09/08/26 22:12:18
今朝のこと、誰かに話したくてしょうがない。
「おっはよー!ヒカリ~!!」
「どうしたの?今日なんかすごく機嫌いいけどなんかあったの?
「んーまぁね、ちょっと聞いてよ。今朝シンジがねぇ…」
あたしは近づいてくるあいつに気付かずに言いかけた。
「ちょっと!!言わないって約束したじゃないかぁ!」
「あ~らシンジ、そーだったわねぇ~」
ヒカリのほうを見て、「あとで話す」と口を動かせた。
「んじゃアスカ、教室のカギ直してくるから!」
どうにか伝わったようで、走って行った。
振り向くと、シンジはふくれっ面。
そんな表情するからいつまでたっても子供みたいなのよ。
そんな子供に惚れたのは誰だったか今は忘れた。
「なんで言おうとしたのさ、言わないって約束だったのに…ひどいじゃないかぁ」
「ごめんごめん、ちょーっと口がすべっちゃってぇ…へっへー」
「もう…ほんとアスカは口が軽いんだからぁ。」
「なぁんですってー!!」
「シンジくん!おはよ!」
「おはよう、霧島さん。」
満面の笑みでシンジに近づく。
何にやついてんのよ。
今すぐ蹴り飛ばしてやりたいけど、
今朝のことがあったから特別に許してあげるわ。
そう思いながらもマナの声を聞くと無意識にイライラしていた。
「あっ、居たのぉ?おはよう~」
マナは余裕の笑顔であたしに言った。
「…おはよう」
たぶんあたし、今笑ってない。
こんなことになったのも、こないだの出来事があったからだ。
851:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/26 22:13:31
>>834
気持ち悪いなもう来るなよ
852:ふぅ。
09/08/26 22:13:58
ある日、あたしはマナに放課後に呼び出された。
「あたしね、碇くんのことが好きなの~。
それで確認しておきたいことがあるんだけど。」
「…なに?」
「惣流さんって、碇くんとどうゆう関係なの?」
「どうゆうって…ただの幼馴染よ。
そもそもあんた転校してきたばっかなのにいつシンジを好きになったの!?」
「ん~初めて、見た時かなぁ~。
でもなにもないならよかったぁ~それじゃあね~」
いやなことを思い出していると、チャイムの音で我に帰った。
「さぁーて、英語の準備しなきゃあ~」
そういって自分のロッカーのほうへ走った。
「ほんとだーはやくしなきゃ」
碇と霧島だから、出席番号が近いのでロッカーも近い。
あたしはずっと後ろのほう。
なによ、まだなんか話してる。
でもあたしはあいつの夢にあんな形で出てきたんだから。
ぜんっぜん負けてないわよ。
そんなことを考えながら、席に着いた。
853:ふぅ。
09/08/26 22:15:09
「はーい、じゃあ教科書90ページ開いて」
うそっ…間違えて国語の教科書持ってきちゃった。
仕方ない、先生に言って取りに行こう。
そう思って手を上げようとしたとき、後ろから教科書を持った手が伸びてきた。
「いいわよ、あんたどうやって授業すんのよ…」
そう言った瞬間、表紙に書いてある見慣れた落書きに目が行った。
「これ、あたしの?」
「そうだよ。アスカが国語持って行くの見たんだ。
呼んでもぼーっとしてて聞こえてなかったみたいだし。」
「ありがと」
こんなことがある度、あたしはシンジへの気持ちを再確認する。
困った時に何も言わないで助けてくれるこの性格は、
口だけ「守ってやる」とかぬかしてるその辺の男とは違っていた。
ただ、自然にこんなことを誰にでもする。
それはさっきみたいにあたしを傷つけることもあった。
でも結局はまた引き寄せられる。
馬鹿ね、あたしって。
854:ふぅ。
09/08/26 22:16:05
「弁当や弁当~!これこそが学校最大の楽しみや~」
「ヒカリ、今日は屋上で食べない?
教室に馬鹿が三人もいるから話も出来ないわよ。」
「え、えぇ。」
「ちょーっとヒカリ、それ鈴原の持ってたお弁当箱と一緒じゃない?」
「えっ、いきなりなにを言うのよ!」
「あんた、あたしの話だけ聞こうったってそうはいかないわよー。」
「うん…まぁ鈴原んち、妹が入院してたりで大変だから、いっつも食堂のパンばっか食べてるのよ。
だからたまにはお弁当も、どうかなって…。」
「へぇ~、案外うまくいってんのね。」
あたしがうらやましそうな顔をしたのか、ヒカリは聞いてきた。
「アスカはどうなの?シンジくんと」
「なんであいつが出てくんのよ!」
もう今更隠しても意味ないか…と思いつつもつい出てしまうこの言葉。
「まあまあ…、今朝の話はなんだったの?」
「んーとね、大したことない話なんだけどね、」
そういって風邪ひいたときに看病してくれた話、
夢でお嫁さんになった話、一時間目の英語のときの話をした。
「そっかぁ。やっぱりアスカ、シンジくんのこと好きなんだぁ。
でもね、さっき体育のとき噂になってたんだけど…」
「えぇ!?マナが告白!?」
「うん…今日するって。」
まだ負けと決まったわけじゃない。
でも…気分が悪くなった。
「残り、食べていいわよ。」
855:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/26 22:18:33
リアルタイムGJ!
856:ふぅ。
09/08/26 22:59:50
とまあ、一応こんなかんじです。
感想ありがとうございます。
今回地の文増やしてみました。
いや、少ないですね(笑)
今から付け足してもって意見もあったんですが
やっぱりあったほうがいいかなと。
ご指摘ありがとうございました。
これ、上と下みたいなかんじで
二部構成みたいな感じにしようと思ってます。
長くなりますが…すみません。
857:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/26 23:00:44
GJです!
出来れば「今日の投下はここまで~」みたいなレスが欲しいです
858:857
09/08/26 23:04:15
>>856
ああ、被った。ごめんなさいw
859:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/26 23:13:44
>>856
GJ!
860:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 01:14:41
ふう。さんイイよー!嫉妬するアスカと素直なシンジが可愛いw
あと個人的に、恋のライバルはやっぱマナがいいね!
861:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 13:30:48
ふぅ。さんGJ!
2人のやり取りが微笑ましいです。
862:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 17:10:27
円谷さんや軒亜さんはパッタリ来なくなったな...
863:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 17:13:58
円谷さんは、少し様子見タイムと自サイトに書いてた
864:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 17:40:55
なぜ様子見?
865:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 17:42:53
ifを畏れているのだろう
866:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 17:56:53
>>864
自サイトに直接書くか、一旦こちらに投下して溜まったら転載か迷ってるみたいね。
俺は一旦ここに投下してもらった方が見やすいなぁ。織月さんもそうしてるみたいに。
まあもちろん決めるのは本人だけどさ。
867:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 18:19:17
円谷氏自サイト持ってたん?
868:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 18:27:12
投下してもらったほうが感想書きやすいし、嬉しいけどなw
869:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/27 19:03:30
>>867
>>153
870:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 01:35:51
>>500
バッハとパッヘルドル:カノンを
買って来た
iPhoneにも入れた 準備は出きた
iTunesで同期するなら
レンタルで良かった気がするが•••
871:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 02:31:58
>>870
パッヘルベルな。
ブラームスならハイドンバリエーションなんか聴きやすいぞ。
872:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 08:12:28
>>871
今度はレンタル屋さん行ってみる
873:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 08:19:23
>>872
無伴奏チェロ組曲も一度聴いてみて。
個人的にはカザルスのやつが好き。
874:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 08:36:44
って、すでに買ってたのか。めんご。
875:674
09/08/28 10:01:00
前回投稿したところがあまりにも中途半端なことに気づいて、きりがいいとこまで投稿してしまい
たぶん今日終わりそう。ふう
・異性系イタモノ注意
NGワード キンモクセイ
876:キンモクセイ
09/08/28 10:02:06
重なり合う体に、シンジの鼓動を、体温を、息を感じてしまう。
耳から頬へ、頬から額に。
ついばむように口付けをされて、
そのたびに体の奥がじんと熱くなって、あたしは身じろいだ。
「アスカ…」
そんな甘い声であたしを呼ばないで。
そんな優しい瞳であたしを見つめないで。
どうして。
どうして。
どうしてあんたは!
あたしは何も変わりたくないのに、このままでいたいのに。
逃げ出したくて、でも。
あたしの中のシンジを求める心が、
歓喜に震える女のあたしが、あたしを内側から縛りつけて。
…あたしを身動き出来なくするの。
やがてシンジの息が、あたしの唇へと近づいてくる。
「…だめっ、だめよ……シンジっ…」
…それ以上はやめてっ。
今ならまだ、間に合う。
あたしたち、友だちのままで…!
喉を震わせて、やっとのことで搾り出した声はひどく掠れていた。
その声を塞ごうとするように、シンジがあたしの頭を抱き寄せて。
「んっ…!」
押し付けられたシンジの唇は、
想像していたよりも薄くて、少し、かさついていた。
こんなに愛おしくて、こんなに悲しいキスは初めてだった。
視界が滲んで、涙が頬を伝っていく。
877:キンモクセイ
09/08/28 10:02:58
「…っ…もう、終わりだわ…!」
シンジの唇から顔を逸らして、あたしを抱き寄せる体を突き飛ばした。
そして、そのまま床にへたり込んでしまう。
ポロポロと涙が零れて、止まらなかった。
嗚咽が漏れた。
もう、今までのあたしたちでいられなくなったことが。
あたしたちが男と女になってしまったことが。
それが悲しくて。
そう、いずれパパとママのようになってしまうんだわ…!
「…アスカ、泣かないで」
あたしの頬に伸びてきた優しい手を、払いのける。
いずれいなくなってしまう優しさなんて、いらない。
もういらない。
「うるさい!!
…あんたはいつもそうよ。
自分ばっかり勝手に先へ進んで、あたしは取り残されるばっかりでっ…!」
胸の内に隠していた感情の奔流が、言葉が、涙とともに溢れ出る。
「何が好きよ…!
あんたが先に裏切っておきながら今さらなによ…!
あたしだってずっとずっと好きだったわ!
あんたがあの女と付き合う前から!ずっとよ!」
シンジはじっとあたしを見つめている。
その瞳の中に、みっともなく泣き叫んで、喚いてるあたしがいる。
喉が潰れそうに痛い。
「でもあんたがあの女と付き合うようになって!痛くて、苦しくて…!
どうしようもなくて…
だから他の男で寂しさ紛らわせたの!
その間もずっとあんたのことしか考えてなかったわ!」
そうすればシンジに抱かれているような気になれた。
女のあたしが嬌声をあげて喜んで、そんな自分に吐き気がした。
878:キンモクセイ
09/08/28 10:03:40
「あたしだって、あんたにキスされたかった…
あたしの初めてだってあんたにあげたかった…!
