09/09/05 16:23:27
イイヨー!
301:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 16:40:54
>>273
それ面白そうだな
偶然にもアスカに飼われてドキドキ生活
シンジが帰ってこなくなったアスカが猫シンジに心情吐露して
シンジがアスカの気持ちを知り~みたいなベタベタ展開w
302:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 17:45:45
甘ネタが似たようなのばっかりだし
ヒドい作品と少々マトモな作品の差が激しいしどーせなんかパクッてるんだろ>if
303:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 18:48:47
>>273
確かに妄想を書き立てるネタだな。
304:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 20:05:32
良くあるリツコのヘンチクリンな研究が絡んでくるとみたw
>>301みたいなの俺もみてみたいな
305:猫シンジ
09/09/05 21:07:07
「そういうわけでこの子をしばらく預かって欲しいのよ、ね、お願い」
「別にいいけどさ。私もあんまり世話できないわよ」
「そ、その辺は色々用意するから。今度おごるから」
リツコさんがミサトさんに必死に頭を下げている声が聞こえた。
正直に『誤って僕を子猫にしてしまった』って言ってしまえばいいのに。
リツコさんは猫になってしまった僕に直ぐに戻すからって言って謝っていたけどいたけど
一体いつ戻れるのか少し心配だ。
「安い店じゃやーよ。で、この黒猫の名前はなんてーの?」
「名前? え、えーと、そう、シジ。この子はシジっていうの!」
そんなわけで今日から僕の名前はシンジではなくシジになった。
「シジって変な名前ー。あたしならもっとカッコイイ名前付けるのに」
「昔の有名な映画にジジっていう黒猫がいてよ。そりゃもう凄い人気だったわ」
「それをもじってシジか。単純ねー」
僕が無抵抗なのを良いことにアスカが僕をヒョイヒョイと持ち上げて遊んでいる。
引掻いてやろうかとも思ったけど、仕返しが恐くてやめた。
万一顔でも引掻いてしまったら僕の方が立ち直れないしね。
だから仕方なく無抵抗で遊ばれてあげている。うん、僕って大人。
「あ、こいつ雄だ。ほらミサト見て見てー」
いやん。
306:猫シンジ
09/09/05 21:07:52
「シジ、ごはんよ」
ソファーの上で休んでいるとアスカが食事を持ってきてくれた。
人間の時はせっつかれる立場だったし少し新鮮だ。
猫の食事と言えばキャットフードなんだけど、これを食べるのにはやはり抵抗がある。
でも食べなきゃ身体が持たないし、何よりアスカが近くで僕が食べるのをジッと待っている。
仕方ないよね、うん。モグモグ、薄味だけど結構美味しい。
「あ、食べた食べた。ちゃんと食べて大きくなるのよ。はい食後のミルク」
目の前に湯気の立ち上る熱々のミルクをどうだと言わんばかりに置かれた。
アスカは猫舌って言葉を知らないのかな?
相変わらず飲むのを期待してジッと待っているけど無理だって無理。
「……(ジー)」
仕方ない。ちょこッとだけ挑戦してみよう。猫が食わず嫌いしているかもしれないし。
ぺロッ――
「みゃぁ――!!!」
熱い、マグマより熱い! 無理、絶対に無理!
転げまわる僕の周りでアスカがオロオロしていたけど、僕もそれどころではなかった。
不便すぎるよ猫の身体。
その後、アスカは僕が眠るまで涙目でずっと傍についていた。
なんとなく僕の方が罪悪感を覚えるのは何故だろう。
予想はしていたけど猫はトイレに入れない。
カリカリと扉を引掻いても怒られて猫砂の上に連れて行かれた。
引掻いたのは謝ります。ごめんなさい。
もう猫のくせにトイレに行きたいとか思いません。
だからそこで見ているのだけはやめて。お願いだから。あぁーっ!
307:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 21:11:08
「バカシンジのくせに連絡もよこさないなんて良い度胸ね。あたしの朝食どうすんつもりよ!」
朝のキャットフードを用意しながらアスカが愚痴ってる。
僕の心配より朝食の方が大事なのかな? 目玉焼きくらい自分で作ればいいのに。
ん、今朝のミルクは温い人肌だ。これなら飲めるや。うん。
「……あんたは元気ねぇ。今日のミルクは美味しかった?」
アスカにヒョイと持ち上げられた。夢中で食事してるあいだずっと観察されていたみたい。
猫の身体は慣れないな。結局アスカはずっと僕を膝の上に乗せていた。
ミルクを飲んだのがそんなに嬉しかったのだろうか?
「ちょっとシンジが行方不明って何よ! ただの外泊じゃなかったの?」
丸一日たって僕が行方不明になったということがアスカの耳に入った。
リツコさんは適当に誤魔化すって独り言を言っててたけど全然誤魔化せてないじゃないか。
でも人に心配されるのって少し嬉しいかもしれない。
「それがジオフロントから出た形跡がないの。だからまだ何処かにいるか、連れ去られたか」
「連れ去られたかって、何であいつが!」
「エヴァのパイロットな上に碇司令の息子さんよ。理由なんてお釣りが来るわ」
父さんは僕のこと、心配してくれるかな。
ううん。きっとエヴァとネルフを優先するさ。
でももしかしたら…心配してくれるかな。
「バカシンジのことだから迷子になってるに決まってるわよ! 探し出して取っちめてやる!」
一緒にジオフロントを探すわよ、と僕のハンカチを持ってきて匂いを嗅がせてくる。
アスカ。僕、犬じゃなくて猫だよ。
308:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 21:12:14
適当に浮かんだので簡単に書いてみた。
しかし限界。後は任せた。
309:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 21:34:10
猫神様GJGJ!!可愛すぎるううう!!
そんなこと言わずに是非続きも書いて下さい!!
310:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 22:08:07
ぬこシンジきゅん…///
311:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 22:52:01
GJ!
仕事早いなぁw
312:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/05 23:02:07
リクした者ですGJです!!
自分の予想以上にかわいいです…また続きをよろしくw
313:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 00:15:32
if叩きいいかげんうぜえ。
314:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 02:21:25
>>313
if乙
>>308
続き読みたいです。お願いします。
315:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 05:21:19
「苺」
ある日曜日の夜
僕は漫画を見ていた。ふと窓から外を見る。そして僕はベランダに出て手を出した。
滴が手に落ちる。
「ん、…雨か?」
段々と滴が強くなって僕は部屋に戻った。窓から見えるくらいの大雨になる。
「ふう、お風呂は気持ちいいわね」
アスカがお風呂から出てきた。寝巻き姿で頭にバスタオルを巻いていた。
「シンジ如何したの? 窓を見ているけど何か見えるの?」
僕はその姿に見とれていた。僕は上の空、
「シンジ!」
アスカが呼ぶ声がした。「ああ、ごめん。雨を見ていたのだ」
「ふ~ん、雨が降っているの」
そう言いながら台所に向かった。冷凍庫を開けて中を探っている。
「ねぇ、シンジ」「ん、なに?」
「アイスがないの。…あんたもしかして食べた?
あんたが食べたでしょう! いや絶対に食べた!」
アスカは僕を犯人扱いした。
「ちょっとアスカ! 僕を犯人扱いしないでくれる!」
まあ、僕がアイスを食べた犯人だけど。
アスカが僕の顔をじっと見る。僕は目を逸らした。
「やっぱり食べたのね!」
「ごめんアスカ」「あんたバカ!」
バスタオルを僕に投げつけた。
「うわ!…ふっ」顔に掛かる。僕は匂いを嗅いでしまった。
316:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 05:22:53
「風呂上りの楽しみを奪って、このバカシンジ」
「ごめんよ、明日買ってくるから」
アスカは僕の顔に掛かっているバスタオルを取り、
「だめよ。だめだめ。今すぐ買ってきてシンジ!」
「ええ、アスカ。外は大雨だよ! 濡れちゃうよ!」
「濡れればいいじゃない! アイスを食べた罰よ!」
「うう、許してくださいアスカ様」
僕は手を合わせてお願いした。アスカは少し黙りニヤリと笑った。
「じゃあ、あたしとキスをしてあたしを満足させてくれたら…」
僕の唇に人差し指をつけて、
「許してあげる」と言った。
「それで許してもらえるの? アスカ」
アスカは黙ってうなずいた。
「いくよ、アスカ」「きて、…シンジ」
僕はアスカの唇に近づいた。なんか、アスカって可愛いし良い匂いがする。
僕はキスをした。アスカの唇は柔らかい。僕は唇を離す。
「アスカ、…これで許してくれる?」
アスカは腕を組み考えている。
「…そうね。もう一回」
アスカは人差し指を出してそう言った。
「え! もう一回」「そうよ、さあ! 来なさいシンジ」
アスカは手を広げて僕を呼んだ。
317:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 05:23:47
僕は二度目のキスをした。
キスをしていたら舌が入ってきた。
あすかの舌が僕の口の中で踊る。僕はすぐに唇を離す。
僕はアスカの顔を見た。
「不合格よ」口調は優しかった。
満面の笑みで僕を見る。おまけに白い歯が見える。
僕はため息をつきながら玄関に向かう。
「イチゴ味のアイス2個ね。シンジ」
僕は後ろを振り返る。
アスカは人差し指を自分の唇につける。
「わかったよ。アスカ」
僕は傘を持って外に出た。雨は小降りになっていた。
終劇
318:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 05:28:12
184さん
どうでしょうか。正直な感想お願いします。
319:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 08:29:52
止めの一撃
320:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 08:30:51
〔I want to think you about the moon again.〕
僕はベランダから月を眺めていた。僕は眠れなかった。
明日は綾波との食事会だから僕は眠れない、
「シンジ何しているの」
後ろから式波アスカの声がした。
「式波さん如何したのですか?」
「バカシンジ! アスカと呼びなさいと言ったはずよ」
あの夜僕は、式波さんから特別にアスカと呼んで良いと、許可された。
「ごめんアスカ」
僕は何も悪くはないけど謝ってしまった。
「すぐそうやって謝る。日本人の悪い癖ね」
「うう、すいませ…ぐぅ」
僕は慌てて口を押さえた。
僕はアスカに、何故こんな時間に起きているのか聞いた。
「私も少し眠れないのよ。明日は3号機の起動実験だから…」
そう言って少し黙った。
「バカシンジ、あんたは如何してなの?」
アスカが沈黙を破る。
「明日は食事会だから…」
「あ、そうか。それで眠れないのだ」
また少し黙った。なんか気まずい感じがした。
「なんか飲む? アスカ」
「冷たいジュースか、お茶か、どっちがいい?」
「ん、ジュースがいい。…ありがとう」
321:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 08:31:56
「はい、ジュース」
僕はアスカに渡した。アスカの小指が僕の指に触れた。
「ありがとう。バカシンジ」
僕はジュースを飲みながら、アスカを横目で見た。
アスカも僕を横目で僕を見ていた。
「何よ、バカシンジ! あたしのこと横目で見てなんか付いているの?」
「い、や、なんか、…月に照らされたアスカが可愛いと思ったのだ」
「バ、バカシンジ。何よ…行き成り、何も出ないわよ」
「いやいやいや。そうじゃなくてたまたまだよ」
僕は何を言っているのか分からなかった。
「はあ?」
アスカは首を傾げて僕を不思議そうに見ていた。
僕は話題を変えるために、
「見て! アスカ。月が綺麗だよ。君のように綺麗だよ」
「はあ?」
完全に失敗した。
まだ僕のことを不思議そうに見ている。しかも冷たい目で僕を見ている。
たぶんバカにしている。 誰か! 誰か助けてください。
また沈黙が流れた。僕のせいだ。考えろ! 何かあるはずだ。そうだ!
「明日の、起動実験成功するといいね」
「絶対に成功させる。成功させなければいけないのよ。
…あたしの居場所をそこしかないから。ヱヴァにしかないの」
アスカが言った言葉が聞き取れなかった。呟いていたから。
「ねえ、アスカ。起動実験が成功したらまた月を見ようよ」
「へぇ、あんたも言うわね。いいわよ」
「「〔もう一度あんた(アスカと)〔貴方と〕と月を見るわ(よ)〔みたい〕」」
終
322:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 08:35:17
以上
お粗末でした。
323:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 08:53:35
何で時たまキャラがバカボンのパパになるん?
つまんねぇよホントこれ
読んでてビックリした。本当に詰まらなかった。
もう駄目だと思った。もう本当に詰まらなかったわ…
324:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 09:00:27
つか文章がキモすぐる
325:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 09:03:47
今回のこれで>>293が盗作という説が濃厚になってしまったな
if、酷いよコレは。いくらなんでもレベル落ちすぎ
326:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 09:33:05
俺だったらここまでスレの住人にけなされたら1週間は立ち直れない
でも1日経たずに「空気を壊します」と投下をするのがifクオリティ
これで自称社会人ってんだから可笑しな話だと思う
中学生の間違いでは?
327:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 09:52:35
いまどきの中学生はもう少し書ける。
マンガをたくさん読んでるからね。
328:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/06 10:06:41
盗作?
そんな幼稚な真似は私はしないです!
何処と何処を見て盗作と言うのか教えて下さい?
