたした音は聞こえてくるが、待って
いるミサトとシンジにはその努力もイライラの対象でしかない。
シンジはいつもの制服姿なのですぐに準備は終わり、その埋め合わせのように
普段の倍の家事労働をする羽目になった。
朝の5時ごろ帰ってきたミサトは、不機嫌と化粧のノリの悪さはひとっ風呂
浴びても解消出来ていなかった。
『おまけにこんな気重な行事。残務終えたら日帰りでいいから有給とって温泉
行きたいなぁ……』
今日の予定が人任せなシンジは結構気楽なもので、少し濃い目の化粧と、
肌色と対照に黒尽くめの上下で固めたミサトを不思議そうに見る。
ミニスカート姿の多いミサトが今日はパンツ姿なのが、どことなく冷たく
精悍な印象を醸し出していた。
「お、お待たせ!」
威勢良く開く襖の音に振り向いた二人の先には、半袖の黒いワンピースに、
赤い髪をアップにしたアスカが立っていた。
「おぉぉーーー」
声になるかならないかの感嘆が二人の口から漏れると、アスカは少し赤面
してすぐさま玄関に向かう。
「アスカぁ、お化粧してたの?めっずらしー」
冷やかすミサトに、ドツボに向かう間違った反応と知りつつアスカも振り
向いて突っかかる。
420:経験の唄
09/11/06 00:56:06
「っさいわねぇ!公的な席に出るんだからこんくらい礼儀でしょ!」
「なかなか綺麗よぉ、馬子にも衣装とはよく言ったもんね」
「孫ってなによ?あたしのおじいちゃんやおばあちゃんとは何の関係もない
じゃない!」
「その、アスカ、馬子ってのはそういう意味じゃなくて……」
「あぁんもういいじゃない!急いでるんでしょ?早く行こうよ!」
すっかり顔が紅潮したアスカは、手に持って出ていた黒のローヒールを
乱雑に玄関に放り出し、同じく黒で揃えたショルダーバッグを袈裟懸けに
してどすどすと外に出て行った。
「シンちゃん、ちゃんとおめかししたアスカ褒めてあげてね」
いつものハイヒールをシンジの肩を使いながら履いているときに、ミサト
が茶目っ気たっぷりに言った。
「これからお葬式に行く格好なのに、それってちょっと不謹慎じゃないですか?」
「なーに言ってんの、褒められて嬉しくない人間なんていやしないわよ。
髪のセットも慣れない化粧も、アスカきっと頑張ってたからあんなに時間
かかったんだろうし」
人差し指でシンジの唇をぺちぺち叩きながら、ミサトもそう言い置いて
アスカの後を追った。
『確かにアスカの服装も化粧も似合ってるし綺麗だったけど……』
別に褒めるのは嫌でもないしむしろ言いたいとは、思う。
『……先生も言ってたけど、結婚式や葬式に男の出る幕が無いっての、本当
なんだな……』
いつもと違う二人に代わり映えしない自分。それが少しシンジは寂しかった。
421:経験の唄
09/11/06 00:57:14
「あれ?ミサト、今日は車は……」
「今日はハイヤーよ。派手なスポーツカーで乗りつけるような場所じゃない
しねー」
「ま、そうよね。…それで、あとどれくらいで来るの?」
「んー、もう2、3分じゃないかな?」
腕時計を眺めながらミサトが呟く。
『見ない時計だな…誰かにもらった……やつ?』
いつもと違うミサトの格好の中でも、その時計は何となくアスカの目に
止まった。
目ざとくいつもと違う持ち物をいろいろ見てしまうのは、アスカ自身が今日
そうだからだろうなと少し思う。その点所在無げに突っ立っているシンジ
は笑える位にいつも通りだ。
「ハイヤーなら待たせとけばよかったんじゃないの?第一、私ら遺族じゃないん
だし、少しくらい遅れても問題ないんでしょ?」
「結構な人数来るんだから、遅れたらいい赤っ恥よ。そ・ん・な、事よりぃ、
えいっ!」
「ちょっと、ななななにすんのよミサトォォ!」
「あり、ファンデやった位か。まあわっかいんだからあんまいじくりまわす
必要はないか…」
突然ミサトはアスカを後ろから羽交い絞めにすると、びっくりして悲鳴
を上げたアスカの顔をじろじろ眺めまわしはじめた。
「ちょ…や!」
「やっぱアスカ肌のキメ細かいわねー。前から気にはなってたけど、所謂
湯上り卵肌てやつか」
「ミサトぉ……」
混乱して赤面するアスカにお構いなしに、尚もジロジロ眺め回し、あまつ
指で頬や項や唇をいじりまわす。
シンジは真っ赤になって呆然としていた。
――でも目線は二人に釘付けだった。
422:経験の唄
09/11/06 00:58:27
「お、この口紅今年の新色じゃないの。何気にチェック早いわねぇ」
「み、店の人の言いなりで買っただけだから、わっかんないわよそんな事!」
「ほほぅ、言いなりでメイク指導もちゃんと聞いてきたのねん。一体誰の為に
勉強したのぉー?うりうりうり」
「やだぁ、ほっぺたいじるなぁ!お化粧落ちちゃう!」
「落ちやしないわよこんくらいで。…にしても睫毛ながっ!ビューラーか
なんかやってんの?」
「何にもしてないもん!だからもう離してよ!」
「ぬ、それはまた羨ましいな、くのっ!」
「やぁぁぁん、息吹きかけないで、そこ弱いのぉっ!」
意外と怪力なミサトにかかれば、軍で訓練を受けているとはいえアスカが
敵いっこなかった。
心なしかシンジの耳には、段々とアスカの声が甘味を帯びてきたような
気がした。
「そだアスカちゃぁん、今のうちにシンちゃんにマーキングしときなさいよ」
「ふぇ?マー…なに?」
ガン見しているシンジの耳に十分聞こえる小声でミサトが囁いた。
「キスしちゃいなさいってことよん。今ならもれなくキスマーク付けれるし」
アスカは返事の代わりに思わずシンジをまじまじと眺めると、沸点を通り
越して絶句してしまった。
向かいのシンジも仲良く硬直してしまい、同じように切羽詰まった眼で
アスカを見ていた。
ミサトは羽交い絞めを解くと、シンジの後ろに回り込んで肩を押して、
アスカの目の前に立たせる。
「ホラ、シンちゃんも呆っとしてないでアスカの変身に一言位言ったげな
さい」
423:経験の唄
09/11/06 01:00:11
『な、何をどう言えっていうのこのタイミングで!』
ミサトの一言に二人同時に横を向き、アスカは心臓が早鐘を打つのを
感じ、シンジはかける言葉を必死で探った。
ミサトもアスカもこの場をごまかして通り抜けることは、絶対許してくれない
だろうという確信がシンジにはあった。
『エヴァに乗ってる時の方が楽かも……』
そんな事を思う日が来るとは思わなかったシンジだが、現実は時間の経過と
ともに重圧が増すだけだ。その重圧から逃げ出すように言葉を吐き出す。
「えと、アスカ……今日はなんか、綺麗だし…その、化粧も服も似合ってるよ…」
「こ、…んも、この、そんな…誉め……」
シンジが必死に絞り出した誉め言葉に、アスカは感嘆符だらけの何かを少し
喋りかけてそのまま俯いて黙り込んでしまった。
『あちゃあ、ちょっちやりすぎたかなぁ?』
お互いに横を向いてもぞもぞしている二人を見ながらミサトは少し反省した。
『でも初々しくって可愛いのよねこの子たち』
反省は本当に少しだけだった。
ミサトが二人をニヤニヤ眺めているうちに、ハイヤーが駐車場に滑り込んで
きた。
424:543
09/11/06 01:01:47
本日以上です。
続きはまた後日……
425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/06 01:09:30
おつー!
426:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/06 06:10:27
乙
今後の展開が楽しみだ
427:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/06 07:47:34
好みだ。続きが・・楽しみ。
428:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/06 22:22:02
こん位、一気にうpしろよw
429:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 00:28:28
乙かれです。
俺も好み。続きゆっくり待ってます。
430:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 16:48:29 oYcABM9D
マイナーなギャルゲーSS祭りを開催したいです。
マイナーなギャルゲーSS祭り!