でも、あんたは他の女を見て、あたしを見てくれなかった
けど、やっぱりあたしはあんたが好きで
一緒にいたくて…」
苦しみも、切なさも、痛みも、我慢した。
笑ってシンジにウソついて、自分にもウソついて。
重力に引かれるままに涙がぽたぽたと床の上に滴り落ちて、まるで水たまりのよう。
「友だちなら…ずっと一緒にいられると思ったから……
あたしはっ…あたしはあんたと一緒にいられれば…
何も変わらないままで、ずっとずっと一緒にいられれば…
それだけでよかったのに…なのに、どうして…」
声をあげて、わぁわぁ泣いた。
まるで幼い子どもみたいに、きっと顔は真っ赤なって、涙でぐちゃぐちゃで。
とても酷い顔だったと思う。
「……アスカ、ごめん…」
力無く床に投げ出されたあたしの手に、シンジが手を重ねる。
その手をまた、はねのけて拒絶した。
「…あんたとあたし、もう終わりよ…!おしまいなのよ!」
変わらないものなんてない。
そんなこと、最初から分かっていた。
人は流れ、時は流れ、気持ちも流れていく。
保証のある関係なんてどこにもない。
シンジもいつか、パパのようにいなくなる。
きっとそうだ。
それが怖くて、あたしはまた自分にウソをついた。
879:キンモクセイ
09/08/28 10:04:32
「出ていけ…!あんたの顔なんて見たくない!あんたなんて、もういらない…!!」
シンジの傷ついた瞳を、悲しみに歪む眉を、去っていく背中を見たくなくて、あたしは膝を抱えて俯いた。
シンジのいなくなった部屋の中で、俯いて、目を瞑って、ただ泣き続けた。
終わらせたのはあたし自身だ。
本当に、馬鹿ね。
14歳のあたしが、隣で泣いていた。
シンジとあの日見かけたキンモクセイは、すでに散ってしまっていた。
深緑の葉だけを残して。
地面の上に、茶色くなってしわがれたかけらが散らばっている。
あの花のなれの果てだった。
あの、強く、噎せ返るほどに甘い香りは、もうしない。
続く
とりあえずいじょう
あともう少し
880:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 10:14:59
GJ!
アスカ…素直になれよな。
881:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 10:31:10
えっ!
シンジ帰ったの!?
882:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 10:41:02
>>873
きた~ BGM付きで逝くぜ
883:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 10:49:59
明日までの期限の報告書が有るんだ
無理言って 有給休暇をお願いしたんだ
アスカとシンジが幸せになれれば
もう どうでもいいや
884:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 10:57:11
うは常に寸止めキンモクセイ。
でも、好きだ…ありがとう
885:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 11:11:32
もうヤバイ
886:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 11:33:56
読者側で感想じゃなくて自分語りしてる人たちは何なの?
うざいことこのうえないんだけど
887:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 11:38:40
べつにええがな
888:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 11:41:30
>>886
お前もじゃない•••
889:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 12:05:25
作者の自分語りは文句言って
読者のはありってのはおかしい
890:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 12:05:35
盛り上げるための不自然な所為を繰り返してアスカがキチガイ染みたLASになるのは、良くあること。
最後に素直になるのも類型的で、今更感はあるなあw
891:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 12:07:57
まぁ気にせずに流れ戻そうや
892:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 12:37:56
おお!キンモクセイさん相変わらずGJです!!
毎回楽しみにしてます
でも、もうすぐ終わるんですよね…
うれしいような悲しいような複雑な気持ちです
最後はアスカとシンジが結ばれて、幸せになってほしいです
893:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 14:19:35
>>890
だがそれがいい
キンモクセイGJすぎる
二人が幸せになるといいな…
894:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 14:23:45
投下スレの作品に何を期待しているんだおまいらは。
そこそこの作品がそこそこ読めりゃいいんだよ。
895:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 15:20:00
if「じゃあ俺の作品も読んでください」
896:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 15:56:33
分かった。
俺が悪かったから許してくれ。
897:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 17:38:40
投下待ち
898:if
09/08/28 17:53:54
呼んだ
899:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 17:54:43
>>899
まったく呼んでない
900:if
09/08/28 17:59:19
失礼しました
901:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:00:46
>>898読んだ?
902:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:29:27
>>901
次の投下で明らかになるだろう
どうせ読んでないから時間の無駄な落書きを披露してくれると信じてる
903:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:31:44 oJfbKVQg
>>890
毎度思うんだがタダで小説読んでるくせになんでこんなに偉そうなの?
何様だよw
904:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:34:49
気持ちはわかるが構うなよ
905:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:35:41
このスレでは読者の方が偉いらしいしな
906:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:38:59
>>905
金を払っていればそうだけど、タダで読ませて貰ってる以上
それは無いよな。
907:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:40:08
もういいから
スルーしようぜ、変に荒れるだけだって
908:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:40:24
>>903
荒らしたいだけの人でしょ。文句しか書いてない。
909:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:43:19
sage
キンモクセイお待ちしておりますm(__)m
910:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 18:44:10
俺はたとえ上手くても、上手くなくても読めるだけで満足
911:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 22:39:19
>>879
キター!GJ!