>>327
漫画は面白いね
小説も面白いね。買いすぎだけど
329:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 11:26:47
もうifにかまうのはやめろよ
他の人の投下待ってます
330:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 15:44:46
エロパロのほうがLASだな・・・
331:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 17:48:33
>>330
アスカってエロが似合うんだよね。でも、冷静に考えると中学生なんだよな
一寸ヤバい。アグネスに監視される
332:ふぅ。
09/09/06 18:10:15
去っていく背中を見届けて、腕を放した。
「ヒカリ、行きましょ。」
「う、うん…」
「おいちょっと待てよ!」
「なんなのよ!」
ふと頭にひらめいた。
「駅まで教科書持ってってくれたら連絡先教えてあげてもいいけど。」
「なんでそんなことしてま…」
「いやならいいわ!じゃあね!」
「ありがとー。三人分もお疲れさま。じゃ」
「ああ。」
「あっ…連絡先ぃぃぃ!」
電車に乗り込み、重い教科書を足元に置く。
「なにあのバカ!ほんと笑えるわ!」
「あんなことしてよかったのかしら…。」
「ヒカリ!あんたちょっとまじめ過ぎんのよ!
世の中賢く生きたもん勝ちなのよ。」
「そうかしら…。」
「にしてもあたしって結構もてんのね!」
スカートをひるがえして、ヒカリにぶりっこポーズを取って見せる。
「はいはい、でもアスカほんとにかわいいと思うよ。
目も大きいし、こう見えて結構かわいらしいとこあるしね。」
「こう見えてってどう見えんのよ!」
333:ふぅ。
09/09/06 18:11:46
そっか、あたしも自信もっていいのかもしれない。
ヒカリはいい友達だと思う。
そんなこと絶対に言ってあげないけどね。
「あしたから学校だねー!」
「かっこいい彼氏、かっこいい彼氏…」
「まだ言ってるの…?」
次の日はさっそく学校。長い春休みからだと気が重い。
「一年生は掲示されているクラス分けの紙を見てその教室へ行きなさい。」
「一組…やったー!アスカと一緒だよ!」
「一組かぁ。」
四階にある教室に行くと、中学時代の顔触れが結構揃っていた。
入学式のときに話しかけてきたやつは、同じクラスのそいつの友達によると、
二組で隣のクラスらしい。
どうしよう、あの様子じゃきっとまた絡まれる。
334:ふぅ。
09/09/06 18:13:28
そんなことを考えているとヤツは来た。
ニヤニヤとしながらあたしに話しかける。
「よっ。」
嫌い嫌い。このチャラチャラした感じ!
「この前教科書持ってやったんだから、連絡先…」
「もう!うっるさいわねー!それにしつこい!
男たるものもっとあっさりしなさいよ!
それに何でまだ名前も知らないあんたなんかに教えなきゃなんないのよ。
あたし携帯は持ってないの。わかった?もう話しかけないで!」
「俺のクラスにさぁ、碇って奴いるんだけど。そいつとなんかあったの?」
「えっ?」
シンジ…?
「入学式んときにお前がきょどってたやつだよ。」
「知らないわ!そんなやつ。」
「本当か?同じ中学だったらしいじゃん。何かあったんじゃないの?」
「何にも、ないわよ。じゃ、あたし次の授業移動だから。」
そうよ、何にもないわよ。ただあたしの頭がちょっとおかしくなっただけよ。
335:ふぅ。
09/09/06 18:15:48
「おまえー、階段そっちじゃねーぞー!」
「うるさい!わかってるわよ!」
「なんだあれ…わかりやすいやつ。」
「あと昼休みまで三時間もあるわ。」
「なーがーいー!!なんか高校生って思ってたより楽しくないわね。」
とその時、ロッカーの教科書を取り出しているシンジが見えた。
隣なんだ、クラス…。
「うそ、あれって…」
シンジと親しげに話している男は名前もまだ知らない入学式のときの男だった。
「あんなやつと仲良くなるなんて…」
「あれアスカ、まずいんじゃない?ウソついたこと、ばれちゃうよ。」
「だから今朝あいつの名前が出てきたのかしら…。」
憂鬱な授業も終わり、ヒカリを誘って帰ろうと思っていた。
「ヒカリ、今日ちょっとノート買い足しに行くから付き合ってくれない?」
「ごめんなさい、あたし、委員長立候補することにしたの。
でね、ちょっと先生に呼ばれていて…帰るの遅くなりそうなの。」
「あんたまたそんなの立候補したのー!?ほんとモノ好きもいるものよねぇ。」
「うん…ごめんなさい。明日は一緒に帰れると思う。」
「わかったわよ、じゃあね。」
「うんバイバイ、また明日ね。」
336:ふぅ。
09/09/06 18:18:52
ノートノートっ。
ついでにデパート寄っちゃおーっと。
靴箱の前で、新調したローファーがコンクリートの地面を蹴る音が響く。
「っとぉ。」
玄関の方を見て、ふと立ち止まった。
今日はやたらと会う。
「やぁ、アスカ。」
ちょっと声、低くなった?
「なによ。」
返事を返しつつも歩き始めると、ついてきた。
「池島君と帰らないんだね。」
「はぁ?誰よそいつ。」
「彼氏の名字も知らないんだ。」
「あー、そ、そうね。家の方向も違うし。」
池島っていうんだ、あいつ…。
「そうだっけ?駅ひと駅分しか変わらないって聞いたけどね。」
「…今日は、居残りだって。」
「そうなんだ。変わらないね、アスカは。」
ふと振り返ってみると、変わらない優しい顔が微笑んでいた。
「で、なんなの?なんか用事?」
「ん、用事?別にないよ。久しぶりに一緒に帰りたいって思っただけだよ。」
「どうしてよ。」
「別に理由はないよ。ただそう思っただけ。」
337:ふぅ。
09/09/06 18:21:58
駅まで来ると、あいつはきっぷを買うと言って売り場に行った。
「なんで?あんた定期は?」
「まだ、買ってないんだ。ちょっと忘れてて…えっと230円分と。」
千円札を入れるのを見たあたしは、270円と表示されたボタンを押した。
「それ違うよ、金額が…」
「ノート、買いに行くんだけど、ついてきてもいいわよ。」
「そういうことか、わかったよ。」
おつりを受け取って、ホームへ向かう。
反対車線の電車の窓に映る二人は、カップルのようにも見えて、少し恥ずかしかった。
なにやってるんだろう、あたし…。
赤くなった頬を見られまいと、差し込む夕陽でごまかすために陰から出て少し前へ乗り出した。
「危ないじゃないかぁ!そんな前出ちゃあ!」
そう言って手をひかれると、宙に浮いているような感覚がした。
「う、うん。」
触れた手は、温かかった。
ホームに電車がやってくる。
乗客はほとんどいないスカスカの車両に二人で乗り込んだ。
338:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 18:22:22
支援
339:ふぅ。
09/09/06 18:25:51
と、ここまでです!
猫アスカ、おもしろかったです。
340:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 18:27:26
>>339
GJ!続きも楽しみです
341:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 18:34:48
GJです。また近づきつつありますねアスカとシンジの関係。池島君はどう動くのかも楽しみです。
ちなみに猫シンジですw
でも猫アスカっていうのも昔ありましねぇ
342:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 19:02:38
>>339
GJ
続き気になるなぁw池島良いヤツだ~
343:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 19:14:14
普通につまんね
344:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 20:50:00
どうしてもキンモクセイと被るな
345:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 21:38:13
猫シンジ待つ
346:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/06 22:49:03
>>339
GJ
待ってました!
347:猫シンジ
09/09/07 00:00:12
バスに揺られて目指すはジオフロント。
最初は自分の足で歩いていたけどバス停までが想像以上に遠いこと遠いこと。
バスのタラップに飛び乗ろうとしたところでアスカに抱き上げられ膝の上に置かれた。
少し恥ずかしいけど他の乗客の迷惑になるから大人しくしておこうね。
アスカはぼんやりしながらずっと窓の外を見ていた。眠いのかな? 僕も眠い。
「申し訳ありませんが、許可無く動物をジオフロント内部に入れることは出来ません」
まるで申し訳なくない顔の職員が僕を腕に抱いたアスカの入場を拒んだ。
当然の足止めなんだけど、僕って昨日はこの中から出てきたんだけどな。
烈火の如くアスカが怒っている。
機嫌が悪い時は誰にでも当たるのはやめた方がいいと思う。
なんだか寂しく見えるから。
僕に当たるのはいつもの事だし別にかまわないけどね。
「だったらミサトを呼んでよ。リツコでも良いから!」
「あ、赤木博士の猫殿でありましたか!? ど、どうぞお通りください」
リツコさんの名前が出た途端、職員の態度があからさまに変わった。
やたらビクついていたけど一体なにがあったのかな。
ともかく僕とアスカは中に入ることが出来た。
ところで、広いジオフロントでここにいる僕をどうやって探す気なのだろう?
348:猫シンジ
09/09/07 00:01:01
ジオフロント入口から歩いて三分、エレベーターで一分、更に歩いて五分。
研究棟は実験ルーム意外はあまり入ったことが無いけど、ここは別。
何せ昨日も来たから。そう、昨日こんなとこにさえ来なければ…
「入るわよー!」
「あ、アスカ!? きょきょ、今日は何の用かしら?」
返事も待たずにドアを開けたアスカに明らかに動揺してるリツコさん。
必死でモニターを隠しているけど、僕を元に戻す研究をしてくれていたのかな?
ある意味一発で当たりを引いたのはアスカらしい。
「昨日のシンジの行動を見せて欲しいのよ。あるんでしょ、監視モニターとIDの使用記録」
僕らはぼぼ一日中、数人のSPに監視されている。
でもさすがにネルフ本部内ではフリーになるみたいで監視モニター頼みだ。
どこへ行くにもIDカードに記録が残るしね。
「ホッ…そんなものなら連絡をくれればデータを送ったのに。でも既に調査済みよ」
改竄済み、の間違いではないだろうか?
データ画面によると僕はジオフロント内部の緑化地帯で消息を絶ったことになっている。
加持さんの農園がある場所だな。
「サンキュー、リツコ。さ、お前の出番よシジ! シンジの匂いをたどるのよ」
だから犬じゃなくて猫なんだって。
349:猫シンジ
09/09/07 00:01:55
自分探しをする僕。
言葉だけなら格好良いけど適当に時間を潰して帰るしかないよね。ホント。
固い床ばかり歩いていたから、ぬかるんだ土の感触が気持ちいい。
「シンジー! 隠れてないで出てきなさいよー!」
「にゃーん!」
「お前じゃないのよシジ。シンジ! いい加減にしないと怒るわよー!」
「にゃーん!」
名前を呼ばれる度につい条件反射で返事をしてしまう。まあいいか。
「もう、いじけてないで出てきなさいよバカシンジ!」
そんなに僕っていじけてるイメージがあるのかな。ちょっと悲しいけど否定できない。
でもこの辺りってもう捜索されてるんじゃないかな?
一時間ほど探し回って当然だけど収穫なし。さすがに可哀相だ。
もう帰ろうとスカートを引っ張ってみる。
「なぁに、疲れたの? だらし、ないわね」
そう言うアスカも息を切らせている。声が掠れていた。
加持さんのスイカ畑へ案内した。たしか水道があったはずだ。うん、あった。
「ぷはぁー、生き返るー」
冷水で顔を洗い、喉を潤したアスカが両手に水を貯めて飲ましてくれた。
ところで人がいないからって水を浴びすぎだよ。その、なんだ、色々透けてる。
350:猫シンジ
09/09/07 00:03:34
「一休みしたらこの辺をもう少し探しましょうか」
アスカは僕がこの辺にいると決め付けているらしい。単純というかなんと言うか。
情報を鵜呑みにしたら駄目だよ。大人は嘘吐きだから。
「間抜けに怪我して動けないか、隠れて泣いているかのどっちかよ。絶対」
やっぱり僕の評価はそんなもんか。普通は猫にされてるとは思わないもんね。
ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪
「ヘロー! 何だミサトか。そう…何にも進展ないの。あっそう。 あ、あたし?
あたしは公園でシジの散歩中よ。シンジなんて放っといても帰ってくるわよ。じゃね」
そういってミサトさんからの電話を切った。
「まったく。誘拐なんてあるわけないじゃん。大体ミサトは心配しすぎなのよ。ねーシジ」
アスカはもう少し心配してくれてもバチは当たらないと思うけどね。
薄々感じていたけど少し悲しい。
でもバカにしつつも探してくれるってことはやっぱり心配してくれてるのかな?
薄々感じてたけどアスカって言ってる事とやってる事が全然違うんだよな。
するなって言われたからしなかったのに、怒ったりさ。
「ほんっと。誘拐なんて…あるわけないのに」
うん。ないない。ここにいるし。
もう一時間ほど無意味な捜索をして僕たちは泥だらけで帰路に着いた。
疲れたのか帰りのバスの中、アスカは無言だった。
怒ってるのかな?
ごめんね。こんなことになっちゃって。
351:猫シンジ
09/09/07 00:04:30
この辺で力尽きてみる。
他の続きを仕上げないと…
352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 00:12:45
GJ!猫シンジもアスカも可愛い…そして続きがすごく気になるw
353:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 00:32:47
猫ジジ~
アスカにどう説明すんだぁ~
354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 00:50:25
可愛いなぁ…
355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 01:14:23
GJ!いいね~猫シンジ
続き待ってるよ~
356:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 07:27:27
GJ!
リツコ頑張れw
357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 17:12:16
GJ!ここまで素晴らしい作品になるとは思わなかったw
リクした人にもGJだ
358:猫シンジ
09/09/07 18:50:30
>>350の続き
もう夕方。
世間は夏休みで遊びへ行く人も多いのに僕らは泥だらけ。
バス停からはアスカの腕に抱かれて帰った。
情けないけど子猫の身体は体力がない。
でも決して僕の体力がアスカに劣るわけじゃないと思う。
この身体が悪いんだ。うん、そういうことにしておこう。
ピンポーン! ピンポーン! ピンポンピンポン!!!
