LAS小説総合投下スレ20【N3】at EVA
LAS小説総合投下スレ20【N3】 - 暇つぶし2ch450:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 17:42:09
乙。
「今回の最萌はリツコのような気がしてきたなんて、ありえないわ!」
サイバスターの猫コンビにハァハァしてたのって無印αだっけ?

451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 18:49:30
いや、今回の最萌はピンボールみたいにポンポン跳ねた猫シンジでしょw想像したらメチャ可愛い。
LASは無かったけど、俺が可愛いと感じる作品だし良し!

>>430
GJどす。1レスだけだけど、旨味がぎゅっと詰まってますね!
ちなみにそのノンジャンルスレの作品は…LASですかね?

IFさんもGJです!
今回はストレートなLASで良かったですw自分の気持ちに少し戸惑い気味なアスカっていいですよね。

452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 19:04:12
作者じゃないがノンジャンルのはLASだよw
この作品を超えるLASが今年一年で板内に出現するかは知らんがな(´・ω・)

453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 19:32:34
>>452
ありがとう!また今度見てきます!
LAS小説いっぱい見れるね最近。めちゃくちゃ嬉しい

454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 19:44:49
あと、エロパロもLASだらけだな

455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 22:27:36
こんばんは、この前『恋愛症候群』というLASを書いたものです。
前回感想下さった方々、ありがとうございました。
もしも、「あぁあったなあ」程度でも覚えていただけただけでも感謝に値します。
今回懲りずにAEOEものを書いてみました。まだまだ初心者なので感想や直した方がいい部分、アドバイスなど教えていただけたら幸いです。
ではNGワードは

まごころを、みんなに








456:まごころを、みんなに
09/09/13 22:29:53
夜空の星々は自らの生命を誇示するかのように輝き、赤黒く染まった海は地球という星がどれだけ深い傷を負ったかを暗示するかのように広がっていた。
天空にその星々が煌めき、血のような赤い液体が打ち寄せる海岸に、襤褸の如き一組の男女が横たわっていた。二人の眼は上空の点々とした光も赤い筋を残した月も何も、写し出してはいなかった。
少年がゆっくりと上半身を持ち上げ、傍らの少女を眺め下す。何を想ったのか立ち上がり、少女の体に跨がると首を締め始めた。
少年は呻きながら少女の首を締め思った。
あの日から三日経つのに誰も帰って来ない、他人を望んで戻ったらアスカしかいない、僕と二人だけなんてアスカは嫌がる、アスカは僕を憎んでる、何も出来なかった僕を、しなかった僕を、だからアスカを殺してあげる、この、僕の手で
少女は角膜に光を宿さぬまま、首を締めさせ続けた。すると、右腕を持ち上げその掌で少年の頬を慈しむように撫でた。少年のこめかみ辺りからあごの下へすべり墜ちる手。
少年は首を締めるため力を入れていた手を緩め、首を包み込むように握ったかと思うと手を離し泣き始めた。そして少女が放つ

「きもちわるい」





457:まごころを、みんなに
09/09/13 22:32:35
それから、LCLを飲みながら何とか生き延びた二人は赤い海から戻ってきたネルフの人々に助けられ、病院へと隔離された。その間二人は無言だった。
一か月後、赤い海からゼーレと碇ゲンドウを除く人々は皆帰って来た。ネルフは得意の情報操作とマギという復興には欠かせない重要なカードで国連と政府を騙し、欺き、国連直属の復興機関ネルフとして進みすぎた科学技術を使い活動していた。
シンジはというと、退院した後ネルフが第三新東京市に用意した仮設住宅には入らず、「先生」がいる福祉施設へ戻った。先生は「ネルフから話は聞いてるよ」とシンジを部屋に案内した。サードインパクトにより一階は荒れていた。
自分にあてがわれた三階の廊下の突き当たりにある比較的大きな部屋、シンジがエヴァに乗る前まで過ごしていた部屋であった。勉強机の左にある南向きの窓からはたくさんの光が差し込み、のどかな田園風景と山々が見渡せた。
いつもの短パンとTシャツに着替えるとベッドに横たわり、体を丸め、息を切らせながら、泣いた。
やっぱりアスカに拒絶された、アスカにひどいことしたんだから仕様がないじゃないか、でもアスカと一緒にいたかった、アスカを殺そうとしたのだって拒絶されるのが嫌だったからだ、やっぱり自分勝手な最低なやつだ、でも気付いてしまったんだ

僕はアスカが好きだってことに




458:まごころを、みんなに
09/09/13 22:38:57
一方アスカはというと体は順調に回復し傷跡も手術によって完全に消え去り元の状態に戻りつつあったが、心の傷は全く癒える気配がなかった。ミサトが付きっきりで看病していたのだがその間、発した言葉はほとんどなかった。
ミサトが、今日シンジが退院し長野にある先生の所に戻ったことを告げても人形のように何の感情も示さなかった。「じゃあ、また明日来るから」と言ってミサトは部屋を出た。
アスカは、自分の右隣りのシンジが居たベッドを眺め、カバンから着古した感じのシャツを取り出した。それを抱き締めるように顔に埋め、体を震わせた。アスカの眼を覆っているシャツがじわり、じわりと濡れ始めた。
何であたし泣いてるの?こっそり盗ったシンジのシャツの匂いを嗅いで、あんなに酷いことされて傷ついたのに、助けてくれなかったのに、でも補完中に伝わってきたあいつの心、あたしも罵詈雑言で傷つけた、あたしも助けなかった、
エヴァに乗る苦痛、大事な友達のトウジを殺しかけた苦痛、極めつけは頼れる人がいない時に唯一優しくしてくれたカヲルって人を殺した感触、人を殺す感触がエヴァを通して伝わってくるのは耐え難いだろう、
どくっどくっと鼓動が手を伝い、人間の肉の柔らかさを感じ、首に力をこめると感じる早まる鼓動、プチっと弾け噴き出す血飛沫、指の間を滴る血液、その温もり、人を殺したという実感、それも大事なひとを殺したという実感、
それを感じたがゆえに、あたしはあいつを憎めない、その感触を知っているのに殺そうとしてくれた、それがどんな理由でも、どんなに自分勝手な理由であっても、あたしはそれを許してしまう、そんな自分がきもちわるい、
やめた後泣きじゃくるあいつもきもちわるい、途中でやめた意気地なし、でも気持ち悪くはない、それにはあたしとあいつの想いがあるから、時間が経った今ならそう思える
許せる理由を知った、イヤな事より楽しかったことばかりが思い出せるから、だからあたしはあいつとやり直したい、
なぜならあたしはあいつが好きだから、唯一の居場所はあいつのところしかないから、だからあいつがいない今、私は無性に悲しく悔しい




459:まごころを、みんなに
09/09/13 22:40:22
シンジはそれから、朝8:00に起きて朝食、田畑の手伝い、昼食、健康診断、夕食、風呂、就寝、といった変わらぬ日常を過ごしていた。それゆえシンジは自分を責め続けていた。
僕は全世界を大混乱に陥れた、トウジを瀕死まで追いやった、アスカを助けられなかった、綾波を助けられなかった、カヲル君を殺した、寝たきりのアスカに酷いことをした、アスカを助けられなかった、全世界を滅亡寸前にした、全世界を不幸にした
これらの罪を、どうやって償えば良いんだろう?死ぬ?楽だ楽だ、死ねば考えなくていい、自殺すれば償ったことになるかもしれない、いや違う、逃げだ、それは逃げだ、それは償ったことにならない、じゃあどうすれば償えるの?こんな膨大な罪を、分からない、それは分からない




460:まごころを、みんなに
09/09/13 22:47:22
ある日のこと、さつまいもの収穫を手伝っていると先生がシンジに話し掛けて来た。「シンジ君、ちょっと休憩しないか?」「えっ休憩ですか?良いですよ」休憩には早い時間だったので少し不思議そうにシンジは答えた。
「悪いなぁ、年寄りには足腰がキツくて敵わんよ」笑いながら言い、よっこらせと地べたに座り水筒と弁当を広げた。いつもなら野菜についての話や近くの山には何々があるといった取留めのない話をするのだが、今日は違った。
先生はシンジをじっくりと見つめ、言った。「シンジくん、君は今自分を責め続けているのだろう?」唐突だった。シンジは戸惑いながら「えっいやそんなことないですよ」と何とか笑いを貼り付け答えた。しかし、先生は頭を振って続けた。
「いやいや、ウソをつかんでもいい。年寄りが若者に勝てるのは経験の量くらいのものだが、この経験というのはたくさんのことを教えてくれる。きみは自分が犯した罪の大きさを感じ、一人で抱え、自分を責め続けている。そうだろう?」
シンジは迷った。どうしよう、話して心配をかけるじゃないか、でも嘘を吐く自信もない。シンジは少々黙り込み、そして、ゆっくりと答えた。始めは、もうどうしようもないといった感じの笑みを浮かべて
「はい。まず、この世界をこんなにしてしまったのは、実は、僕なんです。僕は、たくさんの友達や大切な人を傷付け、不幸にしてしまいました。でも…そんなに大きな罪を、どうやって償えば良いのか分からなくて、考えても答えが出なくて、もう、どうすればいいのか…」
最後の方は声が震え掠れていた。「もうよいもうよい、すまなかった辛いことを聞いて、などとは言わんぞ」シンジは驚いて顔を上げた。
「その責任は全て君にある、どんな環境でも最後に行動しようと決めたのは全て君だ。それは誰のせいでもなく全て君の行動の結果なんだよ。だからいくら償ってもそれが君から消えることは一生ない。」と、先生は断言した。シンジは苦痛に顔を歪めた。


461:まごころを、みんなに
09/09/13 22:48:28
「ただな、それと向き合うことは出来る。全ての行動を自分の責任だと認めるなら同時に、君が幸せになることも人を幸せにすることも他人の事とは関係なく、自分で責任を負う義務を果たすなら出来るはずだ。君は何をするのも自由なんだからな」
シンジはポツリと言った。「僕が幸せになることもですか?」
「そうだよ。全ての結果は自分で責任を負わねばならん、しかし、その行動は全て君の自由なんだよ。だから君が、幸せになるのを止める権利は誰にもない。しかし他人に引け目を感じて幸せにならないのも自由だ。でもわしは、前者が賢明だと思うがな」と、先生は優しく告げた。
「それにきみは、確かにさつまいもを抜くように一気に全世界の人々を幸せにすることは出来ないかもしれないが、まず身近な人から、コツコツと幸せにする事は出来るんじゃないか?少なくともわしは、シンジ君と話していていつも楽しいし、きみの成長を見られて今、幸せだよ」
先生は包み込むような笑みを浮かべた。シンジも微笑む。心からの笑顔は久々だった。「ありがとうございます、先生」「なぁ~に、年寄りの戯言だよ。戯言ついでにサルトルという哲学者の言葉なのだがな」先生は、シンジの両肩をがしりと掴み、両目を見据えた。
「『君は自由だ。選びたまえ。つまり創りたまえ。』また『夢をもたないで。自分に出来る事をする』前者の意味は分かるな?後者はな、夢をもつな、と単純に言ってるのではなく、何もしないよりまず、行動を起こせということだ。」
「君のやるべき事は分かるな?」シンジは頷いた。「はい」シンジの目には決意の光が満ちていた。



462:まごころを、みんなに
09/09/13 22:51:18
シンジは、この施設を出る事に決めた。自分のした事と向き合い、新たな行動を起こすために。ミサトに連絡すると「すぐに行く」と言って、愛車のルノーをすっ飛ばしてやって来た。玄関先で待っていたシンジと先生の前に、相変わらず荒いハンドル操作で車を停めた。
ミサトは車から地面を踏み締めるようにゆっくりと降り立たった。シンジを見つめる顔は、泣き笑いの表情を浮かべていた。そして、シンジに歩み寄り、シンジの体をよせた。何も言えずにいるミサトに向かって、シンジは感慨をこめて告げた。
「ただいま」ミサトはシンジの両肩に手をおいた。表情は母親のような表情になっていた。
「おかえりなさい」しかし顔は涙で濡れていた。
そして先生にまた来ますと力強く約束して別れたあと、シンジはミサトのルノーに乗り第三新東京市に向かった。
走り出してすぐ、シンジはミサトに切り出した。
「先に言っておきますけど、ミサトさんが謝ることはありませんよ。ミサトさんだって加持さんのことで余裕がなかったんですから、仕方がないですよ。それにもう、僕はこの事を誰かのせいにして逃げないって、決めましたから」
ミサトはそれでも、ごめんなさい、本当にごめんなさいと泣きながら謝りつづけ、運転が危うくなってしまい、結局シンジに本気で怒られた。「それで、まず何処へ向かおうかしら?」シンジはすぐに答えた。
「アスカの所へ連れて行ってください」「わかったわ」