このスレに限らず監視して変な方向に持っていこうとする粘着がいるけど
気にせず投下してほしい。キンモクセイさんの作風、大好きです。
912:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 22:59:11
>>903
駄作を投下するのも自由だし、キツイ評価を言うのも自由。
それがこのスレ。
913:674
09/08/28 23:13:51
ばんわ。
なんかもうガツガツカツカツですが、なんとか出来た。最終回です。
もう少しちゃんと練りたかったけど、カンベンです
そいや、前回のとこでよっこらセックスさせようか迷ったんだけど結局やめた。
・異性系じゃなくなったけどイタモノ注意
NGワード キンモクセイ
914:キンモクセイ
09/08/28 23:15:03
あれからのあたしたちはお互いを避けるように何も話さず、視線も交わさず。
小さい頃からあれだけ同じ世界を過ごしてきたのに。
今も同じ空間に、同じ次元の中に生きているのに。
まるで遠い存在なって、お互い、見ないフリをした。
シンジが遅刻しないで、ひとりで学校へ行くようになって。
あたしがシンジと時間をずらして登校するようになって。
やがて隣の部屋から、朝の慌ただしいおばさんの声もシンジの声も消えて、
静かに朝を迎えるようになったのはいつだっただろうか。
学校が同じでもクラスが別だと、関わることもほとんどない。
お互いに共通の友人なんていないし、シンジがいなくなった穴を埋めるように、
あたしはヒカリやクラスの女友だちとよく遊ぶようになっていた。
学校で見かけるシンジは、よく男子たちとつるみながら笑っていて。
ああ、あいつは大丈夫なんだ、と安心しながらも少し胸が痛かった。
時がすべて癒やしてくれる。
時がすべてを洗い流してくれる。
…そんな言葉はウソだ。
ずっと一緒だったシンジが、当たり前のように一緒にいたシンジが、そばにいない。
ヒカリと遊んでも、学校の友だちと騒いでも、虚しさしか感じなくて。
顔は笑っていても、心は笑えなかった。
シンジの姿を見るたびに胸の奥がつぶれて、ぐしゃぐしゃになって、その痛みは日に日に強くなる。
ひとりでいる時に、ふと、シンジを思い出して、涙が零す。
自分で投げ出して、いらないと叫んで、いなくなったらひとりで泣いてる。
なんて馬鹿なんだろう、あたし。
915:キンモクセイ
09/08/28 23:15:57
それでも時は流れ続けていく。
ただ淡々と、残酷に。
あたしがいくら泣いて叫んでも、誰も立ち止まってくれやなんかしない。
ひとり置いていかれないように、あたしはがむしゃらに前へ進むしかなかった。
心に大きな穴を空けたままで。
あいつのいない、何も無い日常を過ごしていく。
シンジは、どうなのかな。
きっとシンジは、何事もなかったように前へ進んで、またひとり歩いていくんだろう。
その春。
風の噂で、あの男は某大学へ受かったと聞いた。
あたしと別れて、別の世界に生きて、次は新しい世界へと歩みを進めていく。
悲しみもない。一抹の寂しさすらない。
心から、あいつも頑張ったんだなぁって、そう思う。
気が付けばあたしはもう、3年生になっていた。
「惣流はドイツの大学へ入学希望だったな」
「はい」
「成績も申し分ないし、まあ、大丈夫だろう」
模試の結果が書かれた紙を見て、先生が笑う。
去年の秋に、シンジと離れてすぐに、あたしはママと一緒にドイツへ帰ることに決めていた。
ママはあたしがドイツへ帰ることを、笑って受け入れてくれて。
あたしとシンジのことも気づいているはずなのに、何も言わなかった。
おばさんやおじさんも、あたしに何も言わないで、いつもの笑顔で接してくれる。
916:キンモクセイ
09/08/28 23:17:17
たぶん、ママたちなりに気遣ってくれてるんだと感じた。
日本の高校に通ってるあたしは、ドイツの大学に入るためには語学資格が必要で。
受験勉強で、特別なことと言えばあたしにとってはそれくらい。
あとはこのままセンター試験でいい成績を取れば大丈夫、と先生がまた笑った。
ある日、あたしはあの小さなレコード店を訪れていた。
「久しぶり、おじさん」
「おお、いらっしゃい。あの時のお嬢さん」
中はあいかわらずくたびれた匂いがしていて、出迎えてくれたおじさんの笑顔も変わらない。
「お元気でしたか?」
「ん…まぁね。おじさんは?」
「ははは…私はねえ。どうも最近、腰の調子が悪くてね」
この年になると、立ったままは辛くて、と苦笑いするおじさんの足元に小さな椅子が見えた。
あの時には無かったものだ。変わらないと思ったけど、やっぱりあの時とは少し違う。
「あのね、おじさん」
「ん?」
「バッハの無伴奏チェロ組曲と、ブラームスの前ここで聴いてたやつ…置いてある?」
おじさんは、どの演奏家のものがいい?って訊いてくれたけど、別に誰のものでも良かった。
あたしはチェロの音色が聴きたかっただけだから。
おじさんのおすすめしてくれたものを適当に選んで、代金を渡す。
「幼馴染の彼は、どうしておられるのかな?」
「きっと、元気よ。たぶん」
お釣りを受け取りながら、あたしはあっさりと答えた。
おじさんの表情が、少し淋しげに曇る。
「それじゃ、おじさん」
おじさんの、ありがとうという言葉を背中に受けながら、あたしは店を出た。
917:キンモクセイ
09/08/28 23:18:10
いくら名演奏家と呼ばれる人たちのチェロを聴いたって、やっぱりシンジの音色とは違って。
あたしが好きなのは、あの少し拙くて、でも美しくて柔らかいチェロの音色だ。
こんなCDで、あたしの胸に空いた穴を埋めることなんて出来なかった。
「シンジのチェロ…また聴きたいな…」
ぽつりと、呟いた。
春が終わって、夏も過ぎて、季節の隙間がやってくる。
遠くなっていく空を眺めながら、あたしはいつも、シンジを想う。
あのキンモクセイも、再び美しく花を咲かせていた。
散っても散っても、この世に生きている限りこいつは咲き誇り続けるんだろう。
花を眺めながら、なんてしたたかなやつ、と笑った。
風がそよいで、さわさわと花を揺らす。甘い香りが、広がった。
あんたの中のキンモクセイ、まだ咲いてるね。
前よりもたくさん。とても綺麗。
14歳のあたしが、悲しげに微笑んでいる。
