LAS小説総合投下スレ20【N3】at EVA
LAS小説総合投下スレ20【N3】 - 暇つぶし2ch550:黄昏オレンジ
09/09/19 20:55:53

そんなことは…まぁいいか。世の中にはこんなやつもいるだろうし。気にしない。

ほどなくしてアタシはお風呂から上がった。
そしてカヲルもお風呂にむかった。

その日の夜、アタシはとても疲れていたのですぐにうとうとし始めてしまった。
カヲルはアタシに布団と寝床を貸してくれた。
カヲルは1人リビングで寝るらしい。襲ってこないか心配だったけど、彼はそんなことはしなかった。
そしてアタシは深い眠りについた。


…あの少年がアスカのことを必死に街中探しまわっていることも知らずに…

翌日からアタシ達はあちこち散歩をしては買い物に行き、家でぐだぐだして過ごす日々が続いた。
彼の学校はまだ休みらしく、出かける場所もあまりないのだという。

そしてカヲルはずっとアタシのそばに居てくれた。
安物だったが、アタシの服も買ってくれた。
常にアタシに気をつかって優しく接してくれた。
そんな彼にアタシは段々惹かれていった…



551:黄昏オレンジ
09/09/19 20:57:18

**********

―その頃あの少年は―

「はぁはぁはぁ…アスカ…どこへ行っちゃったんだろう…」

彼女が失踪してから彼は毎日々々街を走りまわっていた。
そのおかげでここ一週間で2kgも体重が減っていた。
しかし彼女は一向に見つからない。
悲しいかな、彼女が散歩からカヲルの家に帰った数分後、そのアパートの前を少年が通り過ぎたこともあった。


残念ながらこの努力がいい意味で報われることはないことを…少年はまだ知らなかった。

**********



552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 20:59:36
しえん

553:マリン@marine
09/09/19 21:00:36

今日はこの辺で。

次回は最初がイタいです。

ではまた。



554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:02:19
乙です…
カヲルが絡むのかぁぁぁぁ…

555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:07:32
イタモノならイタモノでいいけど、
それがLAS小説としての魅力を増すためである事に期待する
イタモノのためのイタモノは糞

556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:08:05
カヲルが絡むほど原作レイプLASレイプは無い
と個人的には思うのでNGさせて頂きます^^

557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:11:28
>>555
>イタモノのためのイタモノは糞
その通りだわ
大抵のイタモノって、ただ痛くすればいい
みたいな無意味なもんだからな

558:マリン@marine
09/09/19 21:22:48

一応カヲルとアスカは行き過ぎた関係にはなりません。

次回は最初のみイタモノです。



559:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:27:08
「優しいキスをして」の続きです。
一応これで終わり。
荒らしてすいません。
以上です。
では投下します。

560:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:28:48
〔告白〕
 ある平日の夕方    
僕は居間でアスカと向かい合わせで座っている。
話をするでもなくただそこに座っているだけだった。僕はアスカのことを見ていた。
僕はアスカの事しか考えていなかった。考えないようにしても考えてしまう。
アスカを見るとドキドキとしてしまう。
でもアスカが側にいないと不安になりざわざわしてしまう。
教室でもアスカの事を見てしまう。この気持ちはなんだ、僕はどうしてしまったんだ。
胸が締め付けられるように苦しい感じだ。
「シンジどうしたの? あたしの顔を見ているけどなんか付いているの?」
僕はアスカから目を逸らした。でも僕は気になってまた見てしまう。
「何も付いていないよ。大丈夫だよ」
アスカは目を細めて首を傾げている。
「シンジ今日の晩御飯はなに?」
僕もあの時のアスカの気持ちを知りたいと思った。
「ねぇ、アスカ。僕のことどう思っているの?」
「え? 何? シンジどうしたの? 何言っているの?」
まあ、普通は驚くだろうね。晩御飯のことを聞いたのに、僕の事どう思うと聞いたら。
「だから! 僕の事をどう思っているの?」
「相棒で口うるさい同居人よ。それと…友達」
なんだか僕は胸がざわざわしてきた。
「熱は無いみたいね」
アスカが近付いてきて僕の額に触る。
「僕は病気じゃないよ」
「シンジどうしたの? あたしになんて言って欲しいの?」
僕は返答に困ってしまった。これを言えば後戻りは出来ない。
でも僕は覚悟を決めて言った。
「僕はもうアスカとキスをしたくない」



561:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:30:00
****************
あたしはその言葉を聞いて体が震えていた。シンジに嫌われた。
あたしはどうしたらいいんだろうか。この場から逃げたい。
「もう暇つぶしのキスはいらない。僕は本当のキスがしたい」
あたしはシンジの顔を見る。何を言っているのか分からなかった。
「僕はアスカが好きだ! だからこれからは本当のキスがしたい、遊びじゃないキスが」
あたしはシンジの告白に驚いていた。本当に突然だったから。
「シンジ…今…なんて言ったの?」
「だからアスカが好きだって言ったんだよ」
シンジの顔が赤くなっていく。シンジの体が震えているのが分かる。
あたしの鼓動が段々と速くなっていく。
「あたしも好きだよ」
あたしはシンジに近づいて頬にキスをする。
「え、あの…アスカ? えぇ!?」
シンジはその場にへたり込んだ。
「何であの時に言わなかったの! バカシンジ! 遅いよ!」
あたしは思わず怒鳴った。
「怒鳴ること無いだろ! …言いたかったけど…」
シンジはそのまま黙ってしまった。
「暇でキスしたのは初めだけよ。…でも本気だった!」
あたしはシンジの隣に座り自分の気持ちぶつけた。
「あんたのことが好きで堪らなかった。あたしに触れてほしかった。
あんたに抱きしめてもらいたかった。あんたとキスがしたかった。
あたしは本当にあんたのことが好きだからキスしたの!
あれは遊びでしたキスじゃない! あたしはシンジが好き! 好きなの!」
いつの間にかシンジの手を握っていた。
「僕は…告白するのが怖かった。出来れば言いたくなかった」
シンジはあたしの手を握り返す。
「どうしてそんなことを言うの?」




562:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:31:38
「好きだといえば全てが変わってしまう。普通に会話が出来ない。
普通に喧嘩ができない。普通に君を見ることができない。…君と一緒に戦えない。
好きだと言いたいけど言いたくなかった。その先に進むのが怖かった。
ずっと胸にしまって置けばよかったんだ。そうすれば普通の関係でいられたんだ。
相棒でいいんだ! 口うるさい同居人でいいんだ!友達でいいんだ!
クラスメートでいいんだ! …でもそれは無理だった。
アスカを好きという思いが段々と強くなっていく。
僕は…アスカが好きでどうしようもない!
…人を好きになるのは簡単だけど、それを相手に伝えるのは怖い。…僕は…怖かった」
シンジは叫ぶように言った。
初めてシンジの気持ちを聞いた。シンジが好きだ。シンジが好きでどうしようもない
あたしはシンジを抱きしめる。
「あんたはあたしと同じだよ。あんたのことをずっと見ていたんだよ。
あんたのことをずっと思っていたんだよ。知ってた? 」
あたしはそう言いながらシンジの頬にもう一度キスをする。
「アスカの気持ちに気づかなくて御免よ。好きだよ」
シンジはお返しとばかりにあたしの頬にキスをした。
「ねぇ、シンジ。…あたしの事いつから好きだったの?」
シンジは困った顔をして横を向いた。
「ユニゾンの時からだよ。…それとも君を溶岩から無我夢中で助けたときかな?
暇だからキスをしようかといったときかな?…わからない」
シンジの耳が赤くなっていくのが分かった。
「初めて私を見たときはどう思ったの?」
「いや…あの…かわいいと思ったよ」
あたしはシンジの手を掴み自分の胸に当てた。シンジは驚いた顔をしている。
「アスカ! な、何しているの?」
「あたしの心はあんたのものよ!」
「アスカ…聞こえるよ…ドキドキしている」シンジは顔を真っ赤にして答えた。





563:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:33:02
   @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
「シンジあたしにキスをして抱きしめてよ。…言っとくけど遊びじゃないよ!」
アスカは立ち上がり僕に微笑んで僕に手招きをした
「その前に…ちょっと…トイレに行きたい!」
「あんたバカ!」
微笑から鬼の形相になった。
「バカシンジ! せっかくのムードを壊さないでよ! もう!」
「うう…ごめんよ。我慢していたんだ。…本当にごめんよ」
覚悟はしていたけどこんなに怒られるとは思わなかった。でも、いつものアスカだ。
僕は突き刺さる視線を後ろに感じながらトイレに駆け込んだ。
トイレに入ると鍵を閉めた。
「ぐぅ…うう…あぅ…よ…がった…うぐぅ…ほん…とうに…」
僕は泣くのをずっと我慢していた。
初めて人を好きになって僕はその子に告白した。
もし僕が告白して、アスカが僕のことを好きじゃなかったらどうしよう。
そんなことを僕は考えていた。ずっとそんなことを考えていた。
でもアスカは僕を好きだと言ってくれた。ずっと僕を思っていてくれた。
不安だった。怖かった。悩んでいた。そして僕は安心した。本当に良かった。
「シンジ早く出てきてよ」
アスカはドアをノックしたが僕は返事ができなかった。
返事をしたら泣いているのが分かってしまう。僕としてはかっこ悪い。
「シンジ…泣き終わったらあたしを抱きしめてね。
それとも…あたしも一緒に泣いてもいい?」
僕はその言葉を聞いて思わず声を上げて泣いてしまった。
「…アズガ…だいずぎだよ…ずっと…ぼぐのぞばにいでよ」
「…あたしも…大好き…だよ…シンジ…ずっといるよ」
                             END
                  



564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:03:36
糞だな

565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:10:05
おっつ!

566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:14:18
スルー検定実施中

567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:24:53
記憶喪失とかカヲルでもう先が見えてきておなかいっぱい。



568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:33:08
if氏の作品は普通の恋愛小説としては良いと思う。
だがLAS小説としてはダメだな。

569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:35:17
>荒らしてすみません
自覚あるなら来るなカス

570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:36:31
>>568
既存SSの二番煎じネタばっかじゃねーか

571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:39:52
ifは内容やレベルじゃなくてif自体が嫌いだから読まない

572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:43:35
なんつーかいちいちキャラのセリフがキモすぎる

もはや厨二とか通り越して普通にキモいだけ

573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:56:25
つまらんSSばかり・・・
入れ替わり続きを早く投下してくれ!

574:543
09/09/20 00:07:07
 ご無沙汰しております。
 連休中の時間を遣い毎度毎度寸止めSSをば投下。
 前回のお月見の続きになってしまいましたです。
 書いているうちに長くなったので、数回に分けて投下することになると思います。


 冗長なのが苦手・弱気アスカが苦手な方のNGワードは

空を見上げて

で、お願いします。

575:空を見上げて
09/09/20 00:08:22

 日曜日だというのに、何もすることがない。
 ミサトは早々に結婚式に参加するとかで、香水の臭いを撒き散らしながら出て
いったし、シンジは家事に熱中して全く相手にしてくれない。
 ソファでテレビを見ているのにもいたたまれず、掃除を押し付けられる前に部屋
に逃げ込んだ。
 ゲーム機をいじりながら電源を入れるかどうかで迷う。
 電源をいれて世界に入り込んでしまえばそれで済む話なのに、真っ黒な画面を
眺め続けていた。
 自分で自分が何をしているのか解っていない。
 いつのまにドアの向こうの人の気配を無意識に追いかけていた。
 しばらく忙しそうに駆け回る。音が止み、溜息が一つ聞こえて隣室の襖の開く
音がした。
 少し猫背気味のうなじや、見慣れたエプロン姿を想像すると、不思議と心が落ち
着く。まだ、長時間あの顔を眺め続ける勇気はないのだけれど…。
『やっぱ手伝えばよかったかな……』
 ズボラで面倒くさがりな自分の性格が恨めしい。というより、一緒にいたいのに
いざとなると怖気づく自分が嫌なのかもしれない。
 お茶もシークァーサージュースも好き。でも、一緒に飲むのがもっと好き。
 けれどいつも一緒のときは、シンジから声をかけてくれた。喧嘩して不機嫌な
シンジから無視されると、必死になって出さない表情の下で、激しく動揺する自分の
脆さに戦慄することもある。
 一人でこんな事を考えていると、出口のない迷路で取り残されている気がして
辛かった。
 ゲーム機をベッドに投げ出し、枕に顔を埋めてくさくさした気分を誤魔化した。
『やばいなぁ……』
 こうやってノッドに沈んで行く時は、些細なことで平常心を失いやすい。この状態
でシンクロテストのときに、何度追い込まれたか知れないというのに…

576:空を見上げて
09/09/20 00:09:23
 周りの音に反応が鈍くなる嫌な感覚に覆われそうになった時、懐かしい曲が隣から
聞こえてきた。
 ベッドでなんとなく居住まいを正して壁の向こうに耳を傾ける。
 口で呟きながらメロディを追いかけ、やっぱりいい曲だと思った。
 シンジはどうしてこう私の琴線に触れる事をするのだろうか?
 一通りメロディを追いかけた後、シンジのチェロは迷いなく音を奏ではじめた。
 立ち上がって軽く目元を拭うと、部屋の襖を開ける。リビングから玄関に少し
湿った風が吹き抜けた。
 ああ、エアコンの効いた部屋で燻っていたから、こんな風のことも忘れていた。