アスカが我が家の呼び鈴を乱暴に押してる。もしかして鍵、忘れたの?
今日の予定ではミサトさんはまだ帰っていないはずだ。
「…………」
しばらくしたら鍵を取り出してドアを開けた。持ってるなら最初から開けなよ。
変なところで面倒くさがりなんだな。
「たっだまー!」
「にゃにゃーん!」
お帰りーっと返事をしといたけど、また玄関で立ち尽くしてる。
「………………………ふんっ!」
出迎えがないからって乱暴にドアを閉めたみたい。怒りっぽいなぁ。
僕もミサトさんもいなかったら誰もいないに決まっているじゃないか。
理不尽だよアスカ。
359:猫シンジ
09/09/07 18:51:26
「無駄に休みを浪費しちゃったわね、シジ。まあ良い暇潰しになったけど」
アスカは座って靴を脱ぎながら少し自嘲気味に言うと
「…一人でどこでも好きに遊びに行ってればいいのよ!」
いきなりドアに靴を投げつけた。危ないなぁ。物に当たるのはよそうよ。
でも少しアスカの愚痴も分かる。
僕らは使徒襲来の備えていたせいで修学旅行にもいけなかった。
きっとこの夏休みも作戦以外ではどこにも出かけられずに終えるのだろう。
僕は毎年のことだから気にしないけど、アスカは可哀相だ。
勝手に行方不明になったのは悪いと思うけどそれを隠すリツコさんの方が悪い。
猫になったなんて無茶苦茶だけどみんなに心配かけることないじゃないか。
そうだ。後でどうにか僕はここにいるとアピールしてみよう。
その辺のカゴの中に放り込まれてそう決心した。肉球でキーボード打てるかなぁ?
「あー、もう。汗と泥でベッタベター! 気持ち悪ーい!」
僕も汗だらけで少し気持ち悪い。しばらくすれば乾くだろうけど。
スルスル、ストン、ポイ、ファサ…
ん、何か布がたくさんカゴに放り込まれてきた。タオルで身体を拭けって言うのかな。
猫に対して無茶苦茶するな。ってなんだこれ? にゃにゃにゃにゃんだこれ!!
顔を上げるとタオル一枚になったアスカが棚から洗剤などを漁っている。
どうやら僕が放り込まれたのは脱衣カゴだったらしい。
てことはこの布は……これはさすがにヤバい!
僕はカゴから飛び出して脱衣所の折り畳みカーテン式の扉を開けようとカリカリ引っかいた。
罪悪感もあるけどもしも正体がバレたら半殺しじゃ済まない。
「ほーらほら。シジ、おいでー」
逃げ回る僕に対してアスカが最終兵器を持ち出した。帰り道で取ってきた猫じゃらし。
悪いけど僕、本当は猫じゃないから。そんなものに興味はないんだよ。
「猫が風呂嫌いなのって本当なのねー。こらっ、泥だらけで暴れないの!」
うう、あっさり捕まってしまった。猫の本能が悪いのであって、僕は悪くない。
でも捕まって一緒にお風呂に入ることを少し期待してたかもしれない。
360:猫シンジ
09/09/07 18:52:45
熱い熱い熱いー! マグマの中に飛び込んだ時よりも熱いってば!
「じっとしてなさいよ。もうっ!」
アスカが暴れる僕にお湯を掛けて乱暴に洗っている。
人間のお風呂と同じ温度はキツイ。ほんとにキツイ。お願い早く気づいてー!
「ちょ、ちょっとシジ。シッカリしなさいよシジ!」
ようやくグッタリした僕を見て温度が高かったことを悟ってくれたらしい。
水に近いぬるま湯を入れた洗面器に浸かる僕。はー、極楽極楽ビバノンノン。
「ビックリした。ホントにあんたってひ弱なのね」
身体を洗い終わったアスカが浴槽の中から僕の背中をつついた。
背中を向けているのは僕が紳士だから。やっぱし覗きは良くないよね。
「にゃーん」
ごめんなさい。凄く見たいです。でもバレた時が恐くて振り向けない。
何か卑怯な気がするし、バレなくても元に戻った時に顔をまともに見れないかもしれないし。
記憶に焼きついて悶々としたら如何していいか分からないし。
幻想は幻想のままにしておこう。
そうさきっとそれがお互いにとって最良の道さ。
「あいつ誘拐したって何の価値もないのにねー。どうせすぐひょっこり帰ってくるわよねー」
指でツンツンされる。うんうん。価値がないのは認めるけどね。
やっぱり少しは気にしてくれてるのかな。
「あたしってば、あいつがいないと御飯も何にも出来ないのよねー。不便よねー」
そう繰り返すと湯船に浸かってブクブク沈んだり浮いたりしてる。
少しは家事が出来ない自覚があったんだな。言ってくれればいくらでも教えるのに。
「にゃっ」
ところで僕は一つ大事なことを忘れていた。
それは僕がとっても意思の弱い人間だということ。
ふう。人間は何故、争いなどするんだろう。
361:猫シンジ
09/09/07 18:54:57
夜。リビングの脇に積まれた余った座布団が僕の寝床。
だったんだけど何故か僕はアスカの部屋にいる。
アスカは夕食をレトルトで済ました後、僕を膝に乗せてずっとニュースを見ていたんだけど、
そのままの流れで部屋まで連れてこられたみたい。
小さな子がヌイグルミを手放さないような感じだ。
よっぽと良いオモチャなんだろうな僕。
ベッドの中でも僕を持ち上げたり、下ろしたり。
はい右手を挙げて、左手挙げて、ぐるっと回って良く出来ました。
ホントに僕、ヌイグルミみたい。
「あいつ直ぐに帰ってくるわよね?」
『もちろんだよ』
「あたしがついてないと駄目だもんね」
『そう。アスカが一緒じゃないと何も出来ないんだもん』
もちろん僕が喋ったわけじゃなくてアスカが僕のセリフをアテレコしてる。
一人でペットと会話か。他のヌイグルミでもそうやって遊んでいるんだろうか。
結構女の子らしいところもあるんだね。
僕も昔やったことがあるけど、凄く寂しかったな。
「あいつ、あたしのこと嫌いなのかな?」
『大丈夫。きっとアスカのこと大好きだよ』
「当然よね。あたしは…別にどうでも良いけど」
ちょっとだけ期待したんだけど。自意識過剰かな、僕。
『きっと今頃はアスカの顔が見れなくて泣いているよ』
「シンジ、どっかで泣いてるのかな…」
「にゃーお」
鳴いてみた。肉球でプニプニしてみる。
「よしよし。慰めてくれるのね。お前はシンジと違って優しいわねー」
それっきり何も言わないでアスカは眠りについた。
僕はいつだってアスカに優しくしてきたと思ってるんだけどな。
362:猫シンジ
09/09/07 18:57:16
それから三日が過ぎた。まだ僕は猫のままだ。
アスカは喧嘩相手がいなくて退屈なのかボーとニュースを見たりして過ごしている。
時折りミサトさんと連絡を取っては溜息をついていた。
元気ないな。僕も一人ぼっちの休みは寂しく暇を持て余らせてたっけ。
猫の身ではアスカの周りをグルグル回ったり鳴たりじゃれつくことしか出来ない。
「あ、もうお昼だ。最近、早いな…」
珍しくアスカが台所へ立った。
普段はレトルトが出前で済ませてるのに、とことん暇なんだろうか。
野菜炒めでも作る気か野菜を取り出し、包丁を構えた。
凄い嫌な予感がする。
以前、調理実習の予習がしたいというので包丁を教えたけど、ものの見事に指先を切った。
涙目の凄い形相で血の滲む指を突きつけ「責任取りなさいよ!」と無茶を言われたっけ。
それで大急ぎで消毒して絆創膏で手当てをしたけど何か不服そうに膨れていた。
今回は大丈夫だといいな…
「ったーい!!」
大丈夫じゃなかった。料理開始から5分も立っていない。こうも予想通りだと泣けてくる。
アスカは切った指先を持ち上げるようにしてその場に座り込んでしまった。
ほら、早く消毒して手当てしないと。
「痛い…痛いよぉ……シンジぃ、早く手当てしてよぉ…」
意外にも泣きだしてしまった。そんなに傷が深いんだろうか。
でも僕に手当てしろって言うのは無茶な話だよ。
363:猫シンジ
09/09/07 18:58:24
とにかく大急ぎで戸棚の上の救急箱を取りに行く。
駄目だ、まったく背が届かない。不便だな、猫の身体。
一か八か、壁に掛っている洋服に爪を立ててよじ登り、救急箱へ飛び移る。
ガシャーン!
救急箱と一緒に転げ落ちながらも見事着地に成功。便利だな、猫の身体。
肉球では開けられないけれど落下の衝撃で箱はバラバラ、結果オーライ。
消毒液と絆創膏を咥えて、さあ急げ。
台所ではアスカが大声で泣いていた。
普段は気を張っていて弱いところを見せないけど、やっぱり女の子なんだよな。
何もしてやれない猫の身が恨めしい。
「にぁーお」
絆創膏を置いて傷口から流れる血を舐め取ってやった。
何だ、傷は浅くてちょっぴりじゃないか。こんなので大泣きするなんて大げさだな。
「シジ…うわぁぁぁん…」
良く分からないけど泣き続けるアスカに抱きしめられた。
やっぱり寂しくて不安なんだろうな。
ミサトさん、もう少し家にいてあげれないのかな?
「もー、シジ何やってんのよ! 片付けが大変じゃない!」
騒動が一段落した後、僕はバラバラにした救急箱を片付けるアスカに怒られた。
消毒液と絆創膏は食器棚の引き出しに放り込んで、残りは適当に戸棚の引き出しへ。
これを片付けるとは言わないと思う。
「まあ、頑張ってくれたんだからいっか。ありがと。あいつもあんたぐらい気が利けばねー」
やってる事はまったく変わらないと思うんだけどな。
もしかしたら僕は自分で思っているほどアスカに優しく出来ていなかったのかもしれない。
帰宅したミサトさんが破れた洋服を見て悲鳴を挙げたのはまた別の話。
364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 19:00:17
思ったよりも数段書き易かった猫シンジ。
続きも早いうちに書けるといいな。
365:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 19:01:34
>>364
GJ!アスカがめちゃめちゃかわいいw
366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 19:04:03
GJと言わざるを得ないな
アスカ可愛すぎシンジも可愛いけど、いつも通り鈍感だなぁw
続き待ってるよ~
367:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/07 19:27:56
GJ!
アスカの行動が凄い可愛い。
でも鈍感シンジは理不尽にしか見えてないのが少し切ない。
しかも紳士って言ったくせにしっかり賢者モード入ってやがるしw
368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 12:25:16 voM41zHg
>賢者モード
意味不明だった風呂の最後が理解できたw
369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 17:57:22
アスカが指先切った程度で泣くとは思えんw
370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 17:57:25
なんて可愛い作品なんだ…ヤバすぎw
もうアスカの行動一つ一つが切ないね
そして鈍感猫シンジがまたヤキモキさせてくれる
371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 18:06:35
>>369
一人暮らしで高熱出して風邪ひいてみ?
熱の苦しさよりも、虚しさとか寂しさとか怒りとか色んな感情が溢れてきて、泣きそうになるよ。
多分アスカも痛くて泣いたわけじゃない。
372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 18:06:57
>>369
アスカは強がっているだけに人が見て無い所では弱気になるんじゃないの?
373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 18:08:10
>369
もうちょいよく考えろ
374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 18:21:08
>369
前に手当てして貰ったという回想は何の為かと。
寂しいのを我慢してたのが噴き出したとかだと思われ
375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 18:40:36
これらを全部スルーしてるシンジの平常心凄ぇ。俺なら萌え死んでる。
自分の行方不明を大事と思っていないのが原因なんだろうけど。
376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/08 21:20:41
つまんねwww
377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 08:54:29
猫飽きた
378:if
09/09/09 17:51:58
379:猫シンジ
09/09/09 21:16:47
>363の続き
「私の一張羅が――ッ!!」
帰宅したミサトさんが悲鳴を挙げた。
壁にかけてあった高そうな洋服が僕の爪でビリビリになってしまったのだ。
不可抗力なんです。本当にごめんなさい。
「ぬぁんてことしてくれるのよー!」
僕を片手で摘みあげたミサトさんが涙目で訴えている。とりあえず鳴いて誤魔化そう。
「にゃにゃにゃーん」
「泣いてもダーメッ!」
駄目っぽい。アスカやリツコさんなら一発で機嫌を直すネコボイスが通用しない。
ミサトさんは猫派ではなく犬派なのだろうか。リツコさんと良く口論してるし。
「ミサトこそシジに何すんのよ!」
アスカが吊るされている僕をひったくった。こういう時は頼りになる。
「だーってぇー!」
「服なんてまた買えばいいじゃない! ところで捜索の方、なんか進展あった?」
「いやぁ…。それがねぇ。何といっていいか…」
歯切れの悪いミサトさんが作り笑いを浮かべてアスカを見た。
大人って都合の悪いことはハッキリ言わないことが多い。
「分かってるわよ。今日も何の進展もないんでしょ。ネルフの情報網もたかが知れるわね」
そうアスカはプイッとミサトさんに背を向けた。ここ最近、毎日のことだ。
これでも最初に比べると随分と大人しくなったよ。
「ちょっとぉ、アスカどこ行くのよ?」
「シジと一緒にお風呂。夕飯はレトルトがあるから自分で温めて食べてよね」
「一緒にお風呂~? 随分仲良くなったわねぇ~」
必死に逃れようとしている僕を無視しないで。
決して僕の意思で一緒にお風呂に入ってるんじゃないから。本当に本当だよ。信じて。
380:猫シンジ
09/09/09 21:17:30
ふう。今日も良いお風呂だった。あ、湯加減のことね。
なんで普通の猫はお風呂が嫌いなのか不思議でしょうがないよ。
湯上りのぬるいミルクなんて最高だと思うんだけど。
「んー、やっぱカレーにはスーパー豚骨ラーメンが合うわよね~。あ。これリツコから~」
上機嫌のミサトさんがネコ缶を差し出した。その派手な包装の缶詰には見え覚えがある。
たしか1缶で超高級ステーキ肉が買えてしまうような贅沢品だ。
こんなの誰が買うんだよと買物の度に思っていたけど、いる所にはいるんだね。
「へぇー気が利くじゃん。うっ……」
ネコ缶を受け取ったアスカが顔をしかめた。場違いな高級品に驚いたのかな?