463:まごころを、みんなに
09/09/13 22:55:13
アスカは相変わらず殆ど喋ろうとしなかった。リハビリや食事中以外、一単語以上喋ることはなかった。医師に依れば、脳の障害などはないので失語症ではなく、憔悴しきっているため喋る意思すらもみせないという事だった。
ここ二ヶ月間近く、アスカはこの状況を何とかしなければと気持ちを奮い立たせるために、希望を持とうとしたり、誰かを憎もうかと思ったが、補完によって、周りの人々も、自らの事で一杯一杯だった事を知ってしまった今、そういう気持ちにはなれなかった。
また首謀者は帰って来ていない。希望は、と言えばシンジだったが、シンジはここには居らず、赤い海から帰って来てすぐ「きもちわるい」と言い放って一度は拒絶した事を思うと、自分から会いに行こうとするのは憚られた。
「シンジに逢いたい」という思いが増幅すると同時に、「でも一度は拒絶した」という思いも同じように増幅し、アスカの希望を縛り付けた。
そんなある日、ミサトがやって来た。「アスカ、今日は嬉しい訪問客が来たわよ!」と、ミサトは言った。アスカは鬱陶しそうな顔をするだけだった。「アタシが外に出たら入って貰うから、良いわね?」アスカはめんどくさそうに頷いた。誰なんだろ?まぁ大した人じゃないわね
ドアが開く、そのドアの前には、アスカが熱望してやまなかった人物がいた。シンジだった。アスカは茫然としながらも涙が溢れた。そして、自らの希望に向かって、布団を剥いで素足で駆け寄る。床の冷たさは全く感じなかった。ドアへの衝撃。熱望した温もり。
「ばかばかばかばかシンジ!何で勝手に何も言わずに出て行っちゃうのよ!あたしの居場所はあんたのとこしかないんだからね!何でそれを分かってくれないのよ!あたしがどれだけ寂しかったか、ホント、ホントにアンタは・・・ばかぁ」顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
シンジは慌てていた。アスカに酷いことを言われると思って覚悟して来てみたら、この有様である。そして、アスカは続けた。「もぅどこにも行っちゃやだよ」消え入りそうな声だった。シンジはアスカの衰弱して細くなった、温かい身体を強く、抱き締めた。


464:まごころを、みんなに
09/09/13 23:00:06
「ゴメンね、アスカ。また逃げて、アスカを傷つけたね。もう、僕は逃げないよ。自分の行動には自分が責任を負う。だからこれからは、僕のせいでこんなになってしまった世界のために、ネルフで働くよ。だからさ、アスカにずっと隣で支えて欲しいんだ」
アスカは嬉しくてどうしようもなかった、しかしそれを必死で押さえ、それでも煌めく笑顔で言った。
「しょうがないわねえ、幸せにしてくれるなら、一緒に居てやっても良いわよ!」アスカの声は震え、うわずっていたが、何とか彼女らしい返事をし、二人は長い、キスをした。こうして、二人の補完はなった。廊下のドアの横にいるミサトが、声をころしてひっそりと泣いていた。


465:まごころを、みんなに
09/09/13 23:01:33
六年後、二人は結婚式を挙げた。参列者はトウジ・ヒカリ夫婦、ケンスケ・ビデオペア、ミサト・マコト夫婦、先生、リツコとマヤ、冬月総司令、青菜、アスカの両親、他にネルフ関係者などといった面々で、
披露宴では特別席として加持、ゲンドウ、ユイ、キョウコの席が用意された。
そして、新郎新婦の隣には、三才になる二人の子供がいた。その子供の名前は、女の子がレイ、男の子がカヲルであった。そして、式場にいる人々は皆、幸せそうな表情をしていた。

終劇


466:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:16:59
>>465
いくらなんでも青菜は酷いwww

467:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:27:13 85YPehRQ
一応確信犯です!最後そこで笑って貰えたらオールオッケーかも知れませんwww

468:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:32:29
>>452
一行が長過ぎ。

469:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:36:58
>>467
おいwww

それはそうと、言い忘れてた。乙!

470:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 00:29:17
GJです!

471:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 00:39:30
またこりゃ読みにきーな…

472:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 00:44:17
読みにくくてすいません…
投稿規制になるのがイヤだったんで詰めちゃいました。以後気をつけます。

473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 01:00:01
GJ!ただ既に意見出てますけど改行はこまめに欲しいですねw
先生が良い人ですねぇ。ラストのアスカも可愛かったです。
ただ感動シーンに青菜とケンスケビデオカップルはヒドいw

次作も期待してます!

474:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 01:09:22
みんな青木に釣られすぎだろww

475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 05:59:32
青田さんを馬鹿にするな

476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 09:25:36
ギャグ仕込む前に一般的な文章の書き方覚えてよ

477:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 12:16:41
ギャグも入れる場所を間違えると折角の良い雰囲気が台無しになっちゃうのが残念。
猫の方もネタに走りすぎでLASが全然なくなったし。

478:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 12:48:27
感想下さった方ありがとうございます。
結婚式の前で完結しようとしたのでその後ギャグをいれてしまいました。余計だったかも知れませんね。
一般的な文章を書くためには何処をどうすれば良いのか出、来ましたら詳しく教えて下さると嬉しいです。

479:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 13:01:23
>>478
改行以外は全く問題ないと思いますけどね…。
478くらいの改行でいれてもらえると、読みやすいです。あとセリフごとにも。

文章も丁寧だし、あとは巨大なGJです!応援してます。

480:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 17:45:52
分かりました。ありがとうございます!
これからも精進しようと思います。


481:マリン@marine
09/09/16 12:39:43

久々に投下します。

・途中から最後までイタモノなので注意
・ちょっと長いかも
・NGワード 黄昏オレンジ



482:黄昏オレンジ
09/09/16 12:41:48


あいつはアタシを裏切った。あの時あいつは助けてくれなかった。そしてあいつはサードインパクトを起こした。…最低だ。
なのに…なのに…アタシはあいつを求めてしまう…
悔しいが、これが恋というものなのだろうか。

サードインパクト後、アタシとあいつはあの海岸にいた。
碧い空、白い雲、そして赤い海…アタシ達2人はそこで仰向けに倒れていた。
あいつはふと起きあがるとアタシの元によってきた。
そしてあいつはアタシの上に乗り、アタシの首絞めた。このまま殺されるのか…?でもその答えは…違った。



483:黄昏オレンジ
09/09/16 12:43:33

シンジはアタシの首から手を離すと、若干アタシと距離を取った所で、海の方向を向き体育座りで座った。

「ごめんね、アスカ」
「…?」

シンジの口から意外な言葉が発せられた。

「ごめん…アスカ…」

シンジの声は弱々しく感じられた。ふとアタシはシンジの顔をのぞき込むと、その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。

「こんなときに泣くんじゃないわよ…バカ」
「うん…ぐすっ…」

こいつがかつてこんな表情を見せたことがあっただろうか。少なくともアタシの記憶の中にはない。



484:黄昏オレンジ
09/09/16 12:45:37

「アスカ…僕を殺して…」

一瞬シンジが何を言ってるのか分からなかった。

「…アンタ何言ってるの?自分が何を言ってるか分かってるの?」
「うん…分かってる。僕は…トウジを痛い目にあわせてしまった。数え切れないほどの建物を破壊した。サードインパクトもとめられなかった。
そして…アスカを…助けてあげられなかった…アスカを殺そうとした。僕は…最低の人間だ…だから…」

アタシはシンジを許した訳ではないので、一瞬本気で殺してやろうと思ったが、やはりシンジが居なくてはアタシはこの先、生きていくことは出来ない。

生活の面でも、そしてアタシ自身の存在価値でもあるから…

「…アンタが居なくなったらアタシはどうすればいいのよ、バカシンジ!責任とりなさいよ!」
「責任って?」
「アンタバカぁ?アンタがアタシの世話をするのよ!そして人々が帰ってくるのを待つのよ!異論反論は認めないから!」
「はい…」

こうして強引ながらアタシ達2人での生活が始まった。



485:黄昏オレンジ
09/09/16 12:46:29

とりあえずずっとこの海岸にいるだけでは何も始まらないので、ジオフロントを目指してアタシ達は歩き始めた。


…何時間歩いたのだろうか。まわりには時計らしきものは何一つないので、どのくらい歩いたか、今何時かさえ分からない。
そして空が薄暗くなってきた頃、アタシ達はジオフロントについた。
主電源と副電源は落ちていて使えなかったが、予備電源はかろうじて生きていたため、最低限度の電気は使えた。水道も生きていた。

「奇跡ね…」
「そうだね」

アタシ達は呟いた。



486:黄昏オレンジ
09/09/16 12:48:40

…そういえば食料がない。さすがに食料がないとキツいので、2人で手分けして探そうと言い始めたとき、聞き覚えのある声を聞いた。

「2人とも生きていたのね」
「え…?」

そこにはマヤがいた。

「あと、冬月副指令と日向君ももいるよ」
「そ、そうなんだ…」

意外だった。
詳しく情報を聞くと、一旦は補完されてしまったが、すぐに自らの意思で戻ってきたのだという。副指令とかも同じらしい。まわりの様子を見る限り、その他の人達はまだ帰ってきていないようだ。



487:黄昏オレンジ
09/09/16 12:49:30

「何か食べたの?」
「いえ、何も…」
「そうなの。それならここから階段を上った第4非常用倉庫に非常食があるからそこから何かとってきなよ」
「はい分かりました」

シンジは答えた。

とりあえずこれで最低限度の生活は保証された。しばらくはここで寝泊まりすることになるだろう。

…そして、いつか…あいつを…必ず…



488:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 12:51:26

続きはまた後ほど。



489:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 14:15:59
マリンさん久しぶり!イタモノですか、ビクビクしながら待ってますw

490:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 14:18:16
乙です
どいった感じのイタモノでしょうか?異性系?

491:マリン@marine
09/09/16 14:27:30
覚えてくれていて嬉しいです!

えっと、一応異性系と死…のWのイタモノです。


492:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 14:30:32
ありがとう
流石にキツイなw

493:黄昏オレンジ
09/09/16 17:33:50

**********


それから何ヶ月たったのだろうか。補完された人々も徐々にこの世界に戻り始め、第三新東京市も復興が本格的に始まった。
だが、この間にネルフ関係で帰ってきたのは青葉シゲルだけだった。

シンジとアスカは、さすがに何もしないで毎日を過ごすわけにはいかないので、マヤらと一緒にジオフロント内の清掃や片付けに追われる日々を送っていた。

そしてある日、アスカは廊下の清掃をしていたところ、足を滑らせて転んで頭を強打してしまった。アスカはその場で意識を失った。



494:黄昏オレンジ
09/09/16 17:34:53

**********

気が付くと、アタシは病院のベッドの上にいた。ここは…どこ?天井をみる限りをジオフロント内の病室ではないようだ。

「アスカ…大丈夫?」

中学生らしき少年の声が聞こえた。アタシはその少年を見た…が…

「…イヤァァァァァ!!」

その少年の顔をみるなり、アタシは発狂してしまった。それが自分の意思なのかは自分でも全くわからなかった。

そしてすぐに看護師がきて何かをアタシに打った。おそらく鎮静剤かなにかだろう。
すぐにアタシは意識を失うように眠りに落ちた。



495:黄昏オレンジ
09/09/16 17:36:11

夢の中でアタシは自問自答してみる。
…アタシはアスカなのは間違いないのよね?でもさっきの少年は誰?
えっ…?名前が分からない。見たことあるのに…そばにいた気がするのに思い出せない…ここに居てはいけない気がする…


―アスカは転んだ時点で記憶の一部を喪失してしまっていたのだ。
シンジのこと、サードインパクト前後のこと、そしてエヴァのことさえも。
ただ、なぜか自分の名前だけは覚えていた―


しばらくして、アタシは夢から覚めた。窓から夕陽が射し込んでいる。とても眩しい。
そしてなぜかアタシはここにいられない、あの少年と会いたくない、と直感的に感じて、看護師らの隙をついてその病院から脱走した。



496:マリン@marine
09/09/16 17:39:48

今日はこの辺で。

次回からイタくなります。

ではまた。



497:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 20:57:12
>>496
GJ!
まさか記憶喪失とは…
続き待ってます。

498:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 22:22:11
またこれは、厨二臭のするLASだなww

499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 22:28:32
イタモノなんて厨ニ臭しか基本しないだろ

500:猫シンジ
09/09/17 00:15:10
>444から続き

 ネルフから帰り道。
久しぶりにミサトさんのスポーツカーでドライブだ。
アスカが来日してからは全然乗せてくれなかったけど理由は簡単。
よく考えたらミサトさんのスポーツカーって二人乗りじゃん。
だから僕たちはバスでネルフに通っていたんだね。納得。
今日はアスカの膝の上という特等席で堂々と三人乗りさ。いや二人と一匹乗りだけど。
「ミサトはいつから知ってたのよ?」
「んーと昨日かなー。リツコがやっと白状してね」
「何ですぐに教えてくれなかったのよ全く!」
「一緒にお風呂入るーって言うから湯上りに教えようかなーっと思ったんだけど……」
「だから入る前に教えろっていってんのよ!」
 結局、湯上りに聞く耳も持たずケンカを始めちゃったんだっけ。
でもまあ何か仲直りしてるみたいだし良かった良かった。
「それに実験内容はともかく、何で猫の姿なのよ?」
「緊急サルベージ代用できる完璧な生体データが猫しかなかったらしいわ」
「リツコの病的な猫好きが役に立ったってわけね。ま、可愛いから良いけど。ねー」
「うにゃ!」
 アスカが僕に頬擦りをした。急なことに思わず声が漏れてしまう。
こういう事は何回もあったけどやっぱり慣れないよ。小さな心臓が爆発しそうだ。
でも猫で良かったよ。子犬ならともかく小魚とか小鳥だったらとっくに天国に行ってる。
「アスカ~。それシンちゃんよ?」
「べーっだ。この子はシジだからいいのよ。ねー、シジ」
「ふにゃーん」
 そりゃそうだよな。僕に頬擦りをするアスカなんて想像できないよ。
いやアスカは想像はできたけど、されてる僕が想像できないや。
こうやって見てるとアスカって凄く可愛いのに何でいつも怒っちゃうんだろ。