1. SS祭り規定
自分の個人サイトに未発表の初恋ばれんたいん スペシャル、エーベルージュ、センチメンタルグラフティ2、canvas 百合奈・瑠璃子のSSを掲載して下さい。(それぞれの作品20本)
EX)
初恋ばれんたいん スペシャル 20本
エーベルージュ 20本
センチメンタルグラフティ2 20本
canvas 百合奈・瑠璃子 20本
ダーク、18禁、クロスオーバー、オリキャラ禁止
プレーンテキストで20KB以下禁止、20KB~45KB以内
2. 日程
SS祭り期間 2009/11/07~2011/11/07
SS祭り結果・賞金発表 2011/11/08
3. 賞金
私が個人的に最高と思う最優秀SSサイト管理人に賞金10万円を授与します。
431:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 18:39:28
>>430
スレ違い
432:543
09/11/07 22:17:05
皆様コンバンワ。
続きのほう投下致しますです。
個人的に喪服姿のアスカって見てみたいですねえ。
絵心ないんで自炊できんのですが、きっと似合うと思うんだ。……不謹慎ですがw
それでは、
・戦自にどっちかというと同情しちゃう人
・そもそも題材が気にくわねえ
と言う人向けのNGワードは
経験の唄
で御願いします。
433:経験の唄
09/11/07 22:18:50
*
突如降り出した雨が、黒い車体を容赦なく叩く。
車は北に向かってトンネルを超え、たまに現れる国道の行き先表示板には、
御殿場の文字があった。
会場の近くになると戦自の車両が所々道路脇に現れるようになり、誘導の
係員がずぶぬれになりながら関係車両を捌いている。
はじめお互いを過剰に意識して黙りこんでいたアスカとシンジは、今度は
場の空気に感化されて無口になった。二人が交互に見た左に座るミサトの顔も、
心なしか段々と重く沈んでいくように見える。
応急で作られた車回しにハイヤーが横付けされ、仮設の巨大なテントが弔問
の人々を次々に吸い込んでゆく。
多少雨脚は弱まったものの、いまだに雨は降り続き、テントの下でさえ方々
にぬかるみを作っていた。
「下ろしたてなのにぃ……」
車を降りると周りはぬかるみだらけで、アスカは悲しそうに泥をはねる靴を
眺めた。
『NERV受付』『戦自受付』『一般受付』と書かれた帳場にそれぞれ列が出来
上がり、NERVの列だけが不自然なくらいに長い。
とくに遺族でもなさそうなシンジたち三人は、どことなく視線を集めるらしく、
落ち着かない心持をさらに居心地悪くさせた。ミサトはなにか気になる事がある
のか、先ほどからいらついているように見えた。
「ちょっと、どういうことなの?」
「どうもこうもありませんよ。まるで話が違うんですから。総務部の連中が今
戦自の実行本部に怒鳴り込んでる最中です」
帳場でミサトは日向に戸惑いながら食って掛かった。
「嫌な空気ね。なんかに嵌められてるんじゃない?」
「その可能性は否定できませんね…」
「なんにせよ情報を頂戴。パイロットの対応も色々考えないといけないから」
「わかってますよ。今日は保安部も諜報部も協力的ですから問題ありません」
「頼りにしてるわ」
「頼りにされますよ」
434:経験の唄
09/11/07 22:19:59
受付にいた日向とミサトの会話は、ここに来るまでの雰囲気と相俟って、
シンジとアスカの気分もかなり神経質にさせた。
空気に気圧され目線がどんどん下がるシンジをじっと見守っていたアスカは、
ミサトが戦自のお偉いさんに捕まる寸前に行動に出た。
「ちょっと来なさいよ」
そう言ってシンジの腕を掴むと、帳場の脇をすり抜けて勝手口から裏手に
出る。人の気配が無いのを確認すると、アスカはシンジを壁を背にして立たせ、
その前に腕組みをして仁王立ちになった。
相対するアスカの表情も硬い。その表情がシンジを更に強張らせるが、そんなの
はアスカにはお構い無しだった。
「アンタこういう席初めてでしょ?自分のせいで人死に出たって所に参加
するの」
「うん……」
「予想通りというか、早速場に呑まれてるわね……
いい?バカシンジよく聞きなさいよ。要はココの中は全部敵よ。どんな事が
あっても謝っちゃダメ。碇指令みたいに上から冷たく見下ろす覚悟でいなさい。
弱気見せたら絶対ダメよ!」
「で、出来ないよそんなこと……」
「出来る出来ないじゃないのよ、バカ!やるしかないのよ」
「出来ないって!大体そんな態度、傲慢すぎるよ!」
「アンタの中じゃ謝ったり泣いたりするのは優しさだろうけど、何事もケース
バイケースよ。賭けてもいいけど、アンタの謝罪はまともに受け取られないわよ」
「でも……」
「それに!戦闘地域に残る覚悟持った人間なら、絶対どこかに遺族も『仕方ない』
って思ってる所があるし、事実仕方がないのよ!アンタ、そうやって納得している
遺族もいるのに、その人たちまで傷つけて平気なの?」
「そういぅアスカは、こんな所、平気でいられるの?」
一瞬怯みそうになるのをアスカは立て直し、弱みを見せないようにシンジに食って
掛かる。
435:経験の唄
09/11/07 22:21:21
「アンタばかぁ?すっかり忘れているみたいだけど、私一応軍人よ?命令を
守って任務遂行して、きちんと結果を出す。途中で誰かが巻き込まれて死んじゃう
のもとっくの昔に覚悟してるわよ!」
「だけど……」
「つべこべ言わないの!アンタ男でしょ?何があってもドンと構えてなさいよ!」
「何か……あるの?」
不安そうにシンジがアスカに聞いたが、眉根を寄せて困った顔をしたアスカは
多少口ごもりながら答える。
「わかってたらちゃんと教えられるんだけど、……ぶっちゃけ私にもなにが
起こるかなんてわかんないわよ……」
「そう……なんだ……」
シンジも頼りたいのは山々だったが、アスカが虚勢を張らない上に、いっぱい
いっぱいなのは見ていて解った。
使徒とアダムが接触する前に自爆する覚悟でネルフは使徒との戦いに臨んでいる。
いつかミサトにそう言われた言葉がシンジの脳裏に蘇る。
「頑張って…みる」
気力を振り絞ってアスカに面と向かい、シンジは頼りなさげに言った。
「一人で戦えなんて言わないから、せいぜい足引っ張らないで欲しいわね。もし
どうとも出来ないんならずっと下向いてくれて、黙ってればいればいいのよ」
「その辺も、努力するよ」
アスカの変わらない口ぶりに薄ら笑いを浮かべ、シンジはほんの少し勇気を
貰った気がした。
自分のことで精一杯のシンジには、安堵の溜息をつくアスカは視界に入って
いなかった。
436:経験の唄
09/11/07 22:22:44
*
手短にミサトが二人にした説明によると、今回の合同葬は戦自が企画し、
対使徒戦の犠牲者を追悼することを通して、お互いのパートナーシップを確認
云々と言うのが目的だったらしい。
気前良く会場の準備や警備を買って出た戦自の献身に訝しく思いながら、もしか
したら本当に何の打算も策略もなく動いていると、ネルフ側は受け取った。
その後も慎重に戦自の出方を伺っていたが、態度も対応も変わることなく過ぎ、
それならばと、副指令の発案でパイロットも葬儀に参加してみてはどうかという
話になった。今日こうしてシンジとアスカが参列しているのはその結果だ。
「確かにお互い協力的なら私らにも戦自にも意味のあるイベントよね」
「協力的、ならね」
ミサトは苦々しそうに続けた。
「それが会場に来てみたら、通告の無かった民間人の参列者がいたり、受付から
何からNERVぶんは自分たちでやれだの、意図的に指示や説明食い違ってたり、NERVの
幹部連中にやたらと戦自が話しかけてきたって訳。…ま、それだけなら我慢も
するんだけどね」
「まだ何かあるの?」
「戦自が私たちの情報、今日来てる民間人にリークしてるみたい……」
一瞬アスカが息を呑み、シンジは目を逸らして俯いた。
「何それ……てゆーか大体戦闘地域に何で民間人がいるのよ?退去完了は嘘だった訳?」
「最近増え始めたのよ、避難拒否する人……」
「なんでよ、意味わかんない。そんなの……自殺行為じゃない」
「そ、自殺そのものよ」
戦争神経症かPTSDの亜種みたいなもの……
ミサトの説明の内容は大体そんな感じだった。
度重なる使徒との戦闘で、地域住民にも精神的に参ってきた人が増えているらしい。
『どうせそのうち死ぬ』『どこにいても結局一緒』『同じ死ぬなら自分の家で』
そんな台詞を吐く避難民が増え始めていた。今回の戦闘ではその数、47名。
設備や体勢の整った第三新東京市近辺と違い、郊外地域の避難誘導は地元の警察
と消防団、場合によっては町内会が担当している。
437:経験の唄
09/11/07 22:23:58
避難拒否をする人々を、彼らは見捨てることも出来ずに説得を続けていた。
「報告を捏造して現場に残って説得を続けた人たちもかなりいたらしいわ…」
「なんという…、報告内容曲げられたらどうしようもないじゃない……」
「ま、そうなのよ。おかげで巻き込まれた関係者も100名越えちゃって……献身的
なのはありがたいけど、これはちょっちねー……あ、もう始まるわ」
アスカとミサトの会話が続く間、シンジは一言も口を挟めなかった。
とてもついていけない。そして話の内容がシンジには重すぎた。
エヴァに乗って必死に走り回っていたその足元に、戦闘とは無関係の生きている
人間が、いた。
その事実が、シンジを責める。
話の内容からすると、民間人遺族も今日ここに参列している。しかも、そこに
乗っていたパイロットも知られていることになる。
喪服の葬列の向こうにある通路を、きらびやかな袈裟を纏った僧侶の列が通過し、
その様を別世界の出来事のようにシンジは眺める。
脂汗が滲み、数珠を握り締めたシンジの手が震えだしていた。
そのシンジの姿にはっとしたアスカは、周囲に気付かれないようにシンジの手を
上から握った。
アスカに振り向くシンジの目線の先には、自分も困惑しているはずなのにじっと
シンジを見据えるアスカの顔があった。
式の前の二人の会話を思い出し、シンジは深く静かに深呼吸して、添えられた
アスカの手を握り返して指を絡めた。一瞬逃げそうになったアスカの指先は、
すぐにしおらしくなってゆっくりとシンジの掌を包み込む。
重く、幾層にも響き渡る読経の声がテントの中を反射し、あちこちから忍び泣く
声が纏わりつく。
急激に晴れ上がった空がテント越しに光線と熱気を送り込み、吹き抜ける風が
むせるような熱気と湿気をテントの中に運んできた。
額に汗を浮かべながらその不快な状況に耐える二人の姿を、ミサトは温かい目で
見ながら、ほんの少し安堵の息を漏らした。
438:543
09/11/07 22:26:13
本日はこの辺まで……
レス頂いた皆さんありがとうございました。
やっぱ励みになります。
それではまた後日
439:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 23:00:14
乙、こう言う話は好きだ
440:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 23:16:20
イイ!GJ
441:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 23:16:55
これは・・・・なんか・・・シ、シリアスですね。
なんか凄い感じがするんですけど・・・気のせいかな?