どんな味かと少し興味はあったけど実際に食べる日が来くるとはね。
人生って本当に何が起こるか分からないよ。
「……ミサト、お酒飲んでるの?」
そりゃあ飲むさ。ミサトさんだもの。
ここ数日は朝が早いのか飲んでなかったみたいだけどね。
でもビールにカレー掛け豚骨ラーメンは見ているだけでも胸焼けしそう。
「リツコから高級ワインをせしめてね~。アスカも少し飲む? 未成年だからちょっとだけよ」
「いらないわよ、バカッ!」
凄い剣幕で怒鳴るとドスドス足音を鳴らせて自分の部屋に入ってしまった。
ミサトさんの酒癖の悪さなんて今に始まったことじゃないし、そんなに怒らなくても。
そうとうイライラしてるな。
「あっちゃ~、怒らせちゃった~。ほ~らほらネコ缶はあちら~。後は任せたわよ~ん」
とミサトさんが僕の背を押した。追いかけろってことですか。
猫に無茶な要求をするなぁ。これだから酔っ払いは困る。
「にゃおーん」
とりあえず返事をしてアスカの部屋へ向かおう。
でも飲みすぎると明日に響きますよミサトさん。
「頑張ってね~ん」
ちぇっ、笑顔で手を振ってるし。完全に出来上がってるね、あれ。
381:猫シンジ
09/09/09 21:18:40
「にゃにゃにゃーん」
アスカの部屋のドアをカリカリ引っかく。爪跡を残こす怒られるから慎重に慎重に。
程なくして僕はアスカに招き入れられた。
室内は短期間とはいえ僕が使っていた時の面影は残っていない。
よく見ると割りと女の子っぽい部屋だよな。
ここ以外は知らないけどこういう物なんだろう。多分。
少なくともミサトさんの部屋は例外だと思いたい。
「あぁ、シジのネコ缶持って来ちゃったてたんだ。お皿も缶切りも無いからまた明日ね」
ちょっとガッカリかな。台所に取りに戻ればいいのに。
でも流石にミサトさんがいる内は気まずいか。
アスカもまだ怒っているみたいだし。
「何よ。お酒なんか飲んでさ。どうせ残業だって言っても遊びまわってるに決まってるわよ」
そこまで言わなくても。あれくらい毎度の事じゃないか。
アスカってイライラしてると本当に人に当り散らすなぁ。
「もう少し真剣だと思ってたのに……大人なんか大ッ嫌い!」
そう言ってアスカは壁を何度も殴りつけた。
もう僕には何に対して怒ってるのかすら分からないよ。
女の子は月に数日、無意味にイライラする日があるってリツコさんが教えてくれたけどそれかな?
とにかく怪我してしまう前に止めようと僕は必死で鳴いてスカートを引っ張った。
「ごめんね、恐がらせたりして。もう大丈夫だから」
アスカは手を舐める僕にそう言って笑っていた。
ホントに大丈夫かな。早めに仲直りしてよね。
「もうミサトなんかに何の期待もしないから」
駄目だ。早く何とかしないと。
382:猫シンジ
09/09/09 21:19:41
『今朝4時頃、市内北部のJAGIビルの屋上で男性の惨殺死体が発見されました。』
「……!?」
朝のニュースを見ていたアスカが茶碗を引っ繰り返した。
『男性は現場に残されていた散弾銃で頭部を撃たれたものと見て、当局は捜査を……』
殺人事件か。この近くみたいだ。段々物騒な世の中になってきたね。
でもアスカにはネルフのSPが護衛しているから安心だね。
僕がついてる、って猫じゃない時でも言えないのは悲しいけどさ。
だから震えないでも大丈夫。
一人の時は本当に普通の女の子っぽいんだね。大発見だよ。
『男性は身長190cmほど、胸には七つの傷があるそうです。続きまして今週の占いは……』
「…………ホッ」
アスカは最近ニュースばかり見てるけど明るい話題は少ないなぁ。
メシア教とガイア教の紛争が悪化したり、CFGPXじゃ有力選手の事故が多発したり。
えーと今週の星座占いは……末吉か。いや信じないけどね。当たったことないし。
何々『思わぬ残業が発生。隠し事はせず素直に謝りましょう』かフムフム。
うーん。謝ろうにも謝れない人、いや猫はどうしたら良いんだろう?
「星占いなんて非科学的よねー。良い歳した大人が信じるなんてバッカじゃないの」
冷静に考えなくても人の運命を星座で12種類に分類するなんて無茶だよね。
どうせ娯楽だから良い時だけ信じようよ。当たったことないけど。
「中吉……『失せ物は身近な所に。無口なあの人が幸運の鍵かも』か…」
結構気にしてるじゃないか。何だかんだ言っても女の子は占いって大好きだよね。
ピッポッパ。プルルルルル……
「あ、リツコ? あたしだけどさ、ファーストは…分かったネルフ本部ね。サンキュー」
綾波が幸運の鍵って言われるとそんな気もするけど、また喧嘩しないか心配。
もっと仲良くしてくれるといいのに。何でいつも突っかかるんだろ?
でも塞ぎ込んでいるよりは絶対いいと思う。僕も久々に綾波の顔を見たいし。
「あんま会いたくないけど……あの子、碇司令から何か聞いているかも……」
そんな理由で僕らは幸運の青い綾波探しに向かうのであった。
383:猫シンジ
09/09/09 21:22:58
数日振りのネルフ本部。
ジオフロント入口の職員はアスカではなく僕に挨拶して通してくれた。
一体リツコさんからどんな命令を受けてるんだろう。
普段から猫の出入りが激しかったりするのかな。
そんなことを考えているうちに研究室へ。
「早かったわねアスカ…。あ、おいでおいで」
中で待ち構えていたのは目に凄いクマを作ったリツコさん。
アスカから僕を抱き取ると思う存分もふもふ感を楽しんでいる。
ちょっと照れ臭い。ついでにタバコ臭い。見ると灰皿は凄い山盛り状態だ。
UCCコーヒーの空き缶も大量に積んである。ん、缶に父さんの似顔絵がプリントされてる。
ネルフの自販機だからって缶に自分の似顔絵を入れるとか、結構目立ちたがりだな父さん。
「凄い顔ね……この間からずっと本部に泊まってんの?」
「ええ。急ぎの仕事が詰まってるけど、シンジくんの件も無視できないし、さすがにキツイわ」
ちゃんと僕を元に戻す研究してくれてるんだな。感心感心。
放置されてそうで少しだけ恐かったけど安心したよ。身体に気をつけて。
「…ミサトに聞いてないの?」
「聞いたわよ。何の進展もないんでしょ」
「…そうね。あまり進展はないわ。ところでレイに何か用事があったんじゃなくて?」
「別に用事があるわけじゃないけど、あの子がどんな顔してるか見とこうかなって」
「あらそう。ここ最近は朝からジオフロントを散歩してるわよ。今は…VF-1Sブロックかしら」
そう言って素早く綾波の現在地を調べ上げた。
プライバシーも何もないなホント。
でも綾波の夏休みって想像もつかなかったけど、意外と健康的に過ごしてるっぽいな。
よく本部内のプールで泳いでるらしいし。今度僕もプールに行こうかな。
別に綾波の水着姿が気になったわけじゃないよ。うん。
この猫の身体能力なら泳げるような気がするんだ。
「緑化地帯のS1ね。サンキュ、リツコ。ほらシジ、いくわよ」
アスカは僕を奪い返して研究室を後にした。
そういえばネコ缶の御礼を言うのを忘れてたな。まだ食べてないけど。
384:猫シンジ
09/09/09 21:25:05
VFエリアに向かう途中でテクテク歩いている綾波を見掛けた。
「にゃー…んぐ!?」
鳴いて呼ぼうとしたら口を塞がれた。
隠れて物陰から観察する気だね、アスカ。僕も少し興味はあるけど。
綾波は部屋を端から覗いたり、窓から外壁を見回したり、通路のゴミ箱の蓋を開けたりしてる。
何やってんだろ。まるで初めてこういう場所に来た子供みたい。
そういえば停電の時に、本部の構造は頭に入っているって言ってたっけ。
あれはこうした地道な努力から出た言葉だったんだね。
僕はあの時、地図を見ただけですぐ覚えられる人はいいな、とか思ってたよ。ごめん。
「あんた、何やってんの?」
「フロアの確認……それは?」
綾波が僕に興味の目を向けた。凄い不思議なものを見るような目だ。
猫が珍しいのかな。それともアスカが猫を抱く姿が珍しいのかな。
「にゃおーん!」
普段冷静な綾波がビクッと驚いた。前者だったらしい。
驚いた綾波も可愛いな。猫になってからみんなの色々な表情が見れてるよ。
「なに…これ?」
「何って、猫よ。リツコの飼い猫。名前はシジっていうの」
「これが…猫?」
「猫も知らないわけ? あっきれたぁ。んじゃ、これ持って」
はい、と渡される最終兵器・猫じゃらし。
よく分からないという表情をした綾波の手でゆらゆら揺れている。
だから、そんな物で、この僕が、どうにか、なるとでも、わわわ落ちる!
「ほーらほら、暴れないの」
アスカから腕から回転して降りた僕。どうしても猫の本能が強い部分があるみたい。
そのおかげで高いところから落っこちても無事で済んでいるんだけどね。
385:猫シンジ
09/09/09 21:26:32
綾波が猫じゃらしを右に左にやる度に飛びついてしまう僕。
「にゃっにゃ! にゃにゃにゃ! にゃにゃにゃっにゃーん!」
「……………………♪」
すっかり気に入ったのか綾波は一心不乱で猫じゃらしを揺らしている。
なんだか楽しそうだ。綾波にもこういう一面があったんだな。
その横でアスカは『どう凄いでしょ』と言わんばかりの得意満面な顔をしていた。
リツコさんの『猫は全人類を幸福に導く』という主張は正しいのかもしれない。
でもいい加減、体力的にキツくなってきたよ。
「ところでさぁ……」
「あ……」
はい終了、という風にアスカが僕を後ろから抱きかかえた。
綾波がオモキャを取られたような顔をしている。ついでにその猫じゃらしも仕舞って欲しい。
「シンジのこと、碇司令から何か聞いてない?」
「……『お前が心配する必要はない』とだけ」
やっぱり父さんは僕なんて心配していなかったんだ。予想はしていたけど少し悲しいよ。
せめて息子が誘拐されたら、自分に脅迫状が来るかもしれないくらい考えようよ。
「相変わらずドライな親ねぇ…。まあ、あの司令じゃ知ってても情報はくれなさそうだけど」
僕にはどうでも良い扱いされてるとしか思えないよアスカ。
普通の親ならもう少し真面目に心配とか捜索とかをしてくれるよ。
「……赤木博士はジオフロント内から出た形跡はないと教えてくれたわ」
「へぇー、それで朝からお散歩ねぇ…」
もしかして綾波も僕を心配してくれてたのかな。
もしそうなら薄情な父さんのことを聞いた後だけに嬉しいよ。
そんな綾波をアスカがジトーッとした目で見てる。
喧嘩はしないでね。今の僕じゃ止められないから。
「その子のお昼御飯、まだなの。食堂に連れて行くんだけど、あたし少し疲れたから」
「え…?」
「あんたが抱いてきなさいよ」
386:猫シンジ
09/09/09 21:27:37
ほいっと僕は綾波に手渡された。綾波が慌てる様が良く分かった。
目を白黒させながら取り落としそうなった僕を必死で抱きしめてる。
く、苦しい……助けて……
「ちっがーう! あたしがしてたように持つの。痛くしないように、こう!」
「こ、こう?」
女の子に抱きしめられて胸の中で死ぬとか、言葉だけは格好良い死に方をするところだった。
「……この子、温かい。ポカポカする」
「あったり前でしょ。生きてるんだから」
「生きてる……」
綾波が優しく僕の頭を撫でた。それに答えてにゃーんと鳴くと何度も何度も撫でた。
ネルフで育てられたみたいだから動物に触れるのは初めてなのかな。
二人が仲良くなるきっかけになれて僕は嬉しいよ。
「ほら、ボーっとしてないで。さっさと行くわよ」
そんなこんなで食堂の前。ミルク以外に食べれるメニューあったかな。
とにかく一緒に食事をすればまた一つ仲良くなれるさ。
ペンペンペケペケ♪ ペペペンペケケ♪
テーンテテンテテン♪ テテンテン♪
二人の携帯が同時になった。この展開はまさか……
「ヘロー、ってミサトか。いったい何の用……使徒ですって!?」
「了解、直ちに出撃準備に入ります」
やっぱり出撃か。使徒も夏休みの後に侵攻するとか少しは空気読んで欲しいよ。
「ちっ。急ぐわよ優等生!」
「ええ…この子は?」
「誰かヒマそうな人に預けといて!」
「分かったわ…」
二人とも怪我しないでよ。もしも何かあったらリツコさんに化けて出るだけじゃ済まないぞ。
「碇…・。その猫は何だ?」
「問題ない……」
あやにゃみぃぃぃぃぃぃ――!!!