ごめんね、とあたしは呟いた。
時間とともに人は変わって、心も変わって、やがて終わりを迎えるはずなのに。
シンジへの想いは募るばかりで、さらに大きく膨らんで。
もうどうしようもないけど、ただ、シンジに会いたいと思った。
918:キンモクセイ
09/08/28 23:18:56
「アスカ」
穏やかで、柔らかくて、少し鼻にかかったような声。
声の高さは変わっても、奥に隠れる優しさは小さい頃から変わらない。
何度も何度も聞き慣れた、「アスカ」という言葉。あたしの名前。
幻のように聞こえてきて、あたしははっとする。
後ろに、シンジがいた。
初号機と名づけた紫色の自転車にまたがって、あたしを見てる。
「後ろ、乗る?」
訊かれて、あたしはこくんと頷いた。
ああ、懐かしい。シンジの背中だ。
男のくせに華奢で、少し猫背気味に自転車を漕ぐところなんて変わらないね。
泣きそうになるのを抑えて、あたしはシンジの腰をぎゅっと掴んだ。
「久しぶりにさ」
シンジが、前を向いたまま言う。シンジの、丸い後頭部が揺れた。
「久しぶりに、ふたりでしよう。河川敷のとこで、キャッチボール」
「うん」
風は穏やかで、川の水面を優しく揺らす。
草木は、夏の冴えるような緑から、少しずつ色を変えていた。
春のような明るさは無いけれど、穏やかな優しさを感じる。
嫌いじゃない、とあたしは思う。
子どもたちの明るい声が響いた。
はしゃいで、走り回って。ふと、女の子が転んでしまう。
泣き始める女の子に、男の子が駆け寄って慰めていた。
919:キンモクセイ
09/08/28 23:20:42
あたしたちはここに来てからずっと、無言でボールを投げ合っている。
お互いに何も話しださず、ただ黙々と。
不思議に緊張した空気は無く、緩やかに時間は過ぎていった。
「あれからさ」
最初に口を開いたのはシンジだった。
シンジが投げた白いボールが空を飛んで、あたしの左手のグローブへと落ちてくる。
「あれから…色々考えたんだ。
アスカと離れて、ひとりになって。
僕はずっと、知らない間にアスカを傷つけてたんだって分かって…
だったら、アスカの言うとおり僕なんていない方がいいんじゃないかって。
そう思って、離れてた。
こんなことになるなら、告白しなきゃよかったって…何度も後悔してさ」
「シンジ、シンジは…悪くないわ」
シンジへとボールを投げる。綺麗に曲線を描いて、そのままグローブに吸い込まれていった。
「なんにも、悪くない」
「うん、僕もそう思う」
にやり、と。
シンジがあんまり、明け透けに笑うものだから、あたしは少し呆気に取られてしまった。
「考えれば考えるほどさ、
好き同士だったのにどうして離れなきゃいけないんだろうって。
僕は単純でバカだから、もやもやしながらそればっかり考えてた」
そう言って、シンジが投げる。
あたしは受け取れずに、ボールがグローブから転がり落ちた。
「それは…、あたしが臆病だからよ」
ボールがコロコロと転がって、あたしから離れていく。
920:キンモクセイ
09/08/28 23:22:26
「ほんとはね、嬉しかった。
シンジがあたしを好きだって言ってくれて、本当に嬉しかった。
でも、同時にとても怖くなったの。
あんたがパパみたいに他の女を好きになって、あたしの前からいなくなったらどうしようって。
友だちならいいわ。ずっと一緒にいられるもの。終わりがないもの」
「…自分の心にウソついて、苦しみ続けながら?」
はっとしてシンジを見る。
シンジは、あの優しい瞳をあたしに向けて、そのまま続けた。
「アスカの言う通り…
人の心は刹那的で、あやふやで、そこに絶対なんてものはないよ。
恋人であっても友だちであっても家族であってもそうだ。
昨日は笑いあってたのに、次の日には憎くなって殺してしまうことだってあるかもしれない。
会いたいと願っていた相手だったのに、
いざ会ってみると怖くなって首を絞めてしまうかもしれない。
愛しいと感じていたのに、次の瞬間突き放してしまうかもしれない」
「そうよ、だから怖かったのよ!
……分かってたわ。本当は。友だちなんてもの、みせかけだけの希望にすぎないって。
でも、怖くて。それでもシンジのそばを離れたくなくて。
関係が崩れた瞬間、すべてを失ってしまうんじゃないかって…!」
あたし自身が壊したとは言え、事実そうなった。
子どものような関係でいられなくなったあたしたちは、散り散りになって。
それぞれ、別の世界で生きていこうとしていたはずだ。
なのに、今さらどうして。
転がったボールの方へ、シンジがゆっくりと歩いていく。
「…僕だって怖かったよ。この1年間も、ずっと怖かった。
アスカが違う誰かを好きになって、僕のことなんて忘れてしまったらどうしようって」
921:キンモクセイ
09/08/28 23:23:56
ボールを拾って、川の向こう岸を見つめるシンジ。
あたしからは、シンジのうしろ姿しか見えない。
シンジの背中、シンジの黒い髪。ああ、変わらない。
その顔を見ることは出来ないけれど、すこし、その手が震えているようだった。
「さっきだって、もしアスカが僕を拒絶して、一緒に来てくれなかったらって
…そう考えたら、怖くて仕方なかった。アスカと一緒で、僕も臆病なんだ。
でも、僕はアスカより単純でバカだから」
シンジが振り返る。
「アスカの……」
少し間が空いて。
なに?、とあたしは首を傾けた。
シンジが口を開く。
「アスカのお尻がさ。初号機の後ろにないと、寂しいんだ。アスカの大きいお尻が」
「―っ!!ばかシンジ!!!!」
グローブを思い切り投げつけてやる。
バシッ!と大きな音を立てて、見事シンジの顔へ命中した。
「大きいってなによっ!!!あたしのこのお尻のどこが!」
くくくっ…と、お腹を押さえてシンジが震えていた。
グローブの当たった鼻を真っ赤にさせて、よく見れば笑ってる。
「よかった、やっぱりアスカはアスカだ」
そう言って微笑んだシンジの笑顔が、あまりにも綺麗で。
あたしは真っ赤になって、俯いてしまった。
去年よりも汚くなった赤いスニーカーが、一歩ずつあたしに近づいてくる。
あたしの前でその赤いスニーカーが止まって。
俯くあたしを覗き込むようにシンジが身を屈めた。
シンジの顔が目の前に突然現れて、あたしの心臓が跳ね上がる。
じっと見つめる黒い瞳から、あたしは目が離せない。
