LAS小説総合投下スレ20【N3】at EVA
LAS小説総合投下スレ20【N3】 - 暇つぶし2ch800:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/26 04:49:19 l9oXutl7
人のセックスを笑うなぁぁ

801:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/26 12:35:14
ぐううじょぶ!

802:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/26 19:28:05
イイですね~続き待ってます!

803:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 00:22:11
>>616 続きです

朝日が眩しい。今日は快晴って天気予報でやってたっけ。
まったく神様は僕の気持ちなんておかまいなしだな。
そんな幼稚な事を考えてる間にもアスカはカバンをぷらぷらさせながら僕の二歩ぐらい先をどんどん歩いていく。
さっきの事。夢だと思いたい。
まさかアスカがあんな事すると思わなかった。人を殺そうとする事。
そして何より他人のために自分も死のうとしたこと。
本気だったんだろうか?
またいつもの様に逃げて聞かない手もある。でも、これを聞かない限り前には進めないと思う。
本気で好きになれない。
逃げちゃだめだ
「あ、アスカ」
「何よ?」
「昨日の夜、さ、あの・・・その・・・」
「何よ!はっきりしなさいよ!」
「・・・昨日の夜本当に僕の事こ、殺す気だったの?」
「・・・さぁ、わかんない」
わかんないって。本当に何考えてんだ?
「・・・でもね、あのナイフは偽物よ」
「え?」
「あれの刃の部分、ただの銀紙でまかれたチョコなのよ」
うそだろ・・・ 僕はあんな物に踊らされていたなんて。
「冗談で・・・あんな事するなんて酷いよ!一体何考えてんだよ?」
しまった。今のアスカにはきつい物だったかも。


804:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 00:44:34
どうしよう・・・
「・・・」
「あ、あすかごめ」
「ねぇ」
「・・・なに?」
「あんたあたしの事好きなのよね? そう言ったわよね?」
空の蒼の瞳には涙がたまっていた。真剣でどこかすがるような顔をしていた。
「う、うん」
「だめ!!ちゃんと言って!」
「・・・僕はアスカの事が好きです」
「・・・」
続く沈黙。この緊張感もうたくさんだ!
やっぱ聞かなきゃよかった。
と、いきなりアスカが手を繋いできた。笑顔だ。とっても優しくて嬉しそうな顔。
「アスカ・・・」
「だったらいいわ。今日からあたしたちは今までの関係は捨てるの。次のステップへ行くのよ!」
「は?・・・あ、うん」
次のステップって?と聞いてみようかと思ったけど、やめた。
嬉しそうで楽しそうだったから。とってもかわいい顔をしてたから。
ちょっと恥ずかしくて下をむいた。
「さ、いくわよ!」
「あの、アスカ・・・手」
「はぁ?あんた忘れたの?
ファーストに見せつけてやるんだって言ったでしょ?」
「うん。でも、恥ずかしいよ~」


805:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 01:07:08
「あんたばかぁ? むしろ喜びなさい!
こーんな美女と朝から手を繋いで登校なんて、あの万年ジャージやオタクメガネには一生できない事よ?」
はぁ、我慢するしかないや。
その時はアスカが楽しそうだから良いや、なーんてバカなことを考えていた。


予想通り、教室に入っていくとみんなが僕らに注目。
当たり前だよね。昨日あんなだったのにアスカはこれ以上ない満足そうな顔で、僕は茹で蛸みたいな真っ赤な顔で手を繋いで入ってきたんだから。
席に着いた僕たちの周りにいつものメンバーが集まってきた。
「せんせ、朝からやってくれるのぉ~」
「ホント、いゃ~んな感じ!」
「アスカ、それじゃ碇君と仲直りしたのね! ホント心配したわよ~」
まったく人の気持ちも知らないで。
夜の事話したら顔真っ青にして逃げてくだろうよ。
しかもアスカは満足そうな顔でうんうん頷いてるだけだし~
「違うんだよ、これは~」
「何が違うって~?」
すぐさまアスカが笑顔で言ってきた。でも目が笑ってない。
「いや全く。何も違わないよ、ハハハ!」
情けないなぁ僕。
「なんだよ碇、のろけちゃって~」
「ほんまやこいつぅ~ うらやましいやっちゃでぇ~」
「い、碇君///」


806:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 01:40:03
委員長、顔真っ赤だよぉ・・・
ふとアスカを見ると誰かを勝ち誇ったような顔で見下していた。
綾波だ。席に座って読書していたらしい。
顔を見ると・・・ よかった、いつも通り無表情だ。
なんだ、やっぱり昨日のは・・・
そう思い、視線を下に落としていくと、気付いてしまった。
拳が握られていた。綾波特有の白い肌が強く握りすぎて真っ赤になっている。
「アスカ、やめn」
キーンコーンカーンコーン。
朝のHR開始のチャイムだ。
アスカにやめろって言おうと思ったのに・・・
どうやら今の二人にはチャイムなんて聞こえないらしい。依然にらみ合っている(気のせいか綾波の口元がピクピクしているように見えた)。


綾波レイ。ファーストチルドレン。生い立ちはいっさい不明。
僕にとって最初は彼女その物が不明だった。でも放っておけなかった。不思議と惹かれる物があったから。
綾波が一番見ていた人は父さんだ。
でも、昨日の言葉本当だとしたら。今は違うの・・・かな?
それでも。そうだとしても
やらなくちゃ。


アスカなりのシナリオ通り?なのか午前中ずっと僕にべったりくっついてきた。
手を繋ぐどころでなく、腕を思いっきり組んだ状態でほとんどいた。

807:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 07:44:55
中途半端すぎw
まあ乙

808:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 07:44:55
さすがに授業中は離れてたけど。
きれいな顔がいつもより近くにあるのと、胸が腕に当たる感触とでほんと、どうにかなりそうだった。
そして。
やっと昼休み。少し気分を落ち着かせなきゃ。
いつも通り屋上に向かう。昼食は必ず屋上でとっていた。
今日は時間がなかったので購買で買ったサンドウィッチだ。
相変わらず三人の興奮は収まらないらしい。
あれ?、綾波もいる・・・
「なぁセンセ?二人はどこまでいったんや?」


809:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 07:47:30
すいません。寝てしまったw

続きは後ほど

810:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 07:48:27 qv3OpjnZ
GJ
続き待ってる

811:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 10:40:27
>>803
> 「あれの刃の部分、ただの銀紙でまかれたチョコなのよ」

銀紙は分かるが、なんでチョコなんだww

812:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 12:40:13
乙です!!

813:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 19:40:50
DISTRESSさんGJです。
続きを楽しみに待ってます。

814:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 20:07:14
>>811 パンドラハーツっていうマンガがあるんですがそこから頂きました。
アスカがナイフ寸止めして銀紙むいて「食べる?」とかやろうとしたけど徹底的にシリアスにしました。

後、DISTRESSってのはコテハンじゃないです。一応題です。
全部読んで下されば、なんでこの題にしたのか多少は伝わると思います。

815:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 20:55:17
つ・づ・き!つ・づ・き!

816:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 21:00:59
アスカとシンジとレイの苦悩?

817:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 22:35:39
>>816 まぁ言ってしまえばそうです。ですが他にも意味は込めたつもりです。
ネタバレになりかねないんであんまり言わないでおきます。すいません。

後で続き投下できると思います。

818:543
09/09/27 23:07:07
 皆様こんばんわ。
 四の五の言わず最後投下いたします。

 淡々と日常追っかけてる系のお話苦手だったり、逆光で車とか運転
するの嫌いな人向けNGワードは

空を見上げて

で、御願いします。

819:空を見上げて
09/09/27 23:09:36
 *

「服、乾いた?」
「ん。だいぶ……」
 ホームに降りて並んでシンジと歩きながらそんな会話を交わす。
 行くときはシンジの背中ばかり見て歩いていた。
 今は話し掛けるとき、お互いに横を向いている。話すたびにはにかむ私を、
シンジはどう見ているのだろう?
 籠にカバンを放り込むと、すっかりいつもの顔に戻ったシンジがお気楽に
持ちかけてくる。
「そうだアスカ、帰って服着替えたら、自転車乗る練習しない?」
「落ち込んでる人間捕まえて更に追い込もうって事?」
「違うよ、苦手なら克服すればいいじゃないか」
 私も邪推しすぎだけど、シンジはやっぱり少し無神経だと思う。
「簡単に言ってくれるわね」
「大丈夫だよ。アスカ元々運動神経良いんだから。すぐに乗れるようになるって」
「乗った事無いんだからわかんないじゃない」
「泳ぐのもそうだけどさ、単にやった事無いだけなんじゃないかな?だから
きっと大丈夫だよ」
「う……」
 無邪気にそう言うシンジに気圧されて、返事に困りごまかすように無言で
荷台に座る。
 シンジはくすりと笑って自転車を発進させた。私、からかわれてる?
 無言の時間も、行きの道とは空気がちょっと違っていた。どちらも話す
のを急かすこともなく、無駄に構えることもない。存在を感じているだけで、
結構何を考えているのかわかってしまう。
 だから、何も喋らなくて良かった。
 小さな交差点で信号待ちをしているとき、少年野球の子供たちが通りすがりに
冷やかしながら囃し立てる。
 第三新東京市は、中学生カップルが小学生にからかわれるのが通過儀礼なのか
と思いつつ、二人でにこやかに手を振った。

820:空を見上げて
09/09/27 23:11:19
「小学生って集団になると強気なんだよなぁ」
 ぼやくシンジに呆れて諭した。
「あんたも似たようなもんじゃない。カメラとジャージで3人組になったら、
さっきの小学生と大差ないわよ」
「え?そうなの?」
「……自覚なかったのね。あ、青」
「おっとっと」
 慌てて走り出す自転車に、不思議と余裕があった。
 私は今頃になってサンバイザーを湖に落としてしまったのを気付きながら、
シンジの腰に回した腕をきゅっと締め付けた。
 シンジは私の行動にペダルのピッチを少し緩めて反応する。
 低くなりはじめた太陽の軌道が、二人の視界を度々奪う。
『面白いもんだなあ……』
 見知らぬ人がタオルをくれた。こうまで気の持ちようが変わった理由は本当に
ただそれだけだった。
 他愛もないひとかけらの善意で、人の心は簡単に変わってしまった。
 素直な言葉や気持ちというのは、結構人に伝わりやすいものなのだろう。
 要は受け取る側の問題なんだ。私はきっと素直でもなく、可愛げもない対応が
多いと思う。
 シンジはきっと、下心や打算とか抜きにして私に色々言ったり何かしたりして
くれてるのだと思う。
 それならば、私が素直に答えればそれで済んでしまう。たぶん、そういうこと
なんだろう。
「その、ぁああと、えと、自転車!乗れるようになるまで……ちゃんと教えてよ」
「もちろん」
「乗ってるときに手、離さないでよ」
「大丈夫だよ。絶対離さないから」
 思ったとおりの反応で、私は急に心が軽くなった気がした。
 坂道が急になり、シンジが腰を浮かす。
「お、降りよっか?」
「大……丈夫!」

821:空を見上げて
09/09/27 23:15:34
 急な道を登りきり、家並が途切れて真横に風が吹きぬけた。
 風に髪が揺れて、私の方も随分ずぶ濡れの状況から改善したみたいだ。

 筋雲があちこちに空を覆い、淡い青色と白色が空をまだらに染めている。
 曇りがちの空に反射光が弱まるのに相俟って、風が湿り気を帯びてきて
いた。広い空地を横切るときに、むせるような草の匂いがざわめきと共に
通り過ぎる。
『よし、同じ練習するにしても、目標がなきゃ張り合いがないわよね!』
 あの角をすぎたらだとか、次に赤い車が通り過ぎたらだとか理由付け
しながら、そんな事を思いついて数分がすぎる。
 もうすぐ家だという焦りばかり先行しながら、勇気を出して目標を言葉に
した。
「シンジ、自転車にっ!の、乗れるようになったら一緒にデートしてよ」
「いいけど、どこまで行くの?」
 こっちの勇気や余裕のなさに気付きもせず、シンジは平静に聞いてくる。
『鈍感!無粋!朴念仁!』
 頭の中で散々詰ったけれど、デートオッケーの言葉で私は完全に舞い
上がっていた。
「えぇとその、桃源台で、あ、そう、船!船に乗るの」
「またボート?アスカ怖くないの?」
「ぼ、ボートじゃなくって、あそこから観光船出てるの!」
「へぇー、て言うか、アスカなんでそんなに詳しいの?」
「え?いぃやぁあのその、に、日本に来たら行こうと思って、色々調べて
たのよ!」
「あ、そうなんだ」
「そーよ、私には日本は外国なんだし」
「んー、そういや僕も観光船とか乗ったことないし、丁度いいや」
『言えた!アスカえらい!よくやった!』

822:空を見上げて
09/09/27 23:19:00
 心の中でガッツポーズをしながら、シンジも楽しみにしてくれてるみたいな
態度が私を更に溶かしてしまった。
 私の顔が、直接シンジに見えなくて本当に良かった。
 色々素直になろうとは思うけど、てれてれしてる顔を見られるのはやっぱり
恥ずかしい。

 家まで帰り着いて、駐輪場まで二人乗りで乗りつける。
 私が自転車から降りてお礼を言うと、いつもの笑顔でどういたしましてと言い
ながら、シンジは自転車の鍵をかける。
 マンションの入り口まで歩きながら、貰ったタオルを返す方法がないか、二人で
色々考えてみた。当たり前だけどそんな方法はないのがちょっと切ない。
 シンジがメールボックスを覗きに行っている間に私はエレベーターを呼ぶ。
 エレベーターを待っている間、別にさっきまでと変わらないのに、二人きりと
言うのをやけに意識してしまう。饒舌だったシンジが無言になるということは、
多分シンジも何か意識しているのだろう。