387:猫シンジ
09/09/09 21:29:53
今回はこの辺で。
出来れば次も早いうちに。
388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 21:31:23
おっつ!
389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 21:33:55
ジャギまさかのゲスト出演wwww
GJでした!続き待ってるよ~
390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 21:41:26
なんとなくオチが読めたんだけど、っていうか、
ここにいるヒトの大部分は読めてるんだと思うんだけど・・・、
いい意味で裏切ってくれることを期待しています。
391:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 21:43:50
早く人間に戻ってくれ。
392:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 22:09:11
乙乙
おもろいっス
雑音は気にせずに続き頑張って
393:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 22:12:09
GJ。こういう高橋留美子っぽい感じは大好き。アスカがレイに優しくしてるネタも大好き。
北斗とメガテンとサイバーフォーミュラ? 世紀末と新世紀だなw
>>391
鈍感すぎて全然進展してない展開だし、人間に戻った所で終了じゃないかな?
394:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 22:14:03
先の展開予想は職人のさまたげにしかならんぞ
395:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/09 23:19:18
面白い。
けど新鮮味がなくなってきたからかLAS的な可愛さが消えて
ネタ的な面白さに変わりつつあると思う。
どっちでも大歓迎だが。
396:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/10 01:48:33
めちゃくちゃツボです猫シンジ!マジで最高w
普段から振り回され役のシンジだけど、猫になることによってそれが良い意味で何倍もアップしてるんですよね。
素晴らしいです。
397:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/10 08:19:38 eaDcghar
最後でメチャワラタw
綾波から見てもヒマそうに見えるんだなマダオ
398:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/10 15:26:12
つまんね
399:if
09/09/10 15:31:24
そろそろ出番のようですね…
400:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/10 18:47:04
猫になったシンジがアスカの一人Hを見ちゃう
展開希望
401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/11 16:03:41
シジ=シンジだということを知ったアスカのリアクションが楽しみ
402:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/11 20:07:19
十日町
403:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/11 22:29:59
ジャギの意味がよくわからん。ただのネタ?
404:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 04:29:11
お初。お手柔らかに
*
いつも通りの朝。アスカと一緒に登校だ。
それにしても今日の朝ご飯はひどかったなぁ。バナナ一本だなんて・・・。まぁアスカが当番だから仕方ないか。
「ほら、さっさと歩きなさいよ!」
「ご、ごめん」
「ほんっとどんくさいわねぇ あんたがバカ脱出する日なんて一生来ないとおもうわ~」
僕が考えごとしてるといつも声をかけて、・・いや怒鳴りつけて来る。仕方ない、適当に相手しよ。
考えてみればミサトさんやアスカと暮らすようになってから半年くらいか・・・。にもかからわずアスカの僕に対する態度はほとんど変わらない。・・ったくいい加減うんざりだよ~。毎日使われて、バカにされて、蹴られて。
でもアスカを本気で嫌わなかった僕がいたのはホントの事。
それどころか時折見せる可愛らしい笑顔を見る度に、幸せに近い感覚が僕の中に生まれた。
僕とアスカって何なんだろ?
学校に着き教室に入ると、綾波がすでに来ていて読書していた。
「綾波おはよう」
「碇君。・・・おはよう」
僕が挨拶すると綾波は本をしまう。
「ごめん、邪魔しちゃったね。続けて!」
405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 05:03:32
「いいの。それより碇君と話がしたい」
最近綾波と仲が良い。(僕が思ってるだけかもしれないけど)
前に比べてかなり話しやすくなった。
「そっか。それより指大丈夫?!」
指が絆創膏だらけだ。
「・・最近料理の練習を始めたの。そのときにできた傷。でも平気。」
まさか、綾波が自分から料理を・・・?
「そうなんだ・・・ うまくいってる?」
「・・・」
黙ってうつむいた事から察するにうまくはいってないらしい。
そんな綾波を見ていると素直に応援したい、という気持ちが沸き上がってきた。
「あのさ、僕が教えてあげるよ! その・・・料理は得意だからさ!」
気づいた時には言葉が口から飛び出していた。・・・はぁ、よけいなお世話だったかな?
「・・・じゃあ今日の放課後来て」
「えっ、きょ、今日?」
「ええ。だめ?」
「いや、そんなことないよ! わかった、今日行くね!」
まさかのOKにただただぼーぜんとしてしまった
授業が全く身に入らない。何作ればいいかな? 綾波の好物ってなんだろ?
そんなことをずっと考えてるうちにあっと言う間に放課後になった。
だが行く前に一つやるべき事があるのに気づいた。
アスカだ。
406:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 05:05:30
すみません。いったん切らせていただきます。
407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 05:07:34
sageろ
話はそれからだ
408:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 05:38:14
なぜさげない
409:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 05:54:35
とりあえず次はタイトルかトリップをよろしく。
もし書きながら投下してるなら、書きためてから投下するようにしよう。
あとメール欄にsage。
410:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 06:20:03
出オチ系だな
411:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 06:39:29
>403
ヒント:ビルの屋上で死亡、ショットガン、長身、胸に七つの傷、ビルの名前。
412:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 11:02:40
乙です!新劇のバル戦前くらいの時ですかね?
続き待ってます。
413:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 16:25:16
綾波の本当の姿?
URLリンク(upload.wikimedia.org)
414:名無氏 ◆xfCLDS4d/.
09/09/12 16:54:01
>>407~410 すいません。
ミスばっかでした。以後注意します。
415:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 18:10:18
>414
最初から上手い奴はいないから頑張れ。
続きに期待してます。
416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 18:43:23
>>414
sageないのはルール違反とかじゃないから、そこまで気にしなくて大丈夫ですよ。一応暗黙の了解くらいでみんなやってる、ってくらいのレベルかと思う。
続き待ってます。
417:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/12 20:01:00
〔貴方と私の心〕
ある土曜日の午後
「ただいま。え! 如何したの!」
僕は玄関のドアを開けて思わず大きな声を出してしまった。
アスカが脚立を使い必死に電球をまわして外そうとしていたからだ
「新しいのに取り替えているのよ」
足元がフラフラとしている。僕は急いで脚立を支えた。
「アスカ止めてよ! 僕がするから代わって危ないから」
アスカは僕を上から見下ろしながら、
「うるさいわね! これぐらいあたしにだって出来るわよ! バカシンジ!」
顔に唾が飛んでくる。僕は顔に掛かった唾を拭きながら、
「怒ることないだろ人が親切で言っているのに!
怪我をしたらいけないから僕の言う事を聞いてよ!」
前にも同じような事があったから僕は思わず怒鳴る。
アスカの肩がビクッとなった。
「分かったわよ」
アスカは口を尖らせながら脚立から降りる。
「怒らないでよ…バカシぁ…あぁ」
文句を言いながら降りていたアスカは足を滑らした。
「アスカ危ない!」「シンジ!」
アスカが僕の名前を呼ぶ。でも僕は名前を呼ばれる前に動いていた。
僕は両手を出してアスカを受け止めるが、バランスを崩して背中から倒れた。
ドスンという衝撃が背中に伝わる
「うぐぅぁ」
背中が痛い。息が苦しい。でもアスカが無事でよかった。
「シンジ! 大丈夫? ごめんね」
「う、うん…だ、大丈夫…はぁ、はぁ…アスカこそ…大丈夫?け、怪我してない?」
僕は笑って答えたがアスカは心配そうに僕の顔を覗く。
418:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/12 20:02:00
シンジが受け止めてくれたおかげであたしは助かった。
「シンジ! 大丈夫? ごめんね」
「う、うん…大丈夫…はぁ、はぁ、…アスカこそ…大丈夫? け、怪我してない?」
シンジは笑って大丈夫と言っているが苦しそうにしている。
あたしの顔を擦りながら、
「アスカ大丈夫? 顔…怪我していない? 」
あたしはシンジの手を優しく握る。
「あたしのことよりシンジが…」
あたしはシンジの体から離れ、シンジを支えて居間に向かいシンジの背中を優しく擦る。あたしは台所に向かい冷蔵庫からジュースを出してシンジに渡した。
シンジはゆっくりと飲む。
「ありがとうアスカ」
あたしはシンジの顔を見ないようにした。どんな顔をしたら良いか分からないから、
「アスカ今度から僕に頼んでよ。あれくらい簡単だよ」
シンジはあたしに優しい口調で言った。何で怒らないの、あたしが悪いのに。
「あれぐらいあたしにだって出来るよ」
「アスカ僕を信用してもいいんじゃない。僕は君の相棒だよ。僕を頼ってもいいんだよ。
知らない人に頼むわけじゃないんだから」
「…シンジ」
「アスカ、君は一人じゃない僕が側にいるから一人じゃない。
困ったことがあれば僕が相談に乗るよ。解決できるかどうか分からないけど…」
あたしはシンジの言葉を聞いて、
「あんたはあたしの何を知っているの! 何を解決してくれるの? 優しくしないでよ!
あんたなんか嫌い! 大嫌い!」
あたしはシンジの顔を見て怒鳴る。シンジは優しく微笑んでいた。
何であたしの心に入ってくるの。 何を笑っているの。なんであたしに構うの。
「僕はアスカのことを分かっている積もりだよ。だってアスカは凄く優しいから、
今も僕の背中を擦ってくれているじゃないか」
419:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/12 20:03:07
アスカは僕の背中を擦るのを止めた。
「シンジ、…あたしは優しくないよ」
そう言いながら僕の肩を掴む。
「アスカは優しくて強い子だよ。僕は助けられているばかりで…」
僕は少し黙った。
僕はアスカの手を優しく握る
「シンジ…如何したの?」
「僕はアスカの背中を守れるようになりたいんだ。
でも、何時も僕はアスカに背中を守られてばかりいる。それじゃ僕は駄目なんだ!」
アスカは僕の手を優しく握り返した。
「あんたバカ。 あたしの背中を守ろうなんて…10年早いのよ。
守ってもらわなくても結構よ…私があんたを守ってあげるから」
そう言って笑った。その言葉を聞いて僕はドキッとして振り返りアスカを見る、
「面白い冗談を…言うのね…シンジ可笑しいよ」
アスカはポロポロと涙を流して笑っていた。
「ごめんね。…アスカ」
女の子を泣かすなんて最低だ。僕は黙ってアスカの背中をやさしく擦る。
「ありがとうもう大丈夫よ」
アスカはそう言って僕の背中を優しく擦る。
「あたしは強くない弱いよ。…誰にも負けたくないと思っているだけだよ。
シンジの方が強いよ」
アスカの優しい手が止まる。
「僕は強くないよ。逃げてばかりだよ…父さんや現実からも…」
僕はそれ以上何も言えず時間だけが過ぎていった。
420:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/12 20:03:56
「ちょっと掃除してくる」
シンジはそう言って玄関に向かう。あたしも手伝うと言ったら、
「怪我をするから駄目だ。そうだ! お風呂を沸かしておいてよ。
掃除が終ったらご飯の用意をしておくから」
とあたしに言った。あたしはお風呂を沸かしながら考えていた。
普段あんな事を言う奴じゃないのに如何したんだろう。
あたしの事を如何思っているのか。 好きなのか嫌いなのか。
「アスカ! ご飯できたよ」
台所からシンジの声がした。
「うん、わかった」
明日は自分の気持ちを伝えてみよう後悔をしないように。
あたしの胸に秘めた思いをシンジは応えてくれるだろうか。
心がなんか苦しいよ。何でこんなに苦しいの。
そんな事を思いながらあたしは台所に向かう。
終
421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 20:14:09
いい加減「どう」を「如何」にするのヤメロ、読みづらい
まぁ前回より大分マシになったなw
諦めずに書き続ける事は良いことだ。乙
422:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 21:19:03
オッツ!
423:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/12 23:54:20
うざい
424:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 01:11:43
GJ!最初脚立でフラつくアスカが出た時、コメディかと思いましたw
凄く優しい作品でした。最後のアスカの心境が良かったです。
425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 01:30:54
ifまだ生きてたんだw
426:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 03:44:34
最初から比べて、全体的にレベルアップしたと思います
だけど、私なりに「あれ?」と思うところがありましたので、ちょっとアドバイスをば
(ここ数年の駆け出しなんで、同意出来なきゃスルーして)
>>417の五行目、アスカがどう必死なのかを書き込んだらどうでしょう
「アスカは不安定な脚立の上で必死にバランスを取りながら、電球を外そうとしていた」て感じで
次に九行目
下からは見下ろせないし、前文で脚立に乗っていて上にいるのは解っているので、わざわざ「上から」と説明するのは要らないと思います
>>417から>>418、>>418から>>419にレスを跨いで視点が変わってますが、これにはちょっと戸惑いました
例えば◇とか※とかの記号で区切ったりすると解りやすいと思いますね
あと、>>418の五行目とかそうですけど、文のおわりの「、」と「」の後に続く文の繋がりが不自然だと思います
例えば
心配そうな声色で「アスカ大丈夫? 顔…怪我していない?」と言いながら、シンジは頬を撫でてくれた。そんなシンジに、なんだかあたしはいとおしさを感じてしまって、もう片方の手を優しく握った。
って感じにすると良いかも知れないし、「~ってくれた。」でくぎってしまうのもアリだと思います
あとは、てにはをの使い方が気になっただとか、同じ単語が続いてくどい感じがした、ってのもありましたけど、
こういうのは文章に親しんでいれば、何度か読みなおすことで解ると思います
最後に……物語の基本は起承転結です。四コマ漫画です。内容を整理して組み立てれば良いと思います(意図して起承転結使ってないなら問題はないですが)
以上、参考になればと
長文スマン
427:infinity ◆e1/swPUIeI
09/09/13 06:41:04
>>426
わたしもつい最近デビューしました。
優しいキスをしての前日談を書いたつもりなんがけど…
視点はそうゆう仕掛けにしていたんですけど…
参考にします。
アドバイスありがとうございます。
428:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 10:22:53
アドバイス受け取る気ないよね。
429:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 10:36:11
もう来ないで
お願いだから
430:1レスで書いてみた
09/09/13 11:17:46
アスカが水分が涸渇し、横たわっている赤い扉を押し開いたのは、それから幾分か時間が経ってからだった。
「…昨日、えこひいきと、デートしてたじゃない。」
また嗚咽が再開し、掠れた声が震える。フランス人形のような端正な顔に、涙の筋が通り、かなしみに歪む。
「ち、違うよ、誤解だよ。」
焦燥感が目立つ言葉とは裏腹に、その隙間にぼそり、と決定的な言葉をそっと入れ込む。
「…アスカには、関係ないよ。」
語尾と重なりあうようにして、テーブルを拳が叩き付ける不協和音。
「じゃあいいわよ!」
さっと立ち上がり、踵を返すとスリッパが軋む。それを見て、シンジはまた焦った表情を浮かべた。
「待って、」
細く白い、そしてシンジが思ったよりも脆弱な腕を掴む。アスカは四肢をじたばたと動かした。
「離しなさいよ!」
その言葉への返事は沈黙が代わりを務め、掴んだ腕の側の手のひらを開かせ、彼は何かを握らせた。
「なに、これ、」
「綾波と選んだんだ、女の子の趣味って分からなくて。」
予想を反した行動にアスカは驚嘆じみた声音を上げる。それには薄く張られた苦い笑いを、口許に浮かべるシンジ。
「忘れてるでしょ、誕生日おめでとう。」
「ば、ばか!先に言いなさいよ、」
と頬を紅潮させて目尻を拭う。その頃にはもう、彼と向き合って、また固い椅子に座って居た。
「ねぇ、来年は、」
「ん?」
刹那、テーブルの上に重ねられた手のひら、アスカはそれを見て言葉を切った。「な、何にもない!」
触れ合いたい、と言う言葉は空気中に霧散したが、確実にシンジには伝わっていた。顔をまた赤くさせるアスカに、シンジは悪戯っぽく口許を弛緩させて、啄むようなくちづけをした。
.................
即席です、プレゼントは御想像にお任せします。
431:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 11:30:32
GJだけどさノンジャンルの方の続き投下してよシイさん。
432:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 11:34:35
ifが人の話に耳貸すはずがない
433:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 12:08:23
>>430
イイヨー
434:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 12:24:07
>>432
ifはもう放置で良いよ
435:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 12:29:21
>>430
初々しくて可愛いLASだ
GJ!
436:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 13:01:03
>>434
そうだね。
どんだけ教えてやっても一向に治らないし、かまおうがかまうまいが粘着はやめないだろうし。
放置が得策という気が俺もしてきた。
437:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 13:36:49
>>431
私、分かりやすいですか?
最終章投下してきます。
438:猫シンジ
09/09/13 13:58:39
デーンデーンデーンデンデン、デーンデーンデーンデンデン(司令部戦闘BGM)
「総員第一種戦闘態勢へ移行完了!」
「使徒は強羅絶対防衛線を突破、市街地へ向けて依然進行中」
「手出し不要よ。使徒を飛行形態のまま市街まで引き込んで」
「エヴァ各機は市街地近郊にてスタンバイ。武器兵装ビルはCR4/SL2装備に換装」
初めて見る作戦中の司令部。特に司令席から見る眺めは壮観だ。
たくさんのモニターが目まぐるしく変わり、指示と情報が飛び交っている。
エヴァの中から想像していたよりも数段緊張感度が高い。
今まで僕らばっかり苦労してるのにって思ってて、ごめんなさい。
普段おっとりしてる伊吹さん、頼りない日向さんやロン毛の人までキリッとしてる。
特に指揮をしているミサトさんが見たことないくらいカッコイイよ。
だらしなく今朝まで酒盛りしていた人とは思えない。非常召集、酒酔い運転かな、やっぱり。
「…………」
横をチラリと見ると父さんは喋りもせず、ただ腕を組んで司令席に座っている。
綾波が猫の僕を預けるためにヒマそうな人物を探した結果、父さんに行き着いたらしい。
本当にヒマなのか、それとも綾波の人間関係が狭いのかは知らないけど。
「…………」
たぶん前者かな。本当にさっきからモニターを見ているだけで何もしてないよ、父さん。
今まで作戦時は不在だと思ってたけど、もしかして毎回司令部にいたのかな?
いや、戦闘中はもう少しカッコイイ所を見せてくれるに違いない。
「にゃぉん」
ん、頭を撫でられた。余裕のつもりなんだろうか。
そういえば父さんに撫でられるのなんて初めてだな。少し嬉しい。
でも作戦中に猫なんて預かったら別の人に預けようよ。
これじゃまるで悪の組織の黒幕じゃないか父さん。
439:猫シンジ
09/09/13 13:59:27
モニターの中では何処かで見たような虫っぽい使徒が悠々と飛んでいた。
トウジ達を乗せたまま戦ったあいつだ。第四使徒だかシャムシエルだかいう使徒。
ミサトさんたちは再生使徒って呼んでるけど、前に倒した使徒が再出現するのが最近多い。
何でも尺を稼ぎやすくて予算に優しいとか何とか。
僕には難しくて良く分からないや。
おっと、ミサトさんが今回の作戦を説明してるや。何々……
「アスカ、レイ、聞こえる? 今回の任務はシンジくんがいないから二人で協力して……」
「分かってるわよ偉そうに! こんなのお茶の子歳々ね。さっさと済ませましょ!」
「オーケー…」
「……任せたわよ。頑張って」
あああああ。まだ昨晩のことを怒ってるよアスカ。喧嘩してる場合じゃないだろホント。
今日は綾波と仲良かったみたいだし何とかなると思いたい。嫌な予感がするけど。
ん、綾波。それじゃ近すぎるって。そいつの触手はかなり伸びるから……
「使徒を射程内に……!?」
予感通り、鞭のようにうねる光の触手が伸びてライフルを構える前の零号機に襲い掛かった。
「ボーっと突っ立ってんじゃないわよ!」
間一髪、怒鳴りながら突っ込んだ弐号機が零号機を突き飛ばして光の触手は空を切った。
ナイスだアスカ! うう、自分でエヴァに乗って文句を言われるより心臓に悪い。
「ったく。シンジなんか居なくッたって、あたし一人で十分よ!!」
言い終わらないうちにアスカはパレットライフルを斉射。惚れ惚れするような正確な射撃だ。
でもまた猛烈に嫌な予感がする。デジャヴってやつ?
「馬鹿、それじゃ爆煙で敵が見えない!」
ですよねー。爆煙の中から伸びた光の触手の一本が弐号機の足を捕らえ振り回す。
そして直ぐ近くの零号機に叩き付けた。二機は重なるようにビルを突き破って瓦礫に埋まる。
そう言えば僕も近くの山まで投げ飛ばされたような。
あの時は夢中だったけど、もしかして意外と強敵?
440:猫シンジ
09/09/13 14:00:18
「アンビリカルケーブル断線、エヴァ、活動限界まで……」
「弐号機、零号機、ともにシンクロ率低下!」
だ、大丈夫……だよね!? アスカぁーっ! 綾波ぃー!
「にゃふにゃー! にゃにゃなにゃー!!」
「鳴くなら後にしろ。出なければ、帰れ」
二人が心配で暴れる僕を父さんが抱えて押さえた。なに猫相手に格好つけてんだよ。
綾波たちが危ないんだぞ。サングラスを光らせてないで少しは心配してよ。
やっぱり父さんは最低だ!
「くぅ、ライフルが効かない…」
「いたたたた。ミサト、他に武器はないの!」
「二人とも使徒から距離を取って。意識朦朧としたまま状態で焦っても勝ち目ないわ」
ほっ。アスカたちは無事だったみたいだ。良かった。
まあエヴァの中なら核爆発にも耐えられるらしいし少し心配しすぎだったかな。
「……ふっ」
チラッと父さんを見上げると『問題ない』と言いたげにニヤリと笑った。
エヴァの耐久性能を信頼していたってこと? だからってもう少し。
そんなことを考えている僕を抱えたまま父さんは立ち上がった。
「葛城三佐、少し席を外す」
「どちらへ?」
「この猫が、暴れるのでな」
「了解しました!」
ミサトさん了解しないで! 一応は司令なんでしょ、居なくて良いの?
父さんも今さら司令部の外に放り出すくらいなら最初から締め出しといてよ!
暴れても父さんにガッチリ抱えられてビクともしない。
だいたい戦闘中だっていうのにどこまで行く気なんだよ。このヒマ人め。
そんなんだから司令のくせに猫の世話を押し付けられるんだよ。
441:猫シンジ
09/09/13 14:01:27
「ヒトは、一人では生きられない。生きていくには心の中に支えが必要だ」
何だよ急に。もしかして父さんって独り言多いのかな。僕も人のことは言えないけど。
「それが何であるにせよ、ただ手を拱いて待っているだけでは失っていくだけだ」
ポエムを読んでる暇があったらさっさと司令部に帰って座ってなよ、もう。
何の役に立たなくても、せめて戦ってる綾波を見守るくらい出来るでしょ父さん。
あれ、何ここ? 初号機のエントリープラグが目の前に……ポイッってちょっと!?
「乗るなら早くしろ。出なければ、帰れ」
え? ええっ? えええぇぇぇぇぇぇぇ――っ!!!
「アスカ、レイ。秘密兵器を投入するわ。その隙にパターン新ユニでよろしく!」
「秘密兵器って……初号機、まさか!? 何よ、何で通信が繋がらないのよ!」
「今は猫の手も借りたいってね。エヴァンゲリオン初号機ぃ、リフトオフ!」
シーン。
「駄目です、動きません!」
無理だよ父さん! 操縦レバーに前足も届かないのに、動かせるわけないよ!
「ありえないわ! 理論上は何の問題ないはず……」
その言葉、猫になった時も聞いた気がするよリツコさん。
理論上ありえないことなんて散々ありえてきたじゃないか。人が猫になるとか。
大体、猫に人型決戦兵器を操縦させようって、大人の考えることじゃないよ。
猫が人型……。もしかしてもしかすると……
「動いた! ってぇ……!」
「何あれ、初号機が四つん這いに?」
「猫……?」
やっぱりそうか。今は人の動きじゃなくて、猫の動きじゃないと反応しないんだ。
武器は使えなさそうだけど、元々エヴァは猫背だし何とかなりそうだ。
「にゃお―ん!!」
僕は肉食獣のような素早い動きでビルの谷間を間を駆け抜けて間合いを詰める。
よし。あんな使徒、一気に引っ掻き倒してやる。
442:猫シンジ
09/09/13 14:02:45
「な、何よあの動き、まるで猫みたい……ってまさか!?」
「そうよ。猫の身体能力は人間の数倍、すなわちエヴァの格闘能力を数倍に引き上げ……」
自慢げに解説されているうちに使徒は目の前。いくぞ―って、あれれ?
MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!! MISS!!
「うにゃ!?」
「猫じゃらし……?」
駄目だ当たらない。どうしても使徒本体じゃなくウネウネ動く光の触手に攻撃してしまう。
バカバカ、猫のバカ。これじゃ攻撃を受けないけど、こっちの攻撃も当たらないじゃないか。
「にゃにゃーん!!!!!!」
当たれ当たれ当たれ当たれ当たれ! ここで当たらなかったら、どうにもならないんだ!
だから、当たってよ――っ!!
バイーンッ!!!
うう、必死の叫びも虚しく押し倒されてしまった。
助けるつもりが二本の光の触手を両手で掴んで身を守るのが精一杯だなんて、情けないよ。
「勝ったな…」
「ああ……」
んん、急に暗くなったぞ。雲もないのに太陽が影って……弐号機と零号機が跳んでる!
凄い、必要性があるか分からないくるくるジャンプも息もピッタリ、完璧なユニゾンだ。
触手は僕が掴んでいるから、使徒は逃げることも攻撃することも出来ない。いける!
「うちのシジに何してんのよ! このバカ使徒―!!」
「この……!」
二点同時加重攻撃、通称ユニゾンキックが大きなコアに突き刺さった。
そしてコアを蹴り砕いたと同時に二機が左右に跳んで退避する。あれ、僕は?
ちゅどーん!!!!