501:猫シンジ
09/09/17 00:16:35

 久しぶりの我が家っと思ったけどまだ一日も経ってないな。猫だと一日が長く感じるよ。
そういえば昨夜の超高級ネコ缶を今日こそ食べれるはず。楽しみだなー。
――って何か思考が猫になりかけてる気がする。反省。
「くんくん。シジ、あんたLCLに浸かってシャワー浴びてないでしょ。ほらお風呂よ」
 また一緒にお風呂ですかアスカさん(棒読み)。
僕が僕だって分かっても何の意識もされないのは嬉しいような寂しいような。
所詮は猫だけどさ、でも恥じらいとか色々と必要だと思うんだよ僕は。
それとも僕になら見られてもいいとか思ってたりして。ああ猫になって良かった。

「ああ、やっぱり毛の生え際に少し残ってるわね。念入りにシャンプーしないと」
 ヌイグルミでも洗うように洗面器に漬けられて丸洗いされてる僕。
当然アスカは服を着たまま、僕をブラシでゴシゴシ。当然だよね、何考えていたんだろ。
僕って自分で思っているよりムッツリスケベだったみたいだ。
いやいや健全な男子中学生として当然の妄想だよコレは。現実には手が出ないし。
「はーい終了。綺麗になったわねー」
 ん、丸洗いが終わったみたいだ。シャンプーを温いシャワーで洗い流してくれてる。
LCLなんて軽く流すだけで十分だと思うけど、やっぱり女の子は気になるのかな?
「風邪をひかない様によーく身体を拭きなさいよ」
 別に猫だしタオルは何ていらないよ。
こうしてブルブルっと身体を振れば脱水なんてあっという間さ。
うん、どんどん猫の身体に順応してるね僕。
「シ~ジ~! あんたね~!」
 マズい。飛ばした水でアスカがびしょ濡れだ。怒ってる。あれは本気で怒ってる。
一ヶ月前に間違えてアスカのアイスを食べちゃった時と同じ怒った目だ。
「こら! 待ちなさいっ! シジ待て~!」
 やだ、待たない。前に素直に待ったら平手打ちしたじゃないか。
「二人とも仲が良いわね~。平和で結構、えびちゅが美味しいわ~」

502:猫シンジ
09/09/17 00:17:59

 追いかけっこは「さっさと着替えないと風邪ひくわよ~」の声で終了した。
助かったよミサトさん。捕まったらヒゲ引っ張りの刑では済まなかったよ。
さてアスカが着替えている間に僕がするべきことは、アレかな?
アレしかないよね。ここは健全な男子中学生的に考えて……止めよう。
何だかミサトさんの視線が痛い。止めてニュースでも見るのが正解だよ、きっと。
ああ、僕は意気地なしだ。
気を取り直してTVをつけよう。CFGPX決勝の結果も気になるし。
えいっえいっ。肉球でリモコン操作って難しいな。おっ、映った。
『さあ今こそおまえの出番だジェットアローン!』
『日本の、いや地球の運命が掛っているんだ!』
 おお、もう飯田橋危機一髪がTV放映されてる。映画館で見たかったなー。
ケンスケがレトロでチープな特撮と最新CGが融合した傑作って絶賛してたし。
「シジ、リモコンで遊んじゃ駄目よ。それと、今日はあのネコ缶なし。いいわね」
 アスカに大事なリモコンとネコ缶を奪われてしまった。。
あれ? アスカ、何その格好。
ハーフパンツと白のランニングはともかく胸元の『平常心』って柄は。
勝手に僕のタンスを開けたな。酷いや! 人権侵害、いや猫権侵害だ!
でもまあ開けたのは上の引き出しだけみたいだし許してあげよう。ふぅ、助かった~。
「あら~ん。それってシンちゃんのじゃな~いの~?」
「今は猫なんだし別にいーじゃん。シンジがいないから洗濯物が溜まっちゃってんのよ」
 洗濯くらい僕がいなくてもしようよ。勝手に人の服を着るとかだらしない。
僕がアスカの服を着たら半殺しじゃ済ませないくせに。ホント勝手だよな女の子って。

503:猫シンジ
09/09/17 00:19:07

「さーてドラマドラマっと。今日はフルメタGF2の日なのよね」
 とチャンネルを変えながら僕を抱きかかえてソファーに座る。ねえニュースは?
『―いやだ! こんな世界、望んでない!』
『僕と一緒にいればキミの望む世界をあげるよ―』
 アスカが毎週欠かさず見ている学園ラブストーリーだ。
クラスの女子と共通の話題を作るために『嫌々』見ているドラマ番組らしい。
毎週見ながらベタだの鈍感だの僕に文句ばかり言うんだ。
でもさすがに猫には愚痴らないみたいで安心したよ。
内容は良くある優柔不断な主人公と素直になれないヒロインの物語。
最近はロボットも出てるみたいだけど、途中からじゃ良く分からなくて退屈。
「ふにゃー……ふがっ!」
 うぐ、不用意に欠伸をしたら口を押さえられて力一杯抱きしめられた。
どこが嫌々だよ。凄い真剣に見てるじゃないか。いつもと態度が違うぞ全く。
大体―んむむむ!? こ、これは、何というか、その、う~ん、柔らか~い。
そういえばランニングシャツ一枚だったな。
何というボリューム感。そして洋服の上からでは決して味わえない柔らかさ。
思わず顔がにやけてしまう。ゴロゴロ。離してくれないんだから僕のせいじゃないよね。
『ううん、何でもない……一緒に帰ろ』
『同じマンションなんだから別にそんな事言われなくても……』
『言いたかったんだ……一緒に帰ろ』
『……うん』
 至福の感触に浸ってるうちにエンディングテーマが流れ始めて今週分は終了したらしい。
ふと見上げるとアスカが涙を拭っていた。
女の子はラブストーリー好きっていうけどアスカも例外じゃなかったみたい。
やっぱりヒロインに感情移入とかしながらみてるのかな。
もしも僕が主人公だったら……何かあっさりフラれるイメージしか湧かないや。
いいよな物語の主人公って。羨ましいよ。

<つづく?>

504:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/17 00:21:36

フルメタGF2て鋼鉄のことかww
LAS展開に戻ってきたようで何より。続き待ってるよ~

505:猫シンジ
09/09/17 00:23:25
何か軽いのはアスカが安心しちゃってるせいですかね?

他のスレのヤツが無事終わったのでこちらに専念。
ちょこちょこ進めていけたらなと思ってます。
ではまた。

506:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/17 01:39:07
乙。飯田橋危機一髪って育成計画で上映されてた映画だなw 全然人が入ってない奴。
喋れないネコシンジがどうやってアスカに意思(好きとか心配してるとか)を伝えるかってので
盛り上がりそうだね

507:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/17 03:38:07
>>405 続きです 題付けました

アスカは女の子がらみの事には特にうるさい。「バカシンジのくせに生意気!」だそうだ。
何故か綾波が絡んでくるとなおさらだ。気が重い。
アスカに近づいてくと先に声を掛けられた。
「シンジぃ~ 早く帰りましょ!」
「アスカ、あのさ・・・」
「そーいや今日ミサト泊まりでいないらしいわね♪今日の晩ごh」
「アスカってば!」
「・・・だめ」
「は?」
「だめ、絶対行かせない」

まさか聞いてたの?あんだけ距離あったのに・・・
「でも約束しちゃったよ!」
「あたしよりファーストを取るわけ? あんな人形を?」
金切り声にクラス中の視線が集まる。
「アスカっ!言い過ぎだよ! だいたい取るもなにもないよ!」
「・・・・あんたは何もわかってない。・・・あたしをみようともしない・・・」
言い終える頃には泣いていた。
あのアスカが。
こんな事で泣くなんて。僕にはわからないよ・・・ 君が。
「・・・晩ご飯は昨日の残り暖めて。それで足りなかったらピザでも取って適当にして・・・」
数分の沈黙。
バシッ。ほおに走る鋭い痛み。
アスカがカバンを持ってもの凄い勢いで廊下へ飛び出す。
「アスカ!待って!」


508:DlSTRESS ◆lhYZUJebKo
09/09/17 04:07:56
振り向きざまに一言。
「バカ」
その時のアスカの顔は歪んでいた。恐ろしいくらい醜く。
悲しみと憎しみに歪められた顔のように僕には見えた。
教室に戻りみんなの視線が突き刺さるのを感じながら綾波に行こう、と声を掛けた。

なんで今こんなに普通に綾波の家に向かっているのだろう。あんな顔みた後なのに。
恐らく日頃の我慢の反動だろう、と僕は考えた。いや、そう思いたかった。
そうじゃなかったらどうしてだろう、と自分で自分を突き詰めていく事が怖かった。逃げたかった。
僕ってホントに情けないな。だからアスカに罵られるんじゃないか。
わかっててもやめられない。これが僕。弱い僕なんだ。
「碇君。着いたわ」
気づくと綾波んちの前だ。
階段を登り部屋へ向かう。
「どうぞ」
「おじゃまします」
相変わらず生活感のない部屋。以前に比べて変わったとこといえば調理器具が増えたこと位か。
花でも持ってくればよかったな、ってぜんぜん成長してないな僕。
「今の時点で何が作れるの?」
「サラダ、白いご飯、なんとか味噌汁も」
あれだけ傷作ってそれか・・・
「がんばったんだね。じゃあ綾波お肉嫌いだし野菜炒めでもつくる?」
「ええ、お願い」

509:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/17 04:37:30
そう答えた横顔は少し赤らんでいて、うれしそうに見えた。
「よぉーし、行くよ!!」
食材を切りながら考えた。綾波はさっきの事どう思ってるんだろう?
ほとんど感情を露わにしない顔から予測する事はできない。
「碇君。セカンドの事どう思う?」
「い、いきなりなんだよ! ・・・わからないよ」
「わからない?」
「そう、わからない。 でもきっとアスカは僕のことなんて嫌いだ・・・」
言いかけてやめた。じゃあ何で泣いた? 何で見てくれないなんて言った?
「セカンドが前に言ってた。『あいつはホントにバカよ!・・・だから、バカだからほっとけないのよ』って」
「その時のセカンドの顔は凄く優しそうだった。たぶんポカポカしてたんだと思う」
「ポカポカ?」
「そう、ポカポカ。私が碇君といるときにそう感じる」
綾波の顔を見ると、さっきよりも赤い。
はぁ、僕はまた逃げてたんだ。アスカから。そして何より自分から。
傷付く事ばかり恐れて、これじゃまるで幼稚園児みたいだ。

ーーー行かなきゃ。

「ありがとう、でもごめん綾波。アスカの所に戻るよ」
「え?」
「ホントにごめん。野菜切っておいたから。あとは・・・」

510:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/17 05:04:29
途端に強烈な眠気が襲ってきた。
走り出した足は絡まり、体が床へと投げ出される。
「・・・・」
無言で綾波に抱き止められた。何がどうなってるんだよ・・・
そこで僕は深い眠りに落ちた。



現在時刻AM12:30。まだあいつはあのクソ女の家から帰ってこない。学校であんなに止めたのに。
泣いたのに。
みんなにも見られて恥ずかしかったのに。なのに何故?なんであいつは帰ってこないの?
料理を教えるのにこんなに時間がかかるはずがない。
思い切って電話しても、メールしても全然応答がない。
私を見て。
一人にしないで。
いままでそう伝えようと何度もしてきた。でもダメだった。
あいつの前だと素直になれない。
だから代わりにいろんな事をした。
毎日夜中にシンジの部屋へ行き、寝顔をのぞき込んだ。
心の中で好きってなんども叫んだ。
あたしを見てほしいと思って寝てる横で真っ裸になった。全てを晒した。
あたしの[におい]をシンジの持ち物に付けた。あたしに気づいてくれるように。
服、カバン、ペンケース。においの付くものには全て付けた。
でも気づかない。
当たり前だ。寝てる横で何やっても無駄。

511:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/17 05:23:08
においが付いてても一緒に暮らしてるから、位にしか思わないだろうあのバカは。
気づかれなくてもしかたない、ってわかっててもめちゃくちゃムカつく。

殺したいくらい。

日に日にあいつが遠くなってくのがわかる。
そばにいるのに、そこにはいないような感覚。
あんな人形女より私の方が絶対愛してるのに。
こんなに好きなのに。
なんであいつなんかにこのあたしが翻弄されなきゃなんないの?
もしも今二人でいやらしいことしてるなら、あたしは絶対・・・・  

512:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/17 05:25:23
続きは後ほど・・・

たぶん。

513:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/17 10:29:29
支援。

514:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/17 11:00:47
>>508 トリップミスりました。
すいません。

515:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/17 17:06:47
いきなり凄い流れになったなw
まさかイタモノ…?
乙でした!続きまっとるよ~

516:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/17 22:35:20
>>496
次回からですか…ドキドキして待ってます。
記憶を無くしたアスカがシンジにどういう感情を抱いていくのか楽しみです。

>>505
もうすっかり癒やされてしまいます!アスカが可愛くて、シンジが鈍感で…でも可愛くて…
猫シンジなら何話でも読める自信がありますね!
ちなみに他スレの作品っていうのは…LASですか?

>>512
サスペンスな感じで怖い展開ですね~。
シンジが倒れた理由が気になるのと、アスカの病みっぷりを楽しみにしてますw

517:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 00:09:53
皆さんGJ~!続き楽しみだぁ

518:505
09/09/18 00:53:50
>>516
多分LASだと思いますが異世界逆行かつ微グロなイタモノです。
正確にはLSSなんでメインはアスカ*2です。

519:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 00:58:15
ツヅキイラネ…

520:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 07:07:12
強引にシンジ×初号機、初号機×サキエルくらいしか思いつかんw>LSS
アスカメインでLRSの間違い?