823:空を見上げて
09/09/27 23:19:55
「そうそう、今日のお礼、しとかなきゃねえ……」
「お礼?何の?」
「何って、芦ノ湖で助けてくれたでしょ?」
「あぁ、そんなのいいよ」
 そう言うシンジの顔には、本当に屈託がない。
「アンタは良くても私の気が済まないの」
「それじゃあアスカの好きなときにしてくれればいいよ。さすがに今すぐじゃ
無理でしょ?」
 いや、多分いつでも返せる。シンジが喜ぶかどうかは別として。
「……ど」
「え?なに?」
「別に、今すぐでも出来ると思うけど」
 エレベーターが到着してドアが開いた。
「そうなの?へぇ、なんだろ」
 シンジは端からそんなことが出来る訳無いと思っているみたいだった。
 エレベーターに乗り込み、行き先階のボタンを押す。ドアが閉じて、かごは
ゆっくり動き始めた。
「じゃ、ちょっと目瞑ってて」
「うん」
「少ししゃがんで」
「うん」
 さすがに殴られたりとかはないだろうと思っているのか、シンジはとても
素直だ。その油断しまくりな横顔を眺めながら、気付かれないように深呼吸する。
 横目で階数表示の数字が大きくなるのを眺め、止まりそうな所でそっと
シンジの耳に囁いた。

824:空を見上げて
09/09/27 23:23:56
「ありがとう」
「うん、……へ?」
 シンジのほっぺたの感触を唇に刻み込む。
 名残惜しくはあったけど、身を翻して1階のボタンを押し、閉まり始めた
ドアをすり抜けて廊下に出た。
 何が起こったか解らずに、ほっぺを手で押さえているシンジを取り残し、
エレベーターのドアは閉じる。

 浮かれ気分で廊下を歩いていると、雲間から出てきた太陽が真横から光線を
浴びせてきた。
 少し眩んだ目を、腕をかざして遮る。
 腕の向こうの空は、そろそろ西の果てをオレンジと青に染める。 
 二色の空の間を、雲が影を引きながら散らばっていた。

「ちゃんとシンジの顔見れるのかな、私」
 玄関ドアが開くのを眺めながら、ふとそんな事を考えた。
 少し自信がなかったけど、ま、多分なるようになるだろう。
 シンジがいつも気を使ってくれるように、私が少しでもそうすればいいんだ。

『なんだ、それだけのことじゃないか……』 
 今までやったこともないくせに、そうやって強がる自分に苦笑しつつ、私は家の中に
入った。


おしまい

825:543
09/09/27 23:25:42
後記

 やっと終わりました。途中感想レス頂いた皆様、並びに最後までお付き合い
頂いた皆様ありがとうございました!
 自転車乗れないだとか泳げないだとかいう、ありえない設定をやったのは、
『訓練や演習メニューで外されちゃって、時間があればまあやろうか?』って
レベルの、優先度低そうな事項は先送りされているうちに日本に来ちゃったん
では?という思い付きからでした。
 思った以上に書いているうちにアスカがヘタレてしまい、やり過ぎ感も
否めず……。
 ちなみに芦ノ湖は行った事ないので、貸しボートとかあるかどうか全然知り
まへんw

 次に書くことあれば、今度はあれこれ切り口変えて見たいなあと思います。
 それでは皆様、チャオ!

おまけ:小ネタの小道具
アスカが衝動買いした自転車
URLリンク(www.raleigh.jp)
アスカがなくしたサンバイザー
URLリンク(www.shop.carp.co.jp)

826:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 23:51:48
GJ~!
Cの入った赤いサンバイザーって、鯉だったかー( ´∀`)

827:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 00:04:02
GJです!

828:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 00:13:13
つかシンジも泳げないよなw


829:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 00:25:34
シンジはそもそも水に浮かない。

830:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 01:22:49
泳げない人間がスキューバの練習するかよw

831:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 01:26:09
何かでシンジの台詞で人は浮くように出来てないってのが
あった気がしたんだが
二次創作が別のアニメキャラの台詞だったかな

832:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 01:26:43
電車シーンで言ってるよ<シンジ

833:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 13:39:05
まあ、破でついた、にわかファンはこんなもんだろう。
自分を表現することに夢中で、作品を研究することを全くしない。
だからキャラもズレるし、リアリティがなくなる。
何より、エヴァっぽくない。

834:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 22:18:14
厳しいな―
まあ、ちょっとキャラ変わりすぎとは思ったけどw


835:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 00:50:35
>>808 続きです


「まさか、碇、二人であんな事やこんな事を・・・」
「い、碇君!!だめよそんなの!その・・・まだ中学生だしぃ~」
ちょっと・・・ まだ僕何も言ってないよぉ~
でも昨日の夜のあれは・・・
そんな思いが頭の中をよぎった。
「べべべ、つに何もなよ!」
しまった・・・ しくじった。
顔が熱くなっていくのがわかる。
すかさずアスカが言う。
「ちょっと聞いてよ~ シンジったら年頃のせいかあたしの事、見たり触ったりするのよぉ~♪」
「えぇ~!!!!」
見事に三人の声がかぶった。
アスカ。フォローするのかと思ったらそんな真っ赤な嘘をぬけぬけと・・・
あ、綾波は?
よかった・・・ 今度は大丈夫そうだ。こんなのお見通しなのかな?
あれ、弁当持ってる。しかも二つ・・・?
「碇君」
「は、はい」
「ちょっとこっちに来て」
アスカは怒濤の質問攻めに得意気に答えている。
だいぶ距離をおいて僕たちの様子を見ていた綾波に近寄っていった。
「なんかいろいろごめんね、綾波」
「食べて」
そう一言言って弁当を差し出してきた。少し顔が赤い。
ダメだ。今受け取ったらまたアスカが・・・


836:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 01:13:18
「あはは、もう今日のお昼買っちゃったんだ・・・よね」
そう言って顔の横にサンドウィッチをかかげてみる。
「食べて」
ルビーのような赤い瞳が僕をのぞきこむ。アスカのサファイアとはまるで逆。
こんな顔の綾波、見たこと無い。
瞳は少し潤んでいて、朝のアスカに負けず劣らず必死そうな顔をしている。
そんな・・・ こんな顔されて断るなんて、僕にはできないよ。
「・・・ありがと」
それだけ言って弁当を受け取る。
途端に綾波の表情が変わった。
あ、この顔・・・ あの時と同じだ。ヤシマ作戦・・・だっけ?
「いただきます」
なるべく無表情を保ちながら弁当の蓋を開ける。
感想は、一言で言えば大胆。
弁当の左上段は僕の教えた野菜炒め、左下段はサラダで埋まっていた。
右側にはご飯が盛られていて、真ん中にミニトマトがちょこんと置かれていた。
いかにも綾波っぽい・・・かな?
「なんて言うか・・・独創的なお弁当だね。全部綾波が作ったの?」
「えぇ。食べてみて」
「うん」
野菜炒めを口に運ぶ。
・・・うん、野菜の味がする。
「なんて言うか・・・ 素材の味を生かした味付けだね」
「そう?」
綾波の顔の赤みが増した。


837:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 01:31:09
間接的に味が薄いって伝えようとしたのに。誉められたと思ったのかな?
「それで・・・ おいしい、の?」
「う、うーん。そうだね。健康的な感じで」
ふと顔を上げるとアスカが仁王立ちしていた。
まずい・・・ どうしよう。
「なんかね、綾波がお弁当作ってきてくれたんだ。アスカも食べなよ?」
ダメだ。ぜんぜんフォローになってない。
と、いきなりアスカが耳を引っ張ってきた。
「来て」
「アスカ、痛いよ!!」
「・・・」
何も言わずに階段の方へ僕を引っ張っていく。
「あ、碇君!」
「綾波、放課後ここにいて!」
「えぇ、でも何故?」
アスカがますます力を強くした。
どこ連れてくんだろ?
「シンジもとうとう漢になったんやなぁ~」
「実際うらやましいよ、いかりぃ~」
「ちょっと二人とも!そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」

838:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/29 01:56:51
毎回思うんだが書きながら投下してるのかな?

839:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 02:04:09
今はほとんど物置として使われている空き教室に着いた。
中に入るなりアスカは僕の事を思いっきり壁に突き飛ばしてきた。
「ちょ、アスカ、説明させてよ!!」
「嘘つき」
「アスカ、聞いてよ!!」
「偽善者」
やばい。目が死んでる。無表情なのが余計怖い。
「・・・綾波が、あの綾波が僕なんかのために弁当作ってきてくれたんだよ?
しかも泣きそうな顔していってくるんだ。・・・だから受け取るしかなかったんだよ!」
「だから偽善者って言ってるのよぉ!!」
いきなりアスカが大声をあげた。
「・・・何がだよ?」
「あいつを悲しませない為にとか言って・・・ 自分の気持ちを尊重させただけでしょ?
嬉しかったんでしょ? 自分に好意を持ってくれてることが」
サファイアの瞳からはボロボロと涙がこぼれ落ちていた。
アスカに言われて気づいてしまった。好意を持たれたことが確かに嬉しかった。
アスカだけを見るって決めたのに・・・
「・・・アスカ、今日の放課後、けじめつけてくるよ」
「・・・ホントに?」
「うん」
「次なんかあったら、どういうことになるかわからないわよ?」
「わかってるよ」
「それと」
「何?」


840:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 02:07:35
「次『僕なんか』とか言ったら、殺すから」
「・・・・うん。ごめん」
僕らはやりきれない気持ちで教室へ戻っていった。

841:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 02:12:37
今回はここまでです。

>>838 書きながらではないです。
結構忙しいもんで、投下する周期や時間帯がバラバラになってしまいます。
すいません。

842:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/29 08:50:28
>>841
そかそか。失礼した。そして乙乙
まぁリアルタイムで投下遭遇しても気長に待つよw
続き待ってるぜっ
にしてもアスカ狂気染みてるなw

843:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/29 21:42:29
今、読み直していて508のシンジの
あれだけ傷作ってそれか・・・っていう
心の声に吹いた
シンジ最低だwww

844:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/30 10:52:51
>>825
GJでした!弱気なアスカが可愛かったですね。
笑うなぁ!って叫んだ男らしさと、アスカの微妙なアピールに全く気付かない鈍感さ…シンジもめちゃ可愛いw
少し切ない雰囲気からポカポカな展開になって良かったです。
>>841
病んでますね~。最も嫉妬が似合うキャラですよねアスカって。
レイが泣く展開がくるのかな…少し悲しい。

845:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/01 00:17:50
>>825
gj

846:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/01 18:26:36
投下来ないね

847:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/01 20:12:49
稲荷町

848:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 17:13:26
投下町sage

849:GREEN DAYS
09/10/02 20:45:01
いろいろ細かい点など目をつぶっていただけるとありがたいです。
衛生的に汚い点などがありますので、許せない方はスルーを。


850:GREEN DAYS
09/10/02 20:46:04
ふと我にかえった。
この状況はなんなんだ?
アスカの指を舐めている僕。
口の中に広がる鉄の味。

確かに、最近自分でもなんだか違和感があるなとは思ってたんだ。
教科書で指を切ったり、体育ですりむいたり、エヴァの戦いでケガをしても、傷の治りが早い気がしてた。
それに、なんだかいろいろなものが舐めたくてたまらなくて。
動物に戻ってるみたいで心配だったんだけど。
僕は一体どうしちゃったんだろう?

だから、アスカが(大変珍しく!)料理を手伝ってくれ、
包丁とにらみあいながら野菜と格闘している最中に、
「いたっ!」
って声が聞こえてきた瞬間、
何も考えず彼女の指を手にとり、口に運んでいた。

(しまった!)
と思っても後の祭り。

赤面するアスカ。
はっと我に返り、動揺する僕。

口の中にはアスカの体液。

851:GREEN DAYS
09/10/02 20:47:27
「なっ何するのよバカシンジ!!………あれ?」
手をひっこめたアスカがつぶやく。
「傷が消えた…。もう痛くないし。なんで?さっき切ったとこ自分でも見たし、血もでてたのに!」
アスカが僕に手のひらをかざす。
「ほら!」
どこにも傷痕はない。

「よかったね、手に傷痕が残らなくて」
「そういう問題じゃなくて!シンジ何かした?」
「何かって、その、舐めただけ、だけど」
そう言った後、二人で赤面する。

「確かに舐められた時、熱い感じがしたのよね…。なんでだろ。そういえば、最近シンジのケガ治り早くない?」
「僕も不思議だったんだよね。アスカも気づいてた?」
「あんた、自分のケガ、舐めた?」
「…覚えてないけど、多分」
「まさかね…。治りが早くなったのって、あんたがLCLに溶けてからよね」

アスカって記憶力いいなあ、と僕は聞きながら感心していた。

852:GREEN DAYS
09/10/02 20:49:18
もっかいリツコに検査してもらった方がいいわよ!
とアスカがすすめるので、僕はネルフに学校帰りに寄ることにする。

リツコさんの部屋を訪ね、理由を話すと、リツコさんは興味深そうに検査を始めた。

検査結果がでると、リツコさんはしばらく黙ってデータを見つめ、考えている様子だった。
「なるほどね…」
と、独り言のようにつぶやく。
僕はその様子をぼけっと見ていた。
「碇シンジくん」
「はい」
「初号機に溶けてた時の記憶は、ある?」
「あんまり…覚えていません」
「そう」
リツコさんは僕の目を覗き込む。

「LCLは生命のスープみたいものなのよ、簡単に言ってしまえば。
あなたは一時的に原子レベルまで分解され、LCLと混合し、また細胞に組み立てられた。
その時に私たち人間の理屈ではわからないことが起こり得たのかもしれないわ」
「はあ…」
なんだか難しくなってきたな。

853:GREEN DAYS
09/10/02 20:50:30
「傷の治りが早いって言ってたわね。特に唾液と触れた時に。
あなたの唾液の成分を調べました。
やはり、ある成分値の量が特化していたわ。
唾液の中には、傷を殺菌したり、傷を治したりする成分が入っているの。
リゾチームや、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、免疫グロブリン、上皮細胞成長因子などのことね。
あなたの唾液には、それらの成分が異常に多かったと検査結果で判明したわ」

その後、何故そうなったか考えられうる可能性などが説明されたが、
僕の中学校レベルの頭では追いついていけなかった。

どうやら、僕の唾液は傷を治すことができるらしい。
だからいろいろ舐めたくなるのは本能的なものなのかな…。


僕の検査結果は、僕本人が家に帰るより先に到着していた。
到着するやいなや、ミサトさんの
「シンちゃんすごいじゃなーい!今度ケガした時よろしくー!」
という声がお出迎え。
「ミサトなんか舐めちゃだめよ!色んなとこ舐めさせるに決まってるんだから!」
などとアスカと二人で盛り上がっていた。

そういうわけで、僕はRPGでいう回復系の役まで手に入れた。
こういうのって普通女の子の役が多いんじゃないのかなあ。


854:GREEN DAYS
09/10/02 20:51:42
僕はそんなこんなで学校でもネルフでも引っ張りだこだった。
同級生の女の子の脚を舐めるのが、僕にとって一番緊張するものだった。
ネルフでは治療要員として、しょっちゅう呼ばれるようになった。
さすがに、とても舐めれない場所などは基本的にお断りしたが。
みんな、舐められるのっていやじゃないの?