案の定、使徒は目の前で大爆発。うう、酷いよ二人とも。
巻き込まれた衝撃で僕はエントリープラグの中をピンボールの球のように跳ね回った。
「ぃよっしゃぁ!!」
ミサトさんの勝利宣言と同時に『完全決着』の文字が表示され赤いパトランプが回転した。
最近よくあるんだけど何の装置なんだろうね、これ。
443:猫シンジ
09/09/13 14:03:47
そういえば今朝の占いは『思わぬ残業が発生』だっけ。悪いことは当たるんだな。
ああ、悪いことといえばアスカの怒った顔が目に浮かぶよ。
何て言い訳したらいいんだろう。喋れないけど。
よろよろとエヴァを降りた僕の前にアスカがドスドスと大股で歩いてきた。
怒ってるね。絶対。
そしていつもの様に優しく抱き上げるんじゃなくて、首根っこを掴まれて持ち上げられた。
バレてるね。絶対。
「あたしがどれだけ……どれだけ心配したと思ってんのよ! このバカ―ッ!!」
猫耳に向かって怒鳴り散らすアスカ。怒りすぎたのか目に涙が溜まっている。
ごめんよ。本当にごめん。色々と、ほら一緒にお風呂とかあったから言い出せなくてさ。
「にゃにゃーん」
「今さら猫かぶったって駄目よ!! バカシンジ!」
反省するからブンブン振り回さないで。まだピンボールして目が回ってるんだから。
そんな僕を綾波が奪い取った。そして出撃前のように優しく抱きかかえる。
うぅ、恐かったよ綾波。
「痛くしないように、こう」
「あんたね。それ、バカシンジなのよ。分かってんの?」
「それなら、なおさら乱暴にしたら駄目」
怒るアスカに対して綾波が睨み返している。火花を散らしているのが見える。
うぅ、恐いよ綾波。
せっかく二人とも仲良くなりかけたと思ったのに。
「二人ともケンカしないで。その子はシンジくんであって、シンジくんではないのよ」
リツコさんが嬉々として説明に現れた。何でもいいから仲裁してください。お願いします。
ってそもそもの原因はリツコさんだったような。
「どういうことよ!」
「シンジくんの魂がサルベージされた姿ではあるけど、彼の意識があるわけじゃないの」
リツコさんの長い長い説明タイムが始まった。
444:猫シンジ
09/09/13 14:04:58
プラーナがどうとかラプラスがラギアスで無意識下のファミリアがどうとか、正直さっぱり。
アスカも綾波も早々に理解するのを諦めたようだ。
「よく分からないけど、頭の中身まで猫になっちゃってるってこと?」
「分かりやすく言えばね。猫の頭で人間としての自我を保つなんて、ありえないわ」
最初から分かりやすく言ってください。しかもありえているし。
肝心なところでいい加減だよなリツコさんって。
「――ていうか本当にシジがシンジなの? 人間が猫になるなんて信じらんない!」
今更だね。僕も信じられなかったけど現実に起こってるし。
リツコさんはぷりぷり怒っているアスカの肩を掴んで眼鏡を光らせた。
「そうねアスカ。あなたはシャム猫とアメリカンショートヘアー、どっちになりたいかしら?」
「……し、信じる。信じるから!」
猫にされそうなアスカを綾波が羨ましそうな目で見てる。早まっちゃ駄目だ!
毎回成功するとは限らないんだぞ! でも猫になったアスカや綾波って凄く可愛いんだろうな。
うーん、想像したら引っ掻かれてる僕もセットで付いて来たよ。
「そういうわけでアスカ、引き続きシジの世話を頼むわね」
「な、何であたしが!?」
「じゃあ、私が……」
おずおずと綾波が手を上げた。綾波の部屋で二人暮し……うーん、想像がつかないや。
興味も期待もあるけど、何となくアスカ以上に危険な気配がする。
「……やっぱりあたしが世話する!」
アスカが僕を引っ手繰った。僕を大切にしてくれているのか、張り合っただけなのか。
取られた綾波が凄く残念そうな目で僕を見ている。何だか凄い罪悪感。
「―ったく。ファースト、気になるなら今度遊びに来なさいよ」
「ありがとう……」
そうして二人は優しく微笑みあった。
不思議だね。毎日見ているはずなのに、何だか凄く久々にアスカの笑顔を見た気がしたよ。
<つづく?>
445:猫シンジ
09/09/13 14:05:55
黒幕っぽく猫を撫でるゲンドウをやりたかった。反省はしていない。
戦闘自体はあまりアスカと絡まないんでイマイチというか消化試合。
ご都合主義的に納得できない方は「ありえないわ!」と叫んでくださいw
次はアスカとべったり…だといいな
446:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 14:22:43
「LASスレなのにLASがないなんて……ありえないわ!」
でも面白かったから次に期待
乙!!
447:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 15:07:17
>>445
GJ!楽しませてもらいました!
448:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 17:06:49
とりあえず「LASスレなのに綾波の方が萌える展開だなんて、ありえないわ!」
「更にゲンドウ萌えだなんて、ありえないわ!」
次こそベタベタなLASで頼む。
どの使徒を出すかと思ったら三つの力かよw
復活時の初号機の連続バク転からロンギヌスが格好良くて好きだわあれ。
449:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 17:11:31
作画は崩壊してるけどな…w
450:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 17:42:09
乙。
「今回の最萌はリツコのような気がしてきたなんて、ありえないわ!」
サイバスターの猫コンビにハァハァしてたのって無印αだっけ?
451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 18:49:30
いや、今回の最萌はピンボールみたいにポンポン跳ねた猫シンジでしょw想像したらメチャ可愛い。
LASは無かったけど、俺が可愛いと感じる作品だし良し!
>>430
GJどす。1レスだけだけど、旨味がぎゅっと詰まってますね!
ちなみにそのノンジャンルスレの作品は…LASですかね?
IFさんもGJです!
今回はストレートなLASで良かったですw自分の気持ちに少し戸惑い気味なアスカっていいですよね。
452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 19:04:12
作者じゃないがノンジャンルのはLASだよw
この作品を超えるLASが今年一年で板内に出現するかは知らんがな(´・ω・)
453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 19:32:34
>>452
ありがとう!また今度見てきます!
LAS小説いっぱい見れるね最近。めちゃくちゃ嬉しい
454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 19:44:49
あと、エロパロもLASだらけだな
455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 22:27:36
こんばんは、この前『恋愛症候群』というLASを書いたものです。
前回感想下さった方々、ありがとうございました。
もしも、「あぁあったなあ」程度でも覚えていただけただけでも感謝に値します。
今回懲りずにAEOEものを書いてみました。まだまだ初心者なので感想や直した方がいい部分、アドバイスなど教えていただけたら幸いです。
ではNGワードは
まごころを、みんなに
456:まごころを、みんなに
09/09/13 22:29:53
夜空の星々は自らの生命を誇示するかのように輝き、赤黒く染まった海は地球という星がどれだけ深い傷を負ったかを暗示するかのように広がっていた。
天空にその星々が煌めき、血のような赤い液体が打ち寄せる海岸に、襤褸の如き一組の男女が横たわっていた。二人の眼は上空の点々とした光も赤い筋を残した月も何も、写し出してはいなかった。
少年がゆっくりと上半身を持ち上げ、傍らの少女を眺め下す。何を想ったのか立ち上がり、少女の体に跨がると首を締め始めた。
少年は呻きながら少女の首を締め思った。
あの日から三日経つのに誰も帰って来ない、他人を望んで戻ったらアスカしかいない、僕と二人だけなんてアスカは嫌がる、アスカは僕を憎んでる、何も出来なかった僕を、しなかった僕を、だからアスカを殺してあげる、この、僕の手で
少女は角膜に光を宿さぬまま、首を締めさせ続けた。すると、右腕を持ち上げその掌で少年の頬を慈しむように撫でた。少年のこめかみ辺りからあごの下へすべり墜ちる手。
少年は首を締めるため力を入れていた手を緩め、首を包み込むように握ったかと思うと手を離し泣き始めた。そして少女が放つ
「きもちわるい」
457:まごころを、みんなに
09/09/13 22:32:35
それから、LCLを飲みながら何とか生き延びた二人は赤い海から戻ってきたネルフの人々に助けられ、病院へと隔離された。その間二人は無言だった。
一か月後、赤い海からゼーレと碇ゲンドウを除く人々は皆帰って来た。ネルフは得意の情報操作とマギという復興には欠かせない重要なカードで国連と政府を騙し、欺き、国連直属の復興機関ネルフとして進みすぎた科学技術を使い活動していた。
シンジはというと、退院した後ネルフが第三新東京市に用意した仮設住宅には入らず、「先生」がいる福祉施設へ戻った。先生は「ネルフから話は聞いてるよ」とシンジを部屋に案内した。サードインパクトにより一階は荒れていた。
自分にあてがわれた三階の廊下の突き当たりにある比較的大きな部屋、シンジがエヴァに乗る前まで過ごしていた部屋であった。勉強机の左にある南向きの窓からはたくさんの光が差し込み、のどかな田園風景と山々が見渡せた。
いつもの短パンとTシャツに着替えるとベッドに横たわり、体を丸め、息を切らせながら、泣いた。
やっぱりアスカに拒絶された、アスカにひどいことしたんだから仕様がないじゃないか、でもアスカと一緒にいたかった、アスカを殺そうとしたのだって拒絶されるのが嫌だったからだ、やっぱり自分勝手な最低なやつだ、でも気付いてしまったんだ
僕はアスカが好きだってことに
458:まごころを、みんなに
09/09/13 22:38:57
一方アスカはというと体は順調に回復し傷跡も手術によって完全に消え去り元の状態に戻りつつあったが、心の傷は全く癒える気配がなかった。ミサトが付きっきりで看病していたのだがその間、発した言葉はほとんどなかった。
ミサトが、今日シンジが退院し長野にある先生の所に戻ったことを告げても人形のように何の感情も示さなかった。「じゃあ、また明日来るから」と言ってミサトは部屋を出た。
アスカは、自分の右隣りのシンジが居たベッドを眺め、カバンから着古した感じのシャツを取り出した。それを抱き締めるように顔に埋め、体を震わせた。アスカの眼を覆っているシャツがじわり、じわりと濡れ始めた。
何であたし泣いてるの?こっそり盗ったシンジのシャツの匂いを嗅いで、あんなに酷いことされて傷ついたのに、助けてくれなかったのに、でも補完中に伝わってきたあいつの心、あたしも罵詈雑言で傷つけた、あたしも助けなかった、
エヴァに乗る苦痛、大事な友達のトウジを殺しかけた苦痛、極めつけは頼れる人がいない時に唯一優しくしてくれたカヲルって人を殺した感触、人を殺す感触がエヴァを通して伝わってくるのは耐え難いだろう、
どくっどくっと鼓動が手を伝い、人間の肉の柔らかさを感じ、首に力をこめると感じる早まる鼓動、プチっと弾け噴き出す血飛沫、指の間を滴る血液、その温もり、人を殺したという実感、それも大事なひとを殺したという実感、
それを感じたがゆえに、あたしはあいつを憎めない、その感触を知っているのに殺そうとしてくれた、それがどんな理由でも、どんなに自分勝手な理由であっても、あたしはそれを許してしまう、そんな自分がきもちわるい、
やめた後泣きじゃくるあいつもきもちわるい、途中でやめた意気地なし、でも気持ち悪くはない、それにはあたしとあいつの想いがあるから、時間が経った今ならそう思える
許せる理由を知った、イヤな事より楽しかったことばかりが思い出せるから、だからあたしはあいつとやり直したい、
なぜならあたしはあいつが好きだから、唯一の居場所はあいつのところしかないから、だからあいつがいない今、私は無性に悲しく悔しい
459:まごころを、みんなに
09/09/13 22:40:22
シンジはそれから、朝8:00に起きて朝食、田畑の手伝い、昼食、健康診断、夕食、風呂、就寝、といった変わらぬ日常を過ごしていた。それゆえシンジは自分を責め続けていた。
僕は全世界を大混乱に陥れた、トウジを瀕死まで追いやった、アスカを助けられなかった、綾波を助けられなかった、カヲル君を殺した、寝たきりのアスカに酷いことをした、アスカを助けられなかった、全世界を滅亡寸前にした、全世界を不幸にした
これらの罪を、どうやって償えば良いんだろう?死ぬ?楽だ楽だ、死ねば考えなくていい、自殺すれば償ったことになるかもしれない、いや違う、逃げだ、それは逃げだ、それは償ったことにならない、じゃあどうすれば償えるの?こんな膨大な罪を、分からない、それは分からない
460:まごころを、みんなに
09/09/13 22:47:22
ある日のこと、さつまいもの収穫を手伝っていると先生がシンジに話し掛けて来た。「シンジ君、ちょっと休憩しないか?」「えっ休憩ですか?良いですよ」休憩には早い時間だったので少し不思議そうにシンジは答えた。
「悪いなぁ、年寄りには足腰がキツくて敵わんよ」笑いながら言い、よっこらせと地べたに座り水筒と弁当を広げた。いつもなら野菜についての話や近くの山には何々があるといった取留めのない話をするのだが、今日は違った。
先生はシンジをじっくりと見つめ、言った。「シンジくん、君は今自分を責め続けているのだろう?」唐突だった。シンジは戸惑いながら「えっいやそんなことないですよ」と何とか笑いを貼り付け答えた。しかし、先生は頭を振って続けた。
「いやいや、ウソをつかんでもいい。年寄りが若者に勝てるのは経験の量くらいのものだが、この経験というのはたくさんのことを教えてくれる。きみは自分が犯した罪の大きさを感じ、一人で抱え、自分を責め続けている。そうだろう?」
シンジは迷った。どうしよう、話して心配をかけるじゃないか、でも嘘を吐く自信もない。シンジは少々黙り込み、そして、ゆっくりと答えた。始めは、もうどうしようもないといった感じの笑みを浮かべて
「はい。まず、この世界をこんなにしてしまったのは、実は、僕なんです。僕は、たくさんの友達や大切な人を傷付け、不幸にしてしまいました。でも…そんなに大きな罪を、どうやって償えば良いのか分からなくて、考えても答えが出なくて、もう、どうすればいいのか…」
最後の方は声が震え掠れていた。「もうよいもうよい、すまなかった辛いことを聞いて、などとは言わんぞ」シンジは驚いて顔を上げた。
「その責任は全て君にある、どんな環境でも最後に行動しようと決めたのは全て君だ。それは誰のせいでもなく全て君の行動の結果なんだよ。だからいくら償ってもそれが君から消えることは一生ない。」と、先生は断言した。シンジは苦痛に顔を歪めた。