「やっぱり僕は、アスカが好きだよ…今まで以上にもっと好きだ
だからこそ今の瞬間を、アスカと一緒にいたいんだ。大好きな、アスカと」
922:キンモクセイ
09/08/28 23:26:05
シンジの瞳の中に、バカみたいに赤くなってるあたしがいた。
これ以上にないくらい心臓が跳ね上がって踊ってる。
シンジの気持ちが、まだあたしを想ってくれてる気持ちが、本当に嬉しかった。
シンジへの想いが、感情が、また大きく膨らんで、あたしの瞳から涙となってポロポロと零れた。
「あんたバカね…こんなバカでめんどくさい女、まだ好きなんて…」
泣きながら、笑う。
「ばかシンジには、ばかアスカじゃなきゃ駄目なんだ」
だって、ふたりともバカだから、とシンジも笑った。
「バカっ…!」
そのまま勢いよくシンジに飛び込んで、思いっきり抱き締めた。
わーっ!と叫びながら、シンジが後ろへ倒れこむ。
「あたしも、好き…!好きよ、好き…大好きよ。ばかシンジ…!」
あたしの言葉に答えるように、シンジの腕が、ぎゅうっとあたしを抱き締め返してくれる。
ねえ、シンジ。あたし、シンジを好きでいてもいいのかな。
ふたりで芝生の上に倒れこんで、強く強く抱き締め合った。
「わーバカップルだー!」
「ヒュー!らぶらぶぅー!」
「はぐ、してるぜ!はぐ!」
「ガーイジン!ガーイジン!」
はやし立てる子どもの声がして、はっとして顔を上げる。
シンジとふたりで周りを見ると、4人の男の子に囲まれていた。
その少し後ろに、目をキラキラさせながら顔を赤くして、あたしたちを見る女の子がふたり。
河川敷の道を走る自転車のおじさんもあたしたちを茫然と見てる。
高架橋の下にいる野球帽を被った少年も顔を赤くしていて。
自分たちが公衆の前で何をしていたかに気付いた。
恥ずかしさに、体温が一気に上昇する。
馬乗りになった状態だったあたしは、慌ててシンジから離れた。
923:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 23:28:38
支援
924:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 23:33:23
支援
925:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 23:38:31
支援
926:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 23:39:12
SSというよりも携帯小説か、コレは。
927:キンモクセイ
09/08/28 23:45:03
「あ、こっちのねーちゃんほんとにガイジンだ」
「まっかっかー!」
「う、うるさい!!」
叫んで、隣のシンジをちらっと見る。
シンジも真っ赤になって俯いていた。
「い、行きましょシンジ!」
「う、うん」
シンジの腕を引っ張りながら、その場から逃げ出す。
後ろから子どもたちの、やんやとはやし立てる声がまだ続いていた。
日は傾いて、空が赤らみ始めていて。
空の青色と夕日の赤色が混じり合った、薄紫の帯が西に見える。
沈む太陽を背に、川の向こうの団地の建物は黒い影になっていた。
シンジの背中に体を預けて、
変わらない景色を眺めながら、あたしたちを乗せた初号機は川沿いの道を走っていく。
ぽっちゃりとした柴犬を連れた、あの時のおばさんとすれ違った。
あたしたちを見てにっこり顔を綻ばせて、そんなおばさんにあたしも微笑み返した。
やがて、おばさんの姿も小さくなっていく。
「ねぇ、アスカ」
背中から聞こえる声は、甘く優しい。
なに?、とあたしも甘えた声で返す。
シンジの腰に腕を回して、ぎゅうっと体を寄せた。
夕日のせいか、シンジの耳が少し赤い。
「…進路希望にさ、僕も、ベルリンって書いたよ」
「…どういうこと?」
シンジの言葉に驚いて、思わずシンジの体を力の限り締め付けてしまう。
「あ、アスカ…く、苦しい!」
ふらふらとバランスを崩した初号機とシンジの声に我に返った。
928:キンモクセイ
09/08/28 23:47:06
腕を緩めると、シンジがはぁはぁと息をつく。
「ねぇ、どういうこと?」
「いつか約束したろ?ふたりでドイツへ行こうって」
「だめー!!!」
キキキーっとブレーキの音がして、初号機が止まる。
後ろを向いたシンジが驚いた顔をして、あたしを見た。
少し高いシンジを見上げるようにして、あたしはもう一度同じことを言う。
「だめよ!」
「なんで?」
あたしの拒否に、シンジが目をぱちぱちと瞬かせた。
「あたしは何もしてなくて、シンジばっかり…、そんなのフェアじゃないわ!
シンジはシンジの行きたい大学へ行きなさいよ」
「嫌だ」
今度はあたしが、シンジの拒否に目をぱちぱちさせる。
「アスカと一緒じゃなきゃ、嫌だ」
「あのね」
「い・や・だ」
まるで幼子みたいに、頑なに言う。
変なところで頑固なシンジの癖が出た。
「英語もドイツ語もちゃんと勉強してるんだよ?
まぁ、国語とか現社はまだ微妙だけどさ…
とにかく、せっかく昨日、父さんと母さんの説得に成功したところなんだ!
だから、アスカを迎えに来たんだよっ!」
そう叫んで、赤くなった顔を隠すようにシンジが前を向く。
「バカね…」
シンジの想いに、あたしを想ってくれていたその想いの大きさに、愛しさが爆発して。
あたしはその感情に突き動かされるままに荷台から飛び降りて、シンジの首元に腕を廻して抱き締めた。
もう、他人の目なんて、そんなもの関係ない。
「あ、アスカ…?」
シンジに再び好きと言われて、それでも不安が無かったと言えばウソになる。
929:キンモクセイ
09/08/28 23:50:29
けど、シンジなら、大丈夫。
あたしが好きなシンジなら、きっと、信じることが出来ると思えた。
少なくとも、今、あたしがシンジと想う気持ちと、
シンジがあたしを想ってくれる気持ちは間違いなく本物だから。
シンジに廻した腕を離して、頬に触れる。愛しく、撫でるように。
そして、その薄い唇に、そっとキスをした。
2度目のキスは、とても優しい気持ちになれた。
「でもやっぱりだめ」
「なんでさ!?」
身を乗り出しすシンジの鼻を、ちょんと押さえる。
「あたしがっ、シンジと一緒のところへ行くの!