521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 07:47:57
惣流式波だろ?
同じ部屋に閉じこめたスレで投下されたやつ
普通に良かったよ

522:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 07:52:23
あ~猫シンジさんは全アスカスレの人か。通りで上手いと思った
ダブルアスカのLSSもの良かったよね

523:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 08:18:01
>>521
惣流×式波かw
その発想はなかった。
両手にアスカとどんな天国だよ

524:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 14:38:36
両アスカに左右から引っ張られて真っ二つになったシンジが容易に想像できたぜ

525:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 15:59:34
スレチじゃね

526:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 17:20:36
ラブラブ惣流式波シンジなら、LSSSになるわけだ

527:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/18 20:50:46
〔愛を知らない少女と愛を知りたい少年〕
     その日曜日
「シンジ、もう一度優しいキスをして」
僕はアスカを抱き寄せてキスをした。アスカは僕の目をじっと見て、唇を離し立ち上がる。
何かを決意したような顔だ。
「アスカ?」
名前を呼んだが返事をしなかった。そして玄関に向かう。
僕はアスカの行動を顔で追う。アスカは玄関の鍵を閉め電話に近づき、
留守電のボタンを押した。
「アスカ何をやっているの?」
アスカは答えないで僕の前に立ち自分の服を脱ぎ始めた。
「ちょっと…アスカ」
僕は立ち上がり後ずさりをしていた。アスカは服を脱ぎながら近づいてくる。
「なにしているの…冗談は止めてよ…」
僕は後ずさりができなくなっていた。壁に追い込まれていたからだ。
「あんたはあたしのものになるの! いえ、あたしはあんたのものになりたいの!
あたしはあんたが欲しいの! 逃げないであたしを見て!」
下着姿になったアスカは僕にそう言った。僕はその光景を見て動けずにいた。
壁に追い込まれたからじゃない。下着姿のアスカを見たからでもない。
アスカを突き飛ばして逃げてもよかった。
僕はアスカの次の行動を期待していたから止める気は無かった。徐々に鼓動が速くなる。
それと同時に僕の心がゆっくりと黒く染まる。
「アスカそんなこと止めてよ」
僕は心にもないことを言っていた。なんか胸が苦しくてチクチクしている。
アスカの優しい手が僕の頬を優しく撫ぜる。
僕はアスカの顔を優しく撫ぜて強引に押し倒した。胸が苦しい。嫌だ。
アスカの小さな悲鳴が聞こえた気がした。それは嬉しい悲鳴なのか。
「アスカこの部屋には僕たちの他には誰もいないよ。叫んでも無駄だよ。
逃げちゃ駄目だよ」
僕はアスカの耳元で優しく笑いながら囁いた。



528:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/18 20:51:56
アスカは僕の顔を睨みつけている。僕は鼻で笑った。嫌だ。
「僕のものになりたいと言ったね! 僕が欲しいとも言ったね!
 その願いは直ぐに叶うよ」
僕はアスカの頬を擦りながら言った。僕は嫌だ。
「だったら早くしなさいよ! シンジ!」
アスカは声を荒げて言った。
「そうするよ…僕の物に…」
僕はキスをしようと近づくとアスカは目を閉じた。
「ィ…ャ…」と呟く声が微かに聞こえた。
アスカの声が聞こえたような気がした。それとも僕の声なのか分からなかった。
僕は冷静になった。僕は何をしているんだ。
僕はアスカに何をしようとしたんだ。
僕は自分の顔を叩いた。その音が部屋に響く。
「アスカもう止めようこんなことは…辛いよ」
アスカは目を開けて僕を睨んだ。
「あたしは本気よ! 辛くないわ!」
「ごめんよ。…僕はこれ以上アスカを苦しめたくないよ」
僕はアスカを起こして向かい合わせに座る
「シンジ! あたしは苦しくなんてないわよ」
「じゃあ何で泣いているの? どうして震えているの? 怖いからだろ! 
苦しいからだろ!」
アスカは手で涙を拭い自分の肩を抑えている。
「何をそんなに急いでいるの? 何をしたかったの? 僕にどうしてほしかったの?」
「シンジあたしとしたいでしょ? あたしの体が欲しいのでしょ? 
あたしをものにしたいんでしょ? これが大人になるってことなの? これが愛なの?
これが愛なんでしょ! …シンジ…教え…てよ」
アスカは僕の肩を強く掴みながら悲鳴にも近い声で言った。





529:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/18 20:52:59
「愛なんて僕には分からない。でも、体を重ねればいいだけなら体だけの関係だよ。
そんなの心が通じ合っていないよ!」
僕はアスカを抱き寄せて話を続ける。
「そんなものが愛だとしたら僕は要らないよ。心が通じてこそ愛だと思う…たぶん。
…僕とアスカは大人の真似をしていただけだ」
アスカは顔を上げて僕の顔を見る
「僕たちはちょっと急ぎすぎたんだよ。僕たちは何も知らない子供なんだよ。
それが分かるまで…」
「シンジ…うぐっ…うぅ」
アスカの目からポロポロと涙が落ちる。僕はアスカの背中を擦る
「大人になるために僕と一緒に歩こうよ。
アスカが探していた答えが見つかるかもしれないよ。
僕の答えも一緒に見つかるかもしれない」
                            完


530:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 21:26:12
おい、if様が降臨なされたぞ
とっとと感想を書かんか感想を
平伏せや愚民どもが

531:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 21:59:03
『優しいキスをして』wwwwwwwwwwwwwwww

キャラ崩壊しすぎだろwwwww

532:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 22:01:55
思わず草はやしちゃうねww
wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

533:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 22:04:49
>>530 レイ「あなた、誰?」

534:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/18 23:57:15
んまぁキャラ崩壊はFFSSにはありがちだからまだしも
ifのSSはなんかもう内容がマンネリ化してるし
正直何番煎じかわからないネタばかりだし
if自体うぜぇからイヤなんだよな

535:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 00:01:49
ifに少しでも良心があるのならもうこのスレには来ないでくれ。
おまえが来ると荒れるから正直迷惑だ

536:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 00:04:07
乙です~。結局背伸びしても根が潔癖な2人なんですよね。

ではでは、大人になったVerはエロパロで待ってますw

537:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 00:11:49
>>524
スレ違いw

538:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 00:48:02
あ、スレ番ずれてたw
>>527-529
スレ違いw


539:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 02:46:09
ifはエヴァが好きっつーか褒められるのが好きなだけ
今回は気のいい>>536が褒めてくれてよかったな

540:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 05:27:49
エロパロにも成って無いが少なくともエロ小説の所に落とすべきだろ

541:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 08:34:44
これはヒドすぎる

542:マリン@marine
09/09/19 20:39:38

>>495の続き投下します。

・イタモノ注意
・NGワード 黄昏オレンジ



543:黄昏オレンジ
09/09/19 20:41:45


アタシは、脱走したはいいものの、ここはどこなのか分からない。自分が今居る場所すらも分からないので、途方にくれていた。
当然今晩泊まる所もない。でもさっきの場所に戻るわけにはいかない。

気が付くと、アタシは夕陽に向かう坂道を歩いていた。その坂を一気に登りきろうとしたが、大分歩いていたので途中で疲れて座り込んでしまった。

ちょっとばかり休んで、歩くのを再開して坂の頂上付近に差し掛かろうとしたとき、アタシの約20m先に少年らしき誰かが居ることに気づいた。
アタシと同じぐらいの年だろうか。その少年はこちらを見ている。



544:黄昏オレンジ
09/09/19 20:43:06

その少年の外見は、髪は銀髪で瞳は赤く、細身で身長はアタシより少し大きいぐらいだった。
服はどこかの学校の制服を着ていた。多分中学生だと思う。
…こいつ、どこかで見たことがあるような気がする。でもなぜか思い出せない…

不思議に思ったアタシは、その少年に近づいていくと、その少年はアタシに話しかけてきた。

「どうしたんだい?こんなところで?」
「なんの用?…アンタには関係ないでしょ…」
「まぁまぁそう言わずにさ」
「別に…」

その時アタシのお腹がグーっと鳴った。



545:黄昏オレンジ
09/09/19 20:44:28

「あははっ。お腹空いてるんだね。良かったら家にきなよ。変なことはしないからさ」

少し考えこんだが、病院に連れ戻されるよりマシだと考えた。こいつの表情をみる限り、変人ではなさそうだ。

「…分かったわ」

野宿をするとなにがあるかわからないので、とりあえず彼の家に行くことにした。

「そういえば君、名前はなんていうの?」
「…アスカ…だけど…」
「へぇ。僕はカヲル、渚カヲル。カヲル、でいいよ」
「カヲル…ね」

そんななにげない会話をしているうちに彼の家についた。家は住宅街の一角にあるアパートの一室で、1人暮らしをしているようだ。

「お邪魔します」
「ちょっと散らかってるけど、ごめんね」
「アタシは別に大丈夫」
「そう。ならよかった。じゃあぱぱっと何か作るね」
「うん」

そういうと彼は台所に立った。



546:黄昏オレンジ
09/09/19 20:47:46

彼の部屋を見渡してみると、なんとも普通のアパートで、とくに変わったものはなかった。
ただ、テレビは壊れているようだった。
アタシはとりあえず情報が欲しかったので、彼にラジオをつけてもいいか聞いた。

「カヲル、ラジオつけてもいい?」
「いいよ」

アタシはラジオをつけた。
一通り電波を探したが、ニュース番組などは一切やっておらず、その代わりに音楽番組がやっていた。
受信状態はあまりよくはなかったが、その番組からはこんな音楽が流れていた。



547:黄昏オレンジ
09/09/19 20:49:00

…夕焼けに追いつけと 走った街のなか

坂を上ればオレンジ模様 もうすぐ夜が来る

疲れた君は 座り込んでしまった

この景色を出来るだけ 長く覚えておこう

黄昏 お別れ この街をゆらりるらり

彷徨い 浮かんだのは 悲しい色じゃなくて…


この歌、まるでさっきのアタシを指してるみたいね。不思議だわ…でも、悪い歌ではないわね。

しばらくしてカヲルがラーメンを作って持ってきてくれた。

「ごめんね、こんなものしかないけど」
「ううん。いいの」
「じゃあ麺が伸びないうちに食べようか」
「「いただきます」」

普通のインスタントラーメンだったが、懐かしい感じがした。それと同時になにか寂しさと物足りなさを感じた。



548:黄昏オレンジ
09/09/19 20:51:07

「「ごちそうさまでした」」

どうやら2人ともお腹が空いていたようだったので、あっという間に食べ終わった。
カヲルは後片付けを始めた。アタシも手伝おうとしたが、いいから座っててよ、と言われた。

…そういえばこれからどうしよう…行く宛もないし…かといって病院には戻りたくないし…
そんな事を考えていると、カヲルが後片付けを終えて戻ってきた。

「アスカはどこか泊まるとこはあるのかい?さっきの様子だと家出してきたように見えたけど…」

…こいつ人の心が読めるのかしら。不思議な奴ね。



549:黄昏オレンジ
09/09/19 20:53:49

「それは…ないけど…」
「じゃあ泊まっていきなよ」
「え、でも…」
「ははっ。大丈夫だよ。さっきも言ったけど変なことは絶対しないから。その様子だとしばらくは泊まるのかな。僕は全然構わないからさ」
「う…全てお見通しなのね。分かったわ。じゃあしばらくお願いね」
「了解。じゃあお風呂でも入ってきなよ。服は僕のやつ勝手に着て良いからさ」
「うん…ありがと」

忘れていた。アタシは掃除する時に着ていた簡単な作業服のまま意識を失ってしまい、そのまま病院に運ばれて脱走した。
恥ずかしい。年頃の女の子が作業服で街を彷徨くなんて。

まぁでもしょうがない。悪い奴ではなさそうだから、しばらくはカヲルに匿ってもらおうかな。
…でもなんで彼はアタシの心が分かったんだろうか…



550:黄昏オレンジ
09/09/19 20:55:53

そんなことは…まぁいいか。世の中にはこんなやつもいるだろうし。気にしない。

ほどなくしてアタシはお風呂から上がった。
そしてカヲルもお風呂にむかった。

その日の夜、アタシはとても疲れていたのですぐにうとうとし始めてしまった。
カヲルはアタシに布団と寝床を貸してくれた。
カヲルは1人リビングで寝るらしい。襲ってこないか心配だったけど、彼はそんなことはしなかった。
そしてアタシは深い眠りについた。


…あの少年がアスカのことを必死に街中探しまわっていることも知らずに…

翌日からアタシ達はあちこち散歩をしては買い物に行き、家でぐだぐだして過ごす日々が続いた。
彼の学校はまだ休みらしく、出かける場所もあまりないのだという。

そしてカヲルはずっとアタシのそばに居てくれた。
安物だったが、アタシの服も買ってくれた。
常にアタシに気をつかって優しく接してくれた。
そんな彼にアタシは段々惹かれていった…



551:黄昏オレンジ
09/09/19 20:57:18

**********

―その頃あの少年は―

「はぁはぁはぁ…アスカ…どこへ行っちゃったんだろう…」

彼女が失踪してから彼は毎日々々街を走りまわっていた。
そのおかげでここ一週間で2kgも体重が減っていた。
しかし彼女は一向に見つからない。
悲しいかな、彼女が散歩からカヲルの家に帰った数分後、そのアパートの前を少年が通り過ぎたこともあった。


残念ながらこの努力がいい意味で報われることはないことを…少年はまだ知らなかった。

**********



552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 20:59:36
しえん

553:マリン@marine
09/09/19 21:00:36

今日はこの辺で。

次回は最初がイタいです。

ではまた。



554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:02:19
乙です…
カヲルが絡むのかぁぁぁぁ…

555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:07:32
イタモノならイタモノでいいけど、
それがLAS小説としての魅力を増すためである事に期待する
イタモノのためのイタモノは糞

556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:08:05
カヲルが絡むほど原作レイプLASレイプは無い
と個人的には思うのでNGさせて頂きます^^