だんだん治すという感覚がわかっていく。
舌先に感じる熱さ。
瞬く間に小さくなっていく傷を感じる。


ただ、最近は誰かを癒やした日の夜に、ぐったり疲れを感じるようになっていた。
そういう夜は泥のように眠りについた。
僕は学生と、エヴァのパイロットと、回復系の3足のわらじを履く生活でへとへとだった。

でも、僕にしかできない、と言われるとやる気がでた。
誰かに必要とされる喜び。

しかし決して、アスカはケガをしても僕に治して欲しいと頼んでくることはなかった。


855:GREEN DAYS
09/10/02 20:53:00
ある日、家に帰ってダイニングテーブルで英語の宿題をしていると、お風呂上りのアスカがやってきた。
「宿題なんてやってんの?真面目ねー」

うあ。いい匂いがする。

「アスカは終わったの?」
「英語の訳なんて、その時見て訳せばいいから必要ないわ」
「しゃべれる人がうらやましいよ…」
「で?何訳してんの?へーThe Beatlesの歌詞か。こんなの教科書に載ってたんだ」
そういうとアスカはその曲を歌った。
その曲は愛の手紙の歌だった。
歌詞の最後の『I love you』を歌い終わると、アスカは思い出したように僕に言った。

「そういえば、夏目漱石は『I love you』を『あなたといると月がキレイに見えます』と訳したって、何かで読んだわ」
「夏目漱石って吾輩は猫であるを書いた人だよね?さすが作家だね」
「その方が気持ちが伝わるからって。なんか印象的よね」

その後、アスカは僕の真向かいに座り、宿題を手伝ってくれるわけでもなく、
僕が訳していくノートをただひたすら眺めながら髪を拭いていた。
インターフェイスをつけず、髪をおろしていると少し感じが変わる気がする。
いつもと違って色っぽく感じるには髪が濡れているせいだろうか?
ふと、アスカの頬に気づく。

擦り傷?血がにじんでいる。
戦ってる時にでもできたのかな。

856:GREEN DAYS
09/10/02 20:54:02
「アスカほっぺた、ケガしてる。治してあげるよ」
「いいわよ、別に。たいしたことないから」
「でも、女の子の顔なんだから痕が残るといけないし」
「シンジは余計な体力使わなくていいわよ」
「少しは頼ってよ。僕に治させてよ」

僕は立ち上がり、アスカのそばに近づく。

「いいってば!」
そう言って逃げるアスカを追いかけているうちに、壁際まで追いつめていた。
手首を抑え抵抗できないようにする。
細い手首。女の子ってこんなに細いんだ。
アスカの何も言わず蒼い眼で僕を見つめている。
どうして僕はここまでやってしまったのか。
…ここまできたなら。
キスをしてやろうかぎりぎりまで迷ってやめた。
代わりに舌先で傷を味わう。
「んっ」
アスカがぴくっと反応した。
熱い感触。

「…傷、治ったよ」
僕は汗ばんでいた掌を握りなおした。
アスカは傷があった場所を指先でそっと触れながら、長い睫を伏せてつぶやいた。
「…他の女を舐めた口であたしに触れないで」


アスカを舐めたのはこれが2度目だった。



続きます。

857:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 20:55:52
GJ!!!
ぺろぺろ

858:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 21:18:47
おおGJ!
もっと過激なペロペロになりそうなら、エロパロに投下して欲しい

859:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 21:28:33 4ybBBFQ5
非18禁マイナーなギャルゲーSS コンペスレ
スレリンク(gal板:1-100番)

なぜ 下の作品の二次創作が少ないのか?
SS作家様たちに 下の作品 SSを書いてくれといって 頼みたいです。

1. 初恋ばれんたいん スペシャル
初恋ばれんたいん スペシャル PS版は あまりのテンポの悪さ,ロードは遅い(パラメーターが上がる度に、
いちいち読み込みに行くらしい・・・)のせいで、悪評が集中しました。ですが 初恋ばれんたいん スペシャル
PC版は テンポ,ロード問題が改善して 快適です。 (初恋ばれんたいん スペシャル PC版 プレイをお勧めします!)
初恋ばれんたいん スペシャルは ゲームシステム的にはどうしようもない欠陥品だけど。
初恋ばれんたいん スペシャル のキャラ設定とか、イベント、ストーリーに素晴らしいだけに
SSがないのが とても惜しいと思います。

2. エーベルージュ
科学と魔法が共存する異世界を舞台にしたトリフェルズ魔法学園の初等部に入学するところからスタートする。
前半は初等部で2年間、後半は高等部で3年間の学園生活を送り卒業するまでとなる。
(音声、イベントが追加された PS,SS版 プレイをおすすめします。) 同じワーランドシリーズなのに
ファンタスティックフォーチュンSSは多いのに 似ている 魔法学院物なのに ネギま、ゼロの使い魔 SSは多いのに
エーベルージュのSSがほとんどありませんでした。

3. センチメンタルグラフティ2
センチメンタルグラフティ1のSSは多いのにセンチメンタルグラフティ2のSSがほとんどありませんでした。
前作『センチメンタルグラフティ1』の主人公が交通事故で死亡したという設定で
センチメンタルグラフティ2の主人公と前作 センチメンタルグラフティ1の12人のヒロインたちとの感動的な話です
前作(センチメンタルグラフティ1)がなければ センチメンタルグラフティ2は『ONE~輝く季節へ~』の茜シナリオを
を軽くしのぐ名作なのではないかと思っております。 (システムはクソ、シナリオ回想モードプレイをおすすめします。)

860:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 21:51:57
DISTRESSさん、ヤンデレ式波の続きまだですか?

861:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 22:21:32
>>856
GJ!
>「…他の女を舐めた口であたしに触れないで」
これ超ぐっときた!続きワクテカ

862:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 22:51:26
prprwktk

863:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 23:28:02
舐めんなよ!
ペロペロ

864:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 23:29:16
>>856
乙 設定が面白い!

865:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 19:24:30
ぬぬぬ…
ぺろぺろ^^

866:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 20:17:21
ペロぺーロ

867:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 20:21:03
>>860 DISTRESSってコテハンじゃないって言ってたろww

と言いつつ続き期待(^^;)

868:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 21:15:56
苦悩さんだペロ


869:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 23:08:00
ペロペロとDISTRESSの続きはまだですか・・・

870:maTsu
09/10/03 23:54:04
投下します

みなさん、maTsuをNGワードに

871:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 23:54:10
ハァ~
レロレーロ

872:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 00:27:14 l5Relumt
ふぅや入れ替わりはどこへ消えたんだ

873:maTsu
09/10/04 00:34:22
自分が嫌いだった。
他人を傷つけてしまう自分、素直になれない自分、弱い自分が。
でも、それでいいと思ってた。
私の、精一杯の強がりだ。

「アスカ?」

聞き慣れた声がした。
ふと顔をあげると、帰り支度を終えたシンジがいた。

「帰ろうか。」
「・・そうね、帰りましょ。」






874:maTsu
09/10/04 00:35:28
いつもの道をいつものように二人で歩く。この時間は、嫌いじゃない。
むしろ、心待ちにしてる自分がいた。

「アスカはさぁ。」

話の途中でシンジが言った。

「アスカは、笑ってなきゃだめだよ。暗い顔、悲しい顔したらダメ。」
「何よ急に・・私はそんな」

シンジは私の顔をしばらく見つめた後、クスッと笑って

「なんてね。ただ言いたかっただけ。」
「・・バカ?」

シンジは、いつもこう。私が求めている言葉を、求めている時に言ってくれる。
まるで、私の事を全部分かってるみたいに。
好き。大好き。すごく好き。ホントはすごく言いたいのに、私にはそんな勇気もない。

「アスカ」
「?」
「・・手・・つないでいい?」

875:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 00:43:09
書き溜めてないの?

876:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 00:49:11
出オチ臭い


つーかみんな投下するなら構想とオチは考えて投下してほしい
一体いくつ放置されてんだよ

877:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 00:57:44
続き待ち

878:maTsu
09/10/04 01:02:08
「・・・イヤ」

シンジはふふっと笑いながら半ば強引に私の右手を掴んだ。
まるで私がそう言うのを分かってたみたいに。

「エッチスケベバカシンジ。」
「そんなの言われ慣れてるよ。」
「・・誰かに見られたらどうすんのよ。」

シンジは少し考え込んだようなそぶりを見せながら、
「まあ、その時はその時」と言った。

私は、自分の顔がにやけそうなるのを堪えながら、
「相変わらず何も考えてないのね」と言った。

シンジと一緒にいるときだけは、私は自分を知ることができる。
今まで見えなかったもの、見ようとしなかったものを見ることができるのだ。
だから、思った。もう少し、こいつと一緒に歩いてみようと。

私はシンジの手を少し強く握った。   (END)




879:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 01:02:41
長編にならないなら書き溜めてから投稿してほしい

880:maTsu
09/10/04 01:06:26
>>879
ごめんなさい。次から努力します。

881:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 01:13:31
>>880
でも、書いてくれて嬉しいよ。
また次もお願いします。

882:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 01:18:31
maTsuさん良かったです。
またがんばってください。

まぁ、兄さん落ち着いてくださいな。



883:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 01:24:57
シンジとミサトさんが同じ職場で
働いてて、シンジにアスカから電話が
掛って来て その会話を職場全員と
ゲンドーまで盗聴してた話を 又読みたい
んですけど 作者さんの心当りが有る方
居ませんか?
確か アスカが子供を作ろうって言って
シンジにゲンドーが「◯◯がいい」って電話を掛けて来る話しだったと思うんですけど 宜しくお願いします


884:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 02:13:54
|\_/ ̄ ̄\_/|
\_|  ▼ ▼ |_/ 
   \  皿 /   で、結局N3はこねーのかよ
    ( つ旦O   
    と_)_)


885:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 02:37:13
>>883
ここできく質問ではないけど
落ちLAS投下の方にあるパッチンさんの作品だね

886:猫シンジ
09/10/04 07:50:45
>>673の続き

「使徒が攻めて来たばかりだってのに呑気なもんね」
 夏祭りの会場は第三新東京市第五緑地化広場、通称ラミエル公園。
ジオフロントの真上に出来たばかりの公園は夜店とお客で埋まっていた。
アスカも綾波も人出の多さに少し戸惑っているみたいだ。
人込みは苦手なのかな。僕も苦手だけど。
流石に大人が多いけど子供たちの姿もチラホラ。
揃いも揃ってネルフ浴衣を着ていて、こっそりアスカが胸を撫で下ろしていたのが感じられた。
ネルフで支給でもしてるのかな。この浴衣。
「さすがに人が多いわね。はぐれたらあのモニュメントで待ち合わせ、それでいい?」
「分かったわ。盾の前ね」
 この公園の中心には記念碑のように溶けかけた巨大な盾の破片が突き刺さっているんだ。
平和を守るという公園のシンボルらしい。
ところではぐれた時は携帯電話で連絡を取り合った方が良いんじゃないかな?
「シジ、あんたは分かったの? 返事は?」
 ああ、僕は携帯電話を持ってなかったね。納得。

 夜店はざっと見回しただけでも定番所が揃っている。
さすがネルフ主催。きっとミサトさんが仕切っているんだろう。
わたあめ、りんご飴、ヤキソバ、焼きとうもろこし、タコ焼き、イカ焼き、お好み焼き。
食べ物ばかり目に付くのは猫の嗅覚が敏感すぎるのがいけない。
他にも金魚すくい、お面、射的、ヨーヨー釣り、型抜き、当てクジなどなど。
うーん。どれから行こうか迷うな。
アスカと綾波も目移りしているのか、どうして良いのか分からないのかキョロキョロしている。
そういえば二人ともお祭りは初めてだったっけ。
こういう時に案内にしてあげられれば僕の株も少しは上がったんだけどな。
でも手探りで楽しさを見つけるのも新鮮でいいと思うよ。

