09/09/22 19:17:54
支援
ハラハラしながら待ちます
651:黄昏オレンジ
09/09/22 22:04:57
**********
「ここは…どこ?」
「…あなた、本当にそれでいいの?」
女の人の声が聞こえた。その声はかなり若かったと思う。
「誰!?だれなの?」
「私よ…」
そこには、同じくどこからか当てられているサーチライトに照らされた、蒼いショートヘアーに赤い瞳の少女がたっていた。身長はアタシと同じくらいだろうか。わりと細身だ。
「あなた…誰!?」
「…そう。あなたは記憶を無くしているんだったわね。記憶を戻してあげる」
少女はそう告げると、アタシの頭の中に様々な光景が蘇ってきた。
652:黄昏オレンジ
09/09/22 22:07:26
「…!!はっ!思い出した!アンタ…ファーストじゃない…!」
アタシはほとんど全ての記憶を取り戻した。エヴァの事も、今まで起こった事も、そして…シンジの事も。
そしてそこにいたのは紛れもなく、あの零号機パイロット、そしてファーストチルドレン、綾波レイであった。
ただ、なぜかカヲルのことだけはうまく思い出せなかった。
「そうだ、あの時の…あいつ…シンジじゃない!」
そう。あの病院で横にいたのはシンジだ。
あいつはアタシを心配してくれて…あいつのことだろう。今ごろはアタシを必死で…
ダメ!ここにいちゃいけない!早くあいつの元へ…
653:黄昏オレンジ
09/09/22 22:09:58
…いや、違う。あいつはあの時アタシを裏切ったのよ!アタシはカヲルが欲しいの!あんなやつなんか…
「セカンド…あなた…最低ね。悪いけど、あなたの考えていることは全てお見通しよ」
「えっ…」
「だから早く碇君の元に行きなさい!」
珍しくレイは怒っているようだった。そしてアタシの元に寄ってきた。
「いやよ!あんなやつなんか…」
その瞬間、バシンという大きな音が響いて、アタシの頬に痛みが走った。
654:黄昏オレンジ
09/09/22 22:11:45
「…!なにすんのよ!」
「あなたは碇君の苦しみを何一つ分かってない。それに…碇君のこと…好きじゃなかったの?」
「それは…」
「碇君はあなたのわがままをなんでもかんでも聞いてくれて、あなたのために尽くそうとした。受け入れてもらおうとした。それを私は知っているわ。
だけど、あなたはいつも碇君を責めてばっかりだった。碇君から逃げていた。
それでも、彼はあなたを選んだ。あなたと一緒にいたい事を望んだ。
カヲルに惹かれる時に思い出したでしょう?昔同じ様にあなたが碇君に惹かれていったことを。
あなたはそれを覚えているわよね?まさか忘れたなんて言わせないわ。
今だって彼は必死で探しているのに、あなたは…
それでもあなたは自分に嘘をつくの?」
一瞬いつもの癖でなにか言い返してやろうと思ったが、
レイのいつになく真剣になっている瞳を見て、レイが言った言葉が、一つ一つアタシの胸に深く突き刺さっていく。
それを全て踏まえた上で考えると、アタシはレイに返す言葉がなかった。
655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:13:02
支援
656:黄昏オレンジ
09/09/22 22:13:42
…うん。やっぱりあいつの元に戻ろう。
あいつはこんなバカなアタシを受け入れてくれたのに、アタシはあいつを受け入れて…ない。
今ごろだって…必死に…
シンジ、ごめんね…アンタの気持ち、そしてアタシの気持ち…やっと分かったの…
アタシはその場でうずくまり、大声で泣き出してしまった。
「早く碇君の元へ…でないと…あなたは後悔するわ…」
「うん…」
アタシは決めた。どんなことがあろうと、シンジを二度と手放すもんか!
シンジは悪くない!悪いのはアタシ自身よ…ごめんね…
そしてやっと…自分の気持ちに気付くことが出来た。
ありがとう…レイ。
657:黄昏オレンジ
09/09/22 22:15:23
「わかったのならいいわ。でも…」
「でも…?」
「最後にこんなことは言いたくないけれど…」
「なによ?」
何だろう。嫌な予感がする。そして、その予感は的中してしまう。
「残念だけど、碇君には死相が出てるわ…」
その言葉を聞いてアタシは愕然とした。
「嘘よ…嘘でしょ!?嘘って言いなさいよ!ねえってば!」
「ごめんなさい…私にはどうすることも出来ないの…」
「そんな…」
あいつに会えなくなるなんて嫌!せめてあいつが死ぬ前にアタシの想いを…
「レイ!早くアタシを現実に戻して!」
「分かったわ。ごめんなさい…」
そういうとアタシは現実に戻ることが出来た。
カヲルとのキスは直前で阻止されたようだ。
658:黄昏オレンジ
09/09/22 22:17:45
「カヲル…ごめん。やっぱりアタシ、待ってる人がいるから…」
「…そうかい。わかった。じゃあ気をつけてね」
「うん…」
名残惜しい…いや、違う。あいつが…あいつが待ってるから!アタシの本当の気持ちに気付くことが出来たから!
アタシが本当に求める人は…碇シンジ!アンタだけよ!
だから…今行くからね!シンジ!
アタシは玄関を勢いよく飛び出した。
659:黄昏オレンジ
09/09/22 22:19:12
**********
「ふぅ…アスカはやっと自分の気持ちに気付いたんだね。レイ、ありがとう。
でもね、アスカ…シンジ君は残念だけどもうすぐ…
幸せにね、アスカ…そしてシンジ君…」
「…カヲル…あなたの力でどうにか出来ないの?」
「君に無理なら僕にも無理さ…運命は非情だね…」
「そうね…これ以上悔しい事はないわ…」
「うん。だから、せめて絶対に次こそは…」
「ええ…」
アスカが見えなくなった後、カヲルはどこからか現れたレイと、こう呟いたという。
660:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:23:32
投下支援
661:マリン@marine
09/09/22 22:23:36
今日はこの辺で。
次回で完結します。ただ…いや、今は言わないでおきますw
ではまた。
支援して下さってる方ありがとうございます。
662:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:27:20
びみょうすぐる
663:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:57:13
CYOUKAIを思い出した
あれもこんなんばっかだった
664:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 23:54:21
しかしオリジナリティがないね
こんなのネットに腐るほどあるよ
665:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 23:59:01
そこはまぁ、こんだけネットに溢れてれば被るのは仕方ないから言ってもしゃーない
666:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 00:07:22
イタモノに厳しい評価がつくのは仕方ないし、十年も続いてるジャンルだしね。
読み手は自分好み以外の作品には徹底的に辛口だからあまり気にせず頑張って。
受けるネタもいいけど書きたいネタを書くのが一番だ。
667:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 00:45:45
記憶喪失にした意味がカヲルに惚れさせるだけとかw
しかもあっさり治るし、カヲルでも治せたっぽいのに放置してるし・・
んで、「…ダメだよ、アスカ」 カヲルww
久々に笑えました。
668:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 01:20:34
乙です!次、ブルーな展開が来そうですね…。
記憶が戻ってシンジへ一直線に向かうアスカもどうなることやら。
ただ他の意見にある通り、確かにカヲルの意図がよく分からなかったですね。
何故アスカとシンジが今まで踊らされてたのか…少し謎です。
669:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 01:24:40
フォローするほうも大変だな
670:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 01:30:15
オリジナリティがないのは仕方がないけど
作品の中でのキャラの動機と行動に筋が通っていない(リアリティがない)ところが多いのは、
そうすることで何かを伝えたいはずだろうと思うんだが、
それが結局何なのか、今のところはさっぱり分からない
最後まで読んだときに、「はあ。それで?」となってしまわないように、
次回は広げに広げた風呂敷がちゃんと畳まれることを希望しておこう
671:猫シンジ
09/09/23 07:43:01
夏祭り当日。今日もいい天気だ。
「あんたバカぁーっ! 一体何考えてんの!」
とまあ朝からハイテンションなのはアスカではなくミサトさん。
なにやら気合入れてお出かけ用の洋服を着たアスカが気に入らないご様子。
「祭りといえば法被か浴衣に決まってるでしょーがっ! あー、最近の若いもんは……」
「そんなの持ってるわけなーいじゃん。ねー、シジ」
「にゃーん!」
独系米国人のアスカには無茶な注文ですよミサトさん。
そりゃあ僕だって浴衣姿とか法被姿は見たいけど、今から用意するんじゃ間に合わないよ。
「ま、どうせそんなこったろうと思ったけどね。ちょっと待ちなさいよ。もうすぐ……」
ピンポーン! ピンポーン!
「ほーら来た来たー! いらっしゃーい! 待ってたわよーん!」
何なのこのハイテンション。今朝はまだ飲んでないはずなのに。
祭りがこんなに人を変えるものだったなんて僕は知らなかったよ。
出迎えられたのは綾波だった。何か大きな紙袋を持っている。
この展開で行くと中身はやっぱり……
「これ、赤木博士から」
「サンキュー! ちゃんと三人分ね、これで勝利は貰ったも同然よ!」
何に勝つんですか何に。
案の定、紙袋からはカラフルな浴衣が出てきた。
白地に赤のネルフロゴ模様、それから青地に黄色のネルフロゴ模様の二着だ。
なんて自己主張の激しい非公開組織なんだろう。父さんの趣味だろうか?
672:猫シンジ
09/09/23 07:43:45
「あたし赤いの、もーらった!」
「じゃあレイは青い方ね」
「私は別に……」
「レイ、これは命令よ。浴衣を着て夏祭りを堪能しなさい!」
「……命令なら従います」
「何この茶番……ばっかみたい」
お祭りくらいみんなで普通に楽しもうよ。
アスカだって一人で行くより綾波と一緒の方が楽しめる、よね?
「さーて、ちゃっちゃと着付けしたげるから脱いだ脱いだ」
おおお! こ、これは思ってもいなかったサプライズ!
アスカだけでなく綾波の着替えまで………って、あれれ?
「あんたはこっち。一応シンジなんだし」
ヒョイッ……テクテク……ポイッ……ピシャッ!!
一応シンジ扱いされた僕は隣の部屋に放り込まれて襖を閉められてしまった。
くぅー、子猫の力じゃ襖は開けられないよ。
でも覗きはいけないことだから大人しく黄昏て待つさ。
うん、僕は清く正しい青少年だしね。別に着替えなんて……
「あら、レイって見た目よりおっぱい大きいのねー」
「ええー、あたしの方が大きいに決まってるじゃない……ってりゃ!」
「ひゃっ! あ、あの、その…」
「うーん、思ったよりもボリュームあるわね。肌もスベスベだし」
「どれどれ私にも……本当に凄いスベスベしてる。綺麗な肌ー!」
開け開け開け開け、ここで開かなきゃもうこんなチャンスはないんだ。
だから、開いてよ――!!!
「にゃおぉ――ん!」
………現実は非情だ。
673:猫シンジ
09/09/23 07:45:41
僕的に長い時を妄想で過ごした後、ジェリコの壁が開らかれた。
浴衣姿のアスカが僕の前でしなっとポーズを取る。
「どう? 似合うかしら」
いい! 凄くいい! 日本人とかけ離れた二人の外見に浴衣が実にマッチしていてる。
特にアスカはお転婆さが微塵も感じられないほど清楚だ。
きっと和服美人がみんな大和撫子に見えるのと同じ原理なんだろうね。にゃんにゃん。
「はいはいありがとー。あんたも着替えましょうねー」
リビングで僕を待っていたのは超小型、子猫サイズの法被だ。
前足を通してお腹で紐を結わえる。おまけに髪留め用ゴムで作った捻り鉢巻を付けて完成。
背中にはネルフのロゴが入っていた。ホント自己主張の激しい組織だね。
「きゃー、シジ可愛いー!」
「うわ、凄い破壊力。でもよくこんな物が用意できたわね」
「赤木博士が『こんなこともあろうかと前々から作って置いたのよ!』って……」
どんな事態を想定していたんだよリツコさん。呆れてものが言えないよ。
「ほらほらファースト、見て見て可愛いー! 抱いてみる? 抱いてみる?」
「え……うん………可愛い///」
「でしょでしょー! もう最高ー! 今日ばっかりはリツコの趣味を見直したわ!」
リツコさん、僕も今日は素直に感謝しときます。
女の子に引っ張りだこにされるなんて初めての経験だな。
凄く嬉しい半面、僕としてではなく猫としてばかりアスカや綾波に好かれるのが少し悔しい。
でもアスカがすっかり元気になったからいいか。
「はい二人とも、お小遣い。夜店じゃカードは使えないから計画的に」
千円札は数枚、百円五百円を大量に。ミサトさん、そこまで本格的にしなくても。
「んじゃー、私は先に車で出るから、夜道は気をつけて来なさいよ!」
「はーい!」「了解……」「にゃーん!」
準備万端! さあ、お祭りだ!