えっと、どうなるの?
442:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 23:35:23
因みに、アスカの喪服姿は確かに見たいな。
443:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/07 23:36:29
GJ
いいじゃん。
面白い。
オバマも広島に来たらこういうことになるんだろうなぁ。
444:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/08 01:03:31
てか、LASじゃないww
445:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/08 01:35:51
>>444
まあここから展開するのかもしれんよ
446:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/08 02:08:16
重いテーマに見せて中身がないのも本編準拠だなw
447:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/08 18:55:32
アスカがアスカらしく、シンジがシンジらしい作品ですね
こういうのも良いなぁ
448:543
09/11/09 23:11:00
皆様こんばんわ。
毎度小出しですみませんが、投下行かせて頂きます。
風呂敷広げてますがなーんも大事件やらにはなりませんですハイw
それでは、
・血沸き肉踊るサスペンスや冒険譚期待してる人
・NERVと戦自の情報ダダ漏れ具合がありえないと思う人
向けのNGワードは
経験の唄
で御願いいたします。
449:経験の唄
09/11/09 23:11:41
*
「何しに来たのよ!この…人殺しっ!!」
突如中年女性が立ち上がり、戦自と民間犠牲者の側へ一礼したシンジにそう
叫んだ。
場内がどよめくのと、一足遅れて焼香したアスカが振り向くのはほぼ同時だった。
シンジは葬儀の前にアスカと話した事を律儀に守り、顔も上げずに下を向いた
ままで固まった。
会場はざわつき始め、シンジの態度を笠に着た女性は更に罵声を浴びせる。
「あんたらが来なけりゃうちは壊れなかったし母ちゃんも死ななかったんだよ!
あんた、どう責任とってくれるんだよ!」
式場の端で戦自幹部に掴まっていたミサトが、罵声に振り向き声の方向に向かった
が、席を往来する焼香客に阻まれてなかなかたどり着けない。
孤立無援を悟ったアスカがシンジに歩み寄り、固まるシンジを促して通路を歩かせ
ようとして両肩を掴んだ。
「シンジ、いいから行って。後ろつかえてる」
その言葉に反応してシンジがゆっくり歩き出す。
アスカもシンジに続き遺族に向け頭を下げた。
「あんた逃げるんかい!」
先ほどの女性は鬼のような形相で列席の筋を掻き分けて通路に向かってきた。
狂奔と表現するに相応しい突進で通路に出てきたとき、アスカは体を張って
シンジを庇う様に女性の前に立ち塞がる。けれどもその表情は強張った上に
青ざめていて、『覚悟が出来ている』人間のそれではなかった。
シンジはアスカの顔色に気付いて、咄嗟にアスカの肩を掴んで無理矢理
後ろに引き下がらせる。
シンジの目の先にいる女性の姿が、トウジと重なった。
こんな状況なのに、止まることなく読経は続いている。
遮るシンジの前に出ようとしたアスカは、シンジの掌に絡め取られた腕に
力が込められたところで止まった。握り返す力の強さにアスカが顔を一瞬
歪める。
450:経験の唄
09/11/09 23:13:06
その女性が更にシンジに罵声を浴びせようとする瞬間、周りのどよめきや
慌しい人の動きとは別に、遥か後方の式典会場入り口から別のざわめきが二人に
近付いてきた。
振り向いたシンジが目にしたのは、悠然とこちらに近付いてくる碇ゲンドウ
その人だった。
闊歩してくる勢いに呑まれて、騒ぎで通路を塞いでいた人並みが綺麗に左右
に分かれる。
物々しく並べられた数百の遺影の前にゲンドウが焼香して頭を下げた。
振り返ったゲンドウが女性の前で歩みを止め、無機質に深々と一礼し、事務の
申し送りのようないつもの淡々とした口調で話し始める。
「ネルフの責任者として、様々なご協力を頂いた遺族の皆様にはここに御悔みを
させて頂く。今後の補償はネルフと戦自が責任を持って対処するので、どうか
ここは穏便に済ませて頂きたい」
「か、金で解決しようってのかあんたたちは!」
「それが一番公平で的確な対処です」
「そ、そんな誠意のかけらも無い態度で遺族が納得できるとでもおも…」
「避難勧告も避難指示も遅滞なく遂行され、殆どの避難対象者が指示に従ったと
報告を受けております。むしろ貴方はご家族が巻き込んだ関係者への補償を
考えなければならないでしょう。それに、パイロットは命令に従い作戦行動
を行っただけです。彼らを責めても何の意味もありません。責任の帰趨は
私にあります」
451:経験の唄
09/11/09 23:14:08
一分の隙も無いゲンドウの言葉に、何も言い返せない女性へ周囲の視線が
集中した。
「まだ公務が有りますので失礼する。繰り返しになりますが補償に関して
はネルフと戦自が対処しますのでご心配なく。では」
入ってきたときと同様にゲンドウはSPを引き連れ悠然と退場していく。
やっと自分を立て直したアスカが真っ先にシンジを見たが、シンジは愚直
なまでに下を向いたまま、悄然としていた。
『素直と言うかバカ正直と言うか……』
たまに鬱陶しくなることがあるとは言え、こういうシンジの律儀なところは
アスカも嫌いではなかった。
「ま、まだ話は……」
それでも尚言い募ろうとする女性が言葉を発しようとしたとき、今度は
ミサトがにこやかに立ち塞がる。
「そう言う訳で、生臭い話はこの場の空気にそぐわないと思うので、別室でお話
いたしましょう。お連れして」
やっと役割を思い出したかのように保安部職員が姿を現し、ミサトの後ろから
女性を囲んで表に向かった。
両脇を黒服の男たちに抱えられて退場させられる女性の脇に、素早く何か打ち
込まれるのをアスカは見逃さなかった。
『えげつな……』
そういう対処に抵抗は無いとはいえ、あまり見ていて気持ちのいいものでは
ない。
「ホラ二人とも、私たちももう出ましょ」
事の成り行きについていけていなかったシンジが背中をぽんと叩かれ、その
反応にあわせるようにアスカが歩き出す。
452:経験の唄
09/11/09 23:14:53
*
「ミサト、今回標的にされたのってさ、もしかしてバカシンジ?」
「ん?んー、かもねー」
「ったく、隙だらけだから狙われちゃうのよあんたは……」
そういうアスカの口調も、いつものような覇気が無い。
「アスカはユーロ所属だから迂闊に手を出せない、レイは周囲のガードが固すぎ。
確かにそうよね。あのオバチャンはアスカに目もくれずだったから、はじめから
シンちゃんにミソつけるつもりだったのかも」
「戦自もパイロットのリサーチは良くやってるって訳ね。ところでえこひいきは?」
「レイは碇司令と一緒に来ることになっていたから、多分車の中に置いてきた
んじゃない?受付の段階でどこからか連絡は行ってただろうし」
「なにそれ!全く、一人だけ上手く逃げていいご身分だわね」
「そう言いなさんな。たまたまなんだから」
「わかってるわよ!こうでも言わなきゃ腹の虫が収まらないの!」
「ま、ねぇー」
水溜りを避けるようにしてあちこちに出来た人の塊の一つに、三人はいた。
悲しみの分かち合いだとか慰め合いだとか、そんな意識の共有なんて無い様に
しか感じられなかった。
式場の緊張と罵倒から解放されたシンジが、慰めや甘い言葉を期待していた
ミサトとアスカも、先ほどから悪意に満ちた言葉を無造作に吐き出している。
二人は単にささくれ立った心やぶつけどころの無い怒りを、お互いに吐露して
落ち着こうとしているだけだった。
けれど、余裕の無いシンジにはそんな風にはとても感じられない。
453:経験の唄
09/11/09 23:15:52
「で、どうすんのこれから。あたしもう会場に入るのはご免蒙るわよ」
「私も嫌だな……ま、二人は先に来たときの車で帰っていいわよ。後は私が何とか
しとくから」
「その『何とか』だけどさ、このお礼は三倍返しじゃ済ませて欲しくは無いわね」
「何も知らない民間人巻き込んでこんな茶番仕込んだんだから、勿論タダじゃ
終わらせないわよー」
「おぉー、期待してるわよ作戦部長」
「まっかせなさいな。そんなわけでシンちゃんも心配しないで今後は……」
「もうやめて下さいよ!」