887:猫シンジ
09/10/04 07:51:36

 まず手始めは夏祭りの定番カキ氷。
今は一年中暑いから地方独自のカキ氷が生まれていて、屋台には色々なカキ氷が揃っている。
折角だから珍しいのを食べたいところだね。
ちなみにミサトさんの好みは「黒蜜ビール金時」という名前だけで大惨事が予想できる代物だ。
「あたし赤福氷をイチゴ乗せで!」
「青ウメ乗せ白くま、練乳抜きで」
 二人とも伝統的な渋いヤツに奇抜なトッピングだな。見た目だけで選んだ気もするけど。
うん、スプーンに特盛りで食べていくと――
「はうぅっ……これは、なに!?」
「かーっ、キーンと来るわー! 優等生、あんたのも少し頂戴。あたしのも分けたげるから」
「ええ、いいわよ。はい、碇君も」
「はいシジ、あーん」
 あーん。くーっ、頭にキーンと、でもこれがいいー。

「ん、これは!!」
 続いて金魚掬いの前でアスカがキラーンっと目を輝かせた。金魚なのに赤いからだね。
でも何で僕と金魚を交互に見て悩むのさ?
ああ、僕を野良猫と一緒にしないで欲しいな。
金魚に悪戯なんてしないから安心して掬うがいいさ。
「駄目……生きてるから」
「べ、別にシジのデザートに良いかなー、なーんて少ししか考えてないわよ!」
 少しってアスカ、中身が僕だって忘れてるんじゃないか。
こういうのって罪悪感なしの天然で出されるのが一番恐いよ。
生きてる金魚をそのまま食べるのは生理的に無理。
料理しろって言われたら、出来ちゃうんだろうけどね。偽善かな。

888:猫シンジ
09/10/04 07:53:37

「いよっ、お嬢さんたち、その浴衣似合ってるね。イカ焼き、食べてくかい?」
 適当に歩き回っていると夜店から軽そうな声が掛った。
法被を着たロン毛の兄ちゃんだ。客引き、いやそれにしては声に聞き覚えがある。
思い出したよ。ネルフ発令所オペレーターの一人だ。
確か名前は青……青使徒さんだ。『パターン青、使徒です』の人。
「あ、えーと、その……こんばんはー」
「……二尉、何故こんな所に?」
 二人とも名前が出てこなかったみたい。駄目だよ人の名前くらいちゃんと覚えなきゃ。
でも何でイカ焼きなんて売ってるんだろう。
「夜店の半分くらいは各部署から出してるんだよ。はい、熱いから気をつけて」
「いい匂い。だけどこれって何?」
「小田原港で取れたばかりの新鮮なイカを炭火とタレで焼いたのさ。酒の肴にもピッタリだよ」
 外国人のアスカはもちろん、綾波もイカなんて見たことなかったみたい。
おっかなビックリ食べてみると驚いた顔で『美味しい』と口にした。
それを見て青使徒さんは『だろうだろう』と満足顔で接客に戻っていった。
アツアツを外で食べるのがいいんだよな。ああ、いい匂い。美味しそう。
「こら、あんたは熱いの駄目でしょーが。フーフーしてあげるから少し待ちなさいよ」
 ありがとうアスカ。もぐもぐ、もぐもぐ……
「あは、食べた食べた。美味しい?」
 ごめん、メチャクチャ塩辛い。猫の味覚にはタレの塩味が強すぎるみたいだ。
凄く美味しそうな匂いなのに何か騙されたような気分。
でも出された分は残さず食べる。はぐはぐ……うぷ、ごちそうさま。
「私の分も、フーフーする?」
 ありがとう。だけどもうお腹一杯。

889:猫シンジ
09/10/04 07:59:34

 次はお面屋さんをしている日向さんを発見。
どうやら子供にはジェットアローンのお面が大人気みたい。続いて零号機の青い方。
他にも第三、第四、他使徒が勢ぞろいに「SEELE 01」の黒い板みたいなのまで並んでる。
相変わらずネルフのセンスは理解できない。
「ばぁっ!」
「ぎにゃっ!」
 目の前に第三使徒、のお面をつけた綾波が顔を出した。
嬉しそうに笑わないでよ、心臓が止まるかと思ったじゃないか。
綾波のセンスも理解できない。こういう時、やはり綾波はネルフで育ったんだなと実感する。
「何で弐号機が全然売れてなくて零号機が大人気なのよ!」
「小さい男の子は青い方が好きみたいで。弐号機ならサービスするから持ってくかい?」
 戦隊物以外だと赤は女の子の色ってイメージがあるらしいね。実は僕もそう思う。
ちなみに紫色の初号機は一番売れてないみたいだ。安全を考えて角も短くて格好悪いから仕方ないね。
お面なんかで喜ぶ歳でもないし別に良いけどさ。何で紫色なんだよ父さん。
「弐号機を在庫処分するなんて認めないわよ。普通に買うから」
「毎度あり。じゃー、これはオマケね。シンジ君にでも」
 初号機のお面がオマケについて来た。うう、在庫処分されてしまった。

 お次は焼きとうもろこし。アスカの味覚にあったみたいで大絶賛していた。
凄く気に入ったみたいだから今度おやつにでも作ってあげようかな。
ヤキソバとお好み焼きは肉が入っているので綾波に気を使ってパス。
タコ焼きはイカと同じく新鮮なタコをその場で調理していたのだけど、それが逆効果。
近くでタコを見たアスカは涙目になって逃げ出してしまったんだ。
「あ、あんなもの食べられるわけないでしょ。気持ち悪い!」
 そういえば外国の人ってタコ苦手な人多かったね。
恐いもの知らずかと思ってたけど、こういう所はやっぱり女の子なんだな。
大丈夫、もしタコが襲ってきたら僕が美味しく料理してあげるよ。

890:猫シンジ
09/10/04 08:08:29

 気分治しはわたあめ、りんご飴、落書きせんべい、カルメ焼き、チョコバナナ。
みんなお菓子ばっかりだ。甘いものは別腹ですか? あんまりパクパク食べちゃってると太るよ。
「シジもチョコバナナ食べる?」
 と食べかけのチョコバナナを差し出された。もちろんいただきます。
アスカって間接キッスとか意識してないのかな。僕は結構ドキドキなんだけどね。
猫になって良かった。あーん、と開けた口を綾波の手が塞ぐ。
「駄目。チョコレートは猫にとって猛毒だって、赤木博士が言ってた」
「そ、そうなの? ごめんなさい、助かったわ。ありがとう」
 アスカが素直にお礼を言うなんて珍しい。だけど今、死ぬところだったんだね僕。
危険はいつどこにあるか分からないというけれど本当だ。
「それから子猫には……」
 ついでにと綾波はリツコさんから教えてもらった猫の豆知識を披露してくれた。
リツコさんの話は重要そうで実はどうでもいい知識ばかりだけど、今回は助かったよ。
得意げに話す綾波も聞いてるアスカも楽しそうだ。リツコさんグッジョブ

「そこの猫好きなお嬢ちゃんたち、射的やってかない射的!! 景品にレアな猫グッズあるよー」
 熱く猫知識を語る綾波を射的屋のお姉さんが呼び止めた。眠たそーな目をしている。
ピンクの髪にゴーグル、白いマフラーに赤いジャケット、夏祭りには不似合いな格好。
射的用のライフルを抱えている様子はサバイバルゲーム参加者みたいだ。
景品棚には猫マーク入りの食器やヌイグルミも並んでいるけど、凄く安っぽそう。
懐かしの昭和製と書かれたポップが付いているからレアなことはレアなんだろう。
「安くしとくよ。弾100発で五万円でどーよ?」
「高すぎよ。ハイ、500円」
「私も…」
「毎度ありー」
 道場のような木製の看板には『一回:弾5発500円』と書かれていた。弾1発100円。
UFOキャッチャーみたいなものか。アスカは下手だったなアレ。
取れないからってドンドン熱くなって毎回お金使っちゃうんだよね。

891:猫シンジ
09/10/04 08:11:17

 スパーン!スパーン!とコルクが打ち出され小さな人形が次々と棚から落ちる。
さすがアスカ、射撃はバッチリだ。これなら一回で終わりそうだね。ホッとしたよ。
「オモチャのライフルなんて楽勝に決まってるじゃない。そーれ、ラストー!」
 ポコンッと最後の弾が五体目の人形を落とした。凄いやパーフェクトじゃないか。
「はい、500点で6等のペアグラスね」
「ええぇ6等って! 全部落としたじゃない!」
「看板の説明を読みなよ。人形に点数が書いてあるだろ、ね」
 説明書きには『落とした人形の得点合計に応じた豪華景品』と書かれていた。
なるほど落としやすい人形は得点が低いのか。何か騙されたような気もするけど仕方ないね。
「もう一回よ! 一番得点が高い人形はどれ!?」
「あの最上段のヤツが難攻不落の300万点だね」
 指差した先にはブラウン管テレビのような頭の人形が仁王立ちで待ち構えていた。
無理だって。重心が安定しすぎてる。あれなら座った父さんを動かす方が簡単だよ。
大体300万点って落とさせる気が全くない配点じゃないか。
諦めようよ。夜店の当たりクジに大当たりは入ってないってミサトさんも言ってたし。
「ふん、あの程度で難攻不落とは片腹痛いわ」
「落とせたら特賞リッケンバッカーだよ。頑張りなー!」
 景品棚の最上段には青いベースギターが飾られていた。
ケンスケの雑誌で見たけど、確か有名な凄い高級品、のはずだ。
でも僕が見た写真のギターとは左右が逆、あれじゃ弾けないよ。
偽物かな。夜店の景品に本物を求めるのが間違っている気もするけど。
「はい、198点」
「上手いねー。ほい、13等は昭和キーホルダー、魔女宅のジジ。今じゃレアもんだよ」
 綾波は細かい点数を調整して目当ての景品を見事ゲットしたようだ。
黒猫のキーホルダーを手に輝かんばかりの満面の笑みを僕へ向ける。
それが僕にそっくりな黒猫がジジか。まあ黒猫なんてみんなあんなもんだけどね。
でも最近よく笑うようになったね綾波。すっかり普通(?)の猫好き少女だ。
喜んで貰えている様で僕も嬉しいよ。

892:猫シンジ
09/10/04 08:18:55

 それに引き換え―
「はーい0点、残念賞の津軽リンゴね。お嬢ちゃん、もう止めといた方がいいんじゃなぁい?」
「キーっ! もう一回よ! もう一回!」
「毎度ありーっと!」
 意地にならないでアスカ、お小遣いなくなっちゃうよ。
この前もゲームセンターで僕から借りるほど注ぎ込んだでしょ。
「……ここをもう1セット!」
 むむ、左右の端にギリギリ当てることで少しずつ台の端へ追い込んでいたのか。
UFOキャッチャーのグラグラのアームで少しづつ景品をズラして取るような感じだね。
「これで、ラストォー!!!」
 パン!と撃ち出された最後の弾がTV人形を襲う。そして―――ヒョイッ!
「は…!?」
 台の端に追い込まれていたTV人形は、アスカの最後一発を避けた。
避けたんだよ。こう、ヒョイッと華麗なスキップでさ。
「はーい残念。津軽リンゴ2個目ねー」
「ちょっ!!! なによ今の。動いたわよ! 反則でしょ!」
「動かないなんて一言も言ってないし。人形だって撃たれたら動くさ。当たったら痛いだろ?」
 動くさ、って無茶苦茶だな。たしかに動かないとは言ってなかったけど。
まあ冷静に考えたら『夜店の特賞なんて取れるわけない』よね。
「もう一回やるー? 難攻不落だけどぉ」
「ねえ。その子も退屈してる。次へ行きましょ」
「……分かったわよ。べぇっつにぃ青いギターなんて欲しくなかったしー」
 だろうね。この前の苦労して取った景品も早速部屋の隅に放りっぱなしだしさ。
取る事が楽しいんだろうけど、意地になると回りが見えなっちゃうんだよな。悪い癖だよ。
「お嬢ちゃんペアグラス忘れてるよ。はい、彼氏と使ったら? いたらだけどね」
「余計なお世話よっ!」
 1500円でコップ2個にリンゴ2個。微妙な戦果だけど、夜店じゃこんなもんだろう。
むしろその程度でよくぞ退いたと褒めてあげたいくらいだ。

893:猫シンジ
09/10/04 08:29:14

「あー、もう。絶対インチキしてたに決まってるわよあの射的!」
「欲しくもない物を無理に取ろうとするから」
「そりゃそーだけどさー」
 簡単に夜店を一回りした二人は公園の中心、あの盾の前へ。
そこは広場はベンチが多く簡易的な休憩所になっていて大勢のカップルが集まっていた。
周囲のカップルから聞こえた情報によるとこの盾には縁結びの御利益があるらしい。
そう言われると周りがカップルだらけに見えるから不思議だ。全く羨ましい。
伝説の盾の前で相手を守ると告白して笑顔で返されれば……って誰が考えたんだよ、こんなの。
あっちではカップルが写真撮影したりしてるし、ホントに羨ましい。
「おう! 惣流に綾波やないか」
「アスカ、綾波さんも!」
 トウジに委員長だったか。二人とも浴衣なんで気が付かなかったよ。
とするとカメラを構えているのは……やっぱりケンスケか。
一人だけ浴衣ではなくカメラやフィルムケースをぶら下げている。まるでカメラマンみたいだ。
「やあ二人とも久しぶり。碇の奴が来れないなんて残念だったなぁホント」
 残念と言いながらも爽やかに構えられるカメラ。綾波は一歩下がってアスカの後ろへと隠れた。
「そういうあんたは一人寂しくカメラ構えて何やってんのよ?」
「ふっふっふ。本日、不肖相田ケンスケはネルフ広報係の記録撮影班補佐に任命された次第であります!」
「親御さんに新型カメラを買って貰った交換条件のバイトらしいで」
「ま、そんなわけで碇たち三人が揃った写真を撮りたかったんだ。採用されるとボーナスも出るし」
「あっきれた……」
 本当にネルフって非公開組織なのだろうか。この突っ込みももう何度目か分からないよ。
でも確かに広報に載せるならチルドレンである僕たちの写真は採用されやすいかな。
「だったらこのあたしの写真があれば十分じゃない」
「―と言うてますが、カメラマンはん?」
「まあ綺麗どころのパイロットだし最適ではあるな。んじゃ綾波と一緒に」
 僕もアスカの腕に抱かれて二人と一匹でハイ、チーズ。