シンジ、前に京都に行きたいって言ってたでしょ?」
「アスカ!」
「そ・の・代・わ・り!」
「な、なに?」
ぎゅっと両腕でシンジを抱き寄せて、その首筋に顔を寄せる。
耳にそっと唇を触れて、あたしは小さく呟いた。
「また、あんたのチェロ…いっぱい聴かせてね…」
「…りょーかい」
シンジの指があたしの髪の中に滑り込んできて、あたしを優しく抱き寄せた。
永遠なんて望みません。
ただ、今はこの想いを、この幸せを、大切にしたいの。
甘い香りがあたしたちを包み込む。
ああ、なんて愛しい香りだろう。
14歳のあたしが、キンモクセイの花の前で、笑ってた。
終わり
930:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/28 23:56:26
キンモクセイさん
お疲れ様でした。ありがとうございます
931:674
09/08/28 23:57:30
キンモクセイの花言葉
初恋 高潔 謙虚 変わらぬ魅力 真実の愛
拙作に付き合っていただきありがとうございました
色々詰め込みすぎて、なかなか上手くいかないもんだなって反省してます
もう少し時間に余裕があれば、ちゃんと練って、書いてみたかったです
普段はイラスト描きなんですが、小説もなかなか楽しかったのでまた機会があれば書いてみたいです
みんなの応援にほんと助けられた!
やっぱLASはいいなと思えた夏の終わりでした。
932:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:01:49
キンモクセイさんGJ!ハッピーエンドキター!
素敵な作品でずっと楽しませてもらいました。投下ありがとうございました!
933:543
09/08/29 00:10:19
>>931
これだけ情景描写や心理描写が巧みで、ぐいぐい引き込ませる文章書けて、
その上本業絵師さんとか凄過ぎです!
作題の花言葉解説最後に持ってこられて正直「やられた」とか思いましたw
アスカのセフレには終始ムカついていましたが、レコード店のおいちゃんと
犬散歩させているオバチャンには和みました。
なんにせよお疲れ様です。良い作品読めて随分ぽかぽかさせて頂きました!
934:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:11:07
イタ部分って丸々要らんやんw>キンモクセイ
935:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:14:08
遠回りをしながらも、最後には二人が結ばれてよかったです。
とってもすばらしい作品でした。
キンモクセイさん、お疲れ様でした。
本当にありがとうございました。
936:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:14:41
教訓:ビッチにも乙女な部分はある
937:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:33:25
乙
感動したぜ
938:674
09/08/29 00:34:30
>>934
自分でもちょっとそんな気がしてたけど許しておくれ
本当は軽い恋愛短編話のつもりだったから、シンジは他に好きな女の子を作るような普通の男で、アスカはそれに振り回される役だった
意外にもシンジがアスカを一途に好き好きになってしまって…
ドーテーショジョ同士じゃなくてもいいじゃん
…なつもりが、精神的純愛になっていきました
マナ関連にしても、色々書き切れなかったとはそういうことです
939:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:40:46
>>934
携帯小説の基本フォーマットだろ? >ビッチが男に救われる
940:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:45:27
自演するならもっと工夫したらどうか
941:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:46:54
>>938
純愛と云うよりも、女性からの夢小説でしょ。
セフレが居て、それとは別に恋人までとかね。
シンジが都合の良過ぎる男でありすぎると思うが?
942:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:51:30
>>940
構っちゃだめぇーー!!きっとみんなわかってる 890=912=926=939=941
ってか携帯小説で巨万の富を稼いでる人もいるから実は褒めてんのかもよw
943:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 00:56:11
>>941
こいつちゃんと読んでないな
アスカの今の彼氏は先輩のひとりだけで、シンジもシンジでマナ他に三人と付き合ってた
今どきの普通の高校生だ
944:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:00:44
>>941
このスレまで監視か…
その時間をもっと有益に使ったらどうだろうか?
945:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:03:06
>>943
今どきの普通の高校生じゃ、萌えんだろww
946:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:05:50
うわべだけのイタモノって質が悪い。
947:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:08:03
冷夏のせいか、いつもより遅れて夏厨が出てきた感はあるw
948:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:09:48
特定の熱狂的信者を獲得するか、あからさまなアンチを産むかの諸刃の剣だな
今回はやや信者が優勢と見てるが
949:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:09:52
いや、本当によかったです。GJ!<キンモクセイ
ちょっと心がささくれてるアスカを
ふわふわとしたシンジが優しく包み込む感じが素敵でした。
本編ではみられないシンジですが、無理さがなくてよかったです。
またぜひ読ませてください!
950:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:30:44
キンモクセイさん素晴らしかった。ありがとう!!
951:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:32:47
>>948
その様子だね
私は受け付けないのであぼ~んさせて貰っているが
952:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:35:02
とりあえず、書いてるのは女だろーなーとだけ思った
実際知らんがw
953:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:35:41
>>872
GJ
954:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:38:29
>>948
てゆうか、信者が気持ち悪いと言うか。
作品自体はアボーンするからどうでも良いのだけれどね。
955:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:43:50
>ドーテーショジョ同士じゃなくてもいいじゃん
これだけの為に、話には不要だけど他とヤらせとこうとってのは、
逆に、処女童貞であるか否かにスゲェこだわってる気がするがw
956:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:49:22
なんでこんなに荒れてるんだ?
キンモクセイさん、お疲れ様でした。ハッピーエンドで本当に良かった。
ありがとうございました。
957:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:51:35
これがハッピーエンド?