557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 21:11:28
>>555
>イタモノのためのイタモノは糞
その通りだわ
大抵のイタモノって、ただ痛くすればいい
みたいな無意味なもんだからな

558:マリン@marine
09/09/19 21:22:48

一応カヲルとアスカは行き過ぎた関係にはなりません。

次回は最初のみイタモノです。



559:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:27:08
「優しいキスをして」の続きです。
一応これで終わり。
荒らしてすいません。
以上です。
では投下します。

560:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:28:48
〔告白〕
 ある平日の夕方    
僕は居間でアスカと向かい合わせで座っている。
話をするでもなくただそこに座っているだけだった。僕はアスカのことを見ていた。
僕はアスカの事しか考えていなかった。考えないようにしても考えてしまう。
アスカを見るとドキドキとしてしまう。
でもアスカが側にいないと不安になりざわざわしてしまう。
教室でもアスカの事を見てしまう。この気持ちはなんだ、僕はどうしてしまったんだ。
胸が締め付けられるように苦しい感じだ。
「シンジどうしたの? あたしの顔を見ているけどなんか付いているの?」
僕はアスカから目を逸らした。でも僕は気になってまた見てしまう。
「何も付いていないよ。大丈夫だよ」
アスカは目を細めて首を傾げている。
「シンジ今日の晩御飯はなに?」
僕もあの時のアスカの気持ちを知りたいと思った。
「ねぇ、アスカ。僕のことどう思っているの?」
「え? 何? シンジどうしたの? 何言っているの?」
まあ、普通は驚くだろうね。晩御飯のことを聞いたのに、僕の事どう思うと聞いたら。
「だから! 僕の事をどう思っているの?」
「相棒で口うるさい同居人よ。それと…友達」
なんだか僕は胸がざわざわしてきた。
「熱は無いみたいね」
アスカが近付いてきて僕の額に触る。
「僕は病気じゃないよ」
「シンジどうしたの? あたしになんて言って欲しいの?」
僕は返答に困ってしまった。これを言えば後戻りは出来ない。
でも僕は覚悟を決めて言った。
「僕はもうアスカとキスをしたくない」



561:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:30:00
****************
あたしはその言葉を聞いて体が震えていた。シンジに嫌われた。
あたしはどうしたらいいんだろうか。この場から逃げたい。
「もう暇つぶしのキスはいらない。僕は本当のキスがしたい」
あたしはシンジの顔を見る。何を言っているのか分からなかった。
「僕はアスカが好きだ! だからこれからは本当のキスがしたい、遊びじゃないキスが」
あたしはシンジの告白に驚いていた。本当に突然だったから。
「シンジ…今…なんて言ったの?」
「だからアスカが好きだって言ったんだよ」
シンジの顔が赤くなっていく。シンジの体が震えているのが分かる。
あたしの鼓動が段々と速くなっていく。
「あたしも好きだよ」
あたしはシンジに近づいて頬にキスをする。
「え、あの…アスカ? えぇ!?」
シンジはその場にへたり込んだ。
「何であの時に言わなかったの! バカシンジ! 遅いよ!」
あたしは思わず怒鳴った。
「怒鳴ること無いだろ! …言いたかったけど…」
シンジはそのまま黙ってしまった。
「暇でキスしたのは初めだけよ。…でも本気だった!」
あたしはシンジの隣に座り自分の気持ちぶつけた。
「あんたのことが好きで堪らなかった。あたしに触れてほしかった。
あんたに抱きしめてもらいたかった。あんたとキスがしたかった。
あたしは本当にあんたのことが好きだからキスしたの!
あれは遊びでしたキスじゃない! あたしはシンジが好き! 好きなの!」
いつの間にかシンジの手を握っていた。
「僕は…告白するのが怖かった。出来れば言いたくなかった」
シンジはあたしの手を握り返す。
「どうしてそんなことを言うの?」




562:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:31:38
「好きだといえば全てが変わってしまう。普通に会話が出来ない。
普通に喧嘩ができない。普通に君を見ることができない。…君と一緒に戦えない。
好きだと言いたいけど言いたくなかった。その先に進むのが怖かった。
ずっと胸にしまって置けばよかったんだ。そうすれば普通の関係でいられたんだ。
相棒でいいんだ! 口うるさい同居人でいいんだ!友達でいいんだ!
クラスメートでいいんだ! …でもそれは無理だった。
アスカを好きという思いが段々と強くなっていく。
僕は…アスカが好きでどうしようもない!
…人を好きになるのは簡単だけど、それを相手に伝えるのは怖い。…僕は…怖かった」
シンジは叫ぶように言った。
初めてシンジの気持ちを聞いた。シンジが好きだ。シンジが好きでどうしようもない
あたしはシンジを抱きしめる。
「あんたはあたしと同じだよ。あんたのことをずっと見ていたんだよ。
あんたのことをずっと思っていたんだよ。知ってた? 」
あたしはそう言いながらシンジの頬にもう一度キスをする。
「アスカの気持ちに気づかなくて御免よ。好きだよ」
シンジはお返しとばかりにあたしの頬にキスをした。
「ねぇ、シンジ。…あたしの事いつから好きだったの?」
シンジは困った顔をして横を向いた。
「ユニゾンの時からだよ。…それとも君を溶岩から無我夢中で助けたときかな?
暇だからキスをしようかといったときかな?…わからない」
シンジの耳が赤くなっていくのが分かった。
「初めて私を見たときはどう思ったの?」
「いや…あの…かわいいと思ったよ」
あたしはシンジの手を掴み自分の胸に当てた。シンジは驚いた顔をしている。
「アスカ! な、何しているの?」
「あたしの心はあんたのものよ!」
「アスカ…聞こえるよ…ドキドキしている」シンジは顔を真っ赤にして答えた。





563:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/19 22:33:02
   @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
「シンジあたしにキスをして抱きしめてよ。…言っとくけど遊びじゃないよ!」
アスカは立ち上がり僕に微笑んで僕に手招きをした
「その前に…ちょっと…トイレに行きたい!」
「あんたバカ!」
微笑から鬼の形相になった。
「バカシンジ! せっかくのムードを壊さないでよ! もう!」
「うう…ごめんよ。我慢していたんだ。…本当にごめんよ」
覚悟はしていたけどこんなに怒られるとは思わなかった。でも、いつものアスカだ。
僕は突き刺さる視線を後ろに感じながらトイレに駆け込んだ。
トイレに入ると鍵を閉めた。
「ぐぅ…うう…あぅ…よ…がった…うぐぅ…ほん…とうに…」
僕は泣くのをずっと我慢していた。
初めて人を好きになって僕はその子に告白した。
もし僕が告白して、アスカが僕のことを好きじゃなかったらどうしよう。
そんなことを僕は考えていた。ずっとそんなことを考えていた。
でもアスカは僕を好きだと言ってくれた。ずっと僕を思っていてくれた。
不安だった。怖かった。悩んでいた。そして僕は安心した。本当に良かった。
「シンジ早く出てきてよ」
アスカはドアをノックしたが僕は返事ができなかった。
返事をしたら泣いているのが分かってしまう。僕としてはかっこ悪い。
「シンジ…泣き終わったらあたしを抱きしめてね。
それとも…あたしも一緒に泣いてもいい?」
僕はその言葉を聞いて思わず声を上げて泣いてしまった。
「…アズガ…だいずぎだよ…ずっと…ぼぐのぞばにいでよ」
「…あたしも…大好き…だよ…シンジ…ずっといるよ」
                             END
                  



564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:03:36
糞だな

565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:10:05
おっつ!

566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:14:18
スルー検定実施中

567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:24:53
記憶喪失とかカヲルでもう先が見えてきておなかいっぱい。



568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:33:08
if氏の作品は普通の恋愛小説としては良いと思う。
だがLAS小説としてはダメだな。

569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:35:17
>荒らしてすみません
自覚あるなら来るなカス

570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:36:31
>>568
既存SSの二番煎じネタばっかじゃねーか

571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:39:52
ifは内容やレベルじゃなくてif自体が嫌いだから読まない

572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:43:35
なんつーかいちいちキャラのセリフがキモすぎる

もはや厨二とか通り越して普通にキモいだけ

573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/19 23:56:25
つまらんSSばかり・・・
入れ替わり続きを早く投下してくれ!

574:543
09/09/20 00:07:07
 ご無沙汰しております。
 連休中の時間を遣い毎度毎度寸止めSSをば投下。
 前回のお月見の続きになってしまいましたです。
 書いているうちに長くなったので、数回に分けて投下することになると思います。


 冗長なのが苦手・弱気アスカが苦手な方のNGワードは

空を見上げて

で、お願いします。

575:空を見上げて
09/09/20 00:08:22

 日曜日だというのに、何もすることがない。
 ミサトは早々に結婚式に参加するとかで、香水の臭いを撒き散らしながら出て
いったし、シンジは家事に熱中して全く相手にしてくれない。
 ソファでテレビを見ているのにもいたたまれず、掃除を押し付けられる前に部屋
に逃げ込んだ。
 ゲーム機をいじりながら電源を入れるかどうかで迷う。
 電源をいれて世界に入り込んでしまえばそれで済む話なのに、真っ黒な画面を
眺め続けていた。
 自分で自分が何をしているのか解っていない。
 いつのまにドアの向こうの人の気配を無意識に追いかけていた。
 しばらく忙しそうに駆け回る。音が止み、溜息が一つ聞こえて隣室の襖の開く
音がした。
 少し猫背気味のうなじや、見慣れたエプロン姿を想像すると、不思議と心が落ち
着く。まだ、長時間あの顔を眺め続ける勇気はないのだけれど…。
『やっぱ手伝えばよかったかな……』
 ズボラで面倒くさがりな自分の性格が恨めしい。というより、一緒にいたいのに
いざとなると怖気づく自分が嫌なのかもしれない。
 お茶もシークァーサージュースも好き。でも、一緒に飲むのがもっと好き。
 けれどいつも一緒のときは、シンジから声をかけてくれた。喧嘩して不機嫌な
シンジから無視されると、必死になって出さない表情の下で、激しく動揺する自分の
脆さに戦慄することもある。
 一人でこんな事を考えていると、出口のない迷路で取り残されている気がして
辛かった。
 ゲーム機をベッドに投げ出し、枕に顔を埋めてくさくさした気分を誤魔化した。
『やばいなぁ……』
 こうやってノッドに沈んで行く時は、些細なことで平常心を失いやすい。この状態
でシンクロテストのときに、何度追い込まれたか知れないというのに…

576:空を見上げて
09/09/20 00:09:23
 周りの音に反応が鈍くなる嫌な感覚に覆われそうになった時、懐かしい曲が隣から
聞こえてきた。
 ベッドでなんとなく居住まいを正して壁の向こうに耳を傾ける。
 口で呟きながらメロディを追いかけ、やっぱりいい曲だと思った。
 シンジはどうしてこう私の琴線に触れる事をするのだろうか?
 一通りメロディを追いかけた後、シンジのチェロは迷いなく音を奏ではじめた。
 立ち上がって軽く目元を拭うと、部屋の襖を開ける。リビングから玄関に少し
湿った風が吹き抜けた。
 ああ、エアコンの効いた部屋で燻っていたから、こんな風のことも忘れていた。

 半開きになっていたシンジの部屋の襖を開けて、何が入っているかも忘れた
荷物のダンボールに腰掛ける。
 シンジは気配に気付いてこっちを少し見たけど、すぐに気持ちよさそうに演奏
を続けた。
『良かった。演奏止めなくて』
 どちらかというと演奏に浸っていたかったので、自分の世界に入り込んでくれて
いた方がありがたい。
 音が伸びるところはノリノリで弾くのが好きらしく、普段の大人しいシンジとは
ちょっとかけ離れた荒っぽい音を出す。
 弾き終わった後少し格好つけてシンジが弦を振りかざす。得意そうな仕草がガキっ
ぽさの顕れに見えた。でもそれは嫌いじゃない。
「これ、いい曲だね」
 弾いてて楽しかったのか、シンジは屈託がない。
『いい【歌】の間違いでしょ?バカシンジ』
「ミサトに難癖つけられたときにこの曲知ってると楽できたのに……役に立たない
わね」
「あはは、ごめん」
 断言できるけど、この態度は謝罪じゃない。

577:空を見上げて
09/09/20 00:10:27
 ゴンドラの唄は本来しんみりした曲のはずだけど……。シンジの演奏を聞いて
いると、あのベランダの乱痴気騒ぎを思い出させる。どうも人間というのは、
最初のイメージで結構固定されちゃうものらしい。
 その辺は私も似たようなものだったりする。教えてもらっていたのが大概夜の
屋外だったせいで、ゴンドラという舟がどうも月夜に漕ぐ物だと思っているの
だから……
『あ、なんかゴンドラ乗りたくなってきた』
 ゴンドラがどんな舟か良く解らないけど、まあボートみたいなもんだろうと思う。
 幸い日本に来る前に読んだ観光ガイドに、芦ノ湖で貸しボートをしてくれるのを
事前情報で掴んでいた。同じ舟なんだから、ボートもゴンドラも似たようなもの
だろう……。
「ねえ、シンジ」
「何?」
「舟、乗りに行こうよ」
「は、はぁ……」
 シンジがなんとも形容しがたい顔でこっちを凝視する。その顔に思わず吹き出し
そうになるのを必死で我慢した。