894:猫シンジ
09/10/04 08:33:31

「キャッ!!」
 ドーン!と威勢のいい爆発音が鳴り響き、夜空に美しい光の大輪を咲かせた。
やっぱり夏祭りの締めといったら打ち上げ花火だよね。
アスカと綾波は何が起きたのかと相当ビックリしたらしい。
僕らからすると爆発音ってろくなイメージないもんね。
でも華やかの夜空を見上げた驚き顔がみるみる笑顔に変わっていく。
「綺麗……」
「ええ……」
 うん、綺麗だね。次々と打ち上げられる花火が夜空を様々な色に染め上げる。
みんながみんな揃って瞳に天の輝きを映して空を見上げていた。
僕は花火よりもそんなアスカをずっと見ていたような気がする。
「来年は、ちゃんと碇君と一緒に花火を見れるかな?」
「さあね。次を三人で見れるとは限らないわよ」
 二人は空を見上げながら少しだけ笑顔を厳しい目に変えて目線を交わした。
そう。お祭りで浮かれていたけれど来年まで揃って無事でいられるとは限らないんだ。
僕らは、そしてネルフ職員の人達も常に死と隣り合わせな戦場にいる。
このお祭り騒ぎはそんな僕らを少しでも和ませようとしているに違いない。そうだよね父さん。
「そうね。ヤシマ作戦の時は碇君と私の二人だったものね」
 綾波が僕の頭を撫でてアスカを見つめた。それをアスカも花火そっちのけで見つめ返す。
その時はアスカがいなかったんだよな。来年までに仲間が増えて四人かもしれないよね。
「そー言えば、あの盾、あんたが使ったヤツよね。どんな逸話があるのかしら!」
「別に……任務で初号機を防衛しただけ。ただ、それだけ」
 そう言って綾波はにっこりと笑顔を向けた。あの時、初めて僕に笑ってくれたんだっけ。
僕にとっては忘れられない戦いだったけど、綾波にとっては作戦の一つに過ぎないのかな。
「そう、じゃあ次まで死なないように頑張んなさいよ!」
 うう、死なないように頑張るから。全力で二人を守るから、だから恐い顔しないでよ。
まだ花火も続いてるから。にゃーんにゃーん! ほらほら笑って笑って! 

895:猫シンジ
09/10/04 08:37:31

「ゴホン。堪能したなら花火を背景に写真を撮らない? 碇に見せるときっと喜ぶよ」
「……そうね。あたしはいいけど。優等生は?」
「……問題ないわ」
 ナイスだケンスケ。さっきは花火のせいで上手く撮れなかったもんね。
そういえばアスカや綾波と写真を撮るなんて初めてだな。
もしも僕が人間だったら三人一緒に仲良く撮れたんだろうか。
きっと猫だから上手く言ったんだろうな。リツコさんに感謝。
「ねぇ、あたし一人の写真も撮ってよ」
「了解了解。全く碇が羨ましいよ」
「べ、別にシンジに見せるために撮るんじゃないわよ! ただの記念写真に決まってるでしょ!」
 見せてくれないのか。少し残念だ。
でももうアスカの浴衣は生で十分目に焼き付けたから、写真なんて見れなくても悔しくないよ。
「ほらシジ。あたしとあんたの記念写真よ。笑った笑った!」
 そうか、猫の僕とはそろそろお別れだもんね。
女の子とツーショット写真なんて生まれて初めてだから緊張するよ。
パシャッと花火を背にして撮っって、ポーズを変えてもう一枚パシャッと。
ああ、猫になって良かった。リツコさんありがとう。
「あの…………ごめんなさい。何でもないわ」
「……ったく、シジとの記念写真が欲しいならハッキリ言いなさいよ」
「オーケー、オーケー! 猫を抱く浴衣美人は被写体としてバッチリだね」
「あ、ありがとう」
 次は綾波と一緒にパシャッと。モテモテでとっても良い気分。猫最高。

 最後はタイマーでケンスケ、トウジ、委員長も揃って全員写真をパシャッと。
来年もみんなが、この街の人たちが笑顔で花火を見れますように。
僕はエヴァに乗る理由をまた一つ、見つけたような気がする。

896:猫シンジ
09/10/04 08:43:01
 帰り道。普段は暗くて人通りの少ない夜道でも今日だけは特別安全。
お祭り帰りの人たちが大勢いるし、ネルフから警備員も出されているみたい。
あ、警備の人が僕に敬礼してる。ジオフロント入口にいた人だな。夜遅くまでご苦労様です。
「……可愛い♪」
「何よ、あたしの方が可愛いに決まってるでしょ!」
 二人が歩きながら今さっき撮ったばかりの写真を見せ合っている。
こうして見ると本当に普通の女子中学生だよな。
ケンスケが写真のデータを携帯電話に転送してくれたんだ。
後は好きな時にプリントすればいいってわけ。
「ほらシジ、あたしの方が可愛いわよね!」
「私は、これ……」
 小さな画面にアスカと僕、綾波と僕が映っている。
どっちって言われても、目の前に本物がいるんだしどっちでも良いよ。引き分けー!
「にゃにゃにゃーん!!」
「ほーら、あたしだってさ。やっぱシジ可愛いー!」
「分かるの?」
「とーぜん。『にゃにゃにゃ』が『アスカ』で、『ーん!!』は『様』に決まってるわ」
 なんて強引な。綾波が呆れ果てて苦笑してるよアスカ。僕も少し呆れた。
「あははは、ずーっと猫のままで良いわよシジ」
「猫のまま? あなたはシンジ君よりその子の方が良いの?」
「あ、当ったり前じゃないの! シジの方がシンジより何倍も可愛いわよ!」
「シンジ君に会いたくないの?」
「あんたは会いたいんでしょうけど、あたしは違うの。バカシンジの顔なんて見たくもない!」
「そう……ここでいいわ。送ってくれてありがとう。さよなら」
 急に綾波は早足に立ち去ってしまった。服はミサトさんのマンションに置きっぱなしなのに。
まあ今度ネルフ本部で渡せばいいか。
 猫のまま―か。この一週間、何度も考えたよ。僕は、猫の方が幸せなんじゃないかって。


897:猫シンジ
09/10/04 08:44:40

「たっだいまー!」
 元気の良いアスカの声に答えるものはいない。
きっとミサトさんは後片付けした後に飲んで来るだろうし、僕ははここにいる。
「ちぇ、後の祭りか」
 それをいうなら祭りの後だよアスカ。賑やかだった分、落差が激しいって意味。
一人の寂しさがより一層浮き彫りにされてしまう。
「大体、何よあいつ。あんな事で怒って。当然のことじゃないの。ねー」
 やっぱりアスカの目には猫の僕の方が大きく写っているんだろうか?
アスカは僕の前では笑わなかったのに、猫の僕の前ではよく笑うようになった。
これは綾波も同じような気がする。
「それに何が『ただ、それだけ』よ! それだけで済んだはずないじゃない!」
 怒声をあげながら射的で貰ったリンゴを包丁で叩き切った。今度は怪我しないでよね。
乱暴に四つ切にして種の付近だけを取り除く。皮は付いたままだけど問題ないね。
うん、硬めだけど美味しい。年中温かいから収穫量が減ってるんだよなリンゴ。
「んー、可愛い可愛い。バカシンジが居なくてもお前がいれば十分だからねー」
 やっぱりヒトの僕はアスカを怒らせてばっかりみたいだ。
そもそもヒトの時にアスカに優しくされたこと、ほとんどないけどね。
「本当、あいつの顔なんて、別に見たくなんてないんだから」
 そんなに繰り返さなくても分かってるよ。僕自身はあまりアスカに好かれていないなんて。
少しだけ希望を持ったりしたんだけど、やっぱり自惚れすぎだったみたいだ。
でもねアスカ。僕は一つだけ確かなことが分かったんだよ。
どう思われていても、僕はアスカが好きなんだって。

898:猫シンジ
09/10/04 08:56:22

 お祭りから二日後、僕を元に戻すサルベージ作業が行われた。
僕は奇妙な実験用プラグの中でゆっくりと人間に戻っていくのだろう。

 思えば僕は今まで人に優しくされたいとばかり考えていた。
僕を受け入れて欲しいと思っていた。
だから猫の生活は不便なところもあったけれど、みんなに優しくされて快適だった。
父さんだってそうだ。あの戦闘の時、僕だって知っていたはずだ。
なのに一緒の席に置いてくれたし、頭も撫でてくれたんだ。話しかけてもくれた。
エヴァだって動かせたんだ。この前は失敗もしたけどきっと上手くなるさ。
そしてアスカは沢山の笑顔で迎えてくれた。僕に見せた事のないような優しさで接してくれた。
暖かくて柔らかくて心地良かった。好きだった。
そう、僕はアスカの笑顔が好きだったんだ。
やっと分かったんだ。僕はアスカに笑顔でいて欲しいんだって。
僕が猫でいることでアスカが笑顔でいられるのなら、それは良いことじゃないか。
そうさ。僕は―碇シンジはいらないんだ。

『どういうことなのリツコ!!』
『ありえないわ。シンジ君自身が人間に戻ることを拒否しているとしか思えない!』
『猫のまま……ね』
『あたしのせいだ。あたしがあんなこと言ったから……』

 怒ってなんかいないよ。
僕が人間に戻るより、この方がアスカは笑顔でいてくれると思った。
喜んでくれると思った。ただそれだけなんだ。
なのに、何でそんなに悲しい顔するの? 何でそんなに辛い顔をするの?
僕はキミの好きなシジでいるから。だから笑顔でいてよ。

<<つづく?>>

899:猫シンジ
09/10/04 09:02:13

だらだらと予想外に続いた猫シンジも大詰め。
途中で正体をバラさずにそのまま進めればよかったと少し後悔してたりします。
その場の思いつきでネタを詰め込んでプロット変更したら苦労して当然ですよね。進歩してないです。

なわけでチョコバナナで死に掛けるとか、盆踊りでダンスとか、太鼓を叩くリツコとか、
迷子センターのマヤとか、日本文化を勘違してるゼーレ一行とか、アホな思いつきネタは全カット。
魔法の赤眼鏡を拾うネタも強引に詰め込まず別にして正解だったw

900:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 09:41:10
猫シンジのままで終るんですか? それはそれでいいけどさ。
元に戻ったシンジの話もあるんですか?
どっちにして幸せなのかわからん

901:GREEN DAYS
09/10/04 11:57:05
>>856の続きです。

しかし、そんな生活が続いていくうちにその無理がたたったのか、
ある使徒との戦闘中疲れがでてしまい集中力を乱してしまった。

「シンジくん!何してるの?早く指示した位置に移動して!」
意識がとんでいたことに気づく。
「あっ!すみません!」
急いで指定された場所まで行くと、アスカがもう攻撃を開始していた。
「何やってんのよ!バカシンジ!」
「ごめん!」

何だろう。目がかすむ。視界が揺れる。
くそ…。

はっと気づくと使徒が僕の目の前だった。

(やばい、間に合わない!)

その瞬間、弐号機が僕の視界を遮り赤い残像を残し、僕を助けてくれた。

そうしてなんとかかろうじて僕達は勝つことができた。

902:GREEN DAYS
09/10/04 11:57:54
「シンジくん、今日の戦い方は何!?一体どうしたってのよ!」
戻った瞬間怒声を浴びる。
確かに今日僕は役に立たないどころか足手まといだった。

「ちょっと待ってよ!確かにシンジはひどかったけど、こうなった原因はあんたたちにもあるんじゃないの!?」

黙って叱責を受けていた僕の隣で、アスカが言い返してくれた。
驚いて隣を見つめる。
てっきりアスカからも怒られると思っていたので、まさかかばってくれるとは思わなかった。

「最近働かせすぎよ!パイロットとしてじゃなく、治療までさせて!
シンジがいつもその行動のせいでどんだけぐったりしてると思ってんの?
エヴァの操縦に集中させたいなら、治療行為をやめさせるべきだわ!」

そのアスカの言葉にリツコさんやミサトさんたちが何やら話し合いを始める。

「あの、ありがとう、アスカ」
「別に。足手まといが邪魔なだけよ!」

アスカは決して僕の方を見ようとはしなかった。

903:GREEN DAYS
09/10/04 11:58:55
しばらく大人達の話し合い続いた後、リツコさんがようやく僕達に言った。
「わかったわ。シンジくんにはエヴァの操縦を優先してもらうために、治療行為は当分禁止することを命じます」

その言葉を聞いて、アスカはようやく僕の方を振り向いて安心したように笑った。

その笑顔を見て、僕の鼓動は揺れた。
かばってくれたせいじゃなく、
僕のためにみんなに立ち向かってくれたせいでもなく、
僕はアスカの笑顔がただ純粋にかわいいと思った。
この笑顔を守りたいと思った。


次の日、僕は助けてくれたお礼にアスカの好物を作ろうと思い、何がいいかリクエストを聞いてみた。
僕にしてあげれるのはそのぐらいだから。
すると、やはり想像通りハンバーグとの答えだった。
ミサトさんは今日も遅いので、先に二人分だけ作ることにする。
肉汁たっぷりになるようしっかりこね、片栗粉をまぶして焼いた。
手作りソースをかけ、つけあわせも盛り、出来上がりだ。
「んーいい匂い!」
アスカが匂いにつられてやってきた。

「いただきます」
「いただきます!」
手を合わせて食べ始める。

904:GREEN DAYS
09/10/04 12:00:00
ハンバーグを切った瞬間肉汁があふれでてきた。
熱そうだな、アスカは大丈夫かなと思って顔をあげると、

「あつっ!」
と言ってアスカが口をおさえるところだった。

「火傷?ちゃんと冷まして食べないと」
「だって、早く食べたかったんだもん」
「大丈夫?」
「……舐めて」
アスカが挑むように僕を見据える。

「え?」
「だから、舐めてっていってんの」
「どこを?」
「あんたバカァ?舌に決まってるじゃん!」
「え!!」
舌って口の中にあるじゃないか!