 半開きになっていたシンジの部屋の襖を開けて、何が入っているかも忘れた
荷物のダンボールに腰掛ける。
 シンジは気配に気付いてこっちを少し見たけど、すぐに気持ちよさそうに演奏
を続けた。
『良かった。演奏止めなくて』
 どちらかというと演奏に浸っていたかったので、自分の世界に入り込んでくれて
いた方がありがたい。
 音が伸びるところはノリノリで弾くのが好きらしく、普段の大人しいシンジとは
ちょっとかけ離れた荒っぽい音を出す。
 弾き終わった後少し格好つけてシンジが弦を振りかざす。得意そうな仕草がガキっ
ぽさの顕れに見えた。でもそれは嫌いじゃない。
「これ、いい曲だね」
 弾いてて楽しかったのか、シンジは屈託がない。
『いい【歌】の間違いでしょ?バカシンジ』
「ミサトに難癖つけられたときにこの曲知ってると楽できたのに……役に立たない
わね」
「あはは、ごめん」
 断言できるけど、この態度は謝罪じゃない。

577:空を見上げて
09/09/20 00:10:27
 ゴンドラの唄は本来しんみりした曲のはずだけど……。シンジの演奏を聞いて
いると、あのベランダの乱痴気騒ぎを思い出させる。どうも人間というのは、
最初のイメージで結構固定されちゃうものらしい。
 その辺は私も似たようなものだったりする。教えてもらっていたのが大概夜の
屋外だったせいで、ゴンドラという舟がどうも月夜に漕ぐ物だと思っているの
だから……
『あ、なんかゴンドラ乗りたくなってきた』
 ゴンドラがどんな舟か良く解らないけど、まあボートみたいなもんだろうと思う。
 幸い日本に来る前に読んだ観光ガイドに、芦ノ湖で貸しボートをしてくれるのを
事前情報で掴んでいた。同じ舟なんだから、ボートもゴンドラも似たようなもの
だろう……。
「ねえ、シンジ」
「何?」
「舟、乗りに行こうよ」
「は、はぁ……」
 シンジがなんとも形容しがたい顔でこっちを凝視する。その顔に思わず吹き出し
そうになるのを必死で我慢した。


578:空を見上げて
09/09/20 00:12:34
 *

 気乗りしないシンジの言い訳を一つ一つ封殺して、やっと重い腰を上げさせる。
 毎度の事ながら、この消極的な性格は直してもらいたい所だ。
 二人でどこかに行くなんて、学校の往復や買い物以外は初めてじゃないだろうか?
 溜息ついてシンジが台所に立つと、私も部屋に篭もって姿身の前で色々ポーズ
をつけてとっかえひっかえ格好をチェックする。
「な、何着てこ、何着てこ……」
 いつの間にかベッドの上は、クロゼットの中身をほぼひっくり返した状況に
なった。
 今まで制服を着ている時間が圧倒的に長かったので、実のところあまり私服
には自信がない。日本に来るときも、知り合いの女性士官に頼み込んで付き合って
もらい、服を調達してきたくらいだ。
 日本に来て買い揃えた服も、ミサトや赤城博士は全く当てにならず、どこか
自信なげなヒカリの助言に従って買った物が多かった。
 結果選択した格好は、ローライズ気味のスリムジーンズにドイツ代表のレプリカ
Tシャツ、その上に薄手のサファリシャツを羽織って、『C』の文字が入った真っ赤な
サンバイザーという出で立ちだった。
『っうし!』
 気合を入れて襖を開けると、台所で部屋着のままシンジがまだ何か作っていた。
 珍しく食卓の上が食材の山で軽く戦争状態になっている。
『わ、サンドイッチだ!』
 一瞬相好を崩した私の顔に全く気付かないくらいシンジはキッチンとテーブルを
往復していた。
「ホラ、早くしなさいよバカシンジ…」
「ちょっと待ってよ。サンドイッチくらい作っていくから……」
 無駄のない動きで準備するシンジを惚れ惚れと眺めていると、少し気が立った
感じで応援要請を受けた。
「急ぐんなら、手伝ってよ!」
「着替える前に言ってよもう……」
 むっとして口ではそんな事を言いつつ、いそいそ部屋にとって返してエプロンを
つけ、一緒に台所に立つ。

579:空を見上げて
09/09/20 00:14:38
 やることと言えばパンにバターを塗るのとハムを挟む程度だけど、色々手順や
作るものの相性だとかを、シンジが喋るのを頭の中に刻み込んだ。
『ふんだ、いつか見返してやるんだからね』
 心の中でそう思いつつ、いつの間に作業に没頭してしまった。
 シンジはサンドイッチを切り分けると、私にランチボックスへの詰め込みをお願い
して自室へ消える。
 任されたのを意気に感じて、彩りを考えながら切り分けられたサンドイッチを詰め
込む。慌しく出てきたシンジはランチボックスを覗き込んで少し感心したような感じ
だった。
『どうだ!こんくらい私にもできるんだからね!』
 心の中でそう喝采を上げていたけど、極力そんなことは表に出さないよう心掛けた。
 頭撫でてくれるくらいしてもいいと思うのだけど……するわけないか。
 シンジはランチボックスに蓋をして手早く包んでデイバッグに放り込むと、私を
せかして玄関に向かった。
「バカシンジ、ちょっと待ちなさいよ」
「なんだよ」
「襟直したげるから」
「え?あ、ありがと」
 玄関で靴を履く最中のシンジのポロシャツの襟を直すと、シンジは照れ隠しに
微笑む。

580:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 00:16:36
読みにくい

581:空を見上げて
09/09/20 00:16:56
 ポロシャツにストレートのジーンズ、そしていつもの休みの日用のスニーカー。
ポロシャツというか、もしかしたらラガーシャツなのだろうか?今まで見た事が
ない服。真っ黒で胸元にALL BLACKSというロゴが書いてあった。
 見慣れない黒い服が、元々華奢なシンジに不思議な妖しさを醸し出す。
「アスカ、どうしたの?」
 襟を掴んだままシャツをじっと見る私にシンジが不思議そうな目を向ける。
 慌ててシンジから離れると力任せに背中をひっぱたいた。
「な、なんでもないわよ!ほら、早く行きなさいよ!」
 ばちんという綺麗な音の後で、シンジが一瞬息を詰める。
「っったーーー!!アスカ手加減くらいしてよ!」
 バカ者め、心構えがなってないからそういう事になるんだ。

 ……と、いう事にしておく。照れ隠しだなんて誰が言うもんか。


つづく!

582:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 00:27:54
とりあえず乙
ここんとこイタモノやifしか来てなかったからありがたい

583:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 00:30:48
ちょっとサンドイッチ買ってくる

584:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 01:00:08
うんこみたいなSSしかないなこのスレ

585:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 01:25:46
>>553
カヲルがきましたかぁ…。苦手パターンですw
体持ってかれる系より、心持ってかれる系のがまた苦手なんで、自分にとっては相当激イタです。早くシンジと結ばれてくれええええ!!

>>563
ラスト、トイレで泣いちゃうのが可愛いですね。泣き方は濁点多くて可愛くなかったけどw
キスして仲直りより、会話で終わったのが良かっと思います。

>>581
相変わらず上手いですねぇ。癒されます!続き楽しみにしとります。

586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 01:37:22
>>584 なんか書けよ

587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 02:36:40
>>581
GJです!いつも楽しませてもらってます!

588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 09:15:30
>>563
いやぁ笑ったw
流石ifさん、ギャグSS書きにでも転向したらどうです?

>>574
乙です。中途半端に終わってしまった感じだけど
イタモノラッシュだった分、癒されたw続きまってるよ~



589:猫シンジ
09/09/20 20:31:56
>>503からの続き

 あの後、アスカに抱きしめられた僕は同じベッドで一夜を明かした。
―と言葉だけなら大人っぽい展開なんだけど、残念ながら僕はヌイグルミの役だ。
見上げれば天使のような寝顔で可愛い寝息を立てているアスカ。
そのたゆんとしてむにゅっとした胸に細くて柔らかい腕に僕は捕縛されていた。
かなり嬉しいけど暑くて苦しくて柔らかい。
逃げようと動くたびに寝言で「シジ……」とか「シンジ……」って呼び止めるのは反則だ。
おかげで僕は色々と神経が高ぶって一睡も出来ずに朝を迎えるはめになったよ。
ふぁー、眠い。

 翌日、猫にされてしまった僕はアスカと平穏な朝を過ごしていた。
「あれとこれと……ついでにこれも入るわね」
 溜まりに溜まった洗濯物をポイポイっと脱衣所の洗濯機に詰め込むアスカ。
昨夜みたいに僕の服を着るような状況じゃ駄目だと気が付いたらしい。
全自動洗濯機だからアスカでも大丈夫だね。ミサトさんにも使えてたんだし。
女の子は家事が出来なきゃ、とは思わないけど出来るなら間違いなく好印象。
家庭的って以外にも綺麗好きとかシッカリ者ってイメージがあるからね。
「えーと洗剤はこんなもんかな?」
 ドザーっと凄い大雑把に入れましたよアスカさん。お徳用パックの半分くらいを惜しみなく。
最初に説明書を読まないタイプだね、絶対。
あーあ。自信満々にスタートスイッチを入れた。僕しーらない。
「後は待つだけっと。洗濯なんて楽勝じゃん」
 とか言いながら台所で満足気に麦茶なんか飲んでるよ。腰に手を当ててグイッと。
働いた後の一杯は美味しい、ってやつかな。まだ汗も流れてないよアスカ。
「さーて洗濯機が止まるまで軽く掃除でもしちゃおっかなー」
 ねぇ、掃除でも色々しちゃうの?

590:猫シンジ
09/09/20 20:33:02

 掃除もまずは形から、ってことでエプロンと三角巾を付けてたアスカ。
また僕の物を勝手に使うなんて、何だか恥ずかしいじゃないか。
「んー、エプロンなんて似合わないと思ってたけど……」
 気に入ったのかさっそく鏡の前で色々とポーズを取り始めた。
ハタキを持ったり、長ホウキを持ったり、上目使いしてみたり。掃除しようよ。
そんな願いがアスカに届いたのか、得意気に長ボウキを振り回して掃除開始。
一掃き二掃き、くるくるっと長ホウキを回して三掃き四掃き、くるくるっと……
そういえばアスカってソニックグレイブやスマッシュホークといった長物が得意だっけ。
何だか華麗な武器の演舞を見ているような気がして来たよ。
掃除には何の関係もないと思うけど、問題もないし楽しそうだから良いか。
 ガシャーン!
「あ…やばっ!」
 前言撤回。明らかに問題がある。テーブルにあったコップが落ちて粉々だよ。
って割れたのは僕のコップじゃないか。どうしてそれがテーブルにあるのさ?
まさかさっきの麦茶もそれで飲んでたんじゃ?
だらしないって言うか、大雑把にも程があるよアスカ。大体それって間接キッ……
「シジ、ガラスは危ないからテーブルに乗ってなさいね」
 ヒョイッと僕はテーブルに摘み上げられた。
割れたガラスを片付けるアスカの方が危ない気がするよ。無理して怪我しないで。
「うにゃん?」
 ふとテーブルを見ると、僕の席には箸や伏せた茶碗が置かれている。
まるでこれから食事するみたいに。
もしかして僕が僕が猫になった晩から置きっぱなしなんだろうか。
ううん、他は薄っすらホコリを被っているのにここだけ妙に綺麗だ。ちゃんと拭かれてる。
僕が帰って来た時の為にずっと準備していてくれたのかな。
猫の視界は低くて今まで気が付かなかったよ。
何だか嬉しいな。待っててくれる人がいるって。

ちなみにアスカが麦茶を飲んだコップは別にあった。少しだけ残念。

591:猫シンジ
09/09/20 20:34:49

 洗濯機が停止した音を聞き、意気揚々と脱衣所のアコーディオンカーテンを開けたアスカ。
「キャー!!! 何よこれぇぇぇ!!!」
 案の定というか当然というか、脱衣所を埋め尽くしていた泡が一斉に襲い掛かったらしい。
凄いね。子供向け番組に出てくる泡の世界とかそういう感じで。ふわふわのもこもこ。
アスカも泡だらけ、僕も泡だらけ。
「あはっ、おっもしろーい!! ほーらほらシジー!」
 手に乗せた大量の泡に息を吹きかけると無数のシャボン玉になって部屋を舞う。
キラキラ光りながらふわふわ飛んで壊れて消える。外だったら虹が出そうだ。
子供みたいに無邪気だなぁ。うん、凄くいい笑顔だよ。
「ふにゅう……」
 唐突だけど僕はアスカが平常心ランニング一枚なことを思い出した。
今は僕もアスカも泡で遊んでびしょ濡れ。うん、凄くいい眺めだ。
「雪ってこんな感じなのかしらねー?」
 両手で泡を巻きちらすと確かに雪に見えなくもない。
僕も写真や映像でしか見たことしかないけどね。
「にゃーん! にゃんにゃん!」
 そして僕らは泡が消えるまでの30分程をたっぷり楽しんだ。
そして泡が消えてから3時間ほどかけて洗剤だらけになった室内を掃除した。
はしゃぎ過ぎだよアスカ。着替えたシャツがもう汗びっしょりじゃないか。
「もう駄目ー。今日の掃除は終了ー!」
 大の字に転がって終了宣言って、洗濯は失敗、掃除はコップを割っただけだよ。ねえってば。
諦めないで説明書を読んでからもう一回洗濯機を回そうよ。
「なゃごなゃーご、にゃんにゃん!」
「お腹減ったのシジ? そうね、お昼御飯にしよっか」
 違うってばー!!