屯している集団の幾つかがシンジの叫びに振り向いた。
ミサトとアスカはシンジの表情に我に返って、ばつが悪そうに目線を反らす。
誰も何も言い出せずに数瞬が過ぎて、最初に行動に出たのはミサトだった。
「じゃ、後は任せて……」
そう言い置くと、行きたくないと言っていた会場内にそそくさと消えていった。
『ミ・サ・トぉ……逃げたなぁ!』
取り残されたアスカは必然的にシンジと対峙することになる。
とはいえシンジの気持ちを上手く汲み取る手段なんて、アスカには全然と言って
いいほど持ち合わせていない。その上後ろめたい思いが足を引っ張った。
いつものような強気な出任せでも言おうとした気力は、シンジの責め立てる視線
に消され、それでも尚対応を考えているうちに、慣れない髪型がやたら気になって
むずむずしてきた。
『ええい!もうなるようになれ!』
そう思って無造作にカチューシャと髪留めを抜いて頭の重心を低くする。
「あ……」
予想の範囲外のアスカの反応にシンジが戸惑っている隙に、アスカはさもあたり
前のようにつかつかと車へ向けて歩き出した。
立ち尽くすシンジにアスカは面倒くさそうに声をかける。
「何してんの、早く行くわよ……」
454:543
09/11/09 23:19:09
それでは今宵はこの辺で。
なんか感想レス増えてびっくりしてますが、中途では放り出さずに
完走はすると思いますんで、見捨てずに読んでいただければ幸い。
455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/09 23:36:55
だから、どこがLASやねん。
456:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 00:26:17
GJ
457:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 00:40:35
>>453
[゚д゚]ゞ <デフラグ完了
/[_]
| |
!!!!、、、、、、、、、、、、、、、。。。。。。。。。。。。。。
「「「「「「「「「「」」」」」」」」」『『『』』』・・………………………………
ぁあああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
うううううううううううううえええええぉぉおおおかかかかかかかかかか
がががががががきききききぎくくくくくくくくくくくけけけけげここここご
ささささささささしししししししししししじじじすすすすすずずずせせせせせせせ
そそそそそそそそそそたたたたたたたたたたたたたたたたただだだだだちちちちち
っっっっっっっっっっっっつつつつつてててててててててててててててててててててて
でででででででとととととととととととととととどどどななななななななななななななななななな
にににににににににににににににににににににににね
のののののののののののののののののののはははははははははははははははばびへほ
まままみむむめめめめももももももももももももゃゃゃゃややよよよよよよよよよ
らららららららりりりるるるるるるるるるるるるるれれれれれれろわわわわわわわわわ
をををををををんんんんんんんんんアアアアアアカカカカカカカサササ
シシシシシシシシシジジジジジジジススススススタダチトトトミミミャュンンンンンンンン
悪囲引応応下何何何何何過我会会外巻慣間幾期帰気気気気汲叫強型隙嫌言言言言言
戸後後後後向向考行行行合込込今最済作作三残仕思思私私視持持車車取取手手終集
重出出出出瞬初尚消消上上場場情心心振人人尽数声責先戦線線前然然全想早造足対
対待誰団段知置茶張長低的倒逃頭動屯内二入任任配倍髪髪抜反反範番必表部返返歩
民無無免面蒙目勿予欲来立立留力礼論惑峙ーーー
458:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 01:44:34
>>457
ひでぇwwwww
459:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 02:03:27
乙
展開まったく読めないなw続き楽しみに待ってる!
460:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 02:11:22
>>457
デフラグさんワラタw
461:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 06:52:04
これも十分LASだろ
462:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 12:42:39
本当にどうなるの?
気になって夜も・・眠れる。
463:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 13:11:28
GJ!さりげなくアスカがシンジを、シンジがアスカを気遣うような部分が良いですね
こういう場面でのゲンドウは頼りになるがエグいw
464:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/10 19:40:30
ゲンドウが態々、葬式に行くってのは如何かな?まぁ、そんな事言いだしたら
派生なんてできないけどね
465:543
09/11/12 00:37:16
毎度毎度皆様こんばんわ。
変わらず続き投下いたします。
賛否も色々頂いて有難い限りですが、プロットで
大筋書き上げて変えるつもりもないので反映できず
申し訳ないです。
それでは以後、薄味LASイラネ的な方々のNGワード
経験の唄
で御願いします。
466:経験の唄
09/11/12 00:38:07
*
「アパートに行かなくていいわ。御殿場駅まで送ってちょうだい」
「え?しかし……」
「いいからやって」
「は、かしこまりました……」
「あ、アスカ?」
「アンタにも付き合ってもらうわよ。どうしても真っ直ぐ帰る気になれないの」
抗議しようとしたシンジは、アスカの顔を見た途端にその気が失せた。
ミサトと対等に話し、シンジを叱咤激励し、会場では咄嗟に庇おうとした
アスカはそこにはいなかった。
シンジと同じように苦悩と悔しさと後悔を滲ませ、ぶつけ所を失った爆発
しそうな感情の渦をひたむきに押さえ込んでいるようにシンジには見えた。
塞ぎこんで落ち込んでいたシンジの気分が、単純なことを見逃していた。
『そうだよな……アスカもパイロットなんだよな……』
口でどんな強がりを言っても何も感じていない訳もなく、冷静に割り切って
受け止められる訳でもないのだ。
「わかったよ……」
「悪いわね」
「いいさ。僕も、なんだかすぐに家には帰りたくないや……」
「……別に、あたしに合わせなくてもいいのよ」
「ホントだって。」
「信じらんないわよ、そんなおべんちゃら」
「ホントだよ」
「信じない」
「ハハ、別に信じなくったっていいよ」
『そう言う言い方されると、私のほうがバカみたいじゃない……』
いや実際バカかもしれないと思いながら、アスカの口元に少し笑みが浮かぶ。
シンジはそれに気付きもせずに、一度もこちらを向いてくれないアスカの
背中をじいっと眺めていた。
……だからアスカは振り向けないのだけれど。
467:経験の唄
09/11/12 00:39:10
ハイヤーの運転手は最後までこれでいいのかという顔をしつつ、きちんと
御殿場駅まで送ってくれた。
車から降りてひと伸びしたアスカを、シンジは黙って見つめる。
「どうする?これから」
「まずは昼ご飯ね。何するにしてもお腹へってたら気合入らないもの」
「もう1時か。言われてみるとお腹減ってきた」
「いい反応ね。あんまり長いこと辛気臭い顔しててもいい事なんてないわよ」
「わかってるよ……」
アスカがばちんと叩く背中の感触も、今日は何かの救いのようにシンジは感じた。
駅ビルに二人で入ると、よく利いた冷房で体が少し震える。
「アスカ、何にする?」
「ん、オムライス食べたい」
『迷いが無いよなー、いつも…』
シンジの何食べたいの問いに大概アスカは即答する。
もっとも、即断即決が過ぎてシンジが一方的に振り回されることも多いの
だけれど、シンジはそれにはあまり気を留めていない。
上手い具合にあったオムライス専門店に入り、お互い自分の好きそうな品物
を注文した。
「あたしはこのケチャップのやつ」
「んー、じゃあ僕はこのチキンとほうれん草の照り焼きクリームソース」
「かしこまりました、メニュー繰り返します……」