単なるデウス・エクス・マキナ落ちじゃねえか
958:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:53:33
意味わかって言ってんのか?w
959:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:53:49
ハマると盲目的に面白いって思っちゃうのよ
ハルヒ信者だった頃の俺にそっくりだ
960:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:54:35
荒らし狙いも混ざってるから収拾がつかないことになってるな
961:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:55:04
>>959
エヴァもそうじゃんw
ハマらせる力があるのは作品の力でもあるよ
962:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 01:55:45
てか自分が気に入らない作品ならスルーしろよ
あーだこーだ理屈つけて批判して
大人気ない
963:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:00:19 zoFr6b0d
>>929
長編は完結しない事が多いのに、完結したうえ今年いちばんの面白さ…
あなたが神か
964:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:01:10
どんな作品も人の好みがあるだろうからね
最初から合わないと思ったらあぼ~んすればいいし
全部読んだ上で的確な批評をする人もいるだろうし(別の意図がある人もいるだろうけど)
965:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:03:12
>>955
すんごい拘りがあるんだと思うよ、実際
966:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:04:43
>>962
絶賛ばっかりってえのもそれはそれで気持ち悪いもんだがな
967:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:07:37
批評はいいけど批判はいらんよ
968:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:09:49
批評するには読み手側もそれなりのスキルがいるからね
で、それが投下する人のスキル向上につながっていく
そうじゃなきゃただの荒らしと変わらない
969:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:11:38
正直、破で弱ってるとこだからイタモノはキツいわ・・・
970:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:14:47
>>969
一応、つ「あぼーん」
971:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:19:59
基本的なこと聞いて悪いんだけど、あぼーんてスルーするってこと?
ならそうする
972:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:27:16
イタモノって書いてあるのに読んじゃったのか
973:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:30:43
イタモノである事(そういう展開のある事)にちゃんと意味のある作品か、
と思って読んでたら、別にイタモノ関連無くても全然問題なくて、
理由が「ドーテーショジョ同士じゃなくてもいいじゃん」とかいう、
なんとも下らんものだったのが残念
あとオリキャラのおっさん要らなかった
974:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:35:54
LAS(ラブラブ・アスカ×シンジ)目当てだとキツイだろうな
イタモノとオリキャラの耐性ないと特に
975:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:36:43
これだけたくさんの意見が付くってこと自体スゴイと思う
投下する側として一番悲しいのは何も言われず、ただスルーされることだし
976:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:37:17
いや別にそんならぶらぶなモノをこの作品には求めてないが
977:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:38:52
>>975
ぶっちゃけ、無意味だろうとイタモノにしとけばレスはバンバン付く
試しにやってみれば分かる
978:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:39:09
名前もないおっさん大人気
たまには先輩のこと思い出してください
979:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:40:36
>>977
ないないw
読ませる力がなきゃ最後まで読んでももらえない
980:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:40:49
>>977
この前のN3は結局あれだけレス消費させといて釣りだったな…
981:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:41:09
>>973
いや、無意味じゃないだろ
お互いに彼氏彼女がいるけど、親密な男女のすれ違いを書いてるわけだし
すれ違うための大事な要素じゃんw
982:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:42:21
先輩の方が違和感は無いからな
おっさんは、ムリヤリな介入を行う作者の姿が見えすぎ
983:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:43:03
>>977
これまでも常にそうだからな
984:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:44:22
|д゜)ソローリ
|彡サッ
985:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 02:45:25
???
986:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 04:55:34
アスカが思ってるセフレって三人ぐらいいなかったけ?
シンジとつきあえんから他の男で自慰行為って・・セフレに殺されてもおかしくないな。
セフレの心情が気になるね。正直シンジにこだわる理由がわからん作品でした。
何はともあれおつかれさまでした。
987:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 05:28:18
彼氏は可哀想だったな
確かにぶん殴られてもおかしかないわ
自分のエゴで相手を振り回したのだから
最後に何らかの絡みは欲しかった
まぁ俺はシンジにこだわる理由に好きだから以上を求めるのはナンセンスだとは思うけどな
何にせよ初作品とは思えない出来だった
読ませる力がある魅力的な文章と構成だなと感じたよ
何か荒れてるが気が向いたら、気軽にまた投下してくれー
988:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 05:30:08
ていうか埋めちゃいます?
色んな意味で投下スレとして、19はもう限界かも
989:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 05:55:36
>>987
まぁ、ぶちこまれてアンアン言ってるのをシンジに見られるとか、
そこまで描いてこそイタモノなんだが中途半端。
990:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 05:57:42
>>989
それこそ無意味な痛さw
991:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 06:17:57
まぁ痛い事に、注目を集める以外の意味なんて無いしな
元々
992:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 06:48:49
時間がなかったみたいだからしょうがないけど、ラストがやけにあっさりしてた>キンモクセイ
これならマナとか先輩とか異性イタモノ要素いらなかったと思う
父親のトラウマだけで十分
というか、先輩のことをちゃんと好きになろうとしてたとかのほうがビッチっぽくならなかったかなぁと
993:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 07:01:47
むしろ女のほうが男より、「せっかくだから色々味見しときたい」生き物だからねぇ
994:647
09/08/29 08:21:56
うわ、朝起きたらびっくり
自分でもそう感じてるとこが多かったので、身に染みる意見ありがたいです。
また次に生かしたいと思います
先輩が可哀相と言うのはその通りで、彼は一貫して不幸にもアスカを好きになっちゃった普通の人だと思います。
大学生活の中で幸せになれればいいな。
それでは梅
995:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 08:22:42
>>992
同意
思ってた以上にイタである必要がなかったなと
つかぶっちゃけて言ってしまえば、
シンジと付き合うのは怖いけどセックスはしたいから男を次々引っかけてました、ってだけだった
高校生でそこまで・・・?という感じ
シンジ側は詳細不明だからなんとも言えないけど
996:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 08:28:58 aCJvx7bZ
ここですっかりLASに目覚めてしまった
997:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 08:35:18
イタモノは七難隠すw
998:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 08:35:39
梅に入ったな
999:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 08:37:49
うめ
1000:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/29 08:38:21
この手の話って、キャラがちゃんと魅力的かどうかを気にしたほうがいいよといつも思う
正直先輩が一番応援したい人
シンジは謎人間だし、アスカは、シンジと付き合い出しても、すぐあちこちで浮気するビジョンしか浮かばない
おっさんは、操ってる糸が見えすぎのお人形
1001:1001
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