461:まごころを、みんなに
09/09/13 22:48:28
「ただな、それと向き合うことは出来る。全ての行動を自分の責任だと認めるなら同時に、君が幸せになることも人を幸せにすることも他人の事とは関係なく、自分で責任を負う義務を果たすなら出来るはずだ。君は何をするのも自由なんだからな」
シンジはポツリと言った。「僕が幸せになることもですか?」
「そうだよ。全ての結果は自分で責任を負わねばならん、しかし、その行動は全て君の自由なんだよ。だから君が、幸せになるのを止める権利は誰にもない。しかし他人に引け目を感じて幸せにならないのも自由だ。でもわしは、前者が賢明だと思うがな」と、先生は優しく告げた。
「それにきみは、確かにさつまいもを抜くように一気に全世界の人々を幸せにすることは出来ないかもしれないが、まず身近な人から、コツコツと幸せにする事は出来るんじゃないか?少なくともわしは、シンジ君と話していていつも楽しいし、きみの成長を見られて今、幸せだよ」
先生は包み込むような笑みを浮かべた。シンジも微笑む。心からの笑顔は久々だった。「ありがとうございます、先生」「なぁ~に、年寄りの戯言だよ。戯言ついでにサルトルという哲学者の言葉なのだがな」先生は、シンジの両肩をがしりと掴み、両目を見据えた。
「『君は自由だ。選びたまえ。つまり創りたまえ。』また『夢をもたないで。自分に出来る事をする』前者の意味は分かるな?後者はな、夢をもつな、と単純に言ってるのではなく、何もしないよりまず、行動を起こせということだ。」
「君のやるべき事は分かるな?」シンジは頷いた。「はい」シンジの目には決意の光が満ちていた。
462:まごころを、みんなに
09/09/13 22:51:18
シンジは、この施設を出る事に決めた。自分のした事と向き合い、新たな行動を起こすために。ミサトに連絡すると「すぐに行く」と言って、愛車のルノーをすっ飛ばしてやって来た。玄関先で待っていたシンジと先生の前に、相変わらず荒いハンドル操作で車を停めた。
ミサトは車から地面を踏み締めるようにゆっくりと降り立たった。シンジを見つめる顔は、泣き笑いの表情を浮かべていた。そして、シンジに歩み寄り、シンジの体をよせた。何も言えずにいるミサトに向かって、シンジは感慨をこめて告げた。
「ただいま」ミサトはシンジの両肩に手をおいた。表情は母親のような表情になっていた。
「おかえりなさい」しかし顔は涙で濡れていた。
そして先生にまた来ますと力強く約束して別れたあと、シンジはミサトのルノーに乗り第三新東京市に向かった。
走り出してすぐ、シンジはミサトに切り出した。
「先に言っておきますけど、ミサトさんが謝ることはありませんよ。ミサトさんだって加持さんのことで余裕がなかったんですから、仕方がないですよ。それにもう、僕はこの事を誰かのせいにして逃げないって、決めましたから」
ミサトはそれでも、ごめんなさい、本当にごめんなさいと泣きながら謝りつづけ、運転が危うくなってしまい、結局シンジに本気で怒られた。「それで、まず何処へ向かおうかしら?」シンジはすぐに答えた。
「アスカの所へ連れて行ってください」「わかったわ」
463:まごころを、みんなに
09/09/13 22:55:13
アスカは相変わらず殆ど喋ろうとしなかった。リハビリや食事中以外、一単語以上喋ることはなかった。医師に依れば、脳の障害などはないので失語症ではなく、憔悴しきっているため喋る意思すらもみせないという事だった。
ここ二ヶ月間近く、アスカはこの状況を何とかしなければと気持ちを奮い立たせるために、希望を持とうとしたり、誰かを憎もうかと思ったが、補完によって、周りの人々も、自らの事で一杯一杯だった事を知ってしまった今、そういう気持ちにはなれなかった。
また首謀者は帰って来ていない。希望は、と言えばシンジだったが、シンジはここには居らず、赤い海から帰って来てすぐ「きもちわるい」と言い放って一度は拒絶した事を思うと、自分から会いに行こうとするのは憚られた。
「シンジに逢いたい」という思いが増幅すると同時に、「でも一度は拒絶した」という思いも同じように増幅し、アスカの希望を縛り付けた。
そんなある日、ミサトがやって来た。「アスカ、今日は嬉しい訪問客が来たわよ!」と、ミサトは言った。アスカは鬱陶しそうな顔をするだけだった。「アタシが外に出たら入って貰うから、良いわね?」アスカはめんどくさそうに頷いた。誰なんだろ?まぁ大した人じゃないわね
ドアが開く、そのドアの前には、アスカが熱望してやまなかった人物がいた。シンジだった。アスカは茫然としながらも涙が溢れた。そして、自らの希望に向かって、布団を剥いで素足で駆け寄る。床の冷たさは全く感じなかった。ドアへの衝撃。熱望した温もり。
「ばかばかばかばかシンジ!何で勝手に何も言わずに出て行っちゃうのよ!あたしの居場所はあんたのとこしかないんだからね!何でそれを分かってくれないのよ!あたしがどれだけ寂しかったか、ホント、ホントにアンタは・・・ばかぁ」顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
シンジは慌てていた。アスカに酷いことを言われると思って覚悟して来てみたら、この有様である。そして、アスカは続けた。「もぅどこにも行っちゃやだよ」消え入りそうな声だった。シンジはアスカの衰弱して細くなった、温かい身体を強く、抱き締めた。
464:まごころを、みんなに
09/09/13 23:00:06
「ゴメンね、アスカ。また逃げて、アスカを傷つけたね。もう、僕は逃げないよ。自分の行動には自分が責任を負う。だからこれからは、僕のせいでこんなになってしまった世界のために、ネルフで働くよ。だからさ、アスカにずっと隣で支えて欲しいんだ」
アスカは嬉しくてどうしようもなかった、しかしそれを必死で押さえ、それでも煌めく笑顔で言った。
「しょうがないわねえ、幸せにしてくれるなら、一緒に居てやっても良いわよ!」アスカの声は震え、うわずっていたが、何とか彼女らしい返事をし、二人は長い、キスをした。こうして、二人の補完はなった。廊下のドアの横にいるミサトが、声をころしてひっそりと泣いていた。
465:まごころを、みんなに
09/09/13 23:01:33
六年後、二人は結婚式を挙げた。参列者はトウジ・ヒカリ夫婦、ケンスケ・ビデオペア、ミサト・マコト夫婦、先生、リツコとマヤ、冬月総司令、青菜、アスカの両親、他にネルフ関係者などといった面々で、
披露宴では特別席として加持、ゲンドウ、ユイ、キョウコの席が用意された。
そして、新郎新婦の隣には、三才になる二人の子供がいた。その子供の名前は、女の子がレイ、男の子がカヲルであった。そして、式場にいる人々は皆、幸せそうな表情をしていた。
終劇
466:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:16:59
>>465
いくらなんでも青菜は酷いwww
467:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:27:13 85YPehRQ
一応確信犯です!最後そこで笑って貰えたらオールオッケーかも知れませんwww
468:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:32:29
>>452
一行が長過ぎ。
469:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/13 23:36:58
>>467
おいwww
それはそうと、言い忘れてた。乙!
470:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 00:29:17
GJです!
471:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 00:39:30
またこりゃ読みにきーな…
472:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 00:44:17
読みにくくてすいません…
投稿規制になるのがイヤだったんで詰めちゃいました。以後気をつけます。
473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 01:00:01
GJ!ただ既に意見出てますけど改行はこまめに欲しいですねw
先生が良い人ですねぇ。ラストのアスカも可愛かったです。
ただ感動シーンに青菜とケンスケビデオカップルはヒドいw
次作も期待してます!
474:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 01:09:22
みんな青木に釣られすぎだろww
475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 05:59:32
青田さんを馬鹿にするな
476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 09:25:36
ギャグ仕込む前に一般的な文章の書き方覚えてよ
477:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 12:16:41
ギャグも入れる場所を間違えると折角の良い雰囲気が台無しになっちゃうのが残念。
猫の方もネタに走りすぎでLASが全然なくなったし。
478:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 12:48:27
感想下さった方ありがとうございます。
結婚式の前で完結しようとしたのでその後ギャグをいれてしまいました。余計だったかも知れませんね。
一般的な文章を書くためには何処をどうすれば良いのか出、来ましたら詳しく教えて下さると嬉しいです。
479:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 13:01:23
>>478
改行以外は全く問題ないと思いますけどね…。
478くらいの改行でいれてもらえると、読みやすいです。あとセリフごとにも。
文章も丁寧だし、あとは巨大なGJです!応援してます。
480:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/14 17:45:52
分かりました。ありがとうございます!
これからも精進しようと思います。
481:マリン@marine
09/09/16 12:39:43
久々に投下します。
・途中から最後までイタモノなので注意
・ちょっと長いかも
・NGワード 黄昏オレンジ
482:黄昏オレンジ
09/09/16 12:41:48
あいつはアタシを裏切った。あの時あいつは助けてくれなかった。そしてあいつはサードインパクトを起こした。…最低だ。
なのに…なのに…アタシはあいつを求めてしまう…
悔しいが、これが恋というものなのだろうか。
サードインパクト後、アタシとあいつはあの海岸にいた。
碧い空、白い雲、そして赤い海…アタシ達2人はそこで仰向けに倒れていた。
あいつはふと起きあがるとアタシの元によってきた。
そしてあいつはアタシの上に乗り、アタシの首絞めた。このまま殺されるのか…?でもその答えは…違った。
483:黄昏オレンジ
09/09/16 12:43:33
シンジはアタシの首から手を離すと、若干アタシと距離を取った所で、海の方向を向き体育座りで座った。
「ごめんね、アスカ」
「…?」
シンジの口から意外な言葉が発せられた。
「ごめん…アスカ…」
シンジの声は弱々しく感じられた。ふとアタシはシンジの顔をのぞき込むと、その顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだった。
「こんなときに泣くんじゃないわよ…バカ」
「うん…ぐすっ…」
こいつがかつてこんな表情を見せたことがあっただろうか。少なくともアタシの記憶の中にはない。
484:黄昏オレンジ
09/09/16 12:45:37
「アスカ…僕を殺して…」
一瞬シンジが何を言ってるのか分からなかった。
「…アンタ何言ってるの?自分が何を言ってるか分かってるの?」
「うん…分かってる。僕は…トウジを痛い目にあわせてしまった。数え切れないほどの建物を破壊した。サードインパクトもとめられなかった。
そして…アスカを…助けてあげられなかった…アスカを殺そうとした。僕は…最低の人間だ…だから…」
アタシはシンジを許した訳ではないので、一瞬本気で殺してやろうと思ったが、やはりシンジが居なくてはアタシはこの先、生きていくことは出来ない。
生活の面でも、そしてアタシ自身の存在価値でもあるから…
「…アンタが居なくなったらアタシはどうすればいいのよ、バカシンジ!責任とりなさいよ!」
「責任って?」
「アンタバカぁ?アンタがアタシの世話をするのよ!そして人々が帰ってくるのを待つのよ!異論反論は認めないから!」
「はい…」
こうして強引ながらアタシ達2人での生活が始まった。
485:黄昏オレンジ
09/09/16 12:46:29
とりあえずずっとこの海岸にいるだけでは何も始まらないので、ジオフロントを目指してアタシ達は歩き始めた。
…何時間歩いたのだろうか。まわりには時計らしきものは何一つないので、どのくらい歩いたか、今何時かさえ分からない。
そして空が薄暗くなってきた頃、アタシ達はジオフロントについた。
主電源と副電源は落ちていて使えなかったが、予備電源はかろうじて生きていたため、最低限度の電気は使えた。水道も生きていた。
「奇跡ね…」
「そうだね」
アタシ達は呟いた。
486:黄昏オレンジ
09/09/16 12:48:40
…そういえば食料がない。さすがに食料がないとキツいので、2人で手分けして探そうと言い始めたとき、聞き覚えのある声を聞いた。
「2人とも生きていたのね」
「え…?」
そこにはマヤがいた。
「あと、冬月副指令と日向君ももいるよ」
「そ、そうなんだ…」
意外だった。
詳しく情報を聞くと、一旦は補完されてしまったが、すぐに自らの意思で戻ってきたのだという。副指令とかも同じらしい。まわりの様子を見る限り、その他の人達はまだ帰ってきていないようだ。
487:黄昏オレンジ
09/09/16 12:49:30
「何か食べたの?」
「いえ、何も…」
「そうなの。それならここから階段を上った第4非常用倉庫に非常食があるからそこから何かとってきなよ」
「はい分かりました」
シンジは答えた。
とりあえずこれで最低限度の生活は保証された。しばらくはここで寝泊まりすることになるだろう。
…そして、いつか…あいつを…必ず…
488:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 12:51:26
続きはまた後ほど。
489:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 14:15:59
マリンさん久しぶり!イタモノですか、ビクビクしながら待ってますw
490:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/09/16 14:18:16
乙です
どいった感じのイタモノでしょうか?異性系?