ウェイトレスがオーダーを繰り返している間、アスカはシンジの頼んだメニュー
を見本写真と共に見返す。
「どうしたの?」
「何がよ」
「頼んだ後でメニューじっと見てたから、何かあったのかなって」
「なんか、あんたの頼んだの方が美味しそうな気がして……」
アスカは自分の意地汚さを自覚して、何となく目線をシンジから逸らしながら
呟いた。
「あるよねそういうの。じゃあアスカ、どっちも半分こしようよ」
「え?」
『そ、それは何て名案!』
468:経験の唄
09/11/12 00:40:24
心の中で叫んだアスカの快哉は、表に出るときは『多少喜んだ感じ』に減殺
されている。シンジにはそれでも反応としては十分だったみたいだ。
「……いい?きっちり均等に半分こよ!」
「大丈夫だよ。多い方はアスカにあげるし」
「なにそれ、あたしが食い意地張ってるような言い方しないでよ」
「別にそんなんじゃないって」
「うそ臭い……」
「ほ、本当だってば……」
アスカの追及を逃れるべく、シンジはアスカの前に開いているメニューを
あちこち指差しながら「これどんな味なんだろ?」「カルボナーラ風ってなん
だろね?」などと一々問いかけた。
多少アスカは鬱陶しく思いながら、シンジの問いかけに淡々と答えては、言葉の
接ぎ穂を失って言い淀むシンジを眺めていた。
『ばーか。メニューの講評よりも、今日助けてくれたアスカさんに一言くらい
欲しいものね……』
触れられたら逆切れするのを自覚しつつ、生返事をしながらアスカはそんな事を
考えていた。
「アスカ昨日帰ってくるの遅かったけど、ここのビルに来てたんだったりして」
些細な受け答えの最中、無邪気に軽口を言うシンジに、アスカは虚を突かれて
思わず「そうよ」と答えてはっとする。
「あ……」
二人同時にそう口にしてから、そのまま二人で固まった。
……実はアスカ、この駅ビルにはつい昨日来ている。
ミサトにからかわれた化粧品を見立ててもらって買った店は、この上の階にある。
何となく気恥ずかしくてそのことを黙っていたのだ。
気まずい時間が流れる中、先ほどのウェイトレスが注文の品をもってきた。
「お待たせしました――」
469:経験の唄
09/11/12 00:43:40
我慢し切れなかったアスカは、昨日ここのビルに買い物に来て、オムライス
専門店というフレーズにすっかりやられてしまった事を、ぽつりぽつりシンジに
説明した。
シンジはそれにくすりと笑ったきりで突っ込んで聞かなかった。
「しかしさあ、あんたが作ってくれれば外で食べる必要ってないんだけどね」
「流石にハードル高いよ。こんな感じでふわふわのとろとろはまだ作れないや」
「お弁当に入れてくれてもいいんだけど」
「ごめん、それもっとムリ」
「わかってて聞いてんのよ、バカ」
食べ物の力は偉大だった。約束どおりお互い均等に半分ずつオムライスに舌鼓
を打ちながら、お互い機嫌がいい時の穏やかな会話が続く。
満足して食べ終わるとアスカはさっと席を立ってしまい、慌ててシンジも
追いかけて会計を済ませた。何となく居場所を見つけられずに駅ビルを出て、再び
むせるような暑さと湿気が纏わりつく。
「どこに行くっていうのよ……」
アスカは露骨に不機嫌になる。さもシンジのせいでこんな目にあっていると
言わんばかりの態度だ。
律儀に自分の責任を感じたシンジは、この宙ぶらりんな状況を何とかしようと
頭をフル回転させていた。
「アスカ、カラオケ……」
「アンタばかぁ?日本語のテロップ出てくる上に知らない歌ばっかりのところに
あたしを連れてってどうしようってのよ!」
「じゃあ、映画……」
「却下!ていうか、つまんない映画だったらあたし多分映画館で叫ぶわよ?」
「なんで叫ぶんだよ!」
「気に入らなけりゃ文句を言うのが当たり前じゃない!」
「いや、意味わかんないし。あ、それじゃビリヤードとか……」
「なんかキューでアンタ殴りそうだからやだ」
「じゃあどうするんだよもう……」
470:経験の唄
09/11/12 00:46:07
『デートメニューには期待してなかったけど……』
シンジにこの先どうするかを考えてもらうのは無茶があると知りつつ、自分で
考えるのは嫌なのでアスカはこうやって甘えている。
何度かシンジの献身ぶりに見返りがないという事は言ったはずなのに、シンジ
はまるで自分の態度を変えない。
バカな奴と思っていたその行為が、アスカの心を少しずつ溶かしていった。
気付かないうちにその態度はアスカの中で『当たり前』のものになり、無意識
のうちに『当てにしている』ものになっていた。
「ねえ、他に何か無いわけ?」
「うーーん……」
困惑を全身で表現するシンジに少々愛想が尽きたアスカは、何の気なしに周囲を
眺め回す。
少し繁華街から外れると、街は急速に退屈なる。
諦めて第三新東京市まで帰ろうかと言おうとしたとき、遠くから甲高い金属音が
して、ふと音の方向を振り返った。
音の先には、低いビルの屋上に緑のネットを張った建物がある。
何だろうと眺めているとき、また同じような金属音がする。
「シンジ、あれ、なんなの?」
「あれ……って、あのビルの屋上の?」
「他に何があるのよ?」
「あー。バッティングセンター……かな?」
「はぁ?なにそれ?」
「えーと、何て説明すればわかってもらえるんだろ……」
「?」
471:543
09/11/12 00:49:14
今日はここまでで。
少々長くなりますが、次回で終了できるかと思います。
それではまた皆様ごきげんよう。
472:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/12 02:12:47
気になるがなー
473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/12 07:48:53
乙
なにが始まるの?
何か・・好きだ、この話が。
474:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/12 18:49:43
良いね。続きを楽しみにしてるお
475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/12 23:03:22
このgdgd感では次回で終わらない方に賭けたいw
476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/13 18:11:41
別に無理して終わる必要もないし
477:543
09/11/14 00:55:36
皆様こんばんわ。
予告どおり最終投下行かせて頂きます。
ただ今回十レス越えちゃうと思うので、支援途中であると嬉しいです(このレス含む)。
それでは以後、
・バッティング理論に一家言ある方
・帰宅の電車で取り返しのつかない乗り過ごしされた方
のNGワードは
経験の唄
で御願いします。
478:経験の唄
09/11/14 00:56:35
*
「つまり、飛んできた球をバットで打つ。要はそれだけの事なのよね?」
「うん、簡単に言うとそうなるんだけど……」
「簡単この上じゃない。問題ないわ。さ、行くわよ」
「い、行くの?」
「話聞いてると結構スカッとさせてくれそうな感じだし、当然よ」
『いや、確かにきちんとボールをバットに当てればそうだけど……』
シンジにでも、アスカはまず間違いなくまともにかすりもしないと予想できる。
そんなシンジの危惧は無視して意気揚揚と赤毛の少女がバッティングセンターに
喪服で乗り込む。
入口で退屈そうに新聞を読んでいたおじさんが、アスカの格好と前のめりな勢い
に呆然としながら姿を見送った。
「ところでこのケージ、何か違いがあるの?」
ズラリと並ぶ扉を右から左に一瞥して、アスカがシンジに尋ねた。
「えっと確か球の速さとか球の種類が違ってたはずだよ」
「へぇーえ、じゃあ一番球の速いケージってどれよ?」
「あ、あのアスカ……初心者なんだしせめて最初は球速遅いやつから……」
「あんたバカ?あたしらの仕事はいつだってぶっつけ本番でしょ!だから最初に
一番難易度高いとこぶつかってそれをモノにする。それがパイロットってもんよ!」
『その持論に僕を巻き込まないで……』
容易に予想できるその後の展開を憂鬱に思いながら、渋々『球速150km
ピッチャー野茂』のケージにアスカを案内した。
シンジの説明に従って投入口にお金を入れてバッターボックスに立つ。
投球口のスクリーンにピッチャーの姿が映し出された。
「へーえ、本格的ね……」
感心してそう呟くアスカは、見よう見真似のフォームで来る球を待ち構える。
『あ、手の位置逆だ…』
「アス……」
ズドンッッッッ!!!