578:空を見上げて
09/09/20 00:12:34
 *

 気乗りしないシンジの言い訳を一つ一つ封殺して、やっと重い腰を上げさせる。
 毎度の事ながら、この消極的な性格は直してもらいたい所だ。
 二人でどこかに行くなんて、学校の往復や買い物以外は初めてじゃないだろうか?
 溜息ついてシンジが台所に立つと、私も部屋に篭もって姿身の前で色々ポーズ
をつけてとっかえひっかえ格好をチェックする。
「な、何着てこ、何着てこ……」
 いつの間にかベッドの上は、クロゼットの中身をほぼひっくり返した状況に
なった。
 今まで制服を着ている時間が圧倒的に長かったので、実のところあまり私服
には自信がない。日本に来るときも、知り合いの女性士官に頼み込んで付き合って
もらい、服を調達してきたくらいだ。
 日本に来て買い揃えた服も、ミサトや赤城博士は全く当てにならず、どこか
自信なげなヒカリの助言に従って買った物が多かった。
 結果選択した格好は、ローライズ気味のスリムジーンズにドイツ代表のレプリカ
Tシャツ、その上に薄手のサファリシャツを羽織って、『C』の文字が入った真っ赤な
サンバイザーという出で立ちだった。
『っうし!』
 気合を入れて襖を開けると、台所で部屋着のままシンジがまだ何か作っていた。
 珍しく食卓の上が食材の山で軽く戦争状態になっている。
『わ、サンドイッチだ!』
 一瞬相好を崩した私の顔に全く気付かないくらいシンジはキッチンとテーブルを
往復していた。
「ホラ、早くしなさいよバカシンジ…」
「ちょっと待ってよ。サンドイッチくらい作っていくから……」
 無駄のない動きで準備するシンジを惚れ惚れと眺めていると、少し気が立った
感じで応援要請を受けた。
「急ぐんなら、手伝ってよ!」
「着替える前に言ってよもう……」
 むっとして口ではそんな事を言いつつ、いそいそ部屋にとって返してエプロンを
つけ、一緒に台所に立つ。

579:空を見上げて
09/09/20 00:14:38
 やることと言えばパンにバターを塗るのとハムを挟む程度だけど、色々手順や
作るものの相性だとかを、シンジが喋るのを頭の中に刻み込んだ。
『ふんだ、いつか見返してやるんだからね』
 心の中でそう思いつつ、いつの間に作業に没頭してしまった。
 シンジはサンドイッチを切り分けると、私にランチボックスへの詰め込みをお願い
して自室へ消える。
 任されたのを意気に感じて、彩りを考えながら切り分けられたサンドイッチを詰め
込む。慌しく出てきたシンジはランチボックスを覗き込んで少し感心したような感じ
だった。
『どうだ!こんくらい私にもできるんだからね!』
 心の中でそう喝采を上げていたけど、極力そんなことは表に出さないよう心掛けた。
 頭撫でてくれるくらいしてもいいと思うのだけど……するわけないか。
 シンジはランチボックスに蓋をして手早く包んでデイバッグに放り込むと、私を
せかして玄関に向かった。
「バカシンジ、ちょっと待ちなさいよ」
「なんだよ」
「襟直したげるから」
「え?あ、ありがと」
 玄関で靴を履く最中のシンジのポロシャツの襟を直すと、シンジは照れ隠しに
微笑む。

580:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 00:16:36
読みにくい

581:空を見上げて
09/09/20 00:16:56
 ポロシャツにストレートのジーンズ、そしていつもの休みの日用のスニーカー。
ポロシャツというか、もしかしたらラガーシャツなのだろうか?今まで見た事が
ない服。真っ黒で胸元にALL BLACKSというロゴが書いてあった。
 見慣れない黒い服が、元々華奢なシンジに不思議な妖しさを醸し出す。
「アスカ、どうしたの?」
 襟を掴んだままシャツをじっと見る私にシンジが不思議そうな目を向ける。
 慌ててシンジから離れると力任せに背中をひっぱたいた。
「な、なんでもないわよ!ほら、早く行きなさいよ!」
 ばちんという綺麗な音の後で、シンジが一瞬息を詰める。
「っったーーー!!アスカ手加減くらいしてよ!」
 バカ者め、心構えがなってないからそういう事になるんだ。

 ……と、いう事にしておく。照れ隠しだなんて誰が言うもんか。


つづく!

582:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 00:27:54
とりあえず乙
ここんとこイタモノやifしか来てなかったからありがたい

583:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 00:30:48
ちょっとサンドイッチ買ってくる

584:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 01:00:08
うんこみたいなSSしかないなこのスレ

585:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 01:25:46
>>553
カヲルがきましたかぁ…。苦手パターンですw
体持ってかれる系より、心持ってかれる系のがまた苦手なんで、自分にとっては相当激イタです。早くシンジと結ばれてくれええええ!!

>>563
ラスト、トイレで泣いちゃうのが可愛いですね。泣き方は濁点多くて可愛くなかったけどw
キスして仲直りより、会話で終わったのが良かっと思います。

>>581
相変わらず上手いですねぇ。癒されます!続き楽しみにしとります。

586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 01:37:22
>>584 なんか書けよ

587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 02:36:40
>>581
GJです!いつも楽しませてもらってます!

588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 09:15:30
>>563
いやぁ笑ったw
流石ifさん、ギャグSS書きにでも転向したらどうです?

>>574
乙です。中途半端に終わってしまった感じだけど
イタモノラッシュだった分、癒されたw続きまってるよ~



589:猫シンジ
09/09/20 20:31:56
>>503からの続き

 あの後、アスカに抱きしめられた僕は同じベッドで一夜を明かした。
―と言葉だけなら大人っぽい展開なんだけど、残念ながら僕はヌイグルミの役だ。
見上げれば天使のような寝顔で可愛い寝息を立てているアスカ。
そのたゆんとしてむにゅっとした胸に細くて柔らかい腕に僕は捕縛されていた。
かなり嬉しいけど暑くて苦しくて柔らかい。
逃げようと動くたびに寝言で「シジ……」とか「シンジ……」って呼び止めるのは反則だ。
おかげで僕は色々と神経が高ぶって一睡も出来ずに朝を迎えるはめになったよ。
ふぁー、眠い。

 翌日、猫にされてしまった僕はアスカと平穏な朝を過ごしていた。
「あれとこれと……ついでにこれも入るわね」
 溜まりに溜まった洗濯物をポイポイっと脱衣所の洗濯機に詰め込むアスカ。
昨夜みたいに僕の服を着るような状況じゃ駄目だと気が付いたらしい。
全自動洗濯機だからアスカでも大丈夫だね。ミサトさんにも使えてたんだし。
女の子は家事が出来なきゃ、とは思わないけど出来るなら間違いなく好印象。
家庭的って以外にも綺麗好きとかシッカリ者ってイメージがあるからね。
「えーと洗剤はこんなもんかな?」
 ドザーっと凄い大雑把に入れましたよアスカさん。お徳用パックの半分くらいを惜しみなく。
最初に説明書を読まないタイプだね、絶対。
あーあ。自信満々にスタートスイッチを入れた。僕しーらない。
「後は待つだけっと。洗濯なんて楽勝じゃん」
 とか言いながら台所で満足気に麦茶なんか飲んでるよ。腰に手を当ててグイッと。
働いた後の一杯は美味しい、ってやつかな。まだ汗も流れてないよアスカ。
「さーて洗濯機が止まるまで軽く掃除でもしちゃおっかなー」
 ねぇ、掃除でも色々しちゃうの?

590:猫シンジ
09/09/20 20:33:02

 掃除もまずは形から、ってことでエプロンと三角巾を付けてたアスカ。
また僕の物を勝手に使うなんて、何だか恥ずかしいじゃないか。
「んー、エプロンなんて似合わないと思ってたけど……」
 気に入ったのかさっそく鏡の前で色々とポーズを取り始めた。
ハタキを持ったり、長ホウキを持ったり、上目使いしてみたり。掃除しようよ。
そんな願いがアスカに届いたのか、得意気に長ボウキを振り回して掃除開始。
一掃き二掃き、くるくるっと長ホウキを回して三掃き四掃き、くるくるっと……
そういえばアスカってソニックグレイブやスマッシュホークといった長物が得意だっけ。
何だか華麗な武器の演舞を見ているような気がして来たよ。
掃除には何の関係もないと思うけど、問題もないし楽しそうだから良いか。
 ガシャーン!
「あ…やばっ!」
 前言撤回。明らかに問題がある。テーブルにあったコップが落ちて粉々だよ。
って割れたのは僕のコップじゃないか。どうしてそれがテーブルにあるのさ?
まさかさっきの麦茶もそれで飲んでたんじゃ?
だらしないって言うか、大雑把にも程があるよアスカ。大体それって間接キッ……
「シジ、ガラスは危ないからテーブルに乗ってなさいね」
 ヒョイッと僕はテーブルに摘み上げられた。
割れたガラスを片付けるアスカの方が危ない気がするよ。無理して怪我しないで。
「うにゃん?」
 ふとテーブルを見ると、僕の席には箸や伏せた茶碗が置かれている。
まるでこれから食事するみたいに。
もしかして僕が僕が猫になった晩から置きっぱなしなんだろうか。
ううん、他は薄っすらホコリを被っているのにここだけ妙に綺麗だ。ちゃんと拭かれてる。
僕が帰って来た時の為にずっと準備していてくれたのかな。
猫の視界は低くて今まで気が付かなかったよ。
何だか嬉しいな。待っててくれる人がいるって。

ちなみにアスカが麦茶を飲んだコップは別にあった。少しだけ残念。

591:猫シンジ
09/09/20 20:34:49

 洗濯機が停止した音を聞き、意気揚々と脱衣所のアコーディオンカーテンを開けたアスカ。
「キャー!!! 何よこれぇぇぇ!!!」
 案の定というか当然というか、脱衣所を埋め尽くしていた泡が一斉に襲い掛かったらしい。
凄いね。子供向け番組に出てくる泡の世界とかそういう感じで。ふわふわのもこもこ。
アスカも泡だらけ、僕も泡だらけ。
「あはっ、おっもしろーい!! ほーらほらシジー!」
 手に乗せた大量の泡に息を吹きかけると無数のシャボン玉になって部屋を舞う。
キラキラ光りながらふわふわ飛んで壊れて消える。外だったら虹が出そうだ。
子供みたいに無邪気だなぁ。うん、凄くいい笑顔だよ。
「ふにゅう……」
 唐突だけど僕はアスカが平常心ランニング一枚なことを思い出した。
今は僕もアスカも泡で遊んでびしょ濡れ。うん、凄くいい眺めだ。
「雪ってこんな感じなのかしらねー?」
 両手で泡を巻きちらすと確かに雪に見えなくもない。
僕も写真や映像でしか見たことしかないけどね。
「にゃーん! にゃんにゃん!」
 そして僕らは泡が消えるまでの30分程をたっぷり楽しんだ。
そして泡が消えてから3時間ほどかけて洗剤だらけになった室内を掃除した。
はしゃぎ過ぎだよアスカ。着替えたシャツがもう汗びっしょりじゃないか。
「もう駄目ー。今日の掃除は終了ー!」
 大の字に転がって終了宣言って、洗濯は失敗、掃除はコップを割っただけだよ。ねえってば。
諦めないで説明書を読んでからもう一回洗濯機を回そうよ。
「なゃごなゃーご、にゃんにゃん!」
「お腹減ったのシジ? そうね、お昼御飯にしよっか」
 違うってばー!!

592:猫シンジ
09/09/20 20:37:31
 インスタントのお昼を食べ終えたらクリーニング屋さんへ。
結局洗濯物はまとめてクリーニングに出すことに。多分ミサトさん以下だよアスカ。
「最初からこうすれば良かったのよねー。あ、支払いはネルフカードで」
 第三新東京市ではレジでの支払いの大半はネルフのIDカードで済ませられる。
現金を持ち歩かないで住む半面、使いすぎには注意。
特に僕らの場合はミサトさんの口座から引き落とされるから何に使ったかもバレちゃうからね。
「あれ? アスカがこんな所に来るなんて珍しいね」
「ヒカリ久しぶり。元気だった?」
 委員長の洞木さんだ。手にした紙袋に沢山の衣類を入れている。
そういえばネルフに勤める親御さんに着替えや差し入れを持って行ってるんだっけ?
僕も父さんに何か差し入れでもしてみようかな。

 小さな公園のベンチでアイスを齧りながら一休み。
「大変そうね。やっぱり家事は交代でやってるの?」
「そうなんだけど、ちょっとミサトが洗濯物を溜め込んじゃって…あはは」
 サラッと大嘘を吐いたね。大人は嘘吐きだって言うけど女の子も嘘吐きだよ。
素直なアスカもそれはそれで恐いけどね。
「それよりも鈴原とはどうなのよ。もうデートとか行った?」
 誤魔化すように振った話題で洞木さんが耳まで赤くなる。分かりやすい人なんだな。
でも洞木さんがトウジを好きだなんて全然気が付かなかったよ。
「じ、実はね。明日の夏祭り、一緒に行こうって誘われたの」
「日本のサマーフィスティヴァル? そんなのがあったんだ」
「そんなの、って聞いてないの? アスカは碇君が誘うからいいって鈴原が……」
 そういえば一週間くらい前にそんな話をトウジとしたような。
出撃したり猫になったりですっかり忘れてたよアハハハハ……ごめんなさい。
「あの……もしかして碇君と喧嘩しちゃったとか?」
「別に。アイツ、ちょっと実験でヘマしてさ。夏休みを棒に振りそうな状態なのよ」