<つづく?>
674:猫シンジ
09/09/23 07:47:08
綾波を出そうか散々迷って結局投入。
小出しというか小ネタしか続かないというか。
最近LASっぽくなくなってる気がしますが多分気のせいではありませんw
675:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 10:15:10
つまんね。飽きた
676:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 10:37:40
乙です!!
677:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 11:47:32
投下乙。
はっぴを着た猫というと学ランを着たナメ猫を思い出すw
でも劇中のネルフグッズって本当に誰が何のために作ってたのか謎だw
ほのぼの系は小出しでも安心感があっていいや。
シリアスで短く切られるとヤキモキするけど。
678:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 13:03:33
GJです!
>>677
あるあるwシリアスの小出しはヤキモキするね
679:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 15:46:47
はしゃいでるアスカが普通の女子中学生みたいでワロタw
680:543
09/09/24 01:00:11
皆様ごきげんよう。
レスくだすった皆さんありがとうございます。前回は10レス規制に泡食い
ましたw
連休終わりましたが、多分このヘタレ気味のアスカのお話は今回含めて
あと3回に分けての投下となります。
自転車乗れないアスカってあんまし想像できませんが、訓練や演習の
毎日で、しかも優先度高いメニューが目白押し……
ってなると存外そういうこともあるかなあって思いでの設定な次第。
今回はそれ以上に「えぇーー」な感じなので、
エンジョイ・アンド・エキサイティングな作品好きな人、水際に立つと転落
しちゃう習性のあるある蝕の生き残りみたいな人向けのNGワード
空を見上げて
で、御願いします。
681:空を見上げて
09/09/24 01:01:26
*
オールを漕ぐリズミカルな音がするたびに、体はわずかに後に引っ張られる。
静かな水面に波が立ち、波紋はやがて曖昧になって水面に吸い込まれていった。
飽きもせずその様を眺めて、舷側に頬杖ついて呆けているのが心地いい。
「アスカも漕いでみる?結構楽しいよ」
「いい、めんどい」
そんな楽しそうに漕いでいるの、邪魔するなんて悪いじゃないの。
それにこうやって外で二人だけの時間を満喫するのも、そうそうある機会では
ない。
「ふぅ、ちょっと休憩」
「そんなに漕ぐの楽しい?」
「うん、乗り場のおじさんに教えてもらった通りにしたら結構巧く漕げたよ。でも
掌にマメができるかも」
「マメ?」
「ほら、普段やらないことすると掌とか足とかに水ぶくれみたいなのできるやつ」
「あぁ、アレね……」
実際何の話しか判ってなかったけど、どうでも良さそうな話だったので適当に
合わせた。
シンジの鞄を枕にして船底に寝そべる。
せり上がった舷側の向こうに広がる空を、二羽の雲雀が賑やかに横切っていった。
「結構いいもんね、ボートって」
「そうだね、湖の上から富士山見るの、凄く新鮮だな」
「日本人って、本当に富士山好きよね……」
不思議に思う以上に呆れる位に、日本人は折に触れて富士山をふと眺める。
「ただの山に何があるってのよ」
「そう言われると困るけど……今日も富士山は富士山だなって、たぶん、そんな
感じかな」
「何それ?訳わかんないわよ。山が一日二日で変わったりするわけ無いじゃない」
「そうなんだろうけど、何て言うんだろ?変わらないでずっとそこにあるから、
安心しちゃうのかも。それに、日本人なら説明抜きで判っちゃうから……かな?」
682:空を見上げて
09/09/24 01:04:03
「そんなの、私にはわかんないわよ……」
『日本人には』とか言う台詞は、私には聞きたくない類の話だ。
どことなく一線を引かれて、内輪で話しているグループに無理矢理混ざる感覚。
向こうもこっちも違和感を感じてよそよそしく気遣ったふりをする、興の乗らない
交流。
その上ドライで個人主義的な価値観が染み付いた私にすれば、気遣いだとか情緒
だとかいった話し方や接し方をされると、対応に戸惑う。
「あ、そっか。んー、アスカ日本語巧いから、なんか当たり前に話しちゃって
るのかも。でも、これ日本人じゃないとわかんない感覚なのかな?」
「一から十まで日本人の感覚よ。」
その知らない世界が不快で受け入れられないものだったら、どんなに良かったか……
閉じていた世界をこじ開けたのは、目の前のシンジとミサトだった。
広がった世界をえこひいきが掻き回し、ヒカリが私の手を引いている。
なおかつオールの漕ぎ手は、四六時中私の価値観や考え方を揺さぶり続ける。
一人でいることが当たり前だった私の世界は、一人の時間を持て余し、他人の
影を追いまわす時間が確実に増えている。
一体私は、人に構ってもらってどんなものを求めているというのか……
『やめたやめた!らしくないわねアスカ、ここはやりたいように楽しめばそれで
いい。そうじゃない?』
帽子の鍔を直しながら立ち上がり、いつもの式波アスカに戻るために一芝居
打つ事にした。
「シンジ、タイタニックごっこやろうよ」
「へ?」
いきなりの展開にシンジはついてきていない。その頓狂な顔は私の嗜虐心を
煽り、行動に駆り立てる。
「ディカプリオみたいにいいとこ見せてよ!」
「や、やめなよアスカ危ないって」
683:空を見上げて
09/09/24 01:06:54
いつもの消極的な制止と侮って、私は少し大げさにシンジを見据える。
「平気よこんなの。パイロットやってればこのくらいの平衡感覚自然に身に…」
「だからあぶな…」
慌てたシンジも腰を浮かし、あまつ私は無警戒に狭いボートを闊歩していた。
一方向に体重をかけたのがいけなかった。瞬時に小さなボートはそれでバランス
が崩れる。それをカバーしようとしてもう片方に体重移動したのも、シンジと
ほぼ同時だった。
結果はさっきよりも倍の加速度でボートの舷側が水面に近付くことになる。
姿勢が低かったせいもあり、辛うじて踏みとどまったシンジをスローモーション
で見ながら、私は水面に放り出された。
世界がひっくり返り、LCLとはまるで違う冷たい水が体を包んだ。
重力に従って沈む体を、必死にもがいて這い上がる。
掴み所なく自由の利かない。空気がない恐怖と混乱が瞬時に体を襲った。
息を吸い込もうとして思いきり水をのみこんで、私のパニックは更に悪化
する。
後ろから抱きつかれた両腕が、暗い水底に引きずり込むように錯覚して、
必死にもがいた。
「………スカ、アスカ!アスカッ!」
「やだぁぁ!…すけて、たす…て」
「アスカ落ち着いて、大丈夫、大丈夫だから…あてっ!肘撃ちやめてっ!」
何とか背中の悪魔は引き剥がしたと思ったら、今度は一人で浮いていられず
また沈みはじめた。
「…がぼっ」
半分意識が吹き飛んだ状態で誰かに体を半回転させられて、更に水を飲んだ
ときに水の中からやっと解放された。
咳き込む私の左耳に、落ち着いた大好きな声が響く。
「もう大丈夫だから!アスカ」
その声はそれまでの混乱と恐怖を、砂浜に水が染み込むように落ち着かせた。
「シン…っけん…ジ?」
「もう大丈夫だよ。大丈夫」
684:空を見上げて
09/09/24 01:09:35
この時になってやっと、悪魔はシンジだったことと、連れ去るのでなく助けて
くれていることを理解できた。
安心感はさっきまでの恐怖を一気に涙腺まで駆け抜ける。私はシンジに必死で
しがみついて、むせながらしゃくり上げた。
「アスカは何も心配しなくていいからね」
「ぅん」
「ホラ、ちゃんと掴んでると大丈夫だろ?」
「うん、だいじょ…ぇほ…ぶ」
そうやってシンジはずっと耳元で囁き続けながら、固く廻した私の腕を解いて
ボートの舷側を掴ませる。
「ここで待ってて」
解いたもう片方の手を掴んでそう言うと、シンジは私の傍から離れようとする。
「やだ、やだ、ここにいて!」
離そうとする手を必死に掴み返して、私は心の底から懇願した。
根拠のない不安がなりふり構わず私を突き動かす。意味もなく何もかも失う
という狂騒が頭の中を覆っていた。
困惑したシンジはどうしたものか逡巡していたけど、掴んだ私の手を優しく
握り返し、諭すように語りかけた。
「わかったよ……。じゃあアスカ、先にボートに上がってくれる?」
泣いて震えてしゃくり上げながら、私は頷いた。
シンジに支えられて両腕で舷側にしがみつき、不恰好に片足を掛け、やっと
の事でボートの中に転がり込む。
私は無様に泣き続け、シンジを言われるがままに引き上げると、うろたえる
シンジに構わず抱きついた。
「アス……」
「うぁ、うぁぁぁぁん……」
泣きやまない私の背中におっかなびっくりでシンジの腕が廻される。
何も考えることもせず、不思議な安心感に包まれて体重をシンジに預けた。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ……」
耳下で囁くシンジの声は、暗示のように私の心を次第に平静に導く……
685:空を見上げて
09/09/24 01:12:08
差し出す手を優しく包む存在なんて、今まで無かった。
その優しさに救われ、癒される。
安堵と平静を取り返し、理性が回復するにしたがって、皮肉にも私は
私自身に追い詰められてしまう……
泣き止んで膝を抱えて縮こまる私を、シンジは無碍にすることなく、
桟橋に引き返すためにオールを漕ぐ。
桟橋に舟を正確に寄せて、シンジがボートから飛び移る。シンジに促さ
れて私も陸に上がり、やっと不安定な足元から解放された。
「アスカ、タオル貰う?」
「……」
水上の不安定な感覚がまだ抜き去れなくて、体が時々傾いた。
『もう沢山。もう嫌。何もかも私に構わないで!』
真っ黒な感情の塊が私を覆い尽くし、人の意見を受け入れる余裕を無く
してしまっていた。
「アス……」
「帰る」
「でも、濡れたまんまだと…」
「帰る!もう帰るの!こんなの嫌!もう沢山!帰るったら帰るの!」
感情の爆発ってこう言うものなんだろうなと思う。無様だろうとカッコ
悪かろうとどうでも良かった。ただひたすらに今の自分から逃げたかった。
後々、八つ当たりされるシンジには本当に悪いと思ったけど、この時は
全く自分をコントロールできなくなっていた。
ここで叫んでいる自分は一体誰なのか、解らない不安にただ襲われて私は
怯えていた……
686:空を見上げて
09/09/24 01:18:17
自分でもなんでここまで醜態をさらしてしまったのか理解できない。
自転車に乗れない、我侭しか言わない、好き勝手しかしない、泳げない、
その上ヘマをして泣いて縋ってばかり。
こんな情けないのは一体誰だろう?激しい自己嫌悪と無力感。けれども
こんなおバカに律儀に付き合ってくれるシンジ――
依存してしまいそうだ……
その答えが私を戦慄させる。
エヴァのパイロットになるまでの競争の日々は、他人への依存や期待を
否定する毎日だった。
心を許してはいけない。好意を素直に受け取ってはいけない。出し抜か
れてはいけない。弱みを晒してはいけない。同情してはいけない。無意味に
敵を作ってはいけない。義務に従順でなくてはいけない。期待を裏切っては
いけない……
それは大きな私の蹄鉄でもあり、私を支える力でもあった。
使徒に見え、いろんな人に出会い、私の中身は大きく変わり続ける。望む、
望まないなんて事は関係もなく。
変わってゆく私は、誰?
一番最初に望まれた姿を失ってゆく私は許されるの?
願望と猜疑、期待と恐慌が交錯する心の中を、何の打算も衒いもなく、
シンジがしっかり掴んでいる。
今、このときも、自分ひとりで積み重ねたものと、静かな顔で私の我が侭
を見つめる目が私の心の支えだった。
でも私は、二つの支えに折り合いがつけられない……
つづく!
687:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 02:50:21
>>686
GJです!こういう感じのアスカも好きだ
688:マリン@marine
09/09/24 08:35:07
>>659の続き投下します。
・完結するはず
・一部グロ描写あり
・イタモノ注意
NGワード 黄昏オレンジ
689:黄昏オレンジ
09/09/24 08:37:10
**********
…アタシは走った。必死に走った。記憶を辿って病院に戻ろうとした。
病院へ戻る途中、アタシは大きな交差点に差し掛かって、ふと先を見ると、夕陽を背にした横断歩道の向こうに…シンジはいた。
人は割と多かったが、そんなの関係なしとばかりにアタシは思い切りあいつの名前を叫んだ。
「シンジぃ!」
「…!アスカ!」
シンジ…やっと…アタシ…自分の気持ちに…
シンジは横断歩道を渡ってアタシに駆け寄ってきた。やっと…やっと…
しかし、会えた喜びもつかの間。次の瞬間アタシはどん底につき落とされることになる。
690:黄昏オレンジ
09/09/24 08:38:01
**********
アタシの目の前でドゴーンという大きな音を残して、シンジの姿は見えなくなった。
「え…シンジ…?シンジ!」
―アスカのその問い掛けに対して、シンジの返事が聞こえる事は…二度となかった―
シンジは赤信号を無視してきた4tトラックに跳ねられて30m以上飛ばされ、ドンと言う鈍い音を響かせながら…アスカがいる方の歩道に叩きつけられた。
アタシは急いでシンジに駆け寄った。…反応はない。
良く見ると、シンジの体にはすり傷が無数にあり、あちこちからどす黒い血が流れ出している。
さらに右腕は肘から先が逆に折れ曲がり、左膝の一部からは骨らしきものが見え、その左足はあからさまに折れていることが確認できた。
そんな状況の中、アタシは泣き叫びたい気持ちをなんとか抑え、平常心を保ちながら、すぐにシンジの脈拍を確認した。
脈は…かろうじてある!が、呼吸はかなり弱々しい。
691:黄昏オレンジ
09/09/24 08:41:08
偶然通りがかった通行人の1人が救急車を呼んでくれた。そして救急車がきて病院に運ばれ、シンジはすぐに集中治療室に移された。
その手術中、アタシは祈った。とにかく祈った。お願い…シンジ…死なないで…
アスカには、もうシンジを恨む気持ちなど微塵もなかった。
使徒戦の時のことも、そしてサードインパクトの時のことも、全て…忘れていた。
…それから何時間たっただろうか。何やら扉の向こうから騒がしい声が聞こえてきた。そして、ふっと手術中のランプが消えた。
その後、集中治療室からぞろぞろと数人の医師が出てきた。その顔は…皆、俯いて見えなかった。
まさか…
「あの…シンジは…」
「手は尽くしました…しかし残念ですが彼は…出血多量によりお亡くなりになりました…」
「そんな…シンジ…イヤァァァァ!」
その場でアタシは泣き崩れた。アタシは…シンジに想いを伝えることが出来なかった。
692:黄昏オレンジ
09/09/24 08:42:37
アタシがこんなバカだったばっかりに…
シンジが死んだのなら…アタシはここにいる意味はない。いっそのことアタシも…
シンジ…今すぐに想いを伝えに行くからね…どこまでも付きまとってやるんだから!
そう思ったアタシは顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、無我夢中で屋上へ走った。そしてフェンスを乗り越え、シンジのあとを追うようにして…屋上から飛び降りた。
「シンジ、今そっちに行くからね…」
飛び降りた数秒後、アスカは頭から地面に叩きつけられ、その場で即死した。
―数日後、ネルフ関係者の意向により葬式は密葬で行われ、2人の遺骨は同じお墓に納められた。
2人は最悪の形ではあったが…永遠に…共に過ごせることとなった―
693:黄昏オレンジ
09/09/24 08:43:58
**********
納骨の一週間後、2人のお墓の前には、夕陽を背にお線香をあげる銀髪で赤い瞳の少年と、蒼いショートヘアーに同じく赤い瞳の少女の姿があった。
そしてその少年はこう呟いたという。
「黄昏…お別れ…か。
ごめんね…2人とも…僕の力がないばかりに…守ることが出来なかった…
だからね…これだけは絶対に約束する。
今度こそ君達だけは…幸せにしてみせるよ…」と。
もうすぐ夜が来る…
THE END
694:マリン@marine
09/09/24 08:47:37
後書き
全体的に描写が足りませんでした。後々自分で読み直したら何だかよく分からない意味不なストーリーになってました。
カヲルを出したのは最後の場面と、レイとの絡みにもっていきやすいかな、と思ってオリキャラとかよりはカヲルの方がいいと思ってカヲルにしました。
最後のは一応、新劇のこれからの展開に何かしらの希望をもって書いたつもりです。…というかこれが一番書きたかった。
イタモノは思ったよりかなり難しいですね。
まだまだ自分の努力不足でした。ROMに戻ります。つまらない上にクソですみません。
広げた風呂敷も完全には畳めなかった…
読んで下さった方ありがとうございました。
695:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 09:50:16
/|:::::::::::::::::::::ヽ.:.:.:.:、:.:.:.:、:.:.:.、.:.、.:.:.:.:.:.::`゛>
/{::|:\:::::::\.:.:.:\.:.:.ヽ::.::.ヽ:.:.ヽ::::::::::.:.`゛ー- ..,__
: 何 : /:|::',:ト、::::::ヽ、:.\:.:.:.\:.:.ヽ:.:.:\.:.:.:.:.:::.:.:.:.:::.::::_;:-'´ : : :
: が : //:/:::|::',|::'、:::::::::\:.:\.:.:.ヽ:.:.:\:.:..\::::::::::::\、::::\ : : :
: 何 : /!::|::l::::/|:::l:ヽ:\::ヽ:.:\:.:\.:::ヽ:.:.:ヽ:.:.:.:\::::::::::::\ ̄ : : :
: だ : |/l::|::|::|:ト、:::::::::、、:ヽ、:.:.:.:::::::::::::::ヽ::::.:ヽ:.:.:.:.\:.:.:.ヽ:::\. : : :
: か : |::|::/l::|::|r‐ヽ:::::ヽ(ヽー,―\::::::、::::::::::ヽ::.:.::::::.:::::::ヾ. ̄ : : :
: : }//l::|:::|{(:::)ヾ、:::ヽ \!(:::) ヽ,:::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ、 : : :
: わ :. |/l::|::|:::|ヽ==''" \:ヽ、ヽ=='" |:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、::::\
か / ',|::|:::| / `゛ |!::::::::::::::::::::::::::::ト、::ト、_` ゛`
ら l::!::::ト、 '、 _ ||::::::::::::::::::::::::ト:ヽヾ| | ̄ ̄ ̄`ヽ、
な r'"´||',::::', |:::::/l:::::|\:::ト、ヾ | | / / \
い / ll ',::', 、 ーこニ=- /!::/ ヽ:::| ヾ、 ノ ノ / ,イ ヽ、
,' | '、:, \ -- ,. '´ |;' l ヾ、. // / | l: l
| |! ヽ; ヽ /.: i! / ゛// |l / | | |
696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 10:20:31
>>686
乙!続き待ってる!
泳げないとは…まぁそんなアスカも有かなw
697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:17:33
マリンさん乙でした!
またお待ちしとります
698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:35:49
>>694
乙でした。うーん…イタいだけの内容でしたね。
切なさとかの描写が無いのが少し寂しかったかな。
アスカとシンジの絡みが少なかっですしね、次作では絡んでほしいです!
ところで前作でもシンジ君ハネられましたよね、思わず「また!?」って言ってしまいました。
699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:41:46
>>694
自己陶酔作者の書くシリアスのテンプレみたいで
作者の妄想にエヴァキャラのお面をかぶった登場人物
が出ているだけな内容。
正直、登場人物にキャラクターを感じないんだが。
700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:52:13
>>694 感情表現が足りない。カヲルが微妙すぐる
あと、オチがあんまり面白くなかった
次はがんばれ
701:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 13:17:02
つーか、アスカがカヲルに惚れて、シンジとアスカが絡まずに両方死ぬだけの話に、
LASとしてどんな魅力があるのか誰か教えて欲しい
702:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 13:54:46
アスカをカヲルに惚れさせたのはシンジへの思いを強調させるためだろ?
703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 13:55:50
なんの強調にもなってないけど
まぁカヲルに惚れるアスカはLASのお約束みたいなもの
704:マリン@marine
09/09/24 14:24:54
なんかもう言葉がないです。
下手すぎて申し訳ない。
1から出直してきます。
すみません…
705:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 14:29:30
まぁそう変な風に落ち込むなw
この失敗を次に活かせばおkなのさ
新作できたらまた投下してくれな
706:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 15:02:34
>>703 お約束でもないだろ
っかカヲルとアスカが絡らむLASはつまんないと思うw
>>704 がんばれ。
707:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 15:46:15
>>703
スペック的に勝ち目の無い・普通ならこっちを選ぶだろっていうイケメンとヒロインがいい雰囲気になって、
でも最終的には主人公の男を選ぶことで、ヒロインの想いを強調したり、
男側に感情移入する読者の自尊心を満たす
これは古くからラブコメのお約束
708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 17:45:36
けどシンジのスペックもかなり高いし、普通ならそこらにいないぐらいの男だしなあ
709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:04:27
708がそう思っても、大半の書き手はそう思わないってことじゃね
710:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:06:37
>>706
カヲル以上にレイが絡むと大抵ろくなことにならない
下手に可哀想な扱いにするとレイ好きから怒られる
扱いをよくするとLARS寄りになって微妙な感じがしてくる
レイのキャラが崩壊してる場合が多いのもダメな点
レイを出してうまくいったLASなんてほとんどない気がする
711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:22:20
>>710 そうかなぁ
レイが二人の関係をひきたてる事もあると思うよ
書き手次第だと思う
712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:23:53
>>709
シンジは可愛い系だから受け身のイメージがあって、女の扱いが上手くなさそう…というのもあるんだろうね
まあカヲルが女の扱い上手いかは知らないけど、シンジを転がした前科があるしなw
713:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:24:02
レイもカヲルも出演は別に良いんだが
矢印を勝手に変えると違和感バリバリで大抵は駄作になるな
714:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:25:09
同時スタートだったら、シンジはまずカヲルには勝てないっしょ
715:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:27:58
>>704
何はともあれ頑張れ~
作風見てると、ほのぼのしたのの方が似合いそうですね
でも結局は自分の好きなものを書くのが一番ですねw
716:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:33:18
>>714 それはわからんよ
シンジは何のアプローチもしなかったのにアスカあれだぞw
717:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:34:48
>>712
その割には気になる子には積極的に話しかけるし一途なやつなんだよな
イメージに捕らわれすぎてる気がす
冷静にスペック並べたらシンジに勝てるやつなんてほとんどいないし
718:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:35:52
>>714
シンジの上位互換みたいな存在だからな
最初からカヲルがいたら勝ち目は無い
そのカヲルじゃなくてシンジを選ぶことで、
それまでに築いておいた絆の強さが強調されるっていう仕組みが一つのパターン
719:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:38:38
上のマリンさんのとか、米どころ氏の作品とかがそのタイプだな
720:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:39:33
投下待ち
721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:40:01
コミュニケーションスキルのあるシンジって感じなのがカヲルだけど、ガチホモはガチでシンジが好きだしなぁ
しかも、シンジ以外には変なやつ扱いされてる
書き手にとっての便利屋なのは間違いないが…
722:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:42:41
>ガチでシンジが好き
だからまぁ、もしシンジじゃなくてアスカに親切にしたら・・・ orz
という場合の妄想として生まれるんだろうな
723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:44:42
でも最初からカヲルがいたら持ってかれるって点に関しては、別にアスカじゃなくても同じだべ
レイとかだってあっちに行ってカヲルハーレムになるだけ
724:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:51:02
それは無いだろw
シンジを過小評価しすぎ
725:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:55:35
ていうかカヲルがチートすぎ
726:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:58:03
シンジと似たアスカならカヲル効果は効くと思うが、レイは違うだろ
ミサトもうさんくさがってたし
727:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:59:52
他の男が絡むのは肉体関係なければ許容範囲だけど、カヲルが絡むのは違和感ありすぎてな
シンジよりアスカを選ぶってのが想像つかないし
728:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:03:10
そう言ったらカヲル効果はミサトにも効くでしょ
矛先がシンジだから胡散臭いヤツと感じる
アスカの場合も同じくだと思うがな
729:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:04:35
>>726
女の子といってもレイは特殊だから参考にならないわな
730:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:07:15
LASの間じゃカヲルってどういうキャラだと思われてんの?
個人的にはアニメキャラとしての人気は高くても実際にモテるとも思わないんだが
だって明らか変なひとだろ(アンチじゃない)
731:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:08:16
>>730
少なくともシリアスなFF見る限り、一般的な魅力においてシンジが勝てる相手じゃない
とは思われてる
732:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:09:58
それ別にLAS限定でもないだろ
LASだけに押し付けられても困る
733:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:11:26
やっぱりシンジはアスカと釣り合わないって思ってる部分がLAS人の中であるんじゃないか
シンジアンチじゃないよ
734:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:12:20
釣り合うとか…考えた事もないがw
735:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:14:17
いや、正直に言えば、イメージとしてあるのは事実でしょ
少なくとも、LASを書いてる人達の間では浸透してると思う
おすLASスレで人気が高い作品や作家だってそうだし
736:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:15:51
LMSではミサトに加持が
LRSではレイにゲンドウが
LASではアスカにカヲルが
適当な恋敵役として絡む
まあ冷静に考えれば何でカヲル???って不思議だけど
737:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:16:08
それお前の中だけの話だろw
スペックとか関係ないし、ましてや中学生にw
738:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:16:52
実はアスカがシンジに釣り合わないと言う
739:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:17:52
上二つと違って本編の絡み無いのになw
アスカ>シンジってのがまずあって、じゃあアスカに釣り合う男が登場するという想像が広がって、
そこでカヲル≧アスカ>シンジってのもあるからカヲルが使われる
という感じじゃなかろうか
740:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:18:58
>>737
「アスカ シンジ 釣り合い」とかで検索してみれば分かる
勝手に言ってるわけじゃなくて、事実そういうLASが多いよというだけ
741:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:19:35
LAS好きって
この2人の掛け合いとかが好きなんじゃないの?