479:経験の唄
09/11/14 00:57:22
シンジが声をかける隙もなく、悠々と構えていたアスカの余裕を全て打ち砕く
勢いで、白い楕円の物体が猛スピードで通過した。
それから後はもう大変だった。
球速にびびったアスカはボックスに棒立ちになり、シンジが慌ててケージ内に
入るまで足がすくんで動けなかった。
それこそシンジがバットの持ち方から立つ位置まで教えたが、アスカは丁寧
にシンジにバットを託すと一目散にケージの外に消えた。
『えー………』
仕方無しにバットを構えるシンジの肘の下を風切り音と共に白い楕円体が過ぎる。
『あははは、ムリ』
バットを振り抜くのを諦めると、シンジはバットを平行に差し出した。
それだけでも威力は半端なかった。辛うじて左手に残ったバットと、両腕を襲う
強烈な痺れが暫く取れない。以降はバットに当てることも出来ずにケージを出た。
少々ばつが悪そうなアスカは、そのあと結構素直にシンジの助言に従って
『80km ソフトボール』のケージに移動した。
「まずは止めたバットに当てて感触味わってみるのもいいと思うよ」
「そ、そうね」
先ほどの鬼球速にびびってしまったのか、アスカはかなり腰が引けている。
バットはわざと当たらないように工夫しているんじゃないかと言う疑い
すら思い浮かぶ、ぎこちない持ち方だった。無理矢理ケージの中で付き合わ
されているシンジも、溜息交じりにバットに手を添える。
「ほら、ちゃんと平行に持たないと当たりにくいから」
「う、うん」
シンジの手がアスカの手を支えるように添えられたバットが、飛んできた
ボールを力なく受け流す。
「わ、わぁぁ!」
アスカがすぐさま手を離し、簡単に二人の手からバットが落ちた。
「ダメだよちゃんと握ってないと」
「わ、私に当たったらどうしたらいいか判らないじゃない!」
「よければ…いいと思うよ」
480:経験の唄
09/11/14 00:58:41
なんか昔誰かに似たようなことを言ったなと思いつつ、シンジはアスカの
後ろに回りこむ。
「アスカ、ちゃんと支えとくから逃げないで、集中してよ」
「な、ちょ……!」
おそらくはシンジは純粋に手助けのつもりなのだろうが、アスカに覆い被さる
ようにバットを握っていると、否が応でも体が密着する。必死になっているシンジは、
自分の行動があまりわかっていないらしい。
『ど、ど、どっちに集中しろってのよ―ー!』
首筋からお尻にかけて存分にシンジの感触を味わいながら、アスカは
一人で混乱して興奮していた。
その時間を打ち破ったのは、シンジに握られた両手に痺れるような衝撃が
走ったときだった。
鈍い打撃音と共に、捕らえたボールは転々と地面をマシンに向けて転がって
ゆく。
「お、おぉーーーー……」
アスカは呆然と転がるボールを眺めて、もう一度手に残った痺れを味わう。
『いい、これいい』
浸っている間に投げ込まれた一球を余裕で見逃し、球の来る方向を見据えて
アスカはバットを差し出す。今度は打球がケージの上で跳ね返って落ちた。
「シンジ、これ面白い!」
「そ、そう?」
感触がどういうものかが解ると、不安や恐怖は途端に薄れたようで、
アスカは当てるだけだったバッティングが、段々おおきく振りかぶって
構えるようになった。
このケージに入ってコインが三枚目になる頃には、アスカは一心不乱に
ボールを追いかけ始める。自然に左足がステップすることを覚え、顔には
シンジの見慣れた獰猛さが顕れてきている。
すっかり夢中になったアスカからそっと離れると、シンジはケージの外に
出た。
481:経験の唄
09/11/14 01:00:15
『やっぱアスカは運動神経いいなあ……』
気付けばアスカは立ち位置はバッターボックスの中でもベース寄りに
移っている。
ボールも段々正面に飛ぶようになり、当たりもライナー性のものが
混ざり始めた。
「えいっ!」「やっ!」「この!」
当たりが良くなるに従い、アスカが打つたびに気合と共に叫ぶように
なり始めた。
「あんたもやってみれば?楽しいわよ」
段々自信もついてきたのか、清清しい顔でケージから出てきたアスカはそう
シンジに提案した。休む間もなくもっと早い球を打つためにアスカは『110km
スライダー 渡辺俊』のケージに向かう。
「えー、あまり自信ないんだけどなあ…」
と呟きつつ、シンジはアスカの手前の『100km ストレート 岸』の
ケージに向かった。シンジも何だかんだと楽しくないわけでもないらしい。
アスカは映し出される画像に三球くらい面食らったあと、画像よりボールを
追いかけはじめて、打球がガンガンスピードを上げていった。
2回目のコインを入れる頃には大体のコツを掴んだらしく、アスカの打球は
大体前方に飛んでゆく。
「ふう……」
画面が切り替わって東急終了になると、シンジは目の前で一心不乱にバットを
ぶん回すアスカを眺めた。心なしか、その様に鬼気迫るものを感じる……
そう思った矢先にアスカが呟く。
「戦自の……」
タメのあと、叫び声と共にアスカは一気呵成に力を解放する。
「バッカヤロォーーー!」
金属バット特有の爽快な打撃音。アスカは両手から体を突き抜け、その衝撃を
存分に味わう。
482:経験の唄
09/11/14 01:01:32
フルスイングで雄叫びを上げるアスカの背中が、シンジの中の何かを燃え
上がらせた。
『良く恥ずかしくないなあ…でもなんかいいかも……』
なにか浮き浮きしながらシンジはコインを投下する。
何故だか球筋がさっきとは比べ物にならないくらいはっきりしていた。
シンジがバットを構えると、タイミングを取りながらステップを踏んで
思い切り振り抜く。
軽快な金属音を震わせて、ボールは弾丸になってホームランの的の下まで
飛んだ。
「っっしゃあ!」
思わず叫んだその声にアスカが振り返る。
それで怖じ気づきそうになったシンジに、アスカはにやっと笑って向き直り、
さっきよりも張り上げる声が大きくなった。
「どぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!!」
力み過ぎて空振りしたアスカは、悔しそうにバットで地面を叩くとすぐに
また構えた。
『っはは!凄いなアスカ……』
なんだかシンジも楽しくなってきて、いつもの弱気が消し飛んでしまい、
いつしかアスカと競うように声を張り上げて球を打ち返していた。
たまにお互いの意味不明な叫び声に滑稽さを感じながら、二人とも相手を
からかう事もしなかった。
……なんで大騒ぎをしているのか、その理由が同じだったからだ。
483:経験の唄
09/11/14 01:07:06
*
「あはは、僕もう肩が抜けそう」
「あたしも明日の筋肉痛が怖いわ……」
「アスカ、明日は女子の体育バスケじゃなかった?」
「うぁ……」
二人がバッティングセンターを出たのは、もう学校帰りの学生たちがちらほら
他のケージに入ってくるようになった夕方四時ごろだ。
よくもまああんなに長い事いたものだと話しながら駅まで帰り、今こうして
電車を待っている。
「またこようねアスカ」
「そ、ね。ストレス溜まったら来るといいかもね」
「そういえばアスカ、凄い叫んでたもんね」
「あ、あんたも人のこと言えないじゃないの!」
「他の人迷惑して無かったかなあ?」
「知ったこっちゃないわよそんな事。店の人も何も言わなかったし、いいんじゃ
ないの?」
ホームラン賞で貰った金属バットを足でコンコン叩きながら、アスカは上機嫌
だった。
「若いっていいねえ」
そう呟いたおじさんの言葉にシンジは意味深なものを感じていたが、アスカは
額面通りに受け取ったらしい。
乗り込んだ電車の中はまばらに乗客がいるだけで閑散としていた。
そろそろ低くなり始めた太陽光線が窓から飛び込み、二人の視界を狭める。
発射のベルが鳴って扉が閉じ、ちょっとした静寂のあとで低いモーターの唸り声が
響き、電車の振動が小刻みに体を揺らせた。
心地よい疲れに浸っている中、二人の会話は途切れた。
たまに線路沿いの建物が、オレンジに染まる車内に影を投げかける。
「あんた…………エヴァから、降りる?」
頬杖をついて窓の外に顔をそむけるアスカが、ポツリとシンジに聞いた。
ストレートな質問にシンジは困惑しながら答える。
484:経験の唄
09/11/14 01:09:25
「え……と、そう言われると考えちゃうな……」
「なんか、今日の事でそんな事言いだしそうな気がした……」
「……」
「あたしは止めないからね。自分で考えてよ」
アスカの表情はシンジの位置からは窺い知れなかった。
電車は山越えに入り、トンネルに突入した衝撃音の後で、車内にまた静寂が
訪れる。
真意は測りかねたが、今日の一日の流れからシンジも存外素直に心のうちを
吐露できた。
「最初にエヴァに乗ったときの戦闘で、トウジの妹が怪我したんだ」
「……」
「それで、会った初日にトウジに殴られてね……まあ、それは仕方ないと思う」
「まだそれ尾を引いてるんだ?」
「ううん、トウジとはその後の使徒の戦闘とかでも色々あって、今は何とも
ないんだ。それよりも殴られた後のやりとりの方が今から考えるとひどいなって」
「また殴られたとか?」
「うん、そう。『僕だって好きでエヴァに乗ってるんじゃない』って言った瞬間に、
ガーーンって」
「あんたってホントに馬鹿ねぇ…殴られて当然じゃない」
「あははは、僕もそう思う」
アスカはやっとシンジに振り向く。その顔は暴言の割にシンジにもわかるくらい
安堵が滲んでいた。
「なぁんだ、じゃああたしが今日わざわざ釘刺す必要もなく覚悟は出来てたって訳ね」
「いや、そんな事無いよ。やっぱりああ言って貰わないといろいろ恐かったし。
その……アスカがいてくれて助かったよ」
そう言ってにこやかに感謝するシンジに、アスカは何も言い返せなくなって沈黙
で答えた。
あとに続く無言の時間は、少し居心地が悪く感じながらも、二人とも嫌では
なかった。何も喋らなくても、横に戦闘の相棒がいる。立場を理解できる唯一の存在が
そこにいる。それだけで充分だった。
485:経験の唄
09/11/14 01:11:46
ぼうっと流れる景色を眺めていたアスカに、暫くしてシンジの頭が肩に乗りかかって
きた。
吃驚して見たシンジの顔は、無防備で締まりがなくて、それがアスカにはどこか
安堵を感じさせた。
『しょうのないやつ……』
そう思いながら前髪をつついて、眉をしかめたり寝返りを打とうとするシンジを
見遣る。自分の顔が今まで人に見せたことのない優しさを醸し出していると、当の
アスカは全く知らない。
……今日一日怯む心を思い止まらせたのは、アスカにとってはシンジだった。
出かける前の照れくささも、葬儀会場の敵意も、バッティングセンターでの怖気
づきも、自分ひとりでは乗り切れても、今のような気分にはなれなかっただろう。
『誰かがいるっていいもんだわね……』
肩にかかる体重と体温。嗅ぎ慣れた髪の匂いに、仄かな汗の匂いが混じっている。
いつの間にアスカも疲れが出て眠り込んでしまい、気がついたときには夕闇に
染まる芦ノ湖を眺めていた。
シンジの髪についたヨダレを咄嗟に拭うと、文字通りシンジを叩き起こして一通り
詰った後、次の駅でホームに下りた。
跨線橋を渡り向かいのホームに移動すると、手近なベンチに二人で座る。
乳白色の西の空が闇に溶けようとするのを、シンジがぼうっと眺めていた。
自分が隣にいるのに空を眺めるシンジにアスカは少し不満だったが、『ま、いっか』
と思い直して同じように空を見た。
時折視界を蝙蝠が横切り、闇と静寂が深まるにつれて、ホームの照明がぎらぎらと
輝きを増す。スピーカーから機械的な女性の声で電車の到着を予告し、微かな轟音が
段々と近付いてきた。
立ち上がったときに二人同時にミサトからのメールが入った。
486:経験の唄
09/11/14 01:14:45
『ゴメン!今日も本部に泊まり!!それはそうと保安部から報告聞いてるけど、
二人ともとっとと家に帰りなさい!
追伸:戦自よりさっき報告あり。戦闘時避難誘導に1個連隊派遣。善通寺の精鋭
部隊らしいわよん
以上!』
「よかったねアスカ」
携帯を閉じたシンジがにこやかにアスカに話しかけると、当のアスカは難しい顔で
まじまじと携帯画面を凝視していた。
「漢字多くて追伸のほうがちょっと意味不明……」
「あ、それなら避難誘導に戦自が部隊派遣してくれるって内容だよ」
「へーえ、…………そっか。ミサト、頑張ってくれたんだ」
「うん、そうみたい」
ちょうど開いたドアに合わせて二人で車内に入り、適当に座った座席でも、二人は
さも当たり前のように肌が触れ合う至近距離で座った。
不意にアスカがかざした左手を、シンジが同じく左手でハイタッチをした。
車内に小気味いいぱちんという音が反射し、誰もいない車内に響く。
―すっかり日の落ちた窓の向こうには、自分たちが守った街並みが光の帯になって
横たわっていた―
<<劇終>>
487:543
09/11/14 01:22:27
あれ?ちゃんと投下できた……?
まあいいやw
以上で終了です。
出てくる設定やキャラの動きが何かあるようでそうでもない、微弱LASに
お付き合い頂いた皆様ありがとうございます。
さすがにこう長いのは今後はあまり書かないと思います。
時間あるときにぼちぼち書いていきたいと思いますので、そのときにまた
皆様にお付き合いいただければ幸い。
それではまたの機会に。 ノシ
488:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 02:04:27
GJ
489:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 02:09:49 UJb4+3zz
同人キャラっぽくなくてよかたよ
490:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 03:17:09
なんかこう……アップルティーの香りのような甘さだな
491:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 03:39:03
いいね。思った以上に面白かった
こういう爽やかな感じもいいね
GJ&乙でした。新作投下も気長に待ってるぜ
492:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 06:19:33
GJ面白かった
493:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 07:13:25
ホームラン賞でバットが貰えるのか…
494:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 11:42:25
ホームラン賞で金属バットw
なんちゅう商売だ。
495:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 12:24:56
GJです。
いいねぇ。大好きです
496:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/14 21:35:20
>>487こんなところで善通寺の名前を聞けるとは…
学生時代を思い出しますた
497:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/15 12:37:28
GJでした!
ほぼアスカとシンジしか出てないのに甘すぎないのは、2人の間に流れる爽やかな雰囲気がそうさせてるんでしょうね
癒やされました
498:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/17 05:40:22
いときおまだかのぅ
499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/17 16:55:28
俺もいときお町~
500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/18 01:16:53 Bp/Ahb37
マイナーなギャルゲーSS祭り!変更事項!
1. SS祭り規定
自分の個人サイトに未発表の初恋ばれんたいん スペシャル、エーベルージュ、センチメンタルグラフティ2、canvas 百合奈・瑠璃子シナリオ
のSSを掲載して下さい。(それぞれの作品 一話完結型の短編 10本)
EX)
初恋ばれんたいん スペシャル 一話完結型の短編 10本
エーベルージュ 一話完結型の短編 10本
センチメンタルグラフティ2 一話完結型の短編 10本
canvas 百合奈・瑠璃子 一話完結型の短編 10本
BL、GL、ダーク、18禁、バトル、クロスオーバー、オリキャラ禁止
一話完結型の短編 1本 プレーンテキストで15KB以下禁止
大文字、太字、台本形式禁止
2. 日程
SS祭り期間 2009/11/07~2011/11/07
SS祭り結果・賞金発表 2011/12/07
3. 賞金
私が個人的に最高と思う最優秀TOP3SSサイト管理人に賞金を授与します。
1位 10万円
2位 5万円
3位 3万円
501:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/20 00:50:54
いときおさんまだ~(゜∇゜)?
502:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/21 19:59:40
しつこい
503:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/25 23:53:55
まち
504:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/27 03:23:24
気長に投下街
505:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/27 20:35:06
17スレ目>>132の続き待ち
506:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/27 22:11:00
>>505
>>133
507:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/29 17:41:34
ちがう
ここ21スレ目
508:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/11/29 19:09:59
死んだ子の歳を数えてもしょうがない。
509:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/12/03 20:18:17
今年は来るかな?
510:パッチン
09/12/04 14:18:45
綺麗に、そして可愛くデコレーションされたケーキがアタシの目の前に。
妙にキラキラしてるのはケーキが輝いてるから?それともアタシの目が輝いてるから?
赤いイチゴと白い生クリームが彩る甘いケーキは、ロウソクの小さな炎に照らされ、少し幻想的でもある。
そしてそれらに囲まれる中央部分で、チョコレートクリームが幸せの言葉を作っていた。
お誕生目おぬでとうアスカ
「ごめんね、手作りだから上手く書けなかったけど…」
「ば、バカ。こういうのが良いのよっ」
申し訳なさそうにテレた笑みを浮かべるシンジ。
でも完璧じゃない…むしろ失敗した文字の方がシンジの可愛さを更にアップさせてるのよ。
ああ、そんなに顔を赤くしないでよ…。
その染まる頬に目立つ白。
アタシは立ち上がって、彼のほっぺについた生クリーム…舐めてあげちゃう。
「あ、アスカ!」
「・・・シンジって甘いね」
あはは、とうとう真っ赤になっちゃった。
ねえねえシンジ?幸せだよね?
アタシはすっごく幸せだよ?
「プレゼント欲しいよぉ…シンジぃ」
「う、うん」
両肩にシンジの手が置かれる。
ゆっくりと顔が近づく…。
キスキスキス…キスしちゃう。
511:パッチン
09/12/04 14:20:01
あ・・・れ?
唇にフニャンとした感触が来ない…
目を開くとそこには困惑したシンジの顔がある。
「あ、アスカぁ…キスできないよ」
「な、何ですって!」
ヤバいヤバい!この感覚は最近よくある!
アタシはいつものように右手でパーを作り、思いっきり自らの頬をひっぱたく。
感覚無し
ヤバいヤバいヤバい!
焦るアタシ…今度は両手でグーを作り、自らの体中を滅茶苦茶にポカポカ叩く。
ふはは、痛くも痒くないわ
やだやだやだやだやだっ!
かくなるうえは、左手をチョキにして自らの両目に…
「す、ストップストップ!アスカもうやめてよ!」
「や、やだぁそんなわけない!痛いはずなんだからぁ!」
前から抱きつくように制止してきたシンジを半狂乱になりながらアタシは振り払おうとする。
「し、シンジお願い、生爪を剥がして!流石に痛いと思うの!」
「いい加減にしてよアスカ!もう朝なんだよ!
これは・・・夢なんだから!」
すると一瞬大好きなシンジの顔がぼやけて・・・大嫌いな朝日。
知ってる天井。
12月4日の朝という現実がアタシを包んでいた。
512:パッチン
09/12/04 14:21:22
『アル日のバースデイコール』
「おはよアスカ。お誕生日おめでとう」
「あ…うん」
「ミサトさん今日は早いらしいから、もう出ちゃったよ。帰りにケーキ買ってきてくれるらしいから」
「はいはい…」
いつものように眠そうにシンジの言葉をあしらいながら、アタシは朝食の並ぶテーブルにつく。
特別な日なのに当たり前のように振る舞う。バカだなぁ
なに大人ぶってるんだろ…。夢の中みたいに甘えたいのに。
和朝食がセオリーの葛城家の食卓。
今日はハムエッグに…トースト。ジャムはアタシの好きなオレンジ…。
「何コレ、誕生日プレゼントのつもり?」
「え?い、いやそうじゃなくて…」
「安上がりで済んで良かったわねぇ。ま、アンタには料理くらいしか無いもんね」
ああ…もう嫌だ、この口…
「ぷ、プレゼントは別にあるよ!朝食はオマケ!」
「はいはい、期待しないで待ってるわ。いただきまーす」
くだらないことしか出ない口が嫌い…。
お仕置きを与えるように下唇をキュッと噛みながら、アタシはトーストに手を伸ばした。
シンジの料理を味わう一番幸せな部分のはずなのに、この口がシンジを一番傷付けちゃう…。
513:パッチン
09/12/04 14:22:55
朝食後、興味のわかない休日の朝のバラエティーをソファーに腰掛け、ぼんやり眺める。
ふんわりオムライスの作り方なんて、何度も見たわよ…。
今夜は一応葛城家だけでアタシの誕生日パーティーを開催するらしい。
しかしあくまで今夜。
…誕生日の朝に何をやってるんだろう、という思いがキュッと胸を切なくする。
いや、いままではこれが当たり前。訓練漬けだったアタシは誕生日を特別な物と考えたことはあまり無かった。
訓練を終えて家に帰れば、無人のキッチンテーブル上にバースデイカード。そして冷蔵庫には1人分のケーキ。
それが誕生日。
なのに今年のアタシは求めている…。
フッと左を向けばフローリングの床にペタリと座り、テレビを見ているバカシンジ。
改めて言えば…好きな人。
加持さんへの気持ちとは違う、見るたびに…思うたびにドキドキする感じ。
今もキューンと締め付けられる胸が痛い。
多分アタシは弱くなったんだと思う…コイツのせいで。
ううん、なれるならもっと弱くなりたい。
素直になりたい…!
甘えてみたい…!
夢で見た誕生日パーティーが頭をよぎる。
「・・・ねぇ、ミサトが帰ってくる前に誕生日パーティー始めない?」
「え?」
514:パッチン
09/12/04 14:24:16
「ねぇやっぱりマズいよ…ミサトさんが知ったら怒るよ絶対…」
「大丈夫よ!どうせ山ほどあるんだからバレないわ」
トポトポとグラスに注がれる赤い液体は大人の香り。
キッチンテーブルの上にはさんざん乱暴に捻られて、ボロボロになったコルクが1つ。
我ながら情けない作戦だと思うが、現状打開にはこれしか無かった。
今年の誕生日は・・・デレたいのだ。
「そ、そもそも僕達まだ15歳だし、法律で禁止されてて…」
「ペンペン!アンタ歳いくつ!?」
くわっと3本爪をたてるペンペン。
「ほら!一本いっとく?」
手近にあったエビチュを投げると、小躍りしながら受け取り、プルタブを折るペンペン。
「見てみなさい!3歳のボーヤでもあんなにグビグビ飲めるのよ!」
「あ、あれは人間じゃないだろ!」
はんっお酒なんかでビビるなんて男失格ね!と、また強がるアタシ。
でもでもでも…それもここまでよ…。
グラスを天にかかげ、中で揺れるソレを蛍光灯の光に当ててみる。
「アンタは飲まなくていいわよ。アタシ1人で楽しんじゃうから…」
アタシを変えて…お願い。
その願いと共にグラスに口付けたアタシは、目を閉じてゴキュっと喉を鳴らした。
515:パッチン
09/12/04 14:26:50
『あ~しゅか~♪』
『きゃっ!ちょ、ちょっと何ですか葛城一尉!』
『いやんっお堅いんだからぁ~ミサトちゃんって呼んでよぉ』
『お酒臭い!飲んでますね!』
『ドイツのビールは世界一いいい!』
『は、離して下さい!アタシこれから大学入試の勉強するんですから!』
『ありり?アスカちゃんはまだそんな歳じゃないはずでしょ?大人の階段のぼるのが早いわねぇ~』
『ヤダぁ離して下さいよ!酒飲みの上司に絡まれるなんてゴメンです!』
『酒飲みとか絡むとか言っちゃイヤンイヤン♪甘えん坊ミサトちゃんって呼んで♪』
『な、何言ってるんですか!』
『お酒を飲むと本当の自分が出てくるものなのよんっ♪』
『ほ、本当の自分…?』
『そうよぉ!本当のあたちは甘えん坊ミサトちゃんなのだ!』
『お、お酒って飲むと甘えん坊になるの?』
『みゅふふふ♪さてさて真面目ん坊アスカちゃんの成長具合についてでも測ろうかしらん♪』
『ちょちょ、ちょっと!くすぐったいからやめて下さい!』
『あららん成長ゼロね?こりゃ将来成長してもCが限界かしらん』
『い、いい加減にしなさいよバカミサトおおお!』
『きゃあきゃあ♪アスカちゃんが名前で呼んでくれたのよん♪』
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516:パッチン
09/12/04 14:28:20
「ちょ、ちょっとアスカ大丈夫?」
「ふみゅ…らりるれろ…?」
シンジの声に、夢に堕ちてテーブルに突っ伏していたアタシは顔を上げる。
グワングワンと揺れる脳、熱い頬、回らない舌。
それはアタシの望んでいた感覚とは、どこか違う世界。
「足りらいのからぁ…」
「ちょっと待っててね!すぐ冷たい水入れるから」
「みゅみゅみゅのみゅ…」
冷蔵庫に駆けていくシンジをよそに、アタシは更にワインをグラスに注ぐ。
「あ、アスカぁ…もう止めた方がいいよ…」
「くぴくぴっ…ぷはっ。シンりぃアタひ酔ってりゅ?」
「よ、酔ってるよ完全に!そこまで来て自覚無いってヤバいよ!?」
酔ってるのよね…言えるかな…
「し、シンり!よく聞きなしゃい!」
「え?」
「あ、あの…そにょ…あらひ…しんりが…しんりで…みゅみゅみゅが…みゅみゅみゅで…」
「アスカ??」
だ、だめ!シンりの顔見てたら恥ずかしくなる!
焦ったアタシは更にワインをグりゃスにぶち込んでしまう。
・・・ていうか、もう心の声にまで酔いが回ってきてりゅわ。
こんなに酔ってるのに、らめなんて…。
お酒に頼っても無理なんれ…こんなんりゃ一生素直になんかなりぇないよ…。
517:パッチン
09/12/04 14:29:52
「アスカ・・・どうしたの?」
ガクンとうなだりぇるアタシを心配したシンジが、ソッと近くに来てくれりゅ。
「苦しいの?・・・ねぇ、なんで無理やりお酒なんか飲もうとしたの?もしかして嫌なことでも…」
「さわりゃないれよ!!」
優しい言葉と共にソッと背中を撫でてくりぇたシンりの手を、アタシは思いっきり弾く。
あぁ結局またやってりゅ…バカアしゅカ…。
「アンタらんかに心配してもりゃわなくれも大丈びゅよ!」
「で、でも本当に苦しそうだったから!」
「大きにゃお世話しゃまにょ!!」
グスッ…にゃにがお酒は本当の自分が出りゅものよ…
頭は痛いし、気持ちわりゅい…オマケにいつみょよりカリカリすりゅなんて…。
「ごめん・・・でも僕は本当に心配だったから…」
「うりゅしゃあああああい!そみょそも誕生日パーティーなんて、誰も望んでにゃいのよ!」
「・・・アスカ」
「アンタの用意ちたプりぇゼントなんか、いりゃないし必要にゃいもん!さっしゃとゴミ箱にでも捨ててきなしゃいにょ!」
あぁもう死にたいよ・・・
世界の終わりみたいに色んな物が崩れりゅ・・・
いっそ…地球ごと爆発してくれないかな
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『ドガアアアアアアアアアン!!!』