593:猫シンジ
09/09/20 20:38:22

「まさか大怪我とかしちゃったんじゃ……」
「大丈夫。ちゃんと元気だから。実験が終わるまで会えなくて話せないだけ……」
 そう言って僕の頭を撫でた。少し悲しい顔をしたような気がする。
僕はここにいるんだよな。言っても信じてもらえないだろうけど。
「じゃあアスカも一緒に夏祭りに行こうよ! 綾波さんも誘ってみんなで」
「折角のデートを邪魔しちゃ悪いし、余計に寂しいからパス」
 デートだと思って行ったら友達一杯、僕ならかなりへこむかも知れない。
キミとはデートしたくない、考えてないって意思表示だもんね。
「ヒカリだって鈴原が友達を連れてきたら嫌じゃなくても、ガッカリするでしょ」 
「……うん」
「決まりね。ヒカリは鈴原と。あたしはミサトや優等生と一緒に行くから心配しないで」
 空元気か気使いかニッコリ笑う。女の子同士の友情ってやつかな?
夏祭りを楽しめると良いね。お幸せに。
「ところでヒカリ。その衣類を届けるんじゃなかったの?」
「あ! もうこんな時間、バスが来ちゃう。じゃ明日ね」
 元気に手を振って洞木さんが駆けていく。夏祭りでデートか。いいなあトウジ。
もしも僕がアスカを誘ったら、一緒に行けただろうか?
お祭に興味ないかもしれないし、二人で行くのは渋るかもしれない。
でもそうしたらきっと僕は「みんなも誘っていこうよ」とか言っちゃうんだろうな。
自分が言われてへこみそうな事を平気で言いそうだなんて、駄目だなぁ僕。
「そっか。シンジが誘ってくれるはずだったんだ……ちぇ、ハズレか。残念ね」
 何も書いていないアイスの棒を掲げて空を仰ぐ。顔は見えないけど悲しそうな声。
よーし決めた。僕は駆け出すと道端に張られた夏祭の告知ポスターにしがみ付いた。
「うにゃーん! にゃにゃにゃーんにゃん! みゃうん!」
「なーに、まさかあんたが夏祭りに誘ってくれるっての? ふふふ。ハイハイ、ありがとう」
 僕を抱き上げながら楽しそうに笑った。僕までなんだか嬉しくてポカポカしてくる。
うん、やっぱりアスカに悲しい顔は似合わない。僕は笑顔のアスカが好きだよ。

<つづく?>

594:猫シンジ
09/09/20 20:39:26
クリーニングっていうか本編にも出てきた大型ランドリーですね。
アスカはそれすら人任せでクリーニングを注文しましたw
夏祭りですが、この時期だと(海の底になってる)小田原城提灯祭か花火大会しかないんで、
捏造の第三新東京市祭りとかで勘弁してください。

595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 20:58:08
乙!
少しずつだけど話が動いてきたね
続き期待してますっ

596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 21:18:45
もう本当にGJです!

597:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/20 22:16:50
ぬこシンジいいなあ。つか羨ましいわw

新劇アスカって旧より不器用な感じするよね

598:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:00:38
短いネタで童話的なおはなしです。
NGワードは

毒針の使い方

です。

599:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:02:29
あるお花畑に可愛らしい二匹の蜂が住んでいました。
名まえはシンジくんとアスカちゃんでした。
ある日のこと、アスカちゃんがお花畑の上をるんるん気分で飛んでいると、小さな男の子がやってきました。
彼はお花畑を走り回ります。アスカちゃんは突然現われた男の子にびっくりして男の子の腕に毒針をチクリ、と刺してしまいました。
男の子は当然、わんわんと泣き出してしまいました。
『また他人をキズつけちゃった…』
アスカちゃんは自らの防衛本能をうらみ、ぽろりぽろりと涙を流しながらゆらゆらと巣に帰っていきました。
シンジくんは、いつものように優しく、おかえりと出迎えてくれました。
ただいまと言ったアスカちゃんの元気のなさに気付くと、心配そうな顔をして言いました。
「どうしたの、アスカ?」
アスカちゃんは俯きながらボソリと言いました。
「また人を傷つけちゃった…」
シンジくんは、アスカちゃんの自分を責める思いと後悔する気持ちを感じて、悲しくなりました。
少し場が静かになった後、おずおずとアスカちゃんは言いました。


600:毒針の使い方
09/09/21 00:04:01 48TDmZtn
「いつもの…お願い、出来るかな?」
「うん…いいよ」
シンジくんはのどかな笑みを浮かべて言いました。
二匹は近付き、見つめあい、シンジくんが大丈夫だよ、といった笑顔を見せると、アスカちゃんの前に跪きました。
その日中ずっと、シンジくんはアスカちゃんの下腹部の針を舐め続けました。
次の日の朝、シンジくんとアスカちゃんが目覚めると、幸せそうな顔で見つめあいました。
そして二匹はこう思いました。

『シンジは、絶対傷つけない。』
『アスカは、絶対傷つけない。』
二匹はいつまでも幸せに暮らしましたとさ。


おわり


601:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:05:05
最初題名つけなくてすいません…
感想言って頂けたら嬉しいです。

602:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:13:29
>>597
表層的な面はね。本質的には惣流の方がずっと不器用。そこがまた魅力だと思うけど

603:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:18:16
式波は器用に生き方を変えられる子みたいだね。
彼女は隻眼になってもたぶんうまくやっていけるんだろうなぁ。

604:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:27:32
不器用って言われると高倉健を連想するからやめて

605:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 00:52:31
独特な話ですねw俺は割と好き

下腹部の針を舐めるシーンが妙にエロチックに感じてしまったw

606:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 02:08:51
>>511 続きです

「!!!」
意識が戻った。あれ、確か綾波の家を出ようとしたら・・・
今何時だ?あすか・・・ そうだアスカは?
帰らなきゃ。
「目が覚めた?」
「あやにゃみ・・・」
「ごめんなさい」
「えっ、何が?」
「碇君が眠ってしまったの、私のせいなの。赤木博士にいただいた液状睡眠薬・・・」
「それがどうしたの?」
「この部屋についた時に碇君に出したお水に入れたの」
お水? あぁ、あれか。
でも・・・ 動機がまったくわからない
「どうしてだよ。なんで?」
気付いたら声が震えていた。薬使って眠らせるなんて酷すぎる。
「たぶん、あなたが好きだから」
「へ?」
「私に心と呼べる物はないに等しかった。あったとしてもそこには司令しかいなかった。
でも気付いたらあなたがいた。碇君がいた。笑ってる碇君が」

状況が飲み込めない。いまの綾波の言葉・・・ 告白なのか?
だったらなんで今?
怒りは驚きと疑惑に変わった。
「・・・」
何も言えない。聞きたいのに聞けない。
「・・・昨日学校で碇君がセカンドと言い合いしてた時に私をかばってくれた。
うれしい。・・・よく人は言うけど私は感じたことなかった。

607:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 02:34:52
それを教えてくれた。
そんな碇君がセカンドと一緒にいるのが嫌だった。だから・・・」
うそだろ・・・ あの綾波が。・・・夢か?
しかも昨日って・・・
「・・・今何時?」
「午前四時三分」
どうしよう。アスカが・・・。
こんな状況でアスカの事ばかり考えて・・・ 僕は何なんだろう?
「綾波の気持ちはわかったよ。でも今はアスカの事が心配なんだ。だから帰らせてくれるかな?」
冷静だな僕。なんでだろ・・・
「・・・わかったわ。本当にごめんなさい」
「後で学校で。じゃあ」
バタン。

綾波レイは一人残された部屋で〔涙〕を流していた。

早く。急げ僕。
真っ暗な道を全速力で走る。
今なぜ僕がこんなに全力で走っているのか。
考えられる答えはただ一つ。
好きだから。
アスカが好きだから。
やっと気付けた。あまりにもバカすぎる。鈍感すぎる。ホントバカだな、僕。
アスカもバカにしたくなるわけだ。
アスカは怒っているんだろうか?着いて何すればいいんだろう?
わからない。でも急ぐ。


20分くらいかかってやっと着いた。階段をかけあがる。
部屋のドアノブに手をかける。心臓が破裂しそうだ。


608:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 02:57:40
いくら鈍感でバカな僕でも、部屋の前に着くと肌で〔何か〕を感じ取っていた。
何があっても逃げちゃだめだ。
覚悟を決めると部屋のドアノブを回した。鍵はかかっていない。
「た、ただいま」
「・・・」
もう寝てるのかな?
リビングに入るとアスカがいた。机にうつ伏せになっている。
「アスカ?」
「・・・」
「なんだ、寝てるのか」
僕をまってて寝ちゃったのかな? そう思うと胸が痛む。
「・・・起きてるわよ」
「あああ、アスカ!あのさ、実はいろいろあって・・・」
「ねぇ?」
「・・何?」
「愛って何だろ」
「え?」
「愛って何か聞いてんのよ! 耳付いてんの?」
「・・・そんな難しいこと、わからないよ」
「前ドラマでやってたんだけどさ。一人の少年がいて。その少年に想いを寄せる少女が二人いて。
少年は二人のうちからどっちも選べない優柔不断なやつだったの。
でもある日ついに決断を下して、片方の女と寝るの。
それを知ったもう片方が少年を殺して、死体と寝てから自殺するわけ。怖いわよねぇ~
・・・で、これも愛なの?」
「そ、そんなこと・・・」
「答えろって言ってんのよ!!」
いきなりアスカが顔をあげた。

609:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 03:19:19
「いつもいつも、わからないっていってごまかして。
自分から、みんなから逃げて。
だからあたしにバカにされんのよ!このクソバカシンジ!」
右手には鋭く光るものが握られている。
まさか・・・
「アスカ落ち着いて!僕が悪かったよ!」
「またすぐ謝って! あんたって本当にバカね。
・・・そいつに惚れたあたしはもっとバカって事ね」
「アスカ、今なんて・・・」
「もういいわ。一緒に逝きましょ」
「アスカ!!!」
できる限りの大声で叫んだ。
何も言わずにアスカに駆け寄る。
思いっきり抱きしめる。
「アスカ、好きだ」
アスカが腕のなかでビクッと震えた。
「僕はバカだよ。ホントに。大好きなアスカになら殺されてもいい。
でもこれだけは言っておきたかったんだ。」
「うっ、うぅ・・・」
泣いている。
アスカが。
また泣かしちゃったよ。最低だ僕って。
「し、証拠は?」
「それは・・・」
「だいたいファーストと寝たんでしょ? 人形と寝て楽しかった?
・・・あたしの初めて、あげようと思ってたのに」
さっきよりもっと泣いてしまった。胸のあたりが涙でぐしゃぐしゃだ。
「誤解だよ。綾波と寝てなんかいないよ。・・・でも、告白された。」


610:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 03:43:57
「あの人形ぅ・・・」
右手に力がこもってる。気が気じゃないよ。
「アスカ! でも断るから。安心して!」
「できない。証拠も足りない」
「じゃあどうすれば・・・」
「あたしの部屋にきて」
「わかったけどなにを・・・」
「・・・」
黙って僕の腕をつかみ部屋へと連れていく。
「服脱いで」
「は?」
「いいから脱ぐのよ!」
言いつつ机にナイフを置いている。
「アスカ、でもまだ僕たち中学生・・・」
「はぁ? 何勝手に妄想してんのよ?」
なんなんだよ。でもとりあえず脱ぐしかない。
パンツ一枚で立ってると、
「それも脱ぐのよ!」
と言ってきた。意味がわからない。
「ベットに横になって」
もうやけくそだ。全裸の状態で横になった。
「いい、あたしがやることに耐えてよ。動かないでよ。
目つぶって」
そう言うとおでこの端をなめ始めた。
それからは苦痛の時間だった。アスカが全身をなめてきた。文字通り全身。
もの凄く怖かった。興奮するとかそれどころではない。
いちいち「シンジの○○」と、今なめている所を言いながら事を進めていた。
どこか病的だった。
マーキングでもしているつもりなんだろうか? とにかくおかしい。


611:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 04:17:16
続きは後ほど。

たぶん。

612:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 04:22:52
乙です!リアルタイムで読ませていただきました

613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 05:32:08 3Uw0AIpv
小津

614:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 05:55:51
なんか寝れないから続き投下


でも耐えた。嵐が過ぎれば元のアスカに戻ってくれると思ったから。
なにより好きだったから。
アスカの意志は全くわからない。でも、今は受け入れよう。もう逃げない。


アスカが左足の小指をなめ終わった。これでようやく終わりのようだ。
「耐えたわね」
「耐えたっていうか、べつに・・・」
「気持ち悪かった?」
「ううん。どっちかって言うと怖かった」
「そ。まぁこれで第一段階は終了ね」
満足そうな笑みを浮かべる。狂気じみた、見ていて恐ろしくなる笑み。
「体、気持ち悪いでしょ。シャワー浴びてきなさいよ」
「いや、でも・・・」
「いいから早くっ!」
パチンと背中をたたいて言った。

シャワーで全身の唾液を流す。
アスカは病気なんだろうか?その原因は?
間違いなく僕だ。絶対。
気づいてあげるのが遅すぎた。好きって言うのが遅すぎた。
風呂場の壁を殴る。思いの一つ一つを込めて。
綾波になんて言えばいい?アスカは僕のこと好きなんだよな?なんでこんなに僕はバカなんだ?
怒りがわいてくる。自分への怒り。
手が切れて血がでた。でも関係ない。
ささやかな自分への罰。喜んで受けよう。


615:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 06:23:54
僕がしっかりしなくちゃ。アスカの病気は僕が治してみせる。
絶対に。
そう決心すると殴るのをやめ、風呂場を出た。
「すっきりした?」
「う、うん」
また笑っている。さっきとは別の、優しい笑み。
「おなか空いたでしょ?朝ご飯にしましょ」
朝ご飯?あ、そうかもう七時前だ。
「僕が用意するからアスカはゆっくりしててよ」
「そーお?たまには気が利くじゃない♪」
手早く調理していく。トーストに目玉焼きに簡単なサラダを作った。
「アスカ、できたよ!」
「はぁーい」
消毒液と絆創膏を持っている。
「アスカっ、怪我したの!?」
「はぁ、それあんたでしょ!」
「・・・見てたの?」
「どんどんって音したから見に行っただけよ。べ、別にいっつも見てるわけじゃないわよ!」
どーだか。本当に怪しい。うかつに行動できないや。
「ほらっ、手ぇ出しなさいよ!」
「う、うん」
さっきまでの様子はどこへ行ったんだか。
「ファーストに告られたって話ホント?」
声のトーンが変わった。注意して答えなきゃ。
「う、うん」
「くっ、あいつ・・・ でもただ振るだけじゃつまんないわ
散々見せつけて無理だって思わせた上で振ってやんのよ」


616:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 06:37:58
「そんな・・・」
顔が一気に歪む。
「ははぁん。やっぱあいつの事すk」
「違うよ! ・・・でも僕がそんな事する権利ないと思うんだ。いろいろ助けてもらったし」
「あんたばかぁ? あたしがいいって言ったらいいのよ!」
いつもの感じにさらに強力な〔何か〕が上乗せされていて、下手な反応したらすぐ崩れそうだ。
それだけは防がなきゃ。
僕たちは朝食を済ますと学校へ向かった。

617:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 06:39:33
ここで力尽きてみる

618:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 11:22:35
乙カレー

619:DISTRESS ◆xfCLDS4d/.
09/09/21 19:28:18
なんか投下するだけしといてすいません。久々の休日なんで爆睡してました。

一応解説っぽいのをすると、今回は「ヤンデレ~なアスカ」がテーマです。
あんまり重くなんないようにしたけど結構重くなってしまいました(汗)
初投下から無茶しすぎたかも・・・
こんなうんこ作品読みたくねーお、という人はNGして下さいませ。
あと少し続くんで応援してくれる方はよろしくお願いします。 

620:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 19:30:09

ちょっと怖い上、アスカが加害行為に走るなんてありえねぇとも思うがw
続き楽しみに待ってるよ

621:猫シンジ
09/09/21 21:35:51

「明日の夏祭りに行きたい、って言われてもねぇ。アスカ、行く気なかったわけ?」
 食事後、帰宅したミサトさんから身も蓋もないお言葉を戴いた僕たち。
普通は近所でお祭りがあったら行きますよねハイ。
「だってさ、夏祭りなんて何をするものかも分からないし……」
「なら教えてあげるわ。祭り…それは戦い!」
「た、戦い!?」
 大袈裟だなミサトさん。確かに神輿を担ぐ人たちは戦争みたいに気合入ってるけど。
僕も子供の頃に行ったっきりだから凄い人出にビックリしたけどね。
「食料調達のため小麦粉とソースの誘惑の中、自分好みの物を選び抜き……」
 普通のものなのにお祭りで食べると凄く美味しく感じるんだよね。
なんだかお腹が減ってきた。アスカも喉を鳴らしてるよ。
「そして掘り出し物を得るために数々の罠を潜り抜け、時には運に身をゆだね、勝利を掴む!」
 大当たりの入っていない当たりクジや売れ残りのオモチャ、射的にヨーヨー、懐かしいな。
ドイツにはそういうのは無かったのかな? 
アスカのことだから『子供っぽい』とか言って参加しなかったのかもしれないけど。
「要は少ない小遣いを効率的に使って楽しむイベントってわけね。簡単じゃん」
「ふっ。祭りの奥深さは直接参加した者でないと分からないわ……」
 なんか感慨深く歴戦の勇者ぶってますねミサトさん。
浴衣を着たミサトさんより、捻り鉢巻に法被姿で酔っ払ってるミサトさんが想像できるよ。
そういえばアスカは浴衣を着るのかな? 可愛いに決まってるけどどんなかな?
「祭りの葛城と呼ばれた私が徹底的に奥義を伝授してあげるわ! と言いたい所なんだけど…」
 急に口を濁したミサトさんが僕を抱き上げた。かなり情けない顔してる。
「派手にやりすぎたせいで締め出し食っちゃって、今年は運営事務局側なのよ」
「何やったのよ? それに運営って、ネルフも参加してるの?」
「当たり前じゃない。うちの主催だもの」
 この街は大半がネルフ関係者で、その残りもネルフ関係者相手の仕事だ。
良くも悪くもネルフ尽くしの街なのだから当然なのかもしれない。 
でもネルフって非公開組織じゃなかったっけ?

622:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 21:36:09
期待してるお

623:猫シンジ
09/09/21 21:36:38

「酷いわよね、見てるだけなんて拷問よ。今年はリツコたちも忙しくて参加できないから良いけど」
 リツコさんも一緒に参加してたのか。どんな祭りの楽しみ方をしていたんだろう?
金魚掬いとか盆踊りとか太鼓を叩くとか巨大花火を打ち上げるとか?
どちらにせよ加持さんが苦労していそうだ。
「リツコはさっさとシンジを元に戻す研究を進めて貰わなきゃ困るわよ!」
 プイッとアスカが口を尖らせて僕を奪い返した。
早く人間に戻りたいのは山々だけど、お祭りで息抜きするくらいは良いと思うんだ。
最近は猫の身体にも慣れてきたしね。
「それなんだけど、シジがエヴァに乗ったデータで一気に研究が進んだらしくてね」
「本当!? シジ、あんた天才!」
「順調に行けば来週あたりにはシンジくんを元に戻せるそうよ」
「ホント! やったねシンジ! あはははは!」
 アスカは僕を高々と持ち上げて満面の笑顔を見せてくれた。
僕は人間に戻ってもこの笑顔を見ることが出来るのだろうか。
元に戻れるのは嬉しいけど、それだけが少し心配だ。
「だからね。もう直ぐシジともお別れだから、お祭りで一杯思い出を作っときなさいよ」
「え……お別れって……どういうことよミサト」
「猫のシジは消えちゃうでしょ。正確にはシンジくん無意識の中に戻るだけだけど」
「シジが消えちゃう……」
 いやいや、元に戻るだけだからそんなに真剣に考えなくても。
シジは僕だし、僕はシジだし。
「ほ、ほら。そんなに深く考えないでさ! 明日はパーッと楽しんできなさいよ!」
「う、うん……そうよね」

624:猫シンジ
09/09/21 21:37:40

 部屋に向かうアスカの足取りは重かった。
さっきまでの笑顔が嘘のように消えてしまっている。一体どうしちゃったんだろう?
リビングに取り残されたミサトさんが『失敗した』って感じで顔に手を当てている。
「変に情が移っちゃったわね。欠けた情操教育に良いと持ったんだけど、不味ったかな…」
 そんな小声が僕の猫耳に聞こえた。

 アスカのベッドの横、座布団の上に敷いたタオルケットの上で寝転がる僕。
いつの頃か僕の寝床はリビングからアスカの部屋に移されていた。
もっとも毎日ベッドの方に連れ込まれて全然使ってないんだけどね。
「あんた、消えちゃうんだってさ。シンジの無意識の中に戻るなんて勝手な言い草よね」
 寝転んだアスカが僕を優しく撫でている。子守唄のように僕を撫でてくれている。
何だかとても懐かしくて、凄く安心する。お母さんみたいって言ったら怒るだろうか。
「シンジが戻ってくるのは嬉しいけど、シジともお別れか……ごめんね」
 仕方ないよ。元々実験失敗の緊急処置だったんだし。
消えるって言ってもシジは僕で、僕はシジだから元気出してよ。
「ぅみゃーん……」
「あ、起こしちゃった? ごめんね。明日は美味しいもの、一杯買って上げるから」
 少しだけアスカの声に元気が戻ったのが嬉しい。
まだ早いけど眠くて眠くて仕方ない。そういえば昨日は寝れなかったんだよな僕。
「たくさんたくさん楽しもうね……おやすみシジ」

 僕が猫になって知ったアスカは、僕の知らないアスカだった。
天才という肩書きのせいか、いつも張り詰めたように気が強くて意地っ張りなアスカ。
でも本当は優しくて、か弱くて、寂しがり屋で、温かかった。
僕はそれを知っていたはずなのに、それを全然理解しようとしていなかったらしい。
そう、僕が猫になって知ったのはアスカのことだけじゃなかった。

<つづく?>

625:猫シンジ
09/09/21 21:40:19
今回は早いですが昨日の後半みたいなものなんで両方短いです。

アスカにシジの境遇(必要がなくなったから消される)と自分の境遇(エヴァに乗れなくなったら
価値が無くなる)をダブらせて書いていましたが、そっちで悩み始めると収拾が付かなくなるので
残念ですが全部カット。
ミサトは浴衣より法被(はっぴ)にサラシの方が似合うと思います。

626:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 21:42:11
乙!
アスカもシジも可愛いのう~
もうじきクライマックスか。投下待ってるよ!

627:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/21 23:18:04
太鼓を叩くのはリツコしか想像できないw

628:543
09/09/22 00:20:11
 皆様こんばんわ。
 ぬこシンジかわいいなあ、アスカもいじらしくて頭撫でたくなりますw
 毎度毎度寸止めばっかで申し訳ありませんが続き投下いたします。

今回ちょい長いです。
自転車と長髪男と観光地価格が嫌いな方のNGワード

空を見上げて

で御願いします。

629:空を見上げて
09/09/22 00:22:13
 *

 さて、問題はここからだ。
 駅まで自転車で行くことにしたのだけれど、当たり前のように後ろに座ろうと
すると、聞きにくそうにシンジが呟く。
「アスカ、その……」
「な、何よ?」
「色が好きだって買った自転車、まだ乗ったの見たことないんだけど?」
『来たな………』
 正確に言うと乗らないのではなく乗れないなのだ。あと、これほど密着できる
いい口実はそうそうない訳で。
「そ、そりゃそうよ。このへん結構坂道あるでしょ?上り坂なんて面倒なもの
私は嫌なの」
「ちぇ、それじゃあ何で買ったんだよ」
 買い物帰りの自転車屋で、シンジを無理矢理つき合わせてまじまじ眺めていた
その自転車は、まだぴかぴかなままで自転車置場に鎮座している。
 『イギリス製』『限定モデル』『人気商品の人気色』『クロスバイクの入門編』
……店員の様々な殺し文句で買ってしまったものだった。今できることと言えば、
シンジやミサトに感づかれないように眺め、乗った気になってイメージを膨らま
せることくらいだ。
「まあいいじゃない、早く行こうよ」
 私がシンジの腰に手を回して必要以上にギュッと捕まると、自転車は慎重に滑り
出した。
「あ、あんまり段差のある所走らないでよ!」
「わかってるってば」
 なだらかな下り坂で、アスファルトを吹き抜ける熱気のある風をまともに受ける。
 それでも街路樹や建物の影に入ると、空気の温度は途端に下がり、心地よい
刺激がシャツの布越しに伝わってくる。
 律儀なシンジは段差がありそうにな所は避けて、通らざるを得なくなるとゆっくり
減速して通過する。

630:空を見上げて
09/09/22 00:24:38
 私は思う様にシンジの背中に頭を預け、その感触を満喫した。
 街路樹を通り過ぎるたびに晴れた空の光線が瞬く。強すぎる光が視界を狭めて、
何を見るわけでもなく頭の中を空白にしてゆく。
 そんな油断しまくりの状況で、不意にシンジが話し掛けてきた。
「アスカ」
「何よ」
「前から思ってたんだけど」
「何をよ」
 信号停車で自転車が止まると、シンジが振り返って聞く。
「その、もしかして、…………自転車、乗れないの?」
 巧く隠したと思った矢先の唐突な質問に、私は固まって思わず頷いた。
 それから暫く二人で静止していた。
 サッカーのユニフォーム姿の子供達がこっちを怪訝そうに見ていた。
 横断歩道を渡り始めた子供達の囃し立てる黄色い声を聞きながら、シンジは
地雷を踏んだと悟ったらしい。
「青」
「へ?」
「信号、変わったわよ」
 シンジがもたつきながら自転車を発進させ、ぎこちなく自然さを装って更に
訊いてくる。
「あぁアスカは乗れないんなら、何で自転車買ったの?」
「あ、赤い自転車好きなのよ。……悪い?」
 二人して無意味に気を使って話すのは、どうなんだろう?心なしか二人とも気の
遣いどころのピントがあってない気もするけど。
「あははは、そうなんだ。知らなかったな」
 こういう時私は、物理的な何かで誤魔化すしか能がない。てなわけで、ごめんね
シンジ。えいっ!

631:空を見上げて
09/09/22 00:27:22
「ったーー!何するんだよアスカ!!」
「今、ば、馬鹿にしてたでしょ?」
「し、してないよぉ。何でそうなるんだよ」
「笑ってたじゃない!それが馬鹿にしてる証拠よ!」
「アスカ言ってることが無茶苦茶だよ」
「うるさい!」
 シンジの態度は嘲笑でなく寛容だったのは解っていた。
 八つ当たりの矛先を向けても、ある程度の事なら許してくれる……。
 そういった見込みと甘えが逆に私を苛立たせる。
『ぐだぐだ考えながら男の背中を満喫してれば世話ないわよね……』
 自嘲気味に考えながら、シンジの少し乱れた息遣いと汗ばんだ背中を感じる。
 あの角を右に曲がると駅に着く。ああ、もうこの特等席も帰り道までお預けかな
としんみりしていると、かつてない衝撃がお尻を襲った。
「はぅん!ふがっ!!………」
 突き抜ける痛みに言葉にならない。
「あ、ごめんアスカ!……大丈夫?」
『大丈夫なわけないでしょうが……』
 出会い頭に何かを避けて歩道から車道に降りてしまったらしいことは、後で
電車の中で聞いた。
 そのときは一瞬宙に浮くくらいの衝撃を食らい、シンジに抗議も出来ずその場に
蹲って動けなかった。
「アスカ……立てる?」
「ムリ。むり。ちょっと今ムリ」


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