592:猫シンジ
09/09/20 20:37:31
 インスタントのお昼を食べ終えたらクリーニング屋さんへ。
結局洗濯物はまとめてクリーニングに出すことに。多分ミサトさん以下だよアスカ。
「最初からこうすれば良かったのよねー。あ、支払いはネルフカードで」
 第三新東京市ではレジでの支払いの大半はネルフのIDカードで済ませられる。
現金を持ち歩かないで住む半面、使いすぎには注意。
特に僕らの場合はミサトさんの口座から引き落とされるから何に使ったかもバレちゃうからね。
「あれ? アスカがこんな所に来るなんて珍しいね」
「ヒカリ久しぶり。元気だった?」
 委員長の洞木さんだ。手にした紙袋に沢山の衣類を入れている。
そういえばネルフに勤める親御さんに着替えや差し入れを持って行ってるんだっけ?
僕も父さんに何か差し入れでもしてみようかな。

 小さな公園のベンチでアイスを齧りながら一休み。
「大変そうね。やっぱり家事は交代でやってるの?」
「そうなんだけど、ちょっとミサトが洗濯物を溜め込んじゃって…あはは」
 サラッと大嘘を吐いたね。大人は嘘吐きだって言うけど女の子も嘘吐きだよ。
素直なアスカもそれはそれで恐いけどね。
「それよりも鈴原とはどうなのよ。もうデートとか行った?」
 誤魔化すように振った話題で洞木さんが耳まで赤くなる。分かりやすい人なんだな。
でも洞木さんがトウジを好きだなんて全然気が付かなかったよ。
「じ、実はね。明日の夏祭り、一緒に行こうって誘われたの」
「日本のサマーフィスティヴァル? そんなのがあったんだ」
「そんなの、って聞いてないの? アスカは碇君が誘うからいいって鈴原が……」
 そういえば一週間くらい前にそんな話をトウジとしたような。
出撃したり猫になったりですっかり忘れてたよアハハハハ……ごめんなさい。
「あの……もしかして碇君と喧嘩しちゃったとか?」
「別に。アイツ、ちょっと実験でヘマしてさ。夏休みを棒に振りそうな状態なのよ」

593:猫シンジ
09/09/20 20:38:22

「まさか大怪我とかしちゃったんじゃ……」
「大丈夫。ちゃんと元気だから。実験が終わるまで会えなくて話せないだけ……」
 そう言って僕の頭を撫でた。少し悲しい顔をしたような気がする。
僕はここにいるんだよな。言っても信じてもらえないだろうけど。
「じゃあアスカも一緒に夏祭りに行こうよ! 綾波さんも誘ってみんなで」
「折角のデートを邪魔しちゃ悪いし、余計に寂しいからパス」
 デートだと思って行ったら友達一杯、僕ならかなりへこむかも知れない。
キミとはデートしたくない、考えてないって意思表示だもんね。
「ヒカリだって鈴原が友達を連れてきたら嫌じゃなくても、ガッカリするでしょ」 
「……うん」
「決まりね。ヒカリは鈴原と。あたしはミサトや優等生と一緒に行くから心配しないで」
 空元気か気使いかニッコリ笑う。女の子同士の友情ってやつかな?
夏祭りを楽しめると良いね。お幸せに。
「ところでヒカリ。その衣類を届けるんじゃなかったの?」
「あ! もうこんな時間、バスが来ちゃう。じゃ明日ね」
 元気に手を振って洞木さんが駆けていく。夏祭りでデートか。いいなあトウジ。
もしも僕がアスカを誘ったら、一緒に行けただろうか?
お祭に興味ないかもしれないし、二人で行くのは渋るかもしれない。
でもそうしたらきっと僕は「みんなも誘っていこうよ」とか言っちゃうんだろうな。
自分が言われてへこみそうな事を平気で言いそうだなんて、駄目だなぁ僕。
「そっか。シンジが誘ってくれるはずだったんだ……ちぇ、ハズレか。残念ね」
 何も書いていないアイスの棒を掲げて空を仰ぐ。顔は見えないけど悲しそうな声。
よーし決めた。僕は駆け出すと道端に張られた夏祭の告知ポスターにしがみ付いた。
「うにゃーん! にゃにゃにゃーんにゃん! みゃうん!」
「なーに、まさかあんたが夏祭りに誘ってくれるっての? ふふふ。ハイハイ、ありがとう」
 僕を抱き上げながら楽しそうに笑った。僕までなんだか嬉しくてポカポカしてくる。
うん、やっぱりアスカに悲しい顔は似合わない。僕は笑顔のアスカが好きだよ。

<つづく?>

594:猫シンジ
09/09/20 20:39:26
クリーニングっていうか本編にも出てきた大型ランドリーですね。
アスカはそれすら人任せでクリーニングを注文しましたw
夏祭りですが、この時期だと(海の底になってる)小田原城提灯祭か花火大会しかないんで、
捏造の第三新東京市祭りとかで勘弁してください。

595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 20:58:08
乙!
少しずつだけど話が動いてきたね
続き期待してますっ

596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 21:18:45
もう本当にGJです!

597:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 22:16:50
ぬこシンジいいなあ。つか羨ましいわw

新劇アスカって旧より不器用な感じするよね

598:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:00:38
短いネタで童話的なおはなしです。
NGワードは

毒針の使い方

です。

599:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:02:29
あるお花畑に可愛らしい二匹の蜂が住んでいました。
名まえはシンジくんとアスカちゃんでした。
ある日のこと、アスカちゃんがお花畑の上をるんるん気分で飛んでいると、小さな男の子がやってきました。
彼はお花畑を走り回ります。アスカちゃんは突然現われた男の子にびっくりして男の子の腕に毒針をチクリ、と刺してしまいました。
男の子は当然、わんわんと泣き出してしまいました。
『また他人をキズつけちゃった…』
アスカちゃんは自らの防衛本能をうらみ、ぽろりぽろりと涙を流しながらゆらゆらと巣に帰っていきました。
シンジくんは、いつものように優しく、おかえりと出迎えてくれました。
ただいまと言ったアスカちゃんの元気のなさに気付くと、心配そうな顔をして言いました。
「どうしたの、アスカ?」
アスカちゃんは俯きながらボソリと言いました。
「また人を傷つけちゃった…」
シンジくんは、アスカちゃんの自分を責める思いと後悔する気持ちを感じて、悲しくなりました。
少し場が静かになった後、おずおずとアスカちゃんは言いました。


600:毒針の使い方
09/09/21 00:04:01 48TDmZtn
「いつもの…お願い、出来るかな?」
「うん…いいよ」
シンジくんはのどかな笑みを浮かべて言いました。
二匹は近付き、見つめあい、シンジくんが大丈夫だよ、といった笑顔を見せると、アスカちゃんの前に跪きました。
その日中ずっと、シンジくんはアスカちゃんの下腹部の針を舐め続けました。
次の日の朝、シンジくんとアスカちゃんが目覚めると、幸せそうな顔で見つめあいました。
そして二匹はこう思いました。

『シンジは、絶対傷つけない。』
『アスカは、絶対傷つけない。』
二匹はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。


おわり


601:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:05:05
最初題名つけなくてすいません…
感想言って頂けたら嬉しいです。

602:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:13:29
>>597
表層的な面はね。本質的には惣流の方がずっと不器用。そこがまた魅力だと思うけど

603:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:18:16
式波は器用に生き方を変えられる子みたいだね。
彼女は隻眼になってもたぶんうまくやっていけるんだろうなぁ。

604:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:27:32
不器用って言われると高倉健を連想するからやめて

605:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:52:31
独特な話ですねw俺は割と好き

下腹部の針を舐めるシーンが妙にエロチックに感じてしまったw

606:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 02:08:51
>>511 続きです

「!!!」
意識が戻った。あれ、確か綾波の家を出ようとしたら・・・
今何時だ?あすか・・・ そうだアスカは?
帰らなきゃ。
「目が覚めた?」
「あやにゃみ・・・」
「ごめんなさい」
「えっ、何が?」
「碇君が眠ってしまったの、私のせいなの。赤木博士にいただいた液状睡眠薬・・・」
「それがどうしたの?」
「この部屋についた時に碇君に出したお水に入れたの」
お水? あぁ、あれか。
でも・・・ 動機がまったくわからない
「どうしてだよ。なんで?」
気付いたら声が震えていた。薬使って眠らせるなんて酷すぎる。
「たぶん、あなたが好きだから」
「へ?」
「私に心と呼べる物はないに等しかった。あったとしてもそこには司令しかいなかった。
でも気付いたらあなたがいた。碇君がいた。笑ってる碇君が」

状況が飲み込めない。いまの綾波の言葉・・・ 告白なのか?
だったらなんで今?
怒りは驚きと疑惑に変わった。
「・・・」
何も言えない。聞きたいのに聞けない。
「・・・昨日学校で碇君がセカンドと言い合いしてた時に私をかばってくれた。
うれしい。・・・よく人は言うけど私は感じたことなかった。

607:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 02:34:52
それを教えてくれた。
そんな碇君がセカンドと一緒にいるのが嫌だった。だから・・・」
うそだろ・・・ あの綾波が。・・・夢か?
しかも昨日って・・・
「・・・今何時?」
「午前四時三分」
どうしよう。アスカが・・・。
こんな状況でアスカの事ばかり考えて・・・ 僕は何なんだろう?
「綾波の気持ちはわかったよ。でも今はアスカの事が心配なんだ。だから帰らせてくれるかな?」
冷静だな僕。なんでだろ・・・
「・・・わかったわ。本当にごめんなさい」
「後で学校で。じゃあ」
バタン。

綾波レイは一人残された部屋で〔涙〕を流していた。

早く。急げ僕。
真っ暗な道を全速力で走る。
今なぜ僕がこんなに全力で走っているのか。
考えられる答えはただ一つ。
好きだから。
アスカが好きだから。
やっと気付けた。あまりにもバカすぎる。鈍感すぎる。ホントバカだな、僕。
アスカもバカにしたくなるわけだ。
アスカは怒っているんだろうか?着いて何すればいいんだろう?
わからない。でも急ぐ。


20分くらいかかってやっと着いた。階段をかけあがる。
部屋のドアノブに手をかける。心臓が破裂しそうだ。


608:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 02:57:40
いくら鈍感でバカな僕でも、部屋の前に着くと肌で〔何か〕を感じ取っていた。
何があっても逃げちゃだめだ。
覚悟を決めると部屋のドアノブを回した。鍵はかかっていない。
「た、ただいま」
「・・・」
もう寝てるのかな?
リビングに入るとアスカがいた。机にうつ伏せになっている。
「アスカ?」
「・・・」
「なんだ、寝てるのか」
僕をまってて寝ちゃったのかな? そう思うと胸が痛む。
「・・・起きてるわよ」
「あああ、アスカ!あのさ、実はいろいろあって・・・」
「ねぇ?」
「・・何?」
「愛って何だろ」
「え?」
「愛って何か聞いてんのよ! 耳付いてんの?」
「・・・そんな難しいこと、わからないよ」
「前ドラマでやってたんだけどさ。一人の少年がいて。その少年に想いを寄せる少女が二人いて。
少年は二人のうちからどっちも選べない優柔不断なやつだったの。
でもある日ついに決断を下して、片方の女と寝るの。
それを知ったもう片方が少年を殺して、死体と寝てから自殺するわけ。怖いわよねぇ~
・・・で、これも愛なの?」
「そ、そんなこと・・・」
「答えろって言ってんのよ!!」
いきなりアスカが顔をあげた。

609:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 03:19:19
「いつもいつも、わからないっていってごまかして。
自分から、みんなから逃げて。
だからあたしにバカにされんのよ!このクソバカシンジ!」
右手には鋭く光るものが握られている。
まさか・・・
「アスカ落ち着いて!僕が悪かったよ!」
「またすぐ謝って! あんたって本当にバカね。
・・・そいつに惚れたあたしはもっとバカって事ね」
「アスカ、今なんて・・・」
「もういいわ。一緒に逝きましょ」
「アスカ!!!」
できる限りの大声で叫んだ。
何も言わずにアスカに駆け寄る。
思いっきり抱きしめる。
「アスカ、好きだ」
アスカが腕のなかでビクッと震えた。
「僕はバカだよ。ホントに。大好きなアスカになら殺されてもいい。
でもこれだけは言っておきたかったんだ。」
「うっ、うぅ・・・」
泣いている。
アスカが。
また泣かしちゃったよ。最低だ僕って。
「し、証拠は?」
「それは・・・」
「だいたいファーストと寝たんでしょ? 人形と寝て楽しかった?
・・・あたしの初めて、あげようと思ってたのに」
さっきよりもっと泣いてしまった。胸のあたりが涙でぐしゃぐしゃだ。
「誤解だよ。綾波と寝てなんかいないよ。・・・でも、告白された。」


610:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 03:43:57
「あの人形ぅ・・・」
右手に力がこもってる。気が気じゃないよ。
「アスカ! でも断るから。安心して!」
「できない。証拠も足りない」
「じゃあどうすれば・・・」
「あたしの部屋にきて」
「わかったけどなにを・・・」
「・・・」
黙って僕の腕をつかみ部屋へと連れていく。
「服脱いで」
「は?」
「いいから脱ぐのよ!」
言いつつ机にナイフを置いている。
「アスカ、でもまだ僕たち中学生・・・」
「はぁ? 何勝手に妄想してんのよ?」
なんなんだよ。でもとりあえず脱ぐしかない。
パンツ一枚で立ってると、
「それも脱ぐのよ!」
と言ってきた。意味がわからない。
「ベットに横になって」
もうやけくそだ。全裸の状態で横になった。
「いい、あたしがやることに耐えてよ。動かないでよ。
目つぶって」
そう言うとおでこの端をなめ始めた。
それからは苦痛の時間だった。アスカが全身をなめてきた。文字通り全身。
もの凄く怖かった。興奮するとかそれどころではない。
いちいち「シンジの○○」と、今なめている所を言いながら事を進めていた。
どこか病的だった。
マーキングでもしているつもりなんだろうか? とにかくおかしい。


611:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 04:17:16
続きは後ほど。

たぶん。

612:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 04:22:52
乙です!リアルタイムで読ませていただきました

613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 05:32:08 3Uw0AIpv
小津

614:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 05:55:51
なんか寝れないから続き投下


でも耐えた。嵐が過ぎれば元のアスカに戻ってくれると思ったから。
なにより好きだったから。
アスカの意志は全くわからない。でも、今は受け入れよう。もう逃げない。


アスカが左足の小指をなめ終わった。これでようやく終わりのようだ。
「耐えたわね」
「耐えたっていうか、べつに・・・」
「気持ち悪かった?」
「ううん。どっちかって言うと怖かった」
「そ。まぁこれで第一段階は終了ね」
満足そうな笑みを浮かべる。狂気じみた、見ていて恐ろしくなる笑み。
「体、気持ち悪いでしょ。シャワー浴びてきなさいよ」
「いや、でも・・・」
「いいから早くっ!」
パチンと背中をたたいて言った。

シャワーで全身の唾液を流す。
アスカは病気なんだろうか?その原因は?
間違いなく僕だ。絶対。
気づいてあげるのが遅すぎた。好きって言うのが遅すぎた。
風呂場の壁を殴る。思いの一つ一つを込めて。
綾波になんて言えばいい?アスカは僕のこと好きなんだよな?なんでこんなに僕はバカなんだ?
怒りがわいてくる。自分への怒り。
手が切れて血がでた。でも関係ない。
ささやかな自分への罰。喜んで受けよう。


615:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 06:23:54
僕がしっかりしなくちゃ。アスカの病気は僕が治してみせる。
絶対に。
そう決心すると殴るのをやめ、風呂場を出た。
「すっきりした?」
「う、うん」
また笑っている。さっきとは別の、優しい笑み。
「おなか空いたでしょ?朝ご飯にしましょ」
朝ご飯?あ、そうかもう七時前だ。
「僕が用意するからアスカはゆっくりしててよ」
「そーお?たまには気が利くじゃない♪」
手早く調理していく。トーストに目玉焼きに簡単なサラダを作った。
「アスカ、できたよ!」
「はぁーい」
消毒液と絆創膏を持っている。
「アスカっ、怪我したの!?」
「はぁ、それあんたでしょ!」
「・・・見てたの?」
「どんどんって音したから見に行っただけよ。べ、別にいっつも見てるわけじゃないわよ!」
どーだか。本当に怪しい。うかつに行動できないや。
「ほらっ、手ぇ出しなさいよ!」
「う、うん」
さっきまでの様子はどこへ行ったんだか。
「ファーストに告られたって話ホント?」
声のトーンが変わった。注意して答えなきゃ。
「う、うん」
「くっ、あいつ・・・ でもただ振るだけじゃつまんないわ
散々見せつけて無理だって思わせた上で振ってやんのよ」


616:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 06:37:58
「そんな・・・」
顔が一気に歪む。
「ははぁん。やっぱあいつの事すk」
「違うよ! ・・・でも僕がそんな事する権利ないと思うんだ。いろいろ助けてもらったし」
「あんたばかぁ? あたしがいいって言ったらいいのよ!」
いつもの感じにさらに強力な〔何か〕が上乗せされていて、下手な反応したらすぐ崩れそうだ。
それだけは防がなきゃ。
僕たちは朝食を済ますと学校へ向かった。

617:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 06:39:33
ここで力尽きてみる

618:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 11:22:35
乙カレー

619:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 19:28:18
なんか投下するだけしといてすいません。久々の休日なんで爆睡してました。

一応解説っぽいのをすると、今回は「ヤンデレ~なアスカ」がテーマです。
あんまり重くなんないようにしたけど結構重くなってしまいました(汗)
初投下から無茶しすぎたかも・・・
こんなうんこ作品読みたくねーお、という人はNGして下さいませ。
あと少し続くんで応援してくれる方はよろしくお願いします。 

620:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 19:30:09

ちょっと怖い上、アスカが加害行為に走るなんてありえねぇとも思うがw
続き楽しみに待ってるよ

621:猫シンジ
09/09/21 21:35:51

「明日の夏祭りに行きたい、って言われてもねぇ。アスカ、行く気なかったわけ?」
 食事後、帰宅したミサトさんから身も蓋もないお言葉を戴いた僕たち。
普通は近所でお祭りがあったら行きますよねハイ。
「だってさ、夏祭りなんて何をするものかも分からないし……」
「なら教えてあげるわ。祭り…それは戦い!」
「た、戦い!?」
 大袈裟だなミサトさん。確かに神輿を担ぐ人たちは戦争みたいに気合入ってるけど。
僕も子供の頃に行ったっきりだから凄い人出にビックリしたけどね。
「食料調達のため小麦粉とソースの誘惑の中、自分好みの物を選び抜き……」
 普通のものなのにお祭りで食べると凄く美味しく感じるんだよね。
なんだかお腹が減ってきた。アスカも喉を鳴らしてるよ。
「そして掘り出し物を得るために数々の罠を潜り抜け、時には運に身をゆだね、勝利を掴む!」
 大当たりの入っていない当たりクジや売れ残りのオモチャ、射的にヨーヨー、懐かしいな。
ドイツにはそういうのは無かったのかな? 
アスカのことだから『子供っぽい』とか言って参加しなかったのかもしれないけど。
「要は少ない小遣いを効率的に使って楽しむイベントってわけね。簡単じゃん」
「ふっ。祭りの奥深さは直接参加した者でないと分からないわ……」
 なんか感慨深く歴戦の勇者ぶってますねミサトさん。
浴衣を着たミサトさんより、捻り鉢巻に法被姿で酔っ払ってるミサトさんが想像できるよ。
そういえばアスカは浴衣を着るのかな? 可愛いに決まってるけどどんなかな?
「祭りの葛城と呼ばれた私が徹底的に奥義を伝授してあげるわ! と言いたい所なんだけど…」
 急に口を濁したミサトさんが僕を抱き上げた。かなり情けない顔してる。
「派手にやりすぎたせいで締め出し食っちゃって、今年は運営事務局側なのよ」
「何やったのよ? それに運営って、ネルフも参加してるの?」
「当たり前じゃない。うちの主催だもの」
 この街は大半がネルフ関係者で、その残りもネルフ関係者相手の仕事だ。
良くも悪くもネルフ尽くしの街なのだから当然なのかもしれない。 
でもネルフって非公開組織じゃなかったっけ?

622:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 21:36:09
期待してるお

623:猫シンジ
09/09/21 21:36:38

「酷いわよね、見てるだけなんて拷問よ。今年はリツコたちも忙しくて参加できないから良いけど」
 リツコさんも一緒に参加してたのか。どんな祭りの楽しみ方をしていたんだろう?
金魚掬いとか盆踊りとか太鼓を叩くとか巨大花火を打ち上げるとか?
どちらにせよ加持さんが苦労していそうだ。
「リツコはさっさとシンジを元に戻す研究を進めて貰わなきゃ困るわよ!」
 プイッとアスカが口を尖らせて僕を奪い返した。
早く人間に戻りたいのは山々だけど、お祭りで息抜きするくらいは良いと思うんだ。
最近は猫の身体にも慣れてきたしね。
「それなんだけど、シジがエヴァに乗ったデータで一気に研究が進んだらしくてね」
「本当!? シジ、あんた天才!」
「順調に行けば来週あたりにはシンジくんを元に戻せるそうよ」
「ホント! やったねシンジ! あはははは!」
 アスカは僕を高々と持ち上げて満面の笑顔を見せてくれた。
僕は人間に戻ってもこの笑顔を見ることが出来るのだろうか。
元に戻れるのは嬉しいけど、それだけが少し心配だ。
「だからね。もう直ぐシジともお別れだから、お祭りで一杯思い出を作っときなさいよ」
「え……お別れって……どういうことよミサト」
「猫のシジは消えちゃうでしょ。正確にはシンジくん無意識の中に戻るだけだけど」
「シジが消えちゃう……」
 いやいや、元に戻るだけだからそんなに真剣に考えなくても。
シジは僕だし、僕はシジだし。
「ほ、ほら。そんなに深く考えないでさ! 明日はパーッと楽しんできなさいよ!」
「う、うん……そうよね」

624:猫シンジ
09/09/21 21:37:40

 部屋に向かうアスカの足取りは重かった。
さっきまでの笑顔が嘘のように消えてしまっている。一体どうしちゃったんだろう?
リビングに取り残されたミサトさんが『失敗した』って感じで顔に手を当てている。
「変に情が移っちゃったわね。欠けた情操教育に良いと持ったんだけど、不味ったかな…」
 そんな小声が僕の猫耳に聞こえた。

 アスカのベッドの横、座布団の上に敷いたタオルケットの上で寝転がる僕。
いつの頃か僕の寝床はリビングからアスカの部屋に移されていた。
もっとも毎日ベッドの方に連れ込まれて全然使ってないんだけどね。
「あんた、消えちゃうんだってさ。シンジの無意識の中に戻るなんて勝手な言い草よね」
 寝転んだアスカが僕を優しく撫でている。子守唄のように僕を撫でてくれている。
何だかとても懐かしくて、凄く安心する。お母さんみたいって言ったら怒るだろうか。
「シンジが戻ってくるのは嬉しいけど、シジともお別れか……ごめんね」
 仕方ないよ。元々実験失敗の緊急処置だったんだし。
消えるって言ってもシジは僕で、僕はシジだから元気出してよ。
「ぅみゃーん……」
「あ、起こしちゃった? ごめんね。明日は美味しいもの、一杯買って上げるから」
 少しだけアスカの声に元気が戻ったのが嬉しい。
まだ早いけど眠くて眠くて仕方ない。そういえば昨日は寝れなかったんだよな僕。
「たくさんたくさん楽しもうね……おやすみシジ」

 僕が猫になって知ったアスカは、僕の知らないアスカだった。
天才という肩書きのせいか、いつも張り詰めたように気が強くて意地っ張りなアスカ。
でも本当は優しくて、か弱くて、寂しがり屋で、温かかった。
僕はそれを知っていたはずなのに、それを全然理解しようとしていなかったらしい。
そう、僕が猫になって知ったのはアスカのことだけじゃなかった。

<つづく?>

625:猫シンジ
09/09/21 21:40:19
今回は早いですが昨日の後半みたいなものなんで両方短いです。

アスカにシジの境遇(必要がなくなったから消される)と自分の境遇(エヴァに乗れなくなったら
価値が無くなる)をダブらせて書いていましたが、そっちで悩み始めると収拾が付かなくなるので
残念ですが全部カット。
ミサトは浴衣より法被(はっぴ)にサラシの方が似合うと思います。

626:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 21:42:11
乙!
アスカもシジも可愛いのう~
もうじきクライマックスか。投下待ってるよ!

627:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 23:18:04
太鼓を叩くのはリツコしか想像できないw

628:543
09/09/22 00:20:11
 皆様こんばんわ。
 ぬこシンジかわいいなあ、アスカもいじらしくて頭撫でたくなりますw
 毎度毎度寸止めばっかで申し訳ありませんが続き投下いたします。

今回ちょい長いです。
自転車と長髪男と観光地価格が嫌いな方のNGワード

空を見上げて

で御願いします。

629:空を見上げて
09/09/22 00:22:13
 *

 さて、問題はここからだ。
 駅まで自転車で行くことにしたのだけれど、当たり前のように後ろに座ろうと
すると、聞きにくそうにシンジが呟く。
「アスカ、その……」
「な、何よ?」
「色が好きだって買った自転車、まだ乗ったの見たことないんだけど?」
『来たな………』
 正確に言うと乗らないのではなく乗れないなのだ。あと、これほど密着できる
いい口実はそうそうない訳で。
「そ、そりゃそうよ。このへん結構坂道あるでしょ?上り坂なんて面倒なもの
私は嫌なの」
「ちぇ、それじゃあ何で買ったんだよ」
 買い物帰りの自転車屋で、シンジを無理矢理つき合わせてまじまじ眺めていた
その自転車は、まだぴかぴかなままで自転車置場に鎮座している。
 『イギリス製』『限定モデル』『人気商品の人気色』『クロスバイクの入門編』
……店員の様々な殺し文句で買ってしまったものだった。今できることと言えば、
シンジやミサトに感づかれないように眺め、乗った気になってイメージを膨らま
せることくらいだ。
「まあいいじゃない、早く行こうよ」
 私がシンジの腰に手を回して必要以上にギュッと捕まると、自転車は慎重に滑り
出した。
「あ、あんまり段差のある所走らないでよ!」
「わかってるってば」
 なだらかな下り坂で、アスファルトを吹き抜ける熱気のある風をまともに受ける。
 それでも街路樹や建物の影に入ると、空気の温度は途端に下がり、心地よい
刺激がシャツの布越しに伝わってくる。
 律儀なシンジは段差がありそうにな所は避けて、通らざるを得なくなるとゆっくり
減速して通過する。

630:空を見上げて
09/09/22 00:24:38
 私は思う様にシンジの背中に頭を預け、その感触を満喫した。
 街路樹を通り過ぎるたびに晴れた空の光線が瞬く。強すぎる光が視界を狭めて、
何を見るわけでもなく頭の中を空白にしてゆく。
 そんな油断しまくりの状況で、不意にシンジが話し掛けてきた。
「アスカ」
「何よ」
「前から思ってたんだけど」
「何をよ」
 信号停車で自転車が止まると、シンジが振り返って聞く。
「その、もしかして、…………自転車、乗れないの?」
 巧く隠したと思った矢先の唐突な質問に、私は固まって思わず頷いた。
 それから暫く二人で静止していた。
 サッカーのユニフォーム姿の子供達がこっちを怪訝そうに見ていた。
 横断歩道を渡り始めた子供達の囃し立てる黄色い声を聞きながら、シンジは
地雷を踏んだと悟ったらしい。
「青」
「へ?」
「信号、変わったわよ」
 シンジがもたつきながら自転車を発進させ、ぎこちなく自然さを装って更に
訊いてくる。
「あぁアスカは乗れないんなら、何で自転車買ったの?」
「あ、赤い自転車好きなのよ。……悪い?」
 二人して無意味に気を使って話すのは、どうなんだろう?心なしか二人とも気の
遣いどころのピントがあってない気もするけど。
「あははは、そうなんだ。知らなかったな」
 こういう時私は、物理的な何かで誤魔化すしか能がない。てなわけで、ごめんね
シンジ。えいっ!

631:空を見上げて
09/09/22 00:27:22
「ったーー!何するんだよアスカ!!」
「今、ば、馬鹿にしてたでしょ?」
「し、してないよぉ。何でそうなるんだよ」
「笑ってたじゃない!それが馬鹿にしてる証拠よ!」
「アスカ言ってることが無茶苦茶だよ」
「うるさい!」
 シンジの態度は嘲笑でなく寛容だったのは解っていた。
 八つ当たりの矛先を向けても、ある程度の事なら許してくれる……。
 そういった見込みと甘えが逆に私を苛立たせる。
『ぐだぐだ考えながら男の背中を満喫してれば世話ないわよね……』
 自嘲気味に考えながら、シンジの少し乱れた息遣いと汗ばんだ背中を感じる。
 あの角を右に曲がると駅に着く。ああ、もうこの特等席も帰り道までお預けかな
としんみりしていると、かつてない衝撃がお尻を襲った。
「はぅん!ふがっ!!………」
 突き抜ける痛みに言葉にならない。
「あ、ごめんアスカ!……大丈夫?」
『大丈夫なわけないでしょうが……』
 出会い頭に何かを避けて歩道から車道に降りてしまったらしいことは、後で
電車の中で聞いた。
 そのときは一瞬宙に浮くくらいの衝撃を食らい、シンジに抗議も出来ずその場に
蹲って動けなかった。
「アスカ……立てる?」
「ムリ。むり。ちょっと今ムリ」

632:空を見上げて
09/09/22 00:29:22
 まだ目の奥に火花が散っていた。
 車道と歩道の間あたりに二人してしゃがみこんでいたのだから、通行人には迷惑
この上なかったとは思う。
「これ、貸しだからね、か・し」
 涙目で睨みつけ、振り絞るようにそう言うと、シンジは心底済まなさそうな顔で
困惑していた。
 その代償と言うかなんというか、お陰さまで電車に乗るまでも、シンジにおんぶ
させたり背中に顔埋めて我慢したりと好き放題やらせてもらった。
 ま、怪我の功名と言うことにしておこう。

 ……クッションか何か、今度から荷台に縛りつけとこうかな……

633:空を見上げて
09/09/22 00:31:13
 *

 電車から降りて観光案内所でボート乗り場の場所を聞き、頼りなげにメモ帳を
見ながらシンジが先を進む。
 面白いなと思ったのは、駅を出たときはおっかなびっくりだったシンジの足取りが、
周囲の雰囲気を掴むに従ってしっかりしてきたことだった。
 何の訓練もなしにエヴァを乗りこなし、しかも生活環境が一挙に変わったのに
存外飄々と生きている。シンジはそういう高い適応能力を持っているように思う。
「あ、乗り場ってあそこじゃないかな?」
 軽い足取りで『貸しボートと水先案内人のアリア商会』と書かれた看板にシンジ
が歩を進める。
「アスカ……」
 浮かれて振り向いて手招きするシンジに、私は溜息一つついてつまらなさそうな
顔で応じて歩き出す。
 内心は、公園ではしゃいでる子犬みたいなのだけれど、バカなプライドが『子供
っぽい』だの『軽い』だのといった感情を巻き起こして本心を消し去る。
 ああ嫌だ。つまらない性格だな、私は……
「乗り気じゃなかったくせに随分浮かれてるわね?」
「え?そう?」
「自覚ないの?公園ではしゃいでる子犬みたいよ。ばっかみたい」
「ボートなんて乗ったことないもん。アスカはあるの?」
「別に。乗ったことないから来たんだし」
「あ、そっか、そうだよね」
 屈託のない反応を見せられるたびに、自分の反応に嫌気が募る。
 簡単なことでいいから、素直に反応できないだろうか?無様なくらい考えている
事が顔に出るシンジが、羨ましくなることがある――

634:空を見上げて
09/09/22 00:32:39
「ばかシンジ、お腹すいた」
 ボート乗り場の受付で料金表を見て凍りついたシンジは、あまり長く眺めて
いたいものではなかった。
 どうも自分がボート代を払うものと思い込んでいるらしい。
 そうでなくても短い気力が尽きかけたとき、白い壁にかかっている時計の針は
十二時前を告げようとしていた。
「そうだね、お昼にしようか」
 そう答えるが早いか、多少救われた顔をしたシンジの袖を引っ張って、いったん
ボート乗り場を離れる。
 暫く湖畔を歩くが、休日の行楽日和とくれば、大概の御誂え向きな場所は占拠
されていた。
「あ、そうだ」
「なに?つまんないことだったら殴るわよ」
「何で殴るの?ていうか、その、飲み物作ってくるの忘れちゃってて……」
「……」
「……」
 とりあえずシンジのごまかし笑いが収まるまで放置した。そのあと多少反応に
困っているシンジの片腕を取って、体を沈み込めつつ腹部に掌底をお見舞いする。
「……吩っ!」
 我ながら綺麗に体重乗せて叩き込んだものだ。
「どーすんのよ!渇いた喉でもさもさサンドイッチ食べるの?そうなの?」
「ぐ……ぃやアスカ、のみも…の買えばいぃと、思う」
『ん?買う?』
「あ、そっか」
 どうも最近食べ物や飲み物が魔法みたいに自動供給される生活に慣れていて、
『食べ物を買う』感覚が薄くなっていた。ま、そうとなれば話は早いわけで、
早速売ってそうな店を探すだけだ。

635:空を見上げて
09/09/22 00:35:06
「じゃ、買いに行きましょ……って、なんで蹲ってんのよバカシンジ」
「人を殴って……それ?」
「何言ってんのよバカ。ただの掌底じゃない」
「ただじゃないよ……ごれ」
「確かにいい感じに入ったけど、アンタも受身とかいい加減覚えなさいよ。
パイロットの自覚が薄すぎるのよ」
 その言葉に悶絶しながらシンジの眼は抗議の色を浮かべる。私には抗議の真意が
理解できない。
『私なにか間違った事したっけ?いや、たぶんしてない筈だけど……』
「しょうがないわねえ。ホラ、かたっぽ抱えてあげるからちゃんと歩きなさいよ」
 よくわからない理由で謝る事は無いと思い、シンジの右腕をかき抱いて、自分の
体にわざとらしく密着させて立ち上がらせる。一応、サービスのつもりだ。
「いや、ぞの、休まぜで……」
 苦悩の顔を浮かべてシンジが懇願する。
 人が折角サービスしているのに何も気付かないとは何事だ……
『やっぱり、もう少し胸が大きくならないとサービスにならないのかな?』
 シンジが全然気付かないあたり、ミサトが言っていたのはあながち間違いない
のかもしれない……。
 多少落ち込みつつ、手近に見えた『Rest House』の看板に、シンジを抱えて
向かった。

 何故か人のいなかったシンジをベンチに座らせて、テーブルに荷物を置くと、
私は休憩所の売店に向かった。
 ノドジマンの番組をみている化石になったおじいちゃんに三回くらい声をかけて、
冷蔵庫の午後の紅茶を出してもらう。
 コンビニよりも値段が高い気がしたが、そういう事は考えないようにした。
 やっと復活したシンジが、少々ふくれっ面になりながらバスケットをテーブルに
広げてくれていた。

636:空を見上げて
09/09/22 00:36:38
 何の気なしに見上げた先に、木陰が揺れている。
 影はテーブルの上で濃淡を作り、不機嫌そうなシンジの動作をマイナス方向に
際立たせて私の視界を塞ぐ。
 不安と苛立ちはすぐに私の態度と行動に出てしまう……
「なによ?」
 物言いたげなシンジの眼に耐え切れなくなって、聞いてしまったのは私の方。
これが二人の喧嘩開始の合図みたいなものだ。
「飲み物忘れただけでなんであそこまでされなきゃなんないか、聞かせてくれ
ないと昼ご飯お預けだよ」
「ばっかじゃないの!?自分のミス棚に上げてなんであたしを責めるのよ?」
「用意できなかったのは悪かったけど、息が出来ないくらい殴られるミスじゃない
でしょ!」
「程度の問題じゃなくて心構えの問題だっての!」
「どう考えたってアスカ中心の考えじゃないか!何で僕が一々アスカの考えに
合わせなきゃいけないんだよ」
「この前ミサトが言ってたじゃない、『和を以って尊しナース!』って」
「それは一方的にアスカに合わせろって意味じゃないよ」
「あーもうっ!ああいえばこう言う!ケチ臭い男ねぇ!この紅茶あたしのオゴリ
って事でチャラにしなさいよ!」
 ここまできたら売り言葉に買い言葉だ。打算や駆け引きは遠い世界に吹き飛んで
いた。
「何逆ギレして誤魔化してんだよ!今日と言う今日はちゃんと謝るまで許さないよ!」
「誤魔化してるのはシンジじゃない!あたしはなんっにも間違ってなんかないわよ!」
「なんだよそれ!」
「あによ!」
 頭の片隅で犬や猫の縄張り争いはこんな感じなのかなと思っていたけど、
闘争本能がそんな詮索を彼方に葬り去る。

637:空を見上げて
09/09/22 00:38:50
 そんな睨み合いの最中に、全く空気を読めない闖入者が割って入ってきた。
「あー、その、取り込み中申し訳ないんだけど……」
「なんですか?」
「なんだってのよ?」
 二人同時で声をした方向に振り返ると、司令室でよくエアギターをしている
人がいた。
「自覚あるのか知らないけど、君達二人結構目立つんだよ。それに、中学生
と言っても、一応周囲の目線考えて行動しないと」
 欧米人ばりのボディランゲージをかまして、長髪のその人は友好的な態度を
アピールする。周囲の目線?知ったことではない。
 シンジが応対させられているのをいいことに、私はサンドイッチにぱくついた。
『アキバサン……だっけ?まあいいや、シンジが何とかしてくれるでしょ……
むぅ、このハムサンドおいしいな。バター二種類あったのはこういう訳か』
「あの、あ…何してるんですかここで?」
『あ、今名前思い出そうとして失敗したな……』
 一人そうほくそ笑んでいたけど、かくいう私もアキバサンでよかったかどうか
自信がない。
「あ、ああ?ボク?僕が何してるかって?いやぁまいったな、こんな所見られる
なんて……」
『わざとらし。他に誰がいるってーのよ。それにしてもベーコンレタスサンドは
絶品ね。私が削ったこの黒胡椒、いい味出してるじゃないのよ』
「オフの日にはね、芦ノ湖で仲間と集まってランチがてらにセッションしてるん
だよ。あ、ちなみにジャンルはフュージョンでね、観光客のリクエストがあったら
即興で演奏したりもしてるのさ。
 今日はこのテーブルに座った人に声かけるって、まあそう言うノリで演奏して
たって訳。
 知らない曲のプレイはスリルがあっていいんんだよ。オーディエンスの
イメージにフィットしたときは、その場の空気が、こう……ね?客と一体に
なって作る、ライヴ感覚ってやつかな。それで仲間が増える事もあるし、あ、
別にナンパ目的じゃないから誤解しないで欲しいな……」

638:空を見上げて
09/09/22 01:04:46
 人付き合いのいいシンジは「はぁ」とか「へぇ」とか「凄いですね」とかの
おべんちゃらを言っているけれど、全てに上の空と言うのは見ていてわかった。
 長髪の人と応対している隙にランチボックスからサンドイッチを尚もぱくつく。
『おお!たまごサンドもおいひっ!何でコンビニのとこんなに違うの?こりゃ
お茶も進みますなあ』
 セッション聞きに来いから、ライブチケットの押し売りを仕掛けてきた長髪が
鬱陶しくなってきたので、ちらちらこっちに救援の目線を送ってくるシンジを
助ける意味でも長髪を牽制することにした。
「あのぅ、私たち、デート中なんですけど……」
 できるだけ上目遣いを心掛けながら、気弱そうに話を遮った。
 饒舌な自己陶酔はそこでぶった切られて、寂しそうに私を見たその人は、
「あ、ごめん。お邪魔だった……よね?」
 と、下を向いて他にもあれこれ言い訳しながら去っていった。
「助かったよアスカ……」
「いいってことよ」
 シンジはほっとした顔をしていたが、随分中身の減ったランチボックスを見た
瞬間、信じられないといった感じで悲鳴を上げた。
「てか、もう半分食べてるじゃないか!」
「だってあの人話長いんだもん」
「ああぁぁ、カツサンド全部食べてる!」
「だって美味しいんだもん。てか、シンジまた腕上げた?」
「え?いやその、よくわかんない…けど」
 うん、たまには素直に感想を言ってみるものだ。
 シンジは照れてしまい、さっきまでの喧嘩もすっかり忘れてしまったみたいだ。
 実際に興味があったからだけど、食べた感想を交えてサンドイッチの話で盛り
上がる。
「はは、結構アスカの好み研究してるんだよ?」
 屈託なくそう言うシンジに思わず赤面した。嬉しいのは確かだけど、こういう
素直な好意に慣れていないので、どう反応していいか判らない。

639:空を見上げて
09/09/22 01:06:33
 思わずまた拳に訴えて誤魔化しそうになるのをすんでの所で堪える。
『ダメだそれじゃ進歩がない!』
「………た」
「え?なに?」
「だから!あぁああもう!美味しかったからまた作ってって言ったの!」
 息上げて詰め寄って血走った目ですごみながら私は何を言っているのだろう?
「う……うん、その、努力……するよ」
 シンジの顔が引きつっていた。違う、私が見たかったのはこんなシンジの顔
じゃない……。

 けっこう、へこんだ。


つづく!

640:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 01:14:23
GJ!

641:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 02:23:09
良作続きで嬉しい
GJです

642:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 06:36:33
自転車乗れないアスカ。あり得んww

643:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 08:03:20
GJ
アキバサンはコーネル・デュプリーとかラリー・カールトンとか好きそうだなw

644:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 09:05:28
素晴らしいwwwアキバサンwww
GJでした!久しぶりにほんわかした作品だ~
続き楽しみに待ってる!

645:マリン@marine
09/09/22 17:28:26

>>551の続き投下します。

・イタモノ注意
・NGワード 黄昏オレンジ




646:黄昏オレンジ
09/09/22 17:30:02

**********

―なんだろう…この彼に惹かれる感じ…昔もこんな気持ちになったことがあるような…
アスカはそう感じた―


ある日、アスカはカヲルと家でのんびりくつろいでいたのだが、その時突如地震が発生した。
発生直後からガタガタと食器棚が音をたてている。

「ん、地震だね…大きいのがくるかも…」

彼の予想通り、最初は小さかった揺れが段々大きくなった。おそらく震度4ぐらいの地震だろうか。
アタシは地震というものをあまり体験したことがなかったので、その場で怯えてしまった。

「ひっ…」
「大丈夫だよアスカ」

カヲルはアタシを優しく抱きしめてくれた。
しばらくして地震がおさまった。



647:黄昏オレンジ
09/09/22 17:31:53

男女で同じ部屋に住んでいるのに、アタシに全く手を出そうとしなかった彼。彼はアタシと同じぐらいの年に見えるのに、何も要求してこない。
これぐらいの年なら普通は少しいやらしいことぐらい求めてくるんだろう、と思っていたアタシは、なんだか微妙な感情を抱いた。
いや、求めてこないならそれに越したことはないのだが、逆にこの生活を通してアタシが彼を求めるようになってしまっていた。

そしてこの瞬間ついに、アタシはアタシ自身の欲求に耐えきれなくなった。

アタシはカヲルを求めた。カヲルが…カヲルの全てが…欲しい!

「カヲル!」
「なんだいアスカ」
「カヲルが…欲しいの!」
「いいのかい?僕なんかで」
「カヲルが…いいの!」

アタシはカヲルの赤い瞳に吸い寄せられるかのようにカヲルの顔に近づいた。2人の距離はもう10cmもないだろう。



648:黄昏オレンジ
09/09/22 17:34:35

自然と抱き合ってアタシは目を閉じ、口付けが交わされようとした…

「…ダメだよ、アスカ」

カヲルがそう嘆くと、次の瞬間、ふっとあたり一面が暗くなった。

見渡してみると、目の前にいたはずのカヲルだけでなく、誰一人周りにはいなかった。しかも何もない。私はどこからか当てられたサーチライトに照らされている。
ここは本当の暗闇の空間のようだった。

「ここは…どこ?」



649:マリン@marine
09/09/22 17:37:49

ここからちょっと長くなりそうなのでまた夜にでも投下します。



650:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 19:17:54
支援
ハラハラしながら待ちます

651:黄昏オレンジ
09/09/22 22:04:57

**********

「ここは…どこ?」
「…あなた、本当にそれでいいの?」

女の人の声が聞こえた。その声はかなり若かったと思う。

「誰!?だれなの?」
「私よ…」

そこには、同じくどこからか当てられているサーチライトに照らされた、蒼いショートヘアーに赤い瞳の少女がたっていた。身長はアタシと同じくらいだろうか。わりと細身だ。

「あなた…誰!?」
「…そう。あなたは記憶を無くしているんだったわね。記憶を戻してあげる」

少女はそう告げると、アタシの頭の中に様々な光景が蘇ってきた。



652:黄昏オレンジ
09/09/22 22:07:26

「…!!はっ!思い出した!アンタ…ファーストじゃない…!」

アタシはほとんど全ての記憶を取り戻した。エヴァの事も、今まで起こった事も、そして…シンジの事も。
そしてそこにいたのは紛れもなく、あの零号機パイロット、そしてファーストチルドレン、綾波レイであった。
ただ、なぜかカヲルのことだけはうまく思い出せなかった。

「そうだ、あの時の…あいつ…シンジじゃない!」

そう。あの病院で横にいたのはシンジだ。
あいつはアタシを心配してくれて…あいつのことだろう。今ごろはアタシを必死で…
ダメ!ここにいちゃいけない!早くあいつの元へ…



653:黄昏オレンジ
09/09/22 22:09:58

…いや、違う。あいつはあの時アタシを裏切ったのよ!アタシはカヲルが欲しいの!あんなやつなんか…

「セカンド…あなた…最低ね。悪いけど、あなたの考えていることは全てお見通しよ」
「えっ…」
「だから早く碇君の元に行きなさい!」

珍しくレイは怒っているようだった。そしてアタシの元に寄ってきた。

「いやよ!あんなやつなんか…」

その瞬間、バシンという大きな音が響いて、アタシの頬に痛みが走った。



654:黄昏オレンジ
09/09/22 22:11:45

「…!なにすんのよ!」
「あなたは碇君の苦しみを何一つ分かってない。それに…碇君のこと…好きじゃなかったの?」
「それは…」
「碇君はあなたのわがままをなんでもかんでも聞いてくれて、あなたのために尽くそうとした。受け入れてもらおうとした。それを私は知っているわ。
だけど、あなたはいつも碇君を責めてばっかりだった。碇君から逃げていた。
それでも、彼はあなたを選んだ。あなたと一緒にいたい事を望んだ。
カヲルに惹かれる時に思い出したでしょう?昔同じ様にあなたが碇君に惹かれていったことを。
あなたはそれを覚えているわよね?まさか忘れたなんて言わせないわ。
今だって彼は必死で探しているのに、あなたは…
それでもあなたは自分に嘘をつくの?」

一瞬いつもの癖でなにか言い返してやろうと思ったが、
レイのいつになく真剣になっている瞳を見て、レイが言った言葉が、一つ一つアタシの胸に深く突き刺さっていく。
それを全て踏まえた上で考えると、アタシはレイに返す言葉がなかった。



655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:13:02
支援


656:黄昏オレンジ
09/09/22 22:13:42

…うん。やっぱりあいつの元に戻ろう。

あいつはこんなバカなアタシを受け入れてくれたのに、アタシはあいつを受け入れて…ない。
今ごろだって…必死に…

シンジ、ごめんね…アンタの気持ち、そしてアタシの気持ち…やっと分かったの…

アタシはその場でうずくまり、大声で泣き出してしまった。

「早く碇君の元へ…でないと…あなたは後悔するわ…」
「うん…」

アタシは決めた。どんなことがあろうと、シンジを二度と手放すもんか!
シンジは悪くない!悪いのはアタシ自身よ…ごめんね…

そしてやっと…自分の気持ちに気付くことが出来た。
ありがとう…レイ。



657:黄昏オレンジ
09/09/22 22:15:23

「わかったのならいいわ。でも…」
「でも…?」
「最後にこんなことは言いたくないけれど…」
「なによ?」

何だろう。嫌な予感がする。そして、その予感は的中してしまう。

「残念だけど、碇君には死相が出てるわ…」

その言葉を聞いてアタシは愕然とした。

「嘘よ…嘘でしょ!?嘘って言いなさいよ!ねえってば!」
「ごめんなさい…私にはどうすることも出来ないの…」
「そんな…」

あいつに会えなくなるなんて嫌!せめてあいつが死ぬ前にアタシの想いを…

「レイ!早くアタシを現実に戻して!」
「分かったわ。ごめんなさい…」

そういうとアタシは現実に戻ることが出来た。
カヲルとのキスは直前で阻止されたようだ。



658:黄昏オレンジ
09/09/22 22:17:45

「カヲル…ごめん。やっぱりアタシ、待ってる人がいるから…」
「…そうかい。わかった。じゃあ気をつけてね」
「うん…」

名残惜しい…いや、違う。あいつが…あいつが待ってるから!アタシの本当の気持ちに気付くことが出来たから!

アタシが本当に求める人は…碇シンジ!アンタだけよ!

だから…今行くからね!シンジ!
アタシは玄関を勢いよく飛び出した。



659:黄昏オレンジ
09/09/22 22:19:12

**********

「ふぅ…アスカはやっと自分の気持ちに気付いたんだね。レイ、ありがとう。
でもね、アスカ…シンジ君は残念だけどもうすぐ…
幸せにね、アスカ…そしてシンジ君…」
「…カヲル…あなたの力でどうにか出来ないの?」
「君に無理なら僕にも無理さ…運命は非情だね…」
「そうね…これ以上悔しい事はないわ…」
「うん。だから、せめて絶対に次こそは…」
「ええ…」

アスカが見えなくなった後、カヲルはどこからか現れたレイと、こう呟いたという。



660:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:23:32
投下支援


661:マリン@marine
09/09/22 22:23:36

今日はこの辺で。

次回で完結します。ただ…いや、今は言わないでおきますw

ではまた。

支援して下さってる方ありがとうございます。



662:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:27:20
びみょうすぐる

663:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 22:57:13
CYOUKAIを思い出した
あれもこんなんばっかだった

664:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 23:54:21
しかしオリジナリティがないね
こんなのネットに腐るほどあるよ

665:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/22 23:59:01
そこはまぁ、こんだけネットに溢れてれば被るのは仕方ないから言ってもしゃーない

666:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 00:07:22
イタモノに厳しい評価がつくのは仕方ないし、十年も続いてるジャンルだしね。
読み手は自分好み以外の作品には徹底的に辛口だからあまり気にせず頑張って。
受けるネタもいいけど書きたいネタを書くのが一番だ。

667:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 00:45:45
記憶喪失にした意味がカヲルに惚れさせるだけとかw
しかもあっさり治るし、カヲルでも治せたっぽいのに放置してるし・・
んで、「…ダメだよ、アスカ」 カヲルww
久々に笑えました。





668:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 01:20:34
乙です!次、ブルーな展開が来そうですね…。
記憶が戻ってシンジへ一直線に向かうアスカもどうなることやら。

ただ他の意見にある通り、確かにカヲルの意図がよく分からなかったですね。
何故アスカとシンジが今まで踊らされてたのか…少し謎です。

669:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 01:24:40
フォローするほうも大変だな

670:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 01:30:15
オリジナリティがないのは仕方がないけど
作品の中でのキャラの動機と行動に筋が通っていない(リアリティがない)ところが多いのは、
そうすることで何かを伝えたいはずだろうと思うんだが、
それが結局何なのか、今のところはさっぱり分からない
最後まで読んだときに、「はあ。それで?」となってしまわないように、
次回は広げに広げた風呂敷がちゃんと畳まれることを希望しておこう

671:猫シンジ
09/09/23 07:43:01

 夏祭り当日。今日もいい天気だ。
「あんたバカぁーっ! 一体何考えてんの!」
 とまあ朝からハイテンションなのはアスカではなくミサトさん。
なにやら気合入れてお出かけ用の洋服を着たアスカが気に入らないご様子。
「祭りといえば法被か浴衣に決まってるでしょーがっ! あー、最近の若いもんは……」
「そんなの持ってるわけなーいじゃん。ねー、シジ」
「にゃーん!」
 独系米国人のアスカには無茶な注文ですよミサトさん。
そりゃあ僕だって浴衣姿とか法被姿は見たいけど、今から用意するんじゃ間に合わないよ。
「ま、どうせそんなこったろうと思ったけどね。ちょっと待ちなさいよ。もうすぐ……」
 ピンポーン! ピンポーン!
「ほーら来た来たー! いらっしゃーい! 待ってたわよーん!」
 何なのこのハイテンション。今朝はまだ飲んでないはずなのに。
祭りがこんなに人を変えるものだったなんて僕は知らなかったよ。

 出迎えられたのは綾波だった。何か大きな紙袋を持っている。
この展開で行くと中身はやっぱり……
「これ、赤木博士から」
「サンキュー! ちゃんと三人分ね、これで勝利は貰ったも同然よ!」
 何に勝つんですか何に。
案の定、紙袋からはカラフルな浴衣が出てきた。
白地に赤のネルフロゴ模様、それから青地に黄色のネルフロゴ模様の二着だ。
なんて自己主張の激しい非公開組織なんだろう。父さんの趣味だろうか?

672:猫シンジ
09/09/23 07:43:45

「あたし赤いの、もーらった!」
「じゃあレイは青い方ね」
「私は別に……」
「レイ、これは命令よ。浴衣を着て夏祭りを堪能しなさい!」
「……命令なら従います」
「何この茶番……ばっかみたい」
 お祭りくらいみんなで普通に楽しもうよ。
アスカだって一人で行くより綾波と一緒の方が楽しめる、よね?
「さーて、ちゃっちゃと着付けしたげるから脱いだ脱いだ」
 おおお! こ、これは思ってもいなかったサプライズ! 
アスカだけでなく綾波の着替えまで………って、あれれ?
「あんたはこっち。一応シンジなんだし」
 ヒョイッ……テクテク……ポイッ……ピシャッ!!
一応シンジ扱いされた僕は隣の部屋に放り込まれて襖を閉められてしまった。
くぅー、子猫の力じゃ襖は開けられないよ。
でも覗きはいけないことだから大人しく黄昏て待つさ。
うん、僕は清く正しい青少年だしね。別に着替えなんて……
「あら、レイって見た目よりおっぱい大きいのねー」
「ええー、あたしの方が大きいに決まってるじゃない……ってりゃ!」
「ひゃっ! あ、あの、その…」
「うーん、思ったよりもボリュームあるわね。肌もスベスベだし」
「どれどれ私にも……本当に凄いスベスベしてる。綺麗な肌ー!」
 開け開け開け開け、ここで開かなきゃもうこんなチャンスはないんだ。
だから、開いてよ――!!!
「にゃおぉ――ん!」
 ………現実は非情だ。

673:猫シンジ
09/09/23 07:45:41

 僕的に長い時を妄想で過ごした後、ジェリコの壁が開らかれた。
浴衣姿のアスカが僕の前でしなっとポーズを取る。
「どう? 似合うかしら」
 いい! 凄くいい! 日本人とかけ離れた二人の外見に浴衣が実にマッチしていてる。
特にアスカはお転婆さが微塵も感じられないほど清楚だ。
きっと和服美人がみんな大和撫子に見えるのと同じ原理なんだろうね。にゃんにゃん。
「はいはいありがとー。あんたも着替えましょうねー」
 リビングで僕を待っていたのは超小型、子猫サイズの法被だ。
前足を通してお腹で紐を結わえる。おまけに髪留め用ゴムで作った捻り鉢巻を付けて完成。
背中にはネルフのロゴが入っていた。ホント自己主張の激しい組織だね。
「きゃー、シジ可愛いー!」
「うわ、凄い破壊力。でもよくこんな物が用意できたわね」
「赤木博士が『こんなこともあろうかと前々から作って置いたのよ!』って……」
 どんな事態を想定していたんだよリツコさん。呆れてものが言えないよ。
「ほらほらファースト、見て見て可愛いー! 抱いてみる? 抱いてみる?」
「え……うん………可愛い///」
「でしょでしょー! もう最高ー! 今日ばっかりはリツコの趣味を見直したわ!」
リツコさん、僕も今日は素直に感謝しときます。
 女の子に引っ張りだこにされるなんて初めての経験だな。
凄く嬉しい半面、僕としてではなく猫としてばかりアスカや綾波に好かれるのが少し悔しい。
でもアスカがすっかり元気になったからいいか。
「はい二人とも、お小遣い。夜店じゃカードは使えないから計画的に」
 千円札は数枚、百円五百円を大量に。ミサトさん、そこまで本格的にしなくても。
「んじゃー、私は先に車で出るから、夜道は気をつけて来なさいよ!」
「はーい!」「了解……」「にゃーん!」
 準備万端! さあ、お祭りだ!

<つづく?>

674:猫シンジ
09/09/23 07:47:08

綾波を出そうか散々迷って結局投入。
小出しというか小ネタしか続かないというか。
最近LASっぽくなくなってる気がしますが多分気のせいではありませんw

675:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 10:15:10
つまんね。飽きた

676:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 10:37:40
乙です!!

677:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 11:47:32
投下乙。
はっぴを着た猫というと学ランを着たナメ猫を思い出すw
でも劇中のネルフグッズって本当に誰が何のために作ってたのか謎だw


ほのぼの系は小出しでも安心感があっていいや。
シリアスで短く切られるとヤキモキするけど。

678:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 13:03:33
GJです!

>>677
あるあるwシリアスの小出しはヤキモキするね

679:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/23 15:46:47
はしゃいでるアスカが普通の女子中学生みたいでワロタw

680:543
09/09/24 01:00:11
 皆様ごきげんよう。
 レスくだすった皆さんありがとうございます。前回は10レス規制に泡食い
ましたw

 連休終わりましたが、多分このヘタレ気味のアスカのお話は今回含めて
あと3回に分けての投下となります。
 自転車乗れないアスカってあんまし想像できませんが、訓練や演習の
毎日で、しかも優先度高いメニューが目白押し……
 ってなると存外そういうこともあるかなあって思いでの設定な次第。
 今回はそれ以上に「えぇーー」な感じなので、


 エンジョイ・アンド・エキサイティングな作品好きな人、水際に立つと転落
しちゃう習性のあるある蝕の生き残りみたいな人向けのNGワード


空を見上げて


 で、御願いします。

681:空を見上げて
09/09/24 01:01:26
 *

 オールを漕ぐリズミカルな音がするたびに、体はわずかに後に引っ張られる。
 静かな水面に波が立ち、波紋はやがて曖昧になって水面に吸い込まれていった。
 飽きもせずその様を眺めて、舷側に頬杖ついて呆けているのが心地いい。
「アスカも漕いでみる?結構楽しいよ」
「いい、めんどい」
 そんな楽しそうに漕いでいるの、邪魔するなんて悪いじゃないの。
 それにこうやって外で二人だけの時間を満喫するのも、そうそうある機会では
ない。
「ふぅ、ちょっと休憩」
「そんなに漕ぐの楽しい?」
「うん、乗り場のおじさんに教えてもらった通りにしたら結構巧く漕げたよ。でも
掌にマメができるかも」
「マメ?」
「ほら、普段やらないことすると掌とか足とかに水ぶくれみたいなのできるやつ」
「あぁ、アレね……」
 実際何の話しか判ってなかったけど、どうでも良さそうな話だったので適当に
合わせた。
 シンジの鞄を枕にして船底に寝そべる。
 せり上がった舷側の向こうに広がる空を、二羽の雲雀が賑やかに横切っていった。
「結構いいもんね、ボートって」
「そうだね、湖の上から富士山見るの、凄く新鮮だな」
「日本人って、本当に富士山好きよね……」
 不思議に思う以上に呆れる位に、日本人は折に触れて富士山をふと眺める。
「ただの山に何があるってのよ」
「そう言われると困るけど……今日も富士山は富士山だなって、たぶん、そんな
感じかな」
「何それ?訳わかんないわよ。山が一日二日で変わったりするわけ無いじゃない」
「そうなんだろうけど、何て言うんだろ?変わらないでずっとそこにあるから、
安心しちゃうのかも。それに、日本人なら説明抜きで判っちゃうから……かな?」

682:空を見上げて
09/09/24 01:04:03
「そんなの、私にはわかんないわよ……」
 『日本人には』とか言う台詞は、私には聞きたくない類の話だ。
 どことなく一線を引かれて、内輪で話しているグループに無理矢理混ざる感覚。
 向こうもこっちも違和感を感じてよそよそしく気遣ったふりをする、興の乗らない
交流。
 その上ドライで個人主義的な価値観が染み付いた私にすれば、気遣いだとか情緒
だとかいった話し方や接し方をされると、対応に戸惑う。
「あ、そっか。んー、アスカ日本語巧いから、なんか当たり前に話しちゃって
るのかも。でも、これ日本人じゃないとわかんない感覚なのかな?」
「一から十まで日本人の感覚よ。」

 その知らない世界が不快で受け入れられないものだったら、どんなに良かったか……

 閉じていた世界をこじ開けたのは、目の前のシンジとミサトだった。
 広がった世界をえこひいきが掻き回し、ヒカリが私の手を引いている。
 なおかつオールの漕ぎ手は、四六時中私の価値観や考え方を揺さぶり続ける。
 一人でいることが当たり前だった私の世界は、一人の時間を持て余し、他人の
影を追いまわす時間が確実に増えている。
 一体私は、人に構ってもらってどんなものを求めているというのか……
『やめたやめた!らしくないわねアスカ、ここはやりたいように楽しめばそれで
いい。そうじゃない?』
 帽子の鍔を直しながら立ち上がり、いつもの式波アスカに戻るために一芝居
打つ事にした。
「シンジ、タイタニックごっこやろうよ」
「へ?」
 いきなりの展開にシンジはついてきていない。その頓狂な顔は私の嗜虐心を
煽り、行動に駆り立てる。
「ディカプリオみたいにいいとこ見せてよ!」
「や、やめなよアスカ危ないって」

683:空を見上げて
09/09/24 01:06:54
 いつもの消極的な制止と侮って、私は少し大げさにシンジを見据える。
「平気よこんなの。パイロットやってればこのくらいの平衡感覚自然に身に…」
「だからあぶな…」
 慌てたシンジも腰を浮かし、あまつ私は無警戒に狭いボートを闊歩していた。
 一方向に体重をかけたのがいけなかった。瞬時に小さなボートはそれでバランス
が崩れる。それをカバーしようとしてもう片方に体重移動したのも、シンジと
ほぼ同時だった。
 結果はさっきよりも倍の加速度でボートの舷側が水面に近付くことになる。
 姿勢が低かったせいもあり、辛うじて踏みとどまったシンジをスローモーション
で見ながら、私は水面に放り出された。

 世界がひっくり返り、LCLとはまるで違う冷たい水が体を包んだ。
 重力に従って沈む体を、必死にもがいて這い上がる。
 掴み所なく自由の利かない。空気がない恐怖と混乱が瞬時に体を襲った。
 息を吸い込もうとして思いきり水をのみこんで、私のパニックは更に悪化
する。
 後ろから抱きつかれた両腕が、暗い水底に引きずり込むように錯覚して、
必死にもがいた。
「………スカ、アスカ!アスカッ!」
「やだぁぁ!…すけて、たす…て」
「アスカ落ち着いて、大丈夫、大丈夫だから…あてっ!肘撃ちやめてっ!」
 何とか背中の悪魔は引き剥がしたと思ったら、今度は一人で浮いていられず
また沈みはじめた。
「…がぼっ」
 半分意識が吹き飛んだ状態で誰かに体を半回転させられて、更に水を飲んだ
ときに水の中からやっと解放された。
 咳き込む私の左耳に、落ち着いた大好きな声が響く。
「もう大丈夫だから!アスカ」
 その声はそれまでの混乱と恐怖を、砂浜に水が染み込むように落ち着かせた。
「シン…っけん…ジ?」
「もう大丈夫だよ。大丈夫」

684:空を見上げて
09/09/24 01:09:35
 この時になってやっと、悪魔はシンジだったことと、連れ去るのでなく助けて
くれていることを理解できた。
 安心感はさっきまでの恐怖を一気に涙腺まで駆け抜ける。私はシンジに必死で
しがみついて、むせながらしゃくり上げた。
「アスカは何も心配しなくていいからね」
「ぅん」
「ホラ、ちゃんと掴んでると大丈夫だろ?」
「うん、だいじょ…ぇほ…ぶ」
 そうやってシンジはずっと耳元で囁き続けながら、固く廻した私の腕を解いて
ボートの舷側を掴ませる。
「ここで待ってて」
 解いたもう片方の手を掴んでそう言うと、シンジは私の傍から離れようとする。
「やだ、やだ、ここにいて!」
 離そうとする手を必死に掴み返して、私は心の底から懇願した。
 根拠のない不安がなりふり構わず私を突き動かす。意味もなく何もかも失う
という狂騒が頭の中を覆っていた。
 困惑したシンジはどうしたものか逡巡していたけど、掴んだ私の手を優しく
握り返し、諭すように語りかけた。
「わかったよ……。じゃあアスカ、先にボートに上がってくれる?」
 泣いて震えてしゃくり上げながら、私は頷いた。
 シンジに支えられて両腕で舷側にしがみつき、不恰好に片足を掛け、やっと
の事でボートの中に転がり込む。
 私は無様に泣き続け、シンジを言われるがままに引き上げると、うろたえる
シンジに構わず抱きついた。
「アス……」
「うぁ、うぁぁぁぁん……」
 泣きやまない私の背中におっかなびっくりでシンジの腕が廻される。
 何も考えることもせず、不思議な安心感に包まれて体重をシンジに預けた。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ……」
 耳下で囁くシンジの声は、暗示のように私の心を次第に平静に導く……

685:空を見上げて
09/09/24 01:12:08

 差し出す手を優しく包む存在なんて、今まで無かった。
 その優しさに救われ、癒される。
 安堵と平静を取り返し、理性が回復するにしたがって、皮肉にも私は
私自身に追い詰められてしまう……

 泣き止んで膝を抱えて縮こまる私を、シンジは無碍にすることなく、
桟橋に引き返すためにオールを漕ぐ。
 桟橋に舟を正確に寄せて、シンジがボートから飛び移る。シンジに促さ
れて私も陸に上がり、やっと不安定な足元から解放された。
「アスカ、タオル貰う?」
「……」
 水上の不安定な感覚がまだ抜き去れなくて、体が時々傾いた。
『もう沢山。もう嫌。何もかも私に構わないで!』
 真っ黒な感情の塊が私を覆い尽くし、人の意見を受け入れる余裕を無く
してしまっていた。
「アス……」
「帰る」
「でも、濡れたまんまだと…」
「帰る!もう帰るの!こんなの嫌!もう沢山!帰るったら帰るの!」
 感情の爆発ってこう言うものなんだろうなと思う。無様だろうとカッコ
悪かろうとどうでも良かった。ただひたすらに今の自分から逃げたかった。
 後々、八つ当たりされるシンジには本当に悪いと思ったけど、この時は
全く自分をコントロールできなくなっていた。
 ここで叫んでいる自分は一体誰なのか、解らない不安にただ襲われて私は
怯えていた……

686:空を見上げて
09/09/24 01:18:17
 自分でもなんでここまで醜態をさらしてしまったのか理解できない。
 自転車に乗れない、我侭しか言わない、好き勝手しかしない、泳げない、
その上ヘマをして泣いて縋ってばかり。
 こんな情けないのは一体誰だろう?激しい自己嫌悪と無力感。けれども
こんなおバカに律儀に付き合ってくれるシンジ――

 依存してしまいそうだ……

 その答えが私を戦慄させる。
 エヴァのパイロットになるまでの競争の日々は、他人への依存や期待を
否定する毎日だった。
 心を許してはいけない。好意を素直に受け取ってはいけない。出し抜か
れてはいけない。弱みを晒してはいけない。同情してはいけない。無意味に
敵を作ってはいけない。義務に従順でなくてはいけない。期待を裏切っては
いけない……
 それは大きな私の蹄鉄でもあり、私を支える力でもあった。
 使徒に見え、いろんな人に出会い、私の中身は大きく変わり続ける。望む、
望まないなんて事は関係もなく。

 変わってゆく私は、誰?
 一番最初に望まれた姿を失ってゆく私は許されるの?
 願望と猜疑、期待と恐慌が交錯する心の中を、何の打算も衒いもなく、
シンジがしっかり掴んでいる。

 今、このときも、自分ひとりで積み重ねたものと、静かな顔で私の我が侭
を見つめる目が私の心の支えだった。
 でも私は、二つの支えに折り合いがつけられない……

つづく!

687:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 02:50:21
>>686
GJです!こういう感じのアスカも好きだ

688:マリン@marine
09/09/24 08:35:07

>>659の続き投下します。

・完結するはず
・一部グロ描写あり
・イタモノ注意

NGワード 黄昏オレンジ




689:黄昏オレンジ
09/09/24 08:37:10

**********

…アタシは走った。必死に走った。記憶を辿って病院に戻ろうとした。

病院へ戻る途中、アタシは大きな交差点に差し掛かって、ふと先を見ると、夕陽を背にした横断歩道の向こうに…シンジはいた。

人は割と多かったが、そんなの関係なしとばかりにアタシは思い切りあいつの名前を叫んだ。

「シンジぃ!」
「…!アスカ!」

シンジ…やっと…アタシ…自分の気持ちに…

シンジは横断歩道を渡ってアタシに駆け寄ってきた。やっと…やっと…

しかし、会えた喜びもつかの間。次の瞬間アタシはどん底につき落とされることになる。



690:黄昏オレンジ
09/09/24 08:38:01

**********

アタシの目の前でドゴーンという大きな音を残して、シンジの姿は見えなくなった。

「え…シンジ…?シンジ!」

―アスカのその問い掛けに対して、シンジの返事が聞こえる事は…二度となかった―

シンジは赤信号を無視してきた4tトラックに跳ねられて30m以上飛ばされ、ドンと言う鈍い音を響かせながら…アスカがいる方の歩道に叩きつけられた。

アタシは急いでシンジに駆け寄った。…反応はない。

良く見ると、シンジの体にはすり傷が無数にあり、あちこちからどす黒い血が流れ出している。
さらに右腕は肘から先が逆に折れ曲がり、左膝の一部からは骨らしきものが見え、その左足はあからさまに折れていることが確認できた。

そんな状況の中、アタシは泣き叫びたい気持ちをなんとか抑え、平常心を保ちながら、すぐにシンジの脈拍を確認した。
脈は…かろうじてある!が、呼吸はかなり弱々しい。



691:黄昏オレンジ
09/09/24 08:41:08

偶然通りがかった通行人の1人が救急車を呼んでくれた。そして救急車がきて病院に運ばれ、シンジはすぐに集中治療室に移された。

その手術中、アタシは祈った。とにかく祈った。お願い…シンジ…死なないで…
アスカには、もうシンジを恨む気持ちなど微塵もなかった。
使徒戦の時のことも、そしてサードインパクトの時のことも、全て…忘れていた。

…それから何時間たっただろうか。何やら扉の向こうから騒がしい声が聞こえてきた。そして、ふっと手術中のランプが消えた。
その後、集中治療室からぞろぞろと数人の医師が出てきた。その顔は…皆、俯いて見えなかった。

まさか…

「あの…シンジは…」
「手は尽くしました…しかし残念ですが彼は…出血多量によりお亡くなりになりました…」
「そんな…シンジ…イヤァァァァ!」

その場でアタシは泣き崩れた。アタシは…シンジに想いを伝えることが出来なかった。



692:黄昏オレンジ
09/09/24 08:42:37

アタシがこんなバカだったばっかりに…

シンジが死んだのなら…アタシはここにいる意味はない。いっそのことアタシも…
シンジ…今すぐに想いを伝えに行くからね…どこまでも付きまとってやるんだから!

そう思ったアタシは顔を涙と鼻水でぐしゃぐしゃにしながら、無我夢中で屋上へ走った。そしてフェンスを乗り越え、シンジのあとを追うようにして…屋上から飛び降りた。

「シンジ、今そっちに行くからね…」

飛び降りた数秒後、アスカは頭から地面に叩きつけられ、その場で即死した。


―数日後、ネルフ関係者の意向により葬式は密葬で行われ、2人の遺骨は同じお墓に納められた。
2人は最悪の形ではあったが…永遠に…共に過ごせることとなった―




693:黄昏オレンジ
09/09/24 08:43:58


**********

納骨の一週間後、2人のお墓の前には、夕陽を背にお線香をあげる銀髪で赤い瞳の少年と、蒼いショートヘアーに同じく赤い瞳の少女の姿があった。

そしてその少年はこう呟いたという。

「黄昏…お別れ…か。
ごめんね…2人とも…僕の力がないばかりに…守ることが出来なかった…
だからね…これだけは絶対に約束する。


今度こそ君達だけは…幸せにしてみせるよ…」と。

もうすぐ夜が来る…

THE END



694:マリン@marine
09/09/24 08:47:37

後書き

全体的に描写が足りませんでした。後々自分で読み直したら何だかよく分からない意味不なストーリーになってました。
カヲルを出したのは最後の場面と、レイとの絡みにもっていきやすいかな、と思ってオリキャラとかよりはカヲルの方がいいと思ってカヲルにしました。

最後のは一応、新劇のこれからの展開に何かしらの希望をもって書いたつもりです。…というかこれが一番書きたかった。

イタモノは思ったよりかなり難しいですね。
まだまだ自分の努力不足でした。ROMに戻ります。つまらない上にクソですみません。
広げた風呂敷も完全には畳めなかった…

読んで下さった方ありがとうございました。



695:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 09:50:16
               /|:::::::::::::::::::::ヽ.:.:.:.:、:.:.:.:、:.:.:.、.:.、.:.:.:.:.:.::`゛>
           /{::|:\:::::::\.:.:.:\.:.:.ヽ::.::.ヽ:.:.ヽ::::::::::.:.`゛ー- ..,__
: 何 :    /:|::',:ト、::::::ヽ、:.\:.:.:.\:.:.ヽ:.:.:\.:.:.:.:.:::.:.:.:.:::.::::_;:-'´   : : :
: が :   //:/:::|::',|::'、:::::::::\:.:\.:.:.ヽ:.:.:\:.:..\::::::::::::\、::::\    : : :
: 何 :  /!::|::l::::/|:::l:ヽ:\::ヽ:.:\:.:\.:::ヽ:.:.:ヽ:.:.:.:\::::::::::::\ ̄   : : :
: だ :   |/l::|::|::|:ト、:::::::::、、:ヽ、:.:.:.:::::::::::::::ヽ::::.:ヽ:.:.:.:.\:.:.:.ヽ:::\.   : : :
: か :   |::|::/l::|::|r‐ヽ:::::ヽ(ヽー,―\::::::、::::::::::ヽ::.:.::::::.:::::::ヾ. ̄   : : :
:    :   }//l::|:::|{(:::)ヾ、:::ヽ \!(:::) ヽ,:::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ、   : : :
: わ :.  |/l::|::|:::|ヽ==''" \:ヽ、ヽ=='" |:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、::::\
  か     / ',|::|:::|   /   `゛       |!::::::::::::::::::::::::::::ト、::ト、_` ゛`
  ら      l::!::::ト、  '、 _         ||::::::::::::::::::::::::ト:ヽヾ| | ̄ ̄ ̄`ヽ、
  な     r'"´||',::::',                 |:::::/l:::::|\:::ト、ヾ | |     / / \
  い   /   ll ',::', 、 ーこニ=-       /!::/ ヽ:::|  ヾ、  ノ ノ  /  ,イ   ヽ、
       ,'    |  '、:, \ --       ,. '´ |;'  l ヾ、.   //     / |    l: l
      |   |!  ヽ;  ヽ       /.:    i!  /   ゛// |l      / |      | |

696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 10:20:31
>>686
乙!続き待ってる!
泳げないとは…まぁそんなアスカも有かなw

697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:17:33
マリンさん乙でした!
またお待ちしとります

698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:35:49
>>694
乙でした。うーん…イタいだけの内容でしたね。
切なさとかの描写が無いのが少し寂しかったかな。
アスカとシンジの絡みが少なかっですしね、次作では絡んでほしいです!

ところで前作でもシンジ君ハネられましたよね、思わず「また!?」って言ってしまいました。

699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:41:46
>>694
自己陶酔作者の書くシリアスのテンプレみたいで
作者の妄想にエヴァキャラのお面をかぶった登場人物
が出ているだけな内容。
正直、登場人物にキャラクターを感じないんだが。

700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 12:52:13
>>694 感情表現が足りない。カヲルが微妙すぐる
あと、オチがあんまり面白くなかった
次はがんばれ

701:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 13:17:02
つーか、アスカがカヲルに惚れて、シンジとアスカが絡まずに両方死ぬだけの話に、
LASとしてどんな魅力があるのか誰か教えて欲しい

702:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 13:54:46
アスカをカヲルに惚れさせたのはシンジへの思いを強調させるためだろ?

703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 13:55:50
なんの強調にもなってないけど
まぁカヲルに惚れるアスカはLASのお約束みたいなもの

704:マリン@marine
09/09/24 14:24:54

なんかもう言葉がないです。
下手すぎて申し訳ない。
1から出直してきます。

すみません…



705:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 14:29:30
まぁそう変な風に落ち込むなw
この失敗を次に活かせばおkなのさ
新作できたらまた投下してくれな

706:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 15:02:34
>>703 お約束でもないだろ 
っかカヲルとアスカが絡らむLASはつまんないと思うw
>>704 がんばれ。

707:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 15:46:15
>>703
スペック的に勝ち目の無い・普通ならこっちを選ぶだろっていうイケメンとヒロインがいい雰囲気になって、
でも最終的には主人公の男を選ぶことで、ヒロインの想いを強調したり、
男側に感情移入する読者の自尊心を満たす

これは古くからラブコメのお約束

708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 17:45:36
けどシンジのスペックもかなり高いし、普通ならそこらにいないぐらいの男だしなあ

709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:04:27
708がそう思っても、大半の書き手はそう思わないってことじゃね

710:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:06:37
>>706
カヲル以上にレイが絡むと大抵ろくなことにならない
下手に可哀想な扱いにするとレイ好きから怒られる
扱いをよくするとLARS寄りになって微妙な感じがしてくる
レイのキャラが崩壊してる場合が多いのもダメな点
レイを出してうまくいったLASなんてほとんどない気がする

711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:22:20
>>710 そうかなぁ
レイが二人の関係をひきたてる事もあると思うよ
書き手次第だと思う

712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:23:53
>>709
シンジは可愛い系だから受け身のイメージがあって、女の扱いが上手くなさそう…というのもあるんだろうね

まあカヲルが女の扱い上手いかは知らないけど、シンジを転がした前科があるしなw

713:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:24:02
レイもカヲルも出演は別に良いんだが
矢印を勝手に変えると違和感バリバリで大抵は駄作になるな

714:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:25:09
同時スタートだったら、シンジはまずカヲルには勝てないっしょ

715:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:27:58
>>704
何はともあれ頑張れ~
作風見てると、ほのぼのしたのの方が似合いそうですね
でも結局は自分の好きなものを書くのが一番ですねw

716:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:33:18
>>714 それはわからんよ
シンジは何のアプローチもしなかったのにアスカあれだぞw

717:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:34:48
>>712
その割には気になる子には積極的に話しかけるし一途なやつなんだよな
イメージに捕らわれすぎてる気がす

冷静にスペック並べたらシンジに勝てるやつなんてほとんどいないし

718:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:35:52
>>714
シンジの上位互換みたいな存在だからな
最初からカヲルがいたら勝ち目は無い

そのカヲルじゃなくてシンジを選ぶことで、
それまでに築いておいた絆の強さが強調されるっていう仕組みが一つのパターン

719:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:38:38
上のマリンさんのとか、米どころ氏の作品とかがそのタイプだな

720:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:39:33
投下待ち

721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:40:01
コミュニケーションスキルのあるシンジって感じなのがカヲルだけど、ガチホモはガチでシンジが好きだしなぁ
しかも、シンジ以外には変なやつ扱いされてる
書き手にとっての便利屋なのは間違いないが…

722:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:42:41
>ガチでシンジが好き
だからまぁ、もしシンジじゃなくてアスカに親切にしたら・・・ orz
という場合の妄想として生まれるんだろうな

723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/24 18:44:42
でも最初からカヲルがいたら持ってかれるって点に関しては、別にアスカじゃなくても同じだべ
レイとかだってあっちに行ってカヲルハーレムになるだけ


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