テレビ版中期の頃とかがさ
外見的な問題とかでも無いでしょ。
ましてやそういう意味で釣り合いとか俺も考えた事も無い
742:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:23:03
>>736
シンジが転がされたみたいに、カヲルだとアスカが簡単に転がされそうってイメージがあるからでは
743:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:23:20
と・・・投下待ちだぜ?
744:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:28:46
>>695-743
黙って投下を待つのだ馬鹿者が!
745:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:31:05
>>742
いや、冷静に考えるとカヲルがシンジから女を寝取る訳ねーじゃんって意味で
746:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:34:15
そこは「カヲルがアスカに目を向けたら」のifってことじゃね
所詮二次創作だし、オリジナルな部分に文句言っても仕方ないし
だから投下待とうぜ
747:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 19:48:20
カヲルがホモだから助かってるのはどのカプも同じ
748:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 20:05:21
シンジさんならカヲルなんて小指ひとつで
749:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 20:08:45
>>747
それこそやっぱシンジを過小評価してるとしか
シンジはカヲルにはかなわないっつう前提があるんだろな
750:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 20:10:58
カヲルに優しくされても他の男選びそうなのって、
女王ユイさんしか思いつかぬ
751:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 20:11:20
男にして包み込むような母性を感じるからな
シンジを過小評価とかではなく、あれは別物
752:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 20:12:33
ここ小説投下スレだよね?
753:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 20:13:57
です
754:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 20:32:06
>>749
それは仕方ないつーか、LAS小説内ですら客観評価では敵わないのがデフォだしな
ギャグホモ化してるのを除けば、その逆なんて見たこともない
ま、どうせ本編ではガチホモだからアスカに手は出さんよ
755:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 21:18:53
シンジがしょぼいなんてのは暗黙の了解だから
わざわざ言うことでもない
756:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 21:20:44
冷静になれ
本人に自身が無いだけで、かなりのハイスペックだぞ>シンジ
757:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 21:33:41
755のはただのアンチシンジだろjk・・・
しょぼいと解してるSS作家が多いことや、
ましてやカヲルと女奪い合ったら本来絶対勝てないと思われてるからこそ
かえって当て馬や寝取り役にカヲルが使われるのも、
それはそれで事実だろうけど
758:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 21:46:25
どこがハイスペックなんだよ
それにシンジが一番気持ち悪いところは性格だからな
あんなネクラがもてるわけないだろ
759:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 21:47:18
な?言ったとおりだったろ
760:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 21:52:44
なんでトウケツがこんなところにまでw
761:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 22:15:00
まあでもLASの主流を見てるとシンジがショボイと思われてるのは間違いない
762:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 22:22:53
LASでショボイのはアスカじゃないの?
763:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 22:29:06
LAS小説ってシンジがアスカにふられて
「僕が全面的に悪かったんだ!」みたいなのばっかじゃん
しょぼいと思ってなかったらこの扱いは無いわな
764:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 22:55:29
今さっきこのスレで自分を追い込んで自殺しちゃうアスカの話を見たとこなんだけどね
そもそもフラれてたらLASじゃないしね
765:三つの願い
09/09/24 23:10:36
何となく思いついたので書いてみたんで、空気を読まずに投下するぜ。
カヲルとマリが登場するLASが嫌いな方は
NGワード:三つの願い
766:三つの願い
09/09/24 23:11:25
よくよく考えれば、事の発端は帰り道で拾った妙な眼鏡だった。
「何でこんなの拾ってきちゃったんだろ?」
値打ち物とも思えない古ぼけた赤縁地眼鏡。
何故か部屋まで持って帰ってきた上に磨いてしまったのが間違いだった。
キュッキュッキュッ……ボワワワーン!!
「呼ばれて飛び出てジャジャジャ―……ごふっ!」
何だか変なのが出てきたので驚いて反射的にボディーブローを入れた。
チェックのスカートに夏服のようなシャツ、長髪に赤眼鏡で全長30cmほどのよく出来た人形。
またリツコが変な発明でもして捨てたのか? それとも新種の使徒か?
私は眉を潜めてベッドの上で悶絶しているソレに問いかけた。
「あんた何よ?」
「ま、迷える子羊の願いを叶える天使マリイラストリアスエルちゃんでーす!!」
思わず窓から投げ捨てたくなるほど胡散臭い笑顔だ。
「眼鏡の封印を解いてくれたお礼に三つの願いを叶えてあげちゃうよー!」
「出、て、け!」
「うわ、即答? そこは空気読もうよ。つーかちゃんと三つ叶えないと私も困るんだってば」
「ノルマをこなさないと次の犠牲者の所へ行けないってヤツ?」
「そう、それ」
そうかそうか犠牲者か。
「あっそう。勝手に困ってなさいよ」
下も確認せずに窓から投げ捨てた。春先でもないけど常夏だとああいうのが増えて困る。
「そう言わないでさ。魔法の理論の力『マリ力(―ちから)』で恋の願いもバッチリよん」
「はっ、バカバカしい……」
ここで少し窓から這い上がってきたコイツに興味を持ってしまったのが失敗だった。
767:三つの願い
09/09/24 23:12:07
「だったらバカシンジにす……『好きだ』とか『愛してる』とか言わせて見なさいよ」
くだらないと思いつつ、絶対にアイツが言いそうにないことを指定してみた。
本当は心のどこかにそういう言葉を言わせたいという願望があったのかもしれない。
「お安い御用のパーペキじゃん。アカマキナミアオマキナミキマキナミ~~」
マリイラストリアスエル(面倒なので以下マリ)がブツブツと妖しげな呪文を唱え始めた。
どこからか取り出したステッキを振りながら人形サイズで踊っている姿は中々可愛い。
「――ガイナッタッチでバカシンジに『好きだ』とか『愛してる』とか言わせちゃえー!!」
「バカ、声が大きい!!」
「大丈夫大丈夫。私の姿は業界関係者か犠牲者にしか見えないから」
そういう問題じゃない! 好きとか愛してるとか恥ずかしい事を声に出すなっての!
全くデリカシーの無い。こんな奴、やっぱ信用なんてできるわけ―
コンコン……
『アスカ、ちょっといい?』
にゃんですとー!? いや待て私。そろそろ夕飯だと呼びに来ただけに違いない。
こんなマリ力とか願い事なんて現実に起こる分けないでしょ。自然体、自然体。
大急ぎでメイクと服の乱れをチェック、良し! 深呼吸、スーハースーハー……
「な、何かしら」
「アスカ、好きだとか愛してる……」
「ななななに言ってんのよ急に!!!!!」
ええと、これはつまり、あれね。あああああ愛の告白といやつなのではわわわわ。
静まれ私の心臓、落ち着け私。これは当然の結果であってむしろ遅すぎたくらいで―
「とかってドイツ語でなんて言うか教えて欲しいんだ。英語だとライクとラブだよね?」
「は……?」
シンジの手にクロスワードパズルの本を目視で確認。
そんなこったろうと思ったけど。寿命が一年は縮まったわよ!! この胸のトキメキを返せ!!
「自分で調べなさいよ!! このバカシンジッ!!」
と怒鳴りながらも独和辞典を叩きつけてビンタ2発で許してあげた。私ってホント優しいわ。
768:三つの願い
09/09/24 23:12:51
「うふぷぷぷ。どう? 好きとだか愛してるとか言って貰えたでしょ?」
ベッドの上でマリが腹を抱えて大爆笑している。
あんまりお腹が痛そうなので肘を鳩尾に落として笑いを止めてやった。
笑い過ぎでも死ぬことってあるのよ。
「と、とにかく私のマリ力が本物だって分かったでしょ? さあ次の願い事カモーン!」
「まあ、それは認めてやるけどさ」
さて本当に願い事が叶うとして後二つ。急に言われても思いつかないわよね。
美貌? もう十分あるし。これ以上美人になったら逆に困っちゃう。
お金? あんまり使い道思いつかないな。それに将来、仕事とかやる気なくなりそう。
世界征服? あたしなら普通に出来るし。エヴァがあれば十分だし。
シンジ? ここでまた言うとコイツにガッついてるように思われるから嫌だな。
うーん。他に何があるかな。そうだ!
「弐号機をパワーアップさせてよ。初号機の暴走みたいにババーンと強くなる奴。出来る?」
「心配御無用お安い御用、アカマキナミアオマキナミキマキナミ~~!!!」
ふふふ。これで名実ともに私がネルフのエース!
今まで対使徒戦績がよくないのは先行量産タイプ故の一点特化が無かったからよ。
ファーストどころかシンジよりも強くなっちゃいそう。
「―ビーストタッチで初号機の暴走みたいにババーンと強くなっちゃえー!! ほい完了!」
「本当に強くなったの?」
「なってるって。裏コード、ホニャララを入力するとねババーンとね……」
「ふむふむ……」
「代償として角が生えちゃったけどね。クワガタ(♀)みたいなチッコイ奴が」
「ええー、カッコ悪いー。せめて大クワガタ(♂)がいいー」
「じゃあ、それを三つ目の願いにする?」
「しない! チッコイ角でいい」
どうせなら最後の願いはシッカリ考えないとね。
769:三つの願い
09/09/24 23:13:46
「―ってあれ? あんた大きくなってない?」
最初は30cmサイズだったマリはいつの間にか1mサイズになっていた。
冷静に考えたらさっきエルボードロップした時も60cmくらいあったかもしれない。
「封印が解けて来てる証拠だね。次でキミより背が高くなるんじゃない?」
人形サイズにされていたのか。どうせろくでもない事をしたんだろうな。
「さあ最後の願いは何? 張り切って叶えちゃうよ!」
私が考え抜いた願い。それは―
「ママを生き返らせて! あたしは優しいママと一緒に暮らしたい!」
「お安い御用劇場用、アカマキナミアオマキナミキマキナミ~~!!!」
本当に……ママが生き返るの? 私に優しくしてくれるの?
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………
一体なんの音よこれ?」
「世界が終わる音。滅亡まで後1パート13分って所かな、ハイ、ここでアイキャッチ!」
NeonGenesisEvangelion:Wish has been fulfilled
「ど、どういうことよ!?」
「キミが選んだんだよ。この世界の終わりをね」
「嘘よ? だって私はただママを―」
「死んだ人間がさぁー。生き返るわけなーいじゃーん」
あんたバカァとでも言いたげにマリは嫌みったらしく私の顔を覗き込んだ。
「そ、それなら三つ目の願い事は叶ってないじゃない!」
そうよ、私は世界の終わりなんて願っていない!
「叶うさ。この世界は終局を迎えてリセット、別の世界でキミはママと幸せな暮らしをするさ」
マリ、あんた何を言ってるの? 仮にも天使じゃなかったの?。
気がつけばマリには真っ黒なカラスのような羽、先の尖った黒い尻尾、鋭い角が生えていた。
「堕天使魔鬼波(マキナミ)とでも呼んでもらおうかニャ、夜露死苦!」
何なんだこいつは―っ!
770:三つの願い
09/09/24 23:15:37
天が裂けて血のような赤い空が広がり、地が波のように唸りをあげている。
まさか本当に世界の終わりが来るって言うの?
「世界滅亡まで後10分。死ぬ前に彼に告白でもしとく? 次の世界でもまた出会えるけどさ」
ニヤニヤ笑いにムカついてハイキックを出したが軽く避けられてしまった。
大体こいつは何故こんなに落ち着いていられるのよ?
「滅亡したらあんただって死んじゃうでしょ!」
「んんー、私にとっては生も死も等価値って奴だから。お子様には難しいかニャー」
よく分からないけどこいつは平気らしい。
「却下よ却下! 三つ目の願いは取り消し! 願い事で世界滅亡を無しにして!」
「それはダーメ。もう願い事は残ってなーいの。べろべろばぁー!」
遠くでビルが倒壊して巻き込まれた人々の悲鳴が聞こえてきた。
次々と十字架型の光の柱が広がっていく。
「何とかしてよ! あんたなら出来るんでしょ!」
「そりゃ出来なくはないよー。でもここからはギブアンドテイクじゃなきゃねー?」
そう言ってマリはいやらしい目で私を見回した。
「ギブアンドテイク…?」
「世界滅亡を止めるってんだから代償が必要さ。分かりやすく言うと悪魔に魂を売るってこと」
しまった。最初からこれが目的だったんだコイツ。
私は騙されたんだ。こんな小悪魔にあっさりと。
「くんくん。いい匂い。思った通り極上の魂だね。うふふふふ」
そのニヤニヤ笑いをやめろ!
でも今も滅亡に向かって悲鳴は増え続いている。ここで私が何とかしないと本当に―
「す、好きにすればいいでしょ!」
観念して私はドカッと座り込んだ。なんで私がこんな目にと思うと涙が溢れてくる。
もっと素直に生きればよかった。もっと言いたいこともやりたいことも一杯あったのに。
771:三つの願い
09/09/24 23:16:20
「じゃー。まずは新世界での出番を貰おうか。たーっぷりある出番を全部ね」
「よく分からないけど勝手に持って来なさいよ」
マリは舌で唇を何度も舐めながら奇妙な本に何かを書き込んでいく。
新世界がなんだかよく分からないけど、そんなことで世界が救われるのなら安いものだ。
「あはは、これで新世界に惣流・アスカ・ラングレーは『存在しない』ね!」
「どういうこと?」
「みんなが生まれ変わる中、キミだけ仲間外れ。キミの場所に私が入るのさ」
「そんな……」
「そうそう、弐号機も貰っとこうかな。くれるんでしょー。世界の為に」
「くっ……好きに乗りなさいよ」
「サンキュー、気前の良い人って大好きだよ私。チュっ!」
いちいち人を小馬鹿にした態度が癇に障る。我慢、我慢だ私。
「じゃあ最後に、キミのわんこ君を貰っちゃうかなー」
「わんこ君?」
「バカシンジって呼んでたっけ? 好きなんでしょ、彼。取引は大事なものじゃないとね」
どこからか取り出したシンジの写真に投げキッスをしている。
ふざけるな! こいつは! こいつだけは! 世界が滅んでもこの場で殺してやる!
殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!
殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!
殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる! 殺してやる!
772:三つの願い
09/09/24 23:19:32
バタン―ッ!!!!
「ごめんアスカ、入るよ!?」
突然ドアが勢いよく開いた。何事かと思うほど凄い勢い。
同時に聞こえた気の抜けるような声が発する安心感とともに私の殺気はゴミ箱に捨てられた。
制服の上からエプロンをしたシンジが部屋を覗いている。
まさか私を心配して様子を見に来てくれたんだろうか?
いや待て、現在進行形で世界が滅亡しているのに美味しそうなカレーの匂いが―?
「真希波……だね。全く、相変わらずだな」
シンジの後ろから銀髪の少年が顔を出した。シンジの友達だろうか。始めてみる顔だ。
二人が部屋に入り、そこからドアを閉めるとペラペラになったマリがハラリと倒れ落ちた。
それは風に乗り、窓の外へと飛んでいく。
「また会おう明智君! ふははははは!」
ペラペラのまま妙な高笑いをするマリに、銀髪が赤い二又フォークのような物を投げつけた。
マリはそれにスパゲティのように巻き取られて、そのまま一緒に虚空へと消えてしまった。
ふと気が付いて周囲を見回すといつも通りの風景が広がっている。
「何なのよ一体? それに世界が滅亡するって……」
「幻覚だよ。ただしこの世界の未来で、実際に起こる滅亡時の風景だけどね」
よく分からないけど、この騒ぎで怪我した人は誰もいないんだ。
そう思うと途端に足から力が抜けて、その場にへたり込んだ。
「後は人の欲望に付け込んで世界に干渉する程度でしかないさ。何か取引したものはある?」
取引したものって言われても新世界での出番とやらはともかく、弐号機が!
私はカクカクシカジカで取引内容を説明した。
「そいつは不味いな。取引した『もの』は取り返すのは難しいんだ」
「じゃあ、弐号機は……」
「カヲル君、何とかならないの?」
「こっちの世界の分はシンジ君の願いで相殺されているはずなんだけど、新世界の方がね」
シンジの願い? じゃあこの銀髪も天使だか堕天使だかなの?
773:三つの願い
09/09/24 23:21:41
「まあいいか。えーと惣流さんだっけ? 新世界では別の名前で生まれてくればいいさ」
「……カヲル君、僕はキミが何を言っているのかサッパリ分からないよ」
私もサッパリ。でもまあ別の世界のことなんて知ったこっちゃないし。
「それよりも弐号機を何とかしてよ!」
「うーん。シンジ君の願いがあれだったからキミ、もう乗ることはないんじゃないかな?」
「だから意味が分からないわよ!」
「平和になるってことさ」
全くノラリクラリと。こいつも優しそうな振りして私たちを騙そうとしてるんじゃないの?
「とにかくシンジ君。キミの最後の願い『アスカと仲直りしたい』は叶えたからね」
はぁ? このバカシンジはそんなことの為に願い事を使ったわけ?
あまりのバカバカしさに呆れて物が言えないわよ。
まったく、この、ばか。
「か、カヲル君! アスカの前で言うなんて酷いよ!」
「あははは。仲良くしなよ。バイバイ」
爽やかな笑顔を残してカヲルと呼ばれた銀髪は空へと消えていった。
その頃。今でない時、ここでないどこか。
「エヴァシリーズ、完成していたのにゃー? って無理! 無理だから!
止めて長いヤリ止めて! 刺さる、奥まで刺さってATフィールド避けちゃうー!
二本とか入らないから! ろんぎぬす入らないから 全員でなんてもっとだめ! アーッ!
らめぇ、食べちゃらめぇ! ぴんく色の中身みちゃらめぇ! ひっぱっちゃだめにゃ――!!!!!!!!」
774:三つの願い
09/09/24 23:22:43
「なんか変な一日だったね」
そう、思う出すだけでも本当に変な一日だった。
「まったくよ。そういえばシンジ。あんた他の願い事は何に使ったの? 教えなさいよ」
「えーと、アスカと綾波がエヴァに乗って怪我しませんようにって」
「それ、自分は含めてないの?」
「あ、忘れてた。あははは」
こいつはどこまでマイペースなのよ。もう少し男らしい欲望はないわけ? 世界征服とか!
「もう一つの願いは? あんたも三つだったんでしょ!」
「そ、それは、実はさ……」
おお、何か言い難そうな願い事を頼んだのかしら。
「買物でニンジン、買い忘れちゃってさ。出して貰った」
「あんたバカぁー!!! 貴重な願い事をなんだと思ってんのよー!!!」
「本物だとは思わなかったんだよ! そんなに言うならアスカの願いはどんなのさ!」
「あ、あたしは……//// どうだって良いでしょ!」
「ズルイよそんなの! どうせアスカだって詰まらないことに使ったくせに」
「つ、詰まらない事とは何よ! 大体あんたがそんなだからね―」
今日も第三新東京市は平和だった。
「ヘルプ! ヘルプにゃーっ!!!!」
775:三つの願い
09/09/24 23:25:42
ネタの発端は帰り道で突如思いついた「アカマキナミアオマキナミキマキナミ~」のフレーズ。
少しLASとしては強引な気もしますが箸休め程度に。
サブタイトルをドイツ語でやろうとしたら機種依存文字になったので断念。
グーグル独語辞書に「NeonGenesis」が「新世紀エヴァンゲリオン」と登録されてて吹いたw
776:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 23:47:18
面白かったよ。早口言葉のもじりは吹いたw
777:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 05:30:20
おもしろいな。所で、マリは人外なんだろうか?
778:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 06:58:39
面白い!!GJ!!
779:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 07:55:35
GJ!
電車内で笑ってしまったw
780:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 08:32:19
無欲過ぎなシンジの願い事に和んだ。
それとマリの凄さを再認識した。
いじめっ子でも悪魔でもペラペラのペッチャンコになって高笑いしても違和感ないとか異常w
781:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 09:39:05
面白いなあ。また投下してほしいです
782:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 13:13:39
>>754
アスカがマナに勝てないようなもんか?
783:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 15:16:45
それは素直さの問題だけだから違う
784:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 16:06:36
>>783
まあ、そう言ってもいいけど、
「マナはアスカに勝てるキャラとして(素直であるという点も含めて)作られたキャラだから」
ということだよね。
我々が実際にマナとアスカのどちらに魅力を感じるか、ということはあんまり関係なくて。
シンジとカヲルの話もそれと同じでしょ、っていうことだと思うんだけど。
785:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 16:19:46
マナは素直な好意を演技してるキャラなんだし、表面的な印象で勝てないのは仕方ない。
育成とかだと地の性格になってるけど。
第一印象だけなら内向的な子や攻撃的ツンデレより、爽やか君や明るい演技の方が有利なのは事実。
786:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 16:56:42
シンジだってカヲルにスペック面で劣ってるわけじゃなくて、あくまで性格の話だもんな
787:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 17:14:50
二次におけるシンジのそれはまた違うだろ
788:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 17:35:46
なんとしてもシンジをおとしめようとしてるお前らって、
なんでLASやってるの?
789:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 17:36:40
そーいうLASを書いてる人達に聞いてちょ
790:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 18:45:29
持論だが簡単にまとめてみた
A:客観的評価:内向的だが高スペックかつ天然で家庭的なモテモテくん。
いつも人に好かれたいと思っているくせに実際に好かれていることには鈍感。
B:シンジの主観評価:気弱な低スペックのつまらない男。
いつも人に好かれたいと思っているけど上手くいかず嫌われてばかり。
C:アスカの主観評価:Aと知りながらもハッキリ自分になびかない間はBとして見下している。
欲しいけど、手に入らないのなら「Bだから欲しくない」と思い込みたい。
結論:必要以上にシンジを低く見る人達はそれだけキャラに感情移入しているとも解釈できる。
つまり世界は滅亡する!
791:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 18:49:54
そうだね。ノストラダムスだね。
792:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 18:52:35
二次のシンジ低スペック描写は時期的にEOEの演出あたりにだまされてるだけじゃねーの
793:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 18:53:26
てかもういいよこの話題
794:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 19:05:50
>>775
コメント見るまでただの早口言葉だと思っていたよ>赤真希波青真希波黄真希波なのねw
やはりカヲルは「君が何を言ってるのか~」される立場が似合ってる。
こういうお馬鹿なノリは大好きだぜ。
795:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/25 22:58:18
アスカはマナもだがレイにも勝てない
映画でも証明されてしまった
796:543
09/09/26 00:28:06
皆様こんばんわ。
相変わらずの内容で続き投下いたします。
セカンドランの上映劇場、数が半端ないですねえ。期間はどのくらいかわかり
ませんが、新劇のインパクトは素直に嬉しいですねw
今回は短いです。そんで次で終了は予定通りと思います。
それでは、いじけアスカや躾の出来てない子供が嫌いな人向けのNGワードは
空を見上げて
で、御願い致します。
797:空を見上げて
09/09/26 00:30:19
*
ホームに着いた頃になって、私は周りの目線が気になりだした。濡れ鼠の
二人を指差して、あからさまに失笑を浴びせるカップルもいる。
無責任な視線が体中に突き刺さり、自分の全てを否定されている気がした。
堪え切れずに、シンジの腕を強く抱きしめる。
「アスカ、大丈夫?」
「ん、だいじょぶ」
心が折れて立て直せない。辛うじて踏みとどまっているのはシンジがいた
からだ。
そのシンジもかなり神経質になって廻りを見回す。自分の恥ずかしさもある
のだろうけれど、横で小さくなっている私を気遣ってくれているみたいだった。
御殿場行きの電車が静かにホームに滑り込み、電車に乗り込むとドアの脇
の席にシンジは無言で座った。
「イス…」
「なに?」
言いかけた私を不機嫌そうにシンジが遮る。
こんな状況じゃイスが濡れるんじゃないか……それを言葉に出来なかった。
ドアの脇の一人分空いた所に私も腰掛ける。とてもじゃないけど廻りを見る
余裕なんてない。
好奇心に駆られた子供がこっちに走って来て無遠慮に私とシンジを覗き込み、
母親の所に帰ると面白そうに報告している。
ちらっと見たその母親は、連れの友人と子供に「やめなさい」とか言いつつ、
口元に失笑が浮かんでいた。
『さいあくだこんなの。もうやだ。もう消えちゃいたい……』
今すぐ帰るとわがまま言った結果がこれだ。今更後悔しても遅かった。
ぎゅっと握ったシンジの手の上に、涙が落ちる。シンジは無言だ。
その母親が堪えきれずに声を出して笑った瞬間、シンジは突如立ち上がって、
私が今まで聞いたことのない激昂ぶりで叫んだ。
「笑うなぁぁ!」
狂った獣みたいにいきり立つシンジの様に車内が凍りついた。
798:空を見上げて
09/09/26 00:33:30
直視する勇気を持てなかった私は、必死にシンジの左腕を掴んで席に戻す。
どすんと音を立ててシンジは席に座ったけれど、眼の中に宿る怒りは
ひとつも鎮まっていない。
「私は大丈夫だから……だから、……ね?」
八つ当たりめいたシンジの眼光がこっちに注がれた。瞬間私は目をそらす。
その私の態度にシンジがはっとして、引き戻した腕に絡む私の手を、自由な
方の掌でぐっと掴む。
「ごめん。大きな声だして……」
「いいよ、別に」
凍りついた車内の空気が更に居心地を悪くしていた。
そんな押し潰されそうな空気の中で、斜め向かいに座っていた人がこっちに
来る。
「あの、これどうぞ」
「……あ、どうも、ありがとぅ……」
「芦ノ湖で落ちたの?大変ね」
高校生くらいの女の人が、タオルをシンジに渡してくれた。
小柄で地味な感じの人だった。でも、眼は真っ直ぐで澄んでいて、一緒にいる
だけで、人の心を軽くする雰囲気を持っていた。
「タオルあげることないじゃないか……」
「でもケイちゃん、あの子達困ってそうだったから…」
「……そっか、タエちゃんは優しいな」
席に戻ったさっきの女の人が、彼氏らしい男と仲良さそうに話しているのが
聞こえる。多少彼氏がべたべたしすぎな気がするけど、素直にうらやましいなと
思った。
『いいな、あんなふうになれたらいいな……』
二人がこっちを向いたとき、シンジと頭を下げる。
微笑み返す二人に、心の底から安堵をさせてもらった。
「いい人もいるんだね」
「うん…」
全身ずぶぬれの二人にタオル一枚では何の解決にもならないのだけれど、
たったこれだけの親切でシンジの顔から険が消え、私の中に燻ぶる弱気の虫が
小さくなった。
799:空を見上げて
09/09/26 00:35:33
人の優しさは、他の人に伝染するもの……
男にのぼせ上げた女性士官が、よく自慢がてらに聞かせてくれたのをふと思い
出した。
もらったタオルは、早速シンジが私の頭に被せる。自分ひとりで使う訳には
いかないという抗議の目線は、『これでいいんだよ』という物静かな目に撃退
された。
そんな顔されたら、照れて直視できなくなってしまう……
いつの間に、シンジと私の間の空気はピンク色になっている。
タオルをくれたカップルの人たちは一駅前で降りた。通りすがりに女の人
と私は目線が絡む。タオルの向こうに、優しい目をしたその人の微笑みが
あった。自然に頬が緩み、控えめに目礼した。
シンジは連れの男の人と同じように目で会話している。細い顎が男の人を
しぜんに追っていた。
「いい人たちね……」
「そうだね」
あと一駅という気楽さと、電車のお客なんてどうせ二度と会う事無い人たち
だと思えるようになると、今の自分の格好なんてどうでも良くなってきた。
肩に頭を預けると、シンジも繋いだ手に指を絡めて来てそれに答える。
心の底から、蕩けてしまいそうな時間。
実際都合がいいものだなと自分の事を嘲笑いながら、私は存分にそのひと時を
味わって過ごした。
つづく!
800:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/26 04:49:19 l9oXutl7
人のセックスを笑うなぁぁ
801:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/26 12:35:14
ぐううじょぶ!
802:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/26 19:28:05
イイですね~続き待ってます!
803:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 00:22:11
>>616 続きです
朝日が眩しい。今日は快晴って天気予報でやってたっけ。
まったく神様は僕の気持ちなんておかまいなしだな。
そんな幼稚な事を考えてる間にもアスカはカバンをぷらぷらさせながら僕の二歩ぐらい先をどんどん歩いていく。
さっきの事。夢だと思いたい。
まさかアスカがあんな事すると思わなかった。人を殺そうとする事。
そして何より他人のために自分も死のうとしたこと。
本気だったんだろうか?
またいつもの様に逃げて聞かない手もある。でも、これを聞かない限り前には進めないと思う。
本気で好きになれない。
逃げちゃだめだ
「あ、アスカ」
「何よ?」
「昨日の夜、さ、あの・・・その・・・」
「何よ!はっきりしなさいよ!」
「・・・昨日の夜本当に僕の事こ、殺す気だったの?」
「・・・さぁ、わかんない」
わかんないって。本当に何考えてんだ?
「・・・でもね、あのナイフは偽物よ」
「え?」
「あれの刃の部分、ただの銀紙でまかれたチョコなのよ」
うそだろ・・・ 僕はあんな物に踊らされていたなんて。
「冗談で・・・あんな事するなんて酷いよ!一体何考えてんだよ?」
しまった。今のアスカにはきつい物だったかも。
804:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 00:44:34
どうしよう・・・
「・・・」
「あ、あすかごめ」
「ねぇ」
「・・・なに?」
「あんたあたしの事好きなのよね? そう言ったわよね?」
空の蒼の瞳には涙がたまっていた。真剣でどこかすがるような顔をしていた。
「う、うん」
「だめ!!ちゃんと言って!」
「・・・僕はアスカの事が好きです」
「・・・」
続く沈黙。この緊張感もうたくさんだ!
やっぱ聞かなきゃよかった。
と、いきなりアスカが手を繋いできた。笑顔だ。とっても優しくて嬉しそうな顔。
「アスカ・・・」
「だったらいいわ。今日からあたしたちは今までの関係は捨てるの。次のステップへ行くのよ!」
「は?・・・あ、うん」
次のステップって?と聞いてみようかと思ったけど、やめた。
嬉しそうで楽しそうだったから。とってもかわいい顔をしてたから。
ちょっと恥ずかしくて下をむいた。
「さ、いくわよ!」
「あの、アスカ・・・手」
「はぁ?あんた忘れたの?
ファーストに見せつけてやるんだって言ったでしょ?」
「うん。でも、恥ずかしいよ~」
805:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 01:07:08
「あんたばかぁ? むしろ喜びなさい!
こーんな美女と朝から手を繋いで登校なんて、あの万年ジャージやオタクメガネには一生できない事よ?」
はぁ、我慢するしかないや。
その時はアスカが楽しそうだから良いや、なーんてバカなことを考えていた。
予想通り、教室に入っていくとみんなが僕らに注目。
当たり前だよね。昨日あんなだったのにアスカはこれ以上ない満足そうな顔で、僕は茹で蛸みたいな真っ赤な顔で手を繋いで入ってきたんだから。
席に着いた僕たちの周りにいつものメンバーが集まってきた。
「せんせ、朝からやってくれるのぉ~」
「ホント、いゃ~んな感じ!」
「アスカ、それじゃ碇君と仲直りしたのね! ホント心配したわよ~」
まったく人の気持ちも知らないで。
夜の事話したら顔真っ青にして逃げてくだろうよ。
しかもアスカは満足そうな顔でうんうん頷いてるだけだし~
「違うんだよ、これは~」
「何が違うって~?」
すぐさまアスカが笑顔で言ってきた。でも目が笑ってない。
「いや全く。何も違わないよ、ハハハ!」
情けないなぁ僕。
「なんだよ碇、のろけちゃって~」
「ほんまやこいつぅ~ うらやましいやっちゃでぇ~」
「い、碇君///」
806:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 01:40:03
委員長、顔真っ赤だよぉ・・・
ふとアスカを見ると誰かを勝ち誇ったような顔で見下していた。
綾波だ。席に座って読書していたらしい。
顔を見ると・・・ よかった、いつも通り無表情だ。
なんだ、やっぱり昨日のは・・・
そう思い、視線を下に落としていくと、気付いてしまった。
拳が握られていた。綾波特有の白い肌が強く握りすぎて真っ赤になっている。
「アスカ、やめn」
キーンコーンカーンコーン。
朝のHR開始のチャイムだ。
アスカにやめろって言おうと思ったのに・・・
どうやら今の二人にはチャイムなんて聞こえないらしい。依然にらみ合っている(気のせいか綾波の口元がピクピクしているように見えた)。
綾波レイ。ファーストチルドレン。生い立ちはいっさい不明。
僕にとって最初は彼女その物が不明だった。でも放っておけなかった。不思議と惹かれる物があったから。
綾波が一番見ていた人は父さんだ。
でも、昨日の言葉本当だとしたら。今は違うの・・・かな?
それでも。そうだとしても
やらなくちゃ。
アスカなりのシナリオ通り?なのか午前中ずっと僕にべったりくっついてきた。
手を繋ぐどころでなく、腕を思いっきり組んだ状態でほとんどいた。
807:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 07:44:55
中途半端すぎw
まあ乙
808:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 07:44:55
さすがに授業中は離れてたけど。
きれいな顔がいつもより近くにあるのと、胸が腕に当たる感触とでほんと、どうにかなりそうだった。
そして。
やっと昼休み。少し気分を落ち着かせなきゃ。
いつも通り屋上に向かう。昼食は必ず屋上でとっていた。
今日は時間がなかったので購買で買ったサンドウィッチだ。
相変わらず三人の興奮は収まらないらしい。
あれ?、綾波もいる・・・
「なぁセンセ?二人はどこまでいったんや?」
809:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 07:47:30
すいません。寝てしまったw
続きは後ほど
810:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 07:48:27 qv3OpjnZ
GJ
続き待ってる
811:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 10:40:27
>>803
> 「あれの刃の部分、ただの銀紙でまかれたチョコなのよ」
銀紙は分かるが、なんでチョコなんだww
812:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 12:40:13
乙です!!
813:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 19:40:50
DISTRESSさんGJです。
続きを楽しみに待ってます。
814:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 20:07:14
>>811 パンドラハーツっていうマンガがあるんですがそこから頂きました。
アスカがナイフ寸止めして銀紙むいて「食べる?」とかやろうとしたけど徹底的にシリアスにしました。
後、DISTRESSってのはコテハンじゃないです。一応題です。
全部読んで下されば、なんでこの題にしたのか多少は伝わると思います。
815:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 20:55:17
つ・づ・き!つ・づ・き!
816:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 21:00:59
アスカとシンジとレイの苦悩?
817:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/27 22:35:39
>>816 まぁ言ってしまえばそうです。ですが他にも意味は込めたつもりです。
ネタバレになりかねないんであんまり言わないでおきます。すいません。
後で続き投下できると思います。
818:543
09/09/27 23:07:07
皆様こんばんわ。
四の五の言わず最後投下いたします。
淡々と日常追っかけてる系のお話苦手だったり、逆光で車とか運転
するの嫌いな人向けNGワードは
空を見上げて
で、御願いします。
819:空を見上げて
09/09/27 23:09:36
*
「服、乾いた?」
「ん。だいぶ……」
ホームに降りて並んでシンジと歩きながらそんな会話を交わす。
行くときはシンジの背中ばかり見て歩いていた。
今は話し掛けるとき、お互いに横を向いている。話すたびにはにかむ私を、
シンジはどう見ているのだろう?
籠にカバンを放り込むと、すっかりいつもの顔に戻ったシンジがお気楽に
持ちかけてくる。
「そうだアスカ、帰って服着替えたら、自転車乗る練習しない?」
「落ち込んでる人間捕まえて更に追い込もうって事?」
「違うよ、苦手なら克服すればいいじゃないか」
私も邪推しすぎだけど、シンジはやっぱり少し無神経だと思う。
「簡単に言ってくれるわね」
「大丈夫だよ。アスカ元々運動神経良いんだから。すぐに乗れるようになるって」
「乗った事無いんだからわかんないじゃない」
「泳ぐのもそうだけどさ、単にやった事無いだけなんじゃないかな?だから
きっと大丈夫だよ」
「う……」
無邪気にそう言うシンジに気圧されて、返事に困りごまかすように無言で
荷台に座る。
シンジはくすりと笑って自転車を発進させた。私、からかわれてる?
無言の時間も、行きの道とは空気がちょっと違っていた。どちらも話す
のを急かすこともなく、無駄に構えることもない。存在を感じているだけで、
結構何を考えているのかわかってしまう。
だから、何も喋らなくて良かった。
小さな交差点で信号待ちをしているとき、少年野球の子供たちが通りすがりに
冷やかしながら囃し立てる。
第三新東京市は、中学生カップルが小学生にからかわれるのが通過儀礼なのか
と思いつつ、二人でにこやかに手を振った。
820:空を見上げて
09/09/27 23:11:19
「小学生って集団になると強気なんだよなぁ」
ぼやくシンジに呆れて諭した。
「あんたも似たようなもんじゃない。カメラとジャージで3人組になったら、
さっきの小学生と大差ないわよ」
「え?そうなの?」
「……自覚なかったのね。あ、青」
「おっとっと」
慌てて走り出す自転車に、不思議と余裕があった。
私は今頃になってサンバイザーを湖に落としてしまったのを気付きながら、
シンジの腰に回した腕をきゅっと締め付けた。
シンジは私の行動にペダルのピッチを少し緩めて反応する。
低くなりはじめた太陽の軌道が、二人の視界を度々奪う。
『面白いもんだなあ……』
見知らぬ人がタオルをくれた。こうまで気の持ちようが変わった理由は本当に
ただそれだけだった。
他愛もないひとかけらの善意で、人の心は簡単に変わってしまった。
素直な言葉や気持ちというのは、結構人に伝わりやすいものなのだろう。
要は受け取る側の問題なんだ。私はきっと素直でもなく、可愛げもない対応が
多いと思う。
シンジはきっと、下心や打算とか抜きにして私に色々言ったり何かしたりして
くれてるのだと思う。
それならば、私が素直に答えればそれで済んでしまう。たぶん、そういうこと
なんだろう。
「その、ぁああと、えと、自転車!乗れるようになるまで……ちゃんと教えてよ」
「もちろん」
「乗ってるときに手、離さないでよ」
「大丈夫だよ。絶対離さないから」
思ったとおりの反応で、私は急に心が軽くなった気がした。
坂道が急になり、シンジが腰を浮かす。
「お、降りよっか?」
「大……丈夫!」
821:空を見上げて
09/09/27 23:15:34
急な道を登りきり、家並が途切れて真横に風が吹きぬけた。
風に髪が揺れて、私の方も随分ずぶ濡れの状況から改善したみたいだ。
筋雲があちこちに空を覆い、淡い青色と白色が空をまだらに染めている。
曇りがちの空に反射光が弱まるのに相俟って、風が湿り気を帯びてきて
いた。広い空地を横切るときに、むせるような草の匂いがざわめきと共に
通り過ぎる。
『よし、同じ練習するにしても、目標がなきゃ張り合いがないわよね!』
あの角をすぎたらだとか、次に赤い車が通り過ぎたらだとか理由付け
しながら、そんな事を思いついて数分がすぎる。
もうすぐ家だという焦りばかり先行しながら、勇気を出して目標を言葉に
した。
「シンジ、自転車にっ!の、乗れるようになったら一緒にデートしてよ」
「いいけど、どこまで行くの?」
こっちの勇気や余裕のなさに気付きもせず、シンジは平静に聞いてくる。
『鈍感!無粋!朴念仁!』
頭の中で散々詰ったけれど、デートオッケーの言葉で私は完全に舞い
上がっていた。
「えぇとその、桃源台で、あ、そう、船!船に乗るの」
「またボート?アスカ怖くないの?」
「ぼ、ボートじゃなくって、あそこから観光船出てるの!」
「へぇー、て言うか、アスカなんでそんなに詳しいの?」
「え?いぃやぁあのその、に、日本に来たら行こうと思って、色々調べて
たのよ!」
「あ、そうなんだ」
「そーよ、私には日本は外国なんだし」
「んー、そういや僕も観光船とか乗ったことないし、丁度いいや」
『言えた!アスカえらい!よくやった!』
822:空を見上げて
09/09/27 23:19:00
心の中でガッツポーズをしながら、シンジも楽しみにしてくれてるみたいな
態度が私を更に溶かしてしまった。
私の顔が、直接シンジに見えなくて本当に良かった。
色々素直になろうとは思うけど、てれてれしてる顔を見られるのはやっぱり
恥ずかしい。
家まで帰り着いて、駐輪場まで二人乗りで乗りつける。
私が自転車から降りてお礼を言うと、いつもの笑顔でどういたしましてと言い
ながら、シンジは自転車の鍵をかける。
マンションの入り口まで歩きながら、貰ったタオルを返す方法がないか、二人で
色々考えてみた。当たり前だけどそんな方法はないのがちょっと切ない。
シンジがメールボックスを覗きに行っている間に私はエレベーターを呼ぶ。
エレベーターを待っている間、別にさっきまでと変わらないのに、二人きりと
言うのをやけに意識してしまう。饒舌だったシンジが無言になるということは、
多分シンジも何か意識しているのだろう。
823:空を見上げて
09/09/27 23:19:55
「そうそう、今日のお礼、しとかなきゃねえ……」
「お礼?何の?」
「何って、芦ノ湖で助けてくれたでしょ?」
「あぁ、そんなのいいよ」
そう言うシンジの顔には、本当に屈託がない。
「アンタは良くても私の気が済まないの」
「それじゃあアスカの好きなときにしてくれればいいよ。さすがに今すぐじゃ
無理でしょ?」
いや、多分いつでも返せる。シンジが喜ぶかどうかは別として。
「……ど」
「え?なに?」
「別に、今すぐでも出来ると思うけど」
エレベーターが到着してドアが開いた。
「そうなの?へぇ、なんだろ」
シンジは端からそんなことが出来る訳無いと思っているみたいだった。
エレベーターに乗り込み、行き先階のボタンを押す。ドアが閉じて、かごは
ゆっくり動き始めた。
「じゃ、ちょっと目瞑ってて」
「うん」
「少ししゃがんで」
「うん」
さすがに殴られたりとかはないだろうと思っているのか、シンジはとても
素直だ。その油断しまくりな横顔を眺めながら、気付かれないように深呼吸する。
横目で階数表示の数字が大きくなるのを眺め、止まりそうな所でそっと
シンジの耳に囁いた。
824:空を見上げて
09/09/27 23:23:56
「ありがとう」
「うん、……へ?」
シンジのほっぺたの感触を唇に刻み込む。
名残惜しくはあったけど、身を翻して1階のボタンを押し、閉まり始めた
ドアをすり抜けて廊下に出た。
何が起こったか解らずに、ほっぺを手で押さえているシンジを取り残し、
エレベーターのドアは閉じる。
浮かれ気分で廊下を歩いていると、雲間から出てきた太陽が真横から光線を
浴びせてきた。
少し眩んだ目を、腕をかざして遮る。
腕の向こうの空は、そろそろ西の果てをオレンジと青に染める。
二色の空の間を、雲が影を引きながら散らばっていた。
「ちゃんとシンジの顔見れるのかな、私」
玄関ドアが開くのを眺めながら、ふとそんな事を考えた。
少し自信がなかったけど、ま、多分なるようになるだろう。
シンジがいつも気を使ってくれるように、私が少しでもそうすればいいんだ。
『なんだ、それだけのことじゃないか……』
今までやったこともないくせに、そうやって強がる自分に苦笑しつつ、私は家の中に
入った。
おしまい
825:543
09/09/27 23:25:42
後記
やっと終わりました。途中感想レス頂いた皆様、並びに最後までお付き合い
頂いた皆様ありがとうございました!
自転車乗れないだとか泳げないだとかいう、ありえない設定をやったのは、
『訓練や演習メニューで外されちゃって、時間があればまあやろうか?』って
レベルの、優先度低そうな事項は先送りされているうちに日本に来ちゃったん
では?という思い付きからでした。
思った以上に書いているうちにアスカがヘタレてしまい、やり過ぎ感も
否めず……。
ちなみに芦ノ湖は行った事ないので、貸しボートとかあるかどうか全然知り
まへんw
次に書くことあれば、今度はあれこれ切り口変えて見たいなあと思います。
それでは皆様、チャオ!
おまけ:小ネタの小道具
アスカが衝動買いした自転車
URLリンク(www.raleigh.jp)
アスカがなくしたサンバイザー
URLリンク(www.shop.carp.co.jp)
826:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/27 23:51:48
GJ~!
Cの入った赤いサンバイザーって、鯉だったかー( ´∀`)
827:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 00:04:02
GJです!
828:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 00:13:13
つかシンジも泳げないよなw
829:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 00:25:34
シンジはそもそも水に浮かない。
830:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 01:22:49
泳げない人間がスキューバの練習するかよw
831:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 01:26:09
何かでシンジの台詞で人は浮くように出来てないってのが
あった気がしたんだが
二次創作が別のアニメキャラの台詞だったかな
832:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 01:26:43
電車シーンで言ってるよ<シンジ
833:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 13:39:05
まあ、破でついた、にわかファンはこんなもんだろう。
自分を表現することに夢中で、作品を研究することを全くしない。
だからキャラもズレるし、リアリティがなくなる。
何より、エヴァっぽくない。
834:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/28 22:18:14
厳しいな―
まあ、ちょっとキャラ変わりすぎとは思ったけどw
835:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 00:50:35
>>808 続きです
「まさか、碇、二人であんな事やこんな事を・・・」
「い、碇君!!だめよそんなの!その・・・まだ中学生だしぃ~」
ちょっと・・・ まだ僕何も言ってないよぉ~
でも昨日の夜のあれは・・・
そんな思いが頭の中をよぎった。
「べべべ、つに何もなよ!」
しまった・・・ しくじった。
顔が熱くなっていくのがわかる。
すかさずアスカが言う。
「ちょっと聞いてよ~ シンジったら年頃のせいかあたしの事、見たり触ったりするのよぉ~♪」
「えぇ~!!!!」
見事に三人の声がかぶった。
アスカ。フォローするのかと思ったらそんな真っ赤な嘘をぬけぬけと・・・
あ、綾波は?
よかった・・・ 今度は大丈夫そうだ。こんなのお見通しなのかな?
あれ、弁当持ってる。しかも二つ・・・?
「碇君」
「は、はい」
「ちょっとこっちに来て」
アスカは怒濤の質問攻めに得意気に答えている。
だいぶ距離をおいて僕たちの様子を見ていた綾波に近寄っていった。
「なんかいろいろごめんね、綾波」
「食べて」
そう一言言って弁当を差し出してきた。少し顔が赤い。
ダメだ。今受け取ったらまたアスカが・・・
836:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 01:13:18
「あはは、もう今日のお昼買っちゃったんだ・・・よね」
そう言って顔の横にサンドウィッチをかかげてみる。
「食べて」
ルビーのような赤い瞳が僕をのぞきこむ。アスカのサファイアとはまるで逆。
こんな顔の綾波、見たこと無い。
瞳は少し潤んでいて、朝のアスカに負けず劣らず必死そうな顔をしている。
そんな・・・ こんな顔されて断るなんて、僕にはできないよ。
「・・・ありがと」
それだけ言って弁当を受け取る。
途端に綾波の表情が変わった。
あ、この顔・・・ あの時と同じだ。ヤシマ作戦・・・だっけ?
「いただきます」
なるべく無表情を保ちながら弁当の蓋を開ける。
感想は、一言で言えば大胆。
弁当の左上段は僕の教えた野菜炒め、左下段はサラダで埋まっていた。
右側にはご飯が盛られていて、真ん中にミニトマトがちょこんと置かれていた。
いかにも綾波っぽい・・・かな?
「なんて言うか・・・独創的なお弁当だね。全部綾波が作ったの?」
「えぇ。食べてみて」
「うん」
野菜炒めを口に運ぶ。
・・・うん、野菜の味がする。
「なんて言うか・・・ 素材の味を生かした味付けだね」
「そう?」
綾波の顔の赤みが増した。
837:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 01:31:09
間接的に味が薄いって伝えようとしたのに。誉められたと思ったのかな?
「それで・・・ おいしい、の?」
「う、うーん。そうだね。健康的な感じで」
ふと顔を上げるとアスカが仁王立ちしていた。
まずい・・・ どうしよう。
「なんかね、綾波がお弁当作ってきてくれたんだ。アスカも食べなよ?」
ダメだ。ぜんぜんフォローになってない。
と、いきなりアスカが耳を引っ張ってきた。
「来て」
「アスカ、痛いよ!!」
「・・・」
何も言わずに階段の方へ僕を引っ張っていく。
「あ、碇君!」
「綾波、放課後ここにいて!」
「えぇ、でも何故?」
アスカがますます力を強くした。
どこ連れてくんだろ?
「シンジもとうとう漢になったんやなぁ~」
「実際うらやましいよ、いかりぃ~」
「ちょっと二人とも!そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
838:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/29 01:56:51
毎回思うんだが書きながら投下してるのかな?
839:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 02:04:09
今はほとんど物置として使われている空き教室に着いた。
中に入るなりアスカは僕の事を思いっきり壁に突き飛ばしてきた。
「ちょ、アスカ、説明させてよ!!」
「嘘つき」
「アスカ、聞いてよ!!」
「偽善者」
やばい。目が死んでる。無表情なのが余計怖い。
「・・・綾波が、あの綾波が僕なんかのために弁当作ってきてくれたんだよ?
しかも泣きそうな顔していってくるんだ。・・・だから受け取るしかなかったんだよ!」
「だから偽善者って言ってるのよぉ!!」
いきなりアスカが大声をあげた。
「・・・何がだよ?」
「あいつを悲しませない為にとか言って・・・ 自分の気持ちを尊重させただけでしょ?
嬉しかったんでしょ? 自分に好意を持ってくれてることが」
サファイアの瞳からはボロボロと涙がこぼれ落ちていた。
アスカに言われて気づいてしまった。好意を持たれたことが確かに嬉しかった。
アスカだけを見るって決めたのに・・・
「・・・アスカ、今日の放課後、けじめつけてくるよ」
「・・・ホントに?」
「うん」
「次なんかあったら、どういうことになるかわからないわよ?」
「わかってるよ」
「それと」
「何?」
840:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 02:07:35
「次『僕なんか』とか言ったら、殺すから」
「・・・・うん。ごめん」
僕らはやりきれない気持ちで教室へ戻っていった。
841:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/29 02:12:37
今回はここまでです。
>>838 書きながらではないです。
結構忙しいもんで、投下する周期や時間帯がバラバラになってしまいます。
すいません。
842:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/29 08:50:28
>>841
そかそか。失礼した。そして乙乙
まぁリアルタイムで投下遭遇しても気長に待つよw
続き待ってるぜっ
にしてもアスカ狂気染みてるなw
843:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/29 21:42:29
今、読み直していて508のシンジの
あれだけ傷作ってそれか・・・っていう
心の声に吹いた
シンジ最低だwww
844:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/30 10:52:51
>>825
GJでした!弱気なアスカが可愛かったですね。
笑うなぁ!って叫んだ男らしさと、アスカの微妙なアピールに全く気付かない鈍感さ…シンジもめちゃ可愛いw
少し切ない雰囲気からポカポカな展開になって良かったです。
>>841
病んでますね~。最も嫉妬が似合うキャラですよねアスカって。
レイが泣く展開がくるのかな…少し悲しい。
845:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/01 00:17:50
>>825
gj
846:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/01 18:26:36
投下来ないね
847:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/01 20:12:49
稲荷町
848:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 17:13:26
投下町sage
849:GREEN DAYS
09/10/02 20:45:01
いろいろ細かい点など目をつぶっていただけるとありがたいです。
衛生的に汚い点などがありますので、許せない方はスルーを。
850:GREEN DAYS
09/10/02 20:46:04
ふと我にかえった。
この状況はなんなんだ?
アスカの指を舐めている僕。
口の中に広がる鉄の味。
確かに、最近自分でもなんだか違和感があるなとは思ってたんだ。
教科書で指を切ったり、体育ですりむいたり、エヴァの戦いでケガをしても、傷の治りが早い気がしてた。
それに、なんだかいろいろなものが舐めたくてたまらなくて。
動物に戻ってるみたいで心配だったんだけど。
僕は一体どうしちゃったんだろう?
だから、アスカが(大変珍しく!)料理を手伝ってくれ、
包丁とにらみあいながら野菜と格闘している最中に、
「いたっ!」
って声が聞こえてきた瞬間、
何も考えず彼女の指を手にとり、口に運んでいた。
(しまった!)
と思っても後の祭り。
赤面するアスカ。
はっと我に返り、動揺する僕。
口の中にはアスカの体液。
851:GREEN DAYS
09/10/02 20:47:27
「なっ何するのよバカシンジ!!………あれ?」
手をひっこめたアスカがつぶやく。
「傷が消えた…。もう痛くないし。なんで?さっき切ったとこ自分でも見たし、血もでてたのに!」
アスカが僕に手のひらをかざす。
「ほら!」
どこにも傷痕はない。
「よかったね、手に傷痕が残らなくて」
「そういう問題じゃなくて!シンジ何かした?」
「何かって、その、舐めただけ、だけど」
そう言った後、二人で赤面する。
「確かに舐められた時、熱い感じがしたのよね…。なんでだろ。そういえば、最近シンジのケガ治り早くない?」
「僕も不思議だったんだよね。アスカも気づいてた?」
「あんた、自分のケガ、舐めた?」
「…覚えてないけど、多分」
「まさかね…。治りが早くなったのって、あんたがLCLに溶けてからよね」
アスカって記憶力いいなあ、と僕は聞きながら感心していた。
852:GREEN DAYS
09/10/02 20:49:18
もっかいリツコに検査してもらった方がいいわよ!
とアスカがすすめるので、僕はネルフに学校帰りに寄ることにする。
リツコさんの部屋を訪ね、理由を話すと、リツコさんは興味深そうに検査を始めた。
検査結果がでると、リツコさんはしばらく黙ってデータを見つめ、考えている様子だった。
「なるほどね…」
と、独り言のようにつぶやく。
僕はその様子をぼけっと見ていた。
「碇シンジくん」
「はい」
「初号機に溶けてた時の記憶は、ある?」
「あんまり…覚えていません」
「そう」
リツコさんは僕の目を覗き込む。
「LCLは生命のスープみたいものなのよ、簡単に言ってしまえば。
あなたは一時的に原子レベルまで分解され、LCLと混合し、また細胞に組み立てられた。
その時に私たち人間の理屈ではわからないことが起こり得たのかもしれないわ」
「はあ…」
なんだか難しくなってきたな。
853:GREEN DAYS
09/10/02 20:50:30
「傷の治りが早いって言ってたわね。特に唾液と触れた時に。
あなたの唾液の成分を調べました。
やはり、ある成分値の量が特化していたわ。
唾液の中には、傷を殺菌したり、傷を治したりする成分が入っているの。
リゾチームや、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリン、免疫グロブリン、上皮細胞成長因子などのことね。
あなたの唾液には、それらの成分が異常に多かったと検査結果で判明したわ」
その後、何故そうなったか考えられうる可能性などが説明されたが、
僕の中学校レベルの頭では追いついていけなかった。
どうやら、僕の唾液は傷を治すことができるらしい。
だからいろいろ舐めたくなるのは本能的なものなのかな…。
僕の検査結果は、僕本人が家に帰るより先に到着していた。
到着するやいなや、ミサトさんの
「シンちゃんすごいじゃなーい!今度ケガした時よろしくー!」
という声がお出迎え。
「ミサトなんか舐めちゃだめよ!色んなとこ舐めさせるに決まってるんだから!」
などとアスカと二人で盛り上がっていた。
そういうわけで、僕はRPGでいう回復系の役まで手に入れた。
こういうのって普通女の子の役が多いんじゃないのかなあ。
854:GREEN DAYS
09/10/02 20:51:42
僕はそんなこんなで学校でもネルフでも引っ張りだこだった。
同級生の女の子の脚を舐めるのが、僕にとって一番緊張するものだった。
ネルフでは治療要員として、しょっちゅう呼ばれるようになった。
さすがに、とても舐めれない場所などは基本的にお断りしたが。
みんな、舐められるのっていやじゃないの?
だんだん治すという感覚がわかっていく。
舌先に感じる熱さ。
瞬く間に小さくなっていく傷を感じる。
ただ、最近は誰かを癒やした日の夜に、ぐったり疲れを感じるようになっていた。
そういう夜は泥のように眠りについた。
僕は学生と、エヴァのパイロットと、回復系の3足のわらじを履く生活でへとへとだった。
でも、僕にしかできない、と言われるとやる気がでた。
誰かに必要とされる喜び。
しかし決して、アスカはケガをしても僕に治して欲しいと頼んでくることはなかった。
855:GREEN DAYS
09/10/02 20:53:00
ある日、家に帰ってダイニングテーブルで英語の宿題をしていると、お風呂上りのアスカがやってきた。
「宿題なんてやってんの?真面目ねー」
うあ。いい匂いがする。
「アスカは終わったの?」
「英語の訳なんて、その時見て訳せばいいから必要ないわ」
「しゃべれる人がうらやましいよ…」
「で?何訳してんの?へーThe Beatlesの歌詞か。こんなの教科書に載ってたんだ」
そういうとアスカはその曲を歌った。
その曲は愛の手紙の歌だった。
歌詞の最後の『I love you』を歌い終わると、アスカは思い出したように僕に言った。
「そういえば、夏目漱石は『I love you』を『あなたといると月がキレイに見えます』と訳したって、何かで読んだわ」
「夏目漱石って吾輩は猫であるを書いた人だよね?さすが作家だね」
「その方が気持ちが伝わるからって。なんか印象的よね」
その後、アスカは僕の真向かいに座り、宿題を手伝ってくれるわけでもなく、
僕が訳していくノートをただひたすら眺めながら髪を拭いていた。
インターフェイスをつけず、髪をおろしていると少し感じが変わる気がする。
いつもと違って色っぽく感じるには髪が濡れているせいだろうか?
ふと、アスカの頬に気づく。
擦り傷?血がにじんでいる。
戦ってる時にでもできたのかな。
856:GREEN DAYS
09/10/02 20:54:02
「アスカほっぺた、ケガしてる。治してあげるよ」
「いいわよ、別に。たいしたことないから」
「でも、女の子の顔なんだから痕が残るといけないし」
「シンジは余計な体力使わなくていいわよ」
「少しは頼ってよ。僕に治させてよ」
僕は立ち上がり、アスカのそばに近づく。
「いいってば!」
そう言って逃げるアスカを追いかけているうちに、壁際まで追いつめていた。
手首を抑え抵抗できないようにする。
細い手首。女の子ってこんなに細いんだ。
アスカの何も言わず蒼い眼で僕を見つめている。
どうして僕はここまでやってしまったのか。
…ここまできたなら。
キスをしてやろうかぎりぎりまで迷ってやめた。
代わりに舌先で傷を味わう。
「んっ」
アスカがぴくっと反応した。
熱い感触。
「…傷、治ったよ」
僕は汗ばんでいた掌を握りなおした。
アスカは傷があった場所を指先でそっと触れながら、長い睫を伏せてつぶやいた。
「…他の女を舐めた口であたしに触れないで」
アスカを舐めたのはこれが2度目だった。
続きます。
857:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 20:55:52
GJ!!!
ぺろぺろ
858:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 21:18:47
おおGJ!
もっと過激なペロペロになりそうなら、エロパロに投下して欲しい
859:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 21:28:33 4ybBBFQ5
非18禁マイナーなギャルゲーSS コンペスレ
スレリンク(gal板:1-100番)
なぜ 下の作品の二次創作が少ないのか?
SS作家様たちに 下の作品 SSを書いてくれといって 頼みたいです。
1. 初恋ばれんたいん スペシャル
初恋ばれんたいん スペシャル PS版は あまりのテンポの悪さ,ロードは遅い(パラメーターが上がる度に、
いちいち読み込みに行くらしい・・・)のせいで、悪評が集中しました。ですが 初恋ばれんたいん スペシャル
PC版は テンポ,ロード問題が改善して 快適です。 (初恋ばれんたいん スペシャル PC版 プレイをお勧めします!)
初恋ばれんたいん スペシャルは ゲームシステム的にはどうしようもない欠陥品だけど。
初恋ばれんたいん スペシャル のキャラ設定とか、イベント、ストーリーに素晴らしいだけに
SSがないのが とても惜しいと思います。
2. エーベルージュ
科学と魔法が共存する異世界を舞台にしたトリフェルズ魔法学園の初等部に入学するところからスタートする。
前半は初等部で2年間、後半は高等部で3年間の学園生活を送り卒業するまでとなる。
(音声、イベントが追加された PS,SS版 プレイをおすすめします。) 同じワーランドシリーズなのに
ファンタスティックフォーチュンSSは多いのに 似ている 魔法学院物なのに ネギま、ゼロの使い魔 SSは多いのに
エーベルージュのSSがほとんどありませんでした。
3. センチメンタルグラフティ2
センチメンタルグラフティ1のSSは多いのにセンチメンタルグラフティ2のSSがほとんどありませんでした。
前作『センチメンタルグラフティ1』の主人公が交通事故で死亡したという設定で
センチメンタルグラフティ2の主人公と前作 センチメンタルグラフティ1の12人のヒロインたちとの感動的な話です
前作(センチメンタルグラフティ1)がなければ センチメンタルグラフティ2は『ONE~輝く季節へ~』の茜シナリオを
を軽くしのぐ名作なのではないかと思っております。 (システムはクソ、シナリオ回想モードプレイをおすすめします。)
860:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 21:51:57
DISTRESSさん、ヤンデレ式波の続きまだですか?
861:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 22:21:32
>>856
GJ!
>「…他の女を舐めた口であたしに触れないで」
これ超ぐっときた!続きワクテカ
862:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 22:51:26
prprwktk
863:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 23:28:02
舐めんなよ!
ペロペロ
864:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/02 23:29:16
>>856
乙 設定が面白い!
865:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 19:24:30
ぬぬぬ…
ぺろぺろ^^
866:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 20:17:21
ペロぺーロ
867:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 20:21:03
>>860 DISTRESSってコテハンじゃないって言ってたろww
と言いつつ続き期待(^^;)
868:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 21:15:56
苦悩さんだペロ
869:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 23:08:00
ペロペロとDISTRESSの続きはまだですか・・・
870:maTsu
09/10/03 23:54:04
投下します
みなさん、maTsuをNGワードに
871:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/03 23:54:10
ハァ~
レロレーロ
872:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/10/04 00:27:14 l5Relumt
ふぅや入れ替わりはどこへ消えたんだ
873:maTsu
09/10/04 00:34:22
自分が嫌いだった。
他人を傷つけてしまう自分、素直になれない自分、弱い自分が。
でも、それでいいと思ってた。
私の、精一杯の強がりだ。
「アスカ?」
聞き慣れた声がした。
ふと顔をあげると、帰り支度を終えたシンジがいた。
「帰ろうか。」
「・・そうね、帰りましょ。」
874:maTsu
09/10/04 00:35:28
いつもの道をいつものように二人で歩く。この時間は、嫌いじゃない。
むしろ、心待ちにしてる自分がいた。
「アスカはさぁ。」
話の途中でシンジが言った。
「アスカは、笑ってなきゃだめだよ。暗い顔、悲しい顔したらダメ。」
「何よ急に・・私はそんな」
シンジは私の顔をしばらく見つめた後、クスッと笑って
「なんてね。ただ言いたかっただけ。」
「・・バカ?」
シンジは、いつもこう。私が求めている言葉を、求めている時に言ってくれる。
まるで、私の事を全部分かってるみたいに。
好き。大好き。すごく好き。ホントはすごく言いたいのに、私にはそんな勇気もない。
「アスカ」
「?」
「・・手・・つないでいい?」