「早く治してくれなきゃ、ご飯食べる時しみるでしょ」
「…僕に舐められるの、嫌だったんじゃないの?」
「過去のことは消えないけど、禁止されたし、もう二度と他の女を舐めることはないんでしょ?」
「…うん」
「禁止されてるから無理?」
僕は覚悟を決めた。初めてアスカが自分から治してと頼ってきてくれた。

905:GREEN DAYS
09/10/04 12:00:47
「アスカなら、いいよ」
テーブルごしに立ち上がってアスカの顔を両手ではさみ、目を合わせる。
自分から言い出したくせに、アスカはしばらく迷っているように黙った後、
小さく開く口から震える舌をのぞかせた。
先の方が白くなっている。痛そうだ。

「それしか出してくれないなら、キスするしかなくなっちゃうよ。もっと出せる?」
僕はそれでも構わないけど、という言葉は口に出すのをやめた。
アスカは僕をにらみ、下まぶたに指をあて、あっかんべーをしてみせた。
僕はその顔を見て笑ってしまう。
「何よ!もっと出せっていうから」
「ごめんごめん、もう一回」
「もういいわよ!」
「じゃあいいよ、キスするから」
「…バカシンジのくせに!」
そう言って顔を真赤にしながらまたやってくれた。
僕は唇に触れないよう注意しながら、そうっとアスカの舌の先を軽く咥える。

唇で感じるアスカの舌は熱い。
粘膜は人体の中での高温部だからだ。
軽く咥えた隙間から火傷の部分に軽く舌で触れる。
さらに熱が上昇した後僕は離れた。
部屋の熱気で、触れ合っていた部分だけでなくお互いの身体の体温まで上がっていたことを知った。


「続き、食べよっか」
僕は照れ隠しのように言った。
アスカは目を合わせようとせず、何気なく唇を触れている。
さっきの熱さを思い出しているのだろうか。
僕も舌先でさっき感じた温度を思い出し、唇を舐めた。
食事を続け始めた彼女の唇を眺めながら、やっぱりキスしてやればよかったと後悔した。

906:GREEN DAYS
09/10/04 12:03:20
あの後きちんとリツコさん達が根回しをしてくれたらしく、学校にもネルフにも僕の治療禁止令は広まっていた。
おかげで僕は、元の生活に戻ることができた。

学校とネルフと家を往復する毎日。
そんな中、リツコさんから呼び出しがかかった。

「あなたの唾液を研究させてほしいのよ。医療の進化のために」

みんなを守ることができるのよ、と説得され僕はいろいろな検査を受けることになった。
僕は体の隅々までチェックされ、丸裸にされた気分だ。
最後に今後の研究のために、と結構な量の採血をされ、一応大事をとって輸液をしてもらうことになった。

やっぱり体内から血液が出ていくとふらふらするな。
大量の血を見ちゃったからだろうか。
男は血に弱いっていうし。

907:GREEN DAYS
09/10/04 12:04:28
点滴中の僕の横で足を組んで座り、結果をチェックしているリツコさんに前から疑問だったことを訪ねてみることにした。
「治してる時に熱さを感じるの?エントロピーが増大してるのね。つまり、熱エネルギーが必要ということね」
「…すみません、エントロピーって何ですか?」
「つまり、熱をだすにはエネルギーがいるのよ。そのエネルギー生成にシンジくんの体力が必要なのもしれないわね」
「はあ」
「それとも、唾液の中の成分を分泌するため体内が活性化してるのかもしれないわ」
ただでさえふらふらだった僕は、リツコさんの話を聞きながら徐々に眠気に襲われて意識を失いつつあった。


その時、サイレンが鳴り響いた。

「使徒!?」

リツコさんが小さく叫ぶ。
僕とつながっている輸液パックが振動でゆらゆら揺れていた。


続きます。このスレで終わらせたい。

908:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 12:40:53
ぺろぺろ
シンジはどうなるの?
やばそうだな。

909:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 16:46:53
猫もペロペロも乙ー!
ニマニマしながら見てしまった

910:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 17:21:53
投下GJ

ぺろぺろ>
アスカもシンジも可愛いなあ。
シンジは理由が出来るとか大胆なことでも結構しちゃうね。
無理しそうなシンジが心配だ。

猫>
青使徒さん吹いたw お前が一番失礼だシンジw
射的屋さん、誰かと思ったらは黄色いベスパの人かw あれ相手じゃ勝てないw
楽しんだ末に気持ちのすれ違いというかアスカの表面しか見れてないシンジが切ない。

911:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 20:01:08
投下乙!
来る時はまとめてくるのね

>>880
こういう何気ない一コマって凄く癒されるわ。
次も期待してます。

>>899
ここまで鈍感だなんてありえないわ!とリツコ風に叫びたい。
でも猫の状況はシンジの願望欲求を満たしちゃってるんだよね。
悲しむアスカを見てどう考えを改めるかに期待。
ところで魔法の眼鏡って三つの願い? あれをどこに組み込むつもりだったんだw

>>907
デレ期キター!
舌だけ触れてキスしないとか逆にエロいっす。
定番の体力消耗にアスカが先に気がついて意識してたのもイイ!
次の展開にもwktkしてます。

912:GREEN DAYS
09/10/04 23:52:36
>>907の続きです。

朦朧とする意識を叱咤しながら、ふらつく体をリツコさんに支えてもらいエヴァに乗ると、
ミサトさんがアスカが先に出たと教えてくれた。
「行ける?シンジくん。きついかもしれないけど、がんばって!」

ばしゅん!と地上に出る。
爆煙の間から弐号機が戦っているのが見えた。

優勢かの様に見えたその時、僕の視界から弐号機がいきなり姿を消した。
目をこらすと、地面にかがみこんでいるように見える。

「足がはまってる!抜けないのよ!!」
爆撃のせいでできた穴にはまってしまったらしい。
その隙に弐号機ににじりよる使徒。
焦るアスカは闇雲に自分の足元に煙をたてる。
「アスカ、落ち着いて!」
「ああもう何で抜けないのよー!!」
僕は急いで向かおうとするが、使徒はもうアスカに迫っていた。

「アスカ早く!足を切断して!」
「なっ無茶ですよ、ミサトさん!せめて神経接続を切断しないと!」
ミサトさんの無謀な指示に目を見開く。
「足切ってすぐ後退しなきゃいけないんだから、そんな時間ないのよ!
足の一本や二本より命のが大事でしょうが!」

913:GREEN DAYS
09/10/04 23:53:52
アスカが一瞬の逡巡の後、唇をかみしめたのが見えた気がした。
煙の向こうで弐号機がプログナイフを握りしめ、振り下ろす。
「うぁあああああ!!」
アスカの悲鳴が耳をさいた。
しかし時は遅く、使徒の影が弐号機にかかっていた。

そこで僕の意識は暗転する。
どうやって戦ったのかあまり思い出せない。
無我夢中で、気がついたらエントリープラグのハッチをこじあけていた。
近くで、使徒だった塊が転がっているのが視界の隅に入った。

ハッチを開けるとLCLが流れでてくる。
かき分けて中に入るとアスカが操縦席でぐったりとしていた。
足を恐る恐る見る。
ぱっくり裂けたプラグスーツの中からどす黒い肉と、
それとは対照的な白い骨が見えた。
赤いプラグスーツがさらに紅くなっているように感じる。
アスカはいつの間にかシンクロ率が上がっていたようだった。
その高さが仇となった。

914:GREEN DAYS
09/10/04 23:54:49
ふと、何かの時に会話した内容を思い出した。
「シンジはなんか頼りないのよね!だからあたしが守ってあげるわ!」
「それ、立場が逆じゃない?」
「だって、ケガしたら治してくれるんでしょ?」
「いやだよ。アスカに守られるなんて」
「前時代的ー!」

その後、僕はアスカを守ると約束したのだろうか?思い出せない。
ただわかっているのは、僕は君を守ってあげられなかったこと。

なんとか傷の深さは骨で止まっていて、切断まではいっていなかったが、
自分で自分の足を切断するという壮絶な苦しみを味わわせてしまった。

「ごめん、アスカ…!」

僕が今してあげられることは、何だ?

傷を丹念に指でなぞる。
べろりと指に付いた血を舐めた。
あの時と同じ鉄の味。

僕はそっとアスカを抱え、丁寧に傷を舐め始めた。
柔らかい肉をすする。
血が染み出してくる。
血液の温かさと、僕の唾液の熱と、炎症反応の熱で足はたちまち熱くなる。
止まらない血液に、出血多量という言葉を思い出す。

915:GREEN DAYS
09/10/04 23:56:00
僕はアスカを死なせるわけにはいかないんだ。
君がいなかったら、僕の世界は変わってしまう。
君がいてくれたから、僕は生きようと思えたのに。

アスカの血が僕の中に吸収されていく。
血液はやがて唾液に変化する。

ミサトさんやリツコさんが駆け寄ってくる気配がする。
僕は構わずひたすら舐め続ける。
ほんの少しずつ傷がふさがっていくように見えるのは、僕の錯覚だろうか。
周りが騒々しくなったせいか、アスカがうっすらと眼を開けた。

「…シンジ?」
生きていてくれた。
死なないでくれた。

ふと、脳裏に誰かの笑顔が思い浮かぶ。
…そうか。
僕のこの力は、好きな人を守るために授けてくれたのかもしれない。
ありがとう、母さん。
顔も覚えていない母に感謝した。
アスカを強く抱き締める。

「…また疲れてもしらないから」
そう言うと、彼女の唇に落ちた僕の涙をちろりと舐めた。


916:GREEN DAYS
09/10/04 23:56:59
あんなに深い傷を治したのは初めてだったせいか、どれだけ休んでも疲れがとれなかった僕は、
ほぼ毎日授業中にも居眠りをしてしまっていた。
ふと目を覚ますと、教室の窓からは真っ暗な夜空が広がっていた。
辺りを夜の匂いが包んでいる。
「やっと起きた?言っとくけど、もう授業はとっくの昔に終わってるわよ」
前の席に座って頬杖をついていたアスカが言った。

「うわっアスカ!?退院したの?どうしてここに?何で起こさなかったの?」
「シンジが気持ちよさそうだったから。あたし一人帰ってもご飯がないんじゃ意味ないし」

僕が寝てたから、疲れてると思って起こさずにいてくれたんだ。
いろいろな人が起こそうとしただろうに、僕の眠りを守ってくれた。
そして、そばで待っててくれた。
目が覚めた時に一人じゃなくてどれだけ救われたか、君はわかるだろうか。

「ごめん、おなかすいたよね。帰って急いで作るよ」
そういってアスカの荷物もとり、立ち上がる。
「足はもう大丈夫なの?」僕はアスカの足元にかがみこんだ。
「全然余裕!」彼女は僕の顔を上履きで踏みつけた。

917:GREEN DAYS
09/10/04 23:58:00
廊下を歩きながら、アスカは片手を団扇がわりに扇ぐ。
「にしても、本当暑いわね…。死にそう。今夜も熱帯夜だわ」
あんなケガをしたというのに、車椅子どころか、松葉杖もなしで歩いている。
「僕、寝ながら汗かいてたみたいだし」
それを聞いた彼女は僕の寝癖のついた前髪に触れて、笑った。

「いいこと思いついた!」
とアスカがにやりと笑う。
「もうこの時間なら先生誰もいないわよ。プールに忍び込もうよ!」
そう言ったと同時にスカートの裾を翻し、一人で先に向かってしまう。
「ちょっと待ってよ!こんな時間に!?水着持ってきてないよ!」
僕は一足遅れて、リノリウムの廊下を走った。

アスカはプールの入り口に鍵がかかってるのを見ると、フェンスを軽々と登って中に侵入してしまう。
どうやら本当に足のケガは大丈夫そうな様子に、僕は一安心し胸を撫で下ろす。
「シンジも早くー!」
僕は二人分の荷物を投げ入れたあと、やれやれとフェンスをよじ登った。

月明かりのプールサイド。
アスカは早速靴も靴下も脱ぎ捨て、座って足を水に浸している。
スカートはきわどいところまでめくれているが、白い足のどこにも傷痕はない。
女の子の足に痕が残らなくてよかった、とため息をつく。
ほっとした僕が近寄っていくと、不敵な笑みを浮かべたアスカに水をかけられた。

918:GREEN DAYS
09/10/04 23:58:47
「うわっ何するんだよ!」
上半身がびしょぬれだ。
アスカは楽しそうに笑う。
「涼しくなったでしょ?」

アスカが僕の手をひっぱったせいでバランスを崩し、二人一緒にプールに落ちる。

激しい水音が校舎に反射し、撥ね返った。

泳げない僕は一瞬焦ったが、学校のプールは浅いので足がつくため心の中で安堵した。
「どうするんだよ、明日制服着れなくなっちゃったじゃないか」
「じゃあ、一緒に休めばいいじゃん」
 
水面の反射に照らされた横顔。
制服が透けているのを見て、僕は思わず息を飲み込んだ。
      
アスカの金に近い茶色の髪から滴る雫が、水面に波紋を作る。
水に映った月がゆがむ。
そうか、明るいと思ったら今日は満月だった。
僕は煌々と輝く月を見上げる。

『あなたといると月がキレイに見えます』
本当だ。
アスカといると、月がすごくキレイに見えるよ。
アスカの眼にはどう映っているんだろう。

919:GREEN DAYS
09/10/05 00:00:07
僕は彼女を見つめる。
二つの蒼い瞳が光って見えた。
僕は思わず彼女を抱きしめる。

「守ってあげれなくて、ごめん。痛かったよね?」
「自分でやったんだから別にいいわよ。それより約束を守ってくれて、ありがとう。
傷痕すら残ってないんだから、シンジが罪悪感を感じることはないんだからね」
そう言って僕の気持ちを軽くしてくれる。
きっと、気にすると思ってしっかり治るまでは僕の前に姿を現わさなかったんだろう。

濡れた制服ごしに感じる体温。
生きている温かさ。
死なないでいてくれてありがとう。
僕はずっと前からこうしたかったんだ。

920:GREEN DAYS
09/10/05 00:01:18
「僕はいつ死んでもいいと思ってた。
でもアスカと出会って、明日も生きたいと思えるようなったんだ。
僕に希望と喜びを与えてくれた。
頼りない僕だけど、アスカとずっと一緒に生きていきたい。
これが僕の『Ich liebe dich』の訳です」


僕の言葉を聞いたアスカが、僕の目を覗き込むと、唇を近付けてくる。
触れた唇はとても熱い。
ケガなんてしていないのに。
僕の唇もアスカは熱いと感じるのだろうか。

やっとアスカとキスができた。

これがあたしの答えよ、と彼女が耳元で囁くのを聴いた。

月明かりを受けて光る水面が僕たちの周りで揺れていた。


終わり。
無事このスレで終われてよかった。

921:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 00:03:52
乙!

922:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 00:19:19
雰囲気いーねえ、GJ!

923:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 00:36:43
完結乙
夜のプールに月明かりとはなんてそそる情景

924:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 00:42:27
乙!

925:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 01:06:30
GJ! 良かったよ!

926:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 01:19:28
素晴らしい!GJです。
また投稿して下さい。

927:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/05 02:06:35
>>840 遅くなってすいません。続きです。


午後の授業が全く頭にはいらなかった事は言うまでもない。綾波になんて言おう。
失敗してアスカが傷ついたらどうしよう。そんなことばかり考えていた。
結局考えがまとまらないままで放課後がやってきた。
アスカが意味ありげな視線を僕に向けて、口パクで(行け)なんて言ってくる。まるで犯罪者とそのボスみたいだ。
綾波は帰りの会が終わってすぐ教室を出てったからもう着いてるだろう。
僕たちのやりとりを見ていた三人組が寄ってきた。
「碇君、あの後どうなったの?」
いつになく真剣だな、委員長。ここはうまくやんないと。
「だいじょぶだよ。その・・・仲直りしたからさ」
「ホントに?」
「う、うん」
「委員長、わいらが余計な首つっこむのやめようや」
トウジ・・・めずらしくナイス!!
「そうだよ。こういうのは二人で解決させるのがベストだよ」
「・・・そうね、ごめんなさい碇君」
「べ、別に気にしてないよ!」
「さ、わいらは先帰ろーや」
「そうだね。早く新作ゲームやりに行こう!体がうずうずするよぉ!」
「・・・碇君、じゃあね」
「うん。また明日」
と、トウジが首に腕をまわしてきて耳元で囁く。

928:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/05 02:27:11
「惣流の事、がんばりやぁ!見た目はごっつええけど中身はあれやからなぁ!」
「うん。ありがとトウジ!」
神様が味方してくれたのかな?
そんな事を思いながら三人の背中を見送った。
よし。行こう。
余計な事を考えないようにと屋上まで走っていく。
階段を駆け上がり、ドアを開ける。
いた。綾波だ。
呼吸を整えつつ綾波の隣まで歩いていく。
「碇君。なんで呼び出したの?」
「遅れてごめん。・・・実は話があるんだ」
「何?」
聞いてくるけど予想はついてるのかな?横顔がどこか寂しげだ。
「・・・綾波の気持ちに答えられそうにないんだ」
「どうして?」
「・・・僕は、アスカが好きだから・・・」
「・・・そう」
俯いてしまって表情は伺えない。・・・大丈夫かな
「碇君はセカンドといると、ぽかぽかするの?」
「・・・うん、する。・・・なんか優しい気持ちになれるんだ。
アスカが笑うと僕もうれしいんだ。一緒にいたいと思う。
・・・それが好きって事なんじゃないかな?」
「・・・」
なんか無駄に語りすぎたかな・・・
ふと綾波が顔をあげた。・・・笑ってる?
「碇君にぽかぽかしてほしいと思った。最初はなぜだかわからなかった。

929:DISTSRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/05 02:49:26
こんな風に思ったのはあなたが初めてだったから。
・・・でもこの気持ちが好きって事なんだろう、って気づいた」
「・・・」
寡黙な少女。綾波レイ。ファーストチルドレン。
あの綾波がこんなに自分の気持ちを吐露するなんて・・・
「碇君がぽかぽかしてくれるなら、私は構わない。・・・例えぽかぽかさせてるのが私じゃなくても」
「綾波・・・」
「セカンドは難しい性格だから・・・ 気をつけて。もしも嫌になったら私に言って」
「・・・わかったよ。でもそれはない・・・と思うよ」
悲しそうな、でも嬉しそうな複雑な笑顔。
・・・綾波もこんな笑い方するんだ。
「・・・そう。 セカンド、待ってるんじゃない?」
「う、うん。 ・・・本当にごめん、綾波」
「謝る必要なんて、ないわ」
「うん、ごめん・・・ってまた謝っちゃったね、ハハハっ!」
綾波もクスクスっと笑った。
もう行かないと行きにくくなる。
「それじゃ綾波、また明日!」
「えぇ・・・ さよなら」
「じゃあね!」
そう言って思いっきり走り出す。綾波が今どんな顔してるかなんて見たくない。
・・・いや、見れないよ。
階段を駆け降りる。昇降口へ向かう。
これで・・・
これでいいんだ。


930:DISTSESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/05 03:11:04
昇降口ではアスカが足をトントントントン言わせながら待っていた。
「おっそぉ~い!!」
「ご、ごめん」
「なんで女の一人振るぐらいでこんなに時間がかかんのよぉ~!」
「そんな事いったって仕方ないじゃないか!! そこらへんのプレイボーイじゃないんだよ?」
「プレイボーイって・・・ なんかだっさい言い回しね~!」
「だ、ダサくて悪かったよ」
アスカがクスクスっと笑う。
「で、しっかり振ってきたんでしょうね?」
「そりゃあ・・・うん。当たり前だろ!」
「そ。じゃあ帰るわよっ♪」
そう言って腕にしがみついてくる。
ちょ、お、おっぱいが・・・
「あああアスカっ! もう学校終わったでしょ!」
「だから? 別にいいじゃん!」
「よ、よくないよ!」
「いやなの?」
アスカがちょっとすねた顔をした。
・・・か、かわいいって何考えてんだ僕っ!
「い、いやじゃないよ! じ、じゃ行こっか!」
「うん!」
やっぱりアスカはかわいい。
とても魅力的だ。
そもそもなんで僕なんかを好きになってくれたんだろう?
・・・帰ったら聞いてみようかな。


帰ってる途中スーパーへ寄った。
今日はアスカの好きなハンバーグだ。

931:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/05 03:20:25
アスカによれば、交際スタート記念なんだからハンバーグに決まってんでしょ! らしい。
交際スタート記念って・・・
アスカもなかなかの言い回しだよと言ってる途中で殴られた。
今日もミサトさんはいないらしい。出張先でトラブルがあって一日延長だって。



932:DIS ◆xfCLDS4d/.
09/10/05 03:23:43
ややこしいので名前はDISでお願いします。
改めて遅くなってすいませんでした。

続きは後ほど・・・

933:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 14:18:00
乙です。相変わらず素晴らしいですね!

934:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 19:01:43

どうなるんだ! 何かありそうだ。

935:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 22:37:18
アスカがハンバーグ好きだって、どこの二次創作が広めたんだろうなww

936:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 22:48:25
>>935
アスカがハンバーグ好きってのは公式だろ


937:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 22:52:09
>>935
それは俺も気になってた


938:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 23:03:30
半公式>ハンバーグ好き
昔の派生作のエヴァンゲリオンRPGネルフ白書(角川ドラゴンブック)にでてきた設定が元。

939:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 23:08:01
ごめん。角川じゃなくて富士見ドラゴンブックだわ

940:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 23:20:19
アニメイトカセットではトンコツラーメンだよね
その設定の話も見てみたいな

941:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/05 23:36:09
豚骨ラーメンか・・・
よし話が膨らむ。

942:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 07:29:13
猫シンジのレイに今までちょっとだけ違和感を感じてたが
今回は酷い
レイはシンジ君なんて呼び方しないだろ…

943:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 09:16:48
そう言えばそうだね。
つまらないから流し読みしてたんで気がつかなかった。
二次創作で一人称二人称を間違えるなんて致命的だよな

944:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 09:30:50
セガサターンのゲームでもシンジ君って呼んでたような

945:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 10:02:56
>>944
あれは制作側の設定間違いだしw

前の話では碇君て呼んでるから単なる書き間違いと推敲不足だろ。
酷いのは同意。

946:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 10:06:20
サターンは設定固まってない超初期に発売されたからノーカウントだろ
色々ひどかった

947:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 13:42:51
鋼鉄1のアスカは「トウジ、ケンスケ」って呼ぶし、トウジとケンスケも「アスカ」って呼ぶし
貞漫画のゲンドウも「アスカ」って呼ぶ

公式でも色々間違えてるよね

948:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 15:46:44
ふぅと入れ替わりの人続きマダ-?

949:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 18:16:30
ゲンドウってアニメでアスカのこと
呼んだことあったっけ?

950:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 19:04:09
>>949
貞漫画で「アスカ」って呼んでたのよ
アニメでは弐号機パイロットとしか呼んでなかったはず

951:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 19:44:32
詳しく覚えてないがあれはアスカ個人に対してじゃ無くて
ミサト等に命令するときの呼び方だったような…
シンジのことをミサトとの会話では初号機パイロットって呼んでるときもあるし

952:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 20:04:10
アニメ版だと一度もレイと会話シーンの無い加地さんでさえ
「レイ」って呼んでたからな>貞漫版
レイからすれば「何? この人…」だっただろう

953:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/06 20:35:55
空気読まず続き投下 このスレで終わるかな?


マンションにつくと早速調理を始める。
アスカと腕を組んでたもんだから、
デート気分でついついだらだらとしてしまった。もう七時半だ。
肉を一生懸命こねてる途中で、テレビの前でゴロゴロしてたアスカが来た。
「バカシンジ、それあたしもやる!」
「えぇー! いいよ、アスカはゆっくりしてなよ!」
「遠慮しなくたっていいわよ! この天才アスカ様にまっかせなさぁ~い!」
トホホ・・・ 気持ちは嬉しいけど更に遅くなりそうな気がしてたまらないよ・・・
「えっと・・・ じゃあお肉はこねたから、形をつくってくれる?」
「おっけ~ そんなの超余裕じゃない!」
横顔がとっても楽しそう・・・
よかったな・・・ あの殺伐とした雰囲気はどこへ行ったやら・・・って!!
「アスカぁ~! 指の間から肉がボロボロ落ちてるよ!」
「うっさいわねぇ~ 仕方ないでしょ初めてなんだから!」
「ほら、こうやってぺたぺたって空気抜いて・・・」
そう言ってアスカの手を取りぺたぺたと肉の形を整えていく。
「ほら、アスカわかった? ・・・アスカ?」
返事がないから顔をのぞき込んで見る。

954:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/06 20:51:35
やばい。
昨日の夜見せたあの顔。
でもどうして・・・
「アスカ、どうしたの?」
「・・・別に。あの女にもこうやって手取り足取り教えたのかなぁ?って思っただけ」
「そんな・・・ もう忘れようよ。もう綾波はその・・・振ったんだよ?」
「どーせあんたのことだから曖昧な感じにしたんじゃないの?」
「違うよ!」
気づけば自分でもびっくりするくらいの大声を出していた。
「僕だって・・・ アスカのために頑張ってるんだよ?
それなのに、何でわかってくれないんだよ!!」
自分の太股に怒りをぶつける。
あんなにほんわかしていた気持ちが一気に崩れさった。
「・・・」
俯いて唇を噛みしめていると、アスカが抱きしめてきた。
暖かい。包み込むような柔らかい感触。
「シンジ・・・ ごめん」
この一言で僕は我に帰った。
「僕の方こそごめん。せっかくハンバーグなのに・・・台無しだね」
「なぁにいってんのよバカシンジ! 早く作っちゃって食べましょうよ!
きっとおいしいわよぉ~ なんせこのあたしが作ってるんだから!」
フフッ。アスカらしいや。
「そうだね! じゃあ作ろっか!」
「やっぱり・・・ やり方わかんないからちゃんと教えてよね!」


955:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/06 21:10:19
そういい終えた後の顔は真っ赤だ。
「うん! じゃあ始めよう!」
アスカの手を取り、やり方をもう一度教える。
アスカがとてもいとおしい。
そんな気持ちを込めながら、おいしくなるように作っていった。
そして・・・
「できた!」
「うん! それじゃあ食べよう!」
「いただきます!」
二人で同時に言うと、真っ先に口へハンバーグを運ぶ。
・・・おいしい!
「アスカ、どう?」
「おいしい! 今までのハンバーグの中で一番の出来ね!」
満面の笑みのアスカ。とってもかわいい。
よかった・・・
と、いきなり電子音が鳴り響いた。
「シンジ、電話!」
「うん」
席をたって受話器を取る。
「はい、もしもし」
「シンジ君? 今から言う話を落ち着いて聞いてちょうだい」
「リツコさん。話ってなんですか?」
電話の対応してる間にもアスカはおいしそうにハンバーグを食べている。
「・・・葛城三佐が。・・・ミサトが亡くなったわ。」
へ?
「えっと、嘘ですよね?」
笑いながら尋ねる。心臓がバクバクする。
「本当よ。
上はエヴァのパイロットに精神的なダメージを与えてはいけないと判断したらしく、伏せておくように言われたわ」
「えっと、今日は四月一日」


956:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/06 21:29:11
「落ち着きなさい! 現実から逃げようとしても何も始まらないわ!
現実を受け止め、冷静に対処しなさい」
「うそだうそだうそだうそだ」
「・・・中学生には無理な要求だったわね。
明日カウンセラーを付けて詳しい話をするから、アスカと一緒に来てちょうだい。
私だって悲しいわ。でも受け入れるしかないのよ。
・・・こんな仕事柄だものね」
「・・・」
黙って受話器を置く。
「シンジ、どうしたの?」
「・・・」
黙って自分の部屋へ駆け込む。
「シンジ! 待ちなさいよ!」

嘘だ。信じたくない。逃げ出したい。
嫌だ。ミサトさんがいなくなるなんて。
優しい態度で、時には厳しく僕に接してくれた。
でももういない。
涙が止まることなく流れ続ける。どうすれば僕は救われるのか。
誰が戦場で支えてくれるのか。
胸が痛い。涙が止まらない。
「ミサトさん・・・
ミサトさんミサトさん、ミサトさぁーーん!!」
クソ。なんでだよ。
さっきは死因なんて聞けなかった。逃げた。嫌だから。
逃げちゃだめ?
そんなの知るか。逃げたっていいんだ。逃げて何が悪い。
「嫌なことから逃げて何が悪いんだよぉーーー」
思いは気づくと声になっていた。


957:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/06 21:47:58
いつだってそうだ。
大切な人は僕の周りから消えていく。
母さん、父さん、それにミサトさん・・・
アスカだって今は優しいけど、どーせ消えてしまうんだ。
だいたいアスカが僕なんかを好きになるわけがない。
いやだ。
全部嫌だ。何もかも。
誰にも優しくされないんだったら生きている意味はない。
死にたい。でもできない。臆病だから。
もうどうでもいい。どうとでもなれ。


トントン。
「シンジ、入るわよ」
もう嫌だ。誰とも話したくない。
「・・・」
ベットの隅っこに腰をかけた。
「聞いたわ。リツコに電話したの。ホント信じられない」
声が震えてる。アスカも泣いた後なのだろう。
「ミサトって・・・ あんな酒飲みでだらしない女だったけど」
「・・・」
「いい奴だったわ。あいつが死んじゃったなんて信じたくない」
そんなのわかってる。
言って何になる。
僕に優しくしようとするのは止めてよ!
「あっちいってくれ」
「シンジ・・・ 気持ちはわかるわ、でも・・・」
「あっち行けっていってるだろ!!」
アスカを睨み付ける。出てけ。
「出てけ出てけ出てけ出てけ」
壁を何発も殴る。今朝の傷にできていた瘡蓋が剥がれる。


958:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/10/06 22:07:52
意味がない。わかってて殴る。
「僕に優しくしないで!
また捨てられるんだ。アスカにも。
もうこれ以上こんな苦しみたくさんだ!くそぉ・・・」
「シンジ・・・」
アスカが抱きついてきた。
やめてくれ。触らないで。
「放せ、放せよーー」
「嫌! 絶対放さない!」
「そんなに僕を苦しめたいの?
だったら僕を殺してよ!殺せよ!」
「このクソバカシンジぃぃ!!」
アスカが全力で僕の事をベットに押し倒してきた。
僕の上に馬乗りになって襟首を掴んでくる。
「なんでわかんないのよ!」
「何が?」
アスカの瞳から涙があふれ出す。
「あんたの事、あたしがどれだけ想ってるかわかってんの?」
「・・・やめてよ、そんな嘘つくの」
「嘘じゃない!
私をみて! 私に触って!
私を一人にしないで!」
あんな強気なアスカが・・・
こんな事言うなんて。
嘘で言うとは思えなかった。
「あたしがなんであんたを好きになったかわかる?」
「・・・わからない」
「・・・あんた、あたしに似てんのよ。
他人なんて所詮他人。本気で自分の事を想ってくれてる人なんていない。だから誰もいらない。
でもほんとは人一倍愛されたい。人一倍寂しがり屋。
・・・そうでしょ?」

959:DIS ◆xfCLDS4d/.
09/10/06 22:11:09
用事入ったので今日はここまで。

痛すぎって思った人はNGしてくださいませ。
でも、最終的には救われます。

960:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 22:12:46

痛いとは全く思わなかったけど、シンジの反応が唐突で極端すぎて?だった

961:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 22:15:44

まぁ確かにシンジが唐突すぎて違和感感じる

962:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 22:34:22
GJ
続き待ってる

963:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 23:21:38
GJです
ただミサトを殺す必要はなかったのでは?


964:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/06 23:43:38
GJ!!
だが>>963と同感かなぁ

965:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/07 00:34:18
ミサトも大好きな俺にこれはキツかった
つーかエヴァキャラはみんな好きだからこーいうの苦手だわ

でもとりあえず頑張って
どうせなら最後まで読みたいし
期待してます

966:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/07 00:39:27
チッ
良い所で続くか!

967:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/07 00:45:59
話に詰まったら転校生と人を殺す、のは止めましょう。





と、あだち充が言ってたようなww

968:DIS ◆xfCLDS4d/.
09/10/07 00:53:09
やっぱミサトについてはこんな感じになりますよね、すいません。

ただ、自分もエヴァキャラは全員好きなのでキャラを虐殺することはありません。


969:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/07 01:10:03
猫シンジもペロペロもDISさんもGJ!
良いスレになってきたね~

970:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/07 01:19:50
>>967
「お前が言うか!」って感じだな

971:猫シンジ
09/10/07 02:04:13
>>898の続き

 結局その日のサルベージ作業は失敗に終わった。
僕は人間に戻れず、アスカも綾波は悲しい顔で塞ぎ込んだままだった。
みんなが幸せになれると思ったのに、一体どうしてこんな事になってしまったんだろう。
患畜用の小さなベッドの上で僕は自分の浅はかさを呪った。

 リツコさんとミサトさんの会話によると明後日の再サルベージがラストチャンスらしい。
次に失敗すれば僕はネルフの備品として初号機のダミープラグにされるそうだ。
ミサトさんが凄い剣幕で抗議している。だけど父さんよりも偉い所からの命令らしい。
これ以上パイロット一人に予算と時間は割けないんだってさ。
ダミーって偽者とか身代わりという意味だよね。
猫のまま代理パイロットをするって意味かな?
口論の末、『次で成功させれば問題ないわ』というリツコさんを信じることになった。
今夜から泊まりでミサトさんも全データの洗い直しを手伝うそうだ。
僕のせいで色々とごめんなさい。

 帰りのバスの中、アスカは一言も喋らずにぼんやりと外を見ながら僕の頭を撫でていた。
なんだろう。つい最近も同じアスカを見たような気がする。
ああ、思い出した。確かジオフロントに『行方不明の僕』を探しにいった帰りだ。
あの時と同じ顔をしているんだ。
「にゃーん……」
「……」
 僕は同じ事を繰り返してしまった。
ちゃんと僕を心配してくれていたのに、それを知っていたはずなのに。
アスカの表面だけを見て、勝手に嫌われてるって思い込んで。嫌われないようにって。
どうして僕はいつもこうなんだろう。
『そうやって人の顔色ばかり伺ってるからよ』
 不意にミサトさんの言葉を思い出した。

972:猫シンジ
09/10/07 02:05:08

 帰宅後、アスカは僕の食事を用意するとベッドに突っ伏したまま動かなくなった。
気分転換になればと何度も鳴いて興味を引こうとしたけれど逆効果。
「うるさい……」
 と小声で一言だけ残し、アスカは枕を頭に被って耳を塞いでしまった。
いっそ怒鳴られた方がどれだけ気が楽か。って馬鹿か僕は。それじゃ駄目なんだ。
僕じゃなくてアスカの気が晴れないと意味がないんだ。

ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪

 重苦しい空気に軽快な着信音がリビングから流れ込んできた。
面倒なのか、気が付いていないのかアスカに動く気配はない。
使徒だったり、緊急連絡だったら大変だ。
ここぞとばかりに僕は部屋を飛び出し、ソファーに置き忘れられた携帯電話に向かった。
着信表示は『ヒカリ』。なんだ洞木さんか。
でも彼女ならアスカの沈んだ気分を変えられるかもしれない。
きっとトウジ絡みの明るいニュースだろう。そうに決まってる。
そう信じた僕は携帯電話を咥え、着信が切れないうちにと急いでアスカの元へと戻った。
最近は軽量化されていて助かるよ。

ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪

「にゃーん! にゃにゃーん! にゃにゃにゃにゃーん!」
「……」
 僕と携帯電話に気が付いたアスカは顔を上げ、視線を着信表示に向けた。
「にゃーん」
 そして得意気に鳴く僕に視線を合わそうとせず、着信を無視してまた枕を被った。

973:猫シンジ
09/10/07 02:06:33

 洞木さんからの着信はそれから3コールほどで切れ、またも部屋は重い雰囲気に包まれた。
いるだけで息が詰まってしまいそうだ。アスカ本人はどれ程なのだろうか。
そんなに悲しむほど僕に価値はないよ。喋れるのなら、そう言ってあげたい。
きっと殴られるだろうけど、それでアスカに元気が戻るなら安いものだ。
居辛さに耐え切れず部屋を出ようとすると猫耳にアスカの呟きが聞こえた。
「返して」
 振り向くとアスカが僕を見つめていた。
「シンジを返して、お願いだから」
 泣いていたのだろうか。涙は見えないけど、目がウサギのように真っ赤だった。
「あいつは気弱で軟弱で鈍感で意気地なしだけど、あいつなりに精一杯やってたの」
 いつも僕は一杯一杯だったとは思う。でも本当に精一杯のことをしていたのだろうか。
「自分のことも満足に出来ないくせに人のことばっかり心配してる奴なの」
 違うよ。僕は他人ことを考えている気になってただけで、本当は何も見ていなかったんだ。 
「だからシジ。シンジを連れて行かないで。あたしにシンジを返して」
 僕はアスカの言葉に最後まで聞くことが出来ずその場から逃げ出した。

 猫になって知ったことは自分が見ていた世界の狭さ。
そして猫でい続けて知ったことは、傷付く恐怖と無縁で手に入る幸せなんてないってことだ。
 サルベージの時、僕が猫でいることがアスカにとって良い事だと思ったんだ。
猫でいたいと思った。人間の僕は必要ないと思った。だからきっと人に戻れなかった。
でも本当にそう思ったんだろうか?
ただ自分が優しくされたかっただけ、嫌われたくなかっただけじゃないのか。
猫でいればアスカに好かれていられる。人間に戻ったら嫌われる。そう思ったんだ。
ただ自分が傷付きたくなかっただけ。それだけだ。
みんなが幸せになれるとか、アスカを喜ばせたかったなんて、そんなの薄っぺらい言い訳だ。
自分では何もせず赤ん坊のように優しく接して貰える、そんな境遇を手放したくなかっただけじゃないか。
最低だ。このままじゃ本当に最低だ。だからせめて最低だった、にしよう。

974:猫シンジ
09/10/07 02:08:41

 あれからアスカは僕とまともに顔を会わせなかった。僕も会わせられなかった。
だけどゆっくりと考えることは出来た。僕に出来ること、僕の本当にしたいこと。
 そして明後日。再サルベージ作業は何事もなく終了した。
僕は猫にされた時と同じように本当にあっさりと人間の姿へと戻っていたんだ。
ミサトさんは泣いて喜んでくれたけれど、そこにアスカの姿はなかった。
何を思ったか自宅待機しているらしい。
やっぱり元に戻っただけで喜んで貰えるって考えは甘いようだ。

 マンションへ戻るまでに五回くらい転びかけ、その内の一回は思い切り引っ繰り返った。
体が妙にフラフラする。どうも身軽な四足歩行に慣れすぎてしまったらしい。
それに視界も全然違うからバランス感覚も狂っているみたいだ。
猫になった時は気にならなかったんだけどな。
玄関の前で深呼吸を一回二回。駄目だ全然落ち着かない。
アスカに会ったらまず最初に―
ここ何日かかけて考えた言葉を思い出していると、急に玄関が開いた。
「さっきから何をボーっと突っ立てるわけ?」
「え…あ…う…」
 心の準備がまだ出来ていないんだよアスカ。
僕は酸素の足りない金魚のように無様に口をパクパクとさせた。
頭の中まで真っ白。色々と準備してきたのに全部吹き飛んでしまった。
なのにアスカは睨むような目で僕の言葉を待っている。
「た……ただいま」
 必死に頭を回転させて出たのがそれだった。
もっと気の利いた言葉があるだろ。こういう時やっぱり駄目なんだ僕は。
「おかえり。早く入んなさいよ」
 半分パニックを起こしたような僕を見て、アスカは呆れたような微笑を浮かべた。
予定とは大分違っているけど結果オーライ